特許第6660186号(P6660186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660186
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 36/04 20060101AFI20200227BHJP
   C01B 13/00 20060101ALI20200227BHJP
   B01D 35/20 20060101ALI20200227BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20200227BHJP
   B01D 29/62 20060101ALI20200227BHJP
   B01D 24/44 20060101ALI20200227BHJP
   B01D 29/94 20060101ALI20200227BHJP
   B03B 5/28 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   B01D36/04
   C01B13/00
   B01D35/20
   B01D29/04 520C
   B01D29/38 580C
   B01D29/04 510A
   B01D29/42 520
   B03B5/28 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-5688(P2016-5688)
(22)【出願日】2016年1月15日
(65)【公開番号】特開2017-124376(P2017-124376A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】株式会社IHIプラント
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 行貴
(72)【発明者】
【氏名】森 美栄
(72)【発明者】
【氏名】初谷 智美
(72)【発明者】
【氏名】西塚 史郎
(72)【発明者】
【氏名】西 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】戸村 重男
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−124467(JP,A)
【文献】 特開2006−116503(JP,A)
【文献】 特開2004−097867(JP,A)
【文献】 特開2004−255251(JP,A)
【文献】 特開2012−240901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/00−29/96
B01D 35/00−35/34
B01D 36/00−36/04
C10L 3/00−3/12
C01B 13/00−13/36
B03B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンハイドレートが含まれるオゾンハイドレート含有液から該オゾンハイドレートを分離する分離装置であって、
前記オゾンハイドレート含有液を収容する収容槽と、
前記収容槽に設けられた導入口を通じて、該収容槽内に前記オゾンハイドレート含有液を導入するとともに、該収容槽における該導入口の上方に設けられた排出口を通じて、該収容槽内から液体を排出する供給手段と、
前記収容槽における前記導入口の下方に形成された開口を通じて、該収容槽内において沈降分離されたオゾンハイドレートを外部に排出する排出部と、
前記収容槽内の前記導入口と前記排出口との間に配され、前記オゾンハイドレート含有液が通過すると該オゾンハイドレート含有液中のオゾンハイドレートを捕捉するフィルタ部と、
前記フィルタ部に振動を付与する振動付与手段と、
を備えたことを特徴とする分離装置。
【請求項2】
前記振動付与手段は、
前記収容槽の外部に配され、振動を発生させる振動発生器と、
前記振動発生器と前記フィルタ部とを物理的に接続して、該振動発生器が発生させた振動を該フィルタ部に伝達する伝達部と、
を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記振動付与手段は、
前記オゾンハイドレート含有液中であって前記フィルタ部の上方に配された、超音波を発振する超音波発振器を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項4】
前記振動付与手段は、前記フィルタ部における前記排出口側に設けられ、前記超音波発振器によって発振された超音波を受信する受信板をさらに含んで構成されることを特徴とする請求項3に記載の分離装置。
【請求項5】
前記フィルタ部の上方の水圧と下方の水圧の差が所定の閾値以上になると、前記振動付与手段による振動の付与を開始する振動制御部を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラスレートが含まれるクラスレート含有液からクラスレートを分離する分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クラスレートのうち、クラスレートハイドレートは、水分子同士の水素結合によって形成されるクラスレート構造(籠状構造)の内部に、水分子以外の分子が包接された結晶である。クラスレートハイドレートにおける籠状構造を形成する水分子は、ホスト分子と称され、包接される(包み込まれる)分子はゲスト物質(ゲスト分子)と称される。このようなクラスレートハイドレートのうち、ゲスト物質としてガスを包接したものは、ガスハイドレートと呼ばれ、例えば、メタンハイドレート、二酸化炭素ハイドレート、オゾンハイドレート等が知られている。ガスハイドレートは、自体の体積の120倍以上のゲスト物質を包蔵することができるため、ガス包蔵性が高い物質として注目されている。
【0003】
このようなガスハイドレートの製造技術として、ゲスト物質を含む原料ガスと水とを所定の圧力に昇圧した後に混合して、原料ガス中のゲスト物質を水に溶解させ、ゲスト物質が溶解された水を所定の温度に冷却してガスハイドレートを生成する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このように生成されたガスハイドレート等のクラスレートは液体に混合されているため、液体からクラスレートを分離する必要がある。クラスレートの分離技術としては、沈降分離器、遠心分離器、液体サイクロン分離器が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−356685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クラスレートの生成反応において、反応速度を上昇させると、生成されるクラスレートの粒径は小さくなる。つまり、反応速度を上昇させるためには、ゲスト物質(ガス)と、ホスト分子(液体)との接触面積(液体中のガス(気泡)の表面積)を大きくする必要があり、ガスの表面積を大きくするためにガスの粒径を小さくしている。したがって、クラスレートを製造する際には、ある程度粒径が小さいクラスレートが生成されることとなる。
【0007】
ここで、沈降分離器でクラスレートを分離すると、相対的に粒径が小さいクラスレートをクラスレート含有液から分離するのに長時間を要してしまう。また、分離に長時間を要するため、沈降分離器の鉛直方向の距離を長くする必要があり、沈降分離器自体が大きくなり、沈降分離器のコストが高くなるという課題がある。
【0008】
また、遠心分離器を用いると、分離器自体のコストがかかるばかりか、遠心力が小さいと(回転数が低いと)相対的に粒径が小さいクラスレートを分離するのに長時間を要することとなる。また、遠心力を高めると(回転数を高めると)、消費電力が増大してランニングコストが上昇してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、クラスレート含有液からクラスレートを短時間かつ低コストで分離することが可能な分離装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の分離装置は、オゾンハイドレートが含まれるオゾンハイドレート含有液からオゾンハイドレートを分離する分離装置であって、オゾンハイドレート含有液を収容する収容槽と、収容槽に設けられた導入口を通じて、収容槽内にオゾンハイドレート含有液を導入するとともに、収容槽における導入口の上方に設けられた排出口を通じて、収容槽内から液体を排出する供給手段と、収容槽における導入口の下方に形成された開口を通じて、収容槽内において沈降分離されたオゾンハイドレートを外部に排出する排出部と、収容槽内の導入口と排出口との間に配され、オゾンハイドレート含有液が通過するとオゾンハイドレート含有液中のオゾンハイドレートを捕捉するフィルタ部と、フィルタ部に振動を付与する振動付与手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、振動付与手段は、収容槽の外部に配され、振動を発生させる振動発生器と、振動発生器とフィルタ部とを物理的に接続して、振動発生器が発生させた振動をフィルタ部に伝達する伝達部と、を含んで構成されるとしてもよい。
【0012】
また、振動付与手段は、オゾンハイドレート含有液中であってフィルタ部の上方に配された、超音波を発振する超音波発振器を含んで構成されるとしてもよい。
【0013】
また、振動付与手段は、フィルタ部における排出口側に設けられ、超音波発振器によって発振された超音波を受信する受信板をさらに含んで構成されるとしてもよい。
【0014】
また、フィルタ部の上方の水圧と下方の水圧の差が所定の閾値以上になると、振動付与手段による振動の付与を開始する振動制御部を備えるとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クラスレート含有液からクラスレートを短時間かつ低コストで分離することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】クラスレート製造システムの概略的な構成を説明するための図である。
図2】分離装置の具体的な構成を説明する図である。
図3】変形例にかかる分離装置の具体的な構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
(クラスレート製造システム100)
図1は、クラスレート製造システム100の概略的な構成を説明するための図である。図1に示すように、クラスレート製造システム100は、クラスレート製造装置110と、分離装置120とを含んで構成される。なお、ここでは、クラスレートとして、オゾンハイドレートを例に挙げて説明する。
【0021】
クラスレート製造装置110は、ゲスト物質としてのオゾンと水とを、所定の圧力、所定の温度環境下で混合してオゾンハイドレートを製造する。詳細に説明すると、クラスレート製造装置110では、オゾンハイドレートと水との混合液(以下、「クラスレート含有液」と称する)が製造されることとなる。なお、オゾンハイドレートの製造自体は、既存の様々な技術を利用することができるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0022】
こうして製造されたクラスレート含有液は、分離装置120に送出され、分離装置120においてクラスレート(オゾンハイドレート)と分離液(水)とに分離される。そして、分離装置120で分離されたオゾンハイドレートは供給先に送出され、分離液はクラスレート製造装置110に返送されて再利用されることとなる。以下、分離装置120の具体的な構成について詳述する。
【0023】
(分離装置120)
図2は、分離装置120の具体的な構成を説明する図である。なお、図2中、液体の流れを白抜き矢印で、固体および気体の流れを実線の矢印で、信号の流れを破線の矢印で示す。また、オゾンハイドレートを黒丸で示す。図2に示すように、分離装置120は、収容槽210と、供給手段220と、フィルタ部230と、振動付与手段240と、差圧計250と、振動制御部260と、クラスレートポンプ270とを含んで構成される。
【0024】
収容槽210は、クラスレート含有液を収容する槽であり、本体部212と、蓋部214と、シール材216(パッキン)とを含んで構成される。本体部212は、上面が開口した槽であり、この上面の開口がシール材216を介し、蓋部214によって閉じられることにより、収容槽210(本体部212)内が密閉状態となる。また、本体部212の側面には、導入口212aが設けられており、後述する供給手段220によって導入口212aを通じ、本体部212内にクラスレート含有液が導入されることとなる。また、本体部212の側面における導入口212aの上方には、排出口212bが設けられている。したがって、収容槽210内における液面は、排出口212bの位置となる。
【0025】
また、本体部212の側面における排出口212bの上方には、ガス抜出口212cが設けられており、ガス抜出口212cにはガス抜出管が接続されており、ガス抜出管には逆止弁218が設けられている。したがって、収容槽210内に流入する未反応ガス(クラスレート含有液に含まれる未反応ガス、例えば、オゾン(O)、酸素(O)、二酸化炭素(CO)、図2中、白丸で示す)は、ガス抜出口212cを通じて外部に排出される。
【0026】
供給手段220は、排出口212bに接続された配管上に設けられたポンプで構成され、導入口212aを通じて、本体部212(収容槽210)内にクラスレート含有液を導入するとともに、排出口212bを通じて、本体部212内から分離液(液体)を排出する。なお、供給手段220によるクラスレート含有液の導入速度(分離液の排出速度)は、本体部212内において、所定の第1粒径以上のオゾンハイドレートが沈降分離可能な程度に設定される。したがって、所定の第1粒径以上のオゾンハイドレートは、本体部212の底部に沈降し、所定の第1粒径未満のオゾンハイドレートは、水とともに上昇流となって排出口212bに向かって流れることとなる。
【0027】
フィルタ部230は、本体部212内における導入口212aと排出口212bとの間に配され、クラスレート含有液が通過すると、クラスレート含有液中のオゾンハイドレートを捕捉する。本実施形態において、クラスレート含有液は、鉛直下方から鉛直上方へ向かってフィルタ部230を横切って流れるため、フィルタ部230の下面にオゾンハイドレートが捕捉されることとなる。なお、フィルタ部230に形成された孔径(目開き)は、第1粒径未満の所定の第2径に設定される。したがって、フィルタ部230の下面には、第2径以上の粒径のオゾンハイドレートが捕捉されることとなる。また、フィルタ部230は、クラスレート含有液中を浮遊する気泡を破壊して、気泡の表面に付着しているオゾンハイドレートの結晶を剥離して、フィルタ部230の下面に捕捉する。
【0028】
こうして捕捉されたオゾンハイドレート(結晶)は、フィルタ部230の下面において凝集して粒径が増大し、一部が沈降することとなる。
【0029】
振動付与手段240は、後述する振動制御部260の制御指令に応じて、フィルタ部230に振動を付与する。本実施形態において振動付与手段240は、振動発生器242と、伝達部244とを含んで構成される。
【0030】
振動発生器242は、蓋部214に載置され、振動を発生させる。伝達部244は、一端が蓋部214の下面に物理的に接続され、他端がフィルタ部230に物理的に接続される(蓋部214を介して振動発生器242とフィルタ部230とを接続する)金属製の棒部材で構成され、振動発生器242が発生させた振動をフィルタ部230に伝達する。ここで、蓋部214と、本体部212との間には、振動発生器242が発生させた振動を本体部212へ伝達させないために、シール材216(アイソレータ)が介在しているため、その分、フィルタ部230に振動が効率よく伝達されることとなる。
【0031】
振動付与手段240を備える構成により、フィルタ部230自体を振動させることができ、フィルタ部230によって捕捉されたオゾンハイドレートをフィルタ部230から剥離させることが可能となる。これにより、オゾンハイドレートを本体部212の底面に沈降させることができる。
【0032】
差圧計250は、フィルタ部230の上方の水圧と、フィルタ部230の下方の水圧の差を測定する。
【0033】
振動制御部260は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)からCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory:読み書き可能なメモリ)や他の電子回路と協働して振動付与手段240を制御する。本実施形態において振動制御部260は、差圧計250が測定した差圧が所定の第1閾値以上になると、振動発生器242を駆動して振動の付与を開始し、第1閾値未満の所定の第2閾値未満になると、振動発生器242を停止して振動の付与を停止する。
【0034】
振動制御部260を備える構成により、振動発生器242の駆動エネルギー(例えば、電力)の消費を抑えつつ、フィルタ部230の目詰まりを防止することが可能となる。
【0035】
クラスレートポンプ270は、例えば、スクリューフィーダで構成され、本体部212内において沈降分離されたオゾンハイドレートを、本体部212の底面に形成された底部開口212dから抜き出して、供給先に送出する。本実施形態において、クラスレートポンプ270は、底部開口212dに接続された筒部272と、筒部272内に配されオゾンハイドレートを押し出すスクリュー部274と、スクリュー部274を回転させるモータ276とを含んで構成される。
【0036】
したがって、不図示のオゾンハイドレートレベル計が測定した、本体部212内のオゾンハイドレートの堆積量が所定値を上回ると、筒部272に接続されたバルブ272a、272bを開弁し、モータ276がスクリュー部274を回転させる。そうすると、筒部272の端部開口に接続された供給管278aからオゾンハイドレートが送出されることとなる。なお、筒部272内に溜まった水は、筒部272の底部に形成された開口に接続された配管278bを通じて、外部に排出されることとなる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態にかかる分離装置120によれば、沈降分離に加えて、小粒径のオゾンハイドレートを含むクラスレート含有液をフィルタ部230に通過させるだけで、沈降分離に時間を要する小粒径のオゾンハイドレートを分離することができる。また、フィルタ部230で捕捉されたオゾンハイドレートを凝集させることができ、さらに、振動付与手段240が凝集されたオゾンハイドレートを剥離させて沈降させるため、沈降分離に要する時間を短縮することが可能となる。これにより、収容槽210を小型化することができる。
【0038】
従来の遠心分離器では、遠心力によってオゾンハイドレート中のオゾンが減衰したり、オゾンハイドレート自体が破壊されてしまったりするおそれがある。また、従来の液体サイクロン分離器においても、遠心分離器と同様に遠心力が強いとオゾンハイドレートが分解し、オゾンが減衰する。
【0039】
しかし、本実施形態にかかる分離装置120では、重力を上回る力がオゾンハイドレートにかかることはないため、従来の遠心分離器および液体サイクロン分離器と比較してオゾンハイドレート中のオゾンの減衰を低下させることができる。したがって、分離されたオゾンハイドレートの品質の劣化を防止しつつ、オゾンハイドレートの回収率を向上することが可能となる。
【0040】
また、従来の遠心分離器や液体サイクロン分離器と比較して、装置自体のコストが安く、また、駆動エネルギーに要するコストが安いため、イニシャルコストおよびランニングコストを低減することが可能となる。
【0041】
(変形例)
上記した分離装置120では、振動発生器242および伝達部244を含んで構成される振動付与手段240を例に挙げて説明した。しかし、振動付与手段は、フィルタ部230に振動を付与することができれば、構成に限定はない。
【0042】
図3は、変形例にかかる分離装置320の具体的な構成を説明する図である。なお、図3中、液体の流れを白抜き矢印で、固体および気体の流れを実線の矢印で、信号の流れを破線の矢印で示す。また、オゾンハイドレートを黒丸で示す。図3に示すように、分離装置320は、収容槽210と、供給手段220と、フィルタ部230と、振動付与手段340と、差圧計250と、振動制御部260と、クラスレートポンプ270とを含んで構成される。なお、上記分離装置120と実質的に等しい構成については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、構成の異なる振動付与手段340について詳述する。
【0043】
本実施形態において、振動付与手段340は、超音波発振器342と、受信板344とを含んで構成される。
【0044】
超音波発振器342は、クラスレート含有液中であってフィルタ部230の上方に配され、フィルタ部230に向けて超音波を発振する。
【0045】
受信板344は、フィルタ部230における上面(排出口212b側)に設けられ、超音波発振器342によって発振された超音波を受信する。これにより、受信板344が振動し、この振動がフィルタ部230に伝達(付与)されることとなる。
【0046】
振動付与手段340を備える構成により、フィルタ部230自体を振動させることができ、フィルタ部230によって捕捉されたオゾンハイドレートをフィルタ部230から剥離させることが可能となる。これにより、オゾンハイドレートを本体部212の底面に沈降させることができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
例えば、上記実施形態および変形例において、分離装置120、320が分離するクラスレートとして、オゾンハイドレートを例に挙げて説明した。しかし、分離装置120、320は、他のクラスレートをクラスレート含有液から分離することもできる。例えば、オゾンと同様に減衰する物質をゲスト物質とするハイドレートや、減衰する物質をゲスト物質とするクラスレートが挙げられる。
【0049】
また、上記変形例において、振動付与手段340が受信板344を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、振動付与手段は、受信板を備えずともよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、クラスレートが含まれるクラスレート含有液からクラスレートを分離する分離装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
120 分離装置
210 収容槽
212a 導入口
212b 排出口
220 供給手段
230 フィルタ部
240 振動付与手段
242 振動発生器
244 伝達部
260 振動制御部
320 分離装置
340 振動付与手段
342 超音波発振器
344 受信板
図1
図2
図3