特許第6660192号(P6660192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660192
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】飛行物体監視システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20200227BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   H04N7/18 D
   G08B25/00 510M
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-13487(P2016-13487)
(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公開番号】特開2017-135548(P2017-135548A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】夛澤 慶亮
(72)【発明者】
【氏名】中山 慎士
(72)【発明者】
【氏名】青木 文男
【審査官】 鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−168421(JP,A)
【文献】 特許第5979458(JP,B2)
【文献】 特開昭50−099290(JP,A)
【文献】 特開2002−027442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の監視領域内の飛行物体を検知する検知手段と、
前記検知された飛行物体の画像を撮像する撮像手段と、
前記検知手段が検知した前記飛行物体の少なくとも位置情報と前記撮像手段が撮像した画像をセンタ装置へ送信する送信手段と、
を含む複数の監視装置と、
前記撮像手段が取得した画像を表示する表示手段と、
前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を選択する選択手段と、
前記撮像手段から取得した画像を処理して視認性を判定する画像処理手段と、
を備えたセンタ装置からなる飛行物体監視システムであって、
前記センタ装置は、
前記選択手段が前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を切り替えるタイミングにおいて、切り替え後の撮像手段で撮像される画像が視認性が低いとする所定基準を満たす場合は、当該撮像手段に切り替えないことを特徴とする飛行物体監視システム。
【請求項2】
前記選択手段は、ユーザ入力があると前記表示すべき撮像手段を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の飛行物体監視システム。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記監視装置から送信された画像を画像処理して、前記画像上の飛行物体を含む所定領域における輝度分布が所定以上の場合に視認性が低いとする所定基準を満たすと判定する請求項1又は2に記載の飛行物体監視システム。
【請求項4】
前記センタ装置は、前記視認性が低いとする所定基準を満たすと判定された画像を前記表示手段に表示する場合のみ、画像上の飛行物体位置にガイドを表示することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の飛行物体監視システム。
【請求項5】
前記表示手段は、前記撮像手段の画像をズーム/ワイド画像に分割して表示可能であり、前記撮像手段を切り替える場合は、前記ズーム画像を切り替えず、ワイド画像のみ切り替えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の飛行物体監視システム。
【請求項6】
所定の監視領域内の飛行物体を検知する検知手段と、
前記検知された飛行物体の画像を撮像する撮像手段と、
前記検知手段が検知した前記飛行物体の少なくとも位置情報と前記撮像手段が撮像した画像をセンタ装置へ送信する送信手段と、
を含む複数の監視装置と、
前記撮像手段が取得した画像を表示する表示手段と、
前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を選択する選択手段と、
を備えたセンタ装置からなる飛行物体監視システムであって、
前記表示手段は、前記撮像手段の画像をズーム/ワイド画像に分割して表示可能であり、
前記センタ装置は、
前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を前記選択手段が選択して切り替えるタイミングにおいて、前記表示手段のズーム画像を切り替えず、ワイド画像のみ切り替えることを特徴とする飛行物体監視システム。
【請求項7】
所定の監視領域内に飛来する飛行物体を検知し、この検知した飛行物体を含む画像をセンタ装置の表示手段に表示して前記飛行物体を監視する飛行物体監視システムにおいて、
前記監視領域内の飛行物体を検知する複数の検知手段と、
前記検知された飛行物体の画像を撮像する複数の撮像手段と、
前記検知手段が検知した前記飛行物体の少なくとも位置情報と前記撮像手段が撮像した画像を前記センタ装置へ送信する複数の送信手段と、
を備え、
前記センタ装置は、
前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を選択する選択手段と、
前記撮像手段から取得した画像を処理して視認性を判定する画像処理手段と、
を備え、
前記選択手段が前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を切り替えるタイミングにおいて、切り替え後の撮像手段で撮像される画像が視認性が低いとする所定基準を満たす場合は、当該撮像手段に切り替えないことを特徴とする飛行物体監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の監視領域内に飛来する飛行物体(例えばドローン等)を検知し、この検知した飛行物体を含む画像を遠隔のセンタ装置の表示手段に表示して飛行物体を監視する飛行物体監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンと呼ばれる小型で無人のマルチコプターが実用化され、農薬散布や施設点検などさまざまな用途に有効利用されている。一方で、盗撮や危険物運搬などドローンを悪用した犯罪も懸念されつつあり、このようなドローンを早期に検出するシステムも現れ始めている。
【0003】
従来、例えば下記特許文献1に開示されるように、特定の監視領域内に侵入する侵入物体を監視対象とし、検知手段にて侵入物体を検知すると遠隔の監視モニタに表示し、監視員が確認可能な監視装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−198802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、飛行物体を検知する検知手段の検知可能範囲よりも広い監視範囲を監視する場合には、複数の検知手段を組み合わせて監視領域を形成する必要があり、検知手段が検知した飛行物体を視認するためのカメラも複数設定する必要がある。
【0006】
この場合、飛行物体がある検知手段の検知範囲から外れて隣接する他の検知手段の検知範囲へ移動すると、撮影するカメラ画像も飛行物体の撮影に適したものに切り替えるのが好ましい。
【0007】
しかしながら、監視員が監視モニタで飛行物体を監視中に、他の監視範囲に飛行物体が移動してカメラ画像が切り替わると、カメラの設置場所によっては飛行物体を撮影する方向が異なることもあり、例えば逆光等により切り替わった先のカメラ画像の視認性が低いと監視員は飛行物体を見失う可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、監視員が監視中の飛行物体を見失うことを防止することができる飛行物体監視システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明に係る飛行物体監視システムは、所定の監視領域内の飛行物体を検知する検知手段と、
前記検知された飛行物体の画像を撮像する撮像手段と、
前記検知手段が検知した前記飛行物体の少なくとも位置情報と前記撮像手段が撮像した画像をセンタ装置へ送信する送信手段と、
を含む複数の監視装置と、
前記撮像手段が取得した画像を表示する表示手段と、
前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を選択する選択手段と、
前記撮像手段から取得した画像を処理して視認性を判定する画像処理手段と、
を備えたセンタ装置からなる飛行物体監視システムであって、
前記センタ装置は、
前記選択手段が前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を切り替えるタイミングにおいて、切り替え後の撮像手段で撮像される画像が視認性が低いとする所定基準を満たす場合は、当該撮像手段に切り替えないことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る飛行物体監視システムは、前記選択手段が、ユーザ入力があると前記表示すべき撮像手段を切り替えるようにしてもよい。
【0011】
さらに、本発明に係る飛行物体監視システムは、前記画像処理手段が、前記監視装置から送信された画像を画像処理して、前記画像上の飛行物体を含む所定領域における輝度分布が所定以上の場合に視認性が低いとする所定基準を満たすと判定してもよい。
【0012】
また、本発明に係る飛行物体監視システムは、前記センタ装置が、前記視認性が低いとする所定基準を満たすと判定された画像を前記表示手段に表示する場合のみ、画像上の飛行物体位置にガイドを表示してもよい。
【0013】
さらに、本発明に係る飛行物体監視システムは、前記表示手段は、前記撮像手段の画像をズーム/ワイド画像に分割して表示可能であり、前記撮像手段を切り替える場合は、前記ズーム画像を切り替えず、ワイド画像のみ切り替えてもよい。
【0014】
また、本発明に係る飛行物体監視システムは、所定の監視領域内の飛行物体を検知する検知手段と、
前記検知された飛行物体の画像を撮像する撮像手段と、
前記検知手段が検知した前記飛行物体の少なくとも位置情報と前記撮像手段が撮像した画像をセンタ装置へ送信する送信手段と、
を含む複数の監視装置と、
前記撮像手段が取得した画像を表示する表示手段と、
前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を選択する選択手段と、
を備えたセンタ装置からなる飛行物体監視システムであって、
前記表示手段は、前記撮像手段の画像をズーム/ワイド画像に分割して表示可能であり、
前記センタ装置は、
前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を前記選択手段が選択して切り替えるタイミングにおいて、前記表示手段のズーム画像を切り替えず、ワイド画像のみ切り替えることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係る飛行物体監視システムは、所定の監視領域内に飛来する飛行物体を検知し、この検知した飛行物体を含む画像をセンタ装置の表示手段に表示して前記飛行物体を監視する飛行物体監視システムにおいて、
前記監視領域内の飛行物体を検知する複数の検知手段と、
前記検知された飛行物体の画像を撮像する複数の撮像手段と、
前記検知手段が検知した前記飛行物体の少なくとも位置情報と前記撮像手段が撮像した画像を前記センタ装置へ送信する複数の送信手段と、
を備え、
前記センタ装置は、
前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を選択する選択手段と、
前記撮像手段から取得した画像を処理して視認性を判定する画像処理手段と、
を備え、
前記選択手段が前記飛行物体の位置に基づいて前記表示手段に表示すべき撮像手段を切り替えるタイミングにおいて、切り替え後の撮像手段で撮像される画像が視認性が低いとする所定基準を満たす場合は、当該撮像手段に切り替えないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の飛行物体監視システムによれば、複数の監視装置における検知手段は、所定の監視領域内の飛行物体を検知する。複数の監視装置における撮像手段は、検知手段にて検知された飛行物体の画像を撮像する。複数の監視装置における送信手段は、検知手段が検知した飛行物体の少なくとも位置情報と撮像手段が撮像した画像をセンタ装置に送信する。センタ装置における表示手段は、撮像手段が取得した画像を表示する。センタ装置における選択手段は、飛行物体の位置に基づいて表示手段に表示すべき撮像手段を選択する。センタ装置における画像処理手段は、撮像手段から取得した画像を処理して視認性を判定する。センタ装置は、選択手段が飛行物体の位置に基づいて表示手段に表示すべき撮像手段を切り替えるタイミングにおいて、切り替え後の撮像手段で撮像される画像が視認性が低いとする所定基準を満たす場合は、当該撮像手段に切り替えを行わない。かかる構成により、撮像手段が撮像した画像を元に監視員が監視領域内に飛来する飛行物体を監視しているときに、監視員が撮像手段の切り替えによって目標物体を見失うことを防止することができる。
【0017】
また、本発明の飛行物体監視システムによれば、選択手段は、ユーザ入力があると表示すべき撮像手段を切り替える。かかる構成により、撮像手段の切り替えが自動的に行われない場合において、ユーザ判断により強制的に撮像手段が撮像した画像を切り替えることが可能となり、現在の画像から目標の飛行物体を確認した上でユーザが切り替えたいタイミングで画像を切り替えることができる。
【0018】
さらに、本発明の飛行物体監視システムによれば、画像処理手段は、監視装置から送信された画像を画像処理して、画像上の飛行物体を含む所定領域における輝度分布が所定以上の場合に視認性が低いとする所定基準を満たすと判定する。かかる構成により、逆光により画像上の飛行物体の視認性が低い場合には、撮像手段の切り替えを行わないので、撮像手段の切り替えによって監視員が目標の飛行物体を見失うことを防止することができる。
【0019】
また、本発明の飛行物体監視システムによれば、センタ装置は、視認性が低いとする所定基準を満たすと判定された画像を表示手段に表示する場合のみ、画像上の飛行物体位置にガイドを表示する。かかる構成により、撮像手段の切り替え後、視認性が低いと判定された場合であっても画像上の飛行物体位置にガイドが表示されるので、監視員が飛行物体の位置を確認することができる。また、視認性が低くない場合は、ガイドの表示を行わないことで監視員が煩わしさを感じさせないようにすることができる。
【0020】
さらに、本発明の飛行物体監視システムによれば、表示手段は、撮像手段の画像をズーム/ワイド画像に分割して表示可能であり、撮像手段を切り替える場合は、ズーム画像を切り替えず、ワイド画像のみ切り替える。かかる構成により、撮像手段を切り替えるタイミングにおいて、視認性が低い場合は、ワイド画像のみ切り替えることで切り替え後の全体画像から視認性の状況を確認するとともに飛行物体が認識できるかを把握でき、ズーム画像は切り替えないことで飛行物体の継続監視を行うことができる。
【0021】
また、本発明の飛行物体監視システムによれば、複数の監視装置における検知手段は、所定の監視領域内の飛行物体を検知する。複数の監視装置における撮像手段は、検知手段にて検知された飛行物体の画像を撮像する。複数の監視装置における送信手段は、検知手段が検知した飛行物体の少なくとも位置情報と撮像手段が撮像した画像をセンタ装置に送信する。センタ装置における表示手段は、撮像手段が取得した画像をズーム/ワイド画像に分割して表示する。センタ装置における選択手段は、飛行物体の位置に基づいて表示手段に表示すべき撮像手段を選択する。センタ装置は、飛行物体の位置に基づいて表示手段に表示すべき撮像手段を選択手段が選択して切り替えるタイミングにおいて、表示手段のワイド画像のみ切り替える。かかる構成により、撮像手段を切り替えるタイミングにおいて、ワイド画像のみ切り替えることで切り替え後の全体画像から視認性の状況を確認するとともに飛行物体が認識できるかを把握でき、ズーム画像は切り替えないことで継続監視ができる。
【0022】
さらに、本発明の飛行物体監視システムによれば、複数の検知手段、複数の撮像手段、複数の送信手段がそれぞれ個別に構成される。かかる構成により、複数の検知手段、複数の撮像手段、複数の送信手段がそれぞれ個別に構成された場合であっても、撮像手段が撮像した画像を元に監視員が監視領域内に飛来する飛行物体を監視しているときに、監視員が撮像手段の切り替えによって目標物体を見失うことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る飛行物体監視システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明に係る飛行物体監視システムによる監視イメージの概略図である。
図3】本発明に係る飛行物体監視システムの検知手段を構成する監視用レーダの概略構成を示す図である。
図4】本発明に係る飛行物体監視システムにおいてセンタ装置の監視卓の表示手段に表示される画像イメージを示す図である。
図5】本発明に係る飛行物体監視システムにおける制御内容を示すフローチャートである。
図6】(a)〜(d)本発明に係る飛行物体監視システムにおいてセンタ装置の監視卓の表示手段に表示されるズーム画像とワイド画像の切り替えパターンの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面の図1〜6を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
[本発明の概要について]
本発明は、複数の監視装置の監視用レーダ(検知手段)で広域の監視領域を監視し、監視領域内に飛来する飛行物体を何れかの監視用レーダが検知すると、その監視用レーダ近傍の撮像装置にて撮像した飛行物体を含む画像をセンタ装置の監視卓の表示手段に表示させる飛行物体監視システムにおいて、主にセンタ装置の監視卓上の表示手段の画面表示機能に関する。
【0026】
本発明では、例えば、監視領域内のある監視地点から他の監視地点へ飛行物体が移動して、監視卓の表示手段に表示させる撮像装置が切り替わる場合において、予め画像処理にて切り替え後の視認性が低い(例えば、逆光、或いは飛行物体が背景に溶け込んでしまう等)と判定した場合は、自動で撮像装置の切り替えを行わず、ユーザの判断による入力で撮像装置が切り替わる。また、監視卓の表示手段の画面上にワイド/ズーム画像を表示させる場合において、ワイド画像のみ自動で切り替え、ズーム画像についてはユーザ入力で切り替えを行う。これにより、監視員が撮像装置の切り替えによって目標の飛行物体を見失うことを防止する。
【0027】
[飛行物体監視システムの構成について]
図1に示すように、本実施の形態の飛行物体監視システム1は、監視領域内に飛来する飛行物体を監視する複数の監視装置2(2−1,2−2,…,2−n)と、複数の監視装置2から離れた位置に配置される遠隔のセンタ装置3とから大略構成される。
【0028】
図2は飛行物体監視システム1による監視イメージの概略を示している。図2において、各円は監視装置2の後述する監視用レーダ11の監視範囲(図2の例では、7つの監視範囲E1〜E7)を示している。それぞれの監視範囲E1〜E7は、飛行物体Wを漏れなく監視するため、近接する監視範囲の一部を重複させて広域の監視領域を形成している。例えば、監視範囲E2は、監視範囲E1、監視範囲E3、監視範囲E5のそれぞれの一部と重複する。
【0029】
なお、監視範囲E1〜E7の数や配置は、図2に限定されるものではなく、飛行物体を監視する監視領域に応じて適宜設定することができる。例えば、監視範囲の数を増やし、近接する監視範囲の重複する割合をさらに増やして密に設定して広域の監視領域を形成してもよい。
【0030】
監視領域には複数の監視装置2が設置されており、何れかの監視用レーダ11が飛行物体Wを検知すると、その監視用レーダ11近傍の後述する撮像装置12が撮像した飛行物体Wを含むカメラ画像を遠隔のセンタ装置3に送信し、センタ装置3の後述する監視卓の表示装置22にカメラ画像が表示される。監視員は、監視卓の表示装置22に表示されるカメラ画像により目標の飛行物体Wを監視する。
【0031】
[監視装置]
図1に示すように、複数の監視装置2は、例えば図2に示す監視範囲E1〜E7を形成するように監視領域の所定箇所にそれぞれ設置され、検知手段としての監視用レーダ11、撮像装置12、レーダ信号処理装置13、データ処理装置14を含んで構成される。
【0032】
[監視用レーダ]
監視用レーダ11は、監視領域内に飛来する目標の飛行物体Wを検知するもので、監視領域の所定箇所に固定設置され、半球面を監視可能なように複数のレーダで構成される。監視用レーダ11は、レーダから送信される送受信波として周波数変調された連続波を使用して測距を行うFM−CW方式を採用し、所定周期(例えば1回転/1秒)で方位方向に所定の水平ビーム幅(例えば2度)のビームを360度回転させ、所定周期(例えば3ms)ごとに電波を送受信することで、飛行物体Wの方位方向を検知できる。また、監視用レーダ11の回転速度はレーダの最大検知距離(例えば100m)に応じて決定されるビームの往復時間と比較して、アンテナが停止しているみなせるほど小さい速度に設定される。監視用レーダ11からは、レーダを中心とした水平面上の角度、距離、速度、受信強度を出力情報として得ることができる。
【0033】
さらに監視用レーダ11の構成について図3を参照しながら説明する。ここでの監視用レーダ11は、斜方監視用レーダと天面監視用レーダによる2つのレーダ装置を組み合わせて半球面を監視する構成としている。以下、2つのレーダ装置にFM−CWレーダを用いた場合を例にとって説明する。
【0034】
図3は2つのレーダ装置で構成される監視領域のイメージを示している。固定位置に設置されたFM−CWレーダが、斜め上方、及び上空方向におのおの送信ビームを放射し、斜め上方に送信した領域を上下に分割した領域からの電波を受信する2つの受信アンテナ、及び上空方向からの電波を受信する2つの受信アンテナを用いて監視領域内に飛来する飛行物体Wからの反射ビームを受信する。
【0035】
ここでは、FM−CWレーダの原理の詳細については省略するが、その概略について説明すると、監視用レーダ11としてのFM−CWレーダは、送信アンテナ、第1の受信アンテナ、第2の受信アンテナ、受信アンテナ切り替えスイッチ、送受信装置、A/D変換器、信号処理装置を含んで構成される。
【0036】
各部について説明すると、送信アンテナは、送信ビームを前方に放射する。第1の受信アンテナと第2の受信アンテナは、送信ビームの範囲あるいは、送信ビームの範囲を分割した監視領域からの電波を受信する。受信アンテナ切り替えスイッチは、第1の受信アンテナと第2の受信アンテナのどちらか一方を一定時間毎に交互に有効にする。送受信装置は、FM−CW送信波を生成し、また受信ビームを信号処理装置で処理可能な周波数に変換する。A/D変換器は、送受信装置が出力する受信ビーム強度をデジタル変換する。信号処理装置は、A/D変換器が出力する受信ビーム強度から監視領域にある検知対象物の相対距離、相対速度、及び受信ビーム中の検知対象物からの反射ビーム成分の強度を求める。
【0037】
さらに説明すると、信号処理装置では、A/D変換器から入力した反射ビームの信号の周波数分析を行い、各周波数における信号強度を演算する。次に、信号強度が閾値以上となる周波数を求めて、その周波数を検知対象物からの反射ビーム成分の周波数とする。そして、求めた検知対象物からの反射ビーム成分の周波数と、送信ビームの周波数の差を演算してビート周波数を算出し、このビート周波数から検知対象物の相対距離、相対速度を演算して出力する。また、回転させているレーダがどの位置で飛行物体Wを検知したかに基づいて角度を求めることができる。
【0038】
なお、監視用レーダ11は、監視領域にある検知対象物の相対距離、相対速度、及び受信ビーム中の検知対象物からの反射ビーム成分の強度などの検知対象物に関する各種情報を取得できればよく、図3に示す構成に限定されるものではない。
【0039】
[撮像装置]
撮像装置12は、パン、チルト、ズーム機能を備えた高解像度、高感度のカメラで構成される。撮像装置12は、監視領域を撮像可能な位置に固定設置され、センタ装置3の後述する制御装置21の制御により、パン、チルト及びズームが可能であり、目標の飛行物体Wが画面中央に映し出せるように撮像範囲が可変される。
【0040】
なお、撮像装置12は、監視用レーダ(FM−CWレーダ)11の上部または下部、あるいは別の場所に設置してもよい。監視レーダ11、撮像装置12の位置(緯度、経度、高度)情報は後述するセンタ装置3の制御装置21に記憶されている。
【0041】
また、本例では、撮像装置12として、ワイド画像撮像用とズーム画像撮像用の2台のカメラが用いられる。撮像装置12は、監視用レーダ11と連動し、監視用レーダ11で検知した飛行物体Wの位置情報に基づくセンタ装置3の後述する制御装置21の制御により、飛行物体Wが画像中心になるように旋回台を旋回、上下方向を調整し、ワイド画像とズーム画像をデータ処理装置14を介してセンタ装置3に送信する。
【0042】
尚、上記では撮像装置12として、ワイド画像撮像用とズーム画像撮像用の2台のカメラを用いる構成としているが、1台カメラ画像からワイド画像とデジタルズームによるズーム画像を同時(或いは交互)に出力できるカメラを採用するようにしてもよい。
【0043】
[レーダ信号処理装置]
レーダ信号処理装置13は、監視用レーダ11から取得した出力情報(レーダを中心とした水平面上の角度、距離、速度、受信強度などの情報)からノイズ除去処理や固定物体除去処理などを行ってデータ処理装置14へ出力する。
【0044】
[データ処理装置]
データ処理装置14は、レーダ信号処理装置13と有線または無線にて接続され、レーダ信号処理装置13から取得した各監視用レーダ11の出力を信号処理して特定の飛行物体(例えばドローン)Wと判定すると、その旨の判定信号をセンタ装置3へ出力する。その際、レーダ信号処理装置13によりノイズ除去処理などが行われた監視用レーダ11からの出力情報も合わせてセンタ装置3に出力される。
【0045】
なお、図1の構成では、監視装置2が監視用レーダ11、撮像装置12、レーダ信号処理装置13、データ処理装置14を含む構成としているが、複数の監視用レーダ11、複数の撮像装置12、複数のレーダ信号処理装置13、複数のデータ処理装置14をそれぞれ個別に構成して配置してもよい。
【0046】
[センタ装置]
図1に示すように、センタ装置3は、監視センタに設けられ、制御装置21と監視卓の表示装置(表示手段)22を含んで構成される。
【0047】
[制御装置]
制御装置21は、全体を統括制御するものであり、後述する図5の処理において、飛行物体Wの位置情報に基づいて表示装置22に表示すべき撮像装置12を選択する選択手段21aと、撮像装置12が取得したカメラ画像の処理による視認性を判定する画像処理手段21bとを含む。
【0048】
また、制御装置21は、画像処理手段21bによる視認性の判定結果に基づく撮像装置12の切り替え制御、撮像装置12のパン・チルト・ズーム制御(以下、PTZ制御と言う)、表示装置22の表示制御なども行う。
【0049】
さらに、制御装置21は、監視領域に複数の飛行物体Wが検知された場合、優先順位(例えば重要監視地点に最も近い飛行物体)に基づいて撮像装置12に制御信号を送信し、表示装置22に表示すべき画像を制御する。
【0050】
なお、制御装置21は、監視用レーダ11および撮像装置12の位置情報(緯度、経度、高度)が予め記憶される記憶部(不図示)を含む。また、監視用レーダ11が検知した飛行物体の位置情報を取得し、当該位置情報に基づき各撮像装置12のPTZ制御を行う。
【0051】
[表示装置]
監視卓の表示装置22は、制御装置21と接続され、レーダ画像及び監視用レーダ11で検知した付近の撮像装置12のカメラ画像を表示するモニタである。
【0052】
表示装置22は、制御装置21の制御により、図4に示すように、全体を捉えるためのワイド画像(広角画像)WI、部分的に拡大するためのズーム画像(拡大画像)ZI、検知した飛行物体Wのレーダ中心からの位置(距離)を示すレーダ画像RIを表示画面22a上に表示させる。
【0053】
また、表示装置22には、監視用レーダ11が監視領域内に飛来する飛行物体Wを検知すると、監視用レーダ11近傍の撮像装置12が撮像したカメラ画像を表示させる。その際、制御装置21は、監視用レーダ11から取得した飛行物体Wの位置情報に基づき撮像装置12のPTZ制御を行い、飛行物体Wが画面中央に映し出せるようにする。
【0054】
尚、表示装置22を複数用意し、各撮像装置12が撮像したカメラ画像を複数表示されるようにしてもよい。この場合、複数の表示装置22の中で最も注視すべきカメラ画像を優先表示(例えば中心に表示)するようにする。具体的には飛行物体Wを検知した監視用レーダ11近傍の撮像装置12が撮像したカメラ画像を優先表示させる。
【0055】
次に、上記のように構成される飛行物体監視システム1における制御装置21の具体的な制御について図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
まず、制御装置21は、データ処理装置14からの判定信号の有無により、複数の監視装置2における何れかの監視用レーダ11が監視領域内に飛来する飛行物体Wを検知しているか否かを判定する(S101)。
【0057】
制御装置21は、何れかの監視用レーダ11が飛行物体Wを検知していると判定すると、飛行物体Wを検知した監視用レーダ11からの信号に対しレーダ信号処理装置13でノイズ除去処理などを行い、ドローン等の目標の飛行物体Wである可能性があると追跡を開始する(S102)。
【0058】
制御装置21は、目標の飛行物体Wの追跡を開始すると、その飛行物体Wを検知した監視用レーダ11の近傍にある撮像装置12を選択手段21aにて選択し、監視用レーダ11から取得した飛行物体Wの位置情報に基づいて撮像装置12をPTZ制御し、ワイド画像とズーム画像を表示装置22に表示する(S103)。
【0059】
続いて、制御装置21は、現在監視している監視範囲で追跡中の飛行物体Wが消失したか否かを判定する(S104)。なお、図2に示すように、監視用レーダ11それぞれの監視範囲E1〜E7が隣接する監視範囲と一部重複するように設定してある場合は、重複しない位置(監視範囲の交点P)において消失したか否かを判定してもよい。
【0060】
制御装置21は、現在監視している監視範囲で追跡中の飛行物体Wが検知できる間は飛行物体Wの移動に追随して撮像装置12をPTZ制御し続け、飛行物体Wが消失したと判定すると、現在監視している監視範囲以外の監視範囲で他の飛行物体が有るか否か判定する(S105)。ここで、他の飛行物体が無いと判定すると、S101へ戻る。
【0061】
制御装置21は、現在監視している監視範囲以外の監視範囲で他の飛行物体が有ると判定すると(S105−Yes)、現在監視している監視範囲と隣接する監視範囲で同一の飛行物体Wが検出されているか否か判定する(S106)。その際、現在監視している監視範囲と隣接していない監視範囲で飛行物体が検出された場合や、現在監視している監視範囲に隣接する監視範囲で飛行物体が検出された場合でも移動軌跡や検知物体速度、大きさ等の情報を比較して同一の物体とみなせない場合は他の新たな目標の飛行物体Wとして撮像装置12を切り替え、追跡を開始する(S107)
【0062】
なお、S104で監視用レーダ11の重複しない監視範囲において飛行物体Wの消失の有無を判定している場合は、重複領域を含めて同一とみなせる飛行物体Wの有無を検出するか否か判定するようにしてもよい。
【0063】
制御装置21は、現在監視している監視範囲と隣接する監視範囲で同一とみなせる飛行物体Wが検出されると、変更後に選択されるであろう撮像装置12のカメラ画像を処理して視認性の有無を判定する(S108)。ここで、撮像装置12を切り替え後のカメラ画像の視認性が低い場合は、表示装置22の表示画面上の「変更入力OK」の操作用ボタン(不図示)をユーザが操作するまで(S109)撮像装置12の切り替えを禁止する。この場合、撮像装置12を切り替えずに撮像することになるが、飛行物体Wは他の監視範囲に移動していることになるが、この際、飛行物体Wの位置情報は、制御装置21を介して飛行物体Wが移動した先の監視範囲の監視用レーダ11から取得し、当該位置情報に基づき、切り替え前の撮像装置12をPTZ制御する。
【0064】
なお、制御装置21はS103からS104において、ある監視地点の撮像装置22で飛行物体Wが検知されると、他の監視地点の撮像装置22も飛行物体Wの方向に旋回制御させておくよう制御する。これにより撮像装置22が切り変え後の視認性の判定が即時的に実行可能となる。
【0065】
また、S108において制御装置21が視認性が低いと判定したときに、カメラ画像の切り替えを禁止する代わりに、予め設定される猶予時間が経過した後にカメラ画像を切り替えて変更するようにしてもよい。
【0066】
さらに、カメラ画像を切り替えた場合、切り替え後の画像の視認性が低い場合のみ、表示装置22のモニタ上で監視用レーダ11によるレーダ情報から取得した位置情報に基づいて飛行物体Wが存在する位置にガイドを表示するようにしてもよい。例えば図4に示すように、目標の飛行物体Wを例えば矩形状のマーク23で囲むガイドを表示する。また、視認性が低くない場合は、ガイドを表示させないことでマーク23が監視の邪魔にならないようにでき、視認性が低い場合は、表示装置22のモニタ画面上のどこに目標の飛行物体Wがいるか否かを確認し易くする。
【0067】
ここで、制御装置21が画像処理によって判定する視認性が低い場合とは、太陽の位置により逆光である場合、背景に飛行物体Wが埋もれてしまう場合などが含まれる。また、逆光状態には飛行物体Wが特定の方向に向けて強烈な光を発している場合なども含まれる。
【0068】
制御装置21は、従来画像処理にて用いられる判定方法を採用して視認性の低さを判定する。さらに説明すると、逆光については、画像全体或いは画像上の飛行物体映像を含む所定範囲(ズーム倍率に応じて決定される)における輝度値が所定以上の画素の割合(これを輝度分布とする)を逆光度合いとして算出する。算出した輝度分布が所定基準値以上の場合に逆光状態により視認性が低いと判定する。
【0069】
上述の視認性の判定を、画像処理結果より輝度分布が所定の基準値以上の場合に視認性が低いと判定しているが、切り替え前後の撮像装置22の画像の輝度分布を比較し、切り替え後は切り替え前より所定基準値以上の輝度差がある場合(切り替え後の方が輝度分布が大きくなる)に視認性が低いと判定するようにしてもよい。
【0070】
また、視認性が低いと判定する別の例として、撮像装置22の切り替え前後で撮影角度の変更により背景が変わり、飛行物体Wが背景に埋もれて見えにくくなる場合がある。この状態を判定するためには、例えば、切り替えが想定される撮像装置22において、切り替え直前の飛行物体を含む撮像画像の数フレームのフレーム間差分の変化が所定以下の場合に視認性が低いと判定する。
【0071】
制御装置21は、視認性が低くないと判定した場合、ユーザが「変更入力OK」の操作用ボタン22bを操作した場合、猶予時間が経過した場合の何れかの場合、監視卓の表示装置22に表示するカメラ画像を変更する(S110)。なお、撮像装置22を切り替えずカメラ画像を変更しない場合は、飛行物体Wの移動先の監視範囲を監視する監視用レーダ11から飛行物体Wの位置情報を制御装置21が取得して、撮像装置12に指示させる。
【0072】
次に、図5の変形例について説明する。制御装置21は、図5のS108において視認性が低いと判定した場合、撮像装置12のワイド画像撮像用とズーム画像撮像用の2台のカメラの内、ワイド画像を監視しているカメラは、飛行物体Wが監視領域を移動するとともに自動で切り替え、ズーム画像はユーザの入力を待って切り替えるようにしてもよい。
【0073】
これにより、モニタを監視中の監視員が、一度にズーム/ワイド画像を切り替えて飛行物体を見失うことを防止できる。監視員は、ズーム画像で監視中の飛行物体を詳細に監視しながら、切り替え後に表示されるワイド画像で広範囲の状況を確認し、またワイド画像上の飛行物体が確認できるかに応じてズーム画像も切り替えた方が良いか否かを同時に判断できる。
【0074】
さらに、図6を参照しながら具体例について説明する。今、図6(a)に示すように、目標の飛行物体Wが位置D1から位置D2に向かって監視領域内に飛来しているものとする。目標の飛行物体Wが位置D1では監視装置2−1の監視用レーダ11が位置D1の飛行物体Wを検知し、図6(b)に示すように、監視装置2−1の撮像装置12のカメラが位置D1のワイド画像/ズーム画像を監視卓の表示装置22にモニタ表示する。
【0075】
その後、目標の飛行物体Wが監視装置2−1の監視範囲E1を抜けて監視装置2−2の監視範囲に進入し、センタ装置3の制御装置21が監視装置2−2の撮像装置12のカメラ画像の視認性が低いと判定すると、図6(c)に示すように、ワイド画像のみ監視装置2−2の撮像装置12のカメラ画像に切り替え、ズーム画像は監視装置2−1の撮像装置12のカメラ画像を表示装置22にモニタ表示させる。この場合の視認性の判定は、ワイド画像でもズーム画像でもよい。
【0076】
その際、監視装置2−1の撮像装置12のカメラの撮像範囲を図6の矢印Yで示す方向にPTZ制御するための飛行物体Wの位置等の情報は監視装置2−2の監視用レーダ11で取得した情報が制御装置21から監視装置2−1に渡される。
【0077】
そして、監視員が監視装置2−2の撮像装置12からのワイド画像を目視し、ワイド画像に目標の飛行物体Wを発見して切り替えてもよいと判断し、表示装置22の表示画面(監視画面)の「切り替えOK」の操作用ボタン22bを操作すると、図6(d)に示すように、ズーム画像が監視装置2−2の撮像装置12からのカメラ画像に切り替わる。
【0078】
ところで、上述した説明では、視認性の良否(高低)に応じてズーム/ワイド画像の切り替えを行っていたが、これに限定されるものではない。ズーム/ワイド画像用の2つのカメラの内、ワイド画像を監視しているカメラは、監視領域に飛来する目標の飛行物体Wの移動に伴って自動で切り替え、ズーム画像はユーザの入力(操作用ボタン22bの操作など)を待って切り替えるようにすることもできる。
【0079】
これにより、監視員は切り替え前のズーム画像で飛行物体Wを監視しつつ、切り替え後のワイド画像を目視して、監視員が視認性を判断して、ズーム画像の切り替えの適否を判断できる。
【0080】
以上、本発明に係る飛行物体監視システムの最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
1 飛行物体監視システム
2(2−1,2−2,…,2−n) 監視装置
3 センタ装置
11 監視用レーダ(検知手段)
12 撮像装置
13 レーダ信号処理装置
14 データ処理装置
21 制御装置
21a 選択手段
21b 画像処理手段
22 表示装置(表示手段)
22a 表示画面
22b 操作用ボタン
23 ガイドの表示のマーク
W 飛行物体
E1〜E7 監視範囲
P 隣接する監視範囲の交点
D1 飛行物体の移動前の位置
D2 飛行物体の移動後の位置
X 飛行物体の移動方向
Y 撮像装置をPTZ制御する方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6