(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記各気流ガイドベーンは、上記各ガイドフィンの下端部が上記空気吹出通路の流出側開口部の開口面と同一平面、もしくは、上記開口面よりも通路内側に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の天井埋込型空気調和機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1および
図2に示すように、この天井埋込型空気調和機1は、天井スラブと天井パネルTとの間に形成された空間に収納される直方体形状のケーシング本体2と、ケーシング本体2の底面Bに取り付けられる化粧パネル3とを備えている。
【0014】
ケーシング本体2は、四角形状の天板21と、同天板21の各辺から下方に延在する4枚の側板22a〜22dとを有し、底面B(
図1では底面)が開放された箱形容器からなる。ケーシング本体2の内周面には、例えば発泡スチロールからなる断熱材23が設けられている。
【0015】
ケーシング本体2の各角部には、吊下金具4が合計4箇所に設けられており、天井から吊り下げられた図示しない吊下ボルトに吊下金具4を係止することで、天井埋込型空気調和機1が天井に吊下固定される。
【0016】
図2に示すように、ケーシング本体2の内部のほぼ中央には、送風機としてのターボファン24が配置されており、ターボファン24の外周には、ターボファン24を囲むように熱交換器25が例えば四角枠状に配置されている。
【0017】
図8を併せて参照して、ケーシング本体2は、4箇所の角部のうち1箇所の角部(この例では側板22aと側板22dとが突き合わさる角部)が外側から内側に向かって一段凹むように凹部が形成されており、その凹部に熱交換器25の冷媒配管25a,25bを外部に引き出すための配管引出部Pが設けられている。
【0018】
熱交換器25の下部側には、冷房運転時に熱交換器25で生成される結露水を受け止めるドレンパン6が設けられている。この実施形態において、ドレンパン6は、発泡スチロール樹脂製であり、露受け部66を有するドレンパン本体61と、熱交換器25を通過した調和空気を化粧パネル3の空気吹出口32に案内する空気吹出通路64とを備えている。ドレンパン本体61の熱交換器25側には、樹脂製のドレンシート62が配置されている。
【0019】
ドレンパン6は平面視で四角枠状に形成されており、その四角枠内が化粧パネル3の空気吸込口31に連通する空気吸込通路63となっている。空気吸込通路63内には、空気吸込口31から吸い込まれた空気をターボファン24の吸込側へ案内するベルマウス27が設けられている。
【0020】
図7を併せて参照して、ベルマウス27の空気吸込口31側には、電装品箱28が設けられている。この実施形態において、電装品箱28は、配管引出部Pに近い角部側にL字状に配置されている。
【0021】
この実施形態において、空気吹出通路64は、ケーシング本体2内で化粧パネル3の空気吹出口32に対応して4箇所に設けられているが、その基本的な構成はほぼ同じであるため、その一つについて
図7,
図8により説明する。
【0022】
空気吹出通路64は、平行に形成されるケーシング本体2の各側板22a〜22dに沿って平行で、かつ、所定の間隔もって対向配置された一対の長辺壁64a,64bと、長辺壁64a,64bの端部間に形成された一対の短辺壁64c、64dとによって囲まれる直方体状であって、ケーシング本体2の上下方向(
図8では紙面に対して垂直方向)に貫通している。この実施形態において、空気吹出通路64は、ドレンパン6に一体に形成されている。
【0023】
この空気吹出通路64の流出側の開口部64Bが、化粧パネル3の各空気吹出口32に連通している。再び
図1〜
図3を参照して、化粧パネル3は、四角形状の扁平な枠体であって、ケーシング本体2の底面にネジ止めされている。
【0024】
化粧パネル3には、中央に四角形状に開口された空気吸込口31を有し、その空気吸込口31の四辺に沿って長方形状の空気吹出口32が4箇所に配置されている。空気吸込口31には、吸込グリル5が着脱自在に設けられている。
【0025】
吸込グリル5は、多数の吸込孔51を有する合成樹脂の成形品からなり、その背面には除塵フィルタ52が保持されている。この実施形態において、吸込グリル5は、発泡スチロール製の断熱部材38が取り付けられた吸込グリル枠37を介して化粧パネル3に取り付けられている。
【0026】
化粧パネル3に設けられている空気吹出口32は、化粧パネル3を上下方向に貫通しており、底面視が長方形状に開口されている。各空気吹出口32は、空気吸込口31の四辺を囲むように仮想四角形Q(
図5に示す2点鎖線)の各辺に沿って平行に配置されている。
【0027】
各空気吹出口32の端部同士が互いに向き合うコーナー部36には、隣接する空気吹出口32から吹き出された空気を、化粧パネル3のコーナー部36へと導く導風通路34が4箇所に設けられている。導風通路34は、化粧パネル3の表面(底面)から内側に向かって一段凹まされた凹溝であり、一方の空気吹出口32の長手方向の軸線と、他方の空気吹出通路32の長手方向の軸線とが互いに直交するL字状に形成されている。
【0028】
各空気吹出口32には、風向板33が回動可能に配置されている。
図4(a)〜(e)に示すように、各風向板33は、空気吹出口32の形状に合わせて直線状に形成された直線部331と、直線部331の両端に一体的に形成され、導風通路34を覆う傾斜部332,332とを備えている。
【0029】
直線部331は、表面側(
図4(e)では上面側)が緩やかに湾曲した凸曲面であり、裏面側(
図4(e)では下面)が、表面に合わせて緩やかに湾曲した凹曲面となるように形成されている。
【0030】
傾斜部332は、直線部331と同じく、表面側が凸曲面で、裏面側が凹曲面の湾曲面であって、裏面側の凹曲面は、傾斜部332の先端332aに向かって空気が案内されるようになっている。
【0031】
風向板33の裏面には、風向板33を回動するための回転軸333が設けられている。この実施形態において、回転軸333は、直線部331の左右両端および中央の3箇所に設けられており、風向板33を水平回転するために同一軸線上に設けられている。
【0032】
3箇所の回転軸333のうち2箇所は、化粧パネル3に設けられた図示しない軸受部によって係止される。残る1つの回転軸333(この例では回転軸333M)は、後述するステッピングモータ35の回転駆動軸に接続される。
【0033】
各導風通路34には、各風向板33を回動するステッピングモータ35が設けられている。この実施形態において、ステッピングモータ35は、1枚の風向板33に対応して1箇所(合計4箇所)に設けられており、この実施形態では、空気吹出口33の一方の短辺側(空気吹出通路64の短側壁64c側)に隣接して設けられている。
【0034】
これによれば、
図1に示すように、運転停止時において各風向板33は、空気吹出口32に沿って水平となるように回動し、空気吹出口32を覆い隠す。その際、隣接する風向板33の傾斜部332同士が互いに突き合わせられることにより、各導風通路34も一緒に覆い隠される。
【0035】
また、運転時においては、
図5に示すように、各風向板33が運転状況に応じて回動し、空気吹出口32が化粧パネル3の底面に現れる。各空気吹出口32から吹き出された空気の多くは、風向板33の直線部331の表面に沿って案内され、所定の吹出角度で四辺方向から室内に向けて吹き出される。
【0036】
また、空気吹出口32の両側から吹き出された空気の一部は、
図6に示すように、傾斜部332の内周面に沿って先端部332aに案内され、化粧パネル3の四隅のコーナー部36から室内に向けて吹き出される。
【0037】
このようにして、
図5に示すように、化粧パネル3の各辺からの四方向に加え、4箇所のコーナー部36を含めた全方向(全8方向)に向かって調和空気が吹き出される。
【0038】
本発明では、風向板33の傾斜部332に向かう風量を増やして、各コーナー部36から吹き出す空気量を増やすため、空気吹出通路64の内部に、空気
吹出通路64を流れる空気の一部を強制的に空気吹出口62の側方(風向板33の傾斜部332側)に向けて吹き出すための気流ガイドベーン7が設けられている。各気流ガイドベーン7は合成樹脂製であって、その表面には結露防止用の植毛処理が施されていることが好ましい。
【0039】
この実施形態において、気流ガイドベーン7は、空気吹出口64の一方の短辺壁64c寄りに配置された
図12に示す第1気流ガイドベーン7aと、他方の短辺壁64d寄りに配置された
図13に示す第2気流ガイドベーン7bとの2つを備えている。
【0040】
なお、説明の便宜上、
図12(c)(
図13(c))の上流側(空気吹出通路64の流入側)を基端部側、
図12(c)(
図13(c))の下端側(空気吹出通路64の流出側)を先端部側、
図12(c)(
図13(c))の左右方向を幅方向として説明する。また、
図12(c)において、空気の流れる方向は上から下に向かう方向である。
【0041】
図12に示すように、第1気流ガイドベーン7aは、空気吸込通路64のケーシング本体2側の長辺壁64aに沿って平行に配置されるベース板71aと、ベース板71aの表面から垂直に立設する3枚のガイドフィン72a,73a,74aとを備えている。
【0042】
ベース板71aは、空気吸込通路64の長辺壁64aに沿って裏面が平行に当接する平板であって、幅方向の両端が、第1ガイドフィン72aおよび第3ガイドフィン74aの形状に合わせて所定の曲率の円弧状に形成されている。
【0043】
第1ガイドフィン72aは、ベース板71aの幅方向の一端(
図12(c)では左端)から垂直に立設され、第2ガイドフィン73aは、ベース板71aの幅方向のほぼ中央から垂直に立設され、第3ガイドフィン74aは、ベース板71aの幅方向の他端(
図12(c)では右端)から垂直に立設され、それらが所定間隔をもって互いに平行に配置されている。
【0044】
ベース板71aの上端には、第1気流ガイドベーン7aを空気吹出通路64のネジ止め部66に固定するための係止片75aが設けられている。係止片75aは、ベース板71aの裏面上端(
図12(b)では紙面手前側の上端)からベース板71aに対して直角に立設され、ベース板71aの幅方向の両端に延在する等幅の舌片である。
【0045】
係止片75aの中央部には、厚さ方向に一段低く形成された凹部751が設けられており、凹部751にネジ止め用のネジ止め孔752が穿設されている。係止片75aの両側部には、ネジ止め部66の係止凹部662(
図14(a)参照)に係合される係止爪753,753が設けられている。
【0046】
次に、第1〜第3ガイドフィン72a,73a,74aは、気流の流れ方向と平行な平板状に形成された基端部721a,731a,741aと、同基端部721a,731a,741aの各下端から下流側に向かって所定曲率をもって同方向に円弧状に傾斜された先端部722a,732a,742aとが設けられている。この実施形態において、第1〜第3ガイドフィン72a,73a,74aの各先端部722a,732a,742aは、仮想水平面Hに対する傾斜角θ1が60°の左斜め下に延びる、空気の流れ方向に対して浅い傾斜角を有する円弧面である。この実施形態において、仮想水平面Hは、空気吹出通路64の空気の流れ方向に対して直交する面である。
【0047】
第1〜第3ガイドフィン72a,73a,74aは、それぞれ等間隔で配置されており、第1ガイドフィン72aと第2ガイドフィン73aとの間、第2ガイドフィン73aと第3ガイドフィン74aとの間に、それぞれ空気案内路V1が形成される。
【0048】
各基端部721a,731a,741aは、ベース板71aの上端から長さL1a(
図12(d)では上下方向)で形成されており、その間の幅W1aは、空気吹出口64の通路幅W(
図9参照)とほぼ等幅である。先端部722a,732a,742aは、基端部721a,731a,741aの下端から先端に至る長さL2aで、その間の幅W2aは、先端に向かうにつれて漸次幅が狭くなるように形成されている。この実施形態において、基端部721a,731a,741aの長さL1aは、空気吹出通路64の流入側の開放面F1から流出側の開口面F2に至る通路長Lの1/3に相当する。
【0049】
これによれば、第1〜第3ガイドフィン72a,73a,74aは、長さL1aの基端部721a,731a,741aでは、長辺壁64aと対向する長辺壁64bとの間に隙間がほぼなく、そこから先端部722a,732a,742aの長さL2aの間で隙間が漸次大きくなる。したがって、空気案内路V1に導かれた空気は、まず、第1〜第3ガイドフィン72a,73a,74aの側面に沿って強制的に左斜め下方向に沿って案内され、流出側に向かうにつれてその隙間が大きくなることで、流出側で1つに纏まって周囲の空気を巻き込んで斜めに吹き出すようになっている。
【0050】
次に、
図13(a)〜(d)に示すように、第2気流ガイドベーン7bは、上述した第1気流ガイドベーン7aとほぼ同じ形態であって、空気吸込通路64のケーシング本体21側の長辺壁64aに沿って平行に配置されるベース板71bと、ベース板71bの表面からから垂直に立設する3枚のガイドフィン72b,73b,74bとを備えている。
【0051】
ベース板71bは、空気吸込通路64の長辺壁64aに沿って裏面が平行に当接する平板であって、幅方向の両端が、第1ガイドフィン72bおよび第3ガイドフィン74bの形状に合わせて所定の曲率の円弧状に形成されている。
【0052】
第1ガイドフィン72bは、ベース板71bの幅方向の一端(
図13(c)では右端)から垂直に立設され、第2ガイドフィン73bは、ベース板71bの幅方向のほぼ中央から垂直に立設され、第3ガイドフィン74bは、ベース板71bの幅方向の他端(
図13(c)では左端)から垂直に立設され、それらが所定間隔をもって互いに平行に配置されている。
【0053】
ベース板71bの上端には、第2気流ガイドベーン7bを空気吹出通路64のネジ止め部66に固定するための係止片75bが設けられている。係止片75bは、ベース板71bの裏面上端(
図13(b)では紙面手前側の上端)からベース板71bに対して直角に立設され、ベース板71bの幅方向の両端に延在する等幅の舌片である。
【0054】
係止片75bの中央部には、厚さ方向に一段低く形成された凹部751が設けられており、凹部751にネジ止め用のネジ止め孔752が穿設されている。係止片75bの両側部には、ネジ止め部66の係止凹部662(
図14(a)参照)に係合される係止爪753,753が設けられている。
【0055】
次に、
図13(c)を併せて参照して、第1〜第3ガイドフィン72b,73b,74bは、気流の流れ方向と平行な平板状に形成された基端部721b,731b,741bと、同基端部721b,731b,741bの各下端から下流側に向かって所定曲率をもって同方向に円弧状に傾斜された先端部722b,732b,742bとが設けられている。この実施形態において、第1〜第3ガイドフィン72b,73b,74bの各先端部722b,732b,742bは、仮想水平面Hに対する傾斜角θ2が30°の右斜め下に延びる、空気の流れ方向に対して深い傾斜角を有する円弧面である。
【0056】
第1〜第3ガイドフィン72b,73b,74bは、等間隔で配置されており、第1ガイドフィン72bと第2ガイドフィン73bとの間、第2ガイドフィン73bと第3ガイドフィン74bの間に、それぞれ空気案内路V2が形成される。
【0057】
各基端部721b,731b,741bは、ベース板71bの上端から長さL1b(
図13(d)では上下方向)で形成されており、その間の幅W1bは、空気吹出口64の通路幅W(
図9参照)とほぼ等幅である。先端部722b,732b,742bは、基端部721b,731b,741bの下端から先端に至る長さL2bで、その間の幅W2bは、先端に向かうにつれて漸次幅が狭くなるように形成されている。この実施形態において、基端部721b,731b,741bの長さL1bは、空気吹出通路64の流入側の開放面F1から流出側の開口面F2に至る通路長Lの1/3に相当する。
【0058】
これによれば、第1〜第3ガイドフィン72b,73b,74bは、長さL1bの基端部721b,731b,741bでは、長辺壁64aと対向する長辺壁64bとの間に隙間がほぼなく、そこから先端部722b,732b,742bの長さL2bの間で隙間が漸次大きくなる。したがって、空気案内路V2に導かれた空気は、まず、第1〜第3ガイドフィン72b,73b,74bの側面に沿って強制的に右斜め下方向に沿って案内され、流出側に向かうにつれてその隙間が大きくなることで、流出側で1つに纏まって周囲の空気を巻き込んで斜めに吹き出すようになっている。
【0059】
この実施形態において、各気流ガイドベーン7(7a,7b)は、各ガイドフィン72a,73a,74a(72b,73b,74b)が3枚設けられているが、少なくとも3枚以上、より好ましくは、3,4枚が好ましい。すなわち、ガイドフィンの数を2枚にすると、空気流を曲げる効果が得られにくい。
【0060】
図10を参照して、各気流ガイドベーン7(7a,7b)は、各ガイドフィン72a,73a,74a(72b,73b,74b)の先端部722a,732a,742a(722b,732b,742b)の先端(
図10では下端)が、空気吹出通路64の流出側開口部64Bの開口面F2よりも内側に位置するように設けられている。これによれば、ガイドフィン72a,73a,74a(72b,73b,74b)の下端を空気吹出通路64の開口面F2よりも内側に配置することにより、美観が損なわれることなく、またガイドフィンが底面B側の流出側の開口部64Bから飛び出ることがないため梱包もしやすい。
【0061】
図8および
図9に示すように、傾斜角の異なる2種類の気流ガイドベーン7a,7bのうち、第1気流ガイドベーン7aは、一方の短辺壁64cから所定の間隔をもって配置されており、短辺壁64aと第1ガイドフィン72aとの間には空気案内路V3が形成されている。
【0062】
他方の第2気流ガイドベーン7bは、他方の短辺壁64dから所定の間隔をもって配置されており、短辺壁64dと第1ガイドフィン72bとの間には、空気案内路V4が形成されている。また、第1気流ガイドベーン7aと第2気流ガイドベーン7bとの間には、空気吹出口32に空気を吹き出す中央空気案内通路V5が形成される。
【0063】
これによれば、
図10に示すように、第1気流ガイドベーン7aに導かれた空気は、空気案内路V1を通って左側に強制的に曲げられ、左斜め下に向けて吹き出される。その際、左側方に位置する空気通路V3を下降してきた空気流を一緒に巻き込むことにより、空気吹出口32から左側方の導風通路34に向けて空気を吹き出す。
【0064】
化粧パネル3の空気吹出口32の左側(短辺壁64c側)には、上述したステッピングモータ35が導風通路34をほぼ塞ぐよう配置されている。そこで、第1気流ガイドベーン7aは、ステッピングモータ35を避けつつ、流速の早い風を吹き出すために角度が浅いガイドフィン72a〜74aが用いられており、流速の早い風を風向板33に向けて吹き当てることにより、風向板33とステッピングモータ35との間に形成された狭い空間に空気を送り込んで、コーナー部36に空気を送るようになっている。また、ステッピングモータ35を避けるようにして空気が短辺壁64c側の側方に吹き出されるため、冷房運転時において、ステッピングモータ35に冷気が当たって結露が生じることも同時に防止することができる。
【0065】
他方、第2気流ガイドベーン7bに導かれた空気は、空気案内路V2を通って右側に強制的に曲げられ、右斜め下に向けて吹き出される。その際、右側方に位置する空気通路V4を下降してきた空気流を一緒に巻き込むことにより、空気吹出口32から右側方に向けて空気を吹き出す。
【0066】
これによれば、第2気流ガイドベーン7bの角度が深いガイドフィン72b〜74bを空気が通過することにより、空気流の流速は若干低下するものの、導風通路34に向かって流れ込む風量を確実に確保することができ、コーナー部36からの安定した吹き出しを行うことが出来る。
【0067】
すなわち、
図5に示すように、4辺を囲むように配置された4箇所の空気吹出通路64の端部同士が向き合うコーナー部36には、隣接する一方の空気吹出通路64の第1気流ガイドベーン7aからの角度の浅い空気流と、隣接する他方の空気吹出通路64の第2気流ガイドベーン7bからの角度の深い空気流とが合流して、コーナー部36から室内に向けて吹き出される。
【0068】
また、各気流ガイドベーン7a,7bの配置のより好ましい態様としては、一方の短辺壁64cから第1気流ガイドベーン7aの最外ガイドフィン(第3ガイドフィン74a)までの距離をA,他方の短辺壁64dから第2気流ガイドベーン7bの最外ガイドフィン(第3ガイドフィン74b)までの距離をB,空気吹出通路64の長辺壁64aの長さをCとしたとき、
第1気流ガイドベーン7aおよび第2気流ガイドベーン7bは、
(A+B)/C<0.5
を満足する位置に設けられている。
【0069】
すなわち、(A+B)/C≧0.5になると、空気吹出通路64の開口長さCに対して第1気流ガイドベーン7aと第2気流ガイドベーン7bとの間に形成される中央空気案内通路V5の長さが1/2以下となり、中央空気案内通路V5を流れる空気の風速が落ち、全方向への効率的な吹き出しができない。
【0070】
図11に示すように、各気流ガイドベーン7a,7bは、空気吹出通路64の流入側の開口部64Aの縁にネジ止めされるようになっており、空気吹出通路64の流入側の開口部64A(
図6の上面側)のドレンシート62には、各気流ガイドベーン7をネジ止めするためのネジ止め部66が設けられている。
【0071】
図14(a)に示すように、ネジ止め部66は、ドレンシート62のドレンシート材を用いて、厚さ方向に一段低く凹ませて成形された凹部であって、空気吹出通路64の長辺壁64a側の流入側の開口部64Aに所定の間隔をもって2箇所に設けられている。
【0072】
各ネジ止め部66はともに同一形状の凹部であって、その中央には、ネジ止め孔661が形成されている。ネジ止め部66の底壁と両側壁との隅部には、気流ガイドベーン7に設けられた係止爪753,753が係止される係止凹部662,662が設けられている。
【0073】
この実施形態において、ネジ止め部66は、各気流ガイドベーン7a,7bを取り付けても十分な機械的強度を得るため、樹脂製のドレンシート62の一部に形成されており、特にネジ止め孔661の周辺は、ドレンパン本体61側に向かって柱状に張り出すように形成されている。
【0074】
次に、
図14(b)を参照して、気流ガイドベーン7を空気吹出通路64へ取り付ける方法の一例を説明するが、気流ガイドベーン7(7a、7b)の取付方法は共通であるため、第1気流ガイドベーン7aのみを例示する。
【0075】
まず、係止片75aの一方の係止爪753を一方の係止凹部662に係止させた状態で、他方の係止爪753を係止凹部662に押し込むことで、係止凹部662内に係止片75aが仮止めされる。
【0076】
次に、第1気流ガイドベーン7aの係止片75aのネジ止め孔752にネジSを差し込み、ネジ止め部66のネジ止め孔661とともにネジ止めする。これにより、第1気流ガイドベーン7aの上端面とドレンパン6の上端面とが同一平面となり、その表面にシール材67を貼り合わせることで、空気吹出通路64に気流ガイドベーン7aが一体化される。これによれば、第1気流ガイドベーン7aの上端面とドレンパン6の上端面とが同一平面であるため、表面にシール材67を貼りつけやすく、シール材7の密着性も高まる。
【0077】
また、この実施形態では、空気吹出通路64への空気の流入量の低下を防止するため、
図11に示すように、空気吹出通路64の流入側の開口部64A(
図11の上面側)には、空気吹出通路64の機械的強度を補うための支柱65が設けられている。
【0078】
支柱65は、少なくともその一部分が空気吹出通路64の流入側の開口面F1より上方に突出するように対向する長辺壁64a,64bのほぼ中央部間に掛け渡されている。このようにすれば、空気吹出通路64の機械的強度を補うだけでなく、空気吹出通路64を流れる空気の妨げにならないため、空気吹出口32から吹き出される風量の低下を抑えることができる。
【0079】
この実施形態において、気流ガイドベーン7は、一方の短辺壁64c側に第1気流ガイドベーン7aが配置され,他方の短辺壁64d側に第2気流ガイドベーン7bが配置され、各空気吹出口32の端部同士が隣接するコーナー部36に2方向から空気流を集めているが、気流ガイドベーン7は少なくとも一方、より好ましくは第2気流ガイドベーン7bのみが設けられていればよい。これによれば、導風通路34に向けて直接空気を送り込む事が可能な第2気流ガイドベーン7bのみでコーナー部36に風を送るだけでも必要十分な吹出量が得られる。
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、第1気流ガイドベーンと第2気流ガイドベーンとの間に形成される中央空気案内通路の長さが、空気吹出通路の長辺壁の長さCの1/2以上となるため、中央空気案内通路を流れる空気の風速が落ちることなく、まんべんなく全方向への効率的な吹き出しができる。