特許第6660360号(P6660360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660360
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】電池式警報器
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/16 20060101AFI20200227BHJP
   G08B 21/14 20060101ALI20200227BHJP
   G08B 17/06 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   G08B21/16
   G08B21/14
   G08B17/06 K
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-202455(P2017-202455)
(22)【出願日】2017年10月19日
(62)【分割の表示】特願2015-7545(P2015-7545)の分割
【原出願日】2015年1月19日
(65)【公開番号】特開2018-49634(P2018-49634A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2017年10月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 美里
【審査官】 永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−105837(JP,A)
【文献】 特開2002−081236(JP,A)
【文献】 特開平10−100079(JP,A)
【文献】 実開昭54−104973(JP,U)
【文献】 特開2003−308573(JP,A)
【文献】 実公昭50−040980(JP,Y1)
【文献】 実公昭50−013243(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00−31/00
H01H 13/00−15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池電力により駆動し、異常状態の検知時において異常状態が発生している旨の警報を出力する電池式警報器であって、
少なくとも警報出力の機能部を覆う樹脂ケースと、
前記樹脂ケース内に設けられる配線板上に実装され、前記機能部に電池電力を供給する供給位置と、前記機能部に対する電池電力の供給を遮断する遮断位置とでノブの位置を切替可能な電源スイッチと、
前記樹脂ケースに設けられた第1開口部に挿入され、前記電源スイッチの前記ノブに対して係合する操作部材と、を備え、
前記操作部材は、前記ノブの位置が前記遮断位置にある場合、一部が前記樹脂ケースに対して突出し、この突出部位が前記樹脂ケース内に押し込まれることで、前記ノブの位置を供給位置へと切替させると共に、
前記樹脂ケースは、前記操作部材の突出部位が前記樹脂ケースに対して面一となるように又は前記突出部位全体が前記樹脂ケース内に位置するように押し込まれて前記ノブの位置が供給位置へと切り替えられた場合に、前記ノブの位置を前記遮断位置へ切替させる操作を行うための部位であって、当該部位を通じて前記遮断位置にあるときに前記操作部材の突出部位と反対側の端部を露出させない第2開口部が形成されている
ことを特徴とする電池式警報器。
【請求項2】
電池電力により駆動し、異常状態の検知時において異常状態が発生している旨の警報を出力する電池式警報器であって、
少なくとも警報出力の機能部を覆う樹脂ケースと、
前記樹脂ケース内に設けられる配線板上に実装され、前記機能部に電池電力を供給する供給位置と、前記機能部に対する電池電力の供給を遮断する遮断位置とでノブの位置を切替可能な電源スイッチと、
前記樹脂ケースに設けられた第1開口部に挿入され、前記電源スイッチの前記ノブに対して係合する操作部材と、を備え、
前記操作部材は、前記ノブの位置が前記遮断位置にある場合、一部が前記樹脂ケースに対して突出し、この突出部位が前記樹脂ケース内に押し込まれることで、前記ノブの位置を供給位置へと切替させると共に、
前記樹脂ケースは、前記操作部材の突出部位が前記樹脂ケースに対して面一となるように又は前記突出部位全体が前記樹脂ケース内に位置するように押し込まれて前記ノブの位置が供給位置へと切り替えられた場合に、挿入可能な部材が挿入され当該部材により前記ノブの位置を前記遮断位置へ切替させる操作を行うための部位であって、当該部位を通じて前記遮断位置にあるときに前記操作部材の突出部位と反対側の端部を露出させない第2開口部が形成されている
ことを特徴とする電池式警報器。
【請求項3】
前記第2開口部を覆う破断可能なフィルム状のシールをさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電池式警報器。
【請求項4】
前記操作部材は、第1の角部を有し、前記突出部位が前記樹脂ケース内に押し込まれて前記ノブの位置を供給位置へと切替させた場合に、前記第1の角部が前記樹脂ケースに当接する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池式警報器。
【請求項5】
前記操作部材は、第2の角部を有し、前記突出部位が前記樹脂ケース内に押し込まれて前記ノブの位置を供給位置としている状態から、前記突出部位が前記樹脂ケースから突出する状態に戻されて前記ノブの位置が遮断位置とされた場合に、前記第2の角部が前記樹脂ケースに当接する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池式警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池式警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ガス警報器は異常状態を検知した場合、擬音や音声メッセージ等の警報音を出力している(例えば特許文献1参照)。例えばガス警報器は、ガス漏れ検出時に「ガスが漏れていませんか。」という警報音を出力し、CO検出時に「空気が汚れて危険です。窓を開けて換気して下さい。」という警報音を出力する。このようなガス警報器には、電池式のものが存在し、例えば警報器の裏面に電源をオンオフするスイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−199546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電池式ガス警報器では、ガス漏れやCO漏れがあり警報を行っている場合でも、使用者がうるさがって電源スイッチをオフ操作し電源がオフの状態で放置されてしまうおそれがあった。このため、使用者が簡単に電源をオフできない構成であることが好ましい。一方で、電池式ガス警報器の生産工程においては、電源をオンしたりオフしたりすることがあるため、製造側は電源スイッチをオン操作及びオフ操作できる構成であることが好ましい。
【0005】
なお、このような問題は、電池式ガス警報器に限らず、電池式の火災警報器などの他の警報器においても共通する問題である。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、製造側においては電源スイッチをオン操作及びオフ操作でき、且つ、使用者が簡易に電源スイッチをオフ操作できない構成とすることができる電池式警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池式警報器は、電池電力により駆動し、異常状態の検知時において異常状態が発生している旨の警報を出力する電池式警報器であって、少なくとも警報出力の機能部を覆う樹脂ケースと、前記樹脂ケース内に設けられる配線板上に実装され、前記機能部に電池電力を供給する供給位置と、前記機能部に対する電池電力の供給を遮断する遮断位置とでノブの位置を切替可能な電源スイッチと、前記樹脂ケースに設けられた第1開口部に挿入され、前記電源スイッチの前記ノブに対して係合する操作部材と、を備え、前記操作部材は、前記ノブの位置が前記遮断位置にある場合、一部が前記樹脂ケースに対して突出し、この突出部位が前記樹脂ケース内に押し込まれることで、前記ノブの位置を供給位置へと切替させると共に、前記樹脂ケースは、前記操作部材の突出部位が前記樹脂ケースに対して面一となるように又は前記突出部位全体が前記樹脂ケース内に位置するように押し込まれて前記ノブの位置が供給位置へと切り替えられた場合に、前記ノブの位置を前記遮断位置へ切替させる操作を行うための部位であって、当該部位を通じて前記遮断位置にあるときに前記操作部材の突出部位と反対側の端部を露出させない第2開口部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電池式警報器は、電池電力により駆動し、異常状態の検知時において異常状態が発生している旨の警報を出力する電池式警報器であって、少なくとも警報出力の機能部を覆う樹脂ケースと、前記樹脂ケース内に設けられる配線板上に実装され、前記機能部に電池電力を供給する供給位置と、前記機能部に対する電池電力の供給を遮断する遮断位置とでノブの位置を切替可能な電源スイッチと、前記樹脂ケースに設けられた第1開口部に挿入され、前記電源スイッチの前記ノブに対して係合する操作部材と、を備え、前記操作部材は、前記ノブの位置が前記遮断位置にある場合、一部が前記樹脂ケースに対して突出し、この突出部位が前記樹脂ケース内に押し込まれることで、前記ノブの位置を供給位置へと切替させると共に、前記樹脂ケースは、前記操作部材の突出部位が前記樹脂ケースに対して面一となるように又は前記突出部位全体が前記樹脂ケース内に位置するように押し込まれて前記ノブの位置が供給位置へと切り替えられた場合に、挿入可能な部材が挿入され当該部材により前記ノブの位置を前記遮断位置へ切替させる操作を行うための部位であって、当該部位を通じて前記遮断位置にあるときに前記操作部材の突出部位と反対側の端部を露出させない第2開口部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
これら電池式警報器によれば、ノブの位置が遮断位置にある場合、操作部材の突出部位が樹脂ケース内に押し込まれることで、ノブの位置を供給位置へと切替させる。このため、製造工程において製造側は、突出部位を押し込むことで電源スイッチのノブを供給位置とすることができる。しかも、この場合には、突出部位が樹脂ケースに押し込まれてしまうため、使用者は、突出部位を引っ張り出すことが容易でない。
【0010】
さらに、樹脂ケースには、ノブの位置が供給位置へと切り替えられた場合に、ノブを遮断位置へ切替させる操作を行うための第2開口部が形成されている。ここで、通常使用者は、突出部位が樹脂ケースから突出していると、何等かのスイッチであると認識して操作することがあるが、第2開口部を利用してノブを遮断位置とすることができると認識することはなく、通常生産工程における製造側しかノブを遮断位置とすることができない。
【0011】
以上より、製造側においては電源スイッチをオン操作及びオフ操作でき、且つ、使用者が簡易に電源スイッチをオフ操作できない構成とすることができる。
【0012】
なお、上記において、樹脂ケース内に押し込まれるとは、突出部位が樹脂ケースに対して面一又は樹脂ケース内に位置することをいう。
【0013】
また、本発明の電池式警報器において、前記第2開口部を覆う破断可能なフィルム状のシールをさらに備えることが好ましい。
【0014】
この電池式警報器によれば、第2開口部を覆う破断可能なフィルム状のシールをさらに備えるため、このシールを出荷時又は警報器の各家庭への取り付け時に第2開口部を覆うように貼り付ければ、使用者は操作部材の突出部位の反対側端部を第2開口部から視認することができなくなる。このため、使用者が操作部材の反対側端部を操作して電源スイッチをオフすることを一層防止することができる。しかも、このシールは破断可能であるため、例えば誤動作により警報が鳴り続けてしまうような場合には、ガス事業者からの電話指示等によって、使用者は、フィルム状のシールに対してペン先や針等を使用してこれを破断するだけでノブの遮断位置への移動を可能とすることができる。
【0015】
また、本発明の電池式警報器において、前記操作部材は、第1の角部を有し、前記突出部位が前記樹脂ケース内に押し込まれて前記ノブの位置を供給位置へと切替させた場合に、前記第1の角部が前記樹脂ケースに当接することが好ましい。
【0016】
この電池式警報器によれば、突出部位が樹脂ケース内に押し込まれてノブの位置を供給位置へと切替させた場合に、第1の角部が樹脂ケースに当接するため、想定以上に突出部位が樹脂ケース内に押し込まれて、例えば電源スイッチのノブが破壊されてしまう事態等を防止することができる。
【0017】
また、本発明の電池式警報器において、前記操作部材は、第2の角部を有し、前記突出部位が前記樹脂ケース内に押し込まれて前記ノブの位置を供給位置としている状態から、前記突出部位が前記樹脂ケースから突出する状態に戻されて前記ノブの位置が遮断位置とされた場合に、前記第2の角部が前記樹脂ケースに当接することが好ましい。
【0018】
この電池式警報器によれば、突出部位が樹脂ケースから突出する状態に戻されてノブの位置が遮断位置とされた場合に、第2の角部が樹脂ケースに当接するため、想定以上に突出部位が樹脂ケースから突出してしまい、例えば操作部位が外れてしまう事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、製造側においては電源スイッチをオン操作及びオフ操作でき、且つ、使用者が簡易に電源スイッチをオフ操作できない構成とすることができる電池式警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る電池式ガス警報器を示す正面図である。
図2図1に示した電池式ガス警報器の側面図である。
図3図1及び図2に示した電池式ガス警報器の透視背面図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示している。
図4図3に示したスイッチレバーの拡大図であり、(a)は平面図を示し、(b)は上面図を示している。
図5図3に示したスイッチレバーとその周辺構成の拡大図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示している。
図6図1及び図2に示した電池式ガス警報器の背面図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では電池式ガス警報器を電池式警報器の一例として説明するが、本発明は電池式ガス警報器に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る電池式ガス警報器を示す正面図であり、図2は、図1に示した電池式ガス警報器の側面図である。図1及び図2に示す電池式ガス警報器1は、電池電力により駆動し、ガス漏れ等の異常状態の検知時において異常状態が発生している旨の警報を出力するものである。
【0023】
このような電池式ガス警報器1は、少なくとも警報出力の機能部(ガスセンサ、マイコン及び音声出力回路)を覆う樹脂ケース10を有している。樹脂ケース10は、正面ケース11と背面ケース12とからなる。このような警報器1の正面側には例えば警報出力用のスピーカを内部に備えた報知部2と、警報の一定時間の停止及び点検等を行うためのスイッチ部3とが形成されている。
【0024】
図3は、図1及び図2に示した電池式ガス警報器1の透視背面図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示している。図3(a)及び図3(b)に示すように、電池式ガス警報器1は、樹脂ケース10の内部に配線板20を有している。この配線板20は、電池電力を各部に供給するための配線が形成されたものである。このような配線板20は、正面ケース11の内側から背面側に向かって延びるボス11aによって、仮固定される。
【0025】
さらに、電池式ガス警報器1は、電源スイッチ30及びスイッチレバー(操作部材)40を備えている。電源スイッチ30は、配線板20上に実装され、上記機能部に電池電力を供給する供給位置P1と、上記機能部に対する電池電力の供給を遮断する遮断位置P2とでノブ31の位置を切替可能なスイッチである。ノブ31の位置は、図3に示す横方向に移動可能となっている。
【0026】
また、スイッチレバー40は、樹脂ケース10(背面ケース12)の側部に設けられた第1開口部10aに挿入され、電源スイッチ30のノブ31に対して係合する部材である。図4は、図3に示したスイッチレバー40の拡大図であり、(a)は平面図を示し、(b)は上面図を示している。
【0027】
図4(a)及び(b)に示すように、スイッチレバー40は、係合部41と操作部(突出部位)42とから構成されている。係合部41は、板状の部材であって、板の一部が刳り貫かれて、係合凹部41aと、逃げ凹部41bとが形成されている。係合凹部41aは、刳り貫き部分が凸形状となっており、凸の先端部分に電源スイッチ30のノブ31が嵌まり込むようになっている。逃げ凹部41bは、板状の部材の角が略扇形に刳り貫かれた部位である。
【0028】
さらに、板状の係合部41は、一部に他の部分よりも厚みが薄くなる薄板部41cが形成されており、この薄板部41cと他の部分との境界部分がフック部(第2の角部)41dとして機能するようになっている。
【0029】
また、操作部42は、板状の係合部41の一端に設けられた断面台形状の部材である。なお、後述するように操作部42は、ノブ31が供給位置P1にあるときに、樹脂ケース10に対して面一となる形状となっている。さらに、この操作部42は、板状の係合部41よりも板面の法線方向に突き出た形状となっており、この部位がフック部(第1の角部)42aとして機能するようになっている。
【0030】
このようなスイッチレバー40は、電源スイッチ30のノブ31と同様に、図3に示す横方向に移動可能となっている。また、図3(a)に示すように、スイッチレバー40は、ノブ31の位置が遮断位置P2にある場合、操作部42(一部)が樹脂ケース10に対して突出している。突出量は適宜設定可能であるが、例えば樹脂ケース10の側面から約1.5mm程度突出させるとよい。一方、図3(b)に示すように、スイッチレバー40は、ノブ31の位置が供給位置P1にある場合、操作部42が樹脂ケース10内に押し込まれた状態となり樹脂ケース10に対して面一となる。
【0031】
図5は、図3に示したスイッチレバー40とその周辺構成の拡大図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示している。まず、図5(a)に示すように、ノブ31の位置が遮断位置P2にある場合、係合部41のフック部41dは樹脂ケース10に当接している。同様に、図5(b)に示すように、ノブ31の位置が供給位置P1にある場合、操作部42のフック部42aは樹脂ケース10に当接している。このため、スイッチレバー40は、ノブ31の供給位置P1と遮断位置P2との間のみで移動可能となっている。なお、上記において多少のクリアランスを持たせてもよいことは言うまでもない。
【0032】
加えて、本実施形態では図3(b)に示すように、ノブ31の位置が供給位置P1にある場合、逃げ凹部41bが上記ボス11aと接触するようになっている。これにより、スイッチレバー40の樹脂ケース10の内部への過剰移動を一層規制するようにしている。
【0033】
図6は、図1及び図2に示した電池式ガス警報器1の背面図であり、(a)は第1の状態を示し、(b)は第2の状態を示している。図6(a)及び図6(b)に示すように、樹脂ケース10(背面ケース12)には、背面ケース12を貫く開口である第2開口部10bが形成されている。
【0034】
図6(b)に示すように、第2開口部10bは、スイッチレバー40の操作部42が樹脂ケース10内に押し込まれてノブ31の位置が供給位置P1へと切り替えられた場合に、スイッチレバー40の操作部42と反対側の端部41eを露出させる。なお、ノブ31の位置が遮断位置P2へと切り替えられた場合、端部41eは第2開口部10bから露出していてもよいし、露出していなくともよい。図6(a)に示す例においては、操作性を考慮して、端部41eを(極僅かに)露出させている。
【0035】
さらに、本実施形態において電池式ガス警報器1は、第2開口部10bを覆う破断可能なフィルム状のシール50をさらに備える。このようなシール50は、製造工程のうち電源をオンオフする機会がある工程では貼り付けられておらず、その後の工程において第2開口部10bを覆うように貼り付けられたり、各家庭への取り付け時に第2開口部10bを覆うように貼り付けられたりするものである。
【0036】
次に、本実施形態に係る電池式ガス警報器1の電源のオンオフ操作の様子を説明する。まず、工場等における製造工程においては、比較的電源をオンしたりオフしたりする機会がある。まず、電池式ガス警報器1の電源がオフであるとすると、電池式ガス警報器1は、図3(a)、図5(a)及び図6(a)に示す状態となっている。
【0037】
このような状態において、スイッチレバー40の操作部42が樹脂ケース10内に押し込まれると、図3(b)に示すように、スイッチレバー40はノブ31の位置を供給位置P1へと切り替える。これにより、電池式ガス警報器1は、図5(b)及び図6(b)に示す状態となる。この場合において、スイッチレバー40は、フック部42a及び逃げ凹部41bが樹脂ケース10に当接するため、スイッチレバー40が樹脂ケース10内に入り込んでしまって以後操作できなくなる事態を防止することができる。
【0038】
一方、電池式ガス警報器1の電源をオフする必要性が生じた場合、作業者等は、ボールペンや針などの尖った物を利用し、第2開口部10bにこれを挿入する。そして、第2開口部10bから露出するスイッチレバー40の端部41eを、操作部42の方向へ移動させる。これにより、図3(a)に示すように、スイッチレバー40はノブ31の位置を遮断位置P2へと切り替えることとなる。そして、電池式ガス警報器1は、図5(a)及び図6(a)に示す状態となる。
【0039】
この場合において、スイッチレバー40は、フック部41dが樹脂ケース10に当接するため、スイッチレバー40が樹脂ケース10から飛び出してしまう事態を防止することができる。
【0040】
なお、工場等では電源をオンしたりオフしたりする機会があるため、シール50については例えば最後の工程で、又は、各家庭への警報器1の取付時に貼り付けられる。ここで、シール50の貼り付け行為は、生産時に工場にて行われることが好ましい。これにより、現場の作業者に貼り付けを委ねることなく、貼り付け忘れが無く、又は貼り付け忘れの頻度が極めて低くなるためである。
【0041】
次に、本実施形態に係る電池式ガス警報器1を各家庭に取り付け、その後使用者に使用されるときの様子を説明する。まず、電池寿命の観点から、電池式ガス警報器1の出荷時において電源スイッチ30のノブ31は遮断位置P2となっている。
【0042】
その後、設置者は、スイッチレバー40の操作部42を樹脂ケース10内に押し込むように操作する。これにより、図3(b)に示すように、ノブ31が供給位置P1へと移動する。なお、電源スイッチ30はノブ31は供給位置P1と遮断位置P2との間で停止し難い構造となっており、供給位置P1と遮断位置P2との中間位置をノブ31が越えると、電源スイッチ30のノブ31は近い側への位置P1,P2へ移動がアシストされる。
【0043】
その後、設置者は、螺子等を利用して壁面に電池式ガス警報器1を取り付けることとなる。
【0044】
以後、例えば電池式ガス警報器1が異常状態を検知して警報出力した場合において、使用者が電源をオフしようとしても、操作部42は樹脂ケース10に対して面一となっており、且つ、第2開口部10bにシール50が貼り付けられていることから、使用者は、一見すると電源をオフすることができず、使用者が簡易に電源スイッチ30をオフ操作できないこととなる。
【0045】
ここで、上記の電池式ガス警報器1では、所謂誤動作に起因した誤警報が出力され続けてしまうことがある。例えば、料理に使う調味料、お酢、アルコール、水蒸気、油等の雑ガスや温度等の影響で、ガスセンサが警報し易い方向に劣化してしまうことがあり、このような場合には、本来警報すべき濃度でないのに、警報してしまうことがある。また、料理に使う調味料、お酢、アルコール、水蒸気、油等の雑ガスや温度等の影響で、センサ回路等がショートしてしまう場合があり、このような場合には、ガスが漏れていなくても警報してしまうことがある。さらに、配線板20の半田付けに不良があった場合、温度等の影響で、センサ回路等が開放(オープン)してしまうことがあり、このような場合には、ガスが漏れていなくても警報してしまうことがある。以上のように、電池式ガス警報器1では誤警報が出力され続けてしまうことがある。
【0046】
このような場合、電池式ガス警報器1の使用者は電話にてガス事業者にその旨を伝え、ガス事業者は使用者のもとに出動することとなる。本実施形態に係る電池式ガス警報器1では、その出動から到着の間に誤警報を停止すべく、電話等にて以下の操作等を行うように指示する。
【0047】
まず、ガス事業者は、使用者に対してボールペンや針などの尖った物の用意を促す。次いで、ガス事業者は、ケース背面部を参照し、ペン先や針等をシール50に突き刺すよう促す。
【0048】
次いで、ガス事業者は、使用者に対してボールペンや針などを遮断位置P2に移動させるように促す。これにより、シール50を破断しつつ電源スイッチ30のノブ31は供給位置P1から遮断位置P2に移動させられることとなる。
【0049】
以上により、誤動作に起因した誤警報が停止することとなる。なお、誤警報の発生時点においては、第2開口部10bがシール50によって覆われた状態となっている。このため、電池式ガス警報器1のケース背面部を見た使用者は、シール50によってスイッチレバー40の端部41eを確認できず、勝手に電源をオフしてしまうことを防止することができる。
【0050】
このようにして、本実施形態に係る電池式ガス警報器1によれば、ノブ31の位置が遮断位置P2にある場合、スイッチレバー40の操作部42が樹脂ケース10内に押し込まれることで、ノブ31の位置を供給位置P1へと切替させる。このため、製造工程において製造側は、操作部42を押し込むことで電源スイッチ30のノブ31を供給位置P1とすることができる。しかも、この場合には、操作部42が樹脂ケース10内に押し込まれてしまうため、使用者は、操作部42を引っ張り出すことが容易でない。
【0051】
さらに、樹脂ケース10には、ノブ31の位置が供給位置P1へと切り替えられた場合に、スイッチレバー40の操作部42と反対側の端部41eを露出させる第2開口部10bが形成されている。このため、第2開口部10bから露出するスイッチレバー40の反対側端部41eを操作して操作部42を突出状態に戻すことができる。すなわち、電源スイッチ30のノブ31を遮断位置P2とすることができる。ここで、通常使用者は、操作部42が樹脂ケース10から突出していると、何等かのスイッチであると認識して操作することがあるが、第2開口部10bからスイッチレバー40の反対側端部41eが露出していたとしても、これを操作すればノブ31を遮断位置P2とすることができると認識することはなく、通常生産工程における製造側しかノブ31を遮断位置P2とすることができない。
【0052】
以上より、製造側においては電源スイッチ30をオン操作及びオフ操作でき、且つ、使用者が簡易に電源スイッチ30をオフ操作できない構成とすることができる。
【0053】
また、第2開口部10bを覆う破断可能なフィルム状のシール50をさらに備えるため、このシール50を出荷時又は警報器1の各家庭への取り付け時に第2開口部10bを覆うように貼り付ければ、使用者はスイッチレバー40の操作部42の反対側端部41eを第2開口部10bから視認することができなくなる。このため、使用者がスイッチレバー40の反対側端部41eを操作して電源スイッチ30をオフすることを一層防止することができる。しかも、このシール50は破断可能であるため、例えば誤動作により警報が鳴り続けてしまうような場合には、ガス事業者からの電話指示等によって、使用者は、フィルム状のシール50に対してペン先や針等を使用してこれを破断するだけでノブ31の遮断位置P2への移動を可能とすることができる。
【0054】
また、操作部42が樹脂ケース10内に押し込まれてノブ31の位置を供給位置P1へと切替させた場合に、フック部42aが樹脂ケース10に当接するため、想定以上に操作部42が樹脂ケース10内に押し込まれて、例えば電源スイッチ30のノブ31が破壊されてしまう事態等を防止することができる。
【0055】
また、操作部42が樹脂ケース10から突出する状態に戻されてノブ31の位置が遮断位置P2とされた場合に、フック部41dが樹脂ケース10に当接するため、想定以上に操作部42が樹脂ケース10から突出してしまい、例えばスイッチレバー40が外れてしまう事態を防止することができる。
【0056】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0057】
例えば、ノブ31が供給位置P1に位置する場合、操作部42は樹脂ケース10と面一となっているが、これに限らず、操作部42は樹脂ケース10よりも内側に位置するようになっていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態において第1開口部10aは樹脂ケース10の側部に設けられているが、これに限らず、前面又は背面など他の位置に設けられていてもよい。さらに、第2開口部10bについても、背面に限らず、前面や側部など他の位置に設けられていてもよい。
【0059】
また、シール50には、使用者が破断しやすいように、ミシン目が設けられていてもよいし、使用者が針等で突き刺す箇所が明確となるように点状などのマークが印刷されていてもよい。加えて、シール50は、水等の液体により溶けたり破れたりする構造のものであってもよいし、他のものであってもよい。
【0060】
加えて、本実施形態においては、電源スイッチ30のノブ31が遮断位置P2にある場合、操作部42の一部のみが樹脂ケース10の側部から突出しているが、これに限らず、より突出量を大きくし、操作部42に加えて係合部41についても突出する構成であってもよい。この場合、操作部42と係合部41の一部が突出部位として機能することとなる。
【符号の説明】
【0061】
1 :電池式ガス警報器
2 :報知部
3 :スイッチ部
10 :樹脂ケース
10a :第1開口部
10b :第2開口部
11 :正面ケース
11a :ボス
12 :背面ケース
20 :配線板
30 :電源スイッチ
31 :ノブ
40 :スイッチレバー(操作部材)
41 :係合部
41a :係合凹部
41b :逃げ凹部
41c :薄板部
41d :フック部(第2の角部)
41e :端部
42 :操作部(突出部位)
42a :フック部(第1の角部)
50 :シール
P1 :供給位置
P2 :遮断位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6