(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の多層ボトル製品は、原液収容室と外気とを繋ぐ原液通路が内ボトルの外側(内ボトルと外ボトルの間)にあり、かつ、原液を吐出するにつれて内ボトルが膨らむため、使用することによりその原液通路、特に、上方に向かって縮径する肩部および肩部と首部の境界近辺の外ボトルと内ボトルの間の空間(肩部通路)が塞がれやすい。つまり、内ボトルには噴射剤の圧力により拡張方向の力が働くため、原液が残っているにも関わらず外ボトルと内ボトルの一部が当接し、原液を含んだ隔離空間が形成されるおそれがある。
上記問題を鑑み、本発明は外ボトルと内ボトルとの間の原液収容室に原液を収納し、内ボトル内に噴射剤を収納するための原液通路が塞がれにくい吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の吐出容器は、外ボトルと、外ボトルに収容される可撓性の内ボトルと、外ボトルに取り付けられ、外ボトルと内ボトルを閉じるバルブアッセンブリとを有し、外ボトルと内ボトルとの間の原液収容室に原液を収納し、内ボトル内に噴射剤を収納し、内ボトルを外ボトルの内面に向かって拡張させながら原液を吐出するための吐出容器であって、前記外ボトルが、筒状の胴部と、その上端から上方に向かって縮径する肩部と、その上端から上方に延びる筒状の首部とを有し、前記内ボトルが、筒状の胴部と、その上端から上方に向かって縮径する肩部と、その上端から上方に延びる筒状の首部とを有し、前記外ボトルの肩部の内面および/または内ボトルの肩部の外面に略上下方向に延びる凸部または凹部が形成されていることを特徴としている。
【0006】
本発明の吐出容器であって、前記凸部または凹部が前記外ボトルの肩部の内面から外ボトルの胴部の内面に連続して延びているものが好ましい。
本発明の吐出容器であって、前記凸部または凹部が前記内ボトルの肩部の外面から内ボトルの胴部の外面に連続して延びているものが好ましい。
本発明の吐出容器であって、前記外ボトルの肩部の内面に凸部または凹部が形成されており、前記内ボトルの肩部の外面に凹部または凸部が形成されており、前記内ボトルを拡張させたとき、前記外ボトルの肩部の内面の凸部または凹部が、前記内ボトルの肩部の外面の凹部または凸部と重ならないように構成されているものが好ましい。
本発明の吐出容器であって、前記外ボトルの少なくとも胴部が所定の内圧(たとえば0.1MPa(ゲージ圧)以上)において弾性膨張するものが好ましい。その場合、前記外ボトルの肩部および/または胴部の外面に、前記外ボトルの内面の凸部または凹部に沿って溝または突条が形成されているものが好ましい。
【0007】
本発明の吐出容器であって、前記内ボトルの首部の外面および/または外ボトルの首部の内面に縦通路を備えており、前記縦通路から半径方向外側に延びる領域に、少なくとも複数の凸部、複数の凹部または凸部および凹部が配置されているものが好ましい。
本発明の吐出容器であって、前記内ボトルの首部の外面および/または外ボトルの首部の内面に複数の縦通路を備えており、前記縦通路から半径方向外側に延びるそれぞれの領域に、少なくとも凸部または凹部が配置されているものが好ましい。
【0008】
本発明の吐出製品は、本発明の吐出容器と、その原液収容室に収納される原液と、内ボトル内に収納される噴射剤とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吐出容器は、外ボトルと、外ボトルに収容される可撓性の内ボトルと、外ボトルに取り付けられ、外ボトルと内ボトルを閉じるバルブアッセンブリとを有し、外ボトルと内ボトルとの間の原液収容室に原液を収納し、内ボトル内に噴射剤を収納し、内ボトルを外ボトルの内面に向かって拡張させながら原液を吐出するための吐出容器であって、前記外ボトルが、筒状の胴部と、その上端から上方に向かって縮径する肩部と、その上端から上方に延びる筒状の首部とを有し、前記内ボトルが、筒状の胴部と、その上端から上方に向かって縮径する肩部と、その上端から上方に延びる筒状の首部とを有し、前記外ボトルの肩部の内面および/または内ボトルの肩部の外面に略上下方向に延びる凸部または凹部が形成されているため、原液収容室とバルブアッセンブリとの間であって、バルブアッセンブリに近い原液が最初に吐出され、距離が比較的近い外ボトルの肩部と内ボトルの肩部の間において、内ボトルが外ボトルの内面近辺まで拡張して外ボトルと内ボトルとの間の空間(肩部通路)が小さくなる、あるいは、塞がったとき、凸部または凹部による略上下方向に延びる隙間通路を確保することができ、使用の途中で原液が吐出できなくなることを防止でき、かつ、使用後の原液の残量を少なくすることができる。特に、内ボトルの首部との境界の肩部が最初に拡張変形する内ボトルでは、使用直後での不良も防止することができる。
【0010】
本発明の吐出容器であって、前記凸部または凹部が前記外ボトルの肩部の内面から外ボトルの胴部の内面に連続して延びている場合、内ボトルが外ボトルの内面近辺まで拡張したとき形成される前記隙間通路を吐出容器の上下に長く設けることができる。そのため、原液を胴部に沿って原液収容室からバルブアッセンブリに向かって上方向にスムーズに流すことができ、一層原液の残量を減少させることができる。また、外ボトルの胴部が上下方向に強くなるため、バルブアッセンブリを外ボトルに押し付けながら取り付ける際にも座屈などの胴部自体の変形や凸部または凹部の変形を防止でき、前記隙間通路を確実に形成させることができる。
【0011】
本発明の吐出容器であって、前記凸部または凹部が前記内ボトルの肩部の外面から内ボトルの胴部の外面に連続して延びている場合、内ボトルが外ボトルの内面近辺まで拡張したとき形成される前記隙間通路を吐出容器の上下に長く設けることができ、原液を胴部に沿って原液収容室からバルブアッセンブリに向かって上方向にスムーズに流すことができ、一層原液の残量を減少させることができる。また、内ボトルの内部を上下に分ける略水平方向の折れ線等の発生を防止できる等、内ボトルの変形(拡張変形および原液を充填するときの収縮変形)を制御することができる。
【0012】
本発明の吐出容器であって、前記外ボトルの肩部の内面に凸部または凹部が形成されており、前記内ボトルの肩部の外面に凹部または凸部が形成されており、前記内ボトルを拡張させたとき、前記外ボトルの肩部の内面の凸部または凹部が、前記内ボトルの肩部の外面の凹部または凸部と重ならないように構成されている場合、外ボトルの凸部または凹部が、内ボトルの凹部または凸部と重なり、隙間通路が無くなるといった現象を防止できる。またそれぞれ外ボトルの凸部または凹部と、内ボトルの凹部または凸部の両方の近辺において隙間通路を形成することができ、原液の残量を一層少なくすることができる。
【0013】
本発明の吐出容器であって、前記外ボトルの少なくとも胴部が所定の内圧において弾性膨張する場合、原液収容室内の原液は内側からは噴射剤の圧力を受け、かつ外側からは外ボトルの収縮力を受けるため、原液を原液収容室からバルブアッセンブリに供給しやすい。そのため、噴射剤の充填圧力を低くすることができる。
さらに、前記外ボトルの肩部および/または胴部の外面に、前記外ボトルの内面の凸部または凹部に沿って溝または突条が形成されている場合は、噴射剤を充填して所定の内圧としたとき、外ボトルが膨張して外面の溝または突条が小さくなる、または溝または突条の深さが浅くなるように膨張変形し、外観上、溝または突条の輪郭が薄くなる。つまり、噴射剤が収納されているときの吐出容器と、噴射剤を排出した廃棄直前の吐出容器とで外観が異なり、吐出容器内に噴射剤が残っているか否かが目視でわかり、吐出容器の廃棄作業を安全に行うことができる。特に、噴射剤として圧縮ガスを用いる場合、原液を吐出することにより内ボトルの容積が拡大して内圧が低下するため、外ボトルは元の形状に戻ろうとし、外面の溝や突条が大きくなる、または溝または突条の深さが深くなる。そのため、原液が少なくなるにつれて原液を押圧する内圧は下がるが、隙間通路は確保しやすくなり、原液が残りにくい。さらに、外ボトルの外面の溝や突条の状態(弾性変形状態)によって、原液の残量を確認できる。
【0014】
本発明の吐出容器であって、前記内ボトルの首部の外面および/または外ボトルの首部の内面に縦通路を備えており、前記縦通路から半径方向外側に延びる領域に、少なくとも複数の凸部、複数の凹部または凸部および凹部が配置されている場合、複数の隙間通路が縦通路と連通するため、最後まで原液を詰まらせることなく吐出しやすい。
本発明の吐出容器であって、前記内ボトルの首部の外面および/または外ボトルの首部の内面に複数の縦通路を備えており、前記縦通路から半径方向外側に延びるそれぞれの領域に、少なくとも前記凸部または凹部が配置されている場合、原液は複数の縦通路を通って原液収容室からバルブアッセンブリへと供給されるため、複数の原液の流路が形成され、内ボトルを安定した形状で拡張させることができる。そして、内ボトルを安定に拡張させることにより隙間通路と縦通路の閉塞を起こりにくくできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1の吐出製品10は、外ボトル11と、外ボトル11に収容される可撓性の内ボトル12と、外ボトル11に取り付けられ、外ボトル11と内ボトル12を閉じるバルブアッセンブリ13と、外ボトル11と内ボトル12との間の筒状の原液収容室S1に収納される原液Cと、内ボトル12内(噴射剤収容室S2)に収納される噴射剤Pとを備えている。この吐出製品10は、バルブアッセンブリ13を操作し、原液収容室S1と外部とを連通することにより、内ボトル12を外ボトル11の内面に向かって拡張させ、原液収容室S1を収縮して原液Cを吐出するものである。なお、この吐出製品10は、バルブアッセンブリ13のステム26に押ボタン15等を取り付けて使用する。
【0017】
外ボトル11は、
図2に示すように、底部11aと、円筒状の胴部11bと、その胴部の上端から上方に向かって縮径するテーパー状の肩部11cと、その肩部の上端から上方に延びる円筒状の首部11dとを備えた容器である。
外ボトル11には、肩部11cから胴部11bに向かって上下に延びるリブ16が複数形成されている。このリブ16は、外ボトル11の胴部11bおよび肩部11cの内面の凸部16a、および、外ボトル11の胴部11bおよび肩部11cの外面の溝部16bを構成する(
図2b参照)。凸部16aは、外ボトル11の内面近辺まで内ボトル12が拡張しても外ボトル11と内ボトル12との間に隙間(隙間通路)ができるように内ボトル12の外面を支持する。また凸部16aを胴部11bまで延長することにより、隙間通路を上下に長く形成させることができる。特に、底部近辺までリブ16を形成することにより、吐出容器の全体に隙間通路を形成することができる。またリブ16により外ボトル11が上下方向に強くなるため、バルブアッセンブリ13を外ボトル11に押し付けながら取り付ける際にも座屈などの変形がなく、凸部16aや溝部16bの形状を保たれ、隙間通路が確保できる。
リブ16は、複数が環状に等間隔で配置されるのが好ましい。特にリブ16を4〜16個設けるのが好ましい。しかし、隙間が確保できればリブ16は1つであってもよい。この外ボトル11には、8つのリブ16が等間隔で形成されている。
【0018】
底部11aは、胴部11bの下端から連続した半球状としている。特に、底部11aの内面が胴部11bの下端から連続した湾曲面となっている。このように底部11aを胴部11bの下端と滑らかに連続させることにより、内ボトル12を拡張変形させたとき、外ボトル11の底部11aと内ボトル12の底部12aとを密に当接させることができる。つまり、原液収容室S1を効率よく収縮でき、原液Cの残量を小さくできる。しかし、底部11aの形状は特に限定されるものではない。
【0019】
胴部11bは、外ボトル11が所定の内圧において、弾性限界を超えない範囲で膨張変形できるように構成されている。
図2bに示すように、内圧0(ゲージ圧力)から所定の内圧となるに伴い、外ボトル11の原型状態(
図2bの実線)から外ボトル11の膨張状態(
図2bの破線)へと変形する。原型状態のとき、外ボトル11の溝部16bは深く、はっきりと表れる。一方、膨張状態のとき、溝部16bが浅くなるように偏平化する。なお、
図1bの外ボトル11は膨張状態を示している。つまり、原型状態と膨張状態では、外観が異なり、膨張状態では溝部16bの輪郭が薄くなる。そのため、噴射剤Pが充填されている時と、噴射剤Pが排出された後の廃棄直前とで外ボトル11の外観が異なる。
外ボトルとしては、内圧が0.1MPa(ゲージ圧)以上のときに膨張変形するものが好ましい。そして、例えば、外ボトル11をポリエチレンテレフタレートおよびナイロン等の合成樹脂で成形する場合、胴部11bの肉厚を0.20〜0.6mm、特に0.25〜0.5mmとするのが好ましい。なお、肩部11cも胴部11bと同等に弾性変形するようにしてもよい。
しかし、胴部11bの硬性は、特に限定されるものではなく、上記外ボトルの内圧において胴部11bが変形しないように構成してもよい。
【0020】
首部11dの外周には、バルブアッセンブリ13を固定するためのネジ11d1が形成されている。そのネジ11d1の下方には、外ボトル11とバルブアッセンブリ13との間をシールする外シール材18(
図1参照)が保持される外シール保持部11d2が形成されている。なお、外シール保持部11d2は、ネジ部11d1の上方に設けられていてもよい。さらに、ネジ11d1および外シール保持部11d2の下方には、吐出容器10の組み立て時に外ボトル11を保持したり、原液Cの充填時に外ボトル11を吊り下げるための環状フランジ11d3が形成されている。
【0021】
内ボトル12は、
図3に示すように、底部12aと、円筒状の胴部12bと、その胴部の上端から上方に向かって縮径するテーパー状の肩部12cと、その肩部の上端から上方に延びる円筒状の首部12dとを備えた可撓性を有する容器である。首部12dの上端には外方に突出したフランジ部12d1が形成されている。この内ボトル12の底部12a、胴部12b及び肩部12cは可撓性を有し、首部12dは硬性を有している。そして、内部容器12の硬性の首部12dの内面には、内部容器12とバルブアッセンブリ13との間をシールする内シール材19が設けられる(
図1参照)。
【0022】
内ボトル12の外面には、肩部12cから胴部12cに向かって上下に延びる凹部17が形成されている。この凹部17は、内ボトル12が外ボトル11に向かって拡張変形したとき、外ボトル11のリブ16の凸部16aと重ならないように、あるいは、内(外)ボトルの軸を中心として同一角度とならないようにされ配列されている(
図6b参照)。つまり、内ボトル12が拡張変形したとき、内ボトル12の凹部以外の外面が外ボトル11の凸部16aと当接するようにずらして配列されている。凹部17を設けているため、内ボトル12が外ボトル11の内面近辺まで拡張しても、その凹部17に沿って外ボトル11と内ボトル12の間に上下に延びる隙間を形成させることができる。特に、外ボトル11の凸部16aと内ボトル12の凹部17とをずらして配列しているため、外ボトル11の凸部16aおよび内ボトル12の凹部17の両方の近辺において隙間を形成させることができる。そのため、原液収容室が分断されにくく原液Cが一層隔離されにくく、最後まで吐出させやすい。また凹部17を胴部12まで設けることにより、凹部17が内ボトル12のリブ効果を発揮し、内ボトル12に凹部17と略垂直な折れ線等の発生を防止できる。つまり、内ボトル12の収縮または拡張時、内ボトル12が上下2つに折れたりすることを防止する。さらに、凹部17は、内ボトル12の内面から見ると凸となっており、内ボトル12を収縮させるとき、上下に延びる折れ線としても作用する。なお、
図1、3では、内ボトル12の収縮形状を規則的に記載しているが、概略を示すものであり、収縮形状を限定するものではない。内ボトル12の収縮形状は、内ボトル12の構成のみならず、原液Cの充填経路、原液Cの粘度、原液Cの充填圧力等にも応じて不規則に変形する。しかし、凹部17は、内ボトル12の外面のみに形成されてもよい、そして、この凹部17は、複数が環状に等間隔で配置されるのが好ましい。しかし、凹部17は1つであってもよい。この形態では内ボトル12の凹部17を外ボトル11のリブ16と同じ数とし、等間隔で形成している。この場合、リブ16と凹部17とがずれた配列を制御しやすく好ましい。しかし、リブ16と凹部17の数は異なっていてもよい。
【0023】
また内ボトル12のフランジ部12d1の下面から首部12dの外面を介して肩部12cの上端の外面までには、連続して形成された上下に延びる縦通路溝12Pが複数本等間隔で環状に配列されている(
図3a、
図3c参照)。この縦通路溝12Pは、原液収容室S1とバルブアッセンブリ13(大気)とを繋ぐ原液Cの原液通路の一部となる。なお、この縦通路溝12Pは、外ボトル11の首部11dの内面に設けるようにしてもよく、または、外ボトル11の首部11bの内面および内ボトル12の首部12bの外面の両方に設けるようにしてもよい。少なくとも原液収容室S1と外気(バルブアッセンブリ13)とを連通する通路が形成されていればよい。縦通路溝12Pは広く形成されており、平面視において1つの縦通路溝12Pの溝底12P1から半径方向外側に延びる領域に、凸部16aおよび凹部17の上端が複数含まれるように設けるのが好ましい。この内ボトル12では、
図3cに示すように、平面視において1つの領域内に一つの凸部16および2つの凹部17の計3つが含むようになっている。このように凸部16aおよび凹部17の複数の上端を前記領域内に含めることにより、原液Cが無くなる直前において、隙間通路と縦通路溝12Pとを確実に連通させることができる。また複数の縦通路溝12Pに対して、それぞれ同じように凸部16aおよび凹部17を配置させることにより、原液収容室からバルブアッセンブリまで原液を均等に供給することができ、内ボトルを安定した形状で拡張させることができる。
さらに、
図3dに示すように、それぞれの縦通路溝12Pに対して、平面視において縦通路溝12Pの溝底12P1から半径方向外側に延びるそれぞれの領域に、凹部17が一つ含まれるようにしてもよい。なお、内ボトル12の凹部17に代えて、内ボトル12の凸部、外ボトル11の凸部または凹部であってもよい。
少なくとも凹部17をそれぞれの縦通路溝12Pと連通させることにより、原液収容室からバルブアッセンブリまで原液を均等に供給することができ、内ボトルを安定した形状で拡張させることができる。そして、内ボトル12を安定に拡張させることにより隙間通路と縦通路の閉塞が起こりにくい。
【0024】
内ボトル12は、外ボトル11と同軸にして挿入される。そして、フランジ部12d1は、外ボトル11の上端開口部に配置される(
図1参照)。そして、底部12a、胴部12b、肩部12c及び首部12dは、凹部17の位置を除いて、それぞれ外ボトル11の底部11a、胴部11b、肩部11c及び首部11dの内面形状と実質的に同じとなっている。つまり、原液収容室S1に原液Cを充填するとき、底部12a、胴部12b及び肩部12cは内ボトル12の容量が小さくなるように収縮変形する(
図1、
図3bの点線参照)。そのため、原液収容室S1内の原液Cを吐出するとき、底部12a、胴部12b及び肩部12cは内ボトル12の容量が大きくなるように拡張変形(原型復帰)し、原液収容室S1を効率良く収縮できる。なお首部12dは、外ボトル11の首部11dの内面に沿って挿入され、原液Cの充填・吐出で変形しない。
【0025】
内ボトル12は、原液Cを吐出させることにより、底部12a、胴部12b、肩部12cがそれぞれ外ボトル11の底部11a、胴部11b及び肩部11cの内面に向かって変形するものであれば、外ボトル11の内形と異形としてもよい。例えば、成形時の内ボトル12の自然な形状を外ボトル11の内面形状より小さくしてもよい。その場合、原液Cを吐出させることにより、底部12a、胴部12b、肩部12cをそれぞれ外ボトル11の底部11a、胴部11b及び肩部11cの内面と実質的に同一の形状まで膨張(弾性または塑性)させることとなる。
【0026】
内ボトル12の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂、ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系などのエラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなどのゴムおよびこれらの混合素材が挙げられる。
外ボトル11と内ボトル12の材料の組み合わせは用途に応じて適宜選択することができる。
【0027】
バルブアッセンブリ13は、
図4aに示すように、原液収容室(
図1のS1)と外部とを連通するバルブ内原液通路13aと、内ボトル内(
図2の噴射剤収容室S2)と外部とを連通するバルブ内噴射剤通路13bと、バルブ内原液通路13aおよびバルブ内噴射剤通路13bを連通/遮断するバルブ機構21とを備えた蓋体である。バルブ内原液通路13aは縦通路溝12Pを介して原液収容室S1と連通している。しかし、バルブアッセンブリ13は、少なくとも縦通路溝12Pと連通するバルブ内原液通路およびそのバルブ内原液通路を連通/遮断するバルブ機構を備えていれば、その構造は特に限定されるものではない。なお、この実施形態において、バルブアッセンブリ13は、外ボトル11に着脱自在に固定されている。
バルブ機構21は、
図4bに示すように、2つの独立した第1ステム内通路26a(バルブ内原液通路13aの一部)ないし第2ステム内通路26b(バルブ内噴射剤通路13bの一部)が形成されたステム26を備えている。このステム26を押し下げることにより、バルブ内両通路が連通するものである。なお、このようなステム26には、第1ステム内通路26aを連通し、第2ステム内通路26bを遮断する押ボタン15を用いる。しかし、2本のステムでそれぞれのバルブ内原液通路およびバルブ内噴射剤通路を連通/遮断するようにしてもよい。
【0028】
この吐出製品10の製造方法は、初めに外ボトル11内に内ボトル12を収容した二重ボトルを準備する(
図5a、b参照)。なお、
図5aでは、内ボトル12を外ボトル11内で収縮させているが、準備する二重ボトルは内ボトル12が収縮されていなくてもよい。
二重ボトルの製法としては、それぞれ外ボトル11および内ボトル12を成形し、その後、内ボトル12を折り畳んで外ボトル11に挿入する方法が挙げられる。このとき、外ボトル11の凸部16aと、内ボトル12の凹部17とが重ならないように挿入する。
二重ボトルの第2の製法としては、外ボトル11を成形し、その内部に内ボトル用のインナープリフォームを挿入して外ボトル11の内面を金型として肩部以下をブロー成形する方法が挙げられる。インナープリフォームには、首部12dにフランジ部12d1、内円筒部12d2および縦通路溝12Pが形成されている。この場合、内ボトル12の外形を外ボトル11の内面と当接する形状、つまり、外ボトル11の内面と実質的に同一形状とすることができる。
二重ボトルの第3の製法として、外ボトル用のアウタープリフォーム内に内ボトル用のインナープリフォームを挿入した二重プリフォームを準備し、外ボトル11および内ボトル12を同時にブロー成形する方法が挙げられる。詳しくは、首部11dにネジ11d1が形成されたアウタープリフォームおよび首部12dにフランジ部12d1、内円筒部12d2および縦通路溝12Pが形成されたインナープリフォームを射出成型などにより個別に成型し、インナープリフォームをアウタープリフォームに挿入し、二層プリフォームを準備する。そして、この二層プリフォームを2軸延伸ブローなどで外ボトル11および内ボトル12の肩部以下の部位を同時に成形する。
二重ボトルの第2および第3の製法によって二重ボトルを準備する場合、
図5c、dに示すように、外ボトル11の溝部16bと内ボトル12の凹部17とが重なる。そのため、内ボトル12を成形した後、
図5e、fに示すように、内ボトル12をバキューム等で収縮させ、その後、内ボトル12を外ボトル11に対して外ボトル11内で所定の角度だけ(例えば半ピッチ)回転させて外ボトル11の凸部16aと内ボトル12の凹部17とが重ならないようにする。
【0029】
二重ボトルを準備した後、バルブアッセンブリ13を外ボトル11に取り付ける。次いで、バルブアッセンブリ13のバルブ内原液通路13aを介して原液Cを原液収容室S1に充填する。その後、バルブアッセンブリ13のバルブ内噴射剤通路13bを介して噴射剤Pを内ボトル12内(噴射剤収容室S2)に充填する。最後にステム26に押ボタン15を取り付ける。なお、原液Cと噴射剤Pの充填する順番は逆であってもよい。その場合、バルブアッセンブリ13を二重ボトルの外ボトル11に取り付けて噴射剤Pを噴射剤収容室S2に充填し、ステムを押し下げてバルブ内原液通路13aのみを連通させて原液収容室S1内の空気を排出し、その後バルブ内原液通路13aから原液を加圧充填してもよい。また原液Cはバルブアッセンブリ13を外ボトル11に取り付ける前に充填してもよく、噴射剤Pもバルブアッセンブリ13を外ボトル11に取り付ける直前に充填してもよい。噴射剤Pを充填することにより、外ボトル11が内ボトル12および原液Cを介して膨張する。
【0030】
この吐出製品10の使用方法は、押ボタン15を介してバルブアッセンブリ13のステム26を押下操作する。これによりステム26の第1ステム内通路26aは開放され、原液Cは吐出される。このときステム26の第2ステム内通路26bは押ボタン15によって閉じられているため、加圧剤Pが噴出されることはない。そして、原液Cの吐出量と比例して、内ボトル12が拡張する。
このように原液Cを吐出することにより、
図6a、bに示すように、内ボトル12が外ボトル11の内面近辺まで拡張する。しかし、外ボトル11の凸部16aと、内ボトル12の凹部17とが互いにずれているため、
図6cに示すように、外ボトル11の凸部16aが外ボトル11と内ボトル12の間に隙間ができるように内ボトル12の外周面を支持し、内ボトル12の凹部17近辺に上下に延びる大きな隙間通路25が形成される。なお、噴射剤Pとして、圧縮ガスを用いる場合、内ボトル12の容積が拡張するにつれて内ボトル12の内圧が下降する。そのため、外ボトル11の膨張も徐々に解除され、リブ16(凸部16aおよび溝部16b)が徐々に深くなり、隙間通路をより大きくできる。そのため、原液を最後まで効率よく吐出することができる。なお内ボトル12の首部12dは硬質であるため、縦通路溝12Pは隙間通路と最後まで連通し、原液収容室S1とバルブアッセンブリ13との間は常時連通する。原液収容室S1の体積が減少し、原液Cを全量吐出されると、内ボトル12は可撓性を有するため外ボトル11の内面と実質的に当接する。このときも内ボトル12内の噴射剤の圧力で外ボトル11の弾性膨張が維持されている。
【0031】
全量吐出後(使用後)、押ボタン15を取り外してステム26を押し下げることにより、内ボトル12内の噴射剤Pを、バルブ内加圧剤通路13bを介して外部に放出することができる。噴射剤Pを排出することにより、外ボトル11の弾性膨張が解除され、外ボトル11の溝部16bの輪郭がはっきりと現れる。これにより使用者は噴射剤Pが排出されたことを確認できる。そのため、使用者は、バルブアッセンブリ13を外ボトル11から安全に取り外すことができる。最後に、外ボトル11、内ボトル12及びバルブアッセンブリ13の各部品に分離できる。
図1の吐出製品10では、外ボトル11の内面及び内ボトル12の外面にそれぞれ凸部16aおよび凹部17を設けているが、外ボトル11の内面に凹部を設け、内ボトル12の外面に凸部を設けてもよい。その場合、外ボトル11の外面には、凹部に沿って突条が形成されるようにするのが好ましい。その場合、外ボトル11が弾性膨張することにより、突条の輪郭が薄くなり、つまり、外ボトル11の内圧によって外観が変化するため好ましい。また、外ボトル11の内面または内ボトル12の外面のいずれか一方に凸部16aのみを形成する、あるいは、凹部17のみを形成してもよい。また両方に凸部または凹部を設けてもよい。
【0032】
図7の吐出製品10aは、外ボトル11のリブ16および内ボトル12の凹部17が内(外)ボトルの軸を中心として同一角度となるように構成されている。他の構成は、
図1の吐出製品10と実質的に同じものである。
図7cに示すように、内ボトル12が外ボトル11の内面と当接しても、外ボトル11は内圧によって膨張しているため、リブ16の凸部16aと凹部17との角度は異なり、完全に重なることがなく、凸部16aと凹部17との間に隙間通路が形成される。
【0033】
図8の吐出製品30は、外ボトル11の肩部11cのみにリブ16を設け、かつ、内ボトル12の肩部12cのみに凹部17を設けたものである。他の構成は、
図1の吐出製品10と実質的に同じものである。
この場合も、原液通路の一番閉塞しやすい外ボトル11の肩部11cと内ボトル12の肩部12cとの間の空間(肩部通路)がそれぞれの凸部16aおよび凹部17によって確保されるため、原液Cを最後まで吐出できる。なお、外ボトル11の肩部11cまたは内ボトル12の肩部の12cのいずれか一方に凸部16aまたは凹部17を設けてもよい。また外ボトル11の肩部の内面に凹部が形成され、肩部の外面に凸部が形成されるように、
図1の吐出製品10の外ボトル11とは突出方向が内外逆のリブを設けてもよい。その場合も外ボトルの凹部、内ボトルの凸部とは同一角度に設けても、同一角度とならないように設けてもよい。
【0034】
図9の吐出製品40は、外ボトル11の胴部11bが中央で軸心に向かってくびれているものである。他の構成は
図1の吐出製品10と実質的に同じものである。このようにくびれ部41を設けることにより、使用者が持ちやすい。また、このようなくびれ部41を設けることにより、一部において内ボトル12と外ボトル11とが当接しやすくなる。しかし、そのような場合でも、肩部11cから胴部11bにかけて連続したリブ16および凹部17を設けることにより、外ボトル11の肩部近辺および内ボトル12の肩部近辺やくびれ部近辺において、外ボトル11と内ボトル12とが当接しやすくなるが、リブ16および凹部17によって隙間通路を確保できる。