(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
循環装置が、第2循環往路の分岐箇所よりも上流側の第1循環往路または第2循環復路の合流箇所よりも下流側の第1循環復路に設けられている循環ポンプを備えている、請求項1の給湯システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給湯システムでは、第2循環運転を実行することによって、タンクの上部から供給される高温の水を給湯路に循環させて、給湯栓が開かれたときに高温の水を速やかに供給する即湯機能を実現している。しかしながら、このような構成とすると、第2循環運転において、返湯路を介してタンクの下部に高温の水が戻されてしまう。タンクの下部に高温の水が戻されてしまうと、タンク内の温度成層が乱されてしまう。タンク内の温度成層が乱されてしまうと、タンクの下部からヒートポンプへ送る水の温度が上昇してヒートポンプのCOPが低下してしまう。また、タンク内の温度成層が乱されてしまうと、タンクの上部から給湯路に送る水の温度が低下してしまう。タンク内の温度成層を乱すことなく、即湯機能を実現することが可能な技術が期待されている。
【0005】
本明細書は上記課題を解決する技術を提供する。本明細書は、ヒートポンプとタンクを備える給湯システムにおいて、タンク内の温度成層を乱すことなく、即湯機能を実現することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、給湯システムを開示する。その給湯システムは、水を加熱するヒートポンプと、水を貯えるタンクと、ヒートポンプからタンクへ水を送る第1循環往路と、タンクからヒートポンプへ水を送る第1循環復路と、タンクに水を供給する給水路と、タンクから水を給湯する給湯路と、給水路から分岐して、給湯路に合流するバイパス水路と、第1循環往路から分岐して、バイパス水路の合流箇所よりも下流側の給湯路に合流する第2循環往路と、第2循環往路の合流箇所よりも下流側の給湯路から分岐して、第1循環復路に合流する第2循環復路と、ヒートポンプ、第1循環往路、タンク、第1循環復路の順に水を循環させる第1循環運転と、ヒートポンプ、第1循環往路、第2循環往路、給湯路、第2循環復路、第1循環復路の順に水を循環させる第2循環運転を実行可能な循環装置を備えている。
【0007】
上記の給湯システムでは、循環装置が第1循環運転を実行し、かつヒートポンプが水を加熱することで、タンク内の水をヒートポンプで循環加熱することができる。また、上記の給湯システムでは、循環装置が第2循環運転を実行し、かつヒートポンプが水を加熱することで、その後の給湯に備えて給湯路に高温の水を循環させることができる。この際に、上記の給湯システムでは、給湯路を循環する高温の水がタンクの下部に流入することがないので、タンク内の温度成層が乱されることがない。上記の給湯システムによれば、タンク内の温度成層を乱すことなく、即湯機能を実現することができる。
【0008】
上記の給湯システムは、循環装置で第1循環運転を実行しながらヒートポンプで水を加熱する第1加熱運転と、循環装置で第2循環運転を実行しながらヒートポンプで水を加熱する第2加熱運転を実行可能である。上記の給湯システムは、第2循環往路の合流箇所よりも上流側の給湯路を流れる水の温度を検出する温度検出手段をさらに備えており、第2加熱運転の実行中に、給湯路への給湯が開始された場合に、温度検出手段で検出される温度が所定温度に満たない場合に、第2加熱運転をそのまま継続し、温度検出手段で検出される温度が所定温度以上の場合に、第2加熱運転から第1加熱運転に切り替える。
【0009】
上記の給湯システムによれば、タンク内の水をヒートポンプで循環加熱する第1加熱運転と、その後の給湯に備えて給湯路に高温の水を循環させる第2加熱運転を、それぞれ実行することができる。
【0010】
上記の給湯システムは、循環装置が、第2循環往路の分岐箇所よりも上流側の第1循環往路または第2循環復路の合流箇所よりも下流側の第1循環復路に設けられている循環ポンプを備えているように構成することができる。
【0011】
上記の給湯システムによれば、単一の循環ポンプを用いて、ヒートポンプ、第1循環往路、タンク、第1循環復路の順に水を循環させる第1循環運転と、ヒートポンプ、第1循環往路、第2循環往路、給湯路、第2循環復路、第1循環復路の順に水を循環させる第2循環運転の両方を実行することができる。循環ポンプの個数を低減して、給湯システムの製造に係るコストを低減することができる。
【0012】
上記の給湯システムは、第2加熱運転の際のヒートポンプの目標沸き上げ温度が、第1加熱運転の際のヒートポンプの目標沸き上げ温度よりも低いように構成することができる。
【0013】
通常、タンクからの給湯の際には、タンクからの高温の水に上水道からの低温の水を混合することで、給湯設定温度に調温して給湯する。このため、第1加熱運転における目標沸き上げ温度は、給湯設定温度よりも高温に設定される。これに対して、第2加熱運転における目標沸き上げ温度は、給湯設定温度に近い温度である方が好ましい。上記のように、第2加熱運転の際のヒートポンプの目標沸き上げ温度を、第1加熱運転の際のヒートポンプの目標沸き上げ温度よりも低く設定することで、第2加熱運転におけるエネルギー消費を低減することができる。
【0014】
上記の給湯システムは、第1加熱運転と第2加熱運転がヒートポンプを停止させることなく連続的に実行可能であるように構成することができる。
【0015】
ヒートポンプを停止した状態から駆動する場合、冷媒の状態が安定するまでに時間がかかるため、目標沸き上げ温度で水を加熱できるようになるまで、ある程度の時間を要する。このため、第1加熱運転と第2加熱運転をそれぞれ実行する場合に、ヒートポンプをその都度停止および再始動する構成とすると、ヒートポンプによる沸き上げ温度が安定するまでに時間を要することになる。上記の給湯システムによれば、ヒートポンプを停止させることなく第1加熱運転と第2加熱運転を連続的に実行するので、ヒートポンプによる沸き上げ温度を速やかに安定させることができる。なお、上記の給湯システムでは、第1加熱運転の直後に第2加熱運転を実行してもよいし、第2加熱運転の直後に第1加熱運転を実行してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯システム2は、ヒートポンプユニット4と、タンクユニット6と、即湯循環ユニット8と、制御ユニット100を備えている。
【0018】
ヒートポンプユニット4は、ヒートポンプ10と循環ポンプ12を備えている。ヒートポンプ10は、冷媒(例えばR410AといったHFC冷媒や、R744といったCO
2冷媒)を循環させるための冷媒循環路14と、圧縮機16と、凝縮器18と、膨張弁20と、蒸発器22と、ファン24を備えている。圧縮機16は、気相状態の冷媒を加圧して送り出す。凝縮器18は、冷媒流路18aと水流路18bを備えている。凝縮器18は、冷媒流路18aを流れる冷媒と、水流路18bを流れる水の間で熱交換させる。膨張弁20は、液相状態の冷媒を断熱膨張させて減圧する。蒸発器22は、内部を流れる冷媒とファン24によって送風された外気の間で熱交換させる。
【0019】
ヒートポンプ10では、圧縮機16から送り出される高温高圧の気相状態の冷媒が、凝縮器18へ流入する。冷媒は、凝縮器18の冷媒流路18aを通過する際に水流路18bを流れる水に放熱して凝縮し、液相状態となる。凝縮器18を通過した液相状態の冷媒は、膨張弁20で減圧される。膨張弁20を通過した低温低圧の液相状態の冷媒が、蒸発器22へ流入する。冷媒は、蒸発器22を通過する際に外気から吸熱して蒸発し、気相状態となる。蒸発器22を通過した気相状態の冷媒は、圧縮機16へ戻される。すなわち、ヒートポンプ10は、蒸発器22で外気から吸熱し、凝縮器18で水を加熱する、熱源機として動作する。
【0020】
凝縮器18の水流路18bの下流側には、第1循環往路26が接続されている。凝縮器18の水流路18bの上流側には、第1循環復路28が接続されている。第1循環復路28には、循環ポンプ12が設けられている。第1循環往路26には、サーミスタ30が設けられている。ヒートポンプユニット4では、ヒートポンプ10を駆動し、かつ循環ポンプ12を駆動することで、水を加熱することができる。この場合、循環ポンプ12の駆動によって、水が第1循環復路28から水流路18bに送られ、水流路18bを通過して加熱された水は第1循環往路26へ送られる。ヒートポンプユニット4では、水流路18bから第1循環往路26へ送られる水の温度(以下では沸き上げ温度ともいう)が、目標沸き上げ温度となるように、圧縮機16、膨張弁20、ファン24等の動作を制御する。水流路18bから第1循環往路26へ送られる水の温度は、サーミスタ30で検出される。
【0021】
タンクユニット6は、タンク32と、低温側流量調整弁34と、高温側流量調整弁36を備えている。タンク32は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク32の内部には、満水まで水が貯えられている。タンク32には、サーミスタ32a、32b、32c、32dがタンク32の高さ方向に所定の間隔で配置されている。サーミスタ32a、32b、32c、32dは、それぞれ、その取付位置のタンク32内の水の温度を測定する。サーミスタ32a、32b、32c、32dの検出温度から、タンク32の蓄熱状態を特定することができる。
【0022】
タンク32の底部には、第1循環復路28が接続されている。タンク32の頂部には、第1循環往路26が接続されている。ヒートポンプユニット4の循環ポンプ12が駆動すると、タンク32の下部から第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに水が送られるとともに、水流路18bから第1循環往路26を介してタンク32の上部に水が送られる。ヒートポンプユニット4において、ヒートポンプ10と循環ポンプ12をそれぞれ駆動すると、タンク32の下部の水が凝縮器18で加熱されてタンク32の上部に戻される。タンク32の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。
【0023】
タンク32の底部には、給水路38が接続されている。給水路38は、上水道からの水をタンク32に供給する。タンク32の頂部には、給湯路40が接続されている。給湯路40は、台所や洗面所などの給湯栓42にタンク32からの水を供給する。給水路38と給湯路40には、バイパス水路44が接続されている。バイパス水路44は、給水路38から分岐して、給湯路40に合流している。バイパス水路44には、バイパス水路44を流れる水の流量を検出する低温側流量計46と、バイパス水路44を流れる水の流量を調整する低温側流量調整弁34が設けられている。バイパス水路44の合流箇所よりも上流側(タンク32側)の給湯路40には、タンク32から給湯路40に送られる水の流量を検出する高温側流量計48と、タンク32から給湯路40に送られる水の流量を調整する高温側流量調整弁36が設けられている。バイパス水路44の合流箇所よりも下流側(給湯栓42側)の給湯路40には、タンクユニット6から給湯栓42に供給される水の温度を検出するサーミスタ50が設けられている。
【0024】
給湯栓42が開かれると、給水路38からタンク32の下部に低温の水が送られるとともに、タンク32の上部から高温の水が給湯路40に送られる。さらに、給水路38からバイパス水路44を介して低温の水が給湯路40に送られる。給湯路40では、タンク32からの高温の水とバイパス水路44からの低温の水が混合して、混合された水が給湯栓42に送られる。タンクユニット6は、サーミスタ50で検出される温度が、予め設定された給湯設定温度となるように、低温側流量調整弁34の開度と高温側流量調整弁36の開度をそれぞれ調整する。低温側流量調整弁34と高温側流量調整弁36は、タンク32からの高温の水とバイパス水路44からの低温の水を混合して給湯設定温度に調温する混合器として動作する。
【0025】
即湯循環ユニット8は、第1三方弁52と、第2三方弁54と、逆止弁56を備えている。第1三方弁52は、第1循環往路26に介装されている。第1三方弁52には、第2循環往路58が接続されている。第2循環往路58は、第1循環往路26から分岐して、バイパス水路44の合流箇所よりも下流側(給湯栓42側)の給湯路40に合流している。第1三方弁52は、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水がタンク32に送られる状態と、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水が第2循環往路58に送られる状態の間で、切り替わる。第2三方弁54は、循環ポンプ12より上流側(タンク32側)の第1循環復路28に介装されている。第2三方弁54には、第2循環復路60が接続されている。第2循環復路60は、第2循環往路58の合流箇所よりも下流側(給湯栓42側)の給湯路40から分岐して、第1循環復路28に合流している。第2三方弁54は、タンク32からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態と、第2循環復路60からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態の間で、切り替わる。逆止弁56は、第2循環復路60に設けられている。逆止弁56は、第1循環復路28から第2循環復路60へ水が流れることを禁止する。
【0026】
制御ユニット100は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには各種の運転プログラムが格納されている。RAMには、ヒートポンプユニット4、タンクユニット6および即湯循環ユニット8の各構成要素から制御ユニット100に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。制御ユニット100は、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、ヒートポンプユニット4、タンクユニット6および即湯循環ユニット8の各構成要素の動作を制御する。また、制御ユニット100には、図示しないリモコンが接続されている。リモコンには、使用者が給湯システム2を操作するための各種のスイッチや、使用者に給湯システム2の動作状態を表示する液晶表示器等が設けられている。
【0027】
次いで、本実施例の給湯システム2の動作について説明する。以下では、給湯システム2が実施する、タンク沸き上げ運転、即湯循環運転、給湯運転について、それぞれ説明する。
【0028】
(タンク沸き上げ運転)
タンク沸き上げ運転は、タンク32内の水をヒートポンプユニット4で加熱し、高温となった水をタンク32に戻す運転である。本実施例の給湯システム2では、制御ユニット100が、過去の所定期間(例えば1週間)における、給湯栓42への給湯時刻および給湯水量の実績を記憶している。そして、制御ユニット100は、毎日、所定時刻(例えば午前2時)に、過去の給湯実績から予想されるその日の給湯時刻と給湯水量を推定し、推定される給湯時刻より前に、タンク32内に必要な給湯水量を超える量の高温の水が貯えられるように、タンク沸き上げ運転の開始時刻を設定する。その後、制御ユニット100は、設定された開始時刻が到来すると、タンク沸き上げ運転を開始する。また、本実施例の給湯システム2では、タンク32の蓄熱量をサーミスタ32a、32b、32c、32dによって常時監視しており、タンク32の蓄熱量が所定量以下となった場合にも、タンク沸き上げ運転を開始する。
【0029】
タンク沸き上げ運転を実行する際には、制御ユニット100は、即湯循環ユニット8の第1三方弁52を、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水がタンク32に送られる状態に切り替えるとともに、第2三方弁54を、タンク32からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態に切り替える。また、制御ユニット100は、ヒートポンプユニット4の圧縮機16、ファン24を駆動するとともに、循環ポンプ12を駆動する。
【0030】
図2に示すように、圧縮機16の駆動により、冷媒循環路14内の冷媒は、圧縮機16、凝縮器18、膨張弁20、蒸発器22の順に循環する。この場合、凝縮器18を通過する冷媒循環路14内の冷媒は、高温高圧の気体状態である。また、循環ポンプ12の駆動により、タンク32の下部に存在する低温の水が、第1循環復路28を介して凝縮器18に送られ、凝縮器18を通過する際に冷媒の熱によって加熱され、凝縮器18を通過して高温となった水が、第1循環往路26を介してタンク32の上部に送られる。この際、制御ユニット100は、サーミスタ30で検出される凝縮器18を通過した後の水の温度が、設定された目標沸き上げ温度となるように、圧縮機16、ファン24、循環ポンプ12の動作を制御する。これにより、タンク32に高温の水が貯められる。本実施例の給湯システム2では、タンク沸き上げ運転における目標沸き上げ温度は、給湯設定温度に所定温度(例えば5℃)を加算した温度に設定される。タンク32の内部が高温の水で満たされた満蓄状態となると、制御ユニット100は、タンク沸き上げ運転を終了する。
【0031】
(即湯循環運転)
即湯循環運転は、給湯栓42への給湯に備えて、給湯路40に高温の水を循環させる運転である。本実施例の給湯システム2では、制御ユニット100は、過去の給湯実績から推定されるその日の給湯時刻の直前(例えば、推定される給湯時刻の5分前)に、即湯循環運転を実行する。あるいは、本実施例の給湯システム2では、制御ユニット100は、過去の給湯実績から推定されるその日の給湯時刻の前に行われるタンク沸き上げ運転の直後に、即湯循環運転を実行する。あるいは、本実施例の給湯システム2では、制御ユニット100は、タンク沸き上げ運転の実行中に給湯が行われるのに備えて、タンク沸き上げ運転を実行する直前に、即湯循環運転を実行する。
【0032】
即湯循環運転を実行する際には、制御ユニット100は、即湯循環ユニット8の第1三方弁52を、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水が第2循環往路58に送られる状態に切り替えるとともに、第2三方弁54を、第2循環復路60からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態に切り替える。また、制御ユニット100は、ヒートポンプユニット4の圧縮機16、ファン24を駆動するとともに、循環ポンプ12を駆動する。
【0033】
図3に示すように、圧縮機16の駆動により、冷媒循環路14内の冷媒は、圧縮機16、凝縮器18、膨張弁20、蒸発器22の順に循環する。この場合、凝縮器18を通過する冷媒循環路14内の冷媒は、高温高圧の気体状態である。また、循環ポンプ12の駆動により、給湯路40の低温の水が、第2循環復路60、第1循環復路28を介して凝縮器18に送られ、凝縮器18を通過する際に冷媒の熱によって加熱され、凝縮器18を通過して高温となった水が、第1循環往路26、第2循環往路58を介して給湯路40に送られる。この際、制御ユニット100は、サーミスタ30で検出される凝縮器18を通過した後の水の温度が、設定された目標沸き上げ温度となるように、圧縮機16、ファン24、循環ポンプ12の動作を制御する。本実施例の給湯システム2では、即湯循環運転における目標沸き上げ温度は、給湯設定温度に設定される。これにより、給湯路40には高温の水が循環する。その後に給湯栓42が開かれたときに、給湯栓42に速やかに高温の水を供給することができる。
【0034】
本実施例の給湯システム2では、タンク沸き上げ運転の直後に連続して即湯循環運転を実行する場合には、ヒートポンプ10、循環ポンプ12を停止させることなく、タンク沸き上げ運転から即湯循環運転に移行することができる。ヒートポンプ10は、一旦停止させて再び始動させると、冷媒の状態が安定するまでに時間がかかるため、目標沸き上げ温度で水を加熱できるようになるまである程度の時間を要する。上記のように、ヒートポンプ10を停止させることなく連続して動作させることで、タンク沸き上げ運転の後に行われる即湯循環運転において、沸き上げ温度を速やかに安定させることができる。また、本実施例の給湯システム2では、即湯循環運転の直後に連続してタンク沸き上げ運転を実行する場合には、ヒートポンプ10、循環ポンプ12を停止させることなく、即湯循環運転からタンク沸き上げ運転に移行することができる。ヒートポンプ10を停止させることなく連続して動作させることで、即湯循環運転の後に行われるタンク沸き上げ運転において、沸き上げ温度を速やかに安定させることができる。
【0035】
(給湯運転)
給湯運転は、給湯栓42に給湯設定温度の水を供給する運転である。制御ユニット100は、低温側流量計46で検出される流量と高温側流量計48で検出される流量の合計が所定値を超える場合に、給湯栓42への給湯が開始されたものと判断して、給湯運転を実行する。
【0036】
(即湯循環運転を実行中に給湯運転を開始する場合の動作)
即湯循環運転を実行中に給湯運転が開始された場合、制御ユニット100は、即湯循環運転をそのまま継続する。この場合、
図4に示すように、給湯栓42には、第2循環往路58の合流箇所よりも上流側(タンク32側)の給湯路40に残留している低温の水と、第2循環往路58から給湯路40に流入する高温の水が混合して供給される。また、給湯路40の水は、給湯栓42に供給されるだけでなく、第2循環復路60にも送られる。この状態で、タンク32からの高温の水がサーミスタ50まで到達し、サーミスタ50の検出温度が給湯設定温度に達すると、制御ユニット100は、即湯循環ユニット8の第1三方弁52を、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水がタンク32に送られる状態に切り替えるとともに、第2三方弁54を、タンク32からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態に切り替える。これによって、
図5に示すように、給湯栓42には、タンク32からの高温の水とバイパス水路44からの低温の水を混合して給湯設定温度に調温された水が供給される。また、給湯栓42への給湯と並行して、タンク沸き上げ運転が実行される。なお、上記のように即湯循環運転から給湯運転へ移行する場合、制御ユニット100は、ヒートポンプ10および循環ポンプ12を停止させることなく、連続して動作させることができる。これによって、タンク沸き上げ運転における沸き上げ温度を速やかに安定させることができる。
【0037】
制御ユニット100は、給湯運転の実行中に、低温側流量計46で検出される流量と高温側流量計48で検出される流量の合計が所定値を下回ると、給湯栓42が閉じられて給湯が終了したものと判断して、給湯運転を終了する。給湯運転を終了する際には、制御ユニット100は、ヒートポンプユニット4の圧縮機16、ファン24を停止するとともに、循環ポンプ12を停止する。
【0038】
なお、給湯運転を終了する際に、ヒートポンプ10と循環ポンプ12を停止することなく、その後の給湯運転に備えて即湯循環運転を再び実行してもよい。この場合、制御ユニット100は、ヒートポンプ10と循環ポンプ12を停止することなく、即湯循環ユニット8の第1三方弁52を、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水が第2循環往路58に送られる状態に切り替えるとともに、第2三方弁54を、第2循環復路60からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態に切り替える。これによって、その後の給湯運転に備えた即湯循環運転が実行される。ヒートポンプ10を停止させることなく連続して動作させることで、即湯循環運転における沸き上げ温度を速やかに安定させることができる。
【0039】
(即湯循環運転を実行していない時に給湯運転を開始する場合の動作)
即湯循環運転を実行していない時に給湯運転が開始された場合、制御ユニット100は、前回の給湯運転を終了してからの経過時間に応じて、異なる動作を実行する。
【0040】
前回の給湯運転を終了してからの経過時間が所定時間(例えば30分)に満たない場合、タンク32と給湯栓42の間の給湯路40には比較的高温の水が残留しているものと考えられる。従って、このような場合には、制御ユニット100は、即湯循環ユニット8の第1三方弁52を、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水がタンク32に送られる状態に切り替えるとともに、第2三方弁54を、タンク32からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態に切り替える。また、制御ユニット100は、ヒートポンプユニット4の圧縮機16、ファン24を駆動するとともに、循環ポンプ12を駆動する。これによって、
図5に示すように、給湯栓42には、タンク32からの高温の水とバイパス水路44からの低温の水を混合して給湯設定温度に調温された水が供給される。また、タンク32から給湯栓42への給湯と並行して、タンク沸き上げ運転が実行される。
【0041】
前回の給湯運転を終了してからの経過時間が所定時間(例えば30分)を超える場合、タンク32と給湯栓42の間の給湯路40には比較的低温の水が残留しているものと考えられる。従って、このような場合には、制御ユニット100は、即湯循環ユニット8の第1三方弁52を、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水がタンク32に送られる状態に切り替えるとともに、第2三方弁54を、第2循環復路60からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態に切り替える。また、制御ユニット100は、ヒートポンプユニット4の圧縮機16、ファン24を駆動するとともに、循環ポンプ12を駆動する。これによって、
図6に示すように、給湯路40の水は、給湯栓42に送られるだけでなく、第2循環復路60にも送られるため、タンク32と給湯栓42の間の給湯路40に残留している低温の水がタンク32からの高温の水に速やかに置き換えられる。また、タンク32と給湯栓42の間の給湯路40に残留している低温の水は、ヒートポンプ10で加熱された後、タンク32に戻されるため、タンク32への蓄熱を行なうことができる。この状態で、タンク32からの高温の水がサーミスタ50まで到達し、サーミスタ50の検出温度が給湯設定温度に達すると、制御ユニット100は、即湯循環ユニット8の第1三方弁52を、凝縮器18の水流路18bから第1循環往路26に送られた水がタンク32に送られる状態に維持するとともに、第2三方弁54を、タンク32からの水が第1循環復路28を介して凝縮器18の水流路18bに送られる状態に切り替える。これによって、
図5に示すように、給湯栓42には、タンク32からの高温の水とバイパス水路44からの低温の水を混合して給湯設定温度に調温された水が供給される。また、給湯栓42への給湯と並行して、タンク沸き上げ運転が実行される。
【0042】
上記の実施例では、循環ポンプ12が第2三方弁54よりも下流側(ヒートポンプ10側)の第1循環復路28に設けられている構成を説明したが、循環ポンプ12は第1三方弁52よりも上流側(ヒートポンプ10側)の第1循環往路26に設けられていてもよい。
【0043】
上記の実施例では、第1三方弁52と第2三方弁54がいずれも三方切替弁である構成を説明したが、第1三方弁52および第2三方弁54の一方または両方を、2つの開閉弁で置き換えてもよいし、2つの流量調整弁で置き換えてもよいし、三方流量調整弁で置き換えてもよい。
【0044】
以上のように、本実施例の給湯システム2は、水を加熱するヒートポンプ10と、水を貯えるタンク32と、ヒートポンプ10からタンク32へ水を送る第1循環往路26と、タンク32からヒートポンプ10へ水を送る第1循環復路28と、タンク32に水を供給する給水路38と、タンク32から水を給湯する給湯路40と、給水路38から分岐して、給湯路40に合流するバイパス水路44と、第1循環往路26から分岐して、バイパス水路44の合流箇所よりも下流側の給湯路40に合流する第2循環往路58と、第2循環往路58の合流箇所よりも下流側の給湯路40から分岐して、第1循環復路28に合流する第2循環復路60と、ヒートポンプ10、第1循環往路26、タンク32、第1循環復路28の順に水を循環させる第1循環運転と、ヒートポンプ10、第1循環往路26、第2循環往路58、給湯路40、第2循環復路60、第1循環復路28の順に水を循環させる第2循環運転を実行可能な循環装置(循環ポンプ12、第1三方弁52および第2三方弁54)を備えている。
【0045】
上記の給湯システム2では、循環装置(循環ポンプ12、第1三方弁52および第2三方弁54)が、第2循環復路60の合流箇所よりも下流側の第1循環復路28に設けられている循環ポンプ12を備えている。
【0046】
上記の給湯システム2では、循環装置(循環ポンプ12、第1三方弁52および第2三方弁54)で第1循環運転を実行しながらヒートポンプ10で水を加熱する第1加熱運転(タンク沸き上げ運転)と、循環装置で第2循環運転を実行しながらヒートポンプ10で水を加熱する第2加熱運転(即湯循環運転)を実行可能である。
【0047】
上記の給湯システム2では、第2加熱運転(即湯循環運転)の際のヒートポンプ10の目標沸き上げ温度が、第1加熱運転(タンク沸き上げ運転)の際のヒートポンプ10の目標沸き上げ温度よりも低い。
【0048】
上記の給湯システム2では、第1加熱運転(タンク沸き上げ運転)と第2加熱運転(即湯循環運転)がヒートポンプ10を停止させることなく連続的に実行可能である。
【0049】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。