特許第6660704号(P6660704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6660704車両用スライディングドアのモジュール構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660704
(24)【登録日】2020年2月13日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】車両用スライディングドアのモジュール構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/06 20060101AFI20200227BHJP
   E05D 15/10 20060101ALN20200227BHJP
【FI】
   B60J5/06 B
   !E05D15/10
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-202179(P2015-202179)
(22)【出願日】2015年10月13日
(65)【公開番号】特開2017-1654(P2017-1654A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0082007
(32)【優先日】2015年6月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 載 鴻
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−062795(JP,A)
【文献】 特表2009−531229(JP,A)
【文献】 特開昭52−147825(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0269259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/06
E05D 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア関連部品を装着するモジュールブラケットと、
前記モジュールブラケットと一体に形成されて、車体に連結されたスライダが移動可能に結合されたドアレールと、を含み、
前記ドアレールは、ドアインナーパネルに固定されるように装着され、
前記ドアレールは、前記ドアインナーパネルより車室内側に突出するように形成され、車両の長手方向に沿って延びるように形成されて、前方先端部及び後方先端部をそれぞれ含み、前記前方先端部及び後方先端部はマウンティングブラケットを通して前記ドアインナーパネルに装着され、
前記ドアレールは、直角ブロック形状をしたレールボディと、前記レールボディに一体に形成されて、車両の高さ方向に沿った上部に配置された上部ガイドレールと、車両の高さ方向に沿った下部に配置された下部ガイドレールと、をそれぞれ含み、
前記ドアレールには、スライダがドアレールに沿って移動可能に結合され、前記スライダにはスイングアームの一端が相対回転可能に締結され、前記スイングアームの他端は車体に相対回転可能に締結され、
前記上部ガイドレールと前記下部ガイドレールには、それぞれ補強部材がインサートされ、
前記スライダは、前記上部ガイドレールと前記下部ガイドレールがそれぞれ挿入される2つのスライダブロックと、前記2つのスライダブロックにそれぞれインサートされ、前記上部ガイドレールと前記下部ガイドレールにそれぞれ接触してローリング移動する複数個のローラと、前記2つのスライダブロックを連結して固定し、前記スイングアームの一端が相対回転可能に締結される支持ブラケットと、を含み、
前記マウンティングブラケットは、前記上部ガイドレールと前記下部ガイドレールがそれぞれ挿入されて支持される円弧形状の2つの支持溝と、前記2つの支持溝の間に配置されて、前記レールボディに面着して前記レールボディを支持する支持フランジと、前記支持溝からそれぞれ延びるように形成されて、前記ドアインナーパネルに締結される締結フランジと、を含むことを特徴とする車両用スライディングドアのモジュール構造。
【請求項2】
前記モジュールブラケット及び前記ドアレールは、プラスチック素材で一体に射出成形されることを特徴とする請求項1に記載の車両用スライディングドアのモジュール構造。
【請求項3】
前記マウンティングブラケットは、直角プレート形状に形成され、その長手方向に沿った両側先端部が、前記ドアインナーパネルに車両の高さ方向に上部及び下部で締結され、前記ドアレールの前記前方先端部及び前記後方先端部は、それぞれ前記マウンティングブラケットと前記ドアインナーパネルとの間に挿入されて支持されることを特徴とする請求項1に記載の車両用スライディングドアのモジュール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スライディングドアのモジュール構造に係り、より詳しくは、スライディングドアに装着されるセンターレールがドアモジュールブラケットに一体化されてドアインナーパネルに装着され、スライディングドアの組立性及び強度を向上させることができる車両用スライディングドアのモジュール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、運転者及びその同乗者が搭乗する所定の大きさの車室が形成されており、該車室を開閉するために、車体には車室開閉ドアが設けられている。
車室開閉ドアは、乗用車の場合に、車両の長手方向に沿って前方に取付けられたフロントドアと、車両の長手方向に沿って後方に取付けられたリアドアとを具備し、フロントドア及びリアドアは、一般的に車体にヒンジを媒介として回転可能に取付けられている。
多くの人が乗合可能な乗合自動車の場合には、車室開閉ドアが車両の長手方向に沿って前後にスライド運動しながら、車室を開閉するようになっている。
乗合自動車のスライド式車室開閉ドアは、車室開閉ドアが車両の長手方向に沿って後方に移動して車室を開放する反面、車両の長手方向に沿って前方に移動して車室を閉鎖するようになっているので、乗用車のようなヒンジ式車室開閉ドアよりもドア開閉に必要な開閉必要空間が小さく、狭い開閉必要空間においても車体に形成したドア開口部を完全に開放することができるという長所がある。
【0003】
ところが、従来のスライド式車室開閉ドアは、ドアを開閉する過程で、ドアの上部、中部、及び下部をそれぞれ支持する3つの支持及び案内レールと、その関連部品を要するため、車両の重量と部品数を増加させ、かつ車両のデザイン自由度を低下させる欠点があった。 そのために、最近は、スライディングドアに装着されたセンターレール及び車体に装着された下部レールのみにより、スライディングドアが案内及び支持されるようにして、スライディングドアのレール個数及びその関連部品数を減らすことで、生産性及び燃費向上を追求する車両用スライディングドア装置が開発されている。このような車両用スライディングドア装置において、センターレールをモジュール化させてスライディングドアの組立性及び生産性を向上させ、かつスライディングドアの剛性を増大させる必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−341528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、スライディングドアに装着されるセンターレールをモジュール化して、2レール式車両用スライディングドア装置の組立性及び生産性を向上させ、かつスライディングドアの剛性を増大させて側面衝突に効果的に対応できる車両用スライディングドアのモジュール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の車両用スライディングドアのモジュール構造は、ドア関連部品を装着するモジュールブラケットと、前記モジュールブラケットと一体に形成されて、車体に連結されたスライダが移動可能に結合されたドアレールと、を含み、前記ドアレールは、ドアインナーパネルに固定されるように装着され、前記ドアレールは、前記ドアインナーパネルより車室内側に突出するように形成され、車両の長手方向に沿って延びるように形成されて、前方先端部及び後方先端部をそれぞれ含み、前記前方先端部及び後方先端部はマウンティングブラケットを通して前記ドアインナーパネルに装着され、前記ドアレールは、直角ブロック形状をしたレールボディと、前記レールボディに一体に形成されて、車両の高さ方向に沿った上部に配置された上部ガイドレールと、車両の高さ方向に沿った下部に配置された下部ガイドレールと、をそれぞれ含み、前記ドアレールには、スライダがドアレールに沿って移動可能に結合され、前記スライダにはスイングアームの一端が相対回転可能に締結され、前記スイングアームの他端は車体に相対回転可能に締結され、前記上部ガイドレールと前記下部ガイドレールには、それぞれ補強部材がインサートされ、前記スライダは、前記上部ガイドレールと前記下部ガイドレールがそれぞれ挿入される2つのスライダブロックと、前記2つのスライダブロックにそれぞれインサートされ、前記上部ガイドレールと前記下部ガイドレールにそれぞれ接触してローリング移動する複数個のローラと、前記2つのスライダブロックを連結して固定し、前記スイングアームの一端が相対回転可能に締結される支持ブラケットと、を含み、前記マウンティングブラケットは、前記上部ガイドレールと前記下部ガイドレールがそれぞれ挿入されて支持される円弧形状の2つの支持溝と、前記2つの支持溝の間に配置されて、前記レールボディに面着して前記レールボディを支持する支持フランジと、前記支持溝からそれぞれ延びるように形成されて、前記ドアインナーパネルに締結される締結フランジと、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記モジュールブラケット及び前記ドアレールは、プラスチック素材で一体に射出成形されるされることを特徴とする。
【0010】
前記マウンティングブラケットは、直角プレート形状に形成され、その長手方向に沿った両側先端部が、前記ドアインナーパネルに車両の高さ方向に上部及び下部で締結され、前記ドアレールの前記前方先端部及び前記後方先端部は、それぞれ前記マウンティングブラケットと前記ドアインナーパネルとの間に挿入されて支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用スライディングドアのモジュール構造によれば、スライディングドアのスライド運動をガイドするドアレールが、モジュールブラケットに一体化されてドアインナーパネルに装着されることにより、スライディングドアの組立性及び生産性を向上させることができる。
ドアレールは、スライディングドアの幅方向、すなわち、車両の長手方向に沿って前後に延びるようにスライディングドアに装着されると共に、スライディングドアの高さ方向、すなわち、車両の高さ方向にほぼ中央部位付近に配置されて、スライディングドアの構造的な剛性を増大させることによって、従来、側面衝突に対応するためにドアに装着されたインパクトビームが不要となるので、スライディングドアの部品数、重量及び原価節減を図ることができる。
また、ドアレールにはスライダをガイドする丸棒形状の2つの上下ガイドレールが備わって、スライダが2つの上下ガイドレールに沿って安定したスライド運動が可能なので、スライディングドアの開閉作動性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による車両用スライディングドアのモジュール構造の正面図である。
図2】本発明の実施形態による車両用スライディングドアのモジュール構造の後方部分斜視図である。
図3】本発明の実施形態による車両用スライディングドアのモジュール構造の前方部分斜視図である。
図4】本発明の実施形態によるドアレールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、添付の例示図面を参照して詳細に説明する。
図1に示す通り、本発明の実施形態による車両用スライディングドアのモジュール構造が適用される車両用スライディングドア10は、ドアインナーパネル12がドアアウターパネル14と結合して、ドアの骨格を形成する。
本発明の実施形態による車両用スライディングドアのモジュール構造は、図示していないドアスピーカやドアウィンドウガラスレギュレータなどのドア関連部品が設置され、ドアインナーパネル12に締結されて支持されるモジュールブラケット20と、モジュールブラケット20と一体形成されたドアレール30とを含む。
モジュールブラケット20とドアレール30は、プラスチック素材で一体射出成形することができる。
上記のように、モジュールブラケット20とドアレール30が一体にモジュール化されて、車両の組立ラインに供給されると、スライディングドアの組立性及び生産性を向上させることができる。
【0019】
ドアレール30は、ドアインナーパネル12より車室内側に突出するように形成され、ドアの幅方向、すなわち、車両の長手方向に沿って延びるように形成される。車両の長手方向に沿ったドアレール30の前方先端部31及び後方先端部32は、それぞれドアインナーパネル12にマウンティングブラケット40を通じて装着されて支持される。
マウンティングブラケット40は、ほぼ直角プレート形状に形成され、その長手方向に沿った両端部が車両の高さ方向の上部及び下部でドアインナーパネル12に締結される。ドアレール30の前方先端部31と後方先端部32は、それぞれマウンティングブラケット40とドアインナーパネル12との間に挿入されて支持される。
ドアレール30は、車両の長手方向に沿って前後に延びるように形成されて、ドアの高さ方向のほぼ中央部付近に配置されることにより、スライディングドア10の剛性を増大させて、車両の側面衝突に効果的に対応できるので、従来、ドアの側面衝突に対応するために装着されていたインパクトビームなどが不要となる。これにより、スライディングドアの部品数、重量及び原価の節減を図ることができる。
【0020】
ドアレール30には、スライダ50がドアレール30に沿って移動可能に結合され、スライダ50には、スイングアーム60の一端が相対回転可能にピンにより締結され、スイングアーム60の他端は、図示していない車体にピンにより相対回転可能に締結される。
これにより、スライディングドア10が車体にスイングアーム60を通じて回転可能に支持され、スライダ50に結合されたドアレール30を介して車両の長手方向に沿って前後にスライドして、車体に形成されるドア開口部を開閉する。
図2及び図3に示す通り、ドアレール30は、ほぼ直角ブロック形状をしたレールボディと、レールボディに一体に形成されて、ドアの高さ方向上部に配置された上部ガイドレール34と、下部に配置された下部ガイドレール36とをそれぞれ含む。
【0021】
上部ガイドレール34と下部ガイドレール36は、それぞれ丸棒形状に形成されてもよく、図4に示すように、剛性を増大させるために補強部材として、例えば、鉄芯38がそれぞれインサートされてもよい。 スライダ50は、上部ガイドレール34と下部ガイドレール36がそれぞれ挿入される2つのスライダブロック52と、2つのスライダブロック52にそれぞれインサートされて、上部ガイドレール34と下部ガイドレール36にそれぞれ接触してローリング移動する複数個のローラ54と、2つのスライダブロック52を連結して固定し、スイングアーム60の一端がピン62により締結される支持ブラケット56とをそれぞれ含む。 上記のように、ドアレール30には、スライダ50をガイドする丸棒形状の2つの上部ガイドレール34及び下部ガイドレール36が備えられて、スライダ50が2つの上部ガイドレール34及び下部ガイドレール36に沿って安定したスライド運動が可能なので、スライディングドアの開閉機能が向上する。
【0022】
図3,4に示す通り、マウンティングブラケット40には、上部ガイドレール34と下部ガイドレール36がそれぞれ挿入されて移動しないように支持される。そして、ほぼ円弧形状の2つの支持溝42と、2つの支持溝42の間に配置されて、レールボディに面着してレールボディが動かないように支持する支持フランジ44と、支持溝42からそれぞれ延びるように形成されて、ドアインナーパネル12に締結される締結フランジ46とをそれぞれ含む。
上記のようなマウンティングブラケット40の支持溝42及び支持フランジ44により、ドアレール30をドアインナーパネル12に装着して支持させることができる。
【0023】
以上、本発明は、好ましい実施例を図によって説明したが、本発明は前述した特定の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0024】
10 スライディングドア
12 ドアインナーパネル
14 ドアアウターパネル
20 モジュールブラケット
30 ドアレール
31 前方先端部
32 後方先端部
34 上部ガイドレール
36 下部ガイドレール
38 鉄芯
40 マウンティングブラケット
50 スライダ
60 スイングアーム
図1
図2
図3
図4