(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬入側下枠部、及び/又は前記搬出側下枠部に、前記回転部材の水平方向に対する位置ずれを規制する位置規制部が設けられていることを特徴とする請求項5記載の乾燥装置。
前記桟部材が、前記搬入側下枠部、及び/又は前記搬出側下枠部に対して、前記桟部材の長手方向に遊びを持たせて固定する固定部を備えていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかの項に記載の乾燥装置。
前記各棚部に載置された全ての基板押え手段を、前記各棚部から一度に持ち上げる持ち上げ手段を備えていることを特徴とする請求項2〜7のいずれかの項に記載の乾燥装置。
【発明の概要】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、基板の端面や周縁部に液剤が塗布された基板を複数枚まとめて効率良く、きれいに乾燥処理することができ、しかも小型化を図ることができる乾燥装置、基板の端面や周縁部に、液剤を硬化・乾燥させるための光を適切に照射することができる光照射装置、及びこれら乾燥装置及び/又は光照射装置を備えた塗布システムを提供することを目的としている。
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る乾燥装置(1)は、基板を乾燥させる乾燥室と、該乾燥室に基板を搬入する搬入手段と、前記乾燥室から基板を搬出する搬出手段とを備えた乾燥装置であって、前記乾燥室が、基板が載置される複数段の棚部と、これら各棚部に重ねて配置される基板押え手段と、前記各棚部に対応して設けられた搬入用開閉扉と、前記各棚部に対応して設けられた搬出用開閉扉と、前記複数段の棚部に載置される基板の各辺に沿った一定方向に風を送り出す送風手段と、前記乾燥室内の気体を吸引する吸引手段とを備え、前記搬入手段が、前記棚部と前記基板押え手段との間に基板を搬入するように構成され、前記搬出手段が、前記棚部と前記基板押え手段との間から基板を搬出するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
上記乾燥装置(1)によれば、前記乾燥室の各棚部に一枚ずつ基板を搬入出することができるとともに、前記乾燥室に複数の基板を収容することができ、装置の省スペース化、小型化を図ることができる。また、乾燥中は、前記基板押え手段で基板が押えられるため、送風による基板の浮き上りや位置ずれを防止することができ、また、前記送風手段により、基板の各辺(端面や周縁部)に効率良く風を吹き付けることができ、基板の端面や周縁部に塗布された液剤を効率よく、しかもきれいに乾燥させることができる。
【0010】
また本発明に係る乾燥装置(2)は、上記乾燥装置(1)において、前記棚部が、前記搬入用開閉扉側に設けられた搬入側下枠部と、前記搬出用開閉扉側に設けられた搬出側下枠部と、前記搬入側下枠部と前記搬出側下枠部との間に架設された複数の桟部材とを含み、前記搬入手段が、基板が載置される搬入用フォーク部と、該搬入用フォーク部を昇降させる昇降手段と、前記搬入用フォーク部を水平方向に移動させる水平移動手段とを備え、前記搬出手段が、基板が載置される搬出用フォーク部と、該搬出用フォーク部を昇降させる昇降手段と、前記搬出用フォーク部を水平方向に移動させる水平移動手段とを備え、前記搬入用フォーク部と前記搬出用フォーク部とが、前記複数の桟部材の間を昇降可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
上記乾燥装置(2)によれば、前記搬入用フォーク部と前記搬出用フォーク部とが、前記複数の桟部材の間を昇降可能に構成されているので、基板1枚当りの搬入出に必要な高さを抑えることができ、複数枚収納可能な乾燥室の高さを低くすることができ、コンパクトかつメンテナンス性に優れた装置とすることができる。
【0012】
また本発明に係る乾燥装置(3)は、上記乾燥装置(2)において、前記搬入側下枠部に前記搬入用開閉扉が起倒回動可能に取り付けられ、前記搬出側下枠部に前記搬出用開閉扉が起倒回動可能に取り付けられ、前記搬入用開閉扉の下辺部に、前記搬入用フォーク部の先端部で押下げ可能な押下片が形成され、前記搬出用開閉扉の下辺部に、前記搬出用フォーク部の先端部で押下げ可能な押下片が形成されていることを特徴としている。
【0013】
上記乾燥装置(3)によれば、前記搬入用開閉扉と前記搬出用開閉扉の開閉動作を前記搬入用フォーク部と前記搬出用フォーク部の動作で行うので、前記搬入用開閉扉と前記搬出用開閉扉を開閉するための個別の動力が不要となり、装置の省エネ化を図ることができる。
【0014】
また本発明に係る乾燥装置(4)は、上記乾燥装置(2)又は(3)において、前記搬入用開閉扉の両側に、搬入側縦枠部が前記搬入側下枠部に固定された状態で配設され、前記搬出用開閉扉の両側に、搬入側縦枠部が前記搬出側下枠部に固定された状態で配設され、前記搬入用開閉扉が閉じている状態で、前記搬入用開閉扉と前記搬入側縦枠部とが磁力で互いに引き合うように、前記搬入用開閉扉と前記搬入側縦枠部とに磁石が設けられ、前記搬出用開閉扉が閉じている状態で、前記搬出用開閉扉と前記搬出側縦枠部とが磁力で互いに引き合うように、前記搬出用開閉扉と前記搬出側縦枠部とに磁石が設けられていることを特徴としている。
【0015】
上記乾燥装置(4)によれば、前記搬入用開閉扉と前記搬出用開閉扉とが閉じられる際、前記磁石の磁力により、前記搬入側縦枠部と前記搬出側縦枠部とにそれぞれ引き付けられて閉じやすく、また、閉じた状態を前記磁石の磁力により安定させることができる。
【0016】
また本発明に係る乾燥装置(5)は、上記乾燥装置(2)〜(4)のいずれかにおいて、前記基板押え手段が、基板を押えるための枠部と、該枠部から基板の搬入方向と交差する方向に張り出して設けられた張出部と、該張出部に、前記基板の搬入方向に回転可能に取り付けられた複数の回転部材とを備え、これら複数の回転部材が、前記搬入用フォーク部の外側フォーク部、及び前記搬出用フォーク部の外側フォーク部の上にそれぞれ乗り上げ可能に構成されていることを特徴としている。
【0017】
上記乾燥装置(5)によれば、前記基板押え部の前記張出部に設けられた複数の回転部材が、前記搬入用フォーク部の外側フォーク部、及び前記搬出用フォーク部の外側フォーク部の上にそれぞれ乗り上げ可能に構成されているので、前記基板押え手段の上下方向の動作を、前記搬入用フォーク部や前記搬出用フォーク部の動作で実現することができ、また、前記搬入用フォーク部の外側フォーク部や前記搬出用フォークの外側フォーク部の上に、前記基板押え手段をスムーズに載せることができ、基板の搬入及び搬出動作をスムーズに行わせることができる。
【0018】
また本発明に係る乾燥装置(6)は、上記乾燥装置(5)において、前記搬入側下枠部、及び/又は前記搬出側下枠部に、前記回転部材の水平方向に対する位置ずれを規制する位置規制部が設けられていることを特徴としている。
【0019】
上記乾燥装置(6)によれば、前記位置規制部により前記回転部材の水平方向に対する位置ずれが規制され、前記基板押え手段の位置ずれを防止することができる。
【0020】
また本発明に係る乾燥装置(7)は、上記乾燥装置(2)〜(6)のいずれかにおいて、前記桟部材が、前記搬入側下枠部、及び/又は前記搬出側下枠部に対して、前記桟部材の長手方向に遊びを持たせて固定する固定部を備えていることを特徴としている。
【0021】
上記乾燥装置(7)によれば、前記固定部に遊びを持たせているので、例えば、前記乾燥室内の熱(熱風)により前記桟部材が長手方向に熱膨張しても、該熱膨張による歪みを適切に逃がすことができ、前記桟部材の変形などを防止することができる。
前記固定部は、例えば、前記桟部材の両端に固定された固定部材、該固定部材に形成された長孔、該長孔に配置された筒状のスペーサ、該スペーサを介して、前記搬入側下枠部又は前記搬出側下枠部に固定する固定具とを含んで構成することができる。
【0022】
また本発明に係る乾燥装置(8)は、上記乾燥装置(2)〜(7)のいずれかにおいて、前記各棚部に載置された全ての基板押え手段を、前記各棚部から一度に持ち上げる持ち上げ手段を備えていることを特徴としている。
【0023】
上記乾燥装置(8)によれば、前記持ち上げ手段により前記各棚部に載置された全ての基板押え手段を前記各棚部から一度に持ち上げることができ、搬入した基板の位置ずれ等が生じた場合のメンテナンス作業などを容易に行うことができる。
前記持ち上げ手段は、例えば、前記搬入側下枠部の両側及び前記搬出側下枠部の両側に配設され、前記基板押え手段の一部を係止させる係止部を備えた昇降用縦枠部材と、該昇降用縦枠部材を昇降させる昇降部とを含んで構成することができる。
【0024】
また本発明に係る乾燥装置(9)は、上記乾燥装置(1)〜(8)のいずれかにおいて、前記送風手段が、前記乾燥室内に設けられた縦型の送風用筒状部と、該送風用筒状部の側面に設けられた縦長の吹き出し口とを備え、前記送風用筒状部に送風機が接続され、前記吸引手段が、前記乾燥室内に設けられた縦型の吸引用筒状部と、該吸引用筒状部の側面に設けられた縦長の吸引口とを備え、前記吸引用筒状部に吸引機が接続され、該吸引機により吸引された気体が前記送風機に送り出されるように構成されていることを特徴としている。
【0025】
上記乾燥装置(9)によれば、前記送風手段が、前記縦型の送風用筒状部と前記縦長の吹き出し口とを備えているので、前記乾燥室のいずれの高さ位置の棚部に載置された基板に対しても、ほぼ同じ条件で均等に効率良く気体を吹き付けることができる。
また、前記吸引手段が、前記縦型の吸引用筒状部と前記縦長の吸引口とを備えているので、前記送風手段による乾燥室内の気体の流れに沿って気体を吸引することができる。
また、前記吸引機により吸引された気体が前記送風機に送り出されるので、前記乾燥室内の気体を循環させることができ、特に、温風(熱風)を使用した場合には熱エネルギーの損失を減らすことができ、省エネ化を図ることができる。
【0026】
また本発明に係る乾燥装置(10)は、上記乾燥装置(9)において、前記乾燥室内の気体を外部に排出する排気手段を備え、前記吸引手段が、外気を取り込む外気取込み部を備えていることを特徴としている。
【0027】
上記乾燥装置(10)によれば、前記排気手段により前記乾燥室内の気体を必要に応じて外部に排出することができ、また、前記吸引手段により、外気を適宜取り込むことができ、前記乾燥室内の温度や湿度などの条件を適切に調整することができる。
また本発明に係る塗布システム(1)は、基板の端面又は該端面を含む周縁部に液剤を塗布する塗布装置と、上記乾燥装置(1)〜(10)のいずれかを備えていることを特徴としている。
上記塗布システム(1)によれば、上記乾燥装置(1)〜(10)のいずれかを備えているので、乾燥時間が短い液剤を使用する場合でも乾燥時間が長い液剤を使用する場合でも、液剤の特性にかかわらず、基板の端面や周辺部への塗布処理と、乾燥処理とを効率良く行うことができる。
【0028】
また本発明に係る
塗布システム(2)は、上記塗布システム(1)において、液剤が塗布された基板の端面又は該端面を含む周縁部に光を照射する光照射装置
をさらに備え、前記光照射装置が、基板を搬送する搬送手段と、該搬送手段で搬送される基板の位置決めを行う位置決め手段と、基板の搬送方向と交差する向きに配設され、該交差する向きの基板の端面又は該端面を含む周縁部に光を照射する第1の光照射手段と、基板の搬送方向と平行する向きに配設され、該並行する向きの基板の端面又は該端面を含む周縁部に光を照射する第2の光照射手段と、前記搬送手段で搬送される基板の搬送位置を検出する基板検出手段と、該基板検出手段により検出される基板の搬送位置に基づいて、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段の照射制御を行う光照射制御手段と、該基板検出手段により検出される基板の搬送位置に基づいて、前記搬送手段による基板の搬送速度を制御する搬送制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0029】
上記
塗布システム(2)によれば、
前記光照射装置をさらに備えているので、紫外線硬化性樹脂などの光硬化剤を含む液剤を使用する場合でも、基板の端面や周縁部のみに適切に、光硬化剤などを含む液剤を硬化・乾燥させる光を照射することができ、基板の端面や周辺部に塗布された液剤の硬化・乾燥処理を効率良く実行することができる。
【0030】
また本発明に係る
塗布システム(3)は、上記塗布システム(2)において、前記第1の光照射手段が、LED方式の紫外線照射手段であり、前記搬送手段の上下位置に、上方向と下方向への照射角度をずらした状態で配置され、前記第2の光照射手段が、LED方式の紫外線照射手段であり、前記搬送手段の上下位置に、上方向と下方向への照射位置をずらした状態で配置されていることを特徴としている。
【0031】
上記
塗布システム(3)によれば、
前記光照射装置の前記第1の光照射手段と前記第2の光照射手段が、LED方式の紫外線照射手段であるので、紫外線硬化樹脂を含む前記液剤を短時間で硬化・乾燥させることができ、装置の小型化を図ることができ、さらに装置の長寿命化及びメンテナンスに係るコストを減らすことができる。
【0032】
また本発明に係る
塗布システム(4)は、上記塗布システム(2)又は(3)において、前記光照射制御手段が、前記基板の端面又は該端面を含む周縁部が、前記第1の光照射手段及び前記第2の光照射手段の照射域をそれぞれ通過するタイミングで光照射する制御を行うものであり、前記搬送制御手段が、前記基板の搬送方向と交差する向きの基板の端面が前記第1の光照射手段の照射域を通過する速度が、前記基板の搬送方向と平行する向きの基板の端面が前記第2の光照射手段の照射域を通過する速度より小さくなるように制御するものであることを特徴としている。
【0033】
上記
塗布システム(4)によれば、
前記光照射装置の前記光照射制御手段と前記搬送制御手段とにより、搬送中の前記基板の搬送方向と交差する向きの基板の端面への光照射と、搬送中の前記基板の搬送方向と平行する向きの基板の端面への光照射とを適切に制御することができ、前記基板の全周に渡ってバラツキのない均一な硬化・乾燥処理を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る乾燥装置、光照射装置、及び塗布システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0038】
図1は、実施の形態(1)に係る塗布システムの概略構成を示したブロック図である。塗布システム1は、塗布装置10、乾燥装置30、及び光照射装置としての紫外線照射装置100を含んで構成されている。
塗布システム1を構成する塗布装置10は、基板の端面、又は該端面を含む周縁部(例えば、幅1mm〜10mm前後)に液剤を塗布するための装置である。被塗布対象となる基板には、略矩形形状をした薄形(数十μm〜数百μm)の銅張積層基板(パッケージ基板ともいう)、アルミ基板、ガラス基板等の種々の基板が含まれる。
【0039】
また、前記液剤(膜形成液、基板コーティング剤ともいう)は、基板の端面や周縁部に塗膜(例えば、硬化後の膜厚が、10μm〜200μm前後)を形成して、基板の端面部分の崩壊による塵埃の発生を防止するとともに、前記塗膜により基板の周縁部を補強して、後工程における基板の取扱性を高め、基板の不良品発生率を低下させるために使用されるものである。
前記液剤としては、基板処理工程(エッチング工程やメッキ工程など)で剥がれない特性(酸及び/又はアルカリに対する耐性)があり、基板表面への付着性等に優れるように複数の樹脂成分が混合されたもの、例えば、水系媒体の溶剤に対し、水性ウレタン樹脂、水性スチレン樹脂及び水性増粘剤を含むコーティング剤など、目的用途に応じて調製された液剤などが使用できる。また、前記液剤を塗布する膜厚に応じて適宜粘度を調整する、例えば、膜厚を薄くする場合は粘度を下げることが好ましい。
【0040】
塗布装置10は、基板を搬送するコンベア部11、コンベア部11で基板の位置決めを行う位置決め部12、基板移載部13、塗布部20、各部の駆動動作等を制御する制御部14、及び作業者が必要な操作を行うための操作部15などを含んで構成されている。
【0041】
位置決め部12は、コンベア部11の両側に設けられた位置決めガイド部(図示せず)を備え、基板を挟み込む方向に前記位置決めガイド部を移動させて基板を挟み、基板を所定位置に位置決め配置する機能を備えている。前記位置決めガイド部の内側面には、基板を傷つけることなく把持するための部材が配設されている。
【0042】
塗布部20は、基板を支持する支持テーブル21と、支持テーブル21の周囲に配設された1台以上、例えば4台の塗布ユニット22と、これら塗布ユニット22を支持テーブル21の各辺に沿ってそれぞれ移動させる移動ユニット23とを備えている。各塗布ユニット22には、例えば、基板の端部を挿入し得る隙間を有して上下に対向配置される上側ヘッド及び下側ヘッドを備えた一対の塗布ヘッド(図示せず)が装備されている。
さらに塗布部20には、塗布ユニット22の各塗布ヘッドに樹脂成分を含む膜形成液を供給する液供給ユニット24が装備されている。移動ユニット23は、例えば、塗布ユニット22を2軸(XY軸)方向に水平移動させる2軸(XY軸)直動機構で構成することができる。
【0043】
前記一対の塗布ヘッドは、例えば、当該一対の塗布ヘッドの対向面に、膜形成液を溜める液溜部と、該液溜部を通過させた基板の端部に付着した膜形成液を薄膜状に塗工する塗工部と(いずれも図示せず)を備えた構成とすることができる。また、前記塗工部は、例えば、基板の端部に付着した前記膜形成液をならす(均す)こて(鏝)部と、該こて部を通過させた前記基板の端部に付着した余分な膜形成液を掻き取る掻取部と(いずれも図示せず)を備えた構成とすることができる。
【0044】
なお、塗布ユニット22は、前記一対の塗布ヘッドを備えたものに限定されない。例えば、別の実施の形態では、塗布ユニット22として、外周面に環状溝が形成された、円盤状、円柱状、又は略円錐台形状などをした塗布ローラを備えたもの、或は、基板の端部を挟み得るように対向配置された一対の塗布ローラを備えたものなどが採用され得る。
【0045】
また、前記一対の塗布ヘッドの退避位置に塗布ヘッド用保護具(図示せず)が設定されていてもよい。該塗布ヘッド用保護具は、例えば、前記一対の塗布ヘッドの隙間に当接させるパッド部と、該パッド部の下方に配設される液受け部と、前記パッド部及び前記液受け部を支持する支持部とを備えて構成することができる(いずれも図示せず)。この塗布ヘッド用保護具は、図示しない昇降機構によって、塗布時は支持テーブル21の下方に降下し、退避時に前記一対の塗布ヘッドの位置まで上昇して、パッド部が前記一対の塗布ヘッドの正面の隙間部分に当接されるようになっている。
【0046】
また、液供給ユニット24は、膜形成液が収容される液収容部と、液収容部から各塗布ヘッドに膜形成液を供給する電動式ポンプと、塗布ヘッドの液受け部で受けた膜形成液を液収容部に移送(回収)する電動式ポンプと(いずれも図示せず)を含んで構成されている。
【0047】
制御部14は、位置決め部12における搬送・位置決め制御、基板移載部13による基板の移載制御、移動ユニット23のXY軸直動制御、及び液供給ユニット24のポンプの駆動制御など、塗布装置10各部の制御を行う機能を有しており、マイコン、ドライバ回路、記憶部及び電源部など(いずれも図示せず)を含んで構成されている。なお、制御部14は1つ又は複数の制御ユニット(例えば、搬入・位置決め制御用、塗布部制御用等)で構成することができる。
また、制御部14は、前記一対の塗布ヘッドの隙間に、支持テーブル21に支持された基板の4辺の端部をそれぞれ挿し込み、その状態で各塗布ヘッドを基板の周縁部に沿って移動させるように移動ユニット23を駆動制御する機能を有している。
【0048】
操作部15は、図示しない液晶操作パネルを備えている。前記液晶操作パネルを通じて、塗布装置10の各部の動作条件の設定、各部の動作指示、動作モード(手動、自動など)の切り替えなどの各種操作を行うことが可能となっている。前記液晶操作パネルを介して入力された操作信号や設定信号が制御部14などに送信されるようになっている。
【0049】
基板移載部13は、コンベア部11で位置決めされた基板を塗布部の支持テーブル21に移載する機能と、塗布部20での塗布処理が完了後、基板を支持テーブル21から乾燥装置30の搬入装置81に移載する機能を備えている。基板移載部13は、基板を吸着するための複数の吸着保持具を備えた1以上の基板保持部と、該基板保持部を基板搬送方向に往復移動させる水平移動機構と、基板保持部を垂直方向に往復移動させる垂直移動機構とを備えている(いずれも図示せず)。前記吸着保持具により基板が吸着保持されるようになっている。
【0050】
次に、塗布システム1を構成する乾燥装置30について説明する。
図2は、実施の形態に係る乾燥装置30の一部省略斜視図である。
図3は、実施の形態に係る乾燥装置30の開放側面図である。
図4は、実施の形態に係る乾燥装置30の内部構造を示す概略図であり、(a)は横断面図、(b)は部分側面図である。
【0051】
乾燥装置30は、基板2を乾燥させる乾燥室31と、乾燥室31に基板2を搬入する搬入装置81と、乾燥室31から基板2を搬出する搬出装置91とを含んで構成されている。
乾燥室31は、基板2が載置される複数段の棚部32と、これら各棚部32に重ねて配置される基板押え部材41と、各棚部32に対応して設けられた略帯板状の搬入用開閉扉51と、各棚部32に対応して設けられた略帯板状の搬出用開閉扉52と、複数段の棚部32に載置される基板2の各辺に沿った一定方向に風(例えば、熱風)を送り出す送風部62と、乾燥室31内の気体を吸引する吸引部63とを備えている。
搬入装置81は、棚部32と基板押え部材41との間に基板2を搬入するように構成され、搬出装置91は、棚部32と基板押え部材41との間から基板2を搬出するように構成されている。
【0052】
制御部40は、搬入装置81や搬出装置91の駆動制御、送風機72や吸引機74の駆動制御など、乾燥装置30の各部の制御を行う機能を有しており、マイコン、ドライバ回路、記憶部及び電源部など(いずれも図示せず)を含んで構成されている。なお、制御部40は1つ又は複数の制御ユニット(例えば、搬入装置制御用、搬出装置制御用、送風機制御用、吸引機制御用等)で構成することができる。
【0053】
棚部32は、搬入用開閉扉51の手前に設けられた帯板状の搬入側下枠部33と、搬出用開閉扉52の手前に設けられた帯板状の搬出側下枠部34と、搬入側下枠部33と搬出側下枠部34との間に架設された複数(本実施の形態では5本)の桟部材(金属製の細い角材)36とを含んで構成されている。
【0054】
搬入装置81は、基板2が載置される搬入用フォーク部(フォーク形状部)82と、搬入用フォーク部82を昇降させる昇降機構86と、搬入用フォーク部82を水平方向に移動させる水平移動機構87とを備えている。
【0055】
搬出装置91は、基板2が載置される搬出用フォーク部(フォーク形状部)92と、搬出用フォーク部92を昇降させる昇降機構96と、搬出用フォーク部92を水平方向に移動させる水平移動機構97とを備えている。
【0056】
昇降機構86、96には、バランスウェイト(つり合い錘)を用いた滑車機構が設けられ、少ない動力で搬入用フォーク部82や搬出用フォーク部92の昇降動作が可能となっている。水平移動機構87、97は、図示しない固定レール上をスライド移動可能な直動機構などにより構成されている。
搬入用フォーク部82と搬出用フォーク部92とは、複数の桟部材36の間を昇降可能に構成されている。すなわち、搬入用フォーク部82及び搬出用フォーク部92と、複数の桟部材36とが平面視互い違いの位置関係となるように配置構成されている。
【0057】
搬入用フォーク部82及び搬出用フォーク部92は、2本の外側フォーク部83、93と、外側フォーク部83、93の内側に設けられた複数(この場合、4本)の内側フォーク部84、94とを含んで構成され、内側フォーク部84、94には、基板2を吸着させるための吸着機構85、95が設けられている。外側フォーク部83、93の先端部は、傾斜状をした樹脂材料で形成されている。
吸着機構85、95は、内側フォーク部84、94の上面に形成された複数の吸着孔、内側フォーク部84、94の内部に、吸着孔に接続するように設けられた吸着ノズル(図示せず)などを含んで構成されている。
【0058】
搬入側下枠部33に搬入用開閉扉51が蝶番等の取付具(図示せず)を用いて起倒回動可能に取り付けられ、搬出側下枠部34に搬出用開閉扉52が蝶番等の取付具(図示せず)を用いて起倒回動可能に取り付けられている。
搬入用開閉扉51の下辺部の両端に、搬入用フォーク部82の外側フォーク部83先端部で押下げ可能な押下片51aが突出した状態で形成され、搬出用開閉扉52の下辺部の両端に、搬出用フォーク部92の外側フォーク部93先端部で押下げ可能な押下片52aが突出した状態で形成されている。
【0059】
搬入用開閉扉51の両側には、縦長細帯形状をした搬入側縦枠部38が搬入側下枠部33に固定された状態で配設され、搬出用開閉扉52の両側には、縦長細帯形状をした搬出側縦枠部39が搬出側下枠部34に固定された状態で配設されている。
搬入用開閉扉51が閉じている状態で、搬入用開閉扉51と搬入側縦枠部38とが磁力で互いに引き合うように、搬入用開閉扉51の両端部と、搬入側縦枠部38の両端部と対面する箇所に磁石51b、38aがそれぞれ設けられている。
また、搬出用開閉扉52が閉じている状態で、搬出用開閉扉52と搬出側縦枠部39とが磁力で互いに引き合うように、搬出用開閉扉52の両端部と、搬出側縦枠部39の両端部と対面する箇所とに磁石52b、39aがそれぞれ設けられている。
【0060】
基板押え部材41は、基板2を押えるための略矩形形状をした枠部42と、枠部42から基板2の搬入方向と交差する方向に張り出して設けられた複数の薄板状の張出部43と、これら張出部43に、基板2の搬入方向に回転可能に取り付けられた複数の回転部材44と含んで構成されている。枠部42は、金属製の細角材で構成されている。基板押え部材41の重量は、1kg程度とすることができる。
回転部材44には、小型のベアリング部材を使用することができ、張出部43に形成された軸部に前記ベアリングが回転可能に挿着されている。
基板押え部材41のこれら複数の回転部材44が、搬入用フォーク部82の外側フォーク部83、及び搬出用フォーク部92の外側フォーク部93の上にそれぞれ乗り上げ可能となっている。
【0061】
搬入側下枠部33、及び/又は搬出側下枠部34の両端部に、基板押え部材41の回転部材44の水平方向に対する位置ずれを規制する位置規制具35が設けられている。
位置規制具35には、例えば、回転部材44の水平方向に対する位置ずれを規制できる平面視凸部(凸状部)35aが形成されている。位置規制具35の形状は、回転部材44の水平方向に対する位置ずれを規制できる一方、回転部材44の鉛直方向に対する移動が可能な形状、かつ搬入側下枠部33や搬出側下枠部34に取り付け可能な形状あれば特に限定されない。
【0062】
基板2の搬入時や搬出時に、搬入用フォーク部82や搬出用フォーク部92により基板押え部材41が持ち上げられた場合、持ち上げ機構46により基板押え部材41が持ち上げられた場合などに、一段上の搬入側下枠部33及び搬出側下枠部34の位置規制具35の凸部35aと、持ち上げられた基板押え部材41の四隅に設けられた回転部材44の外側面とが当接し、回転部材44の水平外側方向に対する位置ずれが規制されるようになっている。
【0063】
桟部材36は、搬入側下枠部33及び/又は搬出側下枠部34に対して、桟部材36の長手方向に遊びを持たせて固定する固定部37を備えている。
固定部37は、例えば、桟部材36の両端に固定された階段形状の固定部材、該固定部材に形成された長孔、該長孔に配置された筒状のスペーサ、該スペーサを介して、搬入側下枠部33又は搬出側下枠部34に固定する固定具(ネジ部材)とを含んで構成されているが、この構成に限定されない。
また、乾燥室31の上面にも桟部材36が設けられている。乾燥室31上面に桟部材36が設けられていることにより、基板2を、乾燥室31を通過させずに、紫外線照射装置100に搬送することも可能となっている。
【0064】
乾燥室31には、各棚部32に載置された全ての基板押え部材41を、各棚部32から一度に持ち上げる持ち上げ機構46が装備されている。持ち上げ機構46は、搬入側下枠部33の両側、及び搬出側下枠部34の両側に配設され、各基板押え部材41の一部、すなわち、枠部42四隅の張出部43に設けられた回転部材44の軸部を係止させる係止部47aを備えた昇降用縦枠部材47と、昇降用縦枠部材47を昇降させるための駆動ハンドルや昇降機構(図示せず)とを含んで構成することができる。
【0065】
また、乾燥室31内への基板押え部材41の出し入れには、専用の支持具98が使用される。支持具98は平面視略コの字形状に形成され、乾燥室31の開閉扉61を開けた状態で、基板搬入方向と交差する方向から、桟部材36と基板押え部材41との間に挿入し、支持具98の上に基板押え部材41を載せた状態で、乾燥室31から支持具98を引き出すことにより、基板押え部材41を乾燥室31から取り出すことができるようになっている。また、基板押え部材41を乾燥室31内の各棚部32に載置する場合は、取り出し時と逆の動作により行う。すなわち、支持具98の上に基板押え部材41を載せた状態で、支持具98を乾燥室31の棚部32の上に水平に挿入し、所定位置まで挿入後、支持具98を引き抜きながら、基板押え部材41を棚部32の上に載置すればよい。
【0066】
乾燥室31における基板搬入方向と交差する向きの両側面には、観音開き式の開閉扉61が設けられている。開閉扉61の内側(乾燥室31内)に、送風部62と吸引部63とが設けられている。
送風部62は、開閉扉61の内側に設けられた縦型の送風用筒状部62aと、送風用筒状部62aの側面に突出した状態で(略口ばし状に)設けられた縦長の吹き出し口62bとを備え、送風用筒状部62aの上部が、送風ダクト71を介して送風機(ブロア装置)72に接続されている。送風機72は、乾燥室31の外部(上方)に配置され、熱風(〜80℃)を送り出すことが可能となっている。
【0067】
送風用筒状部62aは、乾燥室31内と略同じ高さに形成され、吹き出し口62bは、乾燥室31内と略同じ高さ(縦長)で細幅のスリット状に形成され、棚部32に載置された基板の各辺に沿う向きに向けられ、乾燥室31の内壁面に沿った一定方向に気流(循環流)が形成されるようになっている。また、吹き出し口62bは、そのスリット幅(約1mm〜)を調整することが可能となっている。
【0068】
吸引部63は、開閉扉61の内側に設けられた縦型の吸引用筒状部63a(空洞部)と、吸引用筒状部63aの側面に設けられた縦長の吸引口63bとを備え、吸引用筒状部63aの上部が、吸引ダクト73を介して吸引機(吸引ファン等)74に接続されている。
吸引用筒状部63aは、乾燥室31内と略同じ高さに形成され、吸引口63bは、乾燥室31内と略同じ高さ(縦長)で細幅のスリット状に形成されている。吸引口63bは、スリット幅調整板63cをずらすことにより、そのスリット幅(約1mm〜)を調整することが可能となっている。
吸引機74と送風機72とはダクト76で接続されており、吸引機74で吸引された気体が送風機72に送り出され、乾燥室31内の気体(熱風)が循環できるように構成されている。
【0069】
乾燥室31には、内部の気体を外部に排出するための排気部64が設けられている。排気部64は、乾燥室31の開閉扉61の上部に設けられた排気孔64aと、排気孔64aに接続された排気ダクト77とを含んで構成され、排気ダクト77は、例えば、工場内の排気機構78に接続されるようになっている。また、吸引機74には、外気を取り込む外気取込み部(取り込み弁)75が装備されている。排気部64により乾燥室31内の一部の気体が排気可能に構成され、吸引機74に設けられた外気取込み部75により外気を適宜取り込み可能に構成され、乾燥室31内の湿度等の状態が調整可能となっている。
【0070】
実施の形態に係る乾燥装置30の動作について説明する。
まず、乾燥室31に基板2を搬入する動作について説明する。
図5は、実施の形態に係る乾燥装置30の基板搬入動作を説明するための図である。
塗布装置10で、基板の端面又は該端面を含む周縁部への液剤の塗布処理が完了すると、塗布装置10の基板移載部13によって、基板2が搬入装置81の搬入用フォーク部82の上に移送されて、搬入用フォーク部82の内側フォーク部84の上に載置される。このとき、基板2は、吸着機構85により内側フォーク部84に吸着された状態で保持される。
【0071】
搬入用フォーク部82に基板2が載置されると、乾燥室31への搬入動作に移る。制御部40が、乾燥室31内への基板2の搬入・搬出状態(履歴)に基づいて、基板2を載置する棚部32を決定し、該棚部32が設けられている高さ位置の搬入用開閉扉51の正面位置まで搬入用フォーク部82を昇降移動させる(
図5(a))。
【0072】
次に搬入用フォーク部82を搬入用開閉扉51の方向に水平移動させて、搬入用フォーク部82の外側フォーク部83で搬入用開閉扉51を乾燥室31の内側に押し倒し、搬入用開閉扉51を開けた状態にする。外側フォーク部83の先端部上面の高さ位置を、基板押え部材41の回転部材44が乗り上げ可能な位置、かつ桟部材36の上面よりも高くなる位置に微調整した後、搬入用フォーク部82を水平方向に移動させる。
【0073】
搬入用フォーク部82の水平移動に伴い、基板押え部材41の回転部材44が外側フォーク部83の上に順次乗り上げていき、桟部材36の間に内側フォーク部84が挿入されていく。
基板押え部材41の回転部材44は枠部42よりも下に位置しているため、外側フォーク部83の上に基板押え部材41の回転部材44が乗り上げた状態では、内側フォーク部84上面と枠部42下面との間に、隙間(回転部材44の枠部42下方への張り出し分の隙間)が形成され、また、内側フォーク部84上面が桟部材36の上面より高い位置にあるため、この隙間に基板2が挿入されるようになっている(
図5(b))。
【0074】
基板押え部材41の全ての回転部材44が外側フォーク部83に乗り上げて、搬入用フォーク部82の先端部が搬出用開閉扉52手前の所定位置まで到達すると、次に搬入用フォーク部82を降下させる。
搬入用フォーク部82の降下に伴い、まず、内側フォーク部84上の基板2が桟部材36の上に載置され、次に、基板押え部材41の枠部42が基板2の上に載置される。この時、基板2の周縁部は、桟部材36及び基板押え部材41の枠部42からはみ出した状態となっている。その後、基板押え部材41の回転部材44が外側フォーク部83から離れる位置まで搬入用フォーク部82を降下させる(
図5(c))。
【0075】
次に搬入用フォーク部82を搬入方向と逆向きに水平移動させて、乾燥室31から搬入用フォーク部82を引き出す。外側フォーク部83の先端部が、搬入用開閉扉51の押下片51aの上部に到達すると、搬入用フォーク部82を少し降下させて、外側フォーク部83の先端部で押下片51aを押下げる。該押下げ動作に伴い、内側に倒れていた搬入用開閉扉51が起き上がり、搬入用開閉扉51が閉じられる。その後、搬入用フォーク部82を所定の位置まで退避させて、搬入動作を終える。
【0076】
次に乾燥室31での乾燥動作について説明する。
ヒーター機能を有する送風機72からの熱風(例えば、80℃程度の空気)が送風ダクト71を介して乾燥室31の四隅に配置された送風部62の送風用筒状部62aにそれぞれ送り込まれる。
送風用筒状部62aに導入された熱風は、送風用筒状部62aの縦長スリット状の吹き出し口62bから吹き出される。送風部62が乾燥室31の四隅に配置され、送風用筒状部62aの吹き出し口62bが基板の各辺に沿った一定方向に向けられているため、基板の4辺(乾燥室31の内壁面)に沿った一定方向に流れる気流(循環流)が生成される。
【0077】
また、乾燥室31内の熱風の一部が、吸引用筒状部63aに形成された縦長スリット状の吸引口63bから吸引され、吸引ダクト73を介して吸引機74に送り込まれる。吸引機74で吸引された熱風は、送風機72に送り込まれるようになっている。また、乾燥室31に設けられた排気孔64aから、乾燥室31内の気体が適宜排気されると共に、吸引機74に設けられた吸気弁から外気が適宜導入され、乾燥室31内の湿度や温度などの条件が調整されるようになっている。
【0078】
次に、乾燥室31から基板2を搬出する動作について説明する。
図6は、実施の形態に係る乾燥装置30の基板搬出動作を説明するための図である。
基板2が乾燥室31に搬入された後、所定の乾燥時間が経過すると、基板2の搬出動作が開始される。乾燥室31内への基板2の搬入状態(履歴)に基づいて、搬出する基板2が載置されている棚部32を判断し、該棚部32が設けられている高さ位置の搬出用開閉扉52の正面位置まで搬出用フォーク部92を昇降移動させる。
【0079】
次に搬出用フォーク部92を搬出用開閉扉52の方向に水平移動させて、搬出用フォーク部92の外側フォーク部93で搬出用開閉扉52を乾燥室31の内側に押し倒し、搬出用開閉扉52を開けた状態にする。外側フォーク部93の先端部上面の高さ位置を、基板が載置されている桟部材36の上面より下になる位置に調整した後、搬出用フォーク部92を水平方向に移動させる(
図6(a))。
【0080】
搬出用フォーク部92の先端部が、搬入用開閉扉51手前の所定位置に到達すると、次に搬出用フォーク部92を上昇させる。搬出用フォーク部92の上昇に伴い、まず、基板押え部材41の回転部材44が外側フォーク部93の上に載り、基板押え部材41が、基板2が載置された桟部材36から持ち上げられていく。さらに上昇させると、桟部材36に載置されている基板2が内側フォーク部94の上に載置される。なお、内側フォーク部94に設けた吸着機構95により、基板2は、内側フォーク部94に吸着された状態で保持される(
図6(b))。
【0081】
次に搬出用フォーク部92を逆向きに水平移動させて、乾燥室31から搬出用フォーク部92を引き出す。搬出用フォーク部92を引き出す動作を開始すると、外側フォーク部93に乗り上げていた基板押え部材41の回転部材44が、外側フォーク部93から順次外れてゆき、基板押え部材41の枠部42が、桟部材36の上に載置されるようになっている(
図6(c))。
【0082】
そして、外側フォーク部93の先端部が、搬出用開閉扉52の押下片52aの上部に到達すると、搬出用フォーク部92を少し降下させて、外側フォーク部93の先端部で押下片52aを押下げる。該押下げ動作に伴い、内側に倒れていた搬出用開閉扉52が起き上がり、搬出用開閉扉52が閉じられる。その後、搬出用フォーク部92を所定の位置まで退避させて、搬出動作を終える(
図6(d))。搬出用フォーク部92上の基板2は、その後、基板移載部101により紫外線照射装置100に移送されるようになっている。
【0083】
次に塗布システム1を構成する光照射装置としての紫外線照射装置100について説明する。
図7は、実施の形態に係る紫外線照射装置100の内部構造を示した概略平面図である。
図8は、実施の形態に係る紫外線照射装置100の内部構造を示した概略側面図である。
紫外線照射装置100は、紫外線硬化剤などを含む液剤が塗布された基板の端面又は該端面を含む周縁部に紫外線を照射して、塗膜を硬化・乾燥させるための装置である。
紫外線照射装置100は、基板2を移送する基板移載部101と、基板2を搬送する搬送装置111と、搬送装置111で搬送される基板2の位置決めを行う位置決め装置121と、基板2の搬送方向と交差する向きに配設された第1の紫外線照射ユニット131A、131Bと、基板2の搬送方向と平行する向きに配設された第2の紫外線照射ユニット141A、141Bと、搬送装置111で搬送される基板の搬送位置を検出する複数の基板検出センサ151〜154とを含んで構成されている。
図7、8中の矢印は基板2の搬送方向を示している。
【0084】
さらに、紫外線照射装置100は、基板検出センサ151〜154により検出される基板2の搬送位置に基づいて、第1の紫外線照射ユニット131A、131B及び第2の紫外線照射ユニット141A、141Bの照射制御を行う照射制御部161と、基板検出センサ151〜154により検出される基板2の搬送位置に基づいて、搬送装置111による基板の搬送速度を制御する搬送制御部171とを備えている。
【0085】
基板移載部101は、乾燥装置30から搬送装置111に基板2を移載する機能を備えている。基板移載部101は、基板保持部102と、基板保持部102を基板搬送方向に往復移動させる水平移動機構104と、基板保持部102を垂直方向に往復移動させる垂直移動機構105とを備えている。また、基板保持部102には、基板2を吸着保持する吸着保持具103が配設されている。吸着保持具103は、吸着ノズルなどで構成され、図示しないエアチューブを介して真空ポンプに連結されている。
【0086】
搬送装置111は、基板2との接触面積が少なくなるように、細幅のローラ(車輪部)112が所定間隔を設けて配設されたローラ式のコンベア装置が採用され、複数のローラ112を備えたコンベア部113と、これらローラ112の間に昇降可能に配設された基板持上げ部114と含んで構成されている。また、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bの前後には、搬送される基板2の落下を防止するための落下防止板115がローラ112の上端部のみを臨ませた状態で配設されている。また落下防止板115の表面には、基板2の搬送を補助するための小型のベアリング(回転)部材116が複数配設されている。
【0087】
位置決め装置121は、第1の紫外線照射ユニット131A、131B及び第2の紫外線照射ユニット141A、141Bによる紫外線照射を行う前段で基板2の位置決めを行うために設けられている。位置決め装置121は、乾燥装置30から搬送装置111上に移送されてきた基板2の位置決め(位置調整)を行う位置決めガイド部122と、位置決めガイド部122を所定方向に駆動させる駆動部123とを含んで構成されている。
【0088】
位置決め装置121による基板2の位置決め工程は、乾燥装置30から搬送装置111の上に基板を移送した後、基板持上げ部114により基板2をローラ112から一旦持ち上げた状態にする。その後、コンベア部113の両側に設けられた位置決めガイド部122を、基板2を挟み込む方向に所定位置まで移動させて、基板2を位置決めガイド部122で挟むようにして所定位置に位置決めする。位置決め後、基板持上げ部114を降下させて、基板2をローラ112上に配置して終了する。位置決めガイド部122の内側面には、基板2を傷つけることなく把持するための部材を配設してもよい。
【0089】
第1の紫外線照射ユニット131A、131Bは、搬送装置111の上下位置に1台ずつ、上方向と下方向への照射角度を所定角度ずらした状態で配置され、照射部132には、多数個の紫外線照射用LEDが列設されている。第1の紫外線照射ユニット131A、131Bは、基板2の搬送方向と交差する向きに配設され、該交差する向きの基板2の端面や周縁部に紫外線を照射するためのものであり、照射制御部161により照射状態(ON/OFF)の切替等の制御が可能になっている。第1の紫外線照射ユニット131A、131Bが、上方向と下方向への照射角度を所定角度ずらした状態で配設することにより、互いの照射部132を保護することが可能となっている。
【0090】
第2の紫外線照射ユニット141A、141Bは、搬送装置111の上下に1台ずつ、上方向と下方向への照射位置を搬送方向にずらした状態で配置され、照射部142には、多数個の紫外線照射用LEDが列設されている。第2の紫外線照射ユニット141A、141Bは、搬送装置111の両側(基板の搬送方向と平行する向き)に配設され、該平行する向きの基板2の端面や周縁部に紫外線を照射するためのものであり、照射制御部161により照射状態(ON/OFF)の切替等の制御が可能となっている。
前記紫外線照射用LEDには、例えば、350nm〜400nm前後、好ましくは360nmの波長、指向角が30°前後のものを使用することが好ましいが、これに限定されない。
【0091】
第1の紫外線照射ユニット131A、131Bや第2の紫外線照射ユニット141A、141Bの周辺部には、搬送されてくる基板2を検知するための複数の基板検知センサ151〜154が設置されている。基板検知センサ151〜154は、例えば、光センサや赤外線センサ、画像センサなどで構成することができる。
【0092】
照射制御部161は、これら基板検出センサ151〜154により検出される基板2の搬送位置に基づいて、すなわち基板2の端部が、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bと第2の紫外線照射ユニット141A、141Bのそれぞれの照射域を通過するタイミングで、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bと第2の紫外線照射ユニット141A、141Bの照射ON/OFF制御を行う機能を有している。照射制御部161は、マイコン、ドライバ回路、記憶部及び電源部など(いずれも図示せず)を含んで構成されている。なお、照射制御部161は1つ又は複数の制御ユニットで構成することができる。
【0093】
搬送制御部171は、基板2の搬送方向と交差する向きの基板2の端面が第1の紫外線照射ユニット131A、131Bの照射域を通過する第1の速度と、基板の搬送方向と平行する向きの基板2の端面が第2の紫外線照射ユニット141A、141Bの照射域を通過する第2の速度とを制御する。搬送制御部171では、第1の速度が第2の速度より小さくなるように搬送制御が実行されるようになっている。搬送制御部171は、マイコン、ドライバ回路、記憶部及び電源部など(いずれも図示せず)を含んで構成されている。なお、搬送制御部171は1つ又は複数の制御ユニットで構成することができる。
【0094】
実施の形態に係る紫外線照射装置100の動作について説明する。
基板移載部101を駆動させて、乾燥装置30の搬出装置91(搬出用フォーク部92)から搬送装置111のローラ112上に基板を移送し、基板2をローラ112に載置する。
次に搬送装置111の基板持上げ部114と、位置決め装置121とを駆動させて、基板2を所定の位置、すなわち、基板2の搬送方向と平行な向きの基板両辺の位置が、第2の紫外線照射ユニット141A、141Bの照射部142と一致するように位置決めする。
【0095】
該位置決め後、基板2がローラ112に載置されて搬送装置111が駆動される。第1の紫外線照射ユニット131A、131Bの手前で、基板検出センサ151により基板2が検知されると、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bによる照射が開始されるとともに、基板2の搬送速度が第1の速度(例えば、5mm/sec)に制御され、搬送方向に対して前方の基板2の端面及び該端面を含む周縁部に紫外線が照射される。
【0096】
その後、基板検出センサ152により、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bの間を通過した基板2が検知されると、第1の紫外線照射ユニットによる照射を終了するとともに、基板2の搬送速度が第2の速度(例えば、60mm/sec)に制御される。
【0097】
その後、第2の紫外線照射ユニット141A、141Bの手前で、基板検出センサ153により基板が検知されると、第2の紫外線照射ユニット141A、141Bによる照射が開始され、搬送方向に対して両側の基板2の端面及び該端面を含む周縁部に紫外線が照射される。
【0098】
その後、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bの手前で、基板検出センサ151により基板2が検知されなくなる(基板2が通過して非検知状態になる)と、再度、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bによる照射が開始されるとともに、基板2の搬送速度が第1の速度に制御され、搬送方向に対して後方の基板2の端面及び該端面を含む周縁部に紫外線が照射される。
【0099】
その後、基板検出センサ152により、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bの間を通過した基板2が検知されなくなる(基板2が通過して非検知状態になる)と、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bによる照射を終了するとともに、基板の搬送速度が第2の速度に制御される。
【0100】
その後、基板検出センサ154により、第2の紫外線照射ユニット141A、141Bを通過した基板が検知されなくなる(基板が通過して非検知状態になる)と、第2の紫外線照射ユニット141A、141Bによる照射を終了し、その後、基板2が搬送装置111により、紫外線照射装置100の外に搬送されたことが外部センサで検知されると、搬送装置111の駆動が停止される。
【0101】
上記実施の形態に係る乾燥装置30によれば、乾燥室31の各棚部32に一枚ずつ基板2を搬入出することができるとともに、乾燥室31に複数の基板2を収容することができ、装置の省スペース化、小型化を図ることができる。また、乾燥中は、基板押え部材41で基板2が適切に押えられるため、搬入出時や乾燥時に送風による基板2の浮き上りや位置ずれを防止することができ、また、送風部62により、基板2の各辺(端面や周縁部)に効率良く風を吹き付けることができ、基板2の端面や周縁部に塗布された液剤を効率よく、しかもきれいに乾燥させることができる。
【0102】
また、乾燥装置30によれば、搬入用フォーク部82と搬出用フォーク部92とが、複数の桟部材36の間を昇降可能に構成されているので、基板1枚当りの搬入出に必要な高さを50mm以下(40mm〜50mm程度)に抑えることができ、24枚程度収納可能な乾燥室31でも、その高さを120〜130cm程度の高さに抑えることができ、コンパクトかつメンテナンス性に優れた装置とすることができる。
【0103】
また、乾燥装置30によれば、搬入用開閉扉51と搬出用開閉扉52の開閉動作を搬入用フォーク部82と搬出用フォーク部92の動作で行うので、搬入用開閉扉51と搬出用開閉扉52を開閉するための個別の動力が不要となり、装置の省エネ化を図ることができる。
【0104】
また、乾燥装置30によれば、搬入用開閉扉51と搬出用開閉扉52とが閉じられる際、磁石51b、52b、38a、39aの磁力により、搬入用開閉扉51と搬出用開閉扉52とが、それぞれ搬入側縦枠部38と搬出側縦枠部39とに引き付けられて閉じやすく、また、閉じた状態を磁石の磁力により安定させることができる。
【0105】
また、乾燥装置30によれば、基板押え部材41の張出部43に設けられた複数の回転部材44が、搬入用フォーク部82の外側フォーク部83、及び搬出用フォーク部92の外側フォーク部93の上にそれぞれ乗り上げ可能に構成されているので、基板押え部材41の上下方向の動作を、搬入用フォーク部82や搬出用フォーク部92の動作で実行することができ、基板押え部材41のための個別の動力が不要となり、装置の省エネ化を図ることができ、また、搬入用フォーク部82の外側フォーク部83や搬出用フォーク部92の外側フォーク部93の上に、基板押え部材41をスムーズに載せることができ、基板2の搬入・搬出動作をスムーズに行わせることができる。
【0106】
また、乾燥装置30によれば、搬入側下枠部33、及び/又は搬出側下枠部34に設けられた位置規制具35により回転部材44の水平方向に対する位置ずれが規制され、基板押え部材41の位置ずれを防止することができる。
【0107】
また、乾燥装置30によれば、桟部材36の固定部37に遊びを持たせているので、例えば、乾燥室31内の熱(熱風)により桟部材36が長手方向に熱膨張しても、該熱膨張による歪みを適切に逃がすことができ、桟部材36の変形などを防止することができる。
【0108】
また、乾燥装置30によれば、持ち上げ機構46により各棚部32に載置された全ての基板押え部材41を各棚部32から一度に持ち上げることができ、搬入した基板2の位置ずれ等が生じた場合のメンテナンス作業などを容易に行うことができる。
【0109】
また、乾燥装置30によれば、送風部62が、縦型の送風用筒状部62aと縦長の吹き出し口62bとを備えているので、乾燥室31のいずれの高さ位置の棚部32に載置された基板2に対しても、ほぼ同じ条件で均等に効率良く気体を吹き付けることができる。
また、吸引部63が、縦型の吸引用筒状部63aと縦長の吸引口63bとを備えているので、送風部62による乾燥室31内の気体の流れに沿って気体を吸引することができ、送風の流れを一定に保つことができる。また、吸引機74により吸引された気体が送風機72に送り出されるので、乾燥室31内の気体を循環させることができ、特に、温風(熱風)を使用した場合には熱エネルギーの損失を減らすことができ、省エネ化を図ることができる。
【0110】
また、乾燥装置30によれば、排気機構78により乾燥室31内の気体を必要に応じて外部に排出することができ、また、吸引機構により、外気を適宜取り込むことができ、乾燥室31内の温度や湿度などの条件を適切に調整することができる。
【0111】
また、上記実施の形態に係る紫外線照射装置100によれば、基板2の端面や周縁部のみに正確に紫外線を照射することができ、基板2の端面や周辺部に塗布された液剤の硬化処理を効率良く実行することができる。また、第1の紫外線照射ユニット131A、131Bと第2の紫外線照射ユニット141A、141Bとが、LED方式の紫外線照射ユニットであるので、紫外線硬化樹脂を含む液剤を短時間で硬化・乾燥させることができ、装置の小型化を図ることができ、さらに、装置の長寿命化及びメンテナンスに係るコストを減らすことができる。
【0112】
また、照射制御部161と搬送制御部171とにより、基板2の搬送方向と交差する向きの基板2の端面への紫外線照射と、基板2の搬送方向と平行する向きの基板2の端面への紫外線照射とを適切に制御することができ、基板2の全周に渡ってバラツキのない均一な硬化・乾燥処理を行うことができる。
【0113】
なお、上記実施の形態では、光照射装置が紫外線照射装置100である場合について説明したが、本発明に係る光照射装置は、紫外線照射装置100に限定されるものではなく、電子線等の放射線や可視光線で硬化する樹脂を含む液剤が塗布された基板に、放射線や可視光線などの光を照射する装置にも適用可能である。
【0114】
また、上記実施の形態に係る塗布システム1によれば、乾燥時間が短い液剤を使用する場合でも乾燥時間が長い液剤を使用する場合でも、液剤の特性にかかわらず、基板2の端面や周辺部への塗布処理と、乾燥処理とを効率良く行うことができる。また、紫外線硬化剤を含む液剤を使用する場合でも、基板2の端面や周辺部に塗布された液剤の硬化処理を効率良く実行することができ、塗布作業から乾燥・硬化処理の一連の処理を効率良く、省スペースで実現することができる。
【0115】
なお、上記塗布システム1は、塗布装置10、乾燥装置30、及び紫外線照射装置100で構成されているが、別の実施の形態では、塗布装置10と乾燥装置30で構成された塗布システム、又は塗布装置10と紫外線照射装置100で構成された塗布システムとすることもできる。
【0116】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上記した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更もまた本発明の技術的範囲に含まれる。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。