特許第6660250号(P6660250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6660250チップレスRFIDタグをリアルタイムで符号化するための印刷システムアーキテクチャ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660250
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】チップレスRFIDタグをリアルタイムで符号化するための印刷システムアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/067 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
   G06K19/067 020
【請求項の数】23
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-103224(P2016-103224)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-4508(P2017-4508A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】14/733,536
(32)【優先日】2015年6月8日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・エイ・ギブソン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン・エイ・ブッハー
【審査官】 境 周一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/126999(WO,A1)
【文献】 米国特許第05604485(US,A)
【文献】 米国特許第05444223(US,A)
【文献】 特開2001−134732(JP,A)
【文献】 米国特許第05381137(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0015248(US,A1)
【文献】 特開2015−195561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 1/00−21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップレスRFIDタグをリアルタイムで符号化するための方法であって、
チップレスRFIDトランスポンダを製品に配置するステップと、
前記チップレスRFIDトランスポンダを導電性材料に暴露するステップと、を含み、前記RFIDトランスポンダは、
アンテナと、ともに第1のスペクトルシグネチャを規定する複数の共振構造とを備え、前記複数の共振構造の各々は、それぞれの周波数領域を含み、
前記暴露するステップは、少なくとも1つの前記共振構造を短絡させるために、前記少なくとも1つの前記共振構造上に前記導電性材料を堆積させるステップを含み、
前記複数の共振構造のうちの、前記導電性材料によって短絡されない残りの前記共振構造は、前記RFIDトランスポンダの第2のスペクトルシグネチャを規定し、
前記導電性材料は導電性インクを含み、前記堆積させるステップは、インクジェット印字ヘッドから前記少なくとも1つの共振構造上に前記導電性インクを噴出するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの前記共振構造上に前記導電性材料を堆積させるステップは、前記RFIDトランスポンダの前記第1のスペクトルシグネチャを変化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性材料が堆積される前記少なくとも1つの前記共振構造はエッチング構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記堆積させるステップは、所定のパターンで前記導電性材料を塗布するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性材料を堆積させるステップは、前記少なくとも1つの前記共振構造に前記導電性材料を完全に被覆するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの前記共振構造上に堆積された前記導電性材料は、前記少なくとも1つの前記共振構造の自然周波数をシフトさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの前記共振構造上に堆積された前記導電性材料は、前記自然周波数をマイクロ波検出の外部の周波数にシフトさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性材料を堆積させた後における、前記少なくとも1つの共振構造は、電磁共振を有していない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記導電性材料を堆積させた後における、前記少なくとも1つの共振構造は、前記第2のスペクトルシグネチャに寄与しない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの共振構造の一部を除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記導電性材料を堆積させるステップ後に、前記導電性材料が堆積されなかった前記少なくとも1つの共振構造の一部を除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの共振構造の一部をレーザー切断するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記導電性材料を堆積させるステップ後に、前記複数の共振構造の少なくとも1つをレーザー除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のスペクトルシグネチャは、質問パルスに対する第1の吸収領域を有し、前記第2のスペクトルシグネチャは前記質問パルスに対する第2の吸収領域を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記RFIDトランスポンダはチップレスRFIDタグを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
導電性フィルムをパターニングし、前記少なくとも1つの共振構造を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記提供するステップは、前記複数の共振構造を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記形成するステップは、導電性フィルムに少なくとも一つの共振構造をリソグラフィーエッチングするステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記導電性材料は、キャリアに分散された粒子を有する導電性インクを含み、前記粒子は、銅又はアルミニウムから選択される少なくとも1つの材料を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
汎用RFIDトランスポンダをカスタマイズするための方法であって、
前記汎用RFIDトランスポンダを製品に配置するステップと、
前記汎用RFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造を導電性材料に暴露することにより、前記RFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造の共振を変化させるステップと、を含み、
前記暴露することは、インクジェット印刷によって前記少なくとも1つの共振構造上に前記導電性材料を堆積させること、及び
前記導電性材料を堆積させた後、前記導電性材料が堆積されなかった前記少なくとも1つの共振構造の一部を除去すること、を含み、
前記共振構造は、第1の共振から第2の共振へシフトするように、電気的に短絡される、方法。
【請求項21】
前記第1の共振は、前記汎用RFIDトランスポンダの前記少なくとも1つの共振構造の自然周波数を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの共振構造は電気的に接続された材料の連続セグメントを有し、
前記電気的短絡は、前記連続セグメントの第1の部分と前記連続セグメントの第2の部分との間に電気経路を形成するために、前記導電性材料を堆積させることから生じる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記導電性材料はキャリアに分散された粒子を含む導電性インクを有し、前記粒子は銅又はアルミニウムから選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において説明されている実施形態は、概して、カスタマイズチップレス無線周波数識別(RFID)タグ、チップレスRFIDタグを作成および使用する方法、ならびにカスタマイズチップレスRFIDタグを作成するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)技術は、情報を記憶および送信するためのデバイスとして非常に大きい需要を得ている。RFID技術は、物体上に配置されるタグトランスポンダと、本明細書においては質問機とも称される、タグを読み取り識別するための読み取り機とを利用する。RFID技術は、広義には「アクティブ」タグまたは「パッシブ」タグのいずれかを使用するものとして分類される。アクティブタグはローカル電源(電池など)を有し、それによって、アクティブタグは、質問機によって読み取られることになる信号を送信する。アクティブタグは、より長い信号範囲を有する。「パッシブ」タグは、対照的に、内部電源を有しない。代わりに、パッシブタグは、読み取り機から電力を導出し、パッシブタグは、読み取り機から信号を受信すると、情報を再送信または応答送信する。パッシブタグは、信号範囲がはるかにより短い(一般的に20フィート未満)。
【0003】
両方のカテゴリのタグが、集積回路またはシリコンチップの形態である電子回路を有する。回路は、識別データを記憶し、読み取り機に通信する。チップに加えて、タグは、チップに電気的に接続されている何らかの形態のアンテナを含む。アクティブタグは、タグ自体の電源から読み取り機と通信するアンテナを組み込んでいる。パッシブタグについては、アンテナは、読み取り機に由来する無線周波数(RF)エネルギーを電力に変換するためのトランスデューサとして機能する。その後、チップはエネルギー供給され、読み取り機との通信機能を実施する。
【0004】
他方、チップレスRFIDタグは、集積回路も、トランジスタまたはコイルのような個別の電子構成要素も有しない。この特徴は、チップレスRFIDタグが、従来のRFIDタグよりも低いコストで基板上に直接印刷されることを可能にする。
【0005】
実際に、RFID技術は、光信号よりもはるかに良好な、材料に対する侵入特性を有する無線周波数を使用し、バーコードラベルよりも、より不利な環境条件下で作動する。それゆえ、RFIDタグは、塗料、水、土砂、塵芥、人体、コンクリートを通して、または、タグ付けされた品目自体を通して読み取ることができる。RFIDタグは、在庫管理、有料道路上の車の自動識別、セキュリティシステム、電子アクセスカード、キーレスエントリなどに使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンテナは、一般的にスタンピング/エッチング技法によって作成されるRFIDタグの要素であり、フォイルマスタが切り取られて、最終的な構造が作成される。たとえば、各RFIDチップは、導電性フィルムに特定の共振構造セットをエッチングすることによって符号化される。これらの構造が、広帯域質問パルスに応答する反射または再照射パルスを観測することによって読み取られるデータを符号化するために使用することができる周波数依存アンテナ負荷を生成する。このプロセスは、現在では、費用のかかるプロセスであるレーザエッチングによって各チップが個々に作成されなければならないことを要求することによって、そのようなタグのコストを増大させる。
【0007】
「ボトムアップ」からの特有のスペクトルシグネチャを有するカスタマイズRFIDアンテナを印刷するための代替的な手法が試行されている。そのような方法は、導電金属インクを使用して基板上に直に印刷することを含む。インクジェット印刷は、容易に、構造体を印刷するために単独で使用することができ、かつ/または、他のプロセスおよび機械と統合することができるため、この目的のための1つの可能性のある技術として認識されている。たとえば、ハイブリッド印刷技術は、RFIDアンテナのワイヤセグメントを印刷するために使用することができるアナログ印刷プロセス(オフセットリソグラフィ、フレキソ印刷、エッチング、および活版印刷)と、ワイヤセグメントを相互接続するための導電性インクを印刷するためのデジタル印刷プロセス(インクジェット印刷など)とを組み合わせる。しかしながら、インクジェット印刷は、インクジェット印字ヘッドの分解能が不十分であるため、また、インクジェット印字ヘッドによって形成される導電性材料のパターンが、結果として、様々な相互接続性の印刷構造を不均一にしてしまい、これはRFID構造にとって許容不可能であるため、カスタマイズRFIDアンテナを印刷するには信頼できないことが分かっている。加えて、カスタマイズRFIDを安価に印刷するためには、インクの導電性粒子も安価でなければならない。しかしながら、そのような粒子は通常、粒子サイズが様々な低コストの低伝導性材料であり、これは、印刷構造の全体的な相互接続性に影響を及ぼす。他方、小さい粒径を有する導電性インク粒子、均一な粒径を有する導電性インク粒子、ならびに/または金および銀のような高伝導性材料から作成される導電性インク粒子は高価であり、このことにより、安価なカスタマイズRFIDタグを提供するのに使用可能でない。
【0008】
したがって、インクジェット印字ヘッドは、個々の共振構造を「ボトムアップ」から符号化するために必要なスケールにおいてインクをパターン化するのに適していない。結果として、RFIDアンテナを印刷するためのインクジェット技術は、上述したリソグラフィスタンピング/エッチング技法で全体を完成させることはできないが、リソグラフィスタンピング/エッチングプロセスは、そうするにはレーザ切断ステップが必要になるため、カスタマイズタグを作成するのに使用するには効率的でなく、高価になり得る。したがって、カスタマイズRFIDタグを作製するための従来のものに対する、より低コストでより効率的な代替形態が加わることが、当該技術分野において期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、チップレスRFIDタグをリアルタイムで符号化するための方法が存在する。方法は、チップレスRFIDトランスポンダを暴露するステップを含み、RFIDトランスポンダは、アンテナと、複数の共振構造とを備え、複数の共振構造は、ともに第1のスペクトルシグネチャを規定する。複数の共振構造の各々は、それぞれの周波数領域を含む。方法は、少なくとも1つの共振構造を短絡させるために、少なくとも1つの共振構造上に導電性材料を堆積させるステップをも含む。複数の共振構造のうち、導電性材料によって短絡されない残りの共振構造は、RFIDトランスポンダの第2のスペクトルシグネチャを規定する。
【0010】
別の実施形態において、在庫を追跡する方法が存在する。方法は、チップレスRFIDトランスポンダを製品上に配置するステップを含む。RFIDトランスポンダは、ともに第1のスペクトルシグネチャを規定する複数の共振構造を備え、複数の共振構造の各々は、それぞれの周波数領域を含む。方法はまた、少なくとも1つの共振構造を短絡させるために、少なくとも1つの共振構造上に導電性インクを堆積させるステップをも含み、複数の共振構造のうちの、導電性インクによって短絡されない残りの共振構造は、RFIDトランスポンダの第2のスペクトルシグネチャを規定する。
【0011】
また別の実施形態において、在庫を追跡する方法が存在する。方法は、チップレスRFIDトランスポンダを提供するステップであって、RFIDトランスポンダは、ともに第1のスペクトルシグネチャを規定する複数の共振構造を備え、複数の共振構造の各々は、それぞれの周波数領域を含む、提供するステップと、少なくとも1つの共振構造を短絡させるために、少なくとも1つの共振構造上に導電性インクを堆積させるステップであって、複数の共振構造のうちの、導電性インクによって短絡されない残りの共振構造は、RFIDトランスポンダの第2のスペクトルシグネチャを規定する、堆積させるステップと、導電性材料が堆積された後に、RFIDトランスポンダを製品上に配置するステップとを含む。
【0012】
また別の実施形態において、チップレスRFIDトランスポンダが存在し、チップレスRFIDトランスポンダは、ともにRFIDトランスポンダのスペクトルシグネチャを規定する複数の共振構造であって、複数の共振構造の各々は、それぞれの周波数領域を含む、複数の共振構造と、少なくとも1つの共振構造上に堆積されている導電性インクであって、導電性インクは少なくとも1つの共振構造を短絡させ、RFIDのスペクトルシグネチャは、短絡された共振構造の自然周波数からシフトされる、導電性インクとを備える。
【0013】
さらにまた別の実施形態において、在庫を追跡する方法が存在する。方法は、チップレスRFIDトランスポンダを提供するステップであって、RFIDトランスポンダは、ともに第1のスペクトルシグネチャを規定する複数の共振構造を備え、複数の共振構造の各々は、それぞれの周波数領域を含む、提供するステップと、少なくとも1つの共振構造を短絡させるために、少なくとも1つの共振構造上に導電性インクを堆積させるステップであって、複数の共振構造のうちの、導電性インクによって短絡されない残りの共振構造は、RFIDトランスポンダの第2のスペクトルシグネチャを規定する、堆積させるステップと、RFIDトランスポンダを製品上に配置するステップと、導電性材料が堆積された後に、RFIDトランスポンダで製品をタグ付けするステップとを含んでもよい。
【0014】
別の実施形態において、チップレスRFIDトランスポンダが存在し、チップレスRFIDトランスポンダは、ともにRFIDトランスポンダのスペクトルシグネチャを規定する複数の共振構造であって、複数の共振構造の各々は、それぞれの周波数領域を含む、複数の共振構造と、少なくとも1つの共振構造上に堆積されている導電性インクであって、導電性インクは少なくとも1つの共振構造を短絡させ、RFIDのスペクトルシグネチャは、短絡された共振構造の自然周波数からシフトされる、導電性インクとを備える。
【0015】
別の実施形態において、RFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造上に導電性材料を堆積させるためのプリンタと、プリンタと通信している少なくとも1つのコントローラとを備える、製品識別システムが存在し、コントローラは、データおよび命令を記憶するための少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのメモリにアクセスし、命令を実行するように構成されている少なくとも1つのプロセッサとを備え、命令は、少なくとも1つのメモリから識別データを取り出すことであって、識別データは、製品の識別情報に対応する、取り出すことと、チップレスRFIDトランスポンダの設計データを取り出すことであって、設計データは、チップレスRFIDトランスポンダの複数の共振構造の各々に対応する周波数領域情報を含む、取り出すことと、識別データおよび設計データに基づいてコードを生成することと、スペクトルシグネチャをコードと関連付けることと、設計データから、複数の共振構造のいずれがともにスペクトルシグネチャを規定するか、および、複数の共振構造のいずれがスペクトルシグネチャに寄与しないかを識別することによって、パターンデータを生成することと、RFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造がスペクトルシグネチャ外の領域に周波数シフトされるように、導電性材料がRFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造を短絡させるように、パターンデータに従って導電性材料を堆積させるためにプリンタを起動することとを含む。
【0016】
別の実施形態において、汎用RFIDトランスポンダをカスタマイズするための方法が存在する。方法は、汎用RFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造を導電性材料に暴露するステップと、少なくとも1つの共振構造上に導電性材料を堆積させることによって、RFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造の共振を変化させるステップとを含み、変化させるステップは、共振構造の共振が第1の共振から第2の共振へとシフトするように、共振構造を電気的に短絡させるステップを含む。
【0017】
実施形態の追加の利点が、部分的に以下の説明に記載され、部分的に以下の説明から理解されることになり、または、実施形態の実践によって学習され得る。それらの利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている要素および組み合わせによって実現および獲得される。
【0018】
上記の全般的な説明および以下の詳細な説明は例示であり、説明に過ぎず、特許請求されているものとしての実施形態を限定しないことが理解されよう。
【0019】
本明細書に組み込まれ、その一部分を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示し、本明細書とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1のスペクトルシグネチャを有するチップレスRFIDトランスポンダを示す図である。
図2図2は、少なくとも1つの共振構造上に堆積され、当該共振構造を短絡させる導電性材料によって第2のスペクトルシグネチャを有するように改変されている図1のチップレスRFIDトランスポンダを示す図である。
図3A図3Aは、キャリア上に配置されている図2のチップレスRFIDトランスポンダを示す図である。
図3B図3Bは、キャリアと被覆層との間に配置されている図2のチップレスRFIDトランスポンダを示す図である。
図4図4は、製品識別システムの一部分としてのプリンタおよびコントローラを示す図である。
図5A図5Aは、一実施形態のチップレスRFIDタグを符号化するための方法の処理ステップを示す図である。
図5B図5Bは、一実施形態のチップレスRFIDタグを符号化するための方法の処理ステップを示す図である。
図5C図5Cは、一実施形態のチップレスRFIDタグを符号化するための方法の処理ステップを示す図である。
図6A図6Aは、図5Aの処理ステップの上面図である。
図6B図6Bは、図5Bの処理ステップの上面図である。
図6C図6Cは、図5Cの処理ステップの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照する。当該実施形態の例は、添付の図面に示されている。可能性があればどこであっても、同じ参照符号は図面全体を通じて同じまたは同様の部分を指すために使用される。図面に示されている構造は、単純にするために図示されていない追加の特徴を含んでもよく、一方で、図示されている構造が除去または改変されてもよい。
【0022】
実施形態の広い範囲を表記している数値範囲およびパラメータは近似であるが、特定の例において表記されている数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は本質的に、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的にもたらされる一定の誤差を含む。その上、本明細書において開示されている全ての範囲は、その範囲内に含まれる、あらゆる部分範囲を包含するものと理解されるべきである。たとえば、「10未満」の範囲は、0の最小値と10の最大値の間の(およびそれらを含む)あらゆる部分範囲、すなわち、0以上の最小値および10以下の最大値を有するあらゆる部分範囲、たとえば、1〜5を含むことができる。特定の事例において、パラメータについて記述されているような数値は、負の値をとることができる。この事例において、「10未満」として記述されている範囲の例示的な値は、負の値、たとえば、−1、−2、−3、−10、−20、−30などを想定することができる。
【0023】
以下の実施形態は、図面を参照して例示のみを目的として説明される。以下の説明は本質的に例示であること、および、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書において表記されているパラメータに対する様々な改変を行うことができることが、当業者には諒解されよう。本明細書および実施例は例としてのみ考慮されることが意図されている。いくつかの実施形態は、新たな実施形態を形成するために1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせることができるため、様々な実施形態は必ずしも相互に排他的ではない。
【0024】
本明細書において使用される場合、RFIDトランスポンダを説明するために本明細書において使用されているものとしての「チップレス」という用語は、RFIDトランスポンダが、集積回路も、トランジスタまたはコイルのような個別の電子構成要素も有しないことを意味する。
【0025】
本明細書において使用される場合、「共振構造」という用語は、特性周波数に対応する関連する共振を有する構造を意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、「スペクトルシグネチャ」という用語は、加えられる励起周波数と関連する少なくとも1つの識別共振を指す。スペクトルシグネチャは、少なくとも1つの振幅成分および少なくとも1つの位相成分を有することができる。
【0027】
本明細書において使用される場合、「タグ」という用語は、トランスポンダ、または、トランスポンダと、トランスポンダがその上に配置されるキャリアとの組み合わせを指す。タグは製品に取り付けることができる。
【0028】
本明細書において使用される場合、「トランスポンダ」という用語は、質問機によって送信されるもののような信号を受信し、受信信号に応答して信号を送信するデバイスを指す。
【0029】
本明細書において使用される場合、「エッチングされた(etched)」という用語は、一般的にフォトリソグラフィにおいて使用される、それによって材料の部分が化学的に除去されるプロセスを指す。
【0030】
本明細書において使用される場合、「安全被覆層」という用語は、干渉を受けると、安全被覆層が配置されている構造を損傷、破壊または他の様態で改変するバッキング層を意味する。
【0031】
本明細書において使用される場合、「汎用RFIDトランスポンダ」という用語は、質問機のような送信機によって加えられる各周波数領域に対する関連する共振構造を有するRFIDトランスポンダを意味する。
【0032】
カスタマイズRFIDタグを作製するための、従来技術の分解能問題を解決するよりコストの低い代替的なプロセスは、複数の同一のRFIDトランスポンダを提供することによって開始する。これらの同一のトランスポンダは、対応するRFID読み取り機によって明瞭に分解することができる全ての波長間隔に対して1つの共振構造を含む。このとき、トランスポンダの1つまたは複数の共振構造は、1つまたは複数の共振構造の上に堆積される導電性インクを使用し、導電性インクを乾燥させて共振構造を短絡させる薄膜を形成することによって短絡することができる。導電性材料は、米国特許第8,324,294号明細書において開示されている導電性インクのような、現行の技術水準において既知であるような導電性インクを含んでもよい。一実施形態において、導電性材料は、金属ナノ粒子を含むインク組成物を含んでもよく、金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子を含んでもよい。ナノ粒子は、インク組成物の総重量のうちの約10〜約85重量パーセント、または、インク組成物の総重量のうちの約20〜約60重量パーセントの量で存在してもよい。「金属ナノ粒子」において使用されているものとして「ナノ」という用語は、たとえば、例として約0.5nm〜約1,000nm、約1nm〜約500nm、約1nm〜約100nm、約1nm〜約25nmまたは約1〜約10nmのような、約1,000nm未満の粒子サイズを指す。粒子サイズは、TEM(透過電子顕微鏡法)または他の適切な方法によって判定されるものとしての、金属粒子の平均径を指す。概して、本明細書において説明されているプロセスから得られる金属ナノ粒子においては、複数の粒子サイズが存在し得る。実施形態において、サイズの異なる金属含有ナノ粒子が存在することは許容可能である。同様の組成物が既知であり、銅、アルミニウム、銀または金のような少なくとも1つの本質的に高伝導性の材料を含むいくつかの導電性材料を利用してもよい。実施形態の導電性材料は、導電性インク組成物中に含まれ得る導電性ポリマーを含んでもよい。他の導電性材料としては、サーマルリボンから転写される層および導電性塗料の薄膜を含む導電性薄層のような、任意の導電性薄膜が挙げられる。共振構造を短絡することによってその自然周波数が周波数シフトし、これが質問および分析の範囲から取り除かれる。例示的なシステムにおいて、プリンタ、たとえば、インクジェットプリンタのような堆積システムと関連付けられるコントローラが、汎用RFIDトランスポンダ上で符号化されるべきコードを生成し、当該コードを、印刷コントローラからの識別情報と関連付け、たとえば、インクジェットまたは同様の印刷ステーションを使用して導電性インクのような導電性材料を複数の共振構造のうちの選択される共振構造に塗布することによって、その情報をRFIDタグ上に符号化する。そのような方法は、低コストリソグラフィ技法の使用が、RFIDアンテナの製造に適用されることを可能にし、インクジェット印刷のような低コスト堆積技法が、高分解能の堆積パターンを必要とすることなく、導電性材料を堆積させることを可能にし、それによって、全体的な製造コストが低減する。これは、いくつかのRFIDトランスポンダに必要とされる線幅均一性が±2.5μmであり、利用可能なインクジェットプリンタを用いて達成可能であるよりも5〜10倍良好であるためである。したがって、本明細書における実施形態は、たとえば、RFIDトランスポンダの共振構造のうちの選択される共振構造を短絡するように導電性薄膜のパターンを印刷することによって、既存のRFIDトランスポンダを改変することによって、この問題を解決する。共振構造を短絡させることは、「ボトムアップ」からの共振構造の作成が他の様態では必要とする線幅均一性を必要としないため、導電性インクのパターンを印刷するための1つの方法は、従来のインクジェットプリンタを使用して、導電性材料を選択される共振構造上に噴霧することができる。
【0033】
図1は、チップレスRFIDトランスポンダ100の図である。一実施形態において、チップレスRFIDトランスポンダは、国際公開第2009/126999号パンフレットに記載されているようなものであってよい。RFIDトランスポンダは、リソグラフィ、エッチング/スタンピングなどによって形成されてもよい。たとえば、トランスポンダのスペクトルシグネチャを生成する役割を担う、RFIDトランスポンダの要素は、各々または独立してエッチング構造として形成されてもよい。RFIDトランスポンダ100はまた、導電性インクベースのチップレスRFIDトランスポンダであってもよく、少なくとも1つの共振構造を含む全ての構成要素は、導電性インクの、インクジェット印刷などの印刷を含む、導電性材料の薄膜のパターン化によって形成される。
【0034】
RFIDトランスポンダ100は、受信アンテナ102および送信アンテナ103のような少なくとも1つのアンテナを含む。アンテナ102および103は、ともにRFIDトランスポンダのスペクトルシグネチャを規定する複数の共振構造104A〜104Dを含む回路の一部分として組み込むことができる。たとえば、複数の共振構造104A〜104Dの各々は、それぞれの共振を呈し得る。共振は、他の要因の中でも、対応する共振構造の幾何構造に応じて決まる自然周波数と関連付けられる。したがって、複数の共振構造104A〜104Dの各々は、単一ビットの情報の独立した符号化に使用することができる。共振構造は、図1に示すもののようなスパイラル共振器であってもよく、または、限定ではないが、蛇行形状およびフラクタル形状共振構造のような他の共振構造から選択されてもよい。
【0035】
各々が特定の共振周波数を有するいずれか1つの共振構造104A〜104Dが存在する結果として、RFIDトランスポンダ100全体の応答において、その周波数における対応する減衰がもたらされる。したがって、各共振構造104A〜104Dの存否が、特定の特性周波数および位相応答を有する対応する共振の存否を決定付け、これを、たとえば、1ビットのデジタル情報を符号化するために使用することができる。
【0036】
図2は、一実施形態のチップレスRFIDトランスポンダ200の図である。RFIDトランスポンダ200は、RFIDトランスポンダ100が改変されたバージョンであってもよい。たとえば、RFID200は加えて、共振構造104A〜104Dのうちの少なくとも1つの上に配置されている導電性材料を含む。言い換えれば、RFIDトランスポンダ200は、受信アンテナ102および送信アンテナ103のような少なくとも1つのアンテナを含む。アンテナ102および103は、ともにRFIDトランスポンダ200のスペクトルシグネチャを規定する複数の共振構造104A〜104Dを含む回路の一部分として組み込むことができる。加えて、RFIDトランスポンダ200は、共振構造104Aおよび104Cについて示されているような、少なくとも1つの共振構造上に配置されている導電性材料105を含む。共振構造104A上の導電性材料105は、共振構造104C上の導電性材料105と同じであってもよく、または異なっていてもよい。加えて、導電性材料105は、共振構造104A〜104Dの材料と同じであってもよく、または異なっていてもよく、アンテナ102および103の材料と同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0037】
導電性材料105は最初に、たとえば、インクジェットプリンタのようなプリンタによって導電性インクとして堆積することができる。したがって、導電性材料は、所定のパターンで堆積することができる。一実施形態において、導電性材料は、1つまたは複数の共振構造104A〜104Dの少なくとも一部分を被覆するための薄膜として堆積される。
【0038】
少なくとも1つの共振構造上に堆積される導電性材料105は、対応するその下の共振構造(複数可)を短絡させ、それによって、共振構造(複数可)の共振応答を「オフ」にし、または、少なくとも、共振構造(複数可)の自然周波数をシフトさせる役割を果たす。言い換えれば、導電性インクのような導電性材料は、RFIDトランスポンダのスペクトル応答を、短絡共振構造(複数可)の自然周波数からシフトさせる。したがって、導電性材料を所定のパターンで堆積させることによって、1つまたは複数の共振構造を、導電性材料によって短絡することができる。
【0039】
導電性材料を堆積することは、導電性材料105’によって被覆されている共振構造104Cについて示されているように、少なくとも1つの共振構造を導電性材料で完全に被覆することを含んでもよい。そのような実施形態において、導電性材料105’は、共振構造の幾何構造だけでなく、幾何構造の全ての間隙空間をも被覆する。一態様において、導電性材料は、共振構造を、少なくとも1つの共振構造の自然周波数をシフトさせるのに十分なだけ被覆する。たとえば、少なくとも1つの共振構造上に堆積される導電性材料は、共振構造の自然周波数を、マイクロ波検出の外部の周波数にシフトさせる。一実施形態において、導電性材料は、少なくとも1つの共振構造が電磁共振を有しないように堆積される。したがって、一実施形態において、導電性材料が堆積された後、少なくとも1つの共振構造は、トランスポンダ200の第2のスペクトルシグネチャに寄与しない。
【0040】
少なくとも1つの共振構造上に導電性材料を堆積させるのに加えて、少なくとも1つの共振構造の部分が除去され得る。たとえば、共振構造104aの、導電性材料105によって被覆されていない部分が除去され得る。一実施形態において、少なくとも1つの共振構造の、導電性材料によって被覆されていない少なくとも一部分は、機械的切断またはレーザ切断によって除去することができる。事実、共振構造の、導電性材料が堆積されるべきである少なくとも一部分106は、導電性材料が堆積される前に除去することができる。いくつかの実施形態において、RFIDトランスポンダ内の共振構造のいくつかは、破壊されるか、または、他の様態でレーザ切断による検出のために使用不可能にされてもよく、一方で、他の共振構造は導電性インクによって短絡されてもよく、一方でまた他の共振構造は、レーザ切断されるとともに、導電性インクによって短絡もされてもよい。いくつかの実施形態において、共振構造のいくつかは、導電性材料によって部分的に被覆されてもよく、他の共振構造は、それらの共振を、マイクロ波検出の外部の共振にシフトするように実質的に完全に被覆されるか、または、電磁共振がないなど、共振がなくなるようにシフトされるように、完全に被覆されてもよい。
【0041】
図3Aに示すように、トランスポンダ200は、製品上に直に、または、製品に取り付けるための中間接着バッキング上のように、キャリア301上に配置されてもよい。キャリア301は、RFIDトランスポンダが最初にその上に作製される基板であってもよく、または、RFIDトランスポンダが作製された後にそれが転写されるキャリアであってもよい。接着バッキングキャリア301はRFIDトランスポンダが、製品上に容易に取り付け(すなわち、タグ付け)されることを可能にする。加えて、1つまたは複数の共振構造の上に堆積された導電性材料によってその自然周波数応答から改変されているRFIDトランスポンダがさらに操作されることを防止するために、安全被覆層303が、RFIDトランスポンダの上に配置されてもよい。
【0042】
一実施形態において、1つまたは複数の同一のRFIDトランスポンダが、キャリア上に施与されてもよい。RFIDタグは、各周波数領域について共振構造が存在することによって、全て同一のコード化を有してもよい。たとえば、同一のRFIDトランスポンダは、RFIDトランスポンダ100のような、第1の周波数応答を有する従来のRFIDトランスポンダであってもよい。図4に示すように、その後、RFIDトランスポンダ100の各々が、たとえば、導電性材料105、たとえば、導電性インクまたは薄膜を所定のパターンで堆積させることが可能であるインクジェット印字ヘッド401または同様の書き込みヘッドを有するプリンタ400によってさらに処理されてもよい。上述したように、堆積された導電性材料105は、1つまたは複数の共振構造を選択的に短絡させることができ、それによって、結果として、上述したような、第2の周波数応答を有するRFIDトランスポンダ200が形成される。すなわち、短絡されると、印字ヘッド401によって導電性インクが堆積される共振構造(複数可)は、質問パルスの範囲外の領域に周波数シフトされ、したがって、RFIDトランスポンダを製品上にタグ付けした後、またはその直前に1または0として符号化される。
【0043】
プリンタ400は、製品識別システムとともに使用するために組み込まれ得る。製品識別システムは、少なくとも1つのプリンタと、プリンタ400と通信402している少なくとも1つのコントローラ403とを含むことができる。コントローラは、データおよび命令を記憶するための少なくとも1つのメモリ405と、少なくとも1つのメモリにアクセスし、命令を実行するように構成されている少なくとも1つのプロセッサとを含むことができる。命令は、少なくとも1つのメモリから識別データを取り出すことであって、識別データは、製品の識別情報に対応する、取り出すことと、チップレスRFIDトランスポンダの設計データを取り出すことであって、設計データは、RFID100のもののようなチップレスRFIDトランスポンダの複数の共振構造の各々に対応する周波数領域情報を含む、取り出すことと、識別データおよび設計データに基づいてコードを生成することと、スペクトルシグネチャをコードと関連付けることと、設計データから、RFID100の複数の共振構造のいずれがともにスペクトルシグネチャを規定するか、および、RFID100の複数の共振構造のいずれがスペクトルシグネチャに寄与しないかを識別することによって、パターンデータを生成することと、RFIDトランスポンダ200を形成するためにRFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造がスペクトルシグネチャの外部の領域に周波数シフトされるように、および、導電性材料がRFIDトランスポンダの少なくとも1つの共振構造を短絡させるように、パターンデータに従って導電性材料105のような導電性材料を堆積させるためにプリンタ、たとえば、プリンタ400の印字ヘッド401を起動することとを含む。
【0044】
図5A図5Cは、チップレスRFIDタグを、たとえば、リアルタイムで符号化するための方法を示す。図6A図6Cは、それぞれ図5A図5Cの上面図である。本方法において、チップレスRFIDトランスポンダ100は、図5Aおよび図6Aに示すように提供される。RFIDトランスポンダは、キャリア301上に提供され得る。RFIDトランスポンダは、上述したRFIDトランスポンダ100について説明されたように構成されてもよい。言い換えれば、RFIDトランスポンダは、アンテナと、複数の共振構造とを備える。方法は、図5Aおよび図6Aにおいて、少なくとも1つの共振構造を短絡させてRFIDトランスポンダ200を形成するために、少なくとも1つの共振構造上に導電性材料105を堆積させることによって継続する。導電性材料105は、インクジェット印字ヘッド401から噴霧パターン105’によってなどで所定のパターンに従って少なくとも1つの共振構造上に堆積される導電性インクであってもよい。代替的に、導電性材料105は、薄膜として堆積されてもよい。いくつかの実施形態において、導電性材料は、熱転写、ゼログラフィまたはスクリーン印刷によって堆積されてもよい。
【0045】
RFIDトランスポンダ100内の複数の共振構造は、ともに第1のスペクトルシグネチャを規定する。すなわち、複数の共振構造の各々は、それぞれの周波数領域を含む。少なくとも1つの共振構造上に導電性材料を堆積させることによって、たとえば、少なくとも1つの共振構造の自然周波数を、質問機が読み取ることが可能でないものであり得る別の周波数にシフトさせることによって、RFIDトランスポンダの第1のスペクトルシグネチャが変化する。すなわち、RFIDトランスポンダ200内の複数の共振構造のうちの、導電性材料によって短絡されない残りの共振構造が、RFIDトランスポンダの第2のスペクトルシグネチャを規定し、第2のスペクトルシグネチャは、第1のスペクトルシグネチャとは異なり得る。第1のスペクトルシグネチャは、質問パルスに対する第1の吸収範囲を含み得、第2のスペクトルシグネチャは、質問パルスに対する第2の吸収範囲を含み得る。加えて、図5Cおよび図6Cに示すように、安全被覆層303のような被覆層が、RFIDトランスポンダ300の上およびキャリア301の上に追加されてもよい。被覆層303は、非導電性で、耐摩耗性であってもよい。
【0046】
キャリア301と被覆層303との間に配置されてもよいRFIDトランスポンダ200は、製品上に配置され得る。しかしながら、キャリア301の上に配置されるのみ(すなわち、被覆層303なし)であってもよいRFIDトランスポンダ100が、最初に製品上に配置されてもよく、その後、その少なくとも1つの共振構造の上に導電性材料が加えられ、その後、被覆層303が加えられてもよい。言い換えればRFIDトランスポンダ200は、製品上に配置されながらその場で形成されてもよい。
【0047】
要約すると、本明細書において説明されている実施形態は、RFIDタグのコストを下げ、複雑度を低減し、RFIDタグが所与の製品と関連付けられるプロセスの信頼性を向上させる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C