特許第6659997号(P6659997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659997
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】ステアリングハンドル
(51)【国際特許分類】
   B62D 15/02 20060101AFI20200220BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20200220BHJP
   B62D 1/06 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   B62D15/02
   B60R16/02 640K
   B62D1/06
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-189210(P2015-189210)
(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-65277(P2017-65277A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】豊留 慎梧
(72)【発明者】
【氏名】八幡 忠孝
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−137557(JP,A)
【文献】 特表2011−525164(JP,A)
【文献】 特開2001−106115(JP,A)
【文献】 特開2014−004984(JP,A)
【文献】 特表2006−521954(JP,A)
【文献】 特開2008−168845(JP,A)
【文献】 特開2007−216790(JP,A)
【文献】 特開2006−142982(JP,A)
【文献】 特開2013−003621(JP,A)
【文献】 米国特許第09159221(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00 − 1/28
B60R 16/00 − 17/02
B60R 25/00 − 99/00
B62D 6/00 − 6/10
B62D 9/00 − 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵輪の操舵を行うためにドライバが把持する把持部と、
前記把持部の前記ドライバ側の面に設けられた表示部と、
発進時に、前記操舵輪の現在の車輪操舵角の方向を前記表示部に表示すると共に、前記車両に設けられた撮影手段による画像の画像処理により前記車両の周囲の障害物との衝突を回避する目標車輪操舵角の範囲を算出し、算出した前記目標車輪操舵角の範囲を前記表示部に表示する表示制御部とを有し、
前記表示制御部は、前記現在の車輪操舵角が前記目標車輪操舵角の範囲と重なっていない場合には、前記現在の車輪操舵角の表示部分に警告を表示する
ことを特徴とするステアリングハンドル
【請求項2】
請求項に記載のステアリングハンドルであって
前記表示制御部は、前記現在の車輪操舵角が前記目標車輪操舵角の範囲と重なっていない場合には、前記現在の車輪操舵角の表示部分の色、形及び点灯パターンのうちの少なくとも1つを用いて警告を表示する
ことを特徴とするステアリングハンドル。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載のステアリングハンドルであって
前記表示制御部は、前記把持部の操舵により前記現在の車輪操舵角が前記目標車輪操舵角の範囲と重なった場合には、重なった位置において、色、形及び点灯パターンのうちの少なくとも1つを重なっていない場合の表示から異なるものへ変更する
ことを特徴とするステアリングハンドル。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1つに記載のステアリングハンドルであって
前記表示制御部は、前記現在の車輪操舵角から前記目標車輪操舵角への操舵方向を表示する
ことを特徴とするステアリングハンドル。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか1つに記載のステアリングハンドルであって
前記表示制御部は、前記車両が当初の駐車領域から外へ出るまで、前記現在の車輪操舵角の方向及び前記目標車輪操舵角の範囲を前記表示部に表示し続ける
ことを特徴とするステアリングハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングハンドルに関し、特に、発進時の運転支援を行うことができるステアリングハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、車両の各種情報をステアリングハンドルに表示させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5495355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステアリングハンドルを大きく切った状態で車両を駐車した後、ステアリングハンドルを戻し忘れたまま車両を発進させたり、ステアリングハンドルを真っ直ぐに(標準位置に)戻したつもりでも、実際には戻し切れていなかった状態で車両を発進させたりする場合、隣接する車両などに衝突して、事故につながるおそれがある。これは、車両の操舵輪の車輪操舵角(ホイール角)が、実際に走行する以外の方法でドライバが認識することが困難だからである。従って、車両の発進時に、ステアリングハンドルの戻し忘れを警告し、現在のホイール角、そして、衝突を回避する目標ホイール角を認識できるようにして、ドライバに対して運転支援を行うことが望まれている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、車両の発進時に、適切なステアリングハンドルの位置を表示して、運転支援を行うことができるステアリングハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する第1の発明に係るステアリングハンドルは、車両の操舵輪の操舵を行うためにドライバが把持する把持部と、前記把持部の前記ドライバ側の面に設けられた表示部と、発進時に、前記操舵輪の現在の車輪操舵角の方向を前記表示部に表示すると共に、前記車両に設けられた撮影手段による画像の画像処理により前記車両の周囲の障害物との衝突を回避する目標車輪操舵角の範囲を算出し、算出した前記目標車輪操舵角の範囲を前記表示部に表示する表示制御部とを有し、前記表示制御部は、前記現在の車輪操舵角が前記目標車輪操舵角の範囲と重なっていない場合には、前記現在の車輪操舵角の表示部分に警告を表示することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する第の発明に係るステアリングハンドルは、上記第の発明に記載のステアリングハンドルであって、前記表示制御部は、前記現在の車輪操舵角が前記目標車輪操舵角の範囲と重なっていない場合には、前記現在の車輪操舵角の表示部分の色、形及び点灯パターンのうちの少なくとも1つを用いて警告を表示することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第の発明に係るステアリングハンドルは、上記第1またはの発明に記載のステアリングハンドルであって、前記表示制御部は、前記把持部の操舵により前記現在の車輪操舵角が前記目標車輪操舵角の範囲と重なった場合には、重なった位置において、色、形及び点灯パターンのうちの少なくとも1つを重なっていない場合の表示から異なるものへ変更することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第の発明に係るステアリングハンドルは、上記第1〜第のいずれか1つの発明に記載のステアリングハンドルであって、前記表示制御部は、前記現在の車輪操舵角から前記目標車輪操舵角への操舵方向を表示することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第の発明に係るステアリングハンドルは、上記第1〜第のいずれか1つの発明に記載のステアリングハンドルであって、前記表示制御部は、前記車両が当初の駐車領域から外へ出るまで、前記現在の車輪操舵角の方向及び前記目標車輪操舵角の範囲を前記表示部に表示し続けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、発進時に、操舵輪の現在の車輪操舵角の方向と目標車輪操舵角の範囲とをステアリングハンドルのグリップのドライバ側表面に表示しており、ステアリングハンドルの戻し忘れがある場合には、ドライバは、目標車輪操舵角の範囲の表示によってその旨を未然に把握することが可能となる。これにより、障害物への衝突を未然に防いで、車両を安全に発進させることができる。つまり、ドライバに対して、発進時の運転支援を行うことができる。
また、現在の車輪操舵角が目標車輪操舵角の範囲と重なっていない場合には、即ち、車両周囲の障害物に衝突する危険性がある場合には、現在の車輪操舵角の表示部分に警告を表示し、目標車輪操舵角へのステアリング操舵を導くので、障害物への衝突を未然に防いで、車両をより安全に発進させることができる。つまり、ドライバに対して、発進時の運転支援を明確に行うことができる。
【0014】
の発明によれば、色、形及び点灯パターンのうちの少なくとも1つを用いて、現在の車輪操舵角の表示部分に警告を表示するので、現在の車輪操舵角の方向をドライバに認識させると共に、そのままでの発進では障害物との衝突の危険性があることをドライバに認識させることができる。
【0015】
の発明によれば、現在の車輪操舵角が目標車輪操舵角の範囲と重なった場合には、重なっていないときの表示から、色、形及び点灯パターンのうちの少なくとも1つを異なるものへ変更するので、ステアリング操舵の結果、現在の車輪操舵角が目標車輪操舵角の範囲と重なったことが明確になる。
【0016】
の発明によれば、現在の車輪操舵角から目標車輪操舵角への回転方向を表示するので、ステアリングハンドルの操舵方向が明確になり、ドライバは迷うことなく、ステアリング操舵を行うことができる。
【0017】
の発明によれば、車両が当初の駐車領域から外へ出るまで、現在の車輪操舵角の方向及び目標車輪操舵角の範囲を表示し続けるので、現在の車輪操舵角及び目標車輪操舵角の変化量をステアリング操舵と共にフィードバック表示することになり、ドライバは視線を前方に保ちつつ、現在の車輪操舵角及び目標車輪操舵角の変化量を視認できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るステアリングハンドルの実施形態の一例を説明するブロック図である。
図2図1に示したステアリングハンドルの構成の一例を示す概略図である。
図3】発進時における動作を説明するフローチャートである。
図4】操舵前のステアリングハンドルの状態を示す図である。
図5図4に示した操舵前のステアリングハンドルの状態を表示するHUDを示す図である。
図6】操舵後のステアリングハンドルの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るステアリングハンドルの実施形態について、図1図6を参照して説明を行う。
【0020】
[実施例1]
図1は、本実施例のステアリングハンドルを説明するブロック図である。まず、図1を参照して、本実施例のステアリングハンドルについて説明を行う。
【0021】
本実施例のステアリングハンドルは、ドライバに把持されて車両の操舵輪の操舵を行うグリップ20(把持部)と、グリップ20のドライバ側の面の全周に設けられた表示装置21(表示部)と、後述する現ホイール角A(現在の車輪操舵角)の方向及び目標ホイール角T(目標車輪操舵角)の範囲を表示装置21に表示する制御装置30(表示制御部)とを有する。
【0022】
表示装置21としては、例えば、グリップ20の全周に設けられた環状の表示パネル(例えば、液晶パネル)やタッチパネルでも良いし、又は、グリップ20の全周に等間隔で設けられた複数の可変色発光素子(例えば、可変色のLED)でも良い。
【0023】
制御装置30には、車両の操舵輪のホイール角を検出するホイール角センサ41と、車両のステアリングハンドルのハンドル角を検出するハンドル角センサ42と、車両の車速を検出する車速センサ43と、車両の変速位置を検出する変速位置センサ44と、車両の周囲を撮影するカメラ45(撮影手段)とが接続されている。カメラ45は、車両の前方、後方及び側方に設けた複数のカメラからなり、これらを用いて、車両の周囲を撮影するようにしている。
【0024】
そして、制御装置30は、演算部31と処理部32とを有しており、詳細は後述するが、ホイール角センサ41、ハンドル角センサ42、車速センサ43、変速位置センサ44、カメラ45から入力された入力情報に基づいて、演算部31において、所定の演算を行い、処理部32において、所定の処理を行って、表示装置21などへ出力情報を出力している。
【0025】
制御装置30の処理部32からの出力情報は、主に、グリップ20に設けた表示装置21に出力されるが、表示装置21だけでなく、ドライバの目線上に設けたHUD(Head-UP Display)などの表示装置51に出力しても良いし、ドライバへの警告時には、警報装置52へ出力しても良い。
【0026】
なお、制御装置30は、表示装置21と共にグリップ20に設けても良いし、グリップ20以外のステアリングハンドルの部分(例えば、ステアリングパッドの部分など)に設けても良いし、ステアリングハンドル以外の部分(例えば、ステアリングハンドルを回転可能に支持する支持部分など)に設けたりしても良い。
【0027】
次に、図2を参照して、表示装置21での基本的な表示について説明する。なお、図2は、図1に示したステアリングハンドルの構成の一例を示す概略図である。
【0028】
制御装置30は、ホイール角センサ41からの入力情報に基づいて、演算部31において、車両の操舵輪の現在のホイール角θw(点線参照)を演算し、処理部32において、演算したホイール角θwに対応する現ホイール角Aの出力情報を表示装置21に出力する。そして、表示装置21は、図2に示すように、処理部32からの出力情報に基づいて、表示装置21上に現ホイール角Aの方向を表示する。現ホイール角Aとしては、後述するように、状況に応じた色、形及び点灯パターンの領域を表示装置21上に表示すれば良い。
【0029】
このとき、制御装置30は、ハンドル角センサ42からの入力情報に基づいて、演算部31において、車両のステアリングハンドルの現在のハンドル角を演算し、処理部32においては、演算したハンドル角を考慮して、現ホイール角Aの出力情報を補正しており、現ホイール角Aの方向を表示装置21上の正しい位置に表示するようにしている。
【0030】
これは、ステアリングハンドルのハンドル角の変化量と操舵輪のホイール角の変化量とが同じではなく(1対1に対応していない)、現ホイール角Aを表示装置21上の同じ位置に表示したままにしていると、現ホイール角Aが本来表示すべき位置からずれてしまうからである。そのため、演算したハンドル角を考慮して、現ホイール角Aの方向を表示装置21上の正しい位置に表示するようにしている。このハンドル角を考慮した表示は、後述する目標ホイール角Tでも同様である。
【0031】
以上が表示装置21での基本的な表示の説明であるが、発進時においては、図4に示すように、更に、目標ホイール角Tの範囲も表示するようにしている。
【0032】
そこで、図3図6を参照して、発進時における表示装置21での表示について説明する。なお、図3は、発進時における動作を説明するフローチャートである。また、図4は、操舵前のステアリングハンドルの状態を示す図であり、図5は、図4に示した操舵前のステアリングハンドルの状態を表示するHUDを示す図である。また、図6は、操舵後のステアリングハンドルの状態を示す図である。
【0033】
(ステップS1)
制御装置30は、自車両の発進開始条件が成立しているか確認する。例えば、車速センサ43を用いて、自車両が停止している状態か確認すると共に、変速位置センサ44を用いて、ギアがDレンジに入っているか確認している。つまり、自車両が停止した状態であり、かつ、ドライバがギアをDレンジに入れたとき、以下の運転支援が始まる。なお、例えば、イグニッション・オン後やサイドブレーキ解除後に、自車両の車速及びギアを確認し、上記条件を満たしているときに、運転支援を始めるようにしても良い。
【0034】
(ステップS2〜S3)
運転支援が始まると、制御装置30は、カメラ45を用いて、自車両の周囲を撮影し、障害物(隣接する他の車両、ガードレール、塀など)をカメラ45で撮影した画像の画像処理により認識する。このとき、現在の自車両の位置と認識した障害物の位置とに基づいて、障害物に衝突することなく、自車両を発進させることができる目標ホイール角Tの範囲を算出する。この目標ホイール角Tの範囲を算出する際には、路面状況、即ち、滑りやすい路面か否かを考慮しても良い。この際、カメラ45で撮影した映像と共に認識した障害物を、例えば、後述するHUDなどの表示装置51に表示しても良い。
【0035】
(ステップS4)
上述した現ホイール角Aが算出した目標ホイール角Tの範囲と重なっているか確認し、重なっていない場合はステップS5へ、重なっている場合はステップS6へ進む。
【0036】
(ステップS5)
現ホイール角Aが目標ホイール角Tの範囲と重なっていない場合は、図4に示すように、現ホイール角Aの方向と共に目標ホイール角Tの範囲を表示装置21上に表示する。このとき、上述したように、ステアリングハンドルのハンドル角を考慮して、表示装置21上の正しい位置に表示するようにしている。
【0037】
目標ホイール角Tの表示部分としては、例えば、表示装置21上に青色点灯の領域を帯状に表示する。一方、現ホイール角Aの表示部分としては、状況(危険度)に応じた警告を、色、形及び点灯パターンを用いて表示するようにしており、例えば、危険度が大きい場合(操舵方向を直ちに変更しないと障害物に衝突する場合)には、赤色点滅の領域を帯状に表示するようにし、危険度が小さい場合(操舵方向を直ちに変更しなくても良いが、そのままでは障害物に衝突する可能性がある場合)には、黄色点滅の領域を帯状に表示するようにしている。
【0038】
また、危険度が大きい場合には、警報装置52を用い、音や音声などによりドライバに警告するようにしても良い。
【0039】
加えて、現ホイール角Aと目標ホイール角Tとの間に、現ホイール角Aから目標ホイール角Tへの操舵方向(回転方向)を示す矢印Sを表示しており、これにより、ステアリングハンドルの操舵方向が明確になり、ドライバは迷うことなく、ステアリング操舵を行うことができる。なお、矢印Sに代えて、現ホイール角Aから目標ホイール角Tへ向かう点滅表示を行うことで、ステアリングハンドルの操舵方向を表示しても良い。
【0040】
このように、ステアリングハンドルのグリップ20のドライバ側表面において、表示装置21が自車両の操舵輪の現ホイール角Aと目標ホイール角Tと矢印Sとを表示しているので、ドライバは、これらの表示に従って、ステアリング操舵を行えば良い。
【0041】
なお、現ホイール角A、目標ホイール角T及び矢印Sは、表示装置21と共に、図5に示すように、HUDなどの表示装置51に表示しても良い。
【0042】
(ステップS6)
現ホイール角Aが目標ホイール角Tの範囲と重なった場合、例えば、表示装置21の表示に従うステアリング操舵により、現ホイール角Aが目標ホイール角Tの範囲と重なった場合には、図6に示すように、現ホイール角Aと目標ホイール角Tの範囲とが重なった位置を、例えば、緑色点灯の領域に変化させる。これにより、ドライバは、現ホイール角Aが目標ホイール角Tの範囲と重なったことが視認できる。なお、このときには、矢印Sは消去されることになる。
【0043】
現ホイール角Aが目標ホイール角Tの範囲と重なった後は、この状態を維持するようにステアリング操舵を行って、自車両を発進すれば良い。
【0044】
自車両の発進後に、もし、現ホイール角Aと目標ホイール角Tとがずれてきた場合には、再び、図4に示したように、表示装置21上に現ホイール角A、目標ホイール角T及び矢印Sを表示して、ドライバに正しいステアリング操舵を指示するようにすれば良い。
【0045】
また、もし、ドライバがステアリングハンドルを回しすぎたり、誤って、逆方向に回したりした場合には、つまり、発進のための走行ラインから逸脱しそうな場合には、上述したように、現ホイール角Aを黄色や赤色の点滅の領域に変化させるようにして、ドライバに警告するようにすれば良い。このとき、警報装置52を用い、音や音声などによりドライバに警告するようにしても良い。
【0046】
(ステップS7)
自車両が当初の駐車領域から外へ出たかどうかを確認し、当初の駐車領域から外へ出た場合には、上述した一連の動作を終了する。つまり、自車両の発進が終了したかを確認している。一方、自車両が当初の駐車領域から外へ出ていない場合には、ステップS2へ戻り、当初の駐車領域から外へ出るまで上述したステップS2〜S6を繰り返す。自車両が当初の駐車領域から外へ出たかどうかは、例えば、自車両の移動距離がその全長より長くなれば、自車両が当初の駐車領域から外へ出た、即ち、自車両の発進が終了したと判断すれば良い。
【0047】
以上説明したように、発進時において、表示装置21が、現ホイール角A、目標ホイール角T及び矢印Sを表示しているので、ステアリング操舵に伴う現ホイール角A及び目標ホイール角Tの変化量をフィードバックして表示することになり、ドライバは視線を前方に保ちつつ、現ホイール角A及び目標ホイール角Tの変化量を視認できるようになる。そして、ドライバは、表示装置21上の現ホイール角A、目標ホイール角T及び矢印Sの表示に従って、現ホイール角Aが目標ホイール角Tの範囲と重なるようにステアリング操舵をすることにより、自車両を障害物に衝突させることなく、自車両の発進を安全に行うことができる。つまり、表示装置21上の現ホイール角A、目標ホイール角T及び矢印Sの表示により、ドライバに発進時における運転支援をすることになる。
【0048】
なお、表示装置21は、現ホイール角Aと目標ホイール角Tとを、色、形及び点灯パターンのうちの少なくとも1つを互いに異なるもので表示するようにしており、これにより、互いの識別が明確になり、それらの視認性を向上させることができる。
【0049】
加えて、表示装置21は、現ホイール角Aと目標ホイール角Tの範囲とが重なった場合、重なった位置において、色、形及び点灯パターンのうちの少なくとも1つを、重なっていない場合の表示から異なるものへ変更するようにしており、これにより、現ホイール角Aが目標ホイール角Tの範囲と重なったことが明確になり、その視認性を向上させることができる。
【0050】
上述の色としては、例えば、青、赤、黄色、緑などが用いられ、形としては、例えば、帯状、線状などが用いられ、点灯パターンとしては、点灯、点滅などが用いられる。
【0051】
また、ここでは、表示装置21の上部に、現ホイール角A、目標ホイール角T及び矢印Sを表示し、ドライバが視線を前方に保ちつつ情報を取得することが可能となっているが、上部だけに限らず、表示装置21の下部にも、現ホイール角A、目標ホイール角T及び矢印Sを表示しても良い。
【0052】
また、ここでは、前方への発進を例にとって説明を行ったが、後方への発進の場合は、ステップS1において、Dレンジに代えて、Rレンジを確認すれば、上述した手順と同様の手順により、運転支援を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、ステアリングハンドルとして好適なものである。
【符号の説明】
【0054】
20 グリップ
21 表示装置
30 制御装置
41 ホイール角センサ
42 ハンドル角センサ
45 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6