(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストレッチ動作部は、使用者の頭部右側を左方または左前方に押圧するように膨張する第1エアセルと、使用者の頭部左側を右方または右前方に押圧するように膨張する第2エアセルとを備え、
前記制御部は、前記ストレッチ動作部を、前記第1エアセルおよび前記第2エアセルを交互に膨張させることにより前記第1ストレッチ動作を行うように制御する、請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。
前記ストレッチ動作部は、使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる前記第1ストレッチ動作の前または後に全身を反らす第2ストレッチ動作を行う、請求項1から7の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の一態様の概要]
本発明の一態様に係る椅子型マッサージ機は、使用者が着座する座部と、前記座部に着座した使用者の背を支持する背凭れ部と、前記背凭れ部に設けられ、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の肩部にマッサージを行う施療子と、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる第1ストレッチ動作を行うストレッチ動作部と、前記施療子および前記ストレッチ動作部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ストレッチ動作部における前記第1ストレッチ動作の前または後に、前記施療子による使用者の肩部へのマッサージを行うように制御するものである。
【0010】
上記構成によれば、使用者の肩部へのマッサージを行う前または後に使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる第1ストレッチ動作を行うことにより、肩こりの原因である肩甲挙筋の硬化を和らげた上で肩部へのマッサージを行うことができる。したがって、肩こり解消効果のより高いマッサージを行うことができる。
【0011】
前記制御部は、前記ストレッチ動作部における前記第1ストレッチ動作中は、前記施療子による使用者の首部または肩部へのマッサージを行わないように制御してもよい。これにより、ストレッチ動作部における第1ストレッチ動作中は使用者の意識をストレッチに集中することができ、ストレッチ効果をより高めることができる。
【0012】
前記施療子は、前記背凭れ部の上下方向に移動可能な機械式の施療機構を含み、前記制御部は、前記ストレッチ動作部における前記第1ストレッチ動作を行う場合に、前記施療機構を使用者の肩部が上方向または前方向に移動するのを抑制する位置に保持するように制御してもよい。これによれば、第1ストレッチ動作時に使用者の身体の位置が背凭れ部からずれるのを施療機構により防止することができストレッチ動作部による第1ストレッチ動作を使用者に効率よく作用させることができる。
【0013】
前記ストレッチ動作部は、使用者の頭部右側を左方または左前方に押圧するように膨張する第1エアセルと、使用者の頭部左側を右方または右前方に押圧するように膨張する第2エアセルとを備え、前記制御部は、前記ストレッチ動作部を、前記第1エアセルおよび前記第2エアセルを交互に膨張させることにより前記第1ストレッチ動作を行うように制御してもよい。これにより、肩こりの原因である肩甲挙筋を効率よくストレッチさせることができる。
【0014】
前記椅子型マッサージ機は、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の首部または肩部を温めるヒータを備え、前記制御部は、前記ヒータによる使用者の首部または肩部への温め動作前、温め動作中または温め動作後に、前記ストレッチ動作部における前記第1ストレッチ動作を行うように制御してもよい。第1ストレッチ動作に際してヒータによって使用者の首部または肩部を温めることにより、使用者の血管を広げてストレッチ効果をより高めることができる。
【0015】
前記ヒータは、前記背凭れ部の左右中央部に設けられてもよい。これによれば、身体の中心を温めることができ、温熱効果を高めることができる。また、近接離間する施療子に干渉しない位置にヒータを設けることができるため、ヒータの破損を防止できる。
【0016】
前記施療子は、前記ヒータによる前記温め動作時に、前記ヒータを使用者側へ押し上げる動作を行ってもよい。ヒータを施療子により身体に押し付けることができ、お灸のような効果を付与することができる。
【0017】
前記椅子型マッサージ機は、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の末端部の血行を促進させる血行促進動作を行う血行促進動作部を備え、前記制御部は、前記ヒータによる使用者の首部または肩部への温め動作を行う場合に、前記血行促進動作部における前記血行促進動作を併せて行うように制御してもよい。ヒータによる温め動作時に使用者の末端部の血行を促進させるような血行促進動作を併せて行うことにより、使用者の全身の血管を広げてストレッチ効果をより高めることができる。また、首部または肩部以外の箇所においても血行促進動作を行うことにより、首部または肩部のみを温める場合に比べて使用者がのぼせてしまうのを防止することができる。
【0018】
前記ストレッチ動作部は、使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる第1ストレッチ動作の前または後に全身を反らす第2ストレッチ動作を行ってもよい。これによれば、肩甲挙筋へのストレッチに加えて全身のストレッチを行うことにより、全身をリラックスさせることができ、マッサージの効果を高くすることができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る椅子型マッサージ機は、使用者が着座する座部と、前記座部に着座した使用者の背を支持する背凭れ部と、前記背凭れ部に設けられ、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の肩部にマッサージを行う施療子と、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる第1ストレッチ動作を行うストレッチ動作部と、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の首部または肩部を温めるヒータと、前記施療子、前記ストレッチ動作部および前記ヒータの動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ヒータによる使用者の首部または肩部への温め動作前、温め動作中または温め動作後に、前記ストレッチ動作部における前記第1ストレッチ動作を行うように制御するものである。
【0020】
上記構成によれば、ヒータにより使用者の首部または肩部を温めるとともに、使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる第1ストレッチ動作を行うことにより、肩こりの原因である肩甲挙筋の硬化を和らげることができる。したがって、肩こり解消効果のより高いマッサージを行うことができる。
【0021】
本発明の他の態様に係る椅子型マッサージ機は、使用者が着座する座部と、前記座部に着座した使用者の背を支持する背凭れ部と、前記背凭れ部に設けられ、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の肩部にマッサージを行う施療子と、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の首部または肩部を温めるヒータと、使用者が前記座部に着座した状態で使用者の末端部の血行を促進させる血行促進動作を行う血行促進動作部と、前記施療子、前記ヒータ、および前記血行促進動作部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ヒータによる使用者の首部または肩部への温め動作を行う場合に、前記血行促進動作部における前記血行促進動作を併せて行い、前記温め動作前、温め動作中または温め動作後に、前記施療部による使用者の肩部へのマッサージを行うように制御するものである。
【0022】
上記構成によれば、使用者の肩部へのマッサージを行う場合にヒータにより使用者の首部または肩部を温めるとともに血行促進動作部により使用者の末端部の血行を促進させることにより、ヒータによる温熱作用を制限することなく首部または肩部のみを温める場合に比べて使用者がのぼせてしまうのを防止し、使用者の首部の血行を十分に促すことができる。したがって、肩こり解消効果のより高いマッサージを行うことができる。
【0023】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。また、
図2は
図1に示す椅子型マッサージ機の正面図、
図3は
図1に示す椅子型マッサージ機の平面図をそれぞれ示している。
図1に示すように、椅子型マッサージ機1は、使用者が着座する座部2と、座部2の後部側に設けられた背凭れ部3とを備えている。さらに、椅子型マッサージ機1は、使用者が座部2に着座した状態で当該使用者の腕を載置する腕載せ部であるアームレスト4と、使用者の脚部を支持するフットレスト5とを備えている。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、座部2に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0024】
[全体構成]
図1〜
図3に示すように、座部2は平面視で矩形状を成しており、矩形状の座面体10の上部に平坦な座クッション11が配設され、これらが基台(図示せず)の上部に設けられた座フレーム13によって支持された構成となっている。この座クッション11は、ウレタンフォーム、スポンジ、または発泡スチロール等の内装材が、ポリエステル製の起毛トリコット、合成皮革、または天然皮革等から成る外装カバーによって覆われることにより構成されている。
【0025】
座部2の前側には、使用者の脚部のうち膝から足先に至る部分を施療するためのフットレスト5が配設されている。このフットレスト5は側面視で略L字形状を成し、膝から足首に至る部分(以下、「下腿部」)であって主に脹脛(ふくらはぎ)に対応する上側フットレスト14と、足首から足先に至る部分(以下、「足部」)に対応する下側フットレスト15とを、右脚と左脚とにそれぞれ対応して備えている。
【0026】
上側フットレスト14は前方に開いた溝状を成し、脹脛の背面に対向する内底面と脹脛の左右の側面に対向する内側面とによって、脹脛を後方および左右の側方から支持可能になっている。また、下側フットレスト15は上方に開いた溝状を成し、足裏に対向する内底面と足部の左右の側面に対向する内側面とによって、足部を下方および左右の側方から支持可能になっている。
【0027】
座部2の後部側には、使用者の上半身の背面を後方から支持する背凭れ部3が設けられている。この背凭れ部3は、使用者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機1に着座した際に該成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で縦長の略長方形を成している。背凭れ部3は、使用者の上半身の背面に当接する背パッド3aと、背パッド3aを支持する背フレーム29とを有している。そして、この背凭れ部3の上部には、該背凭れ部3によって上半身を支持された使用者の頭部を支持するヘッドレスト6が配設されている。
【0028】
このヘッドレスト6は、使用者の頭部を後方から支持する枕部16と、該枕部16の上部から延びて帯状を成す位置調整用のベルト17と、該ベルト17の先端に取り付けられて枕部16と略同一の重さを有するウェイト(図示せず)とを備えている。一方、背凭れ部3の上端には、左右方向へ長寸のベルト通し帯19が設けられ、その両端が背凭れ部3に固定されている。そして、ヘッドレスト6は、枕部16が背凭れ部3の上部前側に位置するようにして、ベルト17がベルト通し帯19と背凭れ部3の上端との間に通される。これにより、背凭れ部3の上端を境にして前後に枕部16とウェイトとが垂れ下がって両者は釣り合った状態となるため、枕部16を上下に位置調整できるようになっている。
【0029】
また、座部2および背凭れ部3の左右の側方には、座部2に着座した使用者の腕部を支持するアームレスト4が、背凭れ部3の側方位置から座部2に沿って前方へ延設されるようにして配設されている。このアームレスト4は、上部の肘置き部20とその下部のサイドカバー21とから構成されている。肘置き部20は略円筒状を成し、起立した状態の背凭れ部3における上下方向の中央部分より若干上方位置であって、背凭れ部3に上半身を支持された使用者の肩の側方に対応する位置から、下方かつ前方へと向かって座部2の前端近傍に至るまで延設されている。また、肘置き部20の後端から前後方向の中央位置近傍に至る内側部分には、使用者の腕部を肘置き部20内へ挿脱可能な開口20aが形成されている。したがって、この開口20aを通じて肘置き部20の内部へ挿入された使用者の腕部を、手先については略全周囲から、手首近傍から肘を経由して上腕および肩に至る部分については下方、外側方、および上方から、それぞれ支持可能になっている。
【0030】
このような構成の椅子型マッサージ機1により、座部2に着座した使用者は、その全身が背面および左右の側面から包み込まれるようにして支持される。そして、この椅子型マッサージ機1には、使用者を施療するための様々な動作手段が設けられている。具体的には、椅子型マッサージ機1の適宜箇所には複数の施療子が設けられ、座部2に着座した使用者にマッサージを行う。施療子は、例えば、座部2、背凭れ部3、アームレスト4、フットレスト5等に設けられる。例えば、施療子には、膨縮することによって使用者を押圧可能なエアセル7、振動することによって使用者に刺激を与えるバイブ8、温熱作用によって使用者の血行を促進させるヒータ25,26、および、回転することによって使用者に刺激を与えるローラ機構69等が含まれる。また、背凭れ部3には施療子として機械式の施療機構9が設けられ、使用者の上半身の背部を押圧可能になっている。さらに、座部2は左右へ揺動可能であり、背凭れ部3は起伏動可能であり、フットレスト5は昇降動および伸縮動が可能になっている。以下、椅子型マッサージ機1におけるこれらの動作手段について説明する。
【0031】
[エアセル]
図1〜
図3に示すように、座部2には前後左右に並べられた4つのエアセル7aが設けられており、これらのエアセル7aは、合成樹脂製で1つの内部空間を有する扁平な2枚のセルが上下に重畳された構成となっている。そして、後側に設けられた左右のエアセル7aは、給排気装置51(
図1参照)からのエアの給排により膨縮し、座部2に着座した使用者の臀部の左右部分を下方から押し上げるように押圧する。前側に設けられた左右のエアセル7aは、同様に給排気装置51からのエアの給排により膨縮し、座部2に着座した使用者の大腿部の左右部分を下方から押し上げるように押圧する。また、本実施の形態に係る座面体10は中央部分が左右端より下方に位置するよう凹状に窪んでおり、各エアセル7aは座面体10の上面において左右端から中央部分へ至る傾斜面に配設されている。したがって、エアセル7aが膨張すると、使用者の臀部は、左右から若干挟み込まれるようにして上方へ押圧されるようになっている。
【0032】
座部2の両側部の上方には、前後に並設されたエアセル7bが設けられている。後側のエアセル7bは、3枚の合成樹脂製のセルが重畳されており、前側のエアセル7bは、3枚の合成樹脂製のセルが重畳されてさらにその表面側に1枚の布製のセルが重畳されて構成されており、給気により何れも左右方向の中心側へ向かって膨張する。このようなエアセル7bは、膨縮することによって、座部2に着座した使用者の臀部(または腰部)の側部から大腿部の前側部に至る一連の部位を外側方から内側へ向かって押圧可能であり、左右のエアセル7bを同時に膨張することによって臀部(または腰部)を左右から挟持するようにして保持可能になっている。
【0033】
背凭れ部3の下部には、所定の間隔を空けて左右に並べられた2つのエアセル7cが設けられている。このエアセル7cは、3枚の布製のセルが重畳された構成となっており、膨縮することにより、背凭れ部3に上半身を支持された使用者の腰部の左右部分を後方から押圧する。
【0034】
図3に示すように、アームレスト4が有する筒状の肘置き部20の内壁面には複数のエアセル7d〜7hが、手、前腕、上腕および肩に対応するようにして設けられている。このうち手に対応して設けられたエアセル7dは3枚の布製のセルが重畳した構成となっており、肘置き部20の前部にて手の甲と手のひらとに対向するように内壁面の上面と下面とにそれぞれ設けられ、使用者の手を上下方向から挟持するように押圧可能となっている。
【0035】
また、前腕に対応して外側と内側とにエアセル7e,7fが設けられている。このうち外側に設けられたエアセル7eは、合成樹脂製の2枚のセルが重畳されており、前腕の長手方向に沿うように前後に2つ配設されている。そして、前側のエアセル7eによって前腕の前部の外側部および上部を押圧可能であり、後側のエアセル7eによって前腕の後部の外側部および上部を押圧可能になっている。もう1つの内側に設けられたエアセル7fは、合成樹脂製の1枚のセルから構成され、上記エアセル7eと同様に前腕の長手方向に沿うように前後に2つ配設されている。そして、前側のエアセル7fによって前腕の前部の下部および内側部を押圧可能であり、後側のエアセル7fによって前腕の後部の下部および内側部を押圧可能になっている。また、エアセル7e,7fを同時に膨張することにより、前腕全体を包み込むようにして前腕中心方向へ向かって押圧することができる。
【0036】
さらに、上腕および肩に対応してエアセル7g,7hが設けられている。このうち外側に設けられたエアセル7gは合成樹脂製の2枚のセルが重畳されており、肩から肘近傍に至る長尺寸法を有している。もう1つの内側に設けられたエアセル7hは、合成樹脂製の1枚のセルから構成され、上記エアセル7gの前側部分に対向するようにして配置されている。そして、外側のエアセル7gによって上腕および肩の外側部を押圧可能であり、内側のエアセル7hによって上腕の内側部を押圧可能である。また、エアセル7g,7hを同時に膨張することにより、上腕を内外から挟持するように押圧(および保持)しつつ肩を外方から押圧可能になっている。このようにエアセル7g,7hは、背凭れ部3の上半分の領域においてマッサージを行う施療子として機能する。
【0037】
図1〜
図3に示すように、フットレスト5にも複数のエアセル7i〜7mが設けられている。具体的には、上側フットレスト14において脹脛の背面に対向する位置には合成樹脂製の1枚のセルから成るエアセル7iが上下に2つ設けられ、脹脛の外側面に対向する位置には合成樹脂製の2枚のセルから成るエアセル7jが上下に2つ設けられ、脹脛の内側面に対向する位置には合成樹脂製の1枚のセルから成る上下方向に長寸のエアセル7kが1つ設けられている。これらのエアセル7i〜7kにより、使用者の脹脛の後方および両側方から押圧可能になっている。
【0038】
また、下側フットレスト15において踵の左右に対向する位置にエアセル7l、足先の左右の側部に対向する位置にエアセル7mがそれぞれ設けられ、各エアセル7l,7mは何れも合成樹脂製の1枚のセルから構成されている。このうちエアセル7lは、膨張することによって踵(特にアキレス腱付近)を左右から挟持するように押圧(および保持)可能であり、エアセル7mは足の甲を上方から押し下げるようにして押圧(および保持)可能になっている。
【0039】
ヘッドレスト6にも複数のエアセル7n,7oが設けられている。
図4は椅子型マッサージ機が備えるヘッドレスト6の構成を示す正面図であり、
図5は
図4に示すヘッドレスト6の側面図である。
図4および
図5に示すように、ヘッドレスト6が備える枕部16の前面は、左右方向の中央部分が枕部16の下端から上端へ至るまで後方へ窪ませてあり、使用者の後頭部が後方および両側方から支持される。そして、この窪みの左右の側面に沿うようにして2つのエアセル7n,7oが設けられている。このエアセル7n,7oはそれぞれ布製の3枚のセルが重畳されている。
【0040】
右側のエアセル7nは、背凭れ部3の中央部近傍に位置する左側端部7nLが当該左側端部7nLより右方(外側)に位置する右側端部7nRより下方に位置し、かつ、右側のエアセル7nの膨張時において右側端部7nRが左側端部7nLに比べて大きく膨張するように構成される。これにより、右側のエアセル7nは、膨張することによって使用者の頭部の右側(右後頭部)を左方または左前方に押圧可能になっている。また、左側のエアセル7oは、背凭れ部3の中央部近傍に位置する右側端部7oRが当該右側端部7oRより左方(外側)に位置する左側端部7oLより下方に位置し、かつ、左側のエアセル7oの膨張時において左側端部7oLが右側端部7oRに比べて大きく膨張するように構成される。これにより、左側のエアセル7oは、膨張することによって使用者の頭部の左側(左後頭部)を右方または右前方に押圧可能になっている。このようにエアセル7n,7oは、互いに交互に膨張することにより、使用者が座部2に着座した状態で使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる第1ストレッチ動作を行うストレッチ動作部22として機能する。なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「左右方向および/または前方」は、左方、右方、前方(下方)、左前方、右前方を含む。
【0041】
また、ヘッドレスト6の下端部には左右方向両側が中央部に比べて下方に延出した肩当部23が設けられている。肩当部23は、使用者の両肩を上方から支持するように構成される。これにより、使用者の両肩を基準としてエアセル7n,7oを使用者の後頭部に適切に位置合わせすることができる。したがって、ストレッチ動作部22による第1ストレッチ動作の際に良好なストレッチ効果を得ることができる。さらに、肩当部23が使用者の両肩を上方から支持することにより、ストレッチ動作部22による第1ストレッチ動作の際に、使用者の身体がずれるのを防止し、ストレッチ効果を高めることができる。
【0042】
図6は椅子型マッサージ機1の制御に関する構成を示すブロック図である。この
図6に示すように、上述した各エアセル7a〜7oは、可撓性中空のエアチューブを介してポンプおよびバルブ等から成る給排気装置51に接続されている。この給排気装置51は座部2の下方に収容されており、同じく座部2の下方に収容された制御部50からの指示に従って駆動し、各エアセル7a〜7oへの給排気を互いに独立して行うことができるようになっている。そして、制御部50からの指示により給排気装置51が駆動し、エアセル7a〜7oが膨縮することにより、使用者の全身のいたるところをマッサージ動作またはストレッチ動作が可能であり、腕部、臀部(または腰部)、下腿部、および足にいたってはこれを保持することも可能になっている。
【0043】
[ヒータ]
図4および
図5に示すように、ヘッドレスト6の下方には、背マット24が設けられている。背マット24の左右方向中央部には、使用者が座部2に着座した状態で使用者の首部または肩部を温めるヒータ(背ヒータ)25が設けられている。
図1および
図2に示すように、ヘッドレスト6および背マット24が背凭れ部3の背パッド3a上に設置されることにより、背ヒータ25が背凭れ部3の左右中央部に位置するように構成される。背ヒータ25は、首部から腰部にかけて延出されている。また、
図1〜
図3に示すように、アームレスト4が有する筒状の肘置き部20の内壁面には手に対応する箇所(エアセル7dの近傍)に手を温める手ヒータ26が設けられている。手ヒータ26は、使用者が座部2に着座した状態で使用者の末端部の血行を促進させる血行促進動作を行う血行促進動作部として機能することができる。ヒータ25,26の動作は、制御部50からの指令に基づいて制御される。
【0044】
[施療機構]
図2に示すように、背凭れ部3内には長方形枠状の背フレーム29が収容されており、この背フレーム29に支持されるようにして機械式の施療機構9が設けられている。本実施の形態においては、背凭れ部3の上部に設けられた施療機構9aと、背凭れ部3の下部に設けられた施療機構9bとを有している。2つの施療機構9a,9bが取り付けられる背フレーム29は、2つの施療機構9a,9bに共有となるように設けられてもよいし、施療機構9a,9bのそれぞれに対応して2つの背フレーム29が設けられてもよい。
【0045】
これらの施療機構9a,9bのそれぞれは、上下左右に配された4つの揉み玉27を有しており(
図1も参照)、左側の2つの揉み玉27および右側の2つの揉み玉27は、V字状部材を90度傾けた如く前方へ向かって開くアーム(図示せず)の上下それぞれの先端に取り付けられている。このアームには、プーリおよびベルトや各種の歯車などから成る機械的な減速機構を介してモータ(図示せず)が接続されており、このモータの駆動によって揉み玉27は三次元的に動作し、使用者の上半身の背部に対して揉み、叩き、および指圧などの様々なマッサージ動作を施すことが可能になっている。このように施療機構9a,9bは、使用者が座部2に着座した状態で使用者にマッサージを行う施療子として機能し得る。特に、上側の施療機構9aは、使用者が座部2に着座した状態で使用者の肩にマッサージを行う施療子として機能し得る。
【0046】
また、このように揉み玉27、アーム、減速機構、およびモータなどからなる施療機構9a,9bは、背凭れ部3内にて上下方向に軸芯が沿うようにして設けられたボールネジ30と螺合しており、該ボールネジ30が図示しないモータの駆動により回転すると、背凭れ部3内を上下方向へ昇降動可能になっている。したがって、施療機構9a,9bを昇降動させることにより、使用者の上半身の背部に対し、腰部から肩に至るまでローリングマッサージを施すことができる。
【0047】
また、施療機構9a,9bの後方には給排気により膨縮する押圧用エアセル28が設けられており、この押圧用エアセル28を膨縮させることにより、施療機構9a,9bを前後方向へ移動可能になっている。したがって、背凭れ部3に上半身が支持された使用者の腰部や背部を押し出すようにして押圧可能になっている。なお、本実施の形態に係る施療機構9a,9bは、背フレーム29に支持される固定フレームと、固定フレームに左右方向へ軸芯が向けられた枢軸を介して揺動可能に支持される可動フレームと、を備えている。可動フレームには、アームを介して揉み玉27が支持される。可動フレームと固定フレームとの間には、押圧用エアセル28が設けられ、押圧用エアセル28の膨縮によって、軸芯を基点として固定フレームに対して可動フレームが前後方向へ揺動するように移動可能になっている。施療機構9a,9bおよび押圧用エアセル28の動作は、制御部50からの指令に基づいて制御される。
【0048】
[バイブ]
図6に示すように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1には、バイブ8として、使用者の臀部を対象とする座バイブ8a(
図1も参照)と、腰部および背部を対象とする背バイブ8bとが備えられている。
図1に示すように、座バイブ8aは、座部2の後部において左右のエアセル7a,7a間に配設されており、モータの出力軸に偏心質量を取り付けたような公知の構成となっている。そして、制御部50からの指示により座バイブ8aが駆動すると、座部2に着座した使用者の臀部に対して振動刺激を付与可能になっている。
【0049】
一方、背バイブ8bは、上述した施療機構9a,9bが有するアームに取り付けられており、座バイブ8aと同様の構成となっている。そして、制御部50からの指示により背バイブ8bが駆動すると、その振動がアームを通じて揉み玉27に伝達され、該揉み玉27が当接する使用者の腰部および背部に対して振動刺激を付与可能になっている。
【0050】
[ローラ機構]
図1〜
図3に示すように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1には、フットレスト5(下側フットレスト15)の足裏に対応する位置に、足部である足裏をマッサージする機械式のローラ機構69が設けられている。
図7はフットレストに設けられたローラ機構69の斜視図である。ローラ機構69は、モータ70と、モータ70の駆動により回転する駆動軸71と、駆動軸71に設けられた左右の下肢に対応して対をなす施療子(足裏ローラ)72とを含む。ローラ機構69は、フットレスト5の足裏ステップに設けられている。駆動軸71は、左右方向を軸方向としており、ギヤケース73に収容された減速器74を介してモータ70に連結されている。
【0051】
ローラ機構69は、モータ70を固定する板状のブラケット75を有しており、モータ70の出力軸70aが左右方向を向くようにモータ70が固定されている。また、このブラケット75は、駆動軸71を回転可能に支持する軸受としても機能している。ギヤケース73には、モータ70の動力を減速して駆動軸71に伝達する減速器74が収容されている。
【0052】
駆動軸71には、所定距離にわたって存在するように施療子72が設けられている。施療子72は、左右方向に複数の突起76aを有した突起群76と、突起群76を支持する支持部77とを有する。そして、突起群76は、支持部77によって駆動軸71から所定距離にわたって存在するように駆動軸71の周方向に複数設けられている。また、突起群76は、支持部77に対して左右方向の軸周りに回転可能に取り付けられている。また、隣り合う突起群76の各突起76aは、左右方向にずれて位置しており、施療子72全体として平面視で突起76aが千鳥配列となっている。このように構成されたローラ機構69は、モータ70の駆動により駆動軸71が回転すると、施療子72が回転して足裏にマッサージを行う。しかも、突起76aが千鳥配列されているため、足裏に隈なく指圧作用を与えることができる。
【0053】
また、このローラ機構69には、ローラ機構69を下肢に対して近接離反させる駆動部を有する進退機構78が設けられている。進退機構78は、足裏ステップに取り付けられたヒンジ部80と、ヒンジ部80を開閉する駆動部としての駆動用エアセル79と、により構成されている。このヒンジ部80は、下板80aと、下板80aの後側に左右方向の揺動軸80cを介して連結された上板80bと、を有しており、下板80aと上板80bとの間に駆動用エアセル79が設けられている。そして、ヒンジ部80を構成する上板80bにローラ機構69が取り付けられている。より具体的には、ローラ機構69を構成するブラケット75とギヤケース73とが上板80bに固定されている。
【0054】
駆動用エアセル79は、給排気装置51からエアが給排気されることにより膨張収縮し、収縮時は略平坦である。このように進退機構78をヒンジ部80と駆動用エアセル79により構成しているため、進退機構78を薄型化することができる。また、進退機構78は、左右方向略中央であって、対をなす施療子72の間に設けられている。従って、進退機構78の存在が施療子72の動作を阻害しないようになっている。
【0055】
駆動用エアセル79にエアが給気されると、ヒンジ部80が開いていき、ヒンジ部80に取り付けられたローラ機構69は、後側を支点として上方へ揺動する。一方、駆動用エアセル79からエアが排気されると、ヒンジ部80が閉じていき、ヒンジ部80に取り付けられたローラ機構69は、その自重や使用者からの荷重により後側を支点として下方へ揺動する。ローラ機構69および駆動用エアセル79の動作は、制御部50からの指令に基づいて制御され、ローラ機構69は、使用者が座部2に着座した状態で使用者の末端部の血行を促進させる血行促進動作を行う血行促進動作部として機能することが可能である。
【0056】
このように進退機構78が作動することにより、ローラ機構69の突起群76の押し出し量が変化する。したがって、進退機構78の作動量を変更することによりローラ機構69によるマッサージの強さを変更することができる。また、本実施形態では、後側を支点としてローラ機構69を上下揺動させる構成であるため、下肢に対して足首を支点としたストレッチ作用を与えることができる。なお、マッサージの強さを変更できるという観点では、ローラ機構69を下側フットレスト15の内底面に対して略垂直に上昇させてもよいし、前側を支点として上下揺動させてもよい。
【0057】
制御部50には、複数の操作ボタン(図示せず)を備えたリモートコントローラ(リモコン)60が接続されている。使用者は、リモコン60を自ら操作することにより、椅子型マッサージ機1が備える各種の動作手段を動作させることができ、各操作に対応する説明や案内などがリモコン60のディスプレイ(図示せず)に表示されるようになっている。
【0058】
次に、上述したような椅子型マッサージ機1によって実行可能な施療の1つである肩こり解消コースについて具体的に説明する。
【0059】
[肩こり解消コース]
図8は本実施の形態における肩こり解消コースにおいて実行されるマッサージの態様を示す模式図である。使用者がリモコン60の所定のボタンを操作することにより、肩こり解消コースが開始される。肩こり解消コースにおいて、制御部50は、背凭れ部3が後傾し、フットレスト5が上昇する後傾動作を行うように制御する。後傾動作後、制御部50は、施療機構9aにより使用者の肩位置の検出を行う。
【0060】
次に、制御部50は、背ヒータ25による使用者の首部または肩部への温め動作を行うように制御する。温め動作は、例えば1分間行う。前述したように、背ヒータ25は、背凭れ部3の左右中央部に設けられるため、背ヒータ25により使用者の身体の中心を温めることができ、温熱効果を高めることができる。また、近接離間する施療機構9aの揉み玉27に干渉しない位置に背ヒータ25を設けることができるため、背ヒータ25の破損を防止できる。
【0061】
背ヒータ25による首部または肩部への温め動作時において、施療機構9aは、ヒータ25を使用者側へ押し上げる動作を行う。具体的には、制御部50は、施療機構9aを肩位置近傍(ヒータ25位置近傍)に位置させ、その位置で施療機構9aの押圧用エアセル28を膨張させる制御を行う。これにより、背ヒータ25を施療機構9aにより身体に押し付けることができ、お灸のような効果を付与することができる。
【0062】
制御部50は、背ヒータ25による使用者の首部または肩部への温め動作を行う場合に、血行促進動作部(手ヒータ26またはローラ機構69)における血行促進動作を併せて行う。これにより、背ヒータ25による温め動作時に使用者の末端部の血行を促進させるような血行促進動作が併せて行われる。首部または肩部以外の箇所においても血行促進動作を行うことにより、首部または肩部のみを温める場合に比べて使用者がのぼせてしまうのを防止することができる。
【0063】
なお、制御部50は、手ヒータ26および足のローラ機構69の双方を用いて血行促進動作を行ってもよいし、何れか一方のみ用いて血行促進動作を行ってもよいし、手ヒータ26およびローラ機構69を交互に動作させることにより血行促進動作を行ってもよい。さらに、座部2またはフットレスト5等にヒータを設けて全身を温めることとしてもよい。ヒータをフットレスト5に設ける場合、例えば、足首を挟持するエアセル7lの表面にヒータを設けてもよい。この場合、エアセル7lを膨張させることにより、足首にヒータを押し付けつつ足首を温める血行促進動作を実現することができる。また、手のエアセル7dまたは座バイブ8a、背バイブ8bを用いて全身を振動させることによって血行促進動作を実現してもよい。このように、血行促進動作は、手ヒータ26による温熱動作、または、ローラ機構69、エアセル7、バイブ8等による軽い刺激により血行を促進させるものであれば特に限定されない。
【0064】
制御部50は、使用者の首部または肩部への温め動作の後(温め動作開始から所定時間経過後)、ストレッチ動作部22(エアセル7n,7o)における第1ストレッチ動作を行うように制御する。制御部50は、ストレッチ動作部22として機能する第1エアセル7nおよび第2エアセル7oを交互に膨張させることにより第1ストレッチ動作を行うように制御する。これにより、肩こりの原因である肩甲挙筋を効率よくストレッチさせることができる。また、背ヒータ25による温め動作の後で第1ストレッチ動作を行うことにより、使用者の全身の血管を広げた状態で第1ストレッチ動作が行われるため、ストレッチ効果をより高めることができる。なお、制御部50は、第1ストレッチ動作の開始前に、背凭れ部3が起立し、フットレスト5が下降する起立動作を行うように制御する。第1ストレッチ動作の際には使用者の背が起立した状態とすることにより、ストレッチ動作部22による肩甲挙筋へのストレッチ効果をより高めることができる。
【0065】
図9はストレッチ動作部22が人体に作用する箇所を模式的に示す図である。
図9に示すように、肩甲挙筋M1,M2は、肩甲骨を引き上げる筋肉であり、第1頸椎から第4頸椎と左右の肩甲骨の上端部のそれぞれとを繋ぐように存在する。したがって、第1エアセル(右側のエアセル)7nを膨張させることにより、右側の肩甲挙筋M1の上部A1において当該肩甲挙筋M1を左上方に伸ばすような力を作用させることができる。同様に、第2エアセル(左側のエアセル)7oを膨張させることにより、左側の肩甲挙筋M2の上部A2において当該肩甲挙筋M2を右上方に伸ばすような力を作用させることができる。
【0066】
制御部50は、ストレッチ動作部22における第1ストレッチ動作を行う場合に、施療機構9aを使用者の肩部が上方向または前方向に移動するのを抑制する位置に保持するように制御する。具体的には、制御部50は、施療機構9aを使用者の肩部の上側位置に位置させ、その位置で施療機構9aの押圧用エアセル28を膨張させることにより施療機構9aを使用者側へ押し上げた状態で停止させる。これによれば、施療機構9aは、使用者の肩部の上側位置で第1ストレッチ動作時に使用者の身体の位置が背凭れ部3からずれるのを施療機構9aにより防止することができストレッチ動作部22による第1ストレッチ動作を使用者に効率よく作用させることができる。
【0067】
なお、
図8の例においては、第1ストレッチ動作として右側の第1エアセル7nを膨張および収縮させた後、左側の第2エアセル7oを膨張および収縮させる動作を複数回(3回)繰り返すような動作を例示している。しかし、これに限られず、例えば右側の第1エアセル7nを複数回膨縮させた後、左側の第2エアセル7oを複数回膨縮させる動作としてもよいし、これらの動作を組み合わせてもよい。また、繰り返しの回数も特に限定されない。
【0068】
第1ストレッチ動作中は、
図8に示すように、背ヒータ25による温め動作を継続してもよい。
図8の例では第1ストレッチ動作開始後、血行促進動作は停止しているが、血行促進動作についても継続して行ってもよい。一方、制御部50は、ストレッチ動作部における第1ストレッチ動作中は、施療機構9aによる使用者の肩部へのマッサージを行わないように制御する。これにより、ストレッチ動作部における第1ストレッチ動作中は使用者の意識をストレッチに集中することができ、ストレッチ効果をより高めることができる。第1ストレッチ動作においては、使用者が能動的な感覚(第1ストレッチ動作を積極的に行おうとする意識)を持つことで効果が高まる。したがって、第1ストレッチ動作中において使用者に強い刺激が作用する箇所を肩甲挙筋に集中させることにより、第1ストレッチ動作の効果を高めることができる。
【0069】
本実施の形態においては、第1ストレッチ動作を開始する際に、音声によりストレッチを行う旨やストレッチの内容をアナウンスする。このため、本実施の形態において、椅子型マッサージ機1は、制御部50の指令に基づいて所定の音声を出力可能な音声出力部(スピーカ)54を備えている。音声出力部54は、例えばヘッドレスト6、背凭れ部3、アームレスト4、または座部2等の所定の場所に内装されてもよいし、リモコン60に内装されてもよい。また、音声によるアナウンスに加えて、またはこれに代えてストレッチを行う旨やストレッチの内容を画面表示させてもよい。このため、椅子型マッサージ機1は、制御部50の指令に基づいて所定の画面表示を出力可能な画面表示部(液晶モニタ等)を備えていてもよい。画面表示部は、例えばリモコン60やアームレスト4の上部等、使用者が目につきやすい箇所に設けられる。第1ストレッチ動作を行う旨や第1ストレッチの内容をアナウンスすることにより、使用者に第1ストレッチ動作をより使用者に意識させることができる。
【0070】
上述したように、本実施の形態においては、施療機構9a以外にも使用者の各部をマッサージする施療子が設けられている。このような椅子型マッサージ機1において、制御部50は、第1ストレッチ動作中は、肩部だけでなく肩部の周辺部へのマッサージ動作を行わないようにすることが好ましい。例えば、制御部50は、背凭れ部3に設けられている施療子(施療機構9b、エアセル7c)におけるマッサージ動作を行わないように制御する。さらに、制御部50は、第1ストレッチ動作中は、アームレスト4に設けられるエアセルのうち手先に設けられたエアセル7d以外のエアセル7e〜7hにおけるマッサージ動作を行わないように制御してもよい。もちろん、第1ストレッチ動作中は、ストレッチ動作部22以外のすべての施療子が停止することとしてもよい。
【0071】
制御部50は、ストレッチ動作部22における第1ストレッチ動作の後に、施療機構9aによる使用者の肩部へのマッサージを行うように制御する。上記構成によれば、使用者の肩部へのマッサージを行う前に使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる第1ストレッチ動作を行うことにより、肩こりの原因である肩甲挙筋の硬化を和らげた上で肩部へのマッサージを行うことができる。したがって、肩こり解消効果のより高いマッサージを行うことができる。
【0072】
なお、マッサージを行う前に、制御部50は、背凭れ部3が後傾し、フットレスト5が上昇する後傾動作を行うように制御する。使用者をリラックスした姿勢にすることでマッサージの効果を高めることができる。また、肩部へのマッサージ動作中においても、
図8に示すように、背ヒータ25による温め動作を継続してもよい。
図8の例ではマッサージ動作中、血行促進動作は停止しているが、血行促進動作についても継続して行ってもよい。さらに、肩部以外の箇所におけるマッサージ動作を平行して行ってもよい。マッサージ動作終了後、制御部50は、背凭れ部3が起立し、フットレスト5が下降する起立動作を行って、肩こり解消コースの実行を終了する。
【0073】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0074】
例えば、上記実施の形態の肩こり解消コースにおいては、背ヒータ25による肩部周辺の温め動作の後、ストレッチ動作部22における第1ストレッチ動作を行い、当該第1ストレッチ動作の後、施療機構9aによる肩部へのマッサージ動作を行う態様について説明した。しかし、本発明はこれに限られない。例えば、上記3つの動作のうち、何れか2つのみを行うこととしてもよい。例えば、温め動作の後、第1ストレッチ動作を行う態様としてもよいし、温め動作の後、マッサージ動作を行う態様としてもよいし、第1ストレッチ動作の後、マッサージ動作を行う態様としてもよい。
【0075】
さらに、第1ストレッチ動作を行った後に温め動作を行ってもよい。また、マッサージ動作を行った後に温め動作または第1ストレッチ動作を行ってもよい。すなわち、上記3つの動作のうち少なくとも2つの動作の順番を適宜組み合わせることにより、肩こり解消コースを生成することができる。また、血行促進動作は実施の形態によっては行わなくてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態においては、肩部へのマッサージを行う施療子として機械式の施療機構9aを備えた例について説明したが、これに限られない。例えば背凭れ部3に肩部へのマッサージを行い得るエアセルが設けられた椅子式マッサージ機においても本実施の形態と同様の肩こり解消コースを適用することができる。
【0077】
また、上記実施の形態においては、ストレッチ動作部22が、ヘッドレスト6に取り付けられた構成について例示したが、これに限られない。例えば、背凭れ部3にストレッチ動作部22が設けられていてもよい。また、ストレッチ動作部22は、ストレッチの効果が肩甲挙筋に有効に作用する限りエアセル7n,7o以外の構造を有していてもよい。
【0078】
また、肩こり解消コースにおいて、制御部50は、第1エアセル7nおよび第2エアセル7oにおける使用者の頭部を左右方向および/または前方へ傾けさせる第1ストレッチ動作の前または後に全身を反らす第2ストレッチ動作を行ってもよい。
図10Aおよび
図10Bは第2ストレッチ動作中の状態を示す側面図であり、
図10Aは椅子型マッサージ機の側面図であり、背凭れ部が起立し、フットレストが上昇した状態を示している。
図10Bは椅子型マッサージ機の側面図であり、背凭れ部が後傾し、フットレストが下降した状態を示している。
【0079】
背凭れ部3内の背フレーム29は、その下端部より若干上方の位置で、左右方向の回動軸3sを介して座フレーム13の後部に支持されている。また、背フレーム29の下端部には、エアシリンダ等から成る直動式のアクチュエータ等の回動機構(図示せず)の一端が枢支されており、該回動機構の他端は座フレーム13に枢支されている。したがって、回動機構が伸長動作および収縮動作することにより、背凭れ部3は、背フレーム29が回動軸3sを回動中心としてその回動中心回りに回動することにより、起立および後倒が可能になっている。
【0080】
また、座部2の前方に設けられたフットレスト5は、左右方向へ軸芯が向けられた回動軸5sによってその上端部が座フレーム13の前部にて支持されている。そして、エアシリンダ等から成る直動式のアクチュエータ等の回動機構(図示せず)の伸縮動作により、回動軸5sを中心として下部が前後方向(上下方向)へ回動するように昇降動可能となっている。すなわち、回動機構の収縮によってフットレスト5は下降し、上側フットレスト14に対して下側フットレスト15が下方に位置する状態となり、回動機構の伸長によってフットレスト5は上昇し、上側フットレスト14に対して下側フットレスト15は前方に位置する状態となる。
【0081】
全身を反らす第2ストレッチ動作を行う場合、制御部50は、
図10Aに示すように、椅子型マッサージ機1は、フットレスト5が回動軸5s回りにやや前方に回動し、かつ、背凭れ部3が回動軸3s回りにやや後方に回動した状態から、
図10Bに示すように、フットレスト5を回動軸5s回りに下方に回動させるとともに背凭れ部3を回動軸3s回りにさらに後方に回動させる。すなわち、全身に対する第2ストレッチ動作を行う際、フットレスト5と背凭れ部3とが両者がなす角がより広がるように連動する。この際、フットレスト5において使用者の脚部の側方に設けられたエアセル7j,7k,7mを膨張させて使用者の脚部をフットレスト5に保持させるとともに、座部2において使用者の側方に設けられたエアセル7bまたはアームレスト4において使用者の側方に設けられたエアセル7g,7hを膨張させて使用者の上半身を座部2および背凭れ部3に保持させることが好ましい。
【0082】
この場合、ストレッチ動作部は、フットレスト5の回動機構(図示せず)、背凭れ部3の回動機構(図示せず)、使用者の側方に設けられたエアセル7g,7h,7j,7k,7mを含んでいる。
【0083】
これによれば、肩甲挙筋へのストレッチに加えて全身のストレッチを行うことにより、全身をリラックスさせることができ、マッサージの効果を高くすることができる。