特許第6660184号(P6660184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660184
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】警報器
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20200227BHJP
   G08B 21/16 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   G08B23/00 510B
   G08B21/16
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-1809(P2016-1809)
(22)【出願日】2016年1月7日
(65)【公開番号】特開2017-123059(P2017-123059A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】大江 英城
(72)【発明者】
【氏名】小畑 滋男
(72)【発明者】
【氏名】松井 巧
(72)【発明者】
【氏名】草次 将典
(72)【発明者】
【氏名】水沼 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】高林 亘
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−000696(JP,U)
【文献】 特開2015−056060(JP,A)
【文献】 特開2003−109151(JP,A)
【文献】 特開2015−022417(JP,A)
【文献】 特開2011−076358(JP,A)
【文献】 特開2006−099263(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102587985(CN,A)
【文献】 国際公開第2015/059852(WO,A1)
【文献】 特開2010−287820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 1/00− 9/20
17/00
19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲環境に応じた信号を出力するセンサ部と、前記センサ部からの信号に基づいて周囲に異常が発生しているかを判断する異常判断部と、故障が発生しているかを判断する故障判断部と、外部に出力する情報の内容に応じて発光部を点滅制御させる点滅制御部と、を備えた警報器であって、
前記異常判断部により周囲に異常が発生していると判断された場合、又は、前記故障判断部により故障が発生していると判断された場合に、前記点滅制御部に点滅制御を実行させると判断する点滅タイミング判断部をさらに備え、
前記点滅制御部は、前記点滅タイミング判断部により前記点滅制御部に点滅制御を実行させると判断された場合に、前記異常判断部により周囲に異常が発生していると判断されて、又は、前記故障判断部により故障が発生していると判断されて、発光状態が変化させられる発光部の発光期間中の一部の時間において、発光部を点滅制御させる
ことを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記点滅タイミング判断部は、前記異常判断部により周囲に異常が発生していると判断された状態、又は、前記故障判断部により故障が発生していると判断された状態が所定時間継続した場合に、前記点滅制御部に点滅制御を実行させると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記点滅制御部は、前記異常判断部により周囲に異常が発生していると判断されて発光状態が変化させられる場合には発光部の発光期間中の一部の時間において、当該異常に関する情報を出力すべく前記異常に関する情報に応じた発光部の点滅制御を行う
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の警報器。
【請求項4】
前記点滅制御部は、前記故障判断部により故障が発生していると判断されて発光状態が変化させられる場合には発光部の発光期間中の一部の時間において、当該故障に関する情報を出力すべく前記故障に関する情報に応じた発光部の点滅制御を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力対象となる情報の内容に応じて発光部を点滅制御させ、点滅する光を外部機器の受光部にて受光させることにより出力対象となる情報を外部機器に送信する通信装置が提案されている(例えば特許文献1〜4)。このような通信装置は、外部機器から指示信号等を入力することを契機として、又は、通信装置の操作部に対して所定の操作が行われることを契機として、内部の情報を読み出して発光部を点滅制御させる構成となっている。
【0003】
また、内部情報を外部に出力するために、アンテナを利用した無線通信を行う警報器についても提案されている(特許文献5〜7参照)。しかし、特許文献5〜7に記載のような警報器では、内部情報を無線通信するためにアンテナ等の無線通信部を新たに設ける必要があり、無線通信部の構成の増加によるコストの高騰を招いてしまう。そこで、特許文献1〜3に記載の光を利用した通信機能を警報器に搭載し、警報器の発光部を点滅制御させて内部情報を外部に出力するものも提案されている(特許文献8,9参照)。このような警報器では、発光部を点滅制御させて内部情報を外部に出力するため、無線通信部を必要としないだけでなく、警報器には元々警報表示を行うために発光部が設けられていることから、この発光部を利用して内部情報を外部に出力でき、コストの高騰を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−241311号公報
【特許文献2】特開2010−146447号公報
【特許文献3】特開2001−255193号公報
【特許文献4】特開2015−135585号公報
【特許文献5】特開2008−276532号公報
【特許文献6】特開2009−212706号公報
【特許文献7】特開2005−208885号公報
【特許文献8】特許第5059390号公報
【特許文献9】特開2008−146183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献8,9に記載の警報器は、パソコン側からデータ要求することで、内部情報を読み出して発光部を点滅制御させる構成となっている。このため、要求を受け付けるための構成(特許文献8,9においては例えば図6のアンプ50gなど)が必要となってしまう。そこで、特許文献1〜4に記載のように、上記構成を排除すべく、所定の操作がされることで内部情報を読み出して発光部を点滅制御させることが考えられるが、この場合には所定の操作を行う必要があり、内部情報の読み出し作業の工数増加につながってしまう。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、内部情報を読み出して発光部を点滅させる要求信号を受け付ける構成を備える必要が無く、内部情報の読み出し作業の工数増加を抑制することができる警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の警報器は、周囲環境に応じた信号を出力するセンサ部と、前記センサ部からの信号に基づいて周囲に異常が発生しているかを判断する異常判断部と、故障が発生しているかを判断する故障判断部と、外部に出力する情報の内容に応じて発光部を点滅制御させる点滅制御部と、を備えた警報器であって、前記異常判断部により周囲に異常が発生していると判断された場合、又は、前記故障判断部により故障が発生していると判断された場合に、前記点滅制御部に点滅制御を実行させると判断する点滅タイミング判断部をさらに備え、前記点滅制御部は、前記点滅タイミング判断部により前記点滅制御部に点滅制御を実行させると判断された場合に、前記異常判断部により周囲に異常が発生していると判断されて、又は、前記故障判断部により故障が発生していると判断されて、発光状態が変化させられる発光部の発光期間中の一部の時間において、発光部を点滅制御させることを特徴とする。
【0008】
この警報器によれば、異常発生時や故障時に、点滅制御部に点滅制御を実行させると判断する点滅タイミング判断部を備えるため、外部から要求信号を送信したり警報器に操作を行ったりする必要が無く、警報器自身が自己の判断により発光部を点滅制御させることとなる。従って、内部情報を読み出して発光部を点滅させる要求信号の受信機能を備える必要が無く、内部情報の読み出し作業の工数増加を抑制することができる。さらに、発光状態が変化させられる発光部の発光期間中の一部の時間において発光部の点滅制御を行うため、発光部が発光される最中に点滅制御を紛れさせることとなり、警報器が発光すべきでない状態において点滅制御を行って利用者に不安を与えてしまう等の可能性を抑えることができる。
【0009】
また、本発明の警報器において、前記点滅タイミング判断部は、前記異常判断部により周囲に異常が発生していると判断された状態、又は、前記故障判断部により故障が発生していると判断された状態が所定時間継続した場合に、前記点滅制御部に点滅制御を実行させると判断することが好ましい。
【0010】
この警報器によれば、点滅タイミング判断部は、異常状態や故障状態が所定時間継続した場合に、点滅制御部に点滅制御を実行させると判断するため、異常状態や故障状態となったとしても直ぐに点滅制御を実行せず、異常状態や故障状態が所定時間継続するという確実な異常状態や故障状態のときに点滅制御を実行することができる。
【0011】
また、本発明の警報器において、前記点滅制御部は、前記異常判断部により周囲に異常が発生していると判断されて発光状態が変化させられる場合には発光部の発光期間中の一部の時間において、当該異常に関する情報を出力すべく前記異常に関する情報に応じた発光部の点滅制御を行うことが好ましい。
【0012】
この警報器によれば、異常に関する情報を出力すべくこの情報に応じた発光部の点滅制御を行うため、警報器が異常を警報しているときに、異常の内容を外部に出力することができ、異常の詳細を外部に出力することができる。
【0013】
また、本発明の警報器において、前記点滅制御部は、前記故障判断部により故障が発生していると判断されて発光状態が変化させられる場合には発光部の発光期間中の一部の時間において、当該故障に関する情報を出力すべく前記故障に関する情報に応じた発光部の点滅制御を行うことが好ましい。
【0014】
この警報器によれば、故障に関する情報を出力すべくこの情報に応じた発光部の点滅制御を行うため、警報器が故障しているときに、故障の内容を外部に出力することができ、故障の詳細を外部に出力することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内部情報を読み出して発光部を点滅させる要求信号を受け付ける構成を備える必要が無く、内部情報の読み出し作業の工数増加を抑制することができる警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るガス警報器の外観構成図を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係るガス警報器の内部を示す構成図である。
図3図1に示したガス警報器からの情報を受信する受信装置を示す概略図である。
図4】本実施形態に係るガス警報器の制御方法を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係るガス警報器の制御状態を示す第1のタイミングチャートであり、(a)は警報及び故障がない状態を示し、(b)はガス漏れ警報時の状態を示している。
図6】本実施形態に係るガス警報器の制御状態を示す第2のタイミングチャートであり、(a)は警報及び故障がない状態を示し、(b)はガスセンサの故障時の状態を示している。
図7】変形例に係るガス警報器の制御状態を示すタイミングチャートであり、(a)は警報及び故障がない状態を示し、(b)はガス漏れ警報時の状態を示し、(c)は有効期限切れ故障時の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0018】
さらに、以下において警報器は、LPガス向けや都市ガス向けのガス警報器(CO警報機能を含む)を例に説明するが、これに限らず、火災警報器や人感警報器などであってもよいし、2以上警報器の機能を組み合わせたタイプのもの(例えばガス火災警報器)であってもよい。さらには、コンセント式の警報器であってもよいし、電池式の警報器であってもよい。加えて、警報器は、他の警報器と連動して動作する機能を有するものであってもよい。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るガス警報器の外観構成図を示す正面図であり、図2は、本発明の実施形態に係るガス警報器の内部を示す構成図である。図1及び図2に示すガス警報器1は、ガス漏れ等の異常状態を検出した場合に異常状態が発生している旨の警報を出力する定置式の警報器である。
【0020】
本実施形態に係るガス警報器1は、図2に示すガスセンサ(センサ部)10、CPU20、ROM31、RAM32、EEPROM40、音声出力部50、及び、発光部60等を備えるものであり、これらが樹脂ケース2に覆われた構造となっている。樹脂ケース2の正面側には、例えばガスセンサ10を内部に備えた検出部3と、警報出力用の音声出力部50を内部に備えた報知部4と、発光部60を内部に備えた表示部5と、警報時において警報を停止させる停止スイッチ6とが設けられている。
【0021】
なお、停止スイッチ6は、非警報時においては点検スイッチとして機能する。すなわち、警報が行われていないときに停止スイッチ6が操作されると、ガス警報器1の点検動作が行われることとなる。また、ガス警報器1が他のガス警報器1と連動している場合、他のガス警報器1において停止スイッチ6が操作されることにより、連動点検動作が行われるようになっていてもよい。
【0022】
ガスセンサ10は、周囲に検出対象となるガスが存在する場合にその濃度に応じた信号(周囲環境に応じた信号の一例)を出力するものである。このガスセンサ10は、半導体式、接触燃焼式等のセンサにより構成されている。また、ガスセンサ10には、上記のセンサのほか、周囲の一酸化炭素濃度に応じた信号(周囲環境に応じた信号の一例)を出力するセンサ部も併設されている。
【0023】
CPU20は、ガス警報器1の全体を制御するものである。このCPU20にはROM31及びRAM32が接続されている。ROM31は、動作プログラム等を格納した読み出し専用のメモリである。RAM32は、CPU20の処理作業に必要となるワークエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。CPU20は、ROM31に記憶されるプログラムを実行することで、異常判断部21、故障判断部22、点滅制御部23及び点滅タイミング判断部24の機能部を発揮させる。
【0024】
EEPROM40は、不揮発性のメモリであり、ガス警報器1の履歴データ等を記憶するものである。具体的にEEPROM40は、例えばガスセンサ電圧、CO濃度、周囲温度、電池電圧、警報時ガス濃度、警報時CO濃度、警報開始時刻、警報継続時間、故障発生時刻、故障箇所、故障判断時の判定値、及び点検結果等の情報を記憶する。
【0025】
異常判断部21は、ガスセンサ10からの信号に基づいて周囲にガス漏れ(異常の一例)や不完全燃焼等の一酸化炭素の高濃度異常(異常の一例)が発生しているかを判断するものである。このような異常判断部21は、ガスセンサ10からの信号に基づいて所定濃度以上のガスが検知された場合にガス漏れや一酸化炭素の高濃度異常が発生していると判断する。さらに、異常判断部21は、ガス漏れや一酸化炭素の高濃度異常が発生していると判断した場合、その旨の信号を音声出力部50及び発光部60に送信する。
【0026】
音声出力部50は、スピーカやブザーにより構成され、異常判断部21によりガス漏れや一酸化炭素の高濃度異常が発生していると判断された場合に、警報出力して異常の発生を報知するものである。発光部60は、ガス警報器1の状態を報知するためのものであって、本実施形態においては電源発光部61、CO発光部62、及びガス発光部63を備えている。電源発光部61は、ガス警報器1の動作電力が供給されているときに発光するものである。CO発光部62は、異常判断部21により一酸化炭素の高濃度異常が発生していると判断された場合に発光や点滅するものである。ガス発光部63は、異常判断部21によりガス漏れが発生していると判断された場合に発光や点滅するものである。なお、本実施形態において各発光部61〜63は、半導体発光素子によって構成されている。
【0027】
故障判断部22は、ガス警報器1に故障が発生しているかを判断するものである。ここでいう故障とは、ガス警報器1を使用してはならない状態をいう。従って、音声出力部50から音声が出力されない故障や、発光部60が発光しない故障のみならず、ガス警報器1の有効期限が切れたことについても故障として判断することとなる。このような故障判断部22は、例えば音声出力部50や発光部60に対して通電したときの電圧状態等から音声出力部50や発光部60の故障を検出する。また、故障判断部22は、例えば内部カウンタの値がガス警報器1の有効期限(例えば5年)を超えた場合に有効期限の故障であると判断する。さらに、故障判断部22は、例えば電池式のガス警報器1において電池電圧が所定電圧以下となった場合にも故障であると判断する。なお、故障判断対象や故障検出方法については、上記に限らず、公知又は周知の他のものが採用されてもよい。
【0028】
点滅制御部23は、外部に出力する情報に応じて発光部60を点滅制御させるものである。このような点滅制御部23は、EEPROM40に記憶される情報から出力すべき情報を選択し、選択した情報の内容に応じて発光部60を点滅制御させる。さらに、点滅制御部23は、点滅制御させる発光部60を、電源発光部61、CO発光部62、及びガス発光部63のいずれにするかを選択し、選択した発光部61〜63を点滅制御させる。特に、本実施形態において点滅制御部23は、人が点滅を認識できない50Hz以上の周波数で各発光部61〜63を点滅させる。
【0029】
点滅タイミング判断部24は、点滅制御部23に点滅制御を実行させるか否かを判断するものである。この点滅タイミング判断部24は、異常判断部21により周囲に異常が発生していると判断された場合、又は、故障判断部22により故障が発生していると判断された場合に、点滅制御部23に点滅制御を実行させると判断する。上記の点滅制御部23は、点滅タイミング判断部24により点滅制御を実行させると判断された場合に、発光部61〜63をを点滅制御させることとなる。
【0030】
より詳細に点滅タイミング判断部24は、異常判断部21により周囲に異常が発生していると判断された状態、又は、故障判断部22により故障が発生していると判断された状態が所定時間継続した場合に、発光部61〜63を点滅制御させることとなる。
【0031】
さらに、点滅制御部23は、異常判断部21により周囲に異常が発生していると判断されて発光状態が変化させられる発光部61〜63の発光期間中において、当該異常に関する情報を出力すべく異常に関する情報に応じた発光部61〜63の点滅制御を行う。詳細に説明すると、異常判断部21により周囲に異常が発生していると判断された場合、発光部61〜63のいずれかの発光状態が変化させられる。例えば、発光部61〜63のいずれか1つ以上が消灯状態から発光状態に移行したり、消灯状態から点滅状態に移行したりする。又は、発光部61〜63のいずれか1つ以上が点灯状態から点滅状態に移行したり、点滅状態から発光状態に移行したりする。点滅制御部23は、このように発光状態が変化する発光部61〜63の発光期間中に点滅制御を行う。これにより、警報時の発光に点滅制御を紛れさせることとなる。さらに、点滅制御部23は、異常発生中であることから、この異常に関する情報(本実施形態においては警報時ガス濃度、警報時CO濃度、警報開始時刻、警報継続時間の少なくとも1つ)を出力するように発光部61〜63を点滅制御させることとなる。
【0032】
同様に、点滅制御部23は、故障判断部22により故障が発生していると判断されて発光状態が変化させられる発光部61〜63の発光期間中において、当該故障に関する情報を出力すべく故障に関する情報に応じた発光部61〜63の点滅制御を行う。すなわち、故障判断部22により故障が発生していると判断された場合、発光部61〜63のいずれかの発光状態が変化させられる。例えば、発光部61〜63のいずれか1つ以上が消灯状態から発光状態に移行したり、消灯状態から点滅状態に移行したりする。又は、発光部61〜63のいずれか1つ以上が点灯状態から点滅状態に移行したり、点滅状態から発光状態に移行したりする。点滅制御部23は、このように発光状態が変化する発光部61〜63の発光期間中に点滅制御を行う。これにより、故障時の発光に点滅制御を紛れさせることとなる。さらに、点滅制御部23は、故障中であることから、この故障に関する情報(本実施形態においては故障発生時刻、故障箇所、故障判断時の判定値の少なくとも1つ)を出力するように発光部61〜63を点滅制御させることとなる。
【0033】
図3は、図1に示したガス警報器1からの情報を受信する受信装置を示す概略図である。図3に示すように、受信装置100は、受信機110と、外部装置120とから構成されている。受信機110は、例えばスティック状の受信部であって、発光部61〜63からの光を受光する受光部を有している。作業者等は、ガス警報器1の発光部60のうち点滅制御させられる発光部61〜63に対して、受信機110の受光部を近接させる。これにより、受信機110はガス警報器1からの情報に応じた光信号を受信し、光信号を復調することで、ガス警報器1から送信された情報を入力する。外部装置120は、ケーブルを解して受信機110に接続される機器であり、受信機110にて入力した情報を記憶したり表示したりする。
【0034】
図4は、本実施形態に係るガス警報器1の制御方法を示すフローチャートである。図4に示すように、まず点滅タイミング判断部24は、現在が異常の発生中であるか、すなわち現在が警報中であるかを判断する(S1)。警報中であると判断した場合(S1:YES)、点滅タイミング判断部24は、ステップS1にて判断した警報中である状態が第1所定時間継続したかを判断する(S2)。継続したと判断した場合(S2:YES)、点滅制御部23は、発光部60を点滅制御させる(S3)。このとき、点滅制御部23は、現在の異常(すなわち警報内容)に関する情報を出力するように発光部60を点滅制御させる。さらに、警報の発光に紛れさせるように点滅制御を実行する。その後、処理はステップS4に移行する。
【0035】
また、警報中でないと判断した場合(S1:NO)、又は、警報中である状態が第1所定時間継続していないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS4に移行する。
【0036】
ステップS4において点滅タイミング判断部24は、現在が故障中であるかを判断する(S4)。故障中であると判断した場合(S4:YES)、点滅タイミング判断部24は、ステップS4にて判断した故障中である状態が第2所定時間(第1所定時間と同じであってもよいし、異なるものであってもよい)継続したかを判断する(S5)。継続したと判断した場合(S5:YES)、点滅制御部23は、発光部60を点滅制御させる(S6)。このとき、点滅制御部23は、現在の故障に関する情報を出力するように発光部60を点滅制御させる。さらに、故障報知の発光に紛れさせるように点滅制御を実行する。その後、処理はステップS7に移行する。
【0037】
また、故障中でないと判断した場合(S4:NO)、又は、故障中である状態が第2所定時間継続していないと判断した場合(S5:NO)、処理はステップS7に移行する。
【0038】
ステップS7において点滅タイミング判断部24は、点検中であるかを判断する(S7)。すなわち、点滅タイミング判断部24は、停止スイッチ6が操作されて点検動作を行っている最中であるかを判断することとなる。また、ガス警報器1が他のガス警報器1と連動している場合には、上記に加えて、連動点検動作を行っている最中であるかを判断することとなる。
【0039】
点検中であると判断した場合(S7:YES)、点滅制御部23は、発光部60を点滅制御させる(S8)。このとき、点滅制御部23は、現在の点検に関する情報(点検結果)を出力するように発光部60を点滅制御させる。さらに、点検時に発光させられる発光部60の発光に紛れさせるように点滅制御を実行する。その後、処理はステップS1に移行する。
【0040】
なお、上記のステップS7においては、ガス警報器1の設置時に自動で実行される初期点検を行っている最中であるかについても判断されるようになっていてもよい。また、図4に示した処理は、ガス警報器1の電源オフ時など動作できなくなるまで、常時又は特定時間おきに繰り返し実行される。
【0041】
図5は、本実施形態に係るガス警報器1の制御状態を示す第1のタイミングチャートであり、(a)は警報及び故障がない状態を示し、(b)はガス漏れ警報時の状態を示している。図5(a)に示すように、警報及び故障がない場合において、電源供給が正常であるときには電源発光部61が点灯状態にあり、CO発光部62及びガス発光部63が消灯状態にある。このような状態からガス漏れが発生した場合、図5(b)に示すように、ガス発光部63が点滅制御される。すなわち、ガス発光部63は、異常が発生していると判断されて発光状態が変化させられる。具体的にCPU20は、ガス発光部63を2Hzの周期で点滅するように制御する。さらに本実施形態において点滅制御部23はガス発光部63の2Hz周期の発光期間中に、異常(ガス漏れ)に関する情報を出力すべく50Hz以上の周期でガス発光部63を点滅制御する。
【0042】
図6は、本実施形態に係るガス警報器1の制御状態を示す第2のタイミングチャートであり、(a)は警報及び故障がない状態を示し、(b)はガスセンサ10の故障時の状態を示している。なお、図6(a)に示す状態は図5(a)に示したものと同じである。図6(b)に示すように、ガスセンサ10の故障が発生した場合、電源発光部61が点滅制御され、CO発光部62が点灯制御される。すなわち、電源発光部61及びCO発光部62は、故障が発生していると判断されて発光状態が変化させられる。具体的にCPU20は、ガス発光部63を2Hzの周期で点滅するように制御する。さらに本実施形態において点滅制御部23は電源発光部61の2Hz周期の発光期間中に、故障(ガスセンサ10の故障)に関する情報を出力すべく50Hz以上の周期で電源発光部61を点滅制御する。又は、点滅制御部23はCO発光部62の発光期間中に、故障(ガスセンサ10の故障)に関する情報を出力すべく50Hz以上の周期でCO発光部62を点滅制御する。
【0043】
図7は、変形例に係るガス警報器1の制御状態を示すタイミングチャートであり、(a)は警報及び故障がない状態を示し、(b)はガス漏れ警報時の状態を示し、(c)は有効期限切れ故障時の状態を示している。図7(a)に示す変形例では、発光部60が1つの発光素子によって構成されている。このような発光素子は、消灯状態と、暗点灯状態と、明点灯状態との3つの状態を移行可能となっている。
【0044】
このような発光部60において警報及び故障がない場合、図7(a)に示すように、発光部60は暗点灯状態にある。そして、ガス漏れが発生した場合、図7(b)に示すように、発光部60は、3.6Hz周期で暗点灯状態と明点灯状態とを繰り返すこととなる。このとき、点滅制御部23は発光部60の発光期間(暗点灯状態でも明点灯状態でも可)中に、ガス漏れ異常に関する情報を出力すべく50Hz以上の周期で発光部60を点滅制御する。点滅制御は、符号60cに示すように、50Hz以上の周期で暗点灯状態と消灯状態とを繰り返してもよいし、符号60aに示すように、50Hz以上の周期で明点灯状態と消灯状態とを繰り返してもよいし、符号60bに示すように、50Hz以上の周期で明点灯状態と暗点灯状態とを繰り返してもよい。すなわち、点滅制御は、点灯と消灯とを繰り返す場合に限らず、明るさが異なる状態を繰り返す概念を含むものである。
【0045】
また、有効期限切れが発生した場合、図7(c)に示すように、発光部60は、2秒の暗点灯状態と1秒の消灯状態とを繰り返すこととなる。このとき、点滅制御部23は発光部60の発光期間(暗点灯状態)中に、有効期限切れ故障に関する情報を出力すべく50Hz以上の周期で発光部60を点滅制御する。
【0046】
なお、上記では図5図7を参照してガス漏れ時、ガスセンサ10の故障時、及び有効期限切れ故障時の点滅制御の詳細を説明したが、他の異常や故障についても同様である。また、点検動作中における点滅制御についても図5図7に示したものと同様である。
【0047】
このようにして、本実施形態に係るガス警報器1によれば、異常発生時や故障時に、点滅制御部23に点滅制御を実行させると判断する点滅タイミング判断部24を備えるため、外部から要求信号を送信したりガス警報器1に操作を行ったりする必要が無く、ガス警報器1自身が自己の判断により発光部60を点滅制御させることとなる。従って、内部情報を読み出して発光部60を点滅させる要求信号の受信機能を備える必要が無く、内部情報の読み出し作業の工数増加を抑制することができる。
【0048】
また、点滅タイミング判断部24は、異常状態や故障状態が所定時間継続した場合に、点滅制御部23に点滅制御を実行させると判断するため、異常状態や故障状態となったとしても直ぐに点滅制御を実行せず、異常状態や故障状態が所定時間継続するという確実な異常状態や故障状態のときに点滅制御を実行することができる。
【0049】
また、周囲に異常が発生していると判断されて発光状態が変化させられる発光部60の発光期間中において発光部60の点滅制御を行うため、発光部60が発光される最中に点滅制御を紛れさせることとなり、ガス警報器1が発光すべきでない状態において点滅制御を行って利用者に不安を与えてしまう等の可能性を抑えることができる。さらに、異常に関する情報を出力すべくこの情報に応じた発光部60の点滅制御を行うため、ガス警報器1が異常を警報しているときに、異常の内容を外部に出力することができ、異常の詳細を外部に出力することができる。
【0050】
また、故障が発生していると判断されて発光状態が変化させられる発光部60の発光期間中において発光部60の点滅制御を行うため、発光部60が発光される最中に点滅制御を紛れさせることとなり、ガス警報器1が発光すべきでない状態において点滅制御を行って利用者に不安を与えてしまう等の可能性を抑えることができる。さらに、故障に関する情報を出力すべくこの情報に応じた発光部60の点滅制御を行うため、ガス警報器1が故障しているときに、故障の内容を外部に出力することができ、故障の詳細を外部に出力することができる。
【0051】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0052】
例えば、上記実施形態において発光部60,61,62,63は、発光素子にて構成されているが、これに限らず、発光可能なものであれば発光素子に限るものではない。このため、発光部60は、液晶ディスプレイのバックライト等であってもよいし、他の物であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 :ガス警報器
2 :樹脂ケース
3 :検出部
4 :報知部
5 :表示部
6 :停止スイッチ
10 :ガスセンサ(センサ部)
20 :CPU
21 :異常判断部
22 :故障判断部
23 :点滅制御部
24 :点滅タイミング判断部
50 :音声出力部
60 :発光部
61 :電源発光部(発光部)
62 :CO発光部(発光部)
63 :ガス発光部(発光部)
100 :受信装置
110 :受信機
120 :外部装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7