特許第6660168号(P6660168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6660168情報提供装置、情報提供方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660168
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20200227BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   G06Q10/00
   G06F13/00 540A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-245589(P2015-245589)
(22)【出願日】2015年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-111630(P2017-111630A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 佐和子
(72)【発明者】
【氏名】石井 健太郎
【審査官】 原 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−035082(JP,A)
【文献】 特開2010−015565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対する判断支援のための情報をユーザ端末に提供するための情報提供装置であって、
複数のユーザのデータを格納するデータ格納手段と、
前記複数のユーザのデータからグループ群を作成するグループ作成手段と、
前記グループ群から特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループを構成するデータに基づいて、前記判断支援に関する特徴を取得する取得手段と、
前記特定のユーザのデータと前記特徴とを比較することにより、当該特定のユーザに対する判断支援情報を決定し、当該判断支援情報を有する出力情報を作成する出力情報作成手段とを備え、
前記情報提供装置は、前記出力情報を受信したユーザ端末から、前記判断支援情報に関する入力情報を受信し、
前記グループ作成手段は、前記特定のユーザのデータに前記入力情報を反映させたデータを用いて前記グループ群を更新する
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記データ格納手段に格納されるユーザのデータは、当該ユーザの所定項目の支出額を含み、
前記取得手段は、前記グループを構成するデータにおける前記所定項目の支出額の統計値を前記特徴として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記出力情報作成手段は、前記特定のユーザの前記所定項目の支出額と前記特徴との間の差分を求め、当該差分と閾値とを比較することにより前記判断支援情報を決定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記出力情報作成手段は、前記差分が前記閾値以上の場合に、前記判断支援情報として、前記所定項目の支出を減らすことを促す情報を前記出力情報に付加することを決定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
複数のユーザのデータを格納するデータ格納手段を備え、ユーザに対する判断支援のための情報をユーザ端末に提供するための情報提供装置が実行する情報提供方法であって、
前記複数のユーザのデータからグループ群を作成するグループ作成ステップと、
前記グループ群から特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループを構成するデータに基づいて、前記判断支援に関する特徴を取得する取得ステップと、
前記特定のユーザのデータと前記特徴とを比較することにより、当該特定のユーザに対する判断支援情報を決定し、当該判断支援情報を有する出力情報を作成する出力情報作成ステップと、
前記出力情報を受信したユーザ端末から、前記判断支援情報に関する入力情報を受信するステップと、
前記特定のユーザのデータに前記入力情報を反映させたデータを用いて前記グループ群を更新するステップと
を備えることを特徴とする情報提供方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の情報提供装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの判断を支援する情報をユーザ端末に提供する技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
近年金融業界のみならず、個人の資産管理・運用/家計簿サービスにもIT化が進展している。それに伴い、オンライン家計簿サービスを利用する人も増えてきている。
【0003】
家計簿をつける主な目的は家計の無駄を削減することであり、ユーザは、その前提として家計の無駄の有無を判断する必要がある。その判断を支援する方法として、既存オンライン家計簿サービスが提供している方法としては、例えば、ユーザの過去のデータと現在のデータとを表示する方法等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−284372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、比較する情報が数字として表示されるのみである。このような表示内容では、ユーザが、どの支出に無駄があるのかを的確に判断することは難しい。
【0006】
上記のような問題は、オンライン家計簿サービス以外の様々な情報提供サービスにおいても生じ得る問題である。一例として、より好みにあった対象をユーザに提案するリコメンド等において、従来技術では、ユーザはどれが自分の嗜好にあった対象かを的確に判断できず、選択が難しい場合がある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ユーザが容易に判断を行うことを可能とする判断支援情報をユーザに提供するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態によれば、ユーザに対する判断支援のための情報をユーザ端末に提供するための情報提供装置であって、
複数のユーザのデータを格納するデータ格納手段と、
前記複数のユーザのデータからグループ群を作成するグループ作成手段と、
前記グループ群から特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループを構成するデータに基づいて、前記判断支援に関する特徴を取得する取得手段と、
前記特定のユーザのデータと前記特徴とを比較することにより、当該特定のユーザに対する判断支援情報を決定し、当該判断支援情報を有する出力情報を作成する出力情報作成手段とを備え、
前記情報提供装置は、前記出力情報を受信したユーザ端末から、前記判断支援情報に関する入力情報を受信し、
前記グループ作成手段は、前記特定のユーザのデータに前記入力情報を反映させたデータを用いて前記グループ群を更新する
ことを特徴とする情報提供装置が提供される。
【0009】
また、本発明の実施の形態によれば、複数のユーザのデータを格納するデータ格納手段を備え、ユーザに対する判断支援のための情報をユーザ端末に提供するための情報提供装置が実行する情報提供方法であって、
前記複数のユーザのデータからグループ群を作成するグループ作成ステップと、
前記グループ群から特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループを構成するデータに基づいて、前記判断支援に関する特徴を取得する取得ステップと、
前記特定のユーザのデータと前記特徴とを比較することにより、当該特定のユーザに対する判断支援情報を決定し、当該判断支援情報を有する出力情報を作成する出力情報作成ステップと、
前記出力情報を受信したユーザ端末から、前記判断支援情報に関する入力情報を受信するステップと、
前記特定のユーザのデータに前記入力情報を反映させたデータを用いて前記グループ群を更新するステップと
を備えることを特徴とする情報提供方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施の形態によれば、ユーザが容易に判断を行うことを可能とする判断支援情報をユーザに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態におけるシステムの全体構成図である。
図2】情報提供装置100の構成図である。
図3】全体の処理の流れを示すフローチャートである。
図4】グループ作成部103に入力されるデータの例を示す図である。
図5】グループ作成部103における処理により生成されるグループのイメージを説明するための図である。
図6】基準値算出部104により算出される基準値の例を示す図である。
図7】出力情報作成部105により作成される情報の例を示す図である。
図8】フィードバックによる効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、本発明の実施の形態(以下、本実施の形態)では、本発明をオンライン家計簿サービスに適用した場合の例を説明しているが、本発明はオンライン家計簿サービスに限らず、様々な情報提供サービスに適用可能である。
【0013】
(システム全体構成)
図1に、本実施の形態におけるシステムの全体構成例を示す。図1に示すように、このシステムは、多数のユーザ端末300が、ネットワーク200を介して情報提供装置100に接続される構成を有している。
【0014】
ネットワーク200は、例えばインターネットである。また、ネットワーク200は、プライベートネットワークであってもよいし、プライベートネットワークとインターネットとを含むネットワークであってもよい。ユーザ端末300は、例えば、スマートフォン、タブレット、PC等である。
【0015】
情報提供装置100は、オンライン家計簿サービスを提供する装置である。特に本実施の形態では、情報提供装置100は、節約可能な支出項目を指摘する等、ユーザ端末300に対して判断支援情報を提供する機能を有している。具体的な内容は後述する。
【0016】
(情報提供装置100の構成例)
図2に、情報提供装置100の構成例を示す。図2に示すように、本実施の形態における情報提供装置100は、ユーザ端末IF部101、データ格納部102、グループ作成部103、基準値算出部104、出力情報作成部105を有する。
【0017】
ユーザ端末IF部101は、ユーザ端末300との間で情報の送受信を行う機能部である。また、ユーザ端末IF部101は、オンライン家計簿サービスにおける一般的な機能を含む。例えば、ユーザ端末IF部101は、あるユーザのユーザ端末300において入力されたある日の支出/入金情報を受信した場合に、これを当該ユーザのデータとしてデータ格納部102に格納する。また、例えば、ユーザ端末IF部101は、あるユーザのユーザ端末300からある日の過去の情報の表示要求を受信すると、データ格納部102に格納されたユーザのデータから当該情報を取得し、ユーザ端末300に送信する。
【0018】
データ格納部102は、ユーザ毎(つまり、ユーザID毎)に、ユーザのプロフィール、項目毎の支出情報、項目毎の入金情報等を格納する。また、データ格納部102は、後述するグループ作成処理により作成されたグループの情報、ユーザに提供した判断支援情報(節約可能フラグ)等も格納する。
【0019】
グループ作成部103は、データ格納部102に格納されている各ユーザのデータについてのグループ化(似たものをまとめる処理)を行って、データの集合をグループ(部分集合)に切り分ける処理を行う。本発明において適用できるグループ化の手法には特に限定はないが、例えば、SOINN(Self-Organizing Incremental Neural Network)、k−means法、EMアルゴリズム(expectation-maximization algorithm)、SOM(Self-Organizing Map)、GNG(Growing Neural Gas)等を使用することができる。なお、グループ化の例としてクラスタリングがある。また、これら以外の手法を用いてもよい。本実施の形態では、SOINNを使用することを想定している。なお、SOINNでは、モデルを作成するが、当該モデルは、「グループ」の例である。よって、本実施の形態では、グループ作成部103により作成されるものを「グループ」と呼ぶ。
【0020】
また、ユーザを「グループ」化すること(グループを作成すること)は、ユーザを「分類」することを含む。例えば、ユーザを何等かの基準に基づいて単純に分類することを含む。
【0021】
基準値算出部104は、グループ作成部103により作成されたグループ毎に、グループに属するデータの平均値等を計算することで、基準値を算出する。なお、基準値は特徴の例である。簡単な例で説明すると、例えば、あるグループに3つのノードが含まれる場合において、ノード1の食費が1100円、ノード2の食費が1200円、ノード3の食費が1000円であるとし、基準値を平均値として求めるとすると、このグループの食費の基準値=(1100+1200+1000)÷3=1100円となる。また、データ格納部102に、予め計算したグループ毎の基準値が格納されている場合において、基準値算出部104は、特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループに対応する基準値をデータ格納部102から取得する機能を有していてもよい。
【0022】
出力情報作成部105は、例えば、ユーザ端末300から、あるユーザ(ユーザAとする)の先月の実績情報表示の要求を受けた場合に、データ格納部102に格納されたユーザAのデータに基づき先月の実績情報を算出するとともに、当該実績情報と、基準値算出部104により算出されたユーザAに対応するグループの基準値とを項目毎に比較して、節約可能フラグを付けるか否かを判定する。そして、上記実績情報、基準値、節約可能フラグ付加判定結果に基づいて、ユーザAのユーザ端末300に表示する情報を作成し、ユーザ端末ID部101に渡す。なお、データ格納部102に、予め計算したグループ毎の基準値が格納されている場合において、出力情報作成部105が、ユーザAに対応するグループを決定し、当該グループに対応する基準値をデータ格納部102から取得する機能を有していてもよい。
【0023】
本実施の形態に係る情報提供装置100は、例えば、1つ又は複数のコンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。すなわち、情報提供装置100が有する機能は、当該コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ、ハードディスクなどのハードウェア資源を用いて、情報提供装置100で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0024】
なお、情報提供装置100は、物理的に1つのサーバ(コンピュータ)で実現することもできるし、ネットワーク接続された複数のサーバで実現することもできる。複数のサーバで実現する場合、図2に示す機能部単位で別々のサーバを用いてもよいし、複数機能部毎にサーバを分けてもよい。
【0025】
(動作例)
図3は、情報提供装置100が実行する処理動作の全体の流れの例を示すフローチャートである。以下、図3に示す手順に沿って、情報提供装置100の動作を説明する。
【0026】
<ステップS101:家計簿処理>
ステップS101はオンライン家計簿サービスにおける通常の処理を示している。ここでの処理はユーザ端末IF部101により実行される。ここでは例えば、各ユーザ端末300からの登録処理、各日の家計簿データの入力等が実行される。なお、オンライン家計簿サービスにおける通常の処理と並行して、以下で説明する処理が行われるが、ここでは便宜上、ステップS101として通常の家計簿処理を行うことを示している。
【0027】
<ステップS102:グループ生成>
ステップS102において、グループ作成部103がグループ作成処理を行う。例えば、既にグループが存在し、新たなデータをグループ作成部103に入力する場合を説明する。
【0028】
図4は、上記新たなデータの例を示す図である。図4に示すように、本例では、ユーザID(ユーザA)、プロフィール、項目毎の支出額、項目毎の入金額がグループ作成部103に入力される。本例では、支出額と入金額は、それぞれ1ヶ月分の集計額としているが、これは例であり、どのような集計額を使用してもよい。また、1ヶ月分の集計については、予め集計されたものがデータ格納部102に格納されていて、それを読み出すこととしてもよいし、グループ作成部103への入力のために集計を行うこととしてもよい。
【0029】
上記のプロフィールの内容は、例えば、年収、資産、年齢、家賃、住宅ローン有無、居住地域、家族構成等である。たたし、これらは例に過ぎず、これらの一部を含むものをプロフィールとしてもよいし、これらとは別の情報を含む情報をプロフィールとしてもよい。
【0030】
本実施の形態におけるグループ化手法では、グループを構成するデータ(複数要素を持つベクトル)はノードと呼ばれる。各ノードは類似性の許容範囲(距離の閾値)を有している。
【0031】
グループ作成部103に新たなデータ(入力データ)が入力されると、グループ作成部103は、入力データと類似の範囲にある距離の近い2つのノードを探索する。入力データに最も近いノードは入力データの方向に移動し、他方のノードとエッジを形成し、入力データは消滅する。また、入力データが、既存ノードの類似範囲外である場合は、単体で新たなノードを形成するが、一定期間、他のデータとの類似性が見られない場合、単体ノードは消滅する。このような処理を入力データ毎に行うことで、エッジにより連結されたノードの集合の群が形成される。エッジにより連結されたノードの集合がグループである。
【0032】
図5に、グループ作成部103により生成されたグループのイメージを示す。図5の例では、エッジにより連結されたノードの集合であるグループとして、グループ1、グループ2、グループ3が生成されていることが示されている。
【0033】
グループ作成部103により生成されたグループの情報は、例えば、「グループ1:ノードA、ノードB、ノードC.....」、「グループ2:ノードX、ノードY、ノードZ.....」、....といった形式で、データ格納部102に格納される。ここでの「ノード」は、例えば、図4を参照して説明した各情報を要素とするベクトルである。また、「グループ1:ユーザA、ユーザB、ユーザC.....」、「グループ2:ユーザX、ユーザY、ユーザZ.....」、のように、各グループの元となったデータのユーザIDの情報をデータ格納部102に格納してもよい。
【0034】
グループ作成部103は、上記の処理を繰り返し行うことで、グループを成長、更新させていく。
【0035】
グループ作成部103によるグループの作成処理は、新たなデータ(例:あるユーザの1ヶ月分のデータ)ができる度に行うこととしてもよいし、定期的に行うこととしてもよい。また、本実施の形態では、後述するように、フィードバックにより、ユーザのデータに変更があった場合にも、グループの更新を行うこととしている。
【0036】
<ステップS103:基準値算出>
ステップS103では、基準値算出部104がグループ毎の基準値を算出する。なお、基準値の算出については、グループ作成部103によりグループの生成・更新が行われる度に、当該生成・更新されたグループについて行うこととしてもよいし、あるユーザのユーザ端末300から実績情報表示要求を受けたときに、基準値算出部104等が、当該ユーザに対応するグループを決定し、当該グループについての基準値を算出することとしてもよい。なお、前述したように、基準値は特徴の例である。また、基準値を算出することは特徴を取得することの一例である。特徴として、本実施の形態のように基準値を算出することは例であり、特徴として他の情報を抽出することとしてもよい。
【0037】
ここでは、一例として、あるグループ(グループ1)の食費(1ヶ月で支出した食費)の基準値を算出することを考える。
【0038】
基準値算出部104は、データ格納部102から、グループ1を構成する各ノード(例として10個のノードがあるとする)の食費のデータを取得する。そして、基準値算出部104は、10個の食費のデータの統計値を基準値とする。統計値は、例えば、平均値、中央値等である。算出された基準値は、対応するグループの識別情報と、項目の識別情報とともにデータ格納部102に格納される。
【0039】
図6は、基準値算出部104により、あるグループについての食費、衣料費、娯楽費、住居費の基準値が算出されたことを示している。
【0040】
<ステップS104:判定、出力処理>
ステップS104において、ユーザ端末300から、あるユーザ(ユーザID=ユーザAとする)についての実績情報表示要求がユーザ端末ID部101に入力されると、ユーザID(ユーザA)とともに実績情報表示要求が出力情報作成部105に通知される。
【0041】
出力情報作成部105は、データ格納部102に格納されたグループとユーザIDとの対応情報に基づいて、ユーザAが属する(ユーザAに類似する)グループを決定し、当該グループの基準値をデータ格納部102から取得する。
【0042】
もしくは、出力情報作成部105は、ユーザAに対応するデータをデータ格納部102から取得し、前述したグループ作成時における入力データとノードとの距離の判定と同様にして、ユーザAのデータと最も近いノードを探索し、当該ノードが属するグループをユーザAが属するグループとして決定することとしてもよい。この後、既に計算されている当該グループの基準値をデータ格納部102から取得する。もしくは、当該グループの基準値計算を基準値算出部104に指示し、基準値算出部104が計算を行い、その結果を基準値算出部104から取得することとしてもよい。
【0043】
出力情報作成部105は、ユーザAの実績情報をデータ格納部102から取得(又は算出)し、項目毎に、実績情報から基準値を引いて差分を計算する。例えば、食費の実績が80000円で、食費の基準値が60000円であるとすると、差分は+20000円になる。データ格納部102には、項目毎に閾値が格納されており、出力情報作成部105は、差分の項目に対応する閾値と、当該差分とを比較し、差分が閾値以上であれば節約可能フラグを付与すると決定する。
【0044】
なお、上記の例では、差分を直接に閾値と比較しているが、これに代えて、差分を基準値に対する割合(例:基準値が10で差分が1であれば、10%)で表し、当該割合と閾値とを比較し、割合が閾値以上であれば節約可能フラグを付与すると決定してもよい。また、この割合も「差分」と称してよい。
【0045】
また、比較においては、閾値を含むある幅(範囲)を指定し、この幅の範囲内か範囲外かで判定を行うこととしてもよい。このように、本実施の形態で説明する閾値との比較は、一例に過ぎず、様々な比較の方法を用いることができる。
【0046】
出力情報作成部105は、上記のようにして算出した各情報を用いて、ユーザ端末300に表示させるための出力情報を作成する。図7は、出力情報の例を示す図である。図7に示すように、出力情報には、項目毎に、実績値と、差額(実績値−基準値)、節約可能フラグを付与すると判断された項目についての節約可能フラグ、が含まれる。
【0047】
出力情報作成部105は、出力情報をユーザ端末IF部101に渡し、ユーザ端末IF部101が出力情報をユーザ端末300に送信することにより、ユーザ端末300において表示がなされる。出力情報がユーザ端末100に表示される際には、図7に示したものと同様の情報が表示される。
【0048】
ここで、図7の例では、差額を表示することとしているが、これは例であり、差額ではなく基準値を表示してもよい。また、差額と基準値の両方を表示してもよい。また、節約可能フラグとしてチェックマークが示されているが、これも一例であり、節約可能フラグのON/OFFを示すためにどのような表示を行ってもよい。
【0049】
ユーザ端末300において、ユーザAは図7に示す出力情報を見る。例えば、「食費」に節約可能フラグが付いていることを把握したユーザは、食費の節約に留意して出費を減らす行動をとることが期待できる。情報提供装置100は、当該ユーザAに対して「食費」に節約可能フラグを付けた旨の情報をデータ格納部102において保持している。そして、例えば、ユーザ端末IF部101もしくは出力情報作成部105は、ユーザAの家計簿のデータを集計することで、節約可能フラグを付けた「食費」の出費が減少しているかどうかを把握し、以前の出費状況に比べて減少していないようであれば、減少を促すメッセージをユーザ端末300に表示する、といった処理を行うことができる。
【0050】
また、上記の例では、出力情報作成部105は、判断支援情報として、節約可能フラグの付与有無を決定するが、これは一例に過ぎない。例えば、差分の大きさに応じて、節約の必要度合いを数値もしくは画像で示すこととしてもよい。この場合、例えば、差分が非常に大きい場合は、節約が必要であることを示す情報(アイコン等)を赤色で示し、差分がこれよりも小さいが閾値より大きい場合は、節約が必要であることを示す情報(アイコン等)を黄色で示す、といった処理を行う。また、判断支援情報として、節約可能フラグのように、節約に関する情報を提示することも一例に過ぎない。
【0051】
<ステップS105:フィードバック>
ユーザ端末300において、例えば、出力情報を見たユーザAが、食費の実績値に問題を感じておらず、食費を減らす意向がない場合、図7に示す節約可能フラグのチェックをはずす(節約可能フラグをOFFにする)操作を行う。
【0052】
すると、ユーザAが出力情報の中の食費の節約可能フラグをOFFにしたことを示す情報がユーザ端末300から情報提供装置100に通知される。情報提供装置100では、例えば、ユーザ端末IF部101が、「ユーザAが食費の節約可能フラグをOFFにしたこと」を示す情報をデータ格納部102に格納する。
【0053】
一例として、「ユーザAが食費の節約可能フラグをOFFにしたこと」について、OFFにしたという情報をデータ格納部102に格納するとともに、「ユーザAが食費の節約可能フラグをOFFにしたこと」を、ユーザAのプロフィールにおける、例えば、「嗜好」の情報に反映させる。本例では、この反映が行われるものとし、一例として、食費の節約可能フラグをOFFにしたことにより、データ格納部102におけるユーザAのプロフィールの「嗜好」の値として、「食費をあまり気にしない」が追加されるとする。この反映は、例えば、ユーザ端末IF部101により実行される。
【0054】
また、本例では、上記のようにユーザのデータに変更があった場合には、当該データを入力データ(例:図4に示すデータ、ただし、プロフィールに「嗜好」の値として「食費をあまり気にしない」が含まれる)として、ステップS102のグループ生成が行われる。
【0055】
つまり、「ユーザAが食費の節約可能フラグをOFFにした」というフィードバックを反映させたグループ生成が行われる。
【0056】
ユーザAの入力データに「食費をあまり気にしない」が追加されたことで、ユーザAの属するグループに変化がないことも考えられるが、本例では、変化するものとする。例えば、「食費をあまり気にしない」が追加される前のユーザAの入力データは図8に示すグループ1に結合されたとする。一方、「食費をあまり気にしない」が追加された後のユーザAの入力データは、グループ2に結合される。グループ2は、「食費をあまり気にしない」ような嗜好を有するユーザ集合のグループであり、食費が高くなる傾向にある。
【0057】
その後、ユーザAに対して実績情報を表示する段階において、図8に示すように、ユーザAに該当するグループとしてグループ2が決定され、グループ2の基準値が算出される。上述したように、グループ2は、「食費をあまり気にしない」ような嗜好を有するユーザのグループであるため、食費の基準値は、グループ1の食費の基準値よりも高くなる。一方、ユーザAの食費は、以前とあまり変わらない。よって、フィードバック後の出力情報は、例えば、図7における食費の差額が0に近くなり、節約可能フラグはOFFとなったものとなる。これにより、ユーザAは、自身の嗜好により合致した判断支援情報を得ることができる。
【0058】
上記のようなフィードバックが、各ユーザについて繰り返し行われることで、ユーザの特徴を的確に反映させた精度の高いグループが生成されるとともに、実績を表示する際には、より適切に実績と基準値との比較を行って、適切な節約可能フラグの付与判定を行うことが可能となる。
【0059】
なお、本実施の形態では、節約可能フラグのON/OFFをフィードバックとして使用しているが、これは一例に過ぎない。例えば、ユーザ端末において、節約(あるいはその他の事項)に関するQ&Aを閲覧可能とし、そのQ&Aの閲覧履歴をフィードバックに使用してもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、例えばSOINNのような機械学習機能を用いてグループ化を行うので、人では見つからない隠れた傾向を発見しそれに基づいたグループ化が可能となり、よりユーザに合った、納得感のある判断支援情報の提供を行うことができる。
【0061】
(他の適用例)
既に述べたように、本発明をオンライン家計簿サービスに適用することは一例に過ぎない。
【0062】
オンライン家計簿サービス以外の適用の例としては、例えば、より好みにあった対象(物、情報等)をユーザに提案するリコメンド等がある。この場合、例えば、ユーザ毎のプロフィールと過去の利用実績データ(利用した品物名等)に基づきグループ化を行う。そして、特定のユーザに対して判断支援情報(レコメンド情報)を提供する際には、当該特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループの特徴(例:グループにおける購入実績のうち購入数が上位所定番目までの商品を特徴とする)を算出し、当該特徴と、当該特定のユーザの利用実績とを比較し、当該特定のユーザがまだ利用していない対象を判断支援情報(レコメンド情報)として提供することが考えられる。
【0063】
(実施の形態のまとめ)
以上、説明したように、本実施の形態により、ユーザに対する判断支援のための情報をユーザ端末に提供するための情報提供装置であって、複数のユーザのデータを格納するデータ格納手段と、前記複数のユーザのデータからグループ群を作成するグループ作成手段と、前記グループ群から特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループを構成するデータに基づいて、前記判断支援に関する特徴を取得する取得手段と、前記特定のユーザのデータと前記特徴とを比較することにより、当該特定のユーザに対する判断支援情報を決定し、当該判断支援情報を有する出力情報を作成する出力情報作成手段とを備える情報提供装置が提供される。
【0064】
データ格納部102は、上記の構成におけるデータ格納手段の例である。基準値算出部104は、取得手段の例であり、出力情報作成部105は、出力情報作成手段の例である。
【0065】
前記情報提供装置は、前記出力情報を受信したユーザ端末から、前記判断支援情報に関する入力情報を受信し、前記グループ作成手段は、前記特定のユーザのデータに前記入力情報を反映させたデータを用いて前記グループ群を更新することとしてもよい。
【0066】
前記データ格納手段に格納されるユーザのデータは、例えば当該ユーザの所定項目の支出額を含み、前記取得手段は、前記グループを構成するデータにおける前記所定項目の支出額の統計値を前記特徴として算出することとしてもよい。
【0067】
前記出力情報作成手段は、前記特定のユーザの前記所定項目の支出額と前記特徴との間の差分を求め、当該差分と閾値とを比較することにより前記判断支援情報を決定することとしてもよい。
【0068】
前記出力情報作成手段は、前記差分が前記閾値以上の場合に、前記判断支援情報として、前記所定項目の支出を減らすことを促す情報を前記出力情報に付加することを決定することとしてもよい。
【0069】
(第1項)
ユーザに対する判断支援のための情報をユーザ端末に提供するための情報提供装置であって、
複数のユーザのデータを格納するデータ格納手段と、
前記複数のユーザのデータからグループ群を作成するグループ作成手段と、
前記グループ群から特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループを構成するデータに基づいて、前記判断支援に関する特徴を取得する取得手段と、
前記特定のユーザのデータと前記特徴とを比較することにより、当該特定のユーザに対する判断支援情報を決定し、当該判断支援情報を有する出力情報を作成する出力情報作成手段と
を備えることを特徴とする情報提供装置。
(第2項)
前記情報提供装置は、前記出力情報を受信したユーザ端末から、前記判断支援情報に関する入力情報を受信し、
前記グループ作成手段は、前記特定のユーザのデータに前記入力情報を反映させたデータを用いて前記グループ群を更新する
ことを特徴とする第1項に記載の情報提供装置。
(第3項)
前記データ格納手段に格納されるユーザのデータは、当該ユーザの所定項目の支出額を含み、
前記取得手段は、前記グループを構成するデータにおける前記所定項目の支出額の統計値を前記特徴として算出する
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載の情報提供装置。
(第4項)
前記出力情報作成手段は、前記特定のユーザの前記所定項目の支出額と前記特徴との間の差分を求め、当該差分と閾値とを比較することにより前記判断支援情報を決定する
ことを特徴とする第3項に記載の情報提供装置。
(第5項)
前記出力情報作成手段は、前記差分が前記閾値以上の場合に、前記判断支援情報として、前記所定項目の支出を減らすことを促す情報を前記出力情報に付加することを決定する
ことを特徴とする第4項に記載の情報提供装置。
(第6項)
複数のユーザのデータを格納するデータ格納手段を備え、ユーザに対する判断支援のための情報をユーザ端末に提供するための情報提供装置が実行する情報提供方法であって、
前記複数のユーザのデータからグループ群を作成するグループ作成ステップと、
前記グループ群から特定のユーザに対応するグループを決定し、当該グループを構成するデータに基づいて、前記判断支援に関する特徴を取得する取得ステップと、
前記特定のユーザのデータと前記特徴とを比較することにより、当該特定のユーザに対する判断支援情報を決定し、当該判断支援情報を有する出力情報を作成する出力情報作成ステップと
を備えることを特徴とする情報提供方法。
(第7項)
コンピュータを、第1項ないし第5項のうちいずれか1項に記載の情報提供装置における各手段として機能させるためのプログラム。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 情報提供装置
101 ユーザ端末IF部
102 データ格納部
103 グループ作成部
104 基準値算出部
105 出力情報作成部
200 ネットワーク
300 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8