(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流通制御手段は、前記上昇工程と前記下降工程とが交互に実行され、且つ、前記上昇工程が複数回以上実行された場合に、モードを前記洗浄モードから前記水処理モードに切り換えるように前記流通手段を制御する、請求項1に記載のイオン交換装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のイオン交換装置を硬水軟化装置に適用した実施形態について説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る硬水軟化装置1について、図面を参照しながら説明する。
図1〜
図4は、第1実施形態に係る流路切換バルブ31がそれぞれ第1の状態〜第4の状態にある場合(後述)の硬水軟化装置1の全体構成図である。
【0016】
図1〜
図4に示すように、第1実施形態に係る硬水軟化装置1は、主として、圧力タンク2と、流通手段としてのプロセス制御バルブ3と、塩水タンク4と、配管部5と、流通制御手段及び洗浄工程制御手段としても機能する制御部10と、を備えて構成される。
【0017】
圧力タンク2は、丸みを帯びた底部を有する筒状体(例えば、円筒)であり、上部に開口21を有している。圧力タンク2の内部には、開口21の中央部から圧力タンク2の底部付近まで延びる集配液管231が設けられる。圧力タンク2の開口21において集配液管231を除く領域には、頂部スクリーン241が設けられる。集配液管231の下端部と圧力タンク2の底部との間には、底部スクリーン242が設けられる。そのため、集配液管231の上端部から圧力タンク2に流入した流体は、集配液管231内を下降してその下端部から底部スクリーン242を通って集配液管231の外側に出て、集配液管231の外側における圧力タンク2の内部空間を上昇して頂部スクリーン241を通って、圧力タンク2から外に出る。反対に、頂部スクリーン241を通って圧力タンク2に流入した流体は、圧力タンク2の内部空間を下降して底部スクリーン242を通って集配液管231の中に入り、集配液管231内を上昇して、その上端部から圧力タンク2の外に出る。
【0018】
集配液管231の外側における圧力タンク2の内部空間には、イオン交換樹脂ビーズ(詳細には陽イオン交換樹脂ビーズ)からなるイオン交換樹脂床211、及び濾過砂利からなる支持床212が、収容される。支持床212は、圧力タンク2の底部側に配置される。支持床212は、イオン交換樹脂床211に対する流体の整流部材として機能する。イオン交換樹脂床211は、支持床212の上方に積層される。イオン交換樹脂床211は、原水W1を軟水化する処理材として機能する。
【0019】
圧力タンク2全体の容積に対する、イオン交換樹脂床211よりも上方の空間213の容積の比率は、小さいことが好ましい。言い換えれば、圧力タンク2内のイオン交換樹脂ビーズの充填率は、高いことが好ましい。イオン交換樹脂ビーズの充填率が高い程、圧力タンク2の単位容積あたりのイオン交換性能が高くなるからである。
【0020】
圧力タンク2の上部の開口21には、プロセス制御バルブ3が取り付けられる。プロセス制御バルブ3は、流路切換バルブ31と、エゼクタ33と、ストレーナ34と、ブラインバルブ35と、ドレンバルブ36とを備える。
【0021】
第1実施形態におけるプロセス制御バルブ3は、圧力タンク2に原水W1を導入することにより、処理水としての軟水W2を製造する水処理モードと、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に上昇流を断続的に生成し、イオン交換樹脂床211を洗浄する洗浄モードと、圧力タンク2に流体を導入しない待機モードと、を有する。
洗浄モードは、圧力タンク2内に上昇流を断続的に生成する場合に、圧力タンク2内に上昇流を生成する上昇工程(各実施形態において、上昇プロセスST4)と、上昇工程同士の間に実行される下降工程(第1実施形態では下降プロセスST5。なお、第2実施形態では、沈降プロセスST5A)とを有する。
【0022】
プロセス制御バルブ3について詳述する。プロセス制御バルブ3は、原水ラインL12と、軟水ラインL21、L22、L23、L24と、希釈水ラインL31、L32と、塩水ラインL41、L42、L43、L44と、排水ラインL51、L52、L53、L54と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0023】
流路切換バルブ31は、一端部が開口した筒状のバルブハウジング311と、筒状のバルブ本体312とを備える。バルブ本体312は、一端部が開口し、バルブハウジング311の内部に収容されてバルブハウジング311の軸線方向に沿って摺動可能である。バルブハウジング311は、その周壁に、軸線方向に沿って所定の間隔を隔てて4つの孔3111〜3114を備える。バルブ本体312は、3つのシール部3121〜3123を備える。3つのシール部3121〜3123は、軸線方向に沿って所定の間隔を隔てて周壁から外方へ張り出している。バルブ本体312は、その頂部に1つの孔3124を備える。
【0024】
流路切換バルブ31の開口端部は、圧力タンク2の集配液管231の上端部に水密に取り付けられる。原水ラインL12の一端は、原水ラインL11の他端に接続される。原水ラインL12の他端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第1孔3111に接続される。軟水ラインL21の一端は、圧力タンク2の開口21において集配液管231を除く領域に水密に接続される。軟水ラインL21の他端は、軟水ラインL22の一端と、塩水ラインL44の一端との接続点に接続される。軟水ラインL22の他端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第3孔3113に接続される。軟水ラインL23の一端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第2孔3112に接続される。軟水ラインL23の他端は、軟水ラインL24の一端と、希釈水ラインL31の一端との接続点に接続される。軟水ラインL24の他端は、軟水ラインL25の一端に接続される。
【0025】
希釈水ラインL31の他端は、ストレーナ34の一側に接続される。ストレーナ34の他側には、希釈水ラインL32の一端が接続される。希釈水ラインL32の他端は、エゼクタ33の一側に接続される。エゼクタ33の他側には、塩水ラインL44の他端が接続される。エゼクタ33の吸込み口には、塩水ラインL43の一端が接続される。塩水ラインL43の他端は、ブラインバルブ35の一側に接続される。ブラインバルブ35の他側には、塩水ラインL42の一端が接続される。塩水ラインL42の他端は、プロセス制御バルブ3の外方に設けられる塩水流量計44の一側に接続される。塩水流量計44の他側には、塩水ラインL41の一端が接続される。塩水ラインL41の他端は、塩水タンク4の塩水取り出し部に接続される。排水ラインL51の一端は、流路切換バルブ31のバルブハウジング311の第4孔3114に接続される。排水ラインL51の他端は、ドレンバルブ36の一側に接続される。ドレンバルブ36の他側には、排水ラインL52の一端が接続される。排水ラインL52の他端は、排水ラインL53の一端と、排水ラインL54の一端との接続点に接続される。排水ラインL53の他端は、塩水タンク4のオーバフロー部に接続される。排水ラインL54の他端は、系外の排水溝等に解放される。
【0026】
プロセス制御バルブ3には、配管部5の原水導入部(不図示)からプロセス制御バルブ3に至る原水ラインL11、及びプロセス制御バルブ3から配管部5の軟水導出部(不図示)に至る軟水ラインL25が接続される。
【0027】
原水ラインL11の一端は、原水導入部(不図示)に接続されている。また、原水ラインL11の他端は、原水ラインL12の一端に接続されている。
【0028】
軟水ラインL25の一端は、軟水ラインL24の他端に接続されている。また、軟水ラインL25の他端は、軟水導出部(不図示)に接続されている。原水ラインL11及び軟水ラインL25は、配管部5を構成する。
【0029】
塩水タンク4は、筒状体(例えば、角筒)であり、上部に開口を有している。塩水タンク4の内部には、イオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W3が貯留される。塩水W3は、陽イオン交換樹脂ビーズを用いる硬水軟化装置においては、塩化ナトリウム、塩化カリウムの各水溶液等を利用することができる。
【0030】
制御部10は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部10において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、硬水軟化装置1に係る各種の制御を実行する。
【0031】
また、制御部10は、所定のモード移行条件に基づいて各モードを切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する流通制御手段として機能する。流通制御手段としての制御部10は、プロセス制御バルブ3の流路切換バルブ31の状態を例えば第1の状態〜第4の状態に変更するように、プロセス制御バルブ3を制御する。その結果、圧力タンク2内において、プロセスST1〜ST7毎に、流体の流れが生成されるか、あるいは、流体の流れが生成されない。
【0032】
流通制御手段としての制御部10は、上昇工程と下降工程とが交互に実行され、且つ、上昇工程が複数回以上実行された場合(モード移行条件の一例)に、モードを洗浄モードから水処理モードに切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する。
流通制御手段としての制御部10は、モードを待機モードから洗浄モードに切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する。
【0033】
流通制御手段としての制御部10は、上昇工程において、圧力タンク2に導入される洗浄液としての原水W1の体積が圧力タンク2の保有水量よりも大きくなるように、プロセス制御バルブ3を制御する。
なお、圧力タンク2の保有水量[L]は、例えば、圧力タンク2の容積[L]、イオン交換樹脂床211の容積[L−R]、及びイオン交換樹脂床211の空隙率から、以下の関係式を用いて計算することができる。
保有水量=圧力タンク容積−イオン交換樹脂床容積×(1−空隙率)
【0034】
また、制御部10は、上昇工程と下降工程とを所定の工程移行条件に基づいて切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する洗浄工程制御手段として機能する。
【0035】
第1実施形態における洗浄工程制御手段としての制御部10は、下降工程を所定時間実行した後(工程移行条件の一例)、上昇工程において、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に上昇流を生成してイオン交換樹脂床211を構成するイオン交換樹脂ビーズを巻き上げるように、プロセス制御バルブ3を制御する。また、洗浄工程制御手段としての制御部10は、上昇工程を所定時間実行した後(工程移行条件の一例)、下降工程において、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に下降流を生成してイオン交換樹脂ビーズを下降させるように、プロセス制御バルブ3を制御する。圧力タンク2内に上昇流又は下降流を生成することにより、イオン交換樹脂床211の洗浄が行われる。
【0036】
次に、プロセス制御バルブ3において切り換えられる流路切換バルブ31の状態について説明する。プロセス制御バルブ3は、
図1〜
図4に示すように流路切換バルブ31の状態(バルブハウジング311とバルブ本体312との位置関係)を、以下に示す第1〜第4の状態に切り換えることができる。
【0037】
<第1の状態>
図1に示すように、流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第1シール部3121がバルブハウジング311の第1孔3111と第2孔3112との間に位置するときに、バルブ本体312の第2シール部3122は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第4孔3114と開口端部との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第1孔3111は、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙、バルブハウジング311の頂部内側の空間、及びバルブ本体312の頂部の孔3124を介して、バルブ本体312の内側の空間と連通する。即ち、バルブハウジング311の第1孔3111は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。バルブハウジング311の第2孔3112と第3孔3113とは、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、互いに連通する。バルブハウジング311の第4孔3114は、他の孔又はバルブ本体312の内側の空間とは連通しない。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第1の状態という(後述する水処理プロセスST1及び補水プロセスST6参照)。
【0038】
<第2の状態>
図2に示すように、流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第1シール部3121がバルブハウジング311の第1孔3111と頂部との間に位置するときに、バルブ本体312の第2シール部3122は、バルブハウジング311の第2孔3112と第3孔3113との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第1孔3111は、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第2孔3112と連通する。バルブハウジング311の第3孔3113は、他の孔又はバルブ本体312の内側の空間とは連通しない。バルブハウジング311の第4孔3114は、バルブ本体312の開口端部側と連通する。即ち、バルブハウジング311の第4孔3114は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第2の状態という(後述する再生プロセスST2及び押出プロセスST3参照)。
【0039】
<第3の状態>
図3に示すように、流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第1シール部3121がバルブハウジング311の第1孔3111に対応する位置にあって第1孔3111を塞がないときに、バルブ本体312の第2シール部3122は、バルブハウジング311の第2孔3112と第3孔3113との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第4孔3114と圧力タンク2の集配液管231の上端部との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第1孔3111は、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙、バルブハウジング311の頂部内側の空間、及びバルブ本体312の頂部の孔3124を介して、バルブ本体312の内側の空間と連通する。即ち、バルブハウジング311の第1孔3111は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通するとともに、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第2孔3112とも連通する。バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114とは、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、互いに連通する。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第3の状態という(後述する上昇プロセスST4参照)。
【0040】
<第4の状態>
図4に示すように、流路切換バルブ31において、バルブ本体312の第2シール部3122がバルブハウジング311の第2孔3112に対応する位置にあって第2孔3112を塞がないときに、バルブ本体312の第1シール部3121は、バルブハウジング311の第1孔3111と頂部との間に位置し、バルブ本体312の第3シール部3123は、バルブハウジング311の第3孔3113と第4孔3114との間に位置する。このとき、バルブハウジング311の第2孔3112は、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第1孔3111と連通するとともに、バルブハウジング311の周壁内面とバルブ本体312の周壁外面との間の所定の間隙を介して、バルブハウジング311の第3孔3113とも連通する。バルブハウジング311の第4孔3114は、バルブ本体312の開口端部側と連通する。即ち、バルブハウジング311の第4孔3114は、圧力タンク2の集配液管231の上端部と連通する。以下、この位置関係を流路切換バルブ31の第4の状態という(後述する下降プロセスST5参照)。
【0041】
次に、プロセス制御バルブ3によって制御される各運転モード(後述)において実行されるプロセスについて、
図5を参照しながら説明する。
図5は、第1実施形態に係る各プロセスにおけるバルブの状態を示す図である。なお、
図5において、「○」、「×」及び「−」は、それぞれ「開状態」、「閉状態」及び「状態不問」を意味する。後述する
図7、
図9においても同様である。
【0042】
プロセス制御バルブ3は、
図5に示すように、流路切換バルブ31の状態並びにブラインバルブ35及びドレンバルブ36の開閉状態を切り換えながら、各運転モード(後述)における以下のプロセスST1〜ST7を実行する。その結果、圧力タンク2内において、プロセスST1〜ST6毎に、流体の流れが生成される。また、待機プロセスST7においては、流体の流れは生成されない。
【0043】
<水処理プロセスST1>
図5に示すように、水処理プロセスST1では、プロセス制御バルブ3において、流路切換バルブ31は第1の状態にあり、ブラインバルブ35は閉状態にあり、ドレンバルブ36は閉状態にある。
【0044】
そのため、原水導入部から硬水軟化装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び孔3124を順次流れて、圧力タンク2の集配液管231に供給され、底部スクリーン242から配水される。底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過する。その過程において、原水W1の硬度成分は、ナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換され、原水W1は軟水化される。
【0045】
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の頂部で頂部スクリーン241へ集水される。その後、軟水W2は、軟水ラインL21、軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第2孔3112、軟水ラインL23、軟水ラインL24、軟水ラインL25を順次流れて、軟水導出部から硬水軟化装置1の外部へ導出されて、軟水W2の需要箇所へ供給される。尚、軟水W2は、軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第2孔3112、軟水ラインL23を順次流れるのと並行して、塩水ラインL44、エゼクタ33、希釈水ラインL32、ストレーナ34、希釈水ラインL31を順次流れる。
【0046】
<再生プロセスST2>
図5に示すように、再生プロセスST2では、プロセス制御バルブ3において、流路切換バルブ31は第2の状態にあり、ブラインバルブ35は開状態にあり、ドレンバルブ36は開状態にある。更に、塩水タンク4の塩水取り出し部から塩水ラインL41への塩水W3の流通を妨げることが可能な塩水制御バルブ(不図示)が、開状態にある。
【0047】
そのため、原水導入部から硬水軟化装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33を順次流れる。原水W1が所定の圧力でエゼクタ33を流れることにより、エゼクタ33の吸込み口には、吸込み力が発生する。この吸込み力により、塩水タンク4の内部に貯留された塩水W3は、塩水ラインL41、塩水流量計44、塩水ラインL42、ブラインバルブ35、塩水ラインL43を順次介して、エゼクタ33の吸込み口に吸込まれる。これにより、塩水W3と原水W1とは、エゼクタ33において混合され、所定濃度(約10重量%)の塩水W3となる。
【0048】
所定濃度の塩水W3は、塩水ラインL44、軟水ラインL21を介して、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配液され、圧力タンク2の内部を下降流で通過する。その過程において、塩水W3は、イオン交換樹脂床211を再生する。使用済みの塩水W3は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集液され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。この再生プロセスST2は、所定時間実行され、所定量の塩水W3を供給することにより完了する。
【0049】
尚、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、塩水W3を所定濃度に希釈するのに過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、軟水ラインL25、軟水導出部を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0050】
<押出プロセスST3>
図5に示すように、押出プロセスST3では、プロセス制御バルブ3において、流路切換バルブ31は第2の状態にあり、ブラインバルブ35は開状態にあり、ドレンバルブ36は開状態にある。これは、
図5に示す再生プロセスST2と同じである。但し、塩水タンク4の内部には、塩水タンク4の塩水取り出し部から塩水ラインL41への塩水W3の流通を妨げることが可能なバルブ(不図示)が、設けられている。このバルブは、再生プロセスST2では開状態にあり、塩水W3の流通を妨げないのに対して、押出プロセスST3では閉状態にあり、塩水W3の流通を妨げる。
【0051】
そのため、原水導入部から硬水軟化装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33、塩水ラインL44、軟水ラインL21を介して、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配水され、圧力タンク2の内部を下降流で通過する。その過程において、原水W1は、先行して供給された塩水W3を押し出しながら、引き続き、イオン交換樹脂床211を再生する。使用済みの塩水W3及び原水W1は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集水され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。この押出プロセスST3は、所定時間実行され、所定量の原水W1を供給して塩水W3を押し出すことにより完了する。
【0052】
尚、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、塩水W3を押し出すのに過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、軟水ラインL25、軟水導出部を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0053】
<上昇プロセスST4>
図5に示すように、上昇工程としての上昇プロセスST4では、プロセス制御バルブ3において、流路切換バルブ31は第3の状態にあり、ブラインバルブ35は閉位置にあり、ドレンバルブ36は開位置にある。
【0054】
そのため、原水導入部から硬水軟化装置1に導入される洗浄液としての原水W1は、原水ラインL11、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111を通り、この第1孔3111から一方では、第2孔3112、軟水ラインL23を順次流れる流れとなり、他方では、孔3124を流れて、圧力タンク2の集配液管231に供給され、底部スクリーン242から配水される。底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過するため、圧力タンク2内に上昇流が生成される。圧力タンク2の内部を上昇流で通過する過程において、原水W1は、圧力タンク2内に上昇流を生成してイオン交換樹脂床211を洗浄する。具体的には、圧力タンク2内に生成された上昇流は、イオン交換樹脂床211のイオン交換樹脂ビーズを巻き上げ、イオン交換樹脂ビーズ同士を衝突させる。そのため、イオン交換樹脂ビーズに付着した細菌は、剥がされる。なお、剥がされた細菌は、原水W1とともに頂部スクリーン241から排出される。
【0055】
圧力タンク2から排出される流体は、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241で集水され、軟水ラインL21、軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。
【0056】
この上昇プロセスST4は、所定時間実行され、例えば、圧力タンク2に導入される第1の洗浄液としての原水W1の体積が、圧力タンク2の保有水量よりも大きくなることにより完了する。
上昇プロセスST4の実行時間は、例えば4〜10分である。
【0057】
尚、軟水ラインL23を流れる原水W1は、軟水ラインL24から、軟水ラインL25、軟水導出部を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0058】
<下降プロセスST5>
図5に示すように、下降工程としての下降プロセスST5では、プロセス制御バルブ3において、流路切換バルブ31は第4の状態にあり、ブラインバルブ35は閉位置にあり、ドレンバルブ36は開位置にある。
【0059】
そのため、原水導入部から硬水軟化装置1に導入される洗浄液としての原水W1は、原水ラインL11、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び第2孔3112を通り、この第2孔3112から、一方では、軟水ラインL23、希釈水ラインL31、ストレーナ34、希釈水ラインL32、エゼクタ33、塩水ラインL44を通る流れとなり、他方では、流路切換バルブ31の第3孔3113、軟水ラインL22を通る流れとなる。この両方の流れは、軟水ラインL21において合流して1つの流れとなって、圧力タンク2の頂部に配置された頂部スクリーン241から配水され、圧力タンク2の内部を下降流で通過するため、圧力タンク2内に下降流が生成される。圧力タンク2の内部を下降流で通過する過程において、原水W1は、圧力タンク2内に下降流を生成してイオン交換樹脂床211を洗浄する。具体的には、圧力タンク2内に生成された下降流は、圧力タンク2内を浮遊したイオン交換樹脂ビーズ、細菌等の浮遊物を沈降させる。なお、浮遊物に含まれた細菌は、原水W1とともに底部スクリーン242から排出される。
【0060】
圧力タンク2から排出される流体は、圧力タンク2の底部に配置された底部スクリーン242で集水され、圧力タンク2の集配液管231内を上昇して、流路切換バルブ31の第4孔3114、排水ラインL51、ドレンバルブ36、排水ラインL52、排水ラインL54を順次流れて系外に排水される。
【0061】
この下降プロセスST5は、所定時間実行される。下降プロセスST5の実行時間は、例えば1〜3分である。
【0062】
この下降プロセスST5の場合も、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、過剰な軟水W2は、軟水ラインL24から、軟水ラインL25、軟水導出部を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
尚、軟水ラインL23を流れる原水W1は、希釈水ラインL31へ流れる一方、軟水ラインL24へも流れる。そのため、過剰な原水W1は、軟水ラインL24から、軟水ラインL25、軟水導出部を順次流れて、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0063】
1回の洗浄モードにおける上昇プロセスST4及び下降プロセスST5の繰り返し回数は、例えば、3〜5回である。
【0064】
<補水プロセスST6>
図5に示すように、補水プロセスST6では、プロセス制御バルブ3において、流路切換バルブ31は第1の状態にあり、ブラインバルブ35は開状態にあり、ドレンバルブ36は閉状態にある。
【0065】
そのため、原水導入部から硬水軟化装置1に導入される原水W1は、原水ラインL11、原水ラインL12、流路切換バルブ31の第1孔3111及び孔3124を順次流れて、圧力タンク2の集配液管231に供給され、底部スクリーン242から配水される。底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過する。その過程において、原水W1の硬度成分は、ナトリウムイオン(又は、カリウムイオン)へ置換され、原水W1は軟水化される。
【0066】
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の頂部で頂部スクリーン241へ集水される。その後、軟水W2は、軟水ラインL21を通り、この軟水ラインL21から、一方では、塩水ラインL44、塩水ラインL43、ブラインバルブ35、塩水ラインL42、塩水流量計44、塩水ラインL41を順次流れて、塩水タンク4の内部へ供給(補水)される。また、他方では、軟水W2は、軟水ラインL22、流路切換バルブ31の第3孔3113及び第2孔3112、軟水ラインL23、軟水ラインL24、軟水ラインL25を順次流れて、軟水導出部から硬水軟化装置1の外部へ導出されて、軟水W2の需要箇所へ供給される。
【0067】
<待機プロセスST7>
待機プロセスST7では、プロセス制御バルブ3の状態に拘わらず、圧力タンク2内における液体の制御は行われない。
【0068】
次に、硬水軟化装置1が有する運転モード、運転モードにおいて実行されるプロセス及び運転モードを切り換える移行条件について
図6を参照しながら説明する。
図6は、第1実施形態に係るイオン交換装置の運転モード及び各運転モードにおけるプロセスを示す状態遷移図である。
【0069】
硬水軟化装置1は、運転モードとして水処理モードと、再生モードと、洗浄モードと、補水モードと、待機モードと、を有する
【0070】
水処理モードは、圧力タンク2に原水W1を導入することにより処理水(軟水W2)を製造するモードである。水処理モードにおいて、流通制御手段としての制御部10は、水処理プロセスST1を実行する。
【0071】
再生モードは、圧力タンク2に再生液としての塩水W3を導入することによりイオン交換樹脂床211を再生するモードである。再生モードにおいて、流通制御手段としての制御部10は、再生プロセスST2及び押出プロセスST3を順に実行する。
【0072】
第1実施形態における洗浄モードは、圧力タンク2内に上昇流を主として生成することによりイオン交換樹脂床211を洗浄するモードである。詳細には、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に上昇流を断続的に生成し、イオン交換樹脂床211を洗浄するモードである。
【0073】
圧力タンク2内に上昇流を断続的に生成する場合に、洗浄モードは、上昇工程としての上昇プロセスST4と、上昇プロセスST4同士の間に実行される下降工程としての下降プロセスST5を有する。この場合において、洗浄工程制御手段としての制御部10は、上昇工程(上昇プロセスST4)と下降工程(下降プロセスST5)とを所定の工程移行条件に基づいて切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する。上昇工程(上昇プロセスST4)において、洗浄工程制御手段としての制御部10は、イオン交換樹脂床211を洗浄するように、プロセス制御バルブ3を制御する。一方で、下降工程(下降プロセスST5)において、プロセス制御バルブ3は、イオン交換樹脂床211を洗浄するように、プロセス制御バルブ3を制御する。
【0074】
補水モードは、原水W1を塩水タンク4へ補給するモードである。補水モードにおいて、流通制御手段としての制御部10は、補水プロセスST6を実行する。
待機モードは、待機プロセスST7によって、圧力タンク2内における液体の制御を行わない(圧力タンク2に流体を導入しない)モードである。待機モードにおいて、流通制御手段としての制御部10は、待機プロセスST7を実行する。
【0075】
流通制御手段としての制御部10は、
図6に示すように、所定の移行条件(イベント)に基づいて、各運転モードを切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する。
図6中において、各運転モード間に記載した矢印は、イベントE1〜E8を示す。
【0076】
イベントE1は、水処理モードから再生モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、軟水W2の積算採水量(積算使用量)が所定の設定量に達した場合、原水W1の積算水処理時間が所定の設定時間に達した場合等を挙げることができる。
【0077】
イベントE2は、再生モードから洗浄モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、再生プロセスST2から押出プロセスST3までを完了した場合等を挙げることができる。
【0078】
イベントE3は、洗浄モードから補水モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、洗浄モードへ移行する直前の運転モードが再生モードであり、且つ、上昇工程(上昇プロセスST4)が複数回(例えば3回)以上実行された場合等を挙げることができる。
【0079】
イベントE4は、補水モードから水処理モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、補水量(軟水W2の塩水タンク4への供給量)が所定の設定量に達した場合等を挙げることができる。
【0080】
イベントE5は、水処理モードから洗浄モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、水処理プロセスST1が所定の時間実行されなかった場合等を挙げることができる。
【0081】
イベントE6は、洗浄モードから水処理モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、洗浄モードへ移行する直前の運転モードが水処理モードであり、且つ、上昇工程(上昇プロセスST4)が複数回(例えば3回)以上実行された場合等を挙げることができる。
【0082】
イベントE7は、洗浄モードから待機モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、「原水W1の流通が無し」の連続検知時間が所定の設定時間に達した場合(断水が発生した場合)等を挙げることができる。
【0083】
イベントE8は、待機モードから洗浄モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、「原水W1の流通が有り」の連続検知時間が所定の設定時間に達した場合(断水が復旧した場合)、(圧力タンク2への原水又は処理水の積算流通量を計測する)積算流通量計測手段により計測された積算流通量が圧力タンク2の保有水量未満の場合、「原水W1の流通が有り」の連続検知時間が所定の設定時間に達した場合であって積算流通量計測手段により計測された積算流通量が圧力タンク2の保有水量未満の場合、等を挙げることができる。
【0084】
上述した第1実施形態に係る硬水軟化装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
【0085】
第1実施形態の硬水軟化装置1は、イオン交換樹脂床211が収容される圧力タンク2と、圧力タンク2に原水W1を導入することにより、処理水としての軟水W2を製造する水処理モードと、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に上昇流を断続的に生成し、イオン交換樹脂床211を洗浄する洗浄モードと、を有する流通手段としてのプロセス制御バルブ3と、所定のモード移行条件に基づいて各モードを切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する流通制御手段としての制御部10と、を備える。
そのため、圧力タンク2内に生成された上昇流は、イオン交換樹脂床211を構成するイオン交換樹脂ビーズを断続的に巻き上げ、イオン交換樹脂ビーズ同士を衝突させる。そのため、イオン交換樹脂ビーズに付着した細菌は剥がされる。これにより、圧力タンク2内の細菌数を十分に減らすことができる。
【0086】
また、洗浄モードは、圧力タンク2内に上昇流を断続的に生成する場合に、圧力タンク2内に上昇流を生成する上昇工程(上昇プロセスST4)と、上昇工程(上昇プロセスST4)同士の間に実行される下降工程(下降プロセスST5)とを有する。イオン交換装置1は、上昇工程(上昇プロセスST4)と下降工程(下降プロセスST5)とを所定の工程移行条件に基づいて切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する洗浄工程制御手段としての制御部10を更に備える。
洗浄工程制御手段としての制御部10は、上昇工程(上昇プロセスST4)において、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に上昇流を生成してイオン交換樹脂床211を構成するイオン交換樹脂ビーズを巻き上げるように、プロセス制御バルブ3を制御し、また、洗浄工程制御手段としての制御部10は、下降工程(下降プロセスST5)において、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に下降流を生成してイオン交換樹脂ビーズを下降させるように、プロセス制御バルブ3を制御する。
【0087】
そのため、イオン交換樹脂床211がほぐされる向きは繰り返し切り替わる。上昇流によって巻き上げられたイオン交換樹脂ビーズは、下降流によって下降させられるため、イオン交換樹脂ビーズ同士は繰り返し衝突し、イオン交換樹脂ビーズに付着した細菌は効率的に剥がされる。また、上昇流及び下降流によって、圧力タンク2内の細菌を洗浄液としての原水W1とともに排出できる。これによれば、圧力タンク2内の細菌数をより効率的に減らすことができる。
【0088】
また、イオン交換樹脂床211よりも上方の空間213の容積の比率が小さい(充填率が高い)圧力タンク2であっても、圧力タンク2の頂部スクリーン241にイオン交換樹脂ビーズが付着しにくく、洗浄効率が高い。そのため、充填率が高い圧力タンク2を備えるイオン交換装置であっても、圧力タンク2内の細菌数をより効率的に減らすことができる。
【0089】
また、流通制御手段としての制御部10は、上昇工程(上昇プロセスST4)と下降工程(下降プロセスST5)とが交互に実行され、且つ、上昇工程(上昇プロセスST4)が複数回以上実行された場合に、モードを洗浄モードから水処理モードに切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する。
そのため、洗浄モードから水処理モードに移行するまでに圧力タンク2内の細菌数をより効率的に減らすことができる。
【0090】
また、プロセス制御バルブ3は、モードとして、圧力タンク2に流体を導入しない待機モードを更に有する。流通制御手段としての制御部10は、モードを待機モードから洗浄モードに切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御する。
そのため、待機モードから洗浄モードを経由して水処理モードへ移行するようになる。これによれば、待機モード後であっても細菌数を十分に減らした状態で、衛生的に水処理を開始できる。
【0091】
また、流通制御手段としての制御部10は、上昇工程(上昇プロセスST4)において、圧力タンク2に導入される洗浄液としての原水W1の体積が圧力タンク2の保有水量よりも大きくなるように、プロセス制御バルブ3を制御する、
そのため、上昇プロセスST4において、圧力タンク2内の流体は、圧力タンク2に導入される洗浄液としての原水W1とより確実に入れ替わる。これによれば、圧力タンク2内の細菌を圧力タンク2の外に、より確実に排出することができる。
【0092】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る硬水軟化装置について説明する。第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、第2実施形態では、第1実施形態と重複する説明を適宜に省略する。
【0093】
第2実施形態に係る硬水軟化装置の全体構成は、
図1〜
図4に示す第1実施形態に係る硬水軟化装置1の全体構成と同一である。
【0094】
次に、本発明の第2実施形態に係るプロセス制御バルブ3によって制御される各運転モード(後述)において実行されるプロセスについて、
図7を参照しながら説明する。
図7は、第2実施形態に係る各プロセスにおけるバルブの状態を示す図である。
【0095】
洗浄工程制御手段としての制御部10は、
図7に示すように、第1実施形態における下降工程としての下降プロセスST5(
図5を参照)に代えて、下降工程としての沈降プロセスST5Aを実行する。
【0096】
沈降プロセスST5Aでは、プロセス制御バルブ3の状態に拘わらず圧力タンク2内における液体の制御が行われない。つまり、沈降プロセスST5Aは、イオン交換樹脂床211を構成するイオン交換樹脂ビーズを自然沈降で下降させるプロセスである。
【0097】
次に、硬水軟化装置1が有する運転モード、運転モードにおいて実行されるプロセス及び運転モードを切り換える移行条件について
図8を参照しながら説明する。
図8は、第2実施形態に係るイオン交換装置の運転モード及び各運転モードにおけるプロセスを示す状態遷移図である。
【0098】
洗浄工程制御手段としての制御部10は、
図8に示すように、洗浄モードにおいて下降プロセスST5(
図5を参照)に代えて、沈降プロセスST5Aを実行する。
【0099】
第2実施形態における洗浄モードは、圧力タンク2内に上昇流を主として生成することによりイオン交換樹脂床211を洗浄するモードである。詳細には、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に上昇流を断続的に生成し、イオン交換樹脂床211を洗浄するモードである。
【0100】
第2実施形態における洗浄工程制御手段としての制御部10は、上昇工程としての上昇プロセスST4において、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に上昇流を生成してイオン交換樹脂床211を構成するイオン交換樹脂ビーズを巻き上げるように、プロセス制御バルブ3を制御する。また、プロセス制御バルブ3は、下降工程としての沈降プロセスST5Aにおいて、イオン交換樹脂ビーズを自然沈降で下降させるように、不図示のバイパスバルブを制御する。圧力タンク2内における液体の流れの制御を行わないことにより、イオン交換樹脂ビーズは自然沈降で下降する。
【0101】
<沈降プロセスST5A>
図7に示すように、下降工程としての沈降プロセスST5Aでは、プロセス制御バルブ3の状態に拘わらず、圧力タンク2内における液体の制御が行われない。沈降プロセスST5Aにおけるバルブの状態は、圧力タンク2に液体が移動しない限りにおいては制限されないが、例えば、プロセス制御バルブ3において、流路切換バルブ31は第4の状態にあり、ブラインバルブ35は閉位置にあり、ドレンバルブ36は閉位置にある。そのため、圧力タンク2において液体は制御されず、圧力タンク2内を浮遊したイオン交換樹脂ビーズ、細菌等の浮遊物は、自然沈降で下降する。沈降プロセスST5Aは、所定時間実行される。沈降プロセスST5Aの実行時間は、例えば1〜3分である。
【0102】
上述した第2実施形態に係る硬水軟化装置によれば、第1実施形態に係る硬水軟化装置1と同様の効果が奏される。
【0103】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る硬水軟化装置について説明する。第3実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。第3実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、第3実施形態では、第1実施形態と重複する説明を適宜に省略する。
【0104】
第3実施形態に係る硬水軟化装置の全体構成は、
図1〜
図4に示す第1実施形態に係る硬水軟化装置1の全体構成と同一である。
【0105】
次に、本発明の第3実施形態に係るプロセス制御バルブ3によって制御される各運転モード(後述)において実行されるプロセスについて、
図9を参照しながら説明する。
図9は、第3実施形態に係る各プロセスにおけるバルブの状態を示す図である。
【0106】
洗浄工程制御手段としての制御部10は、
図9に示すように、下降工程としての下降プロセスST5(
図5を参照)(又は沈降プロセスST5A(
図7を参照))を実行しない。
【0107】
次に、硬水軟化装置1が有する運転モード、運転モードにおいて実行されるプロセス及び運転モードを切り換える移行条件について
図10を参照しながら説明する。
図10は、第3実施形態に係るイオン交換装置の運転モード及び各運転モードにおけるプロセスを示す状態遷移図である。
【0108】
プロセス制御バルブ3は、
図10に示すように、洗浄モードにおいて下降プロセスST5(
図5を参照)を実行せずに上昇プロセスST4を連続的に実行する。
【0109】
第3実施形態における洗浄モードは、圧力タンク2内に上昇流を生成することによりイオン交換樹脂床211を洗浄するモードである。詳細には、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより、圧力タンク2内に上昇流を連続的に生成し、イオン交換樹脂床211を洗浄するモードである。
【0110】
上述した第3実施形態に係る硬水軟化装置によれば、第1実施形態に係る硬水軟化装置1と同様の効果が奏される。
【0111】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0112】
例えば、洗浄モードは、主として圧力タンク2内に上昇流を主として生成することによりイオン交換樹脂床211を洗浄するモードである例を説明した。なお、「主として」とは、上昇流を、例えば、より長時間、より高速で、より大量に流すことを意味する。これに限らず、洗浄モードは、主として圧力タンク2内に下降流を生成することによりイオン交換樹脂床211を洗浄するモードであってもよい。
【0113】
また、前記実施形態では、圧力タンク2内に上昇流を断続的に生成する場合に、洗浄モードは、上昇工程同士の間に実行される下降工程を有する例を説明した。しかし、下降工程が実行されるのは上昇工程同士の間に限定されない。例えば上昇工程の前後に実行されてもよい。
【0114】
また、前記実施形態では、流通制御手段としての制御部10は、モードを待機モードから洗浄モードに切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御しているが、これに制限されない。制御部10は、イオン交換装置1の電源投入時に、モードを待機モードから洗浄モードに切り換えるようにプロセス制御バルブ3を制御してもよい。
【0115】
前述の実施形態は、本発明のイオン交換装置を硬水軟化装置に適用しているが、これに制限されない。例えば、硬水軟化装置におけるイオン交換樹脂を、陽イオン交換樹脂から陰イオン交換樹脂へ置換すれば、硝酸性窒素除去装置として使用することができる。
洗浄液は、原水W1に制限されない。流通手段は、プロセス制御バルブ3に制限されない。