特許第6660178号(P6660178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660178
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】印刷物加工装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/02 20060101AFI20200227BHJP
   B42D 15/04 20060101ALI20200227BHJP
   B42D 3/00 20060101ALI20200227BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20200227BHJP
   B65H 45/30 20060101ALI20200227BHJP
   B65H 45/28 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   B65H37/02
   B42D15/04 K
   B42D3/00 C
   B42D15/04 A
   B65H37/06
   B65H45/30
   B65H45/28
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-254390(P2015-254390)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-114662(P2017-114662A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】512210836
【氏名又は名称】株式会社ウイル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 和芳
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓也
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−326473(JP,A)
【文献】 特開2005−015225(JP,A)
【文献】 特開2012−000985(JP,A)
【文献】 特開2004−237486(JP,A)
【文献】 特開2010−046984(JP,A)
【文献】 特開平8−119239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00
B42D 15/00
B42D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の印刷物に糊付けをして貼り合わせるための印刷物加工装置であって、
シート状の第1印刷物に設定されたパターンで糊付けを行うための第1パターン糊機構と、
上面が平らな作業台と、
前記作業台に隣接して、セットされた第2印刷物を前記作業台上の前記第1印刷物上に重ねるための貼込み機構と、
前記作業台上において前記第1パターン糊機構で糊付けされた前記第1印刷物に前記第2印刷物が貼り付けられた積層体に、設定されたパターンで糊付けを行うための第2パターン糊機構とを備え、
前記作業台は、前記第1パターン糊機構、前記第2パターン糊機構及び前記貼込み機構に囲まれた中央に配置されていることを特徴とする印刷物加工装置。
【請求項2】
前記作業台の幅方向の中央には、発光可能なセンターラインが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷物加工装置。
【請求項3】
前記第2パターン糊機構で糊付けされた積層体を折り曲げ加工する折込み機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷物加工装置。
【請求項4】
前記作業台に隣接して、前記積層体に切り込み加工を施すカッタ機構を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷物加工装置。
【請求項5】
前記第1パターン糊機構は、糊を溜めるグルーパンと、前記グルーパンの糊に下部を接触させるパンローラと、前記パンローラの糊が転写されるトランスファーローラと、前記トランスファーローラの糊が転写される糊版が設定された版胴と、前記版胴との間に前記第1印刷物を挟む圧胴と、前記版胴と前記圧胴との間から排出された前記第1印刷物に圧縮空気を吹き付けて先端を上向きにさせるエアーナイフとを有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の印刷物加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の印刷物に糊付けをして貼り合わせるための印刷物加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、ボール紙が貼り付けられた本の表紙を製作する装置が知られている。この装置では、裏面に接着剤層が予め形成されているタック紙を表紙に使用する。そして、タック紙の剥離紙を剥がしてボール紙に接着させた後に、ガイドローラによって表紙の縁部を折り曲げ加工する。
【0003】
一方、特許文献2には、表紙用紙と背紙と芯材(カバーブランク)との3枚の紙を貼り合わせる装置が開示されている。この装置は、糊塗布ローラを備えており、芯材の全面に糊を塗布した後に、表紙用紙と背紙とが貼り付けられる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−274297号公報
【特許文献2】特開2012−985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら本の表紙のようにある程度形態が決まっているものだけでなく、シート状の印刷物を様々なパターンで貼り合せて加工を行う作業を効率的に行いたいという要望がある。
【0006】
そこで、本発明は、様々なパターンで糊付けが行えて効率的に加工を行うことが可能な印刷物加工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の印刷物加工装置は、シート状の印刷物に糊付けをして貼り合わせるための印刷物加工装置であって、シート状の第1印刷物に設定されたパターンで糊付けを行うための第1パターン糊機構と、前記第1パターン糊機構で糊付けされた前記第1印刷物に第2印刷物が貼り付けられた積層体に、設定されたパターンで糊付けを行うための第2パターン糊機構と、上面が平らな作業台とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、印刷物加工装置は、前記第2パターン糊機構で糊付けされた積層体を折り曲げ加工する折込み機構を備えた構成とすることができる。また、前記作業台に隣接して、セットされた前記第2印刷物を前記作業台上の前記第1印刷物上に重ねるための貼込み機構を備えた構成とすることができる。さらに、前記作業台に隣接して、前記積層体に切り込み加工を施すカッタ機構を備えた構成とすることもできる。
【0009】
そして、前記第1パターン糊機構及び第2パターン糊機構は、糊を溜めるグルーパンと、前記グルーパンの糊に下部を接触させるパンローラと、前記パンローラの糊が転写されるトランスファーローラと、前記トランスファーローラの糊が転写される糊版が設定された版胴と、前記版胴との間に前記第1印刷物又は積層体を挟む圧胴とを有する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
このように構成された本発明の印刷物加工装置は、設定されたパターンで糊付けを行うことが可能な第1パターン糊機構及び第2パターン糊機構を備えている。
【0011】
このため、様々なパターンで印刷物に糊付けが行えて効率的に加工を行うことができる。特に、糊付けされた積層体を折り曲げ加工する折込み機構を作業台に隣接して設けることで、糊付けされた積層体を折り曲げ加工するまでの工程を一連の作業として行うことができるようになる。
【0012】
また、作業台に隣接して、セットされた第2印刷物を作業台上の第1印刷物上に重ねるための貼込み機構を備えていれば、第1印刷物と第2印刷物とを正確かつ迅速に貼り合わせることができる。
【0013】
さらに、作業台に隣接してカッタ機構が備えられていれば、積層体に切り込み加工を施す作業を一連の流れの中で連続して行うことができるようになり、効率的である。
【0014】
そして、設定されたパターンで糊付けを行うことが可能な第1パターン糊機構及び第2パターン糊機構は、4つのローラを組み合わせることにより、簡単に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態の加工装置の構成を説明する斜視図である。
図2】本発明の実施の形態の加工装置の全体構成を模式的に説明する平面図である。
図3】第1パターン糊機構の構成を説明する説明図である。
図4】第2パターン糊機構の構成を説明する説明図である。
図5】筋入れ機構の構成及び動作を説明する説明図である。
図6】折込み機構の構成及び動作を説明する説明図である。
図7】第1パターン糊機構によって糊付けされる下層シートを例示した説明図である。
図8】第2パターン糊機構によって糊付けされる上層パーツを例示した説明図である。
図9】加工装置によって製作された立体シートを例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の印刷物加工装置としての加工装置1の主要な構成を説明する斜視図、図2は、加工装置1の全体構成を説明するための平面図である。
【0017】
この加工装置1を使って、例えば図9に示すような立体シートPを製作する。この立体シートPは、開くと中央の起立部Pbが起き上がるPOP付きシートである。
【0018】
この立体シートPは、図7に示すような第1印刷物としての下層シートP1と、図8に示すような第2印刷物としての上層パーツP2,P3とを貼り合わせて製作される積層体である。
【0019】
下層シートP1及び上層パーツP2,P3は、両面又は片面に印刷が施された紙などのシート状の印刷物である。こうした立体シートPは、糊付けや折り曲げ加工を手作業で行って製作することもできるが、それらの工程を効率的に実施するために本実施の形態の加工装置1が使用される。
【0020】
この加工装置1は、図1,2に示すように、中央に設置される作業台2と、その左側に取り付けられる第1パターン糊機構3と、作業台2の奥行き側に設けられる貼込み機構5と、作業台2の右側に取り付けられる第2パターン糊機構4とによって主に構成される。
【0021】
また、第2パターン糊機構4に連続して、折込み機構8を設けることができる。さらに、作業台2の奥行き側の貼込み機構5の下方には、筋入れ機構6を設けることができる。
【0022】
作業台2には、上面が平らな作業スペース21が形成されており、シート状の印刷物を載せて様々な加工が実施しやすい構成となっている。例えば図示していないが、作業スペース21にはエアを吸引させる多数の穴が設けられたバキューム機能を付加することができる。
【0023】
さらに、平面視長方形の作業スペース21の幅方向の中央には、発光可能なセンターライン22が設けられており、印刷物(P1,Pなど)の幅方向の位置合わせに利用することができる。
【0024】
また、作業スペース21の奥行き側(貼込み機構5側)には、ピン状の規制部23,23が突出されており、印刷物(P1,Pなど)の奥行き方向の位置合わせに利用することができる。
【0025】
さらに、作業台2の前面側には、操作盤11や操作ペダル12などが設けられており、第1パターン糊機構3、第2パターン糊機構4、貼込み機構5、筋入れ機構6、折込み機構8などの始動又は停止などの操作が行えるようになっている。
【0026】
第1パターン糊機構3は、シート状の印刷物に設定されたパターンで糊付けを行うための機構である。例えば下層シートP1の一面に、図7に示すようなパターンで糊付け部B1,B2を形成する。
【0027】
第1パターン糊機構3の仕組みついて、図3を参照しながら詳細に説明する。作業台2の左側に取り付けられた第1パターン糊機構3には、作業スペース21から位相合せベルト351によって下層シートP1が供給される。位相合せベルト351の前端には、前当て部352が設けられており、この前当て部352に糊付け前の下層シートP1の先端を当ててセットすることになる。
【0028】
第1パターン糊機構3では、下層シートP1に塗布される糊311は、箱状のグルーパン31に溜められる。糊311には、剥離不能に接着させる接着糊、接着後に容易に剥離可能な剥離糊、剥離と再接着の繰り返しが可能な粘着剤などが使用できる。
【0029】
また、糊以外にコーティング剤などを塗布する際にも、第1パターン糊機構3や後述する第2パターン糊機構4を使用することができる。コーティング剤には、例えばシリコーン樹脂を使用することができる。シリコーン樹脂には、溶剤型、無溶剤型、エマルジョン型などがある。
【0030】
グルーパン31の真上には、円筒状の軸まわりの回転が可能なパンローラ32が配置される。グルーパン31には、パンローラ32の一部が接触可能となる量の糊311が溜められる。
【0031】
このパンローラ32に近接した位置には、円筒状の軸まわりの回転が可能なトランスファーローラ33が配置される。パンローラ32によって掬い上げられた糊311は、トランスファーローラ33に転写される。
【0032】
さらに、トランスファーローラ33に近接した位置には、円筒状の軸まわりの回転が可能な版胴34が配置される。版胴34の外周面には、糊付けパターンを設定するための糊版341が貼り付けられる。例えば、図7の糊付け部B1,B2の形状に合わせた凸状が形成された糊版341が貼り付けられる。
【0033】
この糊版341の凸状部には、トランスファーローラ33から糊311が転写される。そして、版胴34に近接した位置には、円筒状の軸まわりの回転が可能な圧胴35が配置される。
【0034】
版胴34と圧胴35との間には、糊付けをさせたい印刷物(P1)が挿入される。位相合せベルト351から版胴34と圧胴35との間に送り込まれた下層シートP1には、圧胴35によって版胴34側に押し付けられた状態で糊版341が通過することになる。この圧胴35の押付け力は、通過させる印刷物の厚さなどに応じて調整することができる。
【0035】
図3を使って説明する第1パターン糊機構3は、右側から下層シートP1を挿し込むために、圧胴35を時計回り、版胴34を反時計回り、トランスファーローラ33を時計回り、パンローラ32を反時計回りにそれぞれ自転させている。
【0036】
糊版341が通過した下層シートP1は、設定されたパターンで糊付けがされた状態で左側に排出される。版胴34に近接した下層シートP1の排出口には、エアーナイフ36が設けられている。
【0037】
エアーナイフ36は、糊付けされた下層シートP1に下方から圧縮空気を吹き付けて先端を上向きにさせる機能を有する。先端が上向きにされた下層シートP1は、圧胴35と反転ガイド361との間に送られる。
【0038】
位相合せベルト351の上方には搬送ベルト37が設けられており、糊付けされた面が上になった下層シートP1が送られる。搬送ベルト37の上方には、赤外線ドライヤなどのドライヤ部38が設けられる。
【0039】
貼込み機構5は、セットされた印刷物(P2,P3)を作業台2の作業スペース21上に正確に移動させる装置である。貼込み機構5は、上層パーツP2,P3をセットするセット面51と、上層パーツP2,P3を保持させる吸着部54,・・・と、吸着部54,・・・を作業スペース21側に移動させるための吊フレーム541及びレール542とによって主に構成される。
【0040】
セット面51は、上面が平らな例えば上層パーツP2,P3を設置するための面である。セット面51には、図2に示すように、上層パーツP2,P3を正確な位置にセットするための幅規制部52,・・・及び奥行規制部53,53が設けられている。
【0041】
幅規制部52は、作業スペース21方向に延びる直線定規状に形成されており、上層パーツP2,P3の幅方向の位置合わせに利用することができる。また、奥行規制部53は、セット面51の作業スペース21側にピン状に突出されており、上層パーツP2,P3の奥行き方向の位置合わせに利用することができる。
【0042】
吸着部54は、吸引力によって上層パーツP2,P3を吸い上げることが可能な装置で、吊フレーム541によってセット面51の上方に吊り下げられる。この吊フレーム541は、両側のレール542,542に沿ってスライド移動させることができる。
【0043】
すなわち、セット面51にセットされた上層パーツP2,P3は、吸着部54,・・・によって持ち上げられて、作業スペース21側に搬送される。そして、作業スペース21上に設置された下層シートP1の上に、吸着部54,・・・によって搬送されてきた上層パーツP2,P3を重ねることができる(図2の二点鎖線の矢印参照)。
【0044】
第2パターン糊機構4は、シート状の印刷物に設定されたパターンで糊付けを行うための機構である。例えば下層シートP1に上層パーツP2,P3を貼り合わせた積層体となる立体シートPの一面に、図8に示すようなパターンで糊付け部B3,B3を形成する。
【0045】
続いて第2パターン糊機構4の仕組みついて、図4を参照しながら詳細に説明するが、第1パターン糊機構3と同様の構成については、同じ用語を使用することで詳細な説明を省略する。
【0046】
立体シートPに塗布される糊411は、グルーパン41に溜められる。糊411には、剥離不能に接着させる接着糊、接着後に容易に剥離可能な剥離糊、剥離と再接着の繰り返しが可能な粘着剤などが使用できる。
【0047】
グルーパン41の真上には、パンローラ42が配置され、パンローラ42に近接した位置には、トランスファーローラ43が配置される。パンローラ42によって掬い上げられた糊411は、トランスファーローラ43に転写される。
【0048】
さらに、トランスファーローラ43に近接した位置には、版胴44が配置される。版胴44の外周面には、糊付けパターンを設定するための糊版441が貼り付けられている。
【0049】
例えば、図8の糊付け部B3,B3の形状に合わせた凸状が形成された糊版441が貼り付けられる。この糊版441の凸状部には、トランスファーローラ43から糊411が転写され、圧胴45との間に糊付けをさせたい印刷物(P)が挿入される。
【0050】
図4を使って説明する第2パターン糊機構4は、左側から右側へ向けて立体シートPを搬送させるために、圧胴45を時計回り、版胴44を反時計回り、トランスファーローラ43を時計回り、パンローラ42を反時計回りにそれぞれ自転させている。
【0051】
また、第2パターン糊機構4では、圧胴45と略同じ上面高さとなる送込みベルト451が設けられ、立体シートPは、作業スペース21側から送込みベルト451によって搬送されて版胴44と圧胴45との間に挿し込まれる。この圧胴45の押付け力は、通過させる印刷物の厚さなどに応じて調整することができる。
【0052】
そして、糊版341が通過した立体シートPは、設定されたパターンで糊付けがされた状態で、搬送ベルト47上に排出される。この搬送ベルト47の途中には、後述する折込み機構8を設けることができる。
【0053】
また、搬送ベルト47の終端には、プレス機構としてのプレスローラ49が配置される。立体シートPは、搬送ベルト47の上面とプレスローラ49との間を加圧された状態で通過し、隣接した位置に配置された補助作業台48に送り出される(図2参照)。
【0054】
また、作業台2の後方には、カッタ機構7及びそれに隣接して補助台71が配置される。カッタ機構7は、例えば立体シートPの設定された箇所に切り込み加工を施す装置である。
【0055】
カッタ機構7には、レーザーカッタ、カッティングマシン又はダイカッタ等の公知の切込み装置が使用できる。例えば立体シートPに、図8,9に示すような任意の形状のハーフカット線H1を切り込ませることができる。ハーフカット線H1は、上層パーツP2,P3のみの切り込みで、その下に重ねられた下層シートP1は切り込まれない。
【0056】
カッタ機構7による切り込みは、ハーフカットに限定されるものではなく、必要に応じて、ミシン目、アンカット部を点状に残した切り込み、積層体を貫通させる切り込みなど、刃の長さや速度などの設定を変更することで、様々な形態の切り込みにすることができる。
【0057】
作業台2の奥行き側に配置された貼込み機構5の下方空間には、図5に示すような筋入れ機構6が収容される。すなわち、作業スペース21側から糊付けが施された立体シートPを、セット面51の下方に送り込むと、筋入れ機構6によってプレスと筋入れがされた立体シートPが排出されることになる。
【0058】
筋入れ機構6は、例えば立体シートPの中心線P10に筋目を入れて折り畳みがし易い状態にする装置である。筋入れ機構6は、中央に環状の凸条が形成された凸ローラ61と、中央に環状の凹条が形成された凹ローラ62とを備えている。
【0059】
この凸ローラ61と凹ローラ62との間に、中心線P10の位置を合せて立体シートPを送り込むと、凸ローラ61の凸条によって中心線P10が凹条側に窪み、谷折り線が形成されることになる。
【0060】
また、筋入れ機構6には、図示していないが、立体シートP全体を加圧するプレス用のローラも組み込まれている。このプレスによって、第1パターン糊機構3によって糊付けされた糊による下層シートP1と上層パーツP2,P3との接着力が高められることになる。
【0061】
一方、図6に示すように、搬送ベルト47の途中に設けられる折込み機構8は、製函装置又はサックマシンと呼ばれる公知の装置を応用して設けられる。すなわち、搬送ベルト47には、ローラガイド81や幅寄せガイド82などが折込み機構8のために配置される。
【0062】
搬送ベルト47上を平坦なシートの状態で搬送される立体シートPは、中心線P10を境にした第1面P11側がローラガイド81の下に送り込まれることになる。そして、ローラガイド81によって第1面P11の浮き上がりが防止された状態で、図示しない起し機構によって第2面P12側が壁状に起こされる。
【0063】
第2面P12が壁状に起こされてローラガイド81から抜け出した立体シートPは、幅寄せガイド82に送られる。幅寄せガイド82は、搬送方向に先細りするように傾斜された棒状部材である。
【0064】
この幅寄せガイド82の下方に立ち上った状態の第2面P12が差し掛かると、移動に伴って幅寄せガイド82に押されて第2面P12が第1面P11側に倒れ込む。
【0065】
そして、幅寄せガイド82から抜け出したときには、第1面P11上に第2面P12が重なった二ツ折りの状態の立体シートPになる。二ツ折りにされた立体シートPは、プレスローラ49と搬送ベルト47との間を通過する際に加圧され、より明確な折目が形成された折り畳まれた状態になる。
【0066】
次に、本実施の形態の加工装置1を使用した立体シートPの製作方法について説明する。
【0067】
まず、下層シートP1となる紙の両面に印刷をして、図7に示すような長方形に断裁しておく。また、上層パーツP2,P3となる紙の両面にも印刷をして、図8に示すような長方形に断裁しておく。
【0068】
そして、図2に示すように、貼込み機構5のセット面51上に、幅規制部52,・・・及び奥行規制部53,53を利用して、上層パーツP2,P3を正確な位置に並べる。
【0069】
続いて、所定の糊版341がセットされた第1パターン糊機構3に、下層シートP1を位相合せベルト351から送り込む。下層シートP1は、前当て部352に先端を突き当てることで位置合せを行い、操作ペダル12でスイッチを入れて前当て部352を下方又は上方にスライドさせることで下層シートP1を第1パターン糊機構3に送り出す。
【0070】
版胴34と圧胴35との間を通った下層シートP1の先端は、エアーナイフ36から吹き出された圧縮空気によって圧胴35側にあおられ、反転ガイド361との間を通過していく。
【0071】
続いて糊付けされた面が上を向いた下層シートP1は、搬送ベルト37に載せられ、搬送中にドライヤ部38の赤外線によって糊が乾かされる。ここで、第1パターン糊機構3で塗布される糊の種類によっては乾燥が必要ない場合があるため、その場合はドライヤ部38のスイッチを切っておけばよい。このようにして搬送ベルト37で搬送される下層シートP1は、作業スペース21側に排出される。
【0072】
図7に示すように、4辺の縁部の糊付け部B1と異形周状の糊付け部B2とに糊311が塗布された下層シートP1は、糊311が塗布された面を上にして作業スペース21上に載せる。
【0073】
この下層シートP1は、図2に示すように、中心線P10が発光するセンターライン22上に載るように幅方向の位置合わせをし、規制部23,23に押し当てることで奥行き方向の位置合わせをして、作業スペース21上の正確な位置にセットする。
【0074】
下層シートP1のセットが終了した後に、操作盤11や操作ペダル12を操作して貼込み機構5の吸着部54,・・・に上層パーツP2,P3を吸い上げさせ、作業スペース21上に移動してきた上層パーツP2,P3を、下層シートP1の上に降ろして貼り合わせる。
【0075】
このようにして正確に上層パーツP2,P3と下層シートP1とが貼り合わされた積層体である立体シートPを、カッタ機構7に投入する。カッタ機構7では、図8に示したハーフカット線H1,H1が上層パーツP2,P3のみの切り込みによって形成される。また、起立用折目H2,H2となるミシン目が形成される。
【0076】
再び作業スペース21上に戻された立体シートPは、貼込み機構5側の作業スペース21とセット面51との隙間から、筋入れ機構6に向けて挿し込まれる。
【0077】
筋入れ機構6では、プレス用のローラ(図示省略)によって立体シートP全体が加圧された後に、図5に示すように、立体シートPの中心線P10の位置に筋目が入れられる。
【0078】
筋入れ機構6で筋目が入れられた立体シートPは、図4に示すように、作業スペース21側から送込みベルト451によって第2パターン糊機構4に挿し込まれる。
【0079】
所定の糊版441がセットされた第2パターン糊機構4を通った立体シートPは、搬送ベルト47によって折込み機構8に送られる。折込み機構8では、図6に示すように、第1面P11の浮き上がりがローラガイド81で防止された状態で第2面P12が立て起され、さらに立体シートPは幅寄せガイド82に導かれる。
【0080】
幅寄せガイド82を通過することで二ツ折りにされた立体シートPは、プレスローラ49で加圧されることによって、第2パターン糊機構4で塗布された糊が接着された状態の折り畳まれた立体シートPになる。すなわち、図8に示す二等辺三角形状の糊付け部B3,B3の糊411同士が接着した状態になる。
【0081】
二ツ折りにされて補助作業台48側に排出された立体シートPを開くと、図9に示すように、ハーフカット線H1,H1から起立部Pbが抜け出して、起立用折目H2,H2を起点にして自然と起き上がる。ここで、この起立部Pbの中央の二等辺三角形状の部分が、糊付け部B3,B3同士を接着させた端縁接合部Pcである。
【0082】
次に、本実施の形態の加工装置1の作用について説明する。
【0083】
このように構成された本実施の形態の加工装置1は、設定されたパターンで糊付けを行うことが可能な第1パターン糊機構3及び第2パターン糊機構4を備えている。さらに、糊付けされた積層体を折り曲げ加工する折込み機構8も作業台2に隣接して設けることができる。
【0084】
このため、様々なパターンで印刷物に糊付けが行えるとともに、糊付けされた積層体である立体シートPを折り曲げ加工する工程までを、少ない作業員で効率的に行うことができる。
【0085】
また、作業台2に隣接して、セットされた上層パーツP2,P3を作業台2上の下層シートP1上に重ねるための貼込み機構5を備えていれば、下層シートP1と上層パーツP2,P3とを正確かつ迅速に貼り合わせることができる。
【0086】
さらに、作業台2に隣接してカッタ機構7や折込み機構8が備えられていれば、積層体に切り込み加工をして折り込むまでの作業を一連の流れの中で連続して行うことができるようになり、効率的である。
【0087】
すなわち、下層シートP1と上層パーツP2,P3とを貼り合わせてからでないと切り込み作業が行えない場合に、貼り合わせを行う装置に隣接して切り込みを行う装置が設置されていれば、工程の流れが移動などによって中断されず、効率的に製作を進めていくことができる。また、糊付けや切り込み加工だけでなく、折り込み作業も作業台2に隣接した位置で自動に行えれば、より効率的に加工作業を行っていくことができる。
【0088】
そして、設定されたパターンで糊付けを行うことが可能な第1パターン糊機構3及び第2パターン糊機構4は、4つのローラ(32−35,42−45)を組み合わせることにより、簡単に構成することができる。
【0089】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0090】
例えば、前記実施の形態では、貼込み機構5、折込み機構8及びカッタ機構7を備えた加工装置1について説明したが、これに限定されるものではない。第2印刷物を第1印刷物に重ねて貼り合わせる作業や折り込み作業は、手作業で行うこともできる。また、加工対象となる積層体によっては、折り込む必要が無いものもある。
【0091】
また、前記実施の形態では、2つの上層パーツP2,P3を下層シートP1に貼り合わせる例について説明したが、これに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上の第2印刷物を第1印刷物に貼り合わせる積層体の製作にも適用することができる。
【0092】
さらに、前記実施の形態で説明した加工装置1の作業台2に対する第1パターン糊機構3、第2パターン糊機構4、貼込み機構5、折込み機構8及びカッタ機構7の配置は、一例であり、これに限定されるものではない。また、作業台2に取り付ける向きも、作業がし易くなるように任意に付け替えることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 加工装置(印刷物加工装置)
2 作業台
21 作業スペース(上面)
3 第1パターン糊機構
31 グルーパン
311 糊
32 パンローラ
33 トランスファーローラ
34 版胴
341 糊版(設定されたパターン)
35 圧胴
4 第2パターン糊機構
41 グルーパン
411 糊
42 パンローラ
43 トランスファーローラ
44 版胴
441 糊版(設定されたパターン)
45 圧胴
5 貼込み機構
8 折込み機構
7 カッタ機構
P 立体シート(積層体)
P1 下層シート(第1印刷物)
P2,P3 上層パーツ(第2印刷物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9