特許第6660238号(P6660238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6660238バンドギャップリファレンス回路及びこれを備えたDCDCコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660238
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】バンドギャップリファレンス回路及びこれを備えたDCDCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/30 20060101AFI20200227BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   G05F3/30
   H02M3/155 B
   H02M3/155 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-84270(P2016-84270)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-194817(P2017-194817A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河野 明大
(72)【発明者】
【氏名】後藤 克也
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−160700(JP,A)
【文献】 特開2015−146092(JP,A)
【文献】 特開2009−32278(JP,A)
【文献】 特開2006−325339(JP,A)
【文献】 特開2005−86992(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/042942(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/30
H02M 3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペアンプと、電源端子と前記オペアンプの動作電流入力端子との間に接続された第1の電流源と、前記電源端子に一端が接続された第2の電流源と、前記第2の電流源の他端と前記オペアンプの動作電流入力端子との間に接続されたスイッチと、前記スイッチのオンオフを制御する制御信号を生成する制御回路とを備え、基準電圧を出力するバンドギャップリファレンス回路と、
ソフトスタート電圧を出力するソフトスタート回路と、
反転入力端子に出力電圧を分圧した帰還電圧が入力され、第一の非反転入力端子に前記基準電圧が入力され、第二の非反転入力端子に前記ソフトスタート電圧が入力されるエラーアンプと、を備え、
前記制御回路は、前記ソフトスタート電圧に基づいて、電源投入時に前記制御信号を第1の状態とし、前記電源投入時から実行されるソフトスタートが完了したことに基づいて前記制御信号を第2の状態とし、
前記スイッチは、前記制御信号が第1の状態のときオンし、前記制御信号が第2の状態のときオフすることを特徴とするDCDCコンバータ。
【請求項2】
前記制御回路は、前記ソフトスタートの完了の基準となる第2の基準電圧と前記ソフトスタート電圧とを比較し、出力信号として前記制御信号を出力するコンパレータを有し、
前記コンパレータは、前記ソフトスタート電圧が前記第2の基準電圧より低いとき前記制御信号を第1の状態とし、前記ソフトスタート電圧が前記第2の基準電圧より高いとき前記制御信号を第2の状態とすることを特徴とする請求項1に記載のDCDCコンバータ。
【請求項3】
オペアンプと、電源端子と前記オペアンプの動作電流入力端子との間に接続された第1の電流源と、前記電源端子に一端が接続された第2の電流源と、前記第2の電流源の他端と前記オペアンプの動作電流入力端子との間に接続されたスイッチと、前記スイッチのオンオフを制御する制御信号を生成する制御回路とを備え、基準電圧を出力するバンドギャップリファレンス回路と、
反転入力端子に出力電圧を分圧した帰還電圧が入力され、非反転入力端子に前記基準電圧が入力されるエラーアンプを備え、
前記制御回路は、前記エラーアンプの出力電圧に基づいて、PWM動作時に前記制御信号を第1の状態とし、PFM動作時に前記制御信号を第2の状態とし、
前記スイッチは、前記制御信号が第1の状態のときオンし、前記制御信号が第2の状態のときオフすることを特徴とするDCDCコンバータ
【請求項4】
前記制御回路は、前記PWM動作から前記PFM動作への切り替わりの基準となる第2の基準電圧と前記エラーアンプの出力電圧とを比較し、出力信号として前記制御信号を出力するコンパレータを有し、
前記コンパレータは、前記エラーアンプの出力電圧が前記第2の基準電圧より高いとき前記制御信号を第1の状態とし、前記エラーアンプの出力電圧が前記第2の基準電圧より低いとき前記制御信号を第2の状態とすることを特徴とする請求項3に記載のDCDCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンドギャップリファレンス回路及びこれを備えたDCDCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の電子機器、特に、スマートホン、携帯機器、ウェアラブル機器等においては、バッテリー駆動による製品の動作時間を延ばすために低消費電力が要求されている。
上記のような電子機器において、マイコン、AP(アプリケーションプロセッサ)、メモリやセンサ等へ電源を供給する電源装置として、スイッチングレギュレータやLDOレギュレータなどのDCDCコンバータが用いられている。DCDCコンバータは、入力端子の電圧変動によらず出力端子に一定の電圧を出力するものであり、出力端子から負荷に供給する電流が低電流から大電流まで幅広く変化しても効率を高く維持することが必要とされる。低消費電力が要求される機器に関しては、特に、軽負荷電流域において高効率を維持することが重要となる。
【0003】
このような、軽負荷時に高い効率が求められるDCDCコンバータにおいては、DCDCコンバータ内で用いるバンドギャップリファレンス回路の消費電力を低くする必要がある。しかしながら、消費電力を下げると、バンドギャップリファレンス回路の起動に要する時間が長くなり、DCDCコンバータのスイッチング動作開始までの時間が長くなってしまうという問題がある。
【0004】
かかる問題に対し、特許文献1では、バンドギャップリファレンス回路の出力端子に、ゲートとドレインが当該出力端子に共通接続されたPMOSトランジスタを付加し、電源投入時から出力端子の電圧が所定のレベルに到達するまでの間、このPMOSトランジスタにより出力端子に電流を供給して、バンドギャップリファレンス回路の起動時間を短くすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−160700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、電源投入直後のバンドギャップリファレンス回路の出力端子の電圧の立ち上がりは加速できるが、出力端子の電圧を所望の電圧値まで速やかに到達させて、安定させることは困難な場合が生じる。
【0007】
すなわち、電源投入直後にはPMOSトランジスタにより出力端子の電圧は上昇するものの、PMOSトランジスタの閾値電圧は、電源電圧と出力端子の電圧との差より大きくなければならず、このため、電源電圧の電圧値によっては、出力端子の電圧が所望の電圧値まで上昇する前にPMOSトランジスタがオフしてしまうこととなる。したがって、PMOSトランジスタのみにより出力端子の電圧を所望の電圧値に到達させることはできない。
【0008】
そして、PMOSトランジスタがオフした後は、バンドギャップリファレンス回路の通常動作により出力端子の電圧を上昇させていくことになるが、低消費電力の実現のため、バンドギャップリファレンス回路を構成するオペアンプの動作が遅くなっている場合、出力端子の電圧上昇は極端に遅くなり、結果として、出力端子の電圧が所望の電圧値に到達するまでに長い時間を要してしまう、つまり、起動時間をあまり短くできないという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低消費電力かつ短時間で起動可能なバンドギャップリファレンス回路及びこれを備えたDCDCコンバータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のバンドギャップリフアレンス回路は、オペアンプを用い、第1の基準電圧を生成するバンドギャップリファレンス回路であって、電源端子と前記オペアンプの動作電流入力端子との間に接続された第1の電流源と、前記電源端子に一端が接続された第2の電流源と、前記第2の電流源の他端と前記オペアンプの動作電流入力端子との間に接続されたスイッチと、前記スイッチのオンオフを制御する制御信号を生成する制御回路とを備え、前記スイッチは、前記制御信号が第1の状態のときオンし、前記制御信号が第2の状態のときオフすることを特徴とする。
【0011】
本発明のDCDCコンバータは、前記バンドギャップリファレンス回路と、反転入力端子に出力電圧を分圧した帰還電圧が入力され、非反転入力端子に前記第1の基準電圧が入力されるエラーアンプとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の別のDCDCコンバータは、前記バンドギャップリファレンス回路を備え、前記制御回路は、電源投入時に前記制御信号を第1の状態とし、前記電源投入時から実行されるソフトスタートが完了したことに基づいて前記制御信号を第2の状態とすることを特徴とする。
【0013】
本発明のさらに別のDCDCコンバータは、前記バンドギャップリファレンス回路を備え、前記制御回路は、PWMモード時に前記制御信号を第1の状態とし、PFMモード時に前記制御信号を第2の状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバンドギャップリファレンス回路によれば、電源投入時に制御信号を第1の状態としてスイッチをオンさせ、オペアンプに第1の電流源と第2の電流源の両方から動作電流を供給して、第1の基準電圧を短時間で所望の電圧値に上昇させ(すなわち、第1の基準電圧を起動させ)、その後、制御信号を第2の状態としてスイッチをオフさせることにより、起動時間を短くしつつ、消費電力を抑えることが可能となる。
【0015】
また、本発明のバンドギャップリファレンス回路は、特に、低消費電力のDCDCコンバータに好適に適用することができる。この場合にも、電源投入時の起動時間を短縮できる。さらに、PWMモード時(重負荷時)にはスイッチをオンさせることにより第1の基準電圧の応答性を向上させることができ、PFMモード時(軽負荷時)にはスイッチをオフさせて消費電力を抑制することができる。したがって、高効率かつ安定動作が可能なDCDCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態のバンドギャップリファレンス回路の回路図である。
図2図1のバンドギャップリファレンス回路を備えたDCDCコンバータの一例を示す回路図である。
図3図1のバンドギャップリファレンス回路を備えたDCDCコンバータの他の例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のバンドギャップリファレンス回路100の回路図である。
本実施形態のバンドギャップリファレンス回路100は、基準電圧発生回路10と制御信号CONTを発生する制御回路11とにより構成され、基準電圧出力端子3に基準電圧VREF1を生成する。
【0018】
基準電圧発生回路10は、オペアンプ101と、PMOSトランジスタからなる出力トランジスタ102と、抵抗素子103〜105と、ダイオード106、107と、電流源108、109と、スイッチ110とを備えている。
【0019】
電流源108は、電源電圧VDDが供給される電源端子1とオペアンプ101の動作電流入力端子101inとの間に接続され、電流源109は、電源端子1に一端が接続されている。スイッチ110は、電流源109の他端とオペアンプ101の動作電流入力端子101inとの間に接続されており、制御信号CONTによりオンオフ制御される。
【0020】
出力トランジスタ102は、ソースが電源端子1に、ドレインが出力端子3に、ゲートがオペアンプ101の出力端子に接続されている。
抵抗素子104、105、及びダイオード107は、基準電圧出力端子3と接地端子2との間に直列に接続されている。抵抗素子103及びダイオード106は、基準電圧出力端子3と接地端子2との間に直列に接続されている。
【0021】
オペアンプ101は、反転入力端子が抵抗素子104と105の接続点に接続され、非反転入力端子が抵抗素子103とダイオード106との接続点に接続されている。
かかる構成により、基準電圧出力端子3に基準電圧VREF1が生成される。
【0022】
次に、本実施形態のバンドギャップリファレンス回路100の動作について説明する。
まず、電源電圧VDDが投入されると、制御回路11は、制御信号CONTを第1の状態(例えばHIGHレベル)とする。これにより、スイッチ110がオンし、オペアンプ101の動作電流入力端子101inには、電流源108からの電流供給だけでなく、電流源109からも電流が供給されることになる。
【0023】
オペアンプ101は、動作電流入力端子101inに入力される動作電流によって動作するため、上記のように二つの電流源108及び109から動作電流が供給されることにより、素早い動作が可能となる。したがって、基準電圧VREF1を電源投入時から短時間で所望の電圧値に上昇させることが可能となる。
【0024】
その後、基準電圧VREF1が所望の電圧値となったことに基づいて、制御回路11は、制御信号CONTを第2の状態(例えばLOWレベル)とする。これにより、スイッチ110がオフし、オペアンプ101の動作電流入力端子101inには、電流源108のみから動作電流が供給されるようになる。したがって、電源投入後、基準電圧VREF1が起動した後は、消費電力を抑制することが可能となる。
なお、制御回路11が制御信号CONTを第1の状態から第2の状態へ切り替えるための構成は、例えば、以下のようにして実現できる。
【0025】
スイッチ110をオンにした状態で基準電圧VREF1が電源投入時から所望の電圧値に到達するまでの時間をあらかじめ計測しておき、電源投入時からタイマーにより時間をカウントし、電源投入時からの経過時間があらかじめ計測した時間に到達したことに基づいて、制御信号CONTを第1の状態から第2の状態へ切り替えるよう、制御回路11を構成する。
このように、本実施形態のバンドギャップリファレンス回路100によれば、起動時間を短くするとともに、消費電力を抑えることができる。
【0026】
次に、本実施形態のバンドギャップリファレンス回路100をDCDCコンバータに適用した例について、図2及び図3を用いて説明する。
図2は、図1のバンドギャップリファレンス回路100を備えたDCDCコンバータの一例であるDCDCコンバータ200の回路図である。
【0027】
DCDCコンバータ200の基本的な構成は一般的なものであるため、ここでは詳細な説明は省略し、バンドギャップリファレンス回路100がDCDCコンバータ200においてどのように用いられるかについて説明する。
本例のDCDCコンバータ200は、ソフトスタートを実行するためのソフトスタート電圧VREF_SSを出力するソフトスタート回路201を備えている。
【0028】
エラーアンプ202の2つの非反転入力端子には、バンドギャップリファレンス回路100により生成される基準電圧VREF1とソフトスタート電圧VREF_SSがそれぞれ入力され、反転入力端子にはDCDCコンバータ200の出力電圧VOUTが分圧された帰還電圧VFBが入力されている。
【0029】
エラーアンプ202は、基準電圧VREF1及びソフトスタート電圧VREF_SSのうち電圧の低い方と帰還電圧VFBとを比較して、誤差電圧VERRをコンパレータ203に出力する。
【0030】
電源投入後、ソフトスタート電圧VREF_SSが徐々に上昇していくが、ソフトスタート電圧VREF_SSが基準電圧VREFよりも低い間は、エラーアンプ202では、帰還電圧VFBとソフトスタート電圧VREF_SSが比較され、基準電圧VREF1は出力である誤差電圧VERRに影響を与えない。
【0031】
そして、所定のソフトスタート時間が経過すると、ソフトスタート電圧VREF_SSが基準電圧VREF1より高くなる。したがって、その後は、エラーアンプ202では、帰還電圧VFBと基準電圧VREF1が比較され、ソフトスタート電圧VREF_SSは出力である誤差電圧VERRに影響を与えなくなる。
【0032】
一方、本例のDCDCコンバータ200におけるバンドギャップリファレンス回路100では、制御回路11がコンパレータ211と基準電圧源212を備えて構成されている。コンパレータ211は、反転入力端子にソフトスタート電圧VREF_SSが入力され、非反転入力端子に基準電圧源212の基準電圧VREF2が入力されている。基準電圧VREF2は、ソフトスタートの完了の基準となる所定の電圧である。
【0033】
バンドギャップリファレンス回路100は、電源投入後、上述のようなソフトスタートの実行と同時に以下のように動作する。
ソフトスタート電圧VREF_SSは、電源投入後、接地電位から徐々に上昇していく電圧であることから、電源投入直後は、基準電圧VREF2よりも低い。そのため、コンパレータ211は、HIGHレベルの信号を出力する、すなわち、制御信号CONTを第1の状態とする。これにより、図1に示すスイッチ110がオンし、オペアンプ101の動作電流入力端子101inに、電流源108と電流源109の両方から電流が供給される状態となる。したがって、エラーアンプ202に入力される基準電圧VREF1は、電源投入から短時間で起動される。
【0034】
その後、ソフトスタート電圧VREF_SSがさらに上昇していき、基準電圧VREF2よりも高くなると、コンパレータ211は、LOWレベルの信号を出力する、すなわち、制御信号CONTを第2の状態とする。これにより、図1に示すスイッチ110がオフし、オペアンプ101の動作電流入力端子101inには、電流源108のみから電流が供給される状態となる。したがって、電源投入後、基準電圧VREF1が起動した後は、バンドギャップリファレンス回路100の消費電力を抑制することが可能となる。
【0035】
ここで、制御回路11を構成する基準電圧源212の基準電圧VREF2は、ソフトスタート完了の基準となる電圧であり、ソフトスタートが完了し、エラーアンプ202において帰還電圧VFBと比較される対象がソフトスタート電圧VREF_SSから基準電圧VREF1に切り替わった時点で、基準電圧VREF1が完全に所望の電圧値に到達している必要があることから、基準電圧VREF1よりも少し高い電圧値に設定しておくことが好ましい。
【0036】
このように、本例のDCDCコンバータ200によれば、電源投入時から実行されるソフトスタートに用いられる信号を利用し、バンドギャップリファレンス回路100内のスイッチ110を制御する制御信号CONTを、ソフトスタートが完了したことに基づいて、電源投入時の第1の状態から第2の状態に切り替えることができる。
【0037】
図3は、図1のバンドギャップリファレンス回路100を備えたDCDCコンバータの別の例であるDCDCコンバータ300の回路図である。
DCDCコンバータ300の基本的な構成は、上記DCDCコンバータ200と同様、一般的なものであるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
本例のDCDCコンバータ300は、PWMモードとPFMモードの切り替えに同期して、バンドギャップリファレンス回路100内のスイッチ110を切り替えるように構成されている。
【0039】
具体的には、バンドギャップリファレンス回路100の制御回路11がコンパレータ311と基準電圧源312を備え、コンパレータ311は、反転入力端子に基準電圧源312の基準電圧VREF3が入力され、非反転入力端子にエラーアンプ302の出力である誤差電圧VERRが入力されている。
【0040】
エラーアンプ302は、非反転入力端子にバンドギャップリファレンス回路100により生成される基準電圧VREF1が入力され、反転入力端子にDCDCコンバータ300の出力電圧VOUTが分圧された帰還電圧VFBが入力されている。エラーアンプ302は、基準電圧VREF1と帰還電圧VFBとを比較して、誤差電圧VERRをコンパレータ303に出力する。
【0041】
誤差電圧VERRは、DCDCコンバータ300に接続される負荷が重いときほど高い電位となり、負荷が軽いときほど低い電圧となることから、基準電圧VREF3をPWMモードとPFMモードの切り替えの基準となる所定の電圧とすることにより、誤差電圧VERRの電圧値に基づいて、制御信号CONTが第1の状態と第2の状態に切り替わることになる。
【0042】
かかる構成により、誤差電圧VERRが基準電圧VREF3より高いPWMモード時には、コンパレータ311は、HIGHレベルの信号を出力する、すなわち、制御信号CONTを第1の状態とする。これにより、図1に示すスイッチ110がオンし、オペアンプ101の動作電流入力端子101inに、電流源108と電流源109の両方から電流が供給される状態となる。
【0043】
一方、誤差電圧VERRが基準電圧VREF3より低いPFMモード時には、コンパレータ311は、LOWレベルの信号を出力する、すなわち、制御信号CONTを第2の状態とする。これにより、図1に示すスイッチ110がオフし、オペアンプ101の動作電流入力端子101inには、電流源108のみから電流が供給される状態となる。
【0044】
重負荷であるPWMモード時は、スイッチングが継続的に行われ、エラーアンプ302を構成する差動入力トランジスタのゲート容量を介して充放電が多くなることから、バンドギャップリファレンス回路100の出力である基準電圧VREF1も変動し易くなる。しかしながら、本例によれば、PWMモード時にオペアンプ101の動作電流を増加させることができるため、基準電圧VREF1が変動しても、すぐに所望の電圧値に戻すことが可能となる。
また、軽負荷であるPFMモード時は、オペアンプ101の動作電流を少なくして、消費電力を低減することができる。
【0045】
このように、本例のDCDCコンバータ300によれば、PWMモード時(重負荷時)には基準電圧VREF1の応答性を高めることができ、PFMモード時(軽負荷時)には低消費電流でバンドギャップリファレンス回路100を動作させることで効率を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0047】
例えば、図3に示すDCDCコンバータ300におけるコンパレータ311の出力信号CONTを、図2に示すDCDCコンバータ200のバンドギャップリファレンス回路100内の基準電圧発生回路10に入力するようにし、電源投入時と起動後とで図1に示すスイッチ110のオンオフを切り替えるのに加え、通常動作時におけるPWMモード時とPFMモード時とでもスイッチ110のオンオフを切り替えるように構成することも可能である。
【0048】
また、図3に示すDCDCコンバータ300では、制御回路11で制御信号CONTを生成するようにしているが、PWMモードとPFMモードの切り替え用の信号が別途生成される場合は、その信号を制御信号CONTとして基準電圧発生回路10に直接入力し、スイッチ110のオンオフを制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 基準電圧発生回路
11 制御回路
100 バンドギャップリファレンス回路
101 オペアンプ
201 ソフトスタート回路
202、302 エラーアンプ
203、303、211、311 コンパレータ
図1
図2
図3