(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を参照しながら本発明の一実施形態に係る料金収受システムについて詳細に説明する。
【0025】
(料金収受システムの全体構成)
図1は本発明の一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
本実施形態に係る料金収受システム1は、車線Lを有する有料道路の本線(以下、「本線道路」とも記載する)上に設置された電子料金収受システムである。なお、本実施形態において、料金収受システム1は有料道路の出口料金所に設置されている態様について説明するが、他の実施形態においては入口料金所に設置される態様であってもよい。
図1に示すように、料金収受システム1は、車載器10と、自動料金収受機20と、管理サーバ30とを有する。本線道路(車線L)を走行中の車両Aに搭載されている車載器10と、本線道路(車線L)の路側に設置された自動料金収受機20とは、無線通信を介して情報の送受信を行う。また、自動料金収受機20は、広域通信網を介して管理サーバ30と接続されている。
【0026】
図1に示すように、自動料金収受機20は、路側無線装置200と、車線制御装置210とを備えている。
路側無線装置200は、車線Lを車線幅方向(
図1の±Y方向)に跨るように設けられたガントリGに取り付けられ、車線Lの上空に固定されている。路側無線装置200は、不図示のアンテナにより、車線Lの所定の通信領域の範囲内に存在する車両Aに搭載された車載器10と電波を介して無線通信を行う。具体的には、路側無線装置200は、RFID通信を介して車載器10と無線通信を行う。
なお、本実施形態において、本線道路が一本の車線Lを有し、当該車線Lに一つの路側無線装置200が設けられている態様について説明するが、他の実施形態においては、本線道路が複数の車線を有し、当該複数の車線Lに一つ又は二つ以上の路側無線装置が設けられている態様であってもよい。
また、本実施形態において、路側無線装置200は車線Lの上空に固定されている態様について説明するが、これに限られることは無い。路側無線装置200は、車線Lを走行する車両Aとの無線通信が可能であれば、車線Lの路側に設けられていてもよい。
【0027】
車線制御装置210は、車線Lの路側であってガントリGの近傍に設置されている。車線制御装置210は、路側無線装置200と有線接続されており、路側無線装置200を介して、車載器10との間で料金収受処理用の情報の送受信を行う。車線制御装置210は、車載器10から取得した各種情報に基づいて、当該車載器10に対する課金額を算出し、料金収受処理を行う。
【0028】
(料金収受システムの機能構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図2に示すように、料金収受システム1の車載器10は、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)100と、DSRC通信部110(通信部)と、CPU120と、ICカードR/W(Reader/Writer)130と、電源回路140と、HMI(Human−Machine Interface)部150とを備えている。
【0029】
RFIC100には、車載器10を特定可能なタグ情報(固有のタグID)が予め記録されており、当該タグ情報をRFID通信を介して読み取り可能なRFタグとして機能する。またRFIC100は、自動料金収受機20との間でRFID通信を介して料金収受処理用の情報の送受信を行う。
本実施形態において、料金収受処理用の情報とは、自動料金収受機20が車載器10に対する課金額を算出するための情報である。具体的には、タグ情報、及び、利用者が所持するICカード40から車載器10が読み取ったICカード処理情報のうち、少なくとも一つを含む情報である。また、ICカード処理情報は、自動料金収受機20がICカード40を用いて料金収受処理を行うための情報である。具体的には、ICカード40に記録されたクレジットカード番号及び有効期限と、車両Aが有料道路に進入する際に通過した入口料金所に関する情報(入口料金所の料金所番号、入口料金所を通過した入場日時)を示す入口情報とを含む情報である。
なお、本実施形態において、入口料金所に設けられた路側無線装置及び車線制御装置(不図示)と車載器10との間で無線通信を行うことにより、車載器10は当該入口料金所の料金所番号及び入場時刻を入口情報として取得し、ICカード40に記録しているものとする。また、入口料金所に設けられた路側無線装置及び車線制御装置は、車載器10から取得したタグ情報と、入口情報とを関連付けて管理サーバ30へ送信しているものとする。
自動料金収受機20の機能構成については後述する。
【0030】
DSRC通信部110は、DSRC通信を介して料金収受処理を行う既存の自動料金収受機(以下、DSRC路側装置と称する)との間で、ICカード処理情報(クレジットカード番号、有効期限、入口情報)の送受信を行う。なお、DSRC路側装置とは、例えば、上述の特許文献1に記載の路側無線通信装置(自動料金収受機)である。本実施形態において、料金所には、RFID通信を介して料金収受処理を行う自動料金収受機20又はDSRC路側装置の何れかが設けられているものとする。
CPU120は、RFIC100又はDSRC通信部110を介して外部機器との間で料金収受処理用の情報の送受信を行う。本実施形態において、外部機器とは、自動料金収受機20又はDSRC路側装置である。
ICカードR/W130は、ICカード40に対し、ICカード処理情報の読み書きを行う。具体的には、ICカードR/W130は、ICカード40へ入口情報を書き込み、また、ICカード40に記録されたクレジットカード番号、有効期限及び入口情報を読み取る。
電源回路140は、不図示の電池(一次電池又は二次電池)を有し、車載器10の各構成に給電する。なお、他の本実施形態においては、電源回路140は車両Aのバッテリ等より給電されるようにしてもよい。
HMI部150は、車載器10に対して行われた料金収受処理の結果を利用者へ通知する。
車載器10の各構成の機能構成については後述する。
【0031】
図2に示すように、料金収受システム1の自動料金収受機20は、路側無線装置200と、車線制御装置210とを備えている。
路側無線装置200は、車載器10からRFID通信を介して受信した料金収受処理用の情報を取得する。
車線制御装置210は、路側無線装置200を介して車載器10からタグ情報及びICカード処理情報のうち少なくとも一つを含む情報を取得する。また、車線制御装置210は、車載器10から取得したタグ情報又はICカード処理情報に基づいて、当該車載器10に対する課金額を算出し、料金収受処理を行う。
また、車線制御装置210は、車載器10から取得したタグ情報又はICカード処理情報と、当該車載器10に対する課金額とを含む情報を管理サーバ30に送信する。
【0032】
管理サーバ30には、予め車載器10のタグ情報と、当該車載器10の利用者の口座番号とが関連付けられて記録されている。また、入口料金所に設けられた路側無線装置及び車線制御装置から送信された車載器10のタグ情報と、入口情報とが関連づけられて記録されている。管理サーバ30は、車線制御装置210からタグ情報と課金額とを含む情報を受信すると、当該タグ情報に関連付けられている口座番号から課金額を引き落とす処理を行う。また、管理サーバ30は、車線制御装置210からICカード処理情報と課金額とを含む情報を受信すると、クレジットカード会社等を通じて当該ICカード処理情報に応じた電子決済処理を行う。
【0033】
(車載器の機能構成)
図3は本発明の一実施形態に係る車載器の機能構成を示す図である。
図3に示すように、車載器10は、RFIC100と、RFIDアンテナ101と、DSRC通信部110(通信部)と、DSRCアンテナ111と、CPU120と、ICカードR/W130と、電源回路140と、HMI部150とを備えている。
【0034】
図3に示すように、RFIC100は、RFID通信部100a(通信部)と、起動処理部100bと、RFタグ機能部100cとを有している。
【0035】
RFID通信部100aは、RFIDアンテナ101を介して自動料金収受機20から出力された電波を受信するとともに、RFタグ機能部100cが生成したデータ含む応答波を自動料金収受機20へ返送する。
【0036】
起動処理部100bは、RFID通信部100aが電波を受信すると、CPU120へ起動信号を出力する。
本実施形態において、RFIC100の各構成(RFIDアンテナ101、RFID通信部100a、起動処理部100b、RFタグ機能部100c)は、RFIDアンテナ101を介して自動料金収受機20から電波を受信すると、当該電波を電源として動作する。このため、RFIC100の各構成は、電源回路140から給電されていない状態でも動作することが可能である。
また、起動処理部100bがCPU120へ起動信号を出力することにより、CPU120が起動状態となるとともに、電源回路140がRFIC100へ給電を行うと、RFIC100の各構成は当該電力により動作する。
【0037】
RFタグ機能部100cは、RFID通信部100aが受信した電波に含まれるコマンド及びデータを解析し、当該コマンド及びデータに基づいて必要なデータの生成及び出力を行う。また、RFタグ機能部100cには、予め車載器10を特定可能なタグ情報(固有のタグID)が記録されている。
【0038】
RFタグ機能部100cは、タグ情報を要求するコマンドを受信した場合は、予め記録されているタグ情報を読み出す。また、RFタグ機能部100cは、CPU120からICカード処理情報を取得可能か否かを判断する。
RFタグ機能部100cは、CPU120が起動状態となっており、且つ、ICカード40に記録されているICカード処理情報がCPU120により読み取られている場合は、ICカード処理情報の取得が可能であることを示す「ICカード」をフラグ情報の値として設定する。一方、RFタグ機能部100cは、CPU120が起動していない場合、又は、CPU120が起動しているものの、ICカード40が挿入されていない等の理由によりICカード処理情報がCPU120に読み取られていない場合は、ICカード処理情報の取得が不可であることを示す「RFタグ」をフラグ情報の値として設定する。
そして、RFタグ機能部100cは、タグ情報とフラグ情報とを含むデータを生成して、当該データをRFID通信部100aを介して自動料金収受機20へ出力する。
【0039】
また、RFタグ機能部100cは、ICカード処理情報(クレジットカード番号、有効期限、入口情報)の出力を要求するコマンドを受信した場合は、CPU120からICカード処理情報を取得し、当該ICカード処理情報を含むデータを生成する。RFタグ機能部100cは、ICカード処理情報を含むデータを生成すると、当該データをRFID通信部100aを介して自動料金収受機20へ出力する。
【0040】
更に、RFタグ機能部100cは、ICカード処理情報(入口情報)の記録を要求するコマンドを及びデータを受信した場合は、当該ICカード処理情報を含むデータをCPU120へ出力する。
また、RFタグ機能部100cは、料金収受処理の結果(料金収受処理の成否、タグ情報とICカード処理情報の何れにより料金収受処理が行われたかを示す情報、課金額、料金収受処理を行った処理日時等)を通知するコマンド及びデータを受信した場合は、当該料金収受処理の結果を含むデータをCPU120へ出力する。
【0041】
DSRC通信部110は、DSRCアンテナ111と接続され、DSRC路側装置との間で、ICカード処理情報(クレジットカード番号、有効期限、入口情報)及び料金収受処理の結果の送受信を行う。
また、DSRC通信部110は、不図示の起動処理部を有しており、DSRCアンテナを介してDSRC通信部110がDSRC通信用の電波を受信した場合には、CPU120に起動信号を出力する。
【0042】
図3に示すように、CPU120は、ICカード処理部121と、DSRC機能部122と、状態管理部123と、記録媒体124とを有している。
【0043】
図4は本発明の一実施形態に係るICカード処理情報の一例を説明するための図である。
図4に示すように、ICカード処理部121は、ICカード40が車載器10に挿入されると、ICカードR/W130を介してICカード40に記録されているクレジットカード番号及び有効期限を取得して、記録媒体124に記録する。なお、ICカード処理部121は、ICカード40の読み取りに異常が発生した場合、又は、ICカード40の有効期限が切れている等の理由によりICカード40が使用できないと判断した場合、ICカード処理情報の読み取りを行わない。
また、ICカード処理部121は、RFタグ機能部100cから出力されたICカード処理情報(入口情報)を受信すると、
図4に示すように、当該ICカード処理情報を記録媒体124に記録するとともに、当該ICカード処理情報をICカードR/W130を介してICカード40に書き込む。
ICカード処理部121は、RFタグ機能部100cからICカード処理情報を要求された場合には、記録媒体124に記録されているICカード処理情報(クレジットカード番号、有効期限、入口情報)をRFタグ機能部100cへ出力する。
また、ICカード処理部121は、RFタグ機能部100cから料金収受処理の結果(料金収受処理の成否、タグ情報とICカード処理情報の何れにより料金収受処理が行われたかを示す情報、課金額、料金収受処理を行った処理日時等)を受信した場合、当該料金収受処理の結果をICカードR/W130を介してICカード40に書き込む。
更に、ICカード処理部121は、ICカード40に対してICカード処理情報の読み書きを行った結果(ICカード処理情報の読み取り成否、ICカード処理情報書き込み成否)、及び、料金収受処理の結果をHMI部150へ出力する。
【0044】
DSRC機能部122は、DSRC路側装置が設けられている入口料金所では、DSRC通信部110を介して当該入口料金所に関する入口情報(料金所番号、入場日時)を取得し、当該入口情報を記録媒体124に記録するとともに、ICカード処理部121を介して当該入口情報をICカード40へ記録する。
また、DSRC機能部122は、DSRC路側装置が設けられている出口料金所では、DSRC通信部110を介して、記録媒体124に記録されているICカード処理情報(クレジットカード番号、有効期限、入口情報)をDSRC路側装置へ送信する。そして、DSRC機能部122は、DSRC通信部110を介してDSRC路側装置から料金収受処理の結果(料金収受処理の成否、課金額、料金収受処理を行った処理日時等)を取得した場合には、当該料金収受処理の結果をICカード処理部121を介してICカード40に記録するとともに、HMI部150へ出力する。
【0045】
状態管理部123は、電源回路140が給電可能であるか否か、RFIC100においてRFID通信が行われているか否か、ICカード処理部121によりICカード処理情報の読み書きが行われているか否か、又は、利用者により車載器10が操作されているか否かに基づいて、CPU120の状態を制御する。
図5は本発明の一実施形態に係る車載器の機能を説明する図である。
図5に示すように、状態管理部123は、CPU120を「アクティブモード(起動状態)」、「スリープモード(非起動状態)」及び「ディープスリープモード(電源断状態)」の三つの状態の何れかに設定する。なお、CPU120が起動状態になると、ICカード処理部121、DSRC機能部122、状態管理部123、及び記録媒体124も起動状態になる。
【0046】
「アクティブモード」は、ICカード40が車載器10に挿入されており、且つ、電源回路140から車載器10の各構成(RFIC100、DSRC通信部110、CPU120、ICカードR/W130)に給電されていることにより、CPU120が起動している状態を示す。CPU120は、「アクティブモード」のときに、電源回路140から供給された電力を用いて、RFIC100との間でICカード処理情報の送受信を行い、また、ICカード40との間でICカードR/W130を介してICカード処理情報の読み書きを行う。
「スリープモード」は、ICカード40が車載器10に挿入されているが、電源回路140から車載器10の各構成に対して最低限の給電を行っていることにより、CPU120が起動していない状態(非起動状態)を示す。CPU120は、RFID通信部100aがRFID通信を行っていない期間、DSRC通信部110がDSRC通信部を行っていない期間、利用者が車載器10の操作を行っていない期間、及び、CPU120においてICカード処理情報の出力又は記録が行われない期間が一定時間(例えば10秒間)以上継続した場合、CPU120の状態を「スリープモード」にすることにより、電源回路140からの給電量を抑制する。
「ディープスリープモード」は、電源回路140から車載器10の各構成に給電されておらず、CPU120が起動していない状態を示す。電源回路140が給電不可である場合、又は、電源回路140が給電可能であるもののICカード40が車載器10に挿入されていない場合に、CPU120は電源回路140からの給電が停止されて「ディープスリープモード」となる。
【0047】
図5に示すように、状態管理部123は、CPU120の状態が「アクティブモード」であるときに、一定時間以上、ICカード40が車載器10に挿入されたことが検知できなかった場合、又は、ICカード40が車載器10から抜き取られたことを検知した場合、電源回路140に給電停止信号を出力して、CPU120の状態を「ディープスリープモード」に変更する。また、状態管理部123は、CPU120の状態が「アクティブモード」であるときに、RFID通信部100aがRFID通信を行っていない期間、DSRC通信部110がDSRC通信部を行っていない期間、利用者が車載器10の操作を行っていない期間、及び、CPU120においてICカード処理情報の出力又は記録が行われない期間が一定時間以上継続すると、CPU120の状態を「スリープモード」に変更するとともに、電源回路140に給電一部停止信号を出力する。
また、CPU120の状態が「ディープスリープモード」となっているときに、電源回路140が電池交換により給電可能となった場合、又は、ICカード40が車載器10に挿入された場合、電源回路140からCPU120に給電されてCPU120が起動状態となる。このとき、状態管理部123は、CPU120の状態を「アクティブモード」に変更する。
更に、状態管理部123は、CPU120の状態が「スリープモード」であるときに、RFIC100の起動処理部100b又はDSRC通信部110の起動処理部から出力された起動信号を受信すると、CPU120の状態を「アクティブモード」に変更するとともに、電源回路140に給電開始信号を出力する。また、状態管理部123は、CPU120の状態が「スリープモード」であるときに、ICカード40が車載器10から抜き取られたことを検知した場合、電源回路140に給電停止信号を出力して、CPU120の状態を「ディープスリープモード」に変更する。
【0048】
図3に示すように、ICカードR/W130は、ICカード40が車載器10に挿入されると、当該ICカード40からICカード処理情報(クレジットカード番号、有効期限)を読み出してCPU120へ出力する。
また、ICカードR/W130は、CPU120から出力されたICカード処理情報(入口情報)又は料金収受処理の結果をICカード40へ書き込む。
【0049】
電源回路140は、電源回路140が有する電池の残量が十分にあり、給電可能である場合、車載器10の各構成(RFIC100、DSRC通信部110、CPU120、ICカードR/W130及びHMI部150)に給電する。また、電源回路140は、CPU120の状態管理部123から給電一部停止信号を受信した場合、次に給電開始信号を受信するまで、CPU120及びDSRC通信部110にのみ給電を行い、RFIC100、ICカードR/W130及びHMI部150への給電を停止する。
一方、電源回路140は、電源回路140が有する電池の残量が不足している、又は電池が抜き取られており、給電不可能である場合、電源回路140から車載器10の各構成への給電を停止する。また、電源回路140は、CPU120の状態管理部123から出力された給電停止信号を受信した場合は、車載器10の各構成への給電を停止する。
【0050】
HMI部150は、ICカード処理部121がICカード40に対してICカード処理情報の読み書きを行った結果、又は、車載器10に対して行われた料金収受処理の結果を利用者へ通知するためのインターフェースであり、不図示のLCD(Liquid Crystal Display)及び不図示のスピーカとを有している。
HMI部150は、ICカード処理部121から受信したICカード処理情報の読み書きの結果(ICカード処理情報の読み取り成否、ICカード処理情報書き込み成否)、或いは、CPU120のICカード処理部121又はDSRC通信部110から受信した料金収受処理の結果(料金収受処理の成否、タグ情報とICカード処理情報の何れにより料金収受処理が行われたかを示す情報、課金額、料金収受処理を行った処理日時等)をLCDに表示するとともに、音声又はブザー音をスピーカから出力する。
【0051】
(自動料金収受機の機能構成)
図6は、本発明の一実施形態に係る自動料金収受機の機能構成を示す図である。
図6に示すように、自動料金収受機20は、路側無線装置200と、車線制御装置210とを備えている。また、自動料金収受機20は、広域通信網を介して管理サーバ30と接続されている。
【0052】
図6に示すように、路側無線装置200は、RFID処理部201を有している。また、RFID処理部201は、RFIDアンテナ201aと、RFID送受信部201bと、タグ情報取得部201cと、ICカード処理情報取得部201dとを有している。
RFIDアンテナ201aは、車載器10との間でRFID通信用の電波の送受信を行う。
【0053】
RFID送受信部201bは、RFIDアンテナ201aを介して、RFID通信用の電波を送信するとともに、当該電波を受信した車載器10からの応答波を受信する。
【0054】
タグ情報取得部201cは、タグ情報を要求するコマンドを含む電波を所定間隔で送信するように、RFID送受信部201bを制御する。当該電波を受信した車載器10から応答波をRFID送受信部201bを介して受信すると、タグ情報取得部201cは、当該応答波に含まれるタグ情報と、フラグ情報とを取得する。
また、タグ情報取得部201cは、フラグ情報が「RFタグ」である場合、タグ情報を車線制御装置210へ出力する。タグ情報取得部201cは、車線制御装置210が当該タグ情報に基づいて車載器10に対する料金収受処理を完了すると、車線制御装置210から料金収受処理の結果を含む情報を取得して、当該情報を含む電波を車載器10に対して送信するようにRFID送受信部201bを制御する。
一方、タグ情報取得部201cは、フラグ情報が「ICカード」である場合、当該応答波を送信した車載器10からICカード処理情報の取得が可能であることをICカード処理情報取得部201dへ通知する。以降、タグ情報取得部201cは、ICカード処理情報取得部201dから料金収受処理が完了したことが通知されるまでは、タグ情報を要求するコマンドを含む電波の送信を停止して、ICカード処理情報取得部201dにおける処理を優先するようにRFID送受信部201bを制御する。
【0055】
ICカード処理情報取得部201dは、タグ情報取得部201cからICカード処理情報の取得が可能であることが通知されると、RFID送受信部201bを介して車載器10からICカード処理情報を取得する。
具体的には、ICカード処理情報取得部201dは、ICカード処理情報を要求するコマンドを含む電波を送信するように、RFID送受信部201bを制御する。当該電波を受信した車載器10から応答波をRFID送受信部201bを介して受信すると、ICカード処理情報取得部201dは、当該応答波に含まれるICカード処理情報(クレジットカード番号、有効期限、入口情報)を取得する。
また、ICカード処理情報取得部201dは、取得したICカード処理情報を車線制御装置210へ出力する。ICカード処理情報取得部201dは、車線制御装置210が当該ICカード処理情報に基づいて車載器10に対する料金収受処理を完了すると、車線制御装置210から料金収受処理の結果を含む情報を取得して、当該情報を含む電波を車載器10に対して送信するようにRFID送受信部201bを制御するとともに、タグ情報取得部201cに料金収受処理が完了したことを通知する。
【0056】
図6に示すように、車線制御装置210は、料金収受処理部211を有している。
料金収受処理部211は、路側無線装置200から受信したタグ情報又はICカード処理情報に基づいて、車載器10に対して料金収受処理を行う。
料金収受処理部211は、路側無線装置200からタグ情報を受信した場合、管理サーバ30から当該タグ情報に関連付けられている入口情報を取得する。料金収受処理部211は、取得した入口情報に基づいて、車載器10に対する課金額を算出し、料金収受処理を行う。そして、料金収受処理部211は、管理サーバ30へ当該車載器10のタグ情報と課金額とを関連付けて管理サーバへ送信する。
また、料金収受処理部211は、路側無線装置200からICカード処理情報を受信した場合、当該ICカード処理情報に含まれるクレジットカード番号、有効期限及び入口情報を取得する。料金収受処理部211は、取得したICカード処理情報に基づいて、車載器10に対する課金額を算出し、料金収受処理を行う。そして、料金収受処理部211は、管理サーバ30へ当該車載器10のICカード処理情報と課金額とを関連付けて管理サーバへ送信する。
料金収受処理部211は、料金収受処理が完了すると、当該料金収受処理の結果を含む情報を路側無線装置200を介して車載器10へ出力する。
【0057】
(車載器の処理フロー)
図7は本発明の一実施形態に係る車載器の処理フローを示す図である。
図7に示すように、RFIC100の起動処理部100bは、RFID通信部100aを介して自動料金収受機20から電波を受信したか否かを判断する(ステップS100)。
起動処理部100bは、自動料金収受機20から電波を受信していない場合(ステップS100:NO)、電波を受信するまで待機する。
また、起動処理部100bは、自動料金収受機20から電波を受信した場合(ステップS100:YES)、CPU120へ起動信号を出力する(ステップS101)。
【0058】
次に、RFIC100のRFタグ機能部100cは、予め記録されているタグ情報を読み出す(ステップS102)。
【0059】
次に、RFタグ機能部100cは、CPU120からICカード処理情報の取得が可能であるか否かを判断する(ステップS103)。
起動処理部100bから受信した起動信号によりCPU120の状態が「アクティブモード」となっており、且つ、ICカード40に記録されているICカード処理情報がCPU120により読み取られている場合は、RFタグ機能部100cは、ICカード処理情報の取得が可能であると判断する(ステップS103:YES)。
一方、CPU120の状態が「アクティブモード」以外、又は、ICカード40に記録されているICカード処理情報がCPU120により読み取られていない場合は、RFタグ機能部100cは、ICカード処理情報の取得が不可であると判断する(ステップS103:NO)。
【0060】
RFタグ機能部100cは、ICカード処理部121がICカード処理情報を取得していない場合(ステップS103:NO)、ICカード処理情報の取得が不可であることを示す「RFタグ」をフラグ情報の値として設定する。そして、RFタグ機能部100cは、ステップS102において読み出したタグ情報及びフラグ情報(「RFタグ」)を含むデータを生成し、当該データをRFID通信部100aを介して自動料金収受機20へ出力する(ステップS104)。
一方、RFタグ機能部100cは、ICカード処理情報の取得が可能であると判断した場合(ステップS103:YES)、ICカード処理情報の取得が可能であることを示す「ICカード」をフラグ情報の値として設定する。そして、RFタグ機能部100cは、ステップS102において読み出したタグ情報及びフラグ情報(「ICカード」)を含むデータを生成し、当該データをRFID通信部100aを介して自動料金収受機20へ出力する(ステップS105)。
【0061】
ステップS105においてタグ情報及びフラグ情報(「ICカード」)を出力後、自動料金収受機20よりICカード処理情報が要求されると、RFタグ機能部100cは、CPU120のICカード処理部121よりICカード処理情報(クレジットカード番号、有効期限、入口情報)を取得する。そして、RFタグ機能部100cは、当該ICカード処理情報を、RFID通信部100aを介して自動料金収受機20へ出力する(ステップS106)。
【0062】
次に、RFタグ機能部100cは、自動料金収受機20から料金収受処理の結果を受信すると、当該料金収受処理の結果をCPU120に出力する。CPU120のICカード処理部121は、RFタグ機能部100cから料金収受処理の結果を受信すると、当該料金収受処理の結果をICカードR/W130を介してICカード40に書き込む(ステップS107)。
【0063】
また、ICカード処理部121は、料金収受処理の結果をHMI部150に出力する。HMI部150は、ICカード処理部121から受信した料金収受処理の結果をLCD及びスピーカを介して利用者へ通知する(ステップS108)。
【0064】
(自動料金収受機の処理フロー)
図8は、本発明の一実施形態に係る自動料金収受機の処理フローを示す図である。
図8に示すように、路側無線装置200のタグ情報取得部201cは、タグ情報を要求するコマンドを含む電波を、RFID送受信部201bを介して所定間隔で送信する(ステップS200)。
【0065】
次に、タグ情報取得部201cは、車載器10から応答波を受信したか否かを判断する(ステップS201)。
タグ情報取得部201cは、車載器10から応答波を受信していないと判断した場合(ステップS201:NO)、応答波を受信するまで、ステップS200の処理を繰り返す。
一方、タグ情報取得部201cは、車載器10から応答波を受信したと判断した場合(ステップS201:YES)、当該応答波に含まれるタグ情報及びフラグ情報を取得する(ステップS202)。
【0066】
次に、タグ情報取得部201cは、フラグ情報が「ICカード」であるか否かを判断する(ステップS203)。
タグ情報取得部201cは、フラグ情報が「RFタグ」である場合(ステップS203:NO)、タグ情報を車線制御装置210へ出力する。そして、タグ情報を受信した車線制御装置210の料金収受処理部211は、当該タグ情報に基づいて、車載器10に対する料金収受処理を行う(ステップS204)。
一方、タグ情報取得部201cは、フラグ情報が「ICカード」である場合(ステップS203:YES)、ICカード処理情報取得部201dへICカード処理情報の取得が可能であることを通知する。
【0067】
ICカード処理情報取得部201dは、タグ情報取得部201cからICカード処理情報の取得が可能であることが通知されると、RFID送受信部201bを介して車載器10からICカード処理情報を取得する(ステップS205)。そして、ICカード処理情報取得部201dは、取得したICカード処理情報を車線制御装置210へ出力する。
【0068】
ICカード処理情報を取得した車線制御装置210の料金収受処理部211は、当該ICカード処理情報に基づいて、車載器10に対する料金収受処理を行う(ステップS206)。
【0069】
ICカード処理情報取得部201dは、車線制御装置210が当該ICカード処理情報に基づいて車載器10に対する料金収受処理を完了すると、車線制御装置210から料金収受処理の結果を含む情報を取得して、当該情報を含む電波をRFID送受信部201bを介して車載器10へ送信する(ステップS207)。
【0070】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る車載器10は、RFID通信用の電波を受信した場合に起動信号を出力する起動処理部100bと、予め記録されたタグ情報を読み出すRFタグ機能部100cと、を有するRFIC100と、電源回路140から給電された場合に、前記起動信号に基づいて起動状態となり、ICカード40との間でICカード処理情報を読み書きするICカード処理部121と、前記タグ情報及び前記ICカード処理情報のうち少なくとも一方を自動料金収受機20へ送信するRFID通信部100aと、を備える。
このようにすることで、CPU120のICカード処理部121は、RFID通信用の電波を受信した場合に、起動処理部100bから出力された起動信号により起動状態となる。そして、通信部(RFID通信部100a又はDSRC通信部110)が、所定の処理条件に応じて(ICカード処理部121における処理状況に応じて)タグ情報及びICカード処理情報のうち少なくとも一方を自動料金収受機20へ送信する。そのため、RFID通信を介して料金収受処理を行う料金収受システムが採用されている有料道路においても、ICカードを使用した料金収受処理を行うことができる。
【0071】
また、RFIC100のRFタグ機能部100cは、車載器10にICカード40が挿入されている場合は、CPU120のICカード処理部121が当該ICカード40から読み出したICカード処理情報を取得して、自動料金収受機20に送信する。
このようにすることで、車載器10は、車載器10にICカード40が挿入されてICカード処理情報が読み取られている場合は、利用者がICカード40による利用料金の支払いを希望しているという仮定の下で、当該ICカード処理情報に基づいて電子決済処理が行われる。
また、本実施形態において、ICカード処理部121は、ICカード40が車載器に挿入されると、当該ICカード40からICカード処理情報を読み出して、記録媒体124に記録する。このため、料金所において料金収受処理が行われる際には、ICカード処理部121は、記録媒体124に記録されているICカード処理情報を迅速に読み出すことができ、電子決済処理を行う時間を短縮することが可能である。
【0072】
また、RFタグ機能部100cは、車載器10にICカード40が挿入されていない等の理由によりICカード処理情報が取得できなかった場合は、RFタグ機能部100cに予め記録されているタグ情報を読み出して、自動料金収受機20に送信する。
このようにすることで、車載器10は、車載器10にICカード40が挿入されていない等の理由によりICカード処理情報が読み取られなかった場合には、利用者がタグ情報による利用料金の支払いを希望しているという仮定の下で、当該タグ情報に基づいて電子決済処理が行われる。
また、RFIC100は、自動料金収受機20から受信したRFID通信用の電波を電源として動作が可能であるため、電源回路140が給電不可となっても、自動料金収受機20へRFID通信を介してタグ情報を送信し、当該タグ情報に基づいて電子決済処理を行うことができる。更に、車載器10にICカード40が挿入されていても、ICカード40の読み取りに異常が発生した等の理由によりICカード処理情報が読み取られなかった場合には、車載器10は、タグ情報に基づいて電子決済処理を行うことができる。
このため、車両Aは、車載器10の電源回路140の状態又はICカード処理情報の取得可否に関わらず、スムーズに料金所を通過することができる。
【0073】
また、車載器10は、DSRC通信用の電波を受信した場合に、前記ICカード処理部によって読み取られたICカード処理情報を送信するDSRC通信部110を更に備える。
このようにすることで、車載器10は、RFID通信を介して料金収受処理を行う自動料金収受機20と、DSRC通信を介して料金収受処理を行うDSRC路側装置とを自動的に判断して、それぞれの料金収受システムに応じた電子決済処理を行うことができる。このため、車載器10は、利用者に対して走行する有料道路が何れの料金収受システムを採用しているかを意識させることなく、スムーズに利用料金の電子決済を完了することができる。
【0074】
また、車載器10のCPU120は状態管理部123を有している。状態管理部123は、RFID通信部100aがRFID通信を一定時間以上行わなかった場合には、CPU120を「スリープモード」(非起動状態)に変更する。
このとき、状態管理部123は電源回路140に給電一部停止信号を出力する。給電一部停止信号を受信した電源回路140は、車載器10のCPU120及びDSRC通信部110にのみ給電を行い、RFIC100、ICカードR/W130及びHMI部150への給電を停止する。
このようにすることで、車載器10は、電子決済処理を行わない期間はICカード処理部121を非起動状態とすることにより、電源回路140から給電される電力の消費を抑制することができる。
更に、CPU120が「スリープモード」(非起動状態)であっても、車載器10のRFIC100がRFID通信用の電波を受信すると、RFIC100の起動処理部100bがCPU120へ起動信号を出力する。状態管理部123は、起動信号に基づいて、CPU120の状態を「アクティブモード」(起動状態)に変更するとともに、電源回路140に給電開始信号を出力する。これにより、車載器10の各構成は、再び電源回路140から給電されて、タグ情報又はICカード40による電子決済を行うことが可能となる。また、電源回路140からRFIC100に給電されることにより、RFIC100のRF通信部100aは、ICカード処理情報を送信するために十分な強度の応答波を出力することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態に係る自動料金収受機20は、所定間隔でRFID通信用の電波を送信するとともに、車両Aに搭載された車載器10からの当該RFID通信用の電波への応答波を受信するRFID送受信部201bと、前記応答波にタグ情報が含まれている場合には、当該タグ情報に基づいて料金収受処理を行い、前記応答波にICカード処理情報が含まれている場合には、当該ICカード処理情報に基づいて料金収受処理を行う料金収受処理部211と、を備える。
このようにすることで、料金収受処理部211は、車載器10から送信された情報に基づいて、タグ情報に基づく料金収受処理及びICカード処理情報に基づく料金収受処理の双方を行うことができる。このため、車両Aに車載器10が搭載されておらず、RFタグのみが取り付けられている場合であっても、料金収受処理部211は、当該車両Aに対して料金収受処理を行うことができる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0077】
例えば、上述の実施形態において、ICカード処理情報として入口情報をICカード40又は記録媒体124に読み書きする態様について説明したが、これに限られることは無い。
どの入口料金所又は出口料金所を通過したかに関わらず固定の課金額が設定されている有料道路においては、ICカード処理情報として入口情報をICカード40又は記録媒体124に読み書きしなくてもよい。
【0078】
また、上述の実施形態において、車載器10のRFIC100は、自動料金収受機20からRFID通信用の電波を受信すると、タグ情報又はICカード処理情報をRFID通信部100aを介して自動料金収受機20へ送信する態様について説明したが、これに限られることは無い。
RFIC100が自動料金収受機20から送信されたRFID通信用の電波を受信すると、起動信号により起動状態となったCPU120のICカード処理部121は、RFID通信以外の他の通信手段を介して、ICカード処理情報を自動料金収受機20へ送信するようにしてもよい。他の通信手段として、車載器10は、例えば第3世代移動通信システム等の通信方式に対応した通信部を有していてもよい。また、他の通信手段として、DSRC通信部110を使用してもよい。また、DSRC通信部110は必須ではない。