(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
IEEEで定められる100Gや400Gなどの規格においては、ビットレートの超高速化に応えるため、これまでのPAM2(NRZ)信号による伝送ではなく、PAM4信号による伝送が規定されている。
【0003】
PAM4信号は、例えば、下記特許文献1に示すように、2つの信号源を用いて最上位ビット列信号MSBと最下位ビット列信号LSBを生成した後、これらの信号を足し合わせることで0(00)、1(01)、2(10)、3(11)の4値の信号として発生することができる。
【0004】
ところで、上述したPAM4信号を発生する場合、例えば
図6に示すようなパターン選択画面において、「パターン」の項目の下にプルダウンメニュー表示されるパターン一覧の中から規格に対応したパターンを選択して設定を行っていた。なお、
図6は斜線で示すIEEE802.3bsに対応した「PRBS13Q」をパターン一覧から選択設定した状態を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した超高速規格は、例えばIEEE 100g/200G/400G、OIF−CEI−4.0、InfiniBand HDR、64GFibre Channelなど様々ある。特にPAM4信号では、各種規格によって使用するパターンが様々あり、しかも似ている規格名も多いため、パターンの名称だけを見てもそれがどの規格のものなのかを判断するのは難しい。
【0007】
そして、今日、この種のPAM4信号を使用する規格が増え、100Gbit Ethernet(登録商標)だけが例外というわけではなく、様々な規格による様々なパターンが提案されたことにより、ユーザにとってパターンと規格との紐づけがパターンの名称を見ただけでは判別しずらくなった。
【0008】
その結果、規格団体や規格に対応したパターンを
図6のようなパターン一覧から容易に選択することが困難であり、規格団体や規格に対応しないパターンを誤ってパターン一覧から選択して設定する恐れがあった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、規格団体や規格名に対応したパターンのみをパターン一覧に表示することができるパターン発生装置およびパターン発生方法を提供するとともに、パターン発生装置およびパターン発生方法によって発生するパターンの多値変調信号によってビット誤り率の測定を行うことができる誤り率測定装置および誤り率測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたパターン発生装置は、各種伝送規格に対応したパターンによる4値以上の多値変調信号を発生するパターン発生装置2であって、
前記多値変調信号のパターンをパターン一覧の中から選択設定するためのパターン選択画面15aを表示する表示手段15と、
前記パターン選択画面において、規格団体と規格名の少なくとも一方が選択されたときに、これに対応するパターンのみを前記パターン一覧に表示制御する
とともに、前記パターン一覧の中から選択設定されたパターンの概要説明を表示制御する制御手段14とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項
2に記載されたパターン発生方法は、各種伝送規格に対応したパターンによる4値以上の多値変調信号を発生するパターン発生方法であって、
前記多値変調信号のパターンをパターン一覧の中から選択設定するためのパターン選択画面15aを表示するステップと、
前記パターン選択画面において、規格団体と規格名の少なくとも一方が選択されたときに、これに対応するパターンのみを前記パターン一覧に表示制御するステップと
、
前記パターン一覧の中から選択設定されたパターンの概要説明を表示制御するステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項
3に記載された誤り率測定装置は、請求項
1のパターン発生装置2と、
被測定物Wへの前記パターン発生装置が発生する多値変調信号の入力に伴う前記被測定物からの信号を受けてビット誤り率を測定する誤り検出装置3とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項
4に記載された誤り率測定方法は、請求項
2のパターン発生方法にて発生した多値変調信号を被測定物Wに入力するステップと、
前記被測定物への前記多値変調信号の入力に伴う前記被測定物からの信号を受けて誤り率を測定するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、指定された規格団体や規格名の項目に対応したパターンのみをパターン一覧に表示して容易に選択設定することができ、規格団体や規格名に対応しないパターンを誤ってパターン一覧から選択して設定する恐れがなく、所望とする規格団体や規格名に対応したパターンによる多値変調信号を発生することができる。そして、所望とする規格団体や規格名に対応したパターンによる多値変調信号によりビット誤り率の測定を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
本発明は、テスト信号として被測定物(DUT:Device Under Test )に入力する既知パターンによる4値以上の多値変調信号を発生するパターン発生装置およびパターン発生方法と、被測定信号へのテスト信号の入力に伴って被測定物からの信号を受信してビット誤り率(BER:Bit Error Rate)を測定する誤り率測定装置および誤り率測定方法に関する。
【0020】
以下、本実施の形態では、4値以上の多値変調信号として、PAM4信号を発生してビット誤り率を測定する場合を例にとって説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の誤り率測定装置1は、送信側のパターン発生装置2と受信側の誤り検出装置3を備えて概略構成され、各種伝送規格における規格団体や規格名などで規定される所望パターンのPAM4信号をパターン発生装置2にて発生し、発生したPAM4信号をテスト信号として被測定物Wに送信し、このテスト信号の送信に伴う被測定物Wからの信号を受信してビット誤り率の測定を行う。
【0022】
パターン発生装置2は、規格団体や規格名などで規定される所望パターンのPAM4信号を発生する際、PAM4信号のパターンを選択設定するため、
図2や
図3に示すパターン選択画面15aにおいて、指定された規格団体や規格名に対応しないパターンを非表示にするフィルタ機能を有する。
【0023】
パターン発生装置2は、上記フィルタ機能を実現するため、
図1に示すように、設定手段11、信号発生手段12、記憶手段13、制御手段14、表示手段15を備えて構成される。
【0024】
設定手段11は、規格に対応したPAM4信号のパターンを選択設定するため、「規格団体」、「規格名」、「パターン」を表示手段15の表示画面上で行うためのユーザインタフェースとして機能する。さらに説明すると、
図2や
図3に示すように、表示手段15のパターン選択画面15aに「規格団体」、「規格名」、「パターン」の3つの項目21,22,23が表示される。そして、「規格団体」の項目21を選択すると、この項目21の下には規格団体一覧がプルダウンメニュー表示される。また、「規格名」の項目22を選択すると、この項目22の下には規格名一覧がプルダウンメニュー表示される。そして、これら「規格団体」や「規格名」の一覧の中から所望の規格団体や規格名を選択した後、「パターン」の項目23を選択すると、「規格団体」や「規格名」に対応したパターンのみが「パターン」の項目23の下にパターン一覧としてプルダウンメニュー表示されるので、その中から所望のパターンを選択設定する。
【0025】
具体的に、規格団体:IEEE、規格名:IEEE802.3bs、パターン:PRBS13Qを選択設定する場合、
図2に示すように、「規格団体」の項目の下にプルダウンメニュー表示される規格団体一覧から「IEEE」を選択し、「規格名」の項目の下にプルダウンメニュー表示される規格名一覧から「IEEE802.3bs/cd」を選択し、「規格団体」と「規格名」に対応したパターンのみが「パターン」の項目の下にプルダウンメニュー表示されるパターン一覧から「PRBS13Q」を選択して設定する。
【0026】
なお、
図3は「規格団体」から「Infiniband」が選択され、「規格団体」に対応したパターンのみが「パターン」の項目の下にプルダウンメニュー表示されるパターン一覧から「PRBS13Q(Infiniband)」が選択設定された状態を示している。
【0027】
信号発生手段12は、設定手段11にて選択設定された規格団体や規格名に基づくパターンによるPAM4信号を発生する。
【0028】
記憶手段13は、所望のパターンのPAM4信号を発生するための設定情報やビット誤り率などの各種測定を行うために必要な情報などを記憶する。また、記憶手段13は、パターン発生装置2にて発生可能なPAM4信号の複数種類のパターンについて、各パターンと規格団体や規格名とを紐付けた情報を記憶する。
【0029】
制御手段14は、各種伝送規格における規格団体や規格名などで規定される所望パターンのPAM4信号の発生やビット誤り率を含む各種測定を行うにあたって、各部を統括制御する。
【0030】
制御手段14は、表示手段15の表示を制御する表示制御手段14aを含む。表示制御手段14aは、信号発生手段12が発生するPAM4信号のパターンを選択設定する際にパターン選択画面15aを表示手段15の表示画面に表示する。
【0031】
また、表示制御手段14aは、パターン選択画面15aで選択設定されたパターンの概要説明を所望の言語で表示画面(パターン選択画面15a)に表示する。
【0032】
さらに、表示制御手段14aは、上述した表示制御の他、各種測定に関する設定画面や測定画面などを表示手段15の表示画面に表示する。
【0033】
表示手段15は、例えば装置本体に設けられる液晶などの表示器で構成され、表示制御手段14aの制御により、例えば
図2や
図3に示すようなパターン選択画面15a、
図4に示すようなパターンの概要説明を、使用者や使用環境に合わせた所望の言語(図示の例では、英語)で表示画面(パターン選択画面15a)に表示する。
【0034】
また、表示手段15は、表示制御手段14aの制御により、上述した表示の他、各種設定画面、コンプライアンステスト(被測定物Wが規格に適合するか否かの試験)やビット誤り率の測定画面などを表示する。
【0035】
誤り検出装置3は、上述したパターン発生装置2から既知パターンのテスト信号としてPAM4信号が被測定物Wに送信されると、このPAM4信号の送信に伴う被測定物Wからの信号を受信してビット誤り率を測定する。
【0036】
次に、上述したパターン発生装置1にて発生するPAM4信号のパターンの設定方法について
図5を参照しながら説明する。
【0037】
PAM4信号のパターンを設定する場合には、表示制御手段14aの制御により、
図2や
図3に示すパターン選択画面15aを表示手段15の表示画面に表示する(ST1)。
【0038】
次に、パターン選択画面15aにおいて、「規格団体」、「規格名」の少なくとも一方の指定が有るか否かを制御手段14にて判別する(ST2)。この「規格団体」や「規格名」の指定は、ユーザの操作を伴う設定手段11にて行われる。具体的には、パターン選択画面15aにおいて、「規格団体」の項目21を選択し、この項目21の下にプルダウンメニュー表示される規格団体一覧の中から所望とする規格団体を選択したり、「規格名」の項目22を選択し、この項目22の下にプルダウンメニュー表示される規格名一覧の中から所望とする規格名を選択して行う。例えば
図2に示すように、「規格団体」の項目21から「IEEE」、「規格名」の項目22から「IEEE802.3bs/cd」を選択する。
【0039】
そして、「規格団体」、「規格名」の少なくとも一方の指定が有ると判別すると(ST2−Yes)、「パターン」の項目23の下にプルダウンメニュー表示されるパターン一覧において、指定された「規格団体」や「規格名」に対応しないパターンを非表示にする(ST3)。すなわち、指定された「規格団体」や「規格名」に対応するパターンのみが「パターン」の項目23にパターン一覧としてプルダウンメニュー表示される。そして、指定された「規格団体」や「規格名」に対応しないパターンが非表示のパターン一覧の中から所望のパターンを選択して設定する(ST4)。
【0040】
これに対し、パターン選択画面15aにおいて、「規格団体」や「規格名」の指定が無いと判別すると(ST2−No)、従来と同様、
図6に示すように、選択可能な全てのパターンを「パターン」の項目23にパターン一覧としてプルダウンメニュー表示し、パターン一覧の中から所望のパターンを選択して設定する(ST4)。
【0041】
そして、パターン選択画面15aで所望のパターンが選択設定されると、選択設定されたパターンの概要説明(Summary)、すなわち、パターンの概要を示した所望言語の説明文を表示手段15の表示画面(パターン選択画面15a)に表示する。例えば「PRBS13Q」が所望のパターンとして選択設定されると、
図4に示すように、所望言語(例えば英語)による「PRBS13Q」の説明文をパターンの概要説明としてパターン選択画面15aに表示する。
【0042】
そして、パター発生装置2は、上述した方法によってパターンが設定されると、所望とする規格団体や規格名に対応したパターンによるPAM4信号を発生する。そして、誤り検出装置3は、パターン発生装置2から既知パターンのテスト信号としてPAM4信号が被測定物Wに入力されると、このPAM4信号の入力に伴う被測定物Wからの信号を受けてビット誤り率を測定する。そして、この測定結果は、表示制御手段14aの制御により、表示手段15の表示画面に表示される。
【0043】
次に、パターン選択画面15aのパターン一覧から所望のパターンを選択して設定する場合の具体例について説明する。
【0044】
[具体例1]
所望のパターンとして「PRBS13Q」を選択設定する場合には、
図2に示すように、パターン選択画面15aにおいて、「規格団体」の項目21の下にプルダウンメニュー表示される規格団体一覧の中から「IEEE」を選択して指定するとともに、「規格名」の項目22の下にプルダウンメニュー表示される規格名一覧の中から「IEEE802.3bs/cd」を選択して指定する。これにより、「パターン」の項目23の下にプルダウンメニュー表示されるパターン一覧において、規格団体「IEEE」と規格名「IEEE802.3bs/cd」に対応しないパターンが非表示となる。その結果、「PRBS13Q」、「PRBS31Q」、「SSPRQ」、「Square Wave」のみが「パターン」の項目23のパターン一覧に表示されるので、
図2の斜線で示すように、「PRBS13Q」を選択してパターンを設定する。
【0045】
なお、「IEEE802.3bs」と「IEEE802.3cd」のように、異なる規格名であっても使用するパターンが同じ場合には規格名が統合される。
【0046】
[具体例2]
所望のパターンとして「PRBS13Q(Infiniband)」を選択設定する場合には、
図3に示すように、パターン選択画面15aにおいて、「規格団体」の項目21の下にプルダウンメニュー表示される規格団体一覧の中から「Infiniband」を選択して指定する。なお、Infinibandは、PAM4に対応する規格がまだ一つしかないため、規格名の指定が不要のため、「規格名」の項目22は表示されない。これにより、「パターン」の項目23の下にプルダウンメニュー表示されるパターン一覧において、規格団体「Infiniband」に対応しないパターンが非表示となる。その結果、「PRBS13Q(Infiniband)」、「PRBS23Q」、「PRBS31Q(Infiniband)」のみが「パターン」の項目23の下にパターン一覧として表示されるので、
図3の斜線で示すように、「PRBS13Q(Infiniband)」を選択してパターンを設定する。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、パターン選択画面15aにおいて、規格団体や規格名が指定されると、指定された規格団体や規格名に対応しないパターンがフィルタ機能によって非表示になり、指定された「規格団体」や「規格名」に対応したパターンのみがパターン一覧に表示されるので、選択項目を絞り込んだ状態で所望とする規格団体や規格名に対応したパターンを選択設定して多値変調信号を発生することができる。そして、所望とする規格団体や規格名に対応したパターンによる多値変調信号によりビット誤り率の測定を行うことができる。
【0048】
また、上述したフィルタ機能によれば、新しく規格団体、規格名、パターンの項目が追加された場合にも、既存のフィルタされたパターン群の見やすさには影響を受けずに規格団体、規格名、パターンの項目を追加することが可能となる。また、必要であれば、規格団体や規格名のみに限らず、さらに小項目のフィルタを追加して選択可能なパターンの絞り込みを行うことも可能であり、拡張性に優れている。さらに、当然ながら間違ったパターンを選択した状態でテストするという可能性を大きく削減することができる。
【0049】
さらに、パターン選択画面15aにおいて、所望とする規格団体や規格名に対応したパターンが選択設定されると、この選択設定されたパターンの概要を示す所望言語の説明文が表示されるので、規格のどの部分を参照しているパターンなのか、どのようなパターンなのかを認識することができる。
【0050】
以上、本発明に係るパターン発生装置およびパターン発生方法と誤り率測定装置および誤り率測定方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述および図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例および運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【解決手段】各種伝送規格に対応したパターンによる4値以上の多値変調信号を発生するにあたって、多値変調信号のパターンをパターン一覧の中から選択設定するためのパターン選択画面15aを表示し、パターン選択画面15aにおいて、規格団体と規格名の少なくとも一方が選択されると、これに対応するパターンのみをパターン一覧に表示制御する。