(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記屈曲レンズ部材を形成する透光性材料の屈折率をnとした時、前記各反射面の前記傾斜角度が15°×n+7.25°+5°以下となるように設定されている請求項1〜4の何れかに記載のライン状照明装置。
前記LED光源の光軸に沿う方向をZ方向とした時に、前記第1集光レンズ部材を前記複数のLED光源に対して前記Z方向に位置決めするためのスペーサが前記基板ユニットに設けられ、
前記バネ部材は、前記第1集光レンズ部材を前記基板ユニットの前記スペーサに前記Z方向に押付けるものである、請求項6に記載のライン状照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るライン状照明装置について図面を参照して以下に説明する。
このライン状照明装置は、ラインセンサ等の検査用センサによる検出位置をライン状(線状)に照明するものであり、照明装置本体10と、それぞれ複数のLED1が直線状に並ぶように実装された複数の基板ユニット20と、複数のLED1が一直線状に並ぶように照明装置本体10のヒートシンク11に各基板ユニット20を固定する複数のボルト(締結手段)30とを有する。以下の説明において、LED1の並設方向をX方向とし、各LED1の光軸に沿う方向をZ方向とし、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とする。
【0016】
このライン状照明装置はさらに、X方向に延びるように照明装置本体10に取付けられ、並設された複数のLED1の光をY方向に集光する第2集光レンズ部材40と、第2集光レンズ部材40から出た光をX方向に屈折させる屈曲レンズ部材50と、屈曲レンズ部材50を保護するための保護レンズ部材60とを備えている。この照明装置によるライン状照明位置(集光位置)の光の幅は数mm程度であっても良く、十数mmであっても良く、場合によっては数十mmであっても良く、何れの場合もライン状である。
【0017】
図1〜2のように、照明装置本体10は、X方向に延びる長尺状の金属製ヒートシンク11と、内部に形成された中空部にヒートシンク11が固定された下側ボディ12と、下側ボディ12にZ方向の一端が接続されたY方向一対の側面板13と、各側面板13のZ方向の他端側を覆う上側カバー14とを有する。一対の側面板13の互いに対抗する面にはそれぞれZ方向一対の突起部13aが設けられ、これら4つの突起部13aによって第2集光レンズ部材40が挟持され、Y方向およびZ方向に位置決めされる。各突起部13aは各側面板13の対向面からY方向に突出すると共に、X方向に延びるように設けられている。
【0018】
一対の側面板13の間に第2集光レンズ部材40を配置し、一対の側面板13のZ方向他端側に屈曲レンズ部材50および保護レンズ部材60を載せ、各側面板13のZ方向一端側を下側ボディ12に内側から係合させ、上側カバー14を一対の側面板13のZ方向他端側に被せ、複数のボルト15で下側ボディ12、一対の側面板13、および上側カバー14を一体となるように固定することにより照明装置が作られ、照明装置本体10内で第2集光レンズ部材40、屈曲レンズ部材50、および保護レンズ60が位置決めされ固定される。
【0019】
各基板ユニット20は、例えば銅、アルミニウム等の金属やプラスチックから成り、
図3〜6のように、表面にLED1、その電力供給・制御回路、端子等が実装されている基板本体21と、基板本体21上に並設されたLED1からの光を受光する第1集光レンズ部材22と、第1集光レンズ部材22を基板本体21に取付ける取付構造23とを有する。基板本体21は製造のし易さ、ライン状照明位置の位置調整のし易さ、メンテナンスのし易さ等を考慮し、X方向の寸法が100mm以下であることが好ましい。LED1は高輝度LED1であることが好ましく、ライン状照明位置の照度を上げるため数mm以下(本実施形態では5mm以下)のピッチで配置されている。また、LED1は光軸から片側35°の範囲外(好ましくは25°の範囲外)の光量が光軸位置の光量の80%以下になる指向特性の強いLEDを用いることが好ましいが、それ以外のLEDも使用可能である。一般的に、光軸位置に対し光量が100%〜80%となる範囲の光量全量は、他の範囲の光量全量に比べて明らかに多い。
【0020】
第1集光レンズ部材22はガラスやプラスチック等の透光性材料から成り、板状である。本実施形態では耐熱性を考慮しガラスを使用している。第1集光レンズ部材22は、それぞれX方向に曲率を有すると共にY方向に断面略同一形状で延び、X方向に並ぶように配置された複数の第1集光レンズ部22aが厚さ方向の一方に設けられ、平面状の入光面22eが厚さ方向の他方に設けられている。本実施形態では第1集光レンズ部22aが出光面として機能する。
【0021】
ここで、各第1集光レンズ部22aは、各LED1から放射状に出る光の方向をX方向に屈折させるものである。また、第1集光レンズ部22aを通過した光が例えば焦点を結ぶように収束方向に向かわず、略平行光になる場合や、若干広がりながら進む場合であっても、放射状に進む光を内側(例えば各LED1の光軸側)に向けて屈折させるのであれば、X方向に集光しているものとする。
【0022】
取付構造23は、金属やプラスチックから成り、基板本体21の各LED1に対し第1集光レンズ部材22をZ方向所定の位置に保持するためのスペーサ23aと、スペーサ23aに第1集光レンズ部材22をZ方向に押付けるバネ部材23bと、スペーサ23aに保持された第1集光レンズ部材22のY方向の移動を規制し、また、第1集光レンズ部材22をスペーサ23aに押付けるストッパ部材23cとを有する。スペーサ23aは基板本体21の一部であっても別部材であっても良い。本実施形態ではスペーサ23aは基板本体21と別部材で、プラスチック製であり、型成形品である。
【0023】
本実施形態では、第1集光レンズ部材22のX方向の中間部に切欠き部22bが設けられている。切欠き部22bは第1集光レンズ部材22のX方向の中間部をY方向に切欠くことにより形成されている。第1集光レンズ部材22がスペーサ23aに保持されると、当該切欠き部22bのX方向の両側がそれぞれ、スペーサ23aの一部にX方向外側から当接する。つまり、第1集光レンズ部材22には、スペーサ23aにX方向の一方から当接する第1の当接部22cと、スペーサ23aにX方向の他方から当接する第2の当接部22dとが設けられている。
【0024】
スペーサ23aの前記一部のX方向の寸法公差を100分の3mm以下等の小さなものとし、切欠き部22bのX方向の寸法公差も100分の3mm以下等の小さなものとすることにより、各LED1の光軸の位置と各第1集光レンズ部22aのX方向中央部とを一致させ、若しくは実質的に一致させることができ、又は、各LED1の光軸の位置と各第1集光レンズ部22aのX方向位置とを合わせることができる。合わせるとは、X方向に集光されたX方向集約光が各第1集光レンズ部22aから出ている状態で、隣り合うX方向集約光の互いの光軸がなす角度が5°以下、望ましくは3°以下、より望ましくは1°以下になることを言う。つまり、各X方向集約光の光軸がZ方向に延びる仮想線に対し成す角度が数十度であっても、隣り合うX方向集約光の互いの光軸がなす角度が前記角度以下であれば良いが、各X方向集約光の光軸がZ方向に延びる仮想線に対し成す角度は0°に近いことが望ましい。基板本体21上への各LED1の実装位置の誤差も、近年の技術改良により100分の数mm以下にすることが可能であり、スペーサ23aと第1集光レンズ部材22との上記係合があるため、このように一致させ、又は実質的に一致させることができる。
一方、スペーサ23aの前記一部のX方向の寸法を前記切欠き部22bのX方向の寸法より0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上小さく設定し、各LED1に対する第1集光レンズ部材22のX方向の位置を微調整可能に構成することも可能である。
【0025】
なお、本実施形態では、スペーサ23aは基板本体21と共に複数のボルト(固定部材)24によってヒートシンク11に固定される。本実施形態では、スペーサ23aおよび基板本体21に設けられるボルト孔の内径とボルト24の外径との隙間も100分の数mmに設定され、スペーサ23aも基板本体21に対しY方向に精密に位置決めされている。なお、スペーサ23aと基板本体21とがX方向に係合するように構成し、これによりスペーサ23aを基板本体21に対しX方向に精密に位置決めすることも可能である。
【0026】
上記のように各第1集光レンズ部材22がスペーサ23aに保持された状態で、バネ部材23bをスペーサ23aにボルト(固定部材)23dで固定する。ボルト23dでバネ部材23bのY方向一端側をスペーサ23aに固定すると、バネ部材23bのY方向他端側とスペーサ23aとの間に第1集光レンズ部材22の一部が挟持される。この時、バネ部材23bが弾性変形し、当該弾性変形の反力を用いて第1集光レンズ部材22の一部がスペーサ23bに押付けられ、スペーサ23aに取付けられる。
【0027】
ここで、第1集光レンズ部材22とスペーサ23aとがX方向に厳密に当接するよう構成されず、前述のように、各LED1に対する第1集光レンズ部材22のX方向の位置を微調整可能に構成されている場合、第1集光レンズ部材22の一部がバネ部材23bの反力でスペーサ23bに押付けられた状態で、第1集光レンズ部材22のX方向の位置を微調整することができる。この時、第1集光レンズ部材22の一部がバネ部材23bの反力でスペーサ23aに押付けられているので、第1集光レンズ部材22がスペーサ23aや各LED1に対しX方向に無用に動かない状態で、前記微調整作業を行うことができ、当該作業を容易かつ正確に行うことができる。
この場合、基板ユニット20を1つずつ点灯し、そのX方向集約光の方向や照度を確認することにより、各基板ユニット20の第1集光レンズ部材22について前記微調整や位置が正しいことを確認することができる。このように製造すると、ライン状照明位置の光量のムラや光量を確保する上で有利であり、精度の高い製品をスムーズに製造する上でも有利である。さらには、X方向寸法が数mの長い照明装置を製造する場合、基板ユニット20を測定された照度の低い順に並べると、ラインセンサの画角内の光量のムラを低減することに貢献する。
【0028】
また、ストッパ部材23cは第1集光レンズ部材22のY方向一端にY方向に当接している。一方、ストッパ部材23cは複数のボルト24によって基板本体21と共にヒートシンク11に固定される。これにより、ストッパ部材23cは第1集光レンズ部材22のY方向他端にY方向に当接し、第1集光レンズ部材22のY方向の移動を規制すると共に、第1集光レンズ部材22をストッパ23aに押付け、第1集光レンズ部材22のX方向およびY方向の移動を規制する。ここで、前述のように第1集光レンズ部材22の一部がバネ部材23bの反力でスペーサ23aに押付けられているので、第1集光レンズ部材22の位置がずれないようにしながらストッパ部材23cの固定を行うことができる。
【0029】
ここで、ストッパ部材23cや基板本体21やスペーサ23aの一部に第1集光レンズ部材22の前記Y方向一端側で第1集光レンズ部材22にZ方向に当接するZ方向当接部を設けることも可能である。
さらに、第1集光レンズ部材22を前記Z方向当接部にZ方向に押付ける移動規制部材を設けることも可能である。この移動規制部材は、例えばバネ部材の反力で第1集光レンズ部材22を前記Z方向当接部にZ方向に押付けるように構成できる。この場合、前記ストッパ部材23cで第1集光レンズ部材22をスペーサ23aに押付けずに、ストッパ23cを前記第1集光レンズ部材22にY方向に軽く当接させるだけで、第1集光レンズ部材22のX方向の移動を規制することもできる。
【0030】
このように、第1集光レンズ部材22は上記のようにX方向およびY方向の移動が規制され、バネ部材の弾性変形の反力によって位置決めされ、取付けられている。本照明装置が製鉄所の数百度の鋼板の表面に光を照射するために用いられる場合は、前記当接部は常温で僅かな隙間が生ずるよう締り嵌め設定でないことが好ましい。これにより、基板ユニット20付近の温度が数百度になったとしても、熱膨張による変形分を締り嵌めでないことやバネ部材の弾性変形等により吸収し、第1集光レンズ部材22に変形や破損が生じ難い。また、本実施形態では第1集光レンズ部材22がガラスから成るのでレンズの熱変形も生じ難い。このため、所望の精度や性能を長時間に亘って維持することが可能である。
【0031】
第2集光レンズ部材40はライン状照明装置とほぼ同じ長さを有する円柱状レンズである。直径は十数mm〜数十mmであり、アクリル樹脂等の透明なプラスチックやガラス等から成る。ライン状照明装置は長いもので数mになり、3mを超えるものも多いので、第2集光レンズ部材40もライン状照明装置とほぼ同じ長さの数mとなる。なお、第2集光レンズ部材40を複数の円柱状レンズを接続して形成することも可能であるが、接続部が集光位置に映り込む場合があるので、1本の円柱状レンズから形成することが好ましい。
【0032】
本実施形態では、第2集光レンズ部材40が円柱状レンズから成るので、第2集光レンズ部材40の入光面40aと出光面40bの両方で各第1集光レンズ部22aからの光がY方向に集光する。つまり、入光面40aと出光面40bが第2集光レンズ部として機能する。
ここで、第2集光レンズ部40a,40bは、
図2に示すように、各LED1から放射状に出る光の方向をY方向に屈折させるものである。また、第2集光レンズ部40a,40bを通過した光が例えば焦点を結ぶように収束方向に向かわず、略平行光になる場合や、若干広がりながら進む場合であっても、放射状に進む光を内側(例えば各LED1の光軸側)に向けて屈折させるのであれば、Y方向に集光しているものとする。
【0033】
第2集光レンズ部材40が上記のように長くなると、第2集光レンズ部材40自体をその長さ方向に亘って均一に成形することが難しくなる。特に、第2集光レンズ部材40の外径が大きくなると、第2集光レンズ部材40の外径をその長さ方向に亘って均一に成形することが難しくなる。均一な製造を求めると第2集光レンズ部材40の製造コストが大幅に上昇する。また、第2集光レンズ部材40の照明装置本体10への組付時に第2集光レンズ部材40のY方向やZ方向の位置が若干ずれる場合があり、また、第2集光レンズ部材40や側面板13が自重によって撓み、第2集光レンズ部材40のY方向やZ方向の位置がずれる場合もあるので、これらの点に注意を払う必要もある。
【0034】
屈曲レンズ部材50はライン状照明装置とほぼ同じ長さ範囲に設けられたプリズムレンズであり、アクリル樹脂等の透明なプラスチックやガラス等から成る。屈曲レンズ部材50は、平面状の入光面50aと、X方向に並設された複数の三角柱状のプリズムレンズを有するプリズム面50bとを有する。各プリズムレンズは、Z方向に延びる仮想線に対し30°の角度を有するようにX方向に傾斜している反射面50cと、隣り合う反射面50cの間を繋ぐ透過レンズ面50dとを有する。
【0035】
本実施形態では、一例として、透過レンズ面50dはZ方向に延びる仮想線に沿う方向に延設され、又は該仮想線に対し3°以下の角度でX方向に傾斜している。また、プリズムレンズのX方向のピッチPは1mm以下であることが好ましく、本実施形態では0.5mm以下である。なお、プリズムレンズのX方向のピッチは1mmを超えるものであっても構わないが、小さい方がライン状照明位置の光の均一性を上げる上で好ましい。
【0036】
このライン状照明装置は、X方向の両端側に基準光源としてレーザー光源を備えている。各レーザー光源は第1および第2集光レンズ部材22,40を介さずに、屈曲レンズ部材50を介してライン状照明位置に向かって直径数mm程度の平行光を照射する。複数のLED1のうちX方向の一端および他端の特定のLED1を基準光源として用いることも可能である。この場合、特定のLED1の光が第1および第2集光レンズ部材22,40および屈曲レンズ部材50を介してライン状照明位置に照射される。
【0037】
前述のように組付けられた照明装置では、各LED1からの光は各第1集光レンズ部22aによりX方向に集光し、第2集光レンズ部40a,40bによりY方向に集光し、その後、入光面50aから屈曲レンズ部材50内に入光し、各反射面50cによってX方向に曲げられ、各透過レンズ面50dおよび保護レンズ部材60を通過してライン状照明位置に到達する。各第1集光レンズ部22aおよび第2集光レンズ部40a,40bにより、各反射面50cに入光する光は、Z方向に向かう平行光の成分が多くなっている。
【0038】
ここで、各反射面50cおよび各透過レンズ面50dによりどの程度X方向に光が曲げられるかについて、
図10および11を用いて説明する。
図10および11では、Z方向に延びる仮想線(
図10中の一点鎖線、以下同じ)に対し各反射面50cがX方向に傾斜する傾斜角がαで示され、各反射面50cを通過した光がZ方向に延びる仮想線に対してX方向に傾斜する角度がθa、θb、θc、θd、およびθeで示されている。
図10では、第2集光レンズ部材40からの光L1は仮想線と平行な光であり、第2集光レンズ部材40からの光L2は仮想線に対しX方向一方に1°傾斜しており、第2集光レンズ部材40からの光L3は仮想線に対しX方向一方に2°傾斜しており、第2集光レンズ部材40からの光L4は仮想線に対しX方向他方に1°傾斜しており、第2集光レンズ部材40からの光L5は仮想線に対しX方向他方に2°傾斜しています。
【0039】
図10では、L1はあるLED1からその光軸に対し5°の角度をなす方向に出た光の経路であり、L2およびL4はLED1からその光軸に対し15°の角度をなす方向に出た光の経路であり、L3およびL5はLED1からその光軸に対し25°の角度をなす方向に出た光の経路である。このように、LED1からの光の全てが完全な平行光(進む方向が平行な光)にならずに進む向きが数度異なる光が含まれる場合、第2集光レンズ部材22を通過した時点等で隣り合うLED1からの光が互いに混ざり、これによりライン状照明位置の光量のムラが低減される。
【0040】
図11に例示するように、各反射面50cおよび各透過レンズ面50dを通過した光の進む方向は、屈曲レンズ部材50を形成する材質の屈折率、傾斜角α、光の入射方向等によって変わる。なお、
図10および11の例では、各透過レンズ面50dは仮想線に沿う方向に延びている。強度、耐久性、値段等を考慮すると、屈曲レンズ部材50を形成する材質としては透光性を有するプラスチック、ガラス等がよく用いられるが、これらの屈折率は1.5近傍であることが多い。また、このようなレンズ製品の実際の屈折率を1.3まで下げることはかなり難しく、事実上1.3以上となる。このため、傾斜角αが40°以下であれば、屈折された光がライン状照明位置に照射されるので、本製品が機能する。また、傾斜角αが20°以上であれば、各屈曲レンズ部材50cを通過した光が仮想線に対しX方向に確実に傾いているので、縦傷の検査に有効である。
【0041】
図10に例示するように、各反射面50cに入射する光の全てが完全な平行光(進む方向が平行な光)にならずに、進む向きが数度異なる光が含まれる場合は、各屈曲レンズ面50cを通過した光も完全な平行光にはならず、進む向きが異なる光が含まれることになるが、これはライン状照明位置の光量のムラを低減する上で有利である。
なお、ライン状照明位置の光量のムラをより低減するため、各反射面50cの傾斜角αを隣り合う反射面50c、又は近傍の(数個離れた)反射面50cの傾斜角αと数度異ならせることも可能である。
【0042】
なお、
図12および13に例示するように、反射を用いず、Z方向軸に沿って進む平行光を屈折だけでX方向に曲げる場合、例えば、屈折率が1.49の材質の屈曲レンズ部材70で仮想線に対する傾斜角度αが50°の屈折面70aで屈折させる場合、屈折された光と仮想線との成す角度は35°以下である。この方式では、傾斜角度αや屈折率を調節しても、35°以上に屈折した光を効率良くライン状照明位置に送ることは難しい。
【0043】
前述のように組付けられ照明装置となった後、
図14および15のように、当該ライン状照明装置をアライメント調整装置の支持部110によって支持する。アライメント調整装置は支持部110と後述する照度測定装置を有する。本実施形態では、実際に使用する場合に用いられる照明装置本体10のねじ孔等の相手側取付部を用いてライン状照明装置が支持部110に取付けられるが、相手側取付部を用いずに、支持部110にライン状照明装置を専用治具で押付けて取付けても良い。支持部110は、
図15のように、支持部110の傾動取付孔111がベース112に傾動可能に支持されている。このため、支持部110の支持角度をX方向に延びる軸線(傾動取付孔111の中心を通る軸線)中心に変更し、これにより、支持部110によって支持されるライン状照明装置の支持角度をX方向に延びる軸線を中心に任意に設定することができる。本実施形態では、一例として、前記支持角度を納入先における実際の設置角度に設定している。この状態で、各LED1及び各レーザー光源を点灯し、照度測定装置によって照度測定を行う。
【0044】
照度測定装置は、
図14および15に示すように、支持部110に沿ってX方向に延びるレール121と、ステッピングモータ等のモータを有するセンサX方向位置移動手段(図示せず)によりレール121上を移動するセンサホルダ122と、センサホルダ122に保持された微小点照度センサ123と、センサホルダ122および微小点照度センサ123に接続された処理装置124と、処理装置124に接続された表示装置125と、処理装置124に接続されたプリンター126とを有する。処理装置124はCPU、メモリ等を有するコンピュータであり、照度測定および測定結果データ作成を行うように処理装置124を動作させる測定プログラムを格納している。レール121は支持部110に対してフレーム121aを介して支持され、支持部110に支持されたライン状照明装置と平行に延びるように設けられている。つまり、支持部110の配置角度が前記のように変えられると、レール121の位置も変わる。また、照度測定装置は、レール121をフレーム121a上でZ方向に移動させる図示しないステッピングモータ等の駆動手段を有し、これにより、
図15に示すように微小点照度センサ123とライン状照明装置とのZ方向の距離を調整することができる。前記センサX方向位置移動手段は前記測定プログラムに基づく処理装置124からの指令によって動作し、これにより、前記プログラムに基づいて微小点照度センサ123がセンサホルダ122と共にレール上を移動する。センサホルダ122は、
図15に示すように、前記測定プログラムに基づく処理装置124からの指令によって微小点照度センサ123の位置を前記Y方向に移動するステッピングモータ等のモータを有するセンサY方向移動手段122aを有する。
【0045】
微小点照度センサ123は、直径1mm程度の導光孔123aを有する遮蔽板123bと、支持部110に支持されたライン状照明装置からの光を遮蔽板123bの導光孔123aを通して受光部123cで受光する照度センサ123dとを有する。つまり、微小点照度センサ123は、直径1mm程度の導光孔123aを通過する光の照度を測定する。本実施形態では、直径1mm程度の導光孔123aを用いて微小点照度の測定を行うが導光孔123aの直径は第2集光レンズ部材40のY方向寸法(本実施形態の場合は直径)の1/10以下であれば、微小点照度の測定が可能である。しかし、導光孔123aが小さいほど精度の良い測定ができるので、前記数値は1/15以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましい。
【0046】
本実施形態では、導光孔123aの中心軸はX方向に42°傾いている。つまり、導光孔123aの中心軸の延びる方向が、後述の屈曲レンズ部材50の各反射面50cおよび各透過レンズ面50dを通過した光がZ軸方向に延びる仮想軸線に対しX方向に傾く角度(設計上狙いとする角度)で導光孔123aの中心軸がX方向に傾いている。なお、この角度を前記設計上狙いとする角度に対し10°以下や20°以下の範囲で異ならせることも可能である。これにより、導光孔123aの内壁は、屈曲レンズ部材50による光の平均的な屈折方向に沿って延びることになり、照度センサ123dが主に前記平均的な屈折方向に沿って進む光の微小点照度又は微小点光量を測定することになる。ここで、遮蔽板123bの厚さは導光孔123aの直径以上、好ましくは1.5倍以上であることが好ましい。一方、中心軸がX方向に全く傾いていない導光孔123aを用いても、ライン状照明位置における光量や光量のムラを確認することは可能である。
【0047】
照度測定を行うためにライン状照明装置を支持部110によって支持し、処理装置124が測定の開始の命令を受付けると、前記測定プログラムにより照度測定が開始される。この時、処理装置124は、測定するライン状照明装置の製造シリアル番号も受付ける。以下では、前記測定プログラムに基づく処理装置124からの指令によってセンサホルダ122、微小点照度センサ123、表示装置125、及びプリンター126が動作する。
先ず、支持部110に支持されたライン状照明装置のライン状照明位置において、X方向に延びる第1の仮想線上の複数位置で微小点照度を測定する。このために、センサホルダ122が微小点照度センサ123をY方向の所定位置(Y1)に保持した状態でセンサホルダ122をX方向に移動させ、微小点照度センサ123がX方向に数mm移動する毎に微小点照度を測定する。この測定は、X方向における各レーザー光源による照射位置の範囲まで行う。
続いて、前記第1の仮想線と平行に延び前記第1の仮想線に対してY方向に所定距離(例えば1mm)だけ離れた第2の仮想線上(Y2の位置)の複数位置で微小点照度を測定する。このために、センサY方向移動手段122aが微小点照度センサ123をY方向に前記所定距離(1mm)移動させ、微小点照度センサ123がX方向に数mm移動する毎に微小点照度を測定する。
このように、第1の仮想線上で測定を行った後、nを1ずつ増やしながら、第n−1(nは2以上の整数)の仮想線と平行に延び前記n−1の仮想線に対してY方向に所定距離だけ離れた第nの仮想線上の複数位置で微小点照度を測定する。本実施形態ではnが9になるまで(Y1〜Y9の位置で)上記の測定を行う。本実施形態ではnが9になるまで測定するが、nは2以上であれば良い。また、nが数十〜100になるまで測定を行うと、より正確な測定を行うことができる。
【0048】
上記測定が終わると、前記測定プログラムにより処理装置124は、測定された複数の微小点照度のデータをそのX方向およびY方向の測定位置と対応させた測定結果データを製造シリアル番号と関連付けて作成し、表示装置125に表示する。例えば、
図16に示すように、横軸がX方向に対応し縦軸がY方向に対応する照度の等高線図(マップデータ)を前記測定結果データとして作成する。この照度の等高線図には、前記基準光源による照射位置2aが示されている。ここで、基準光源の光の波長がLED1に対して特殊である場合、その波長に基づいて処理装置124は基準光源による照射位置を求め、照度の等高線図に示す。一方、基準光源として特定のLEDを用いる場合、基準光源を他のLED1と別に点灯した上で、上記測定を行い、その測定結果に基づいて基準光源による照射位置(測定したレーザー光の照度データそのものでも可)2aを照度の等高線図に示すことも可能である。なお、本実施形態では、照度の等高線図を用いているが、X軸がX方向に対応し、Y軸がY方向に対応し、Z軸が照度に対応する3次元グラフ(グラフデータ)や、その他のグラフで前記測定結果データを作成することも可能である。
【0049】
上記照度の等高線図を参照し、照度が所定値以上の範囲(例えば
図16で最も色が濃い範囲)がX方向の一部でY方向にずれて蛇行している場合等は、そのX方向位置に対応する少なくとも1つの基板ユニット20の位置を修正する処理や、その基板ユニット20を新しい基板ユニット20と交換する処理等を行い、上記蛇行を修正することができる。これら調整が終わった後、上記測定および上記照度の等高線図の作成および表示を再び行うこともできる。
【0050】
上記測定の結果、照度が所定値以上の範囲のY方向へのずれ(蛇行)が基準範囲内であれば、処理装置124の指令でプリンター126が照度の等高線図を印刷し、作業者がライン状照明装置を支持部110から取外し、他の所定の検査等を行った後、所定の梱包容器に梱包する。取外した後に完成品とするための工程を行っても良い。
前記印刷される物には前記製造シリアル番号も記載されている。上記の1回目の照度の等高線図を参照し、照度が所定値以上の範囲のY方向へのずれ(蛇行)が基準範囲内であれば、基板ユニット20等の位置調整をせずに、処理装置124がプリンター126によって照度の等高線図を印刷し、作業者がライン状照明装置を支持部110から取外し、他の所定の検査や、完成品とするための工程を行った後、所定の梱包容器に梱包する。そして、梱包したライン状照明装置を前記印刷した照度の等高線図と共に納入先に送る。なお、照度の等高線図を電子データで納入先に送ることも可能である。納入先に送る測定結果データは、照度の等高線図ではなく、上記グラフであっても良く、測定した微小点照度測定値をX方向およびY方向の測定位置と対応させた数値データであっても良い。
【0051】
ここで、上記調整が終わった後、照度が所定値以上の範囲のY方向のずれが完全に修正しきれない場合や、照度が所定値以上の範囲が真っ直ぐではあるが全体的にY方向にずれている場合に、基準光源の照射方向をY方向に調整することも可能である。例えば、
図16では2つの基準光源の照射位置2aがY5の付近にあらわれているが、各基準光源の照射方向をY方向に調整し、各照射位置2aがY4の位置等にあらわれるようにしても良い。
【0052】
なお、上記の測定、測定結果データの作成、必要に応じた基板ユニット20のY方向位置等の調整、調整後の再度の測定、および測定結果データの再度の作成は、照明装置の長手方向の寸法が大きい場合や、第2集光レンズ部材40の長さ寸法や直径が大きい場合は、製造する製品の全数に対して行わないと製品を高精度とすることができない。納入先において求められる仕様にもよるが、一般的に、第2集光レンズ部材40の長さが1000mm以上の場合に製品全数に対して行うことが好ましく、800mm以上の場合に製品全数に対して行うことがより好ましい。また、第2集光レンズ部材40の直径が40mm以上の場合に製品全数に対して行うことが好ましく、30mm以上の場合に製品全数に対して行うことがより好ましい。なお、納入先で特に精度が要求される場合は、上記の長さや直径以下の場合にも、製造する製品の全数に対して上記を行うことが好ましい。
【0053】
なお、上記では、第2集光レンズ部材40および屈曲レンズ部材50を取付けた状態で上記測定を行ったが、第2集光レンズ部材40および屈曲レンズ部材50を取付けない状態で上記と同様の測定を行うことも可能である。この場合、導光孔の中心軸がX方向に全く傾いていない遮蔽板123bを用いることが好ましい。この測定を行うと、第2集光レンズ部材40および屈曲レンズ部材50の取付け前に、照度の等高線図等の測定データ上で修正又は交換すべき基板ユニット20を見つけることができ、製造の効率を向上することができる。
【0054】
本実施形態では、1本の仮想線ではなく、Y方向に位置をずらした複数の仮想線上でそれぞれ複数の微小点照度を測定し、その測定データをX方向およびY方向の測定位置と対応させた測定結果データを作成するので、ライン状の集光位置で最も照度が高くなっている位置やラインを確実に判定することができる。また、測定結果データに基づき基板ユニット20等のY方向の位置を調整するので、例えば第2集光レンズ部材40や照明装置本体10の自重により第2集光レンズ部材40にわずかな曲がりが生じる場合であっても、調整によりライン状の照射位置の精度を確保することが可能である。また、前記のように全製品について測定を行うことにより、納入先ではライン状照明装置の照射位置の精度に疑問を抱かずに設置作業を行うことができ、納入先での設置および調整を容易に行うことができる。
【0055】
また、測定結果データをライン状照明装置の製品を納入した納入先に納入するので、納入したライン状照明装置が照射位置に許容範囲内のわずかな曲がり等を有する場合であっても、納入先ではその特性を考慮しながらライン状照明装置の設置作業を行うことができる。このため、わずかな曲がり等の特性があることに気付かずに設置作業を行う場合に比べ、作業効率が大幅に向上する。
【0056】
また、ライン状照明装置が納入先における設置角度に設置された状態で測定および測定結果データの作成を行うので、納入先における設置状態での集光レンズや照明装置本体のわずかな撓みも加味した測定結果データとなり、納入先における設置作業の容易化に極めて有用である。
また、納入先でライン状照明装置の設置作業を行う時に、例えば基準光源の照射位置を基準にラインセンサカメラを仮止めし、基準光源の照射位置が示されたマップデータ又はグラフデータを参照しながらライン状照明装置又はラインセンサカメラの位置を微調整することができる。すなわち、基準光源の照射位置を目印に設置作業を行うことができるので、作業効率がより向上する。
また、基準光源の光が第2集光レンズ部材40を介さずにライン状照明位置に照射される場合、第2集光レンズ部材40のわずかなうねり等により乱されることが無く、設置作業を行う際の目印としてより信頼することができる。
【0057】
また、基準光源は、照明装置本体10のヒートシンク11等の他の場所に取付けることも可能であり、基板ユニット20上に実装することも可能であり、これらの場合でも上記と同様の効果を得ることは可能である。また、基準光源としてレーザー光源の代わりに指向性の強いLED光源や他の公知の光源を設けることも可能である。また、基準光源としての基準光源を、ライン状照明装置のX方向の両端側だけではなく、中央付近にも設けることが可能である。
【0058】
上記のように構成されたライン状照明装置では、第1集光レンズ部材22および第2集光レンズ部材40によって各LED1からの光がX方向およびY方向に集光するので、放射状に光を出す複数のLED1からの光を複数の反射面50cに向かうように効率良く案内することができる。そして、第1集光レンズ部材22および第2集光レンズ部材40によって集光された光がX方向に並ぶと共にX方向に傾斜した複数の反射面50cで反射され、その反射光が各透過レンズ面50dを通ってライン状照明位置に照射されるので、光量を無用に低減することなく、小さなスペースで効率良くLED1の並設方向(X方向)に光軸を傾けることができる。このため、
図7〜9において示す横傷K1だけではなく縦傷K2の検出も確実に行うことを可能にする。例えば、
図8および9で太い破線の範囲に影が生じる。
【0059】
一方、各第1集光レンズ部22aを通過した光はX方向には集光されているがY方向には放射状に拡がりながら進む。このため、第1集光レンズ部22aと第2集光レンズ部40aとの距離や、第2集光レンズ部40aのY方向の寸法や、第2集光レンズ部40a,40bの曲率を調整することにより、第2集光レンズ部を通過した光のY方向の幅、即ち複数の反射面50cおよび透過レンズ面50dを通過した後のライン状の照明範囲の幅を調整することができる。このため、光量を無用に低減することなく、LED1の並設方向(X方向)に光軸を傾けることができ、しかもライン状の照明範囲の幅を任意に設定することが可能である。
【0060】
また、各第1集光レンズ部材22は複数の第1集光レンズ部22aを有する。このため、1つ1つの第1集光レンズ部22aを各LED1に対し位置決めするよりも、各第1集光レンズ部22aの各LED1に対する位置決めを容易に行うことができる。また、第1集光レンズ部材22が基板ユニット20に取付けられている。このため、基板ユニット20を作成した時点で、各LED1と各第1集光レンズ部22aとの位置合わせができている。従って、所望の特性が得られない時の調整作業や、メンテナンス時の交換作業を容易に行うことができる。
【0061】
図17に示すように、各屈折率について、反射面50cの下端に入射した仮想線に平行な光が左隣の反射面50cの上端より上に抜ける傾斜角度αを計算すると、
図18のようになる。これに対する近似曲線を設定すると、例えば、傾斜角度α=15.06°×屈折率+7.1°となる。反射面50cの下端に入射したZ方向軸に平行な光が左隣の反射面50cの上端より上に抜けるという事は、光を無駄なく使っている状態であると言える。
入射光がZ方向軸に平行な光だけではなく、数度傾いている光や、その他の角度の光も入射されることを考慮し、有効に活用される光の量を多くするため、傾斜角度α≦15°×屈折率+7.25°+5°、好ましくは傾斜角度α≦15°×屈折率+7.25°+3°の範囲になるように、反射面50cの傾斜角度を設定することが好ましい。
【0062】
なお、
図17および
図18は各透過レンズ面50dが仮想線に平行である場合について検討したが、透過レンズ面50dが、その下端が対応する反射面50c側に近づくように仮想線に対しX方向に10°以下の傾きで傾斜する場合や、その下端が対応する反射面50cから離れるように仮想線に対しX方向に30°以下の傾きで傾斜する場合でも、上記範囲になるように反射面50cの傾斜角度を設定することが好ましい。
【0063】
尚、本実施形態では、第1集光レンズ部材22の各第1集光レンズ部22aが照射位置に向かって凸レンズであるものを示したが、照射位置に向かって凹レンズであっても良い。また、出光面側ではなく入光面側に各LED1に対応するように第1集光レンズ部を設けることも可能であり、そのレンズ部を各LED1に向かって凸レンズとすることも凹レンズとすることも可能である。さらに、入光面側と出光面側の両方に各LED1に対応するように第1集光レンズ部を設けることも可能である。本実施形態では、入光面22eが平面であり、その入光面22eがスペーサ23aに当接するので、各LED1に対し各第1集光レンズ部22aのZ方向の位置精度を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、円柱状レンズである第2集光レンズ部材40により第2集光レンズ部を構成している。これに対し、断面半円形状や蒲鉾形状等のY方向に集光するシリンドリカルレンズを用い、このレンズの曲面を第2集光レンズ部として機能させることも可能である。また、上記のようなシリンドリカルレンズを2つ以上用い、これらレンズの曲面を第2集光レンズ部として機能させることも可能である。また、シリンドリカルレンズの代わりにY方向に集光するリニアフレネルレンズを用いることも可能である。
【0065】
なお、本実施形態では、第1集光レンズ部材22および第2集光レンズ部材40により各LED1からの光をX方向およびY方向に集光したが、第1集光レンズ部材22および第2集光レンズ部材40の代わりに各LED1に対応するように球状レンズを設け、各LED1からの光を各球状レンズによってX方向およびY方向に集光することも可能である。もちろん、その他の周知のレンズを用いてX方向およびY方向の集光を行うことも可能である。
【0066】
また、本実施形態では、各基板ユニット20に1つの第1集光レンズ部材22が取付けられているが、各基板ユニット20に2つ以上の第1集光レンズ部材を取付けることも可能である。さらに、第1集光レンズ部材として、
図19のように円柱状レンズ25を用いることも可能である。この場合、各LED1に対応するように各円柱状レンズ25が位置決めされる。この場合であっても、各円柱状レンズ25をバネ部材の反力を用いて基板ユニット20に取付けることが可能である。さらに、第1集光レンズ部材22や、第1集光レンズ部材としての前記複数の円柱状レンズ25を照明装置本体10側に固定することも可能である。
【0067】
また、本実施形態では、各反射面50cが平面状であるものを示したが、若干の曲率を有していても、上記の作用効果を奏する。また、各反射面50cとしては、透光性材料から成る屈曲レンズ部材50と空気との境界面だけではなく、屈曲レンズ部材50と他の材質から成る部材の境界面や、金属等の光を反射し易い材質から成る反射板の面も用いることが可能である。
【0068】
また、前記測定では遮蔽板123bを用いたが、照度センサ123d自体が微小点照度や光量を測定できるものであれば、遮蔽板123bを用いなくても良い。この場合、Y方向に並べられた複数の画素(照度センサ)を有するラインセンサを微小点照度センサとして用いると、1度X方向に走査するだけで、複数の仮想線上でそれぞれ複数の微小点照度や微小点光量を測定することができる。
【0069】
また、本実施形態では、バネ部材23bを基板ユニット20のスペーサ23aに固定したものを示したが、基板ユニット20のスペーサ23a以外の部分に固定することも可能であり、照明装置本体10に固定することも可能である。これらの場合であっても、第1集光レンズ部材22をバネ部材の弾性変形の反力を用いて基板ユニット20に取付けることができる。
【0070】
また、レール121、センサホルダ122、および微小点照度センサ123の代わりに、ラインセンサカメラを設け、先ず、第1の仮想線上で集光位置の照度や輝度を測定し、続いて第nの仮想線上で集光位置の照度や輝度を測定し、この測定結果に基づいて測定結果データの作成を行っても良い。ラインセンサカメラを用いる場合、ラインセンサカメラ自体の撓みの問題が発生するので、レール121、センサホルダ122、および微小点照度センサ123を用いた測定の方が正確且つ安価な測定が可能である。
また、照度センサ124dの代わりに、光量(光度、光束、輝度等の光の量)を測定する他のセンサを用いても良い。
【0071】
前記実施形態で行う複数の仮想線上の複数位置での微小点照度の測定、測定結果データの作成、測定結果データに基づく基板ユニット20等の位置調整、再測定、および再測定データの測定結果データの作成は、納入先で行っても良い。この場合、納入先に上記アライメント調整装置を持ち込んで、本製品の製造の最終工程を行うことになる。現地で上記測定、測定結果データの作成、測定結果データに基づく基板ユニット20等の位置調整、再測定、再測定データの測定結果データの作成を行うことにより、搬送時に第2集光レンズ部材40や各基板ユニット20のアライメントが変化する可能性を排除できるので、より高精度なライン状照明装置を製造し納入することができる。
【0072】
なお、納入先で上記測定を行う場合、納入先でライン状照明装置を実際に取付ける取付部を本願発明の支持部として使用することができる。この場合、支持部に支持した状態で納入先に納入することが可能である。これにより、実際の使用条件に近い状態で上記測定、測定結果データの作成、測定結果データに基づく基板ユニット20等の位置調整、再測定、再測定データの測定結果データの作成を行うことができるので、より実機に則したライン状照明装置を製造し納入することができる。
【0073】
つまり、前記実施形態とあわせると、納入とは、前記支持部に支持した状態で、又は、前記支持部から前記照明装置本体を取外し、又は、前記ライン状照明装置を取外すと共に所定の工程を行うことにより完成品として納入先に納入することを意味し、出荷も納入に含まれる。
なお、ライン状照明装置の寸法や仕様は、検査対象や納入先の要望におうじて変化し、完全に同一の製品を複数の納入先に収めることは少ない。このような製品では、上記のように納入先で製造の最終工程を行うことが好ましい場合が多い。
【0074】
また、納入先でライン状照明装置とラインセンサカメラとの位置を再調整する場合も、基準光源の照射位置が示されたマップデータ又はグラフデータを参照しながらライン状照明装置又はラインセンサカメラの位置を微調整することにより、再調整を容易且つ確実に行うことができる。
【0075】
また、納入先において、上記のように納入された測定結果データを参照しながら、ラインセンサカメラ等の検査用センサと前記納入されたライン状照明装置との位置を調整し、このように調整された状態で前記検査用センサを用いた検査を行うことが可能である。測定結果データに基づき検査用センサとライン状照明装置との位置を調整できるので、検査用センサはライン状の照明位置において照度が高いラインを確実に狙うことができ、検査精度を向上することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、X方向およびY方向に集光された光が屈曲レンズ部材50の入光面50aから屈曲レンズ部材50内に入光するものを示した。これに対し、入光面50aではなくプリズム面50bが各LED1側を望むように屈曲レンズ部材50を照明装置本体10に取付けることも可能である。この場合、X方向およびY方向に集光された光が各反射面50cによって反射されて曲がり、その光が対応する透過レンズ面50dを介して屈曲レンズ部材50内に入光し、その光が入光面50aを介して屈曲レンズ部材50から出光する。