【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 電子情報通信学会技術研究報告(信学技報),vol.117,no.387,pp29−32 OFT2017−62,光ファイバ応用技術研究会(OFT)、一般社団法人電子情報通信学会、平成30年1月11日発行にて、公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係るユーザ状況確認システムの構成を示す図である。ユーザ状況確認システムは、所定地域内に存在する複数のユーザ宅と、その地域内のユーザ宅を収容する1つの通信設備局と、ユーザ宅と通信設備局との間を接続する光配線設備と、を対象範囲に含む。
【0014】
まず、通信設備局について説明する。通信設備局は、
図1に示すように、例えば、OLT5と、OTDR6と、を備えて構成される。
【0015】
OLT5は、光信号をユーザ宅へ送信し、ユーザ宅からの光信号を終端する通信事業者側の光回線終端装置(Optical Line Terminal)である。例えば、OLT5は、既存のOLTを用いて実現できる。
【0016】
OTDR6は、安否等に関するユーザの状況を検知するための試験光を発生し、その試験光に対するユーザ宅からの反射光を画面に表示する光パルス試験機(Optical Time Domain Reflectometer)である。例えば、OTDR6は、既存のOTDRを用いて実現できる。
【0017】
次に、光配線設備について説明する。光配線設備は、
図1に示すように、例えば、架空クロージャ、光ファイバ、光スプリッタ等で構成され、ユーザ識別用光ファイバ4を備えて構成される。
【0018】
ユーザ識別用光ファイバ4は、光信号を各ユーザ宅に対して分岐する光スプリッタ7の分岐側に接続され、ユーザ毎に異なるケーブル長を備える。ケーブル長をユーザ毎に異にすることで、OTDR6から試験光が各ユーザ宅へ一斉に同時送信された場合でも、それぞれの反射光の受信時刻でユーザを識別できる。
【0019】
次に、ユーザ宅について説明する。ユーザ宅は、
図1に示すように、例えば、ユーザ状況確認装置100と、ONU3と、を備えて構成される。
【0020】
ONU3は、OLT5からの光信号を終端して配下の光電話や情報処理端末等に転送し、その光電話等からの信号をOLT5へ送信する加入者側の光回線終端装置(Optical Network Unit)である。例えば、ONU3は、既存のONUを用いて実現できる。
【0021】
ユーザ状況確認装置100は、安否等に関するユーザの状況を通信事業者側へ提供するために用いる非電動的な装置であり、光切替スイッチ1と、安否情報応答装置2と、を備えて構成される。
【0022】
光切替スイッチ1は、OLT5とONU3との間でONU3の直前に挿入して接続され、OLT5との光回線をONU3又は安否情報応答装置2に機械的に切り替えるスイッチである。光切替スイッチ1は、特許請求の範囲に記載した「切替部」である。
【0023】
安否情報応答装置2は、OTDR6からの試験光に対してユーザの状況に応じた数の反射光を返す装置である。本実施形態では、ファイバ端面で光を反射する光ファイバを機械的に連結することで、ユーザの状況に応じた数の反射光を返す。安否情報応答装置2は、特許請求の範囲に記載した「応答部」である。
【0024】
(光切替スイッチの具体例)
次に、光切替スイッチ1の具体例について説明する。
図2は、光切替スイッチ1の構成例を示す図である。光切替スイッチ1は、安否情報応答装置2に繋がる安否用光導波路8aとONU3に繋がるONU用光導波路8bとが平行に配置された矩形状の導波路基板11と、導波路基板11に連動可能に連結されたダイヤル式の操作部12と、を備える。
【0025】
安否用光導波路8aとONU用光導波路8bとの各端面は導波路基板11の同一辺で同一の向きに配置固定されており、操作部12の手動回転に連動して導波路基板11が上下方向にスライドする。これにより、OLT5に繋がるOLT用光導波路8cに対して、安否用光導波路8a又はONU用光導波路8bを選択可能となる。ユーザは、非常時に操作部12を回転することで、通常時に選択されている光電話等への光回線から、安否情報応答装置2への光回線に切り替えることができる。
【0026】
このような光切替スイッチ1は、例えば、操作部12の回転操作で回転する回転軸に歯車を挿入して固定し、その歯車を導波路基板11のラック(直径を無限大にした歯車)に噛み合わせて導波路基板11をスライドさせる構造で実現できる。その他、複数の歯車、弾性ベルト、操作部12の回転軸を90°変更する機械的構造等を用いてもよい。このように、光切替スイッチ1は、機械的な動作で光回線を切り替えるので、ユーザ宅が停電時にも利用できる。
【0027】
(安否情報応答装置の具体例)
次に、安否情報応答装置2の具体例について説明する。
図3は、安否情報応答装置2の構成例を示す図である。安否情報応答装置2は、ユーザの状況を特定するためのユーザ状況選択部21と、その状況に応じた数の光ファイバを連結する光ファイバ連結部22と、を備える。
【0028】
ユーザ状況選択部21には、ユーザの状況を示す「要救護」「食料不足」「無事」に対してスライドボタン23がオン・オフ可能にそれぞれ用意されている。光ファイバ連結部22は、オフからオンに切り替えられたスライドボタン23のスライド動作に応じて光ファイバ24の連結数を変化させる。
【0029】
光ファイバ連結部22には、3つのボード25がスライドレール26に沿って移動可能に配置され、各ボード25には、光ファイバ24がファイバコネクタ27,28とともに固定されている。また、光ファイバ連結部22には、光ファイバ24毎に無反射終端部29も移動可能に配置されている。
【0030】
光ファイバ24のファイバコネクタ27,28の反射減衰量は、通常40dB以上と小反射に抑えられているが、本実施形態では、他方のファイバコネクタ28内のファイバ端面のみ、その端面の研磨状態を少し劣化させて反射を大きくする。例えば、高反射減衰量が得られるPC(Physical Contact)研磨ではなく、凹状のコア断面でフレネル反射が生じる平面研磨を行う。これにより、反射減衰量を例えば20dB程度にすることで、1つの光ファイバ24で1つの反射光を生じさせるようにする。
【0031】
このような安否情報応答装置2で「要救護」のスライドボタン23aをオンにスライドすると、そのスライドに連動して第1のボード25aと第1の無反射終端部29aとがスライドレール26に乗り、左上方向に引っ張られて安否用光導波路8aの位置まで移動する。これにより、
図4(a)に示すように、第1の光ファイバ24aの一方のファイバコネクタ27aが安否用光導波路8aに連結し、他方のファイバコネクタ28aが第1の無反射終端部29aに連結する。この連結状態でOTDR6から試験光が出力されると、他方のファイバコネクタ28aでフレネル反射RF1が生じ、
図4(b)に示すように、OTDR6では反射ピーク数が1つ観測されることになる。
【0032】
また、「食料不足」のスライドボタン23bをオンすると、
図5(a)に示すように、第1の光ファイバ24aと第2の光ファイバ24bと第2の無反射終端部29bとが移動して安否用光導波路8aに連結する。この連結状態の場合、その2つのファイバコネクタでそれぞれフレネル反射RF1,RF2が生じ、
図5(b)に示すように、反射ピーク数が2つ観測されることになる。
【0033】
また、「無事」のスライドボタン23cをオンすると、
図6(a)に示すように、第1の光ファイバ24aと第2の光ファイバ24bと第3の光ファイバ24cと第3の無反射終端部29cとが移動して連結する。この連結状態の場合、3つのファイバコネクタでそれぞれフレネル反射RF1,RF2,RF3が生じ、
図6(b)に示すように、反射ピーク数が3つ観測されることになる。
【0034】
なお、反射ピーク数を正確に把握可能にするため、反射ピーク間の時間間隔が一定以上となるように、光ファイバ24の長さは例えば1m以上であることが望ましい。また、反射ピーク間の時間間隔が揃うように、3つの光ファイバ24の長さを同一にすることが望ましい。
【0035】
このような安否情報応答装置2は、例えば、スライドボタン23とボード25とを同一筐体内で1本のゴムで連結し、そのゴムを筐体内の右端と左端の各車輪にかける構造で実現できる。スライドボタン23を左方向へスライドさせると、ゴムは、その2つの車輪間では右方向へ引っ張られ、左端の車輪とボード25との間では左上方向へ引っ張られる。これにより、ボード25は、スライドレール26に沿って上方向へ移動し左方向へ移動する。その他、歯車、弾性ベルトスプリング、プーリー等を用いてもよいし、油圧ユニット等を用いて安否情報応答装置2の筐体を小型化してもよい。このように、安否情報応答装置2は、機械的な動作で光ファイバ24を連結するので、ユーザ宅が停電時にも利用できる。
【0036】
(ユーザ状況確認装置の動作)
次に、ユーザ状況確認装置100の動作について説明する。
図7は、ユーザ状況確認方法の処理シーケンスを示す図である。
【0037】
ステップS101;
まず、光回線加入者の各ユーザは、災害等によりユーザ宅が停電した場合、光切替スイッチ1で光回線を手動で非常系に切り替える。これにより、光切替スイッチ1は、ONU3への光回線から安否情報応答装置2への光回線に機械的に切り替える。
【0038】
ステップS102;
次に、ユーザは、安否情報応答装置2で自身の現状に合うスライドボタン23をオンにスライドする。例えば、所定宅のユーザAは、「要救護」のスライドボタン23aをオンにスライドする。別宅のユーザBは、「食料不足」のスライドボタン23bをオンにスライドする。これにより、ユーザAの安否情報応答装置2は、1つの光ファイバ24と1つの無反射終端部29とを機械的に連結する。ユーザBの安否情報応答装置2は、2つの光ファイバ24と1つの無反射終端部29とを機械的に連結する。
【0039】
ステップS103;
次に、通信事業者の担当者は、各ユーザの状況を確認するため、OTDR6を用いて試験光をユーザ宅へ出力する。試験光は、局側とユーザ宅側との間の光スプリッタ7で複数に分岐され、各ユーザ識別用光ファイバ4をそれぞれ介して各ユーザ宅の安否情報応答装置2にそれぞれ送信される。
【0040】
ステップS104;
各ユーザ宅の安否情報応答装置2は、連結状態にある光ファイバ24の他方のファイバコネクタ28で反射光を返す。上記具体例の場合、ユーザAの安否情報応答装置2は、1つの光ファイバ24で1つの反射光を返す。ユーザBの安否情報応答装置2は、1つ目の光ファイバ24で1つ目の反射光を返し、その後に2つ目の光ファイバ24で2つ目の反射光を返す。
【0041】
ステップS105;
その後、OTDR6は、各ユーザ宅の安否情報応答装置2からそれぞれ返信された反射光を画面に表示する。このとき、ユーザ識別用光ファイバ4のケーブル長はユーザ毎に異なるので、
図8に示すように、反射光の受信時刻を元にユーザを識別できる。また、局側ではユーザ状況と反射光の数とを対応付けたユーザ状況対応テーブルを保持しており、ユーザ宅側から返信された光信号の反射ピーク数を確認することでユーザの状況を把握できる。具体的には、ユーザAからの反射ピーク数は1つなので、ユーザAの状況は「要救護」と把握できる。ユーザBからの反射ピーク数は2つなので、ユーザBの状況は「食料不足」と把握できる。
【0042】
以上より、第1の実施形態によれば、光切替スイッチ1が、通信設備局とユーザ宅との間の光回線を非常時用の光回線に機械的に切り替え、安否情報応答装置2は、ファイバ端面で光を反射する光ファイバを機械的に連結することで通信設備局からの試験光に対してユーザの状況に応じた数の反射光を返すので、通信事業者は、その反射光の数を元にユーザの状況を把握できる。これにより、通信事業者は、光回線で停電時にユーザの状況を検知できる。
【0043】
(変形例1)
スライドボタン23に代えて、例えば、押下ボタン、切替スイッチ等を用いてもよい。この場合でも歯車、ゴム、スプリング等を組み合わせることで、機械的に動作可能な安否情報応答装置2を構築できる。
【0044】
(変形例2)
ボード25を用いることなく、光ファイバ24のファイバコネクタ27,28のみを移動させてもよい。この場合、ボード25を用いないので、ユーザ状況確認装置100を小型化することができる。
【0045】
(変形例3)
他方のファイバコネクタ28のみではなく、両方のファイバコネクタ27,28の反射減衰量を共に変更してもよい。2つの光ファイバの連結部では反射減衰量の低い方に引きずられるので、この場合でも連結部で反射する反射光の数は1つである。但し、第1の光ファイバ24aでは、他方のファイバコネクタ27bに加えて、一方のファイバコネクタ27aでも反射が生じてしまう。このような場合、例えば「要介護」の状態に対する反射ピーク数を「2(=1+1)」として管理しておけばよい。
【0046】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、試験光を光ファイバ24のファイバコネクタ28で反射させる方法について説明した。第2の実施形態では、試験光を光ファイバ24のファイバ線内で反射させる方法について説明する。
【0047】
第2の実施形態では、その一例として、ファイバブラッググレーティング(FGB;Fiber Bragg Gratings)を用いる。具体的には、光ファイバ24のファイバ線に外部から紫外線をあてることにより、全ての光ファイバ24の内部に一反射する反射部をそれぞれ形成する。より正確には、光ファイバ24のコアに屈折率変調(回折格子)を形成する。
【0048】
図9(a),(b),(c)は、「要救護」「食料不足」「無事」の各状況にそれぞれ対応する光ファイバ24の連結状態を示す図である。第2の実施形態では、
図9(a)に示すように、第1の光ファイバ24aのファイバ線内に反射率が10%の第1の光反射部30aを形成する。この場合、試験光が第1の光ファイバ24aを通過すると、第1の光反射部30aで反射RF1が生じ、反射ピーク数が1つ観測されることになる。
【0049】
また、
図9(b)に示すように、第2の光ファイバ24bのファイバ線内も同反射率の第2の光反射部30bを形成する。この場合、第1の光ファイバ24aを通過した残強度90%の試験光により第2の光反射部30bで反射RF2が更に生じ、反射ピーク数が2つ観測されることになる。
【0050】
また、
図9(c)に示すように、第3の光ファイバ24cのファイバ線内も同反射率の第3の光反射部30cを形成する。この場合、第2の光ファイバ24bを通過した残強度80%の試験光により第3の光反射部30cで反射RF3が更に生じ、反射ピーク数が3つ観測されることになる。
【0051】
なお、反射部の構成以外の構成、つまり、ユーザ状況確認システムの構成、ユーザ状況確認装置100の装置構成、光ファイバ24の連結方法については、第1の実施形態で説明した内容と同じである。
【0052】
以上より、第2の実施形態によれば、安否情報応答装置2が、光反射部30が内部に形成された光ファイバ24を機械的に連結することで通信設備局からの試験光に対してユーザの状況に応じた数の反射光を返すので、通信事業者は、その反射光の数を元にユーザの状況を把握できる。これにより、通信事業者は、光回線で停電時にユーザの状況を検知できる。
【0053】
また、第2の実施形態によれば、紫外線をあてて光反射部を形成するので、光反射部を簡単、正確、かつ迅速に形成できる。第1の実施形態では、ファイバ端面研磨を手作業で行うので反射減衰量を20dBに調整することは難しいが、第2の実施形態では、反射減衰量をより正確に調整できる。
【0054】
(変形例1)
ファイバブラッググレーティング(回折格子)に代えて、誘電体多層膜を反射部として光ファイバ24の内部に形成してもよい。
【0055】
(変形例2)
第1の実施形態で説明した、試験光を光ファイバ24のファイバコネクタ28で反射させる方法と組み合わせてもよい。例えば、第1の光ファイバ24aではファイバ端面で試験光を反射させ、第2の光ファイバ24bではファイバ線内で試験光を反射させるようにする。それ故、ファイバ端面で光を反射する複数の光ファイバ24のみを機械的に連結してもよいし、光反射部30が内部に形成された複数の光ファイバ24のみを機械的に連結してもよいし、ファイバ端面で光を反射する光ファイバ24と光反射部30が内部に形成された光ファイバ24とを機械的に連結してもよい。
【0056】
〔第3の実施形態〕
第1の実施形態及び第2の実施形態では、光ファイバ24を連結させる方法について説明した。第3の実施形態では、光ファイバ24の連結動作を必要としない方法について説明する。
【0057】
第3の実施形態では、3つの光ファイバ24の各ファイバ線内に、それぞれ1つではなく、互いに異なるユーザの状況に応じた数の光反射部30をそれぞれ形成しておく。これにより、機械的構造を持つ光ファイバ連結部22を不要にできる。
【0058】
また、第3の実施形態では、その3つの光ファイバ24にそれぞれ繋がる3つの安否用光導波路8aを光切替スイッチ1の導波路基板11に配置し、その3つの光ファイバを操作部12で選択可能に切り替える構成とする。これにより、光切替スイッチ1の操作部12で光ファイバ24を選択できるので、機械的構造を持つユーザ状況選択部21を不要にできる。
【0059】
図10は、第3の実施形態に係るユーザ状況確認装置100の構成を示す図である。第1の光ファイバ24aのファイバ線内に反射率が10%の第1の光反射部30aを形成し、一方のファイバコネクタ27a(不図示)を第1の安否用光導波路8aaに連結するとともに、他方のファイバコネクタ28aを第1の無反射終端部29aに連結する。
【0060】
また、第2の光ファイバ24bのファイバ線内に反射率が10%の第1の光反射部30aと第2の光反射部30bとを形成し、一方のファイバコネクタ27b(不図示)を第2の安否用光導波路8abに連結するとともに、他方のファイバコネクタ28bを第2の無反射終端部29bに連結する。
【0061】
また、第3の光ファイバ24cのファイバ線内に反射率が10%の第1の光反射部30aと第2の光反射部30bと第3の光反射部30cとを形成し、一方のファイバコネクタ27c(不図示)を第3の安否用光導波路8acに連結するとともに、他方のファイバコネクタ28cを第3の無反射終端部29cに連結する。
【0062】
そして、第1の安否用光導波路8aaと第2の安否用光導波路8abと第3の安否用光導波路8acとを導波路基板11上で平行に配置する。「要救護」の状況の場合、OLT用光導波路8cに対して、第1の安否用光導波路8aaを選択することで、第1の光反射部30aにより反射ピーク数が1つ観測されることになる。「食料不足」の状況の場合、第2の安否用光導波路8abを選択することで、第1の光反射部30aと第2の光反射部30bとにより反射ピーク数が2つ観測されることになる。「無事」の状況の場合、第3の安否用光導波路8acを選択することで、第1の光反射部30aと第2の光反射部30bと第3の光反射部30cとにより反射ピーク数が3つ観測されることになる。
【0063】
以上より、第3の実施形態によれば、3つの光ファイバ24の内部に互いに異なる数の光反射部30をそれぞれ形成し、その3つの光ファイバ24を光切替スイッチ1で切り替えるので、通信設備局からの試験光に対してユーザの状況に応じた数の反射光を返すことができ、通信事業者は、その反射光の数を元にユーザの状況を把握できる。これにより、通信事業者は、光回線で停電時にユーザの状況を検知できる。
【0064】
また、光回線とユーザ状況とを切り替える切替箇所が光切替スイッチ1の1箇所で足り、コネクタを接続させる機械構造を不要にできる。その結果、ユーザ状況確認装置100の小型化、小スペース化、低コスト化を図ることができる。この点について、第2の実施形態の効果を補足する。第3の実施形態の場合、光切替スイッチ1の導波路基板11に、ONU用光導波路8bに加えて、少なくとも2つ以上の安否用光導波路8aを形成しなければならず、ユーザ状況の種別が増加する場合に対処が難しい。一方、第2の実施形態の場合、一反射する光ファイバ24をその増加分だけ光ファイバ連結部22に追加すればよいので対処が容易である。また、第3の実施形態のように反射ピーク数が固定的に設定されないので、反射ピーク数を任意に作成できる。
【解決手段】通信設備局のOTDR6からの試験光に対してユーザの状況に応じた数の反射光を返す安否情報応答装置2と、通信設備局とユーザ宅との間の光回線を安否情報応答装置2に機械的に切り替える光切替スイッチ1と、を備える。安否情報応答装置2は、ファイバ端面で光を反射する光ファイバや光反射部が内部に形成された光ファイバを機械的に連結する。また、安否情報応答装置2は、互いに異なる数の光反射部がそれぞれの内部に形成された複数の光ファイバ24であり、光切替スイッチ1により切り替えられる。