特許第6659988号(P6659988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6659988
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】ヒンジ装置および電子機器の筐体
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20200220BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20200220BHJP
   E05D 7/086 20060101ALI20200220BHJP
   E05D 7/085 20060101ALI20200220BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   G06F1/16 312J
   F16C11/04 Z
   E05D7/086
   E05D7/085
   H05K5/03 C
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-58785(P2019-58785)
(22)【出願日】2019年3月26日
【審査請求日】2019年4月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陵平
(72)【発明者】
【氏名】立神 一樹
(72)【発明者】
【氏名】フランク ミュラー アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】アルバート ジアン
(72)【発明者】
【氏名】モリス スン
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−518190(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0103601(US,A1)
【文献】 特開平11−259169(JP,A)
【文献】 特開2008−191960(JP,A)
【文献】 特開2004−318302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16−1/18
E05D 7/085
E05D 7/086
F16C 11/04
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、
第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、
前記第一連結対象と前記第二連結対象との間に介在した弾性部材と、
を備え、
前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結しておらず
前記第一部分と前記第二部分とは、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを、前記第一連結対象の対向部と前記第二連結対象の対向部とが対向する閉状態と、前記第一連結対象の前記対向部と前記第二連結対象の前記対向部との間が開放された開状態とに、前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転により変化可能に、連結し、
前記弾性部材は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とが前記閉状態から前記開状態に変化する場合に抵抗となる弾性力を生じる、ヒンジ装置。
【請求項2】
第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、
第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、
を備え、
前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結しておらず、
前記連結部は、前記回転中心回りに並べられ軸方向が前記回転中心の前記軸方向に沿った複数の軸部材を有した、ヒンジ装置。
【請求項3】
前記第一連結対象と前記第二連結対象との間に介在した弾性部材を備え、
前記第一部分と前記第二部分とは、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを、前記第一連結対象の対向部と前記第二連結対象の対向部とが対向する閉状態と、前記第一連結対象の前記対向部と前記第二連結対象の前記対向部との間が開放された開状態とに、前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転により変化可能に、連結し、
前記弾性部材は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とが前記閉状態から前記開状態に変化する場合に抵抗となる弾性力を生じる、請求項2に記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記第一連結対象に設けられた第一ギヤと、前記第二連結対象に設けられ前記第一ギヤと噛み合う第二ギヤと、を有し、前記径方向への前記第一部分と前記第二部分との相対移動を制限するギヤ機構を備えた、請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のヒンジ装置。
【請求項5】
第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、
第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、
前記第一連結対象に設けられた第一ギヤと、前記第二連結対象に設けられ前記第一ギヤと噛み合う第二ギヤと、を有し、前記径方向への前記第一部分と前記第二部分との相対移動を制限するギヤ機構と、
を備え、
前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結していない、ヒンジ装置。
【請求項6】
第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、
第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、
を備え、
前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結しておらず、
前記連結部は、軸方向が前記回転中心の前記軸方向に沿った軸部材と、前記軸部材と前記第一湾曲部および前記第二湾曲部との間に介在したエラストマと、を有した、ヒンジ装置。
【請求項7】
前記第一部分には、貫通孔が設けられ、
前記第一湾曲部および前記第二湾曲部は、互いに接続されて、前記貫通孔を囲む周面を構成した、請求項1〜のうちいずれか一つに記載のヒンジ装置。
【請求項8】
第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、
第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、
を備え、
前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結しておらず、
前記第一部分には、貫通孔が設けられ、
前記第一湾曲部および前記第二湾曲部は、互いに接続されて、前記貫通孔を囲む周面を構成した、ヒンジ装置。
【請求項9】
前記第一部分は、長手方向が前記回転中心の周方向に沿い短手方向が前記回転中心の径方向に沿い前記回転中心の径方向の外側に凸の湾曲状に形成されたアーム部を有し、
前記第一湾曲部および前記第二湾曲部は、前記アーム部に設けられた、請求項1〜のうちいずれか一つに記載のヒンジ装置。
【請求項10】
前記第一連結対象は、前記第二連結対象に対して開閉される開閉体である、請求項1〜のうちいずれか一つに記載のヒンジ装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一つに記載のヒンジ装置と、
前記第一連結対象と、
前記第二連結対象と、
を備えた電子機器の筐体。
【請求項12】
前記ヒンジ装置は、請求項10に記載のヒンジ装置であり、
前記第一連結対象には、当該第一連結対象が前記第二連結対象を覆った状態で前記第二連結対象に向けて開口する凹部が設けられ、
前記第一部分は、前記凹部に入れられた、請求項11に記載の電子機器の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ装置および電子機器の筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、第一連結対象と第二連結対象とがヒンジ装置によって回転中心回りに回転可能に連結された筐体、を備えた電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−137884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電子機器の筐体では、例えば、回転中心周囲の第一連結対象および第二連結対象の外観形状がヒンジ装置によって制約を受けやすいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、回転中心周囲の第一連結対象および第二連結対象の外観形状に対する制約が低減されやすいヒンジ装置およびこのヒンジ装置を備えた電子機器の筐体を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様にかかるヒンジ装置は、例えば、第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、前記第一連結対象と前記第二連結対象との間に介在した弾性部材と、を備えている。前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結していない。前記第一部分と前記第二部分とは、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを、前記第一連結対象の対向部と前記第二連結対象の対向部とが対向する閉状態と、前記第一連結対象の前記対向部と前記第二連結対象の前記対向部との間が開放された開状態とに、前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転により変化可能に、連結し、前記弾性部材は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とが前記閉状態から前記開状態に変化する場合に抵抗となる弾性力を生じる。
【0007】
本発明の第二態様にかかるヒンジ装置は、例えば、第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、を備えている。前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結していない。前記連結部は、前記回転中心回りに並べられ軸方向が前記回転中心の前記軸方向に沿った複数の軸部材を有している。
【0008】
前記ヒンジ装置は、例えば、前記第一連結対象と前記第二連結対象との間に介在した弾性部材を備え、前記第一部分と前記第二部分とは、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを、前記第一連結対象の対向部と前記第二連結対象の対向部とが対向する閉状態と、前記第一連結対象の前記対向部と前記第二連結対象の前記対向部との間が開放された開状態とに、前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転により変化可能に、連結し、前記弾性部材は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とが前記閉状態から前記開状態に変化する場合に抵抗となる弾性力を生じる。
【0009】
前記ヒンジ装置は、例えば、前記第一連結対象に設けられた第一ギヤと、前記第二連結対象に設けられ前記第一ギヤと噛み合う第二ギヤと、を有し、前記径方向への前記第一部分と前記第二部分との相対移動を制限するギヤ機構を備えている。
本発明の第三態様にかかるヒンジ装置は、例えば、第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、前記第一連結対象に設けられた第一ギヤと、前記第二連結対象に設けられ前記第一ギヤと噛み合う第二ギヤと、を有し、前記径方向への前記第一部分と前記第二部分との相対移動を制限するギヤ機構と、を備え、前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結していない。
【0010】
本発明の第四態様にかかるヒンジ装置は、例えば、第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、を備え、前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結しておらず、前記連結部は、軸方向が前記回転中心の前記軸方向に沿った軸部材と、前記軸部材と前記第一湾曲部および前記第二湾曲部との間に介在したエラストマと、を有している。
【0011】
前記ヒンジ装置では、例えば、前記第一部分には、貫通孔が設けられ、前記第一湾曲部および前記第二湾曲部は、互いに接続されて、前記貫通孔を囲む周面を構成している。
本発明の第五態様にかかるヒンジ装置は、例えば、第一連結対象に設けられ、回転中心の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部と、前記第一湾曲部の前記径方向の外側に前記第一湾曲部と間隔を空けて設けられ、前記第一湾曲部に沿った弧状に構成された第二湾曲部と、を有した第一部分と、第二連結対象に設けられ、前記第一湾曲部と前記第二湾曲部との間に位置し前記第一湾曲部および前記第二湾曲部と前記回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部を有し、前記回転中心を中心とした前記第一連結対象と前記第二連結対象との相対回転可能に、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを前記第一部分とによって連結した第二部分と、を備え、前記回転中心は、前記第一連結対象と前記第二連結対象とを連結しておらず、前記第一部分には、貫通孔が設けられ、前記第一湾曲部および前記第二湾曲部は、互いに接続されて、前記貫通孔を囲む周面を構成している。
前記ヒンジ装置では、例えば、前記第一部分は、長手方向が前記回転中心の周方向に沿い短手方向が前記回転中心の径方向に沿い前記回転中心の径方向の外側に凸の湾曲状に形成されたアーム部を有し、前記第一湾曲部および前記第二湾曲部は、前記アーム部に設けられている。
前記ヒンジ装置では、例えば、前記第一連結対象は、前記第二連結対象に対して開閉される開閉体である。
【0012】
本発明の第態様にかかる電子機器の筐体は、例えば、前記ヒンジ装置と、前記第一連結対象と、前記第二連結対象と、を備えている。
【0013】
前記電子機器の筐体では、例えば、前記第一連結対象には、当該第一連結対象が前記第二連結対象を覆った状態で前記第二連結対象に向けて開口する凹部が設けられ、前記第一部分は、前記凹部に入れられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、回転中心周囲の第一連結対象および第二連結対象の外観形状に対する制約を低減しやすいヒンジ装置およびこのヒンジ装置を備えた電子機器の筐体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第一実施形態の電子機器の例示的な斜視図である。
図2図2は、第一実施形態の電子機器の例示的な側面図である。
図3図3は、第一実施形態の電子機器の例示的な平面図である。
図4図4は、第一実施形態の電子機器の例示的な正面図である。
図5図5は、第一実施形態の電子機器の例示的な斜視図であって、扉が開位置に位置した状態の図である。
図6図6は、第一実施形態の電子機器の例示的な側面図であって、扉が開位置に位置した状態の図である。
図7図7は、第一実施形態の電子機器の例示的な平面図であって、扉が開位置に位置した状態の図である。
図8図8は、第一実施形態の電子機器の例示的な正面図であって、扉が開位置に位置した状態の図である。
図9図9は、第一実施形態の電子機器の例示的な分解斜視図である。
図10図10は、図5のX部の拡大図である。
図11図11は、図9のXI部の拡大図である。
図12図12は、図7のXII部の拡大図である。
図13図13は、図12のXIII-XIII断面図である。
図14図14は、第一実施形態の電子機器の一部の例示的な断面図であって、扉が閉位置に位置した状態の図である。
図15図15は、第一実施形態の電子機器の一部の例示的な断面図であって、扉が中間位置に位置した状態の図である。
図16図16は、第一実施形態の電子機器の一部の例示的な断面図であって、扉が開位置に位置した状態の図である。
図17図17は、第二実施形態の電子機器の例示的な斜視図であって、扉が閉位置に位置した状態の図である。
図18図18は、図17のXVIII部の拡大図である。
図19図19は、第三実施形態の電子機器の一部の例示的な斜視図であって、扉が閉位置に位置した状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0017】
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0018】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態の電子機器100の例示的な斜視図である。図2は、第一実施形態の電子機器100の例示的な側面図である。図3は、第一実施形態の電子機器100の例示的な平面図である。図4は、第一実施形態の電子機器100の例示的な正面図である。
【0019】
図1図4に示されるように、電子機器100は、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータとして構成され、筐体1と、筐体1内に収容された電子部品(不図示)と、筐体1に取り付けられたスタンド10と、を備えている。筐体1は、スタンド10を介して、机や台、棚等の設置面に縦置きの状態に置かれる。なお、電子機器100は、上記例には限定されず、例えば、ノートブック型のパーソナルコンピュータや、スマートフォン、携帯電話、映像表示装置、テレビジョン受像機、ゲーム機等であってもよい。
【0020】
図5は、第一実施形態の電子機器100の例示的な斜視図であって、扉3が開位置に位置した状態の図である。図6は、第一実施形態の電子機器100の例示的な側面図であって、扉3が開位置に位置した状態の図である。図7は、第一実施形態の電子機器100の例示的な平面図であって、扉3が開位置に位置した状態の図である。図8は、第一実施形態の電子機器100の例示的な正面図であって、扉3が開位置に位置した状態の図である。図9は、第一実施形態の電子機器100の例示的な分解斜視図である。
【0021】
図1図9に示されるように、筐体1は、ベース2と、扉3と、ベース2に対して扉3を開閉可能に連結したヒンジ装置4と、を備えている。ベース2は、第二連結対象の一例であり、扉3は、第一連結対象および開閉体の一例である。扉3は、カバーとも称される。なお、開閉体は、蓋等であってもよい。
【0022】
以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X1方向は、ベース2の奥行方向(前後方向、長手方向)に沿う。Y1方向は、ベース2の幅方向(左右方向、短手方向)に沿う。Z1方向は、ベース2の高さ方向(上下方向)に沿う。
【0023】
ベース2は、例えば、Y1方向に扁平な直方体状の箱型に構成されている。ベース2は、底壁2aや、天壁2b、前壁2c、左壁2d、後壁2e、右壁2f等の複数の壁を有している。底壁2aは、下壁とも称され、天壁2bは、上壁とも称される。また、前壁2c、左壁2d、後壁2e、および右壁2fは、側壁や、周壁等とも称される。
【0024】
底壁2aおよび天壁2bは、いずれも、Z1方向と直交する方向(X1−Y1平面)に沿って延びており、Z1方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。底壁2aは、ベース2の下端部を構成し、天壁2bは、ベース2の上端部を構成している。底壁2aには、スタンド10が固定されている。
【0025】
前壁2cおよび後壁2eは、いずれも、X1方向と直交する方向(Y1−Z1平面)に沿って延びており、X1方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁2cは、底壁2aおよび天壁2bのX1方向の端部の間に亘り、後壁2eは、底壁2aおよび天壁2bのX1方向の反対方向の端部の間に亘っている。前壁2cは、ベース2の前端部を構成し、後壁2eは、ベース2の後端部を構成している。前壁2cには、光学ドライブ11や、電源ボタン12、コネクタ13等が設けられている。後壁2eには、カバー14が着脱可能に取り付けられている(図5)。なお、図1等では、カバー14の図示が省略されている。
【0026】
左壁2dおよび右壁2fは、いずれも、Y1方向と直交する方向(X1−Z1平面)に沿って延びており、Y1方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。左壁2dは、底壁2aおよび天壁2bのY1方向の端部の間に亘り、右壁2fは、底壁2aおよび天壁2bのY1方向の反対方向の端部の間に亘っている。左壁2dは、ベース2の左端部を構成し、右壁2fは、ベース2の右端部を構成している。
【0027】
図1図9に示されるように、扉3は、壁3aと、突出部3bと、を有している。扉3は、ベース2の前壁2cにおける右端部に、ヒンジ装置4によって連結されている。具体的には、扉3は、Z方向に延びる回転中心Ax1(図5)を中心として、ベース2の前壁2cの前面2gを覆う閉位置(図1図4)と、ベース2の前面2gを開放する開位置(図5図8)との間で回転可能に、ヒンジ装置4によってベース2の前壁2cに連結されている。回転中心Ax1は、筐体1の外側に位置する。扉3は、閉位置では、不図示の磁石の磁力によって位置が保持される。回転中心Ax1は、中心軸または回転軸とも称される。
【0028】
壁3aは、閉位置(図1図4)において、X1方向と直交する方向(Y1−Z1平面)に沿って延びており、ベース2の前壁2cの前方に位置する。壁3aは、前面3cと、前面3cの反対側の後面3dと、を有している。扉3が閉位置(図1図4)に位置した場合には、後面3dは、ベース2における前壁2cの前面2gと対向する。後面3dは、扉3の対向部の一例であり、ベース2における前壁2cの前面2gは、ベース2の対向部の一例である。
【0029】
突出部3bは、壁3aの後面3dの周縁部に沿った筒状に形成され、後面3dの周縁部から前面3cとは反対側に突出している。扉3が閉位置(図1図4)に位置した場合には、突出部3bの先端部は、ベース2における前壁2cの前面2gと対向する。突出部3bは、扉3の対向部の一例である。
【0030】
また、図5および図6に示されるように、扉3には、凹部3eが設けられている。凹部3eは、突出部3bと後面3dとによって囲まれており、突出部3bの先端部に開口し突出部3bの先端部から後面3dに向かって凹んでいる。凹部3eは、扉3が閉位置に位置した状態では、凹部3eは、ベース2における前壁2cの前面2gと対向する。すなわち、凹部3eは、扉3がベース2を覆った状態では、ベース2に向けて開口する。
【0031】
図5および図9に示されるように、ヒンジ装置4は、二つのヒンジ機構20を有している。二つのヒンジ機構20は、互いに間隔を空けてZ方向に並べられている。二つのヒンジ機構20は、当該二つのヒンジ機構20の中間を通りZ1方向と直交する平面に関して対称に構成されている。
【0032】
図10は、図5のX部の拡大図である。図11は、図9のXI部の拡大図である。図12は、図7のXII部の拡大図である。図13は、図12のXIII-XIII断面図である。
【0033】
図10図13に示されるように、ヒンジ機構20は、扉3に設けられた第一部分21と、ベース2に設けられた第二部分22と、扉3とベース2とに亘って設けられたギヤ機構23と、を有している。
【0034】
図11および図12に示されるように、第一部分21は、摺動部材24を有している。摺動部材24は、ベース24aと、二つのアーム部24bと、を有している。摺動部材24は、金属材料や合成樹脂材料等によって構成されている。
【0035】
ベース24aは、扉3の凹部3eに入れられて、扉3における壁3aの後面3dにネジ等の結合具25によって固定されている。
【0036】
二つのアーム部24bは、互いに間隔を空けてZ方向に並べられている。アーム部24bは、ベース24aから後面3dとは反対側、すなわち筐体1のベース2側に突出している。アーム部24bは、回転中心Ax1の径方向の外側に凸の湾曲状に形成されている(図12)。換言すると、アーム部24bは、回転中心Ax1の軸方向と直交し回転中心Ax1から離れる方向に凸の湾曲状に形成されている。
【0037】
アーム部24bには、当該アーム部24bを回転中心Ax1の軸方向(Z方向)に貫通した貫通孔24cが設けられている。貫通孔24cは、回転中心Ax1の径方向の外側に凸の湾曲状に形成されている。換言すると、貫通孔24cは、回転中心Ax1の軸方向と直交し回転中心Ax1から離れる方向に凸の湾曲状に形成されている。貫通孔24cは、回転中心Ax1の軸方向からの視線で、すなわち回転中心Ax1の軸方向からみた場合に、長手方向が回転中心Ax1の周方向に沿い、短手方向が回転中心Ax1の径方向に沿う長孔である。貫通孔24cは、開口部とも称される。
【0038】
アーム部24bは、それぞれが貫通孔24cに面した第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eを有している。
【0039】
第一湾曲部24dは、貫通孔24cに対して回転中心Ax1の径方向の内側に位置している。第一湾曲部24dは、回転中心Ax1の軸方向からの視線で、すなわち回転中心Ax1の軸方向からみた場合に、回転中心Ax1の径方向の外側に凸の弧状(一例として円弧)に構成されている。具体的には、第一湾曲部24dは、湾曲面である。
【0040】
第二湾曲部24eは、貫通孔24cに対して回転中心Ax1の径方向の外側に位置している。第二湾曲部24eは、第一湾曲部24dに対して回転中心Ax1の径方向の外側に第一湾曲部24dと間隔を空けて設けられている。第二湾曲部24eは、回転中心Ax1の軸方向からの視線で、すなわち回転中心Ax1の軸方向からみた場合に、第一湾曲部24dに沿った弧状(一例として円弧)に構成されている。具体的には、第二湾曲部24eは、湾曲面である。
【0041】
第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eは、互いに接続されて、貫通孔24cを囲む周面を構成している。
【0042】
また、アーム部24bにおける回転中心Ax1の径方向の外側の部分には、第一ギヤ24fが設けられている。第一ギヤ24fは、第一湾曲部24dに沿って湾曲した弧状のラックである。
【0043】
図10図13に示されるように、第二部分22は、固定部材27と、連結部28と、を有している。
【0044】
固定部材27は、筐体1のベース2における前壁2cの前面2gに固定され、前面2gから前方(X1方向)に突出している。固定部材27は、金属材料や合成樹脂材料等によって構成されている。固定部材27の上面および下面には、凸状の受部27bが設けられている。受部27bは、回転中心Ax1の径方向の外側に凸の湾曲状に形成されている(図12)。換言すると、受部27bは、回転中心Ax1の軸方向と直交し回転中心Ax1から離れる方向に凸の湾曲状に形成されている。受部27bは、摺動部材24のアーム部24bを受ける。
【0045】
連結部28は、摺動部材24における第一湾曲部24dと第二湾曲部24eとの間に位置し、第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eと回転中心Ax1回りに相対的に摺動可能である。詳細には、連結部28は、二つの軸部材29を有している。二つの軸部材29は、回転中心Ax1回りに並べられ軸方向が回転中心Ax1の軸方向に沿った状態で、固定部材27に支持されている。図13に示されるように、軸部材29は、固定部材27を回転中心Ax1の軸方向に貫通した貫通孔27aに入れられた状態で、抜止具30によって、固定部材27(貫通孔27a)からの抜け止めがされている。なお、図13には、貫通孔27aが一つだけ示されているが、貫通孔27aは、各軸部材29ごとに設けられている。すなわち、貫通孔27aは、二つ設けられている。抜止具30は、例えばEリングであり、軸部材29に設けられた環状溝部に嵌められている。
【0046】
上記構成の第一部分21と第二部分22とは、回転中心Ax1を中心とした扉3とベース2との相対回転可能に、扉3とベース2とを連結している。詳細には、第一部分21と第二部分22とは、扉3とベース2とを、閉状態(図1図4)と開状態(図5図8)とに、扉3(第一連結対象)とベース2との相対回転により変化可能に、連結している。閉状態は、扉3の後面3dおよび突出部3bとベース2の前面2gとが対向する状態である。開状態は、扉3の後面3dおよび突出部3bとベース2の前面2gとの間が開放された状態である。本実施形態では、ベース2が設置部に設置されるため、扉3がベース2に対して回転する。
【0047】
図10に示されるように、ギヤ機構23は、第一ギヤ24fと、ダンパ31と、を有している。ダンパ31は、例えば、オイルダンパである。ダンパ31は、支持部32と、第二ギヤ33と、を有している。支持部32内にはオイルが充填されている。第二ギヤ33は、ピニオンであり、回転可能に支持部32に支持されるとともに、第一ギヤ24fと噛み合っている。第二ギヤ33の回転中心は、回転中心Ax1と平行である。ダンパ31では、第二ギヤ33の回転はオイルによる抵抗を受ける。すなわち、ダンパ31は、第二ギヤ33ひいては扉3の回転に対する抵抗力を発生する。詳細は、ダンパ31は、開状態から閉状態への扉3の回転と、閉状態から開状態への扉3の回転との両方で抵抗力を発生する。また、ギヤ機構23の第一ギヤ24fおよび第二ギヤ33は、回転中心Ax1の径方向への第一部分21と第二部分22との相対移動を制限する。ギヤ機構23は、抵抗機構や制限機構とも称される。
【0048】
図14は、第一実施形態の電子機器100の一部の例示的な断面図であって、扉3が閉位置に位置した状態の図である。図15は、第一実施形態の電子機器100の一部の例示的な断面図であって、扉3が中間位置に位置した状態の図である。図16は、第一実施形態の電子機器100の一部の例示的な断面図であって、扉3が開位置に位置した状態の図である。
【0049】
図14図16に示されるように、扉3が、閉位置(図14)から、閉位置と開位置との間の中間位置(図15)を経て、開位置(図16)に回転する場合、摺動部材24が連結部28に対して摺動する。このとき、連結部28は、扉3が摺動部材24の第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eに沿って移動するように、すなわち、扉3が回転中心Ax1を中心として回転するように、摺動部材24をガイドする。これにより、第一湾曲部24dの弧状に沿った方向に、扉3が回転する。また、このとき、ギヤ機構23の第一ギヤ24fおよび第二ギヤ33が、回転中心Ax1の径方向への第一部分21と第二部分22との相対移動を制限する。また、このとき、ギヤ機構23のダンパ31が、扉3の回転に対する抵抗力を生じる。
【0050】
また、図14に示されるように、扉3が閉位置に位置した状態では、第一部分21のアーム部24bにおける第一湾曲部24dの先端部を含む一部および第二湾曲部24eの先端部を含む一部が、ベース2における前壁2cに設けられた貫通孔2hから、ベース2内に入れられている。一方、図16に示されるように、扉3が開位置に位置した状態では、第一部分21のアーム部24bにおける第一湾曲部24dの全体および第二湾曲部24eの全体が、ベース2の外側に位置している。
【0051】
以上のように、本実施形態では、ヒンジ装置4は、扉3(第一連結対象)に設けられた第一部分21と、ベース2(第二連結対象)に設けられた第二部分22と、を備えている。第一部分21は、回転中心Ax1の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部24dと、第一湾曲部24dの径方向の外側に第一湾曲部24dと間隔を空けて設けられ、第一湾曲部24dに沿った弧状に構成された第二湾曲部24eと、を有している。第二部分22は、第一湾曲部24dと第二湾曲部24eとの間に位置し第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eと回転中心Ax1回りに相対的に摺動可能な連結部28を有し、回転中心Ax1を中心とした扉3とベース2との相対回転可能に、扉3とベース2とを第一部分21とによって連結している。よって、本実施形態によれば、回転中心Ax1に、扉3およびベース2を連結するための軸部材を設ける必要がないので、回転中心Ax1周囲の扉3およびベース2の外観形状に対する制約が低減されやすい。
【0052】
ここで、例えば、回転中心Ax1に扉3およびベース2を連結するための軸部材を設け、ベース2に当該軸部材に連結される凸部を設け、扉3に凸部が嵌められる凹部を設ける構成の場合には、凸部や凹部が必要であるため、外観形状に対する制約が大きい。これに対して、本実実施形態では、上記凸部や凹部を設ける必要がないので、扉3およびベース2の外観形状に対する制約が低減されやすい。
【0053】
また、本実施形態では、例えば、連結部28は、回転中心Ax1回りに並べられ軸方向が回転中心Ax1の軸方向に沿った複数の軸部材29を有している。よって、例えば、連結部28を中心とする連結部28と第一部分21との相対回転が抑制される。また、複数の軸部材29の間隔を調整することにより、アーム部24bの筐体1への入り込み量を調整することができる。よって、アーム部24bによる筐体1内の内部構造の配置への影響を抑制することができる。なお、本実施形態では、アーム部24bは、筐体1のうち前壁2cが設けられフロントベゼル内だけに入り込むように構成されている。フロントベゼルは、例えば加飾を目的とした部材である。
【0054】
また、本実施形態では、例えば、ギヤ機構23は、扉3に設けられた第一ギヤ24fと、ベース2に設けられ第一ギヤ24fと噛み合う第二ギヤ33と、を有し、回転中心Ax1の径方向への第一部分21と第二部分22との相対移動を制限する。よって、本実施形態によれば、回転中心Ax1を中心とした扉3とベース2との回転にガタツキが生じにくい。
【0055】
また、本実施形態では、例えば、扉3には、当該扉3がベース2を覆った状態でベース2に向けて開口する凹部3eが設けられ、ヒンジ装置4の第一部分21は、凹部3eに入れられている。よって、本実施形態では、例えば、第一部分21のうち凹部3eに入れられた部分が保護されやすい。
【0056】
また、本実施形態では、例えば、ダンパ31は、開状態から閉状態への扉3の回転と、閉状態から開状態への扉3の回転との両方で抵抗力を発生する。よって、本実施形態によれば、例えば、扉3の回転速度が速くなるのを抑制することができる。したがって、安全性が向上する。
【0057】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態を説明する。図17は、第二実施形態の電子機器100の例示的な斜視図であって、扉3が閉位置に位置した状態の図である。図18は、図17のXVIII部の拡大図である。
【0058】
本実施形態の電子機器100は、第一実施形態の電子機器100と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第一実施形態と同様の構成に基づく同様の結果(効果)が得られる。
【0059】
但し、本実施形態は、図17および図18に示されように、ヒンジ装置4が弾性部材40を備えている点等が、第一実施形態に対して異なる。弾性部材40は、各ヒンジ機構20に設けられ、扉3とベース2との間に介在している。
【0060】
図18に示されるように、弾性部材40は、例えば、ねじりコイルバネである。弾性部材40のコイル部には、ヒンジ機構20の第二部分22に設けられた軸部材41が入れられている。弾性部材40におけるベース2側の端部は、固定部材27ひいてはベース2に固定されている。一方、弾性部材40における扉3側の端部は、扉3に設けられた固定部3fに固定されている。弾性部材40は、扉3を開位置に向けて押している。したがって、弾性部材40は、扉3が閉じられる場合に抵抗となる弾性力を生じる。すなわち、弾性部材40は、扉3とベース2とが閉状態から開状態に変化する場合に、抵抗となる弾性力を生じる。
【0061】
以上のように、本実施形態では、例えば、ヒンジ機構20は、扉3とベース2との間に介在した弾性部材40を備えている。弾性部材40は、扉3とベース2とが閉状態から開状態に変化する場合に抵抗となる弾性力を生じる。よって、開状態から閉状態への扉3の回転において、回転速度が速くなるのを抑制することができる。よって、扉3がベース2に強い力で当たるのを抑制することができる。したがって、安全性が向上する。
【0062】
なお、本実施形態では、弾性部材40がねじりコイルバネの例が示されたが、これに限定されない。例えば、弾性部材40は、板バネ等であってもよい。
【0063】
<第三実施形態>
次に、第三実施形態を説明する。図19は、第三実施形態の電子機器100の一部の例示的な斜視図であって、扉3が閉位置に位置した状態の図である。
【0064】
本実施形態の電子機器100は、第一実施形態の電子機器100と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第一実施形態と同様の構成に基づく同様の結果(効果)が得られる。
【0065】
但し、本実施形態は、図19に示されように、ヒンジ装置4における第二部分22の連結部28がエラストマ50を備えている点等が、第一実施形態に対して異なる。
【0066】
エラストマ50は、軸部材29と、第一部分21における第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eとの間に介在している。具体的には、エラストマ50には、二つの軸部材29が入れられた二つの貫通孔50aが設けられている。なお、図19では、二つの貫通孔50aのうち一方だけが示されている。貫通孔50aは、回転中心Ax1の軸方向にエラストマ50を貫通している。エラストマ50の外周面には、第一湾曲部24dに沿い第一湾曲部24dと接触した湾曲部と、第二湾曲部24eに沿い第二湾曲部24eと接触した湾曲部と、が設けられている。エラストマ50は、例えば、第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eに挟まれて圧縮変形している。なお、エラストマ50は、圧縮変形していなくてもよい。
【0067】
エラストマ50は、扉3の回転に対する抵抗力を発生する。詳細は、ダンパ31は、開状態から閉状態への扉3の回転と、閉状態から開状態への扉3の回転との両方で抵抗力を発生する。抵抗力は、エラストマ50の外周面と、第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eとの間に発生する摩擦力である。また、エラストマ50は、回転中心Ax1の径方向への第一部分21と第二部分22との相対移動を制限する。
【0068】
以上のように、本実施形態では、例えば、連結部28は、軸方向が回転中心Ax1の軸方向に沿った軸部材29と、軸部材29と第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eとの間に介在したエラストマ50と、を有している。よって、本実施形態によれば、例えば、エラストマ50が、開状態から閉状態への扉3の回転と、閉状態から開状態への扉3の回転との両方で抵抗力を発生するので、扉3の回転速度が速くなるのを抑制することができる。したがって、安全性が向上する。また、エラストマ50が、回転中心Ax1の径方向への第一部分21と第二部分22との相対移動を制限するので、回転中心Ax1を中心とした扉3とベース2との回転にガタツキが生じにくい。
【0069】
なお、上記各実施形態では、ヒンジ装置4の第一部分21が扉3に設けられ、ヒンジ装置4の第二部分22がベース2に設けられた例が示されたが、これに限定されない。例えば、ヒンジ装置4の第一部分21がベース2に設けられ、ヒンジ装置4の第二部分22が扉3に設けられてもよい。この場合には、ベース2が第一連結対象の一例であり、扉3が第二連結対象の一例である。
【0070】
また、上記各実施形態では、第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eが円弧状の例が示されたが、これに限定されない。例えば、第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eは、楕円弧状等であってもよい。
【0071】
また、上記各実施形態では、軸部材29が二つ設けられた例が示されたが、これに限定されない。例えば、軸部材29は、一つや三つ以上であってもよい。
【0072】
また、上記か実施形態では、連結部28が軸部材29を含む例が示されたが、これに限定されない。例えば、連結部28は、第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eに沿った湾曲状の部材によって構成され、軸部材29を含まなくてもよい。
【0073】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…筐体、2…ベース(第二連結対象)、2g…前面(対向部)、3…扉(第一連結対象)、3b…突出部(対向部)、3d…後面(対向部)、4…ヒンジ装置、21…第一部分、22…第二部分、23…ギヤ機構、24b…アーム部、24c…貫通孔、24d…第一湾曲部、24e…第二湾曲部、24f…第一ギヤ、28…連結部、29…軸部材、33…第二ギヤ、40…弾性部材、50…エラストマ、100…電子機器、Ax1…回転中心。
【要約】
【課題】回転中心周囲の第一連結対象および第二連結対象の外観形状に対する制約が低減されやすいヒンジ装置を得る。
【解決手段】実施形態のヒンジ装置4は、第一連結対象3に設けられた第一部分21と、第二連結対象2に設けられた第二部分22と、を備えている。第一部分21は、回転中心Ax1の径方向の外側に凸の弧状に構成された第一湾曲部24dと、第一湾曲部24dに沿った弧状に構成された第二湾曲部24eと、を有している。第二部分22は、第一湾曲部24dと第二湾曲部24eとの間に位置し第一湾曲部24dおよび第二湾曲部24eと回転中心回りに相対的に摺動可能な連結部28を有し、回転中心Ax1を中心とした扉3とベース2との相対回転可能に、扉3とベース2とを第一部分21とによって連結している。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19