特許第6660858号(P6660858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6660858
(24)【登録日】2020年2月13日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/20 20060101AFI20200227BHJP
   H02H 3/20 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   H02H7/20 B
   H02H3/20 D
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-173757(P2016-173757)
(22)【出願日】2016年9月6日
(65)【公開番号】特開2018-42343(P2018-42343A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇文
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/21329(WO,A1)
【文献】 特開2016−46063(JP,A)
【文献】 特開2015−173026(JP,A)
【文献】 特開2013−70475(JP,A)
【文献】 特開2006−14479(JP,A)
【文献】 特開平10−336880(JP,A)
【文献】 特開平8−255690(JP,A)
【文献】 米国特許第9368955(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/20
H02H 3/20
H02H 3/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源から供給される電力に基づいて、所定電圧の電力を生成して出力する第2電源と、
前記第2電源から供給される電力によって作動する制御回路と、
前記第1電源から供給される電力によって作動して、前記第2電源の出力電圧を検出し、前記第2電源の出力電圧が所定の判定電圧を超えたときに、前記第1電源から前記第2電源への電力供給を遮断し、該遮断後前記第1電源からの電力供給が遮断されるまで、前記第2電源から前記制御回路への電力供給が遮断された状態を維持する遮断状態維持処理を行う過電圧保護回路と
を備えた電源装置において、
前記過電圧保護回路の電圧検出部に、前記判定電圧よりも高い疑似過電圧を入力する疑似過電圧入力回路と、
前記遮断状態維持処理の実行を禁止する遮断状態維持禁止回路とを備え、
前記制御回路は、前記過電圧保護回路の動作確認処理として、前記遮断状態維持禁止回路により前記遮断状態維持処理の実行を禁止した状態で、前記疑似過電圧入力回路により前記疑似過電圧を前記過電圧保護回路の電圧検出部に入力し、該疑似過電圧の入力開始から所定時間以内に前記第2電源からの電力供給が遮断されたときには、前記遮断状態維持禁止回路による前記遮断状態維持処理の禁止を解除すると共に、前記疑似過電圧入力回路による前記過電圧保護回路の電圧検出部への前記疑似過電圧の入力を終了し、該疑似過電圧の入力開始から該所定時間以内に前記第2電源からの電力供給が遮断されなかったときは、所定の異常対応を行う処理を実行することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記第2電源から前記制御回路への電力の供給と遮断とを切り替えるためのスイッチング素子を備え、
前記制御回路は、前記異常対応として、前記スイッチング素子により前記第2電源から前記制御回路への電力供給を遮断する処理を行うことを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電圧保護機能を有する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源回路から負荷に印加される電圧を監視し、負荷に対して過電圧が印加される状況になったときに、電源回路への電力供給を遮断するようにした過電圧保護回路を備えた電源装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−273564号公報
【特許文献2】特開平8−19167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源回路から負荷に過電圧が印可される状況になったときに、過電圧保護回路が故障していると、負荷に対して過電圧が印加される状況が継続して負荷が破損するおそれがある。そこで、過電圧保護回路が正常に動作することを確認することが望まれる。
【0005】
しかしながら、一般的に、過電圧保護回路は、過電圧を検出して電源回路に対する電力供給を遮断した場合に、外部電源からの電力供給が停止されるまで、電源回路への電力供給を遮断した状態を維持する構成になっている。そのため、過電圧保護回路の正常動作を確認する処理を行うと、使用者は、その後に外部からの電力供給を一旦遮断しなければ、電源装置の使用を再開することができないという煩わしさがある。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、過電圧保護回路の動作確認を、外部からの電力供給の遮断による使用再開の作業を不要として行うことができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電源装置は、
第1電源から供給される電力に基づいて、所定電圧の電力を生成して出力する第2電源と、
前記第2電源から供給される電力によって作動する制御回路と、
前記第1電源から供給される電力によって作動して、前記第2電源の出力電圧を検出し、前記第2電源の出力電圧が所定の判定電圧を超えたときに、前記第1電源から前記第2電源への電力供給を遮断し、該遮断後前記第1電源からの電力供給が遮断されるまで前記第2電源から前記制御回路への電力供給が遮断された状態を維持する遮断状態維持処理を行う過電圧保護回路と
を備えた電源装置において、
前記過電圧保護回路の電圧検出部に、前記判定電圧よりも高い疑似過電圧を入力する疑似過電圧入力回路と、
前記遮断状態維持処理の実行を禁止する遮断状態維持禁止回路とを備え、
前記制御回路は、前記過電圧保護回路の動作確認処理として、前記遮断状態維持禁止回路により前記遮断状態維持処理の実行を禁止した状態で、前記疑似過電圧入力回路により前記疑似過電圧を前記過電圧保護回路の電圧検出部に入力し、該疑似過電圧の入力開始から所定時間以内に前記第2電源からの電力供給が遮断されたときには、前記遮断状態維持禁止回路による前記遮断状態維持処理の禁止を解除すると共に、前記疑似過電圧入力回路による前記過電圧保護回路の電圧検出部への前記疑似過電圧の入力を終了し、該疑似過電圧の入力開始から該所定時間以内に前記第2電源からの電力供給が遮断されなかったときは、所定の異常対応を行う処理を実行することを特徴とする。
【0008】
かかる本発明によれば、第2電源の出力電圧が判定電圧を超えたときに、過電圧保護回路により第2電源から制御回路への電力供給が遮断されて制御回路が保護される。そして、通常の使用時は遮断状態維持処理が行われて、第1電源から過電圧保護回路への電力供給が遮断されるまで、第2電源から制御回路への電力供給が遮断された状態が維持される。そのため、使用者は、電源装置の使用を再開するために、第1電源からの電力供給を一旦遮断する作業を行う必要がある。
【0009】
そこで、このような第1電源からの電力供給を一旦遮断する作業を回避して、過電圧保護回路の正常動作を確認することを可能にするため、制御回路は、遮断状態維持回路による遮断状態維持処理の実行を禁止した状態で、疑似過電圧入力回路により疑似過電圧を過電圧保護回路の電圧検出部に入力する処理を行う。この場合、過電圧保護回路が正常に動作しているときは、第1電源から第2電源からの電力供給が遮断されて、第2電源から制御回路への電力供給も遮断されるが、第2電源からの電力供給が遮断されたときに、制御回路は、遮断状態維持回路による遮断状態維持処理の禁止を解除すると共に、疑似過電圧入力回路による過電圧保護回路の電圧検出部への疑似過電圧の入力を終了する。そのため、使用者は、第1電源からの電力供給を一旦遮断する作業を行うことなく、電源装置の使用を再開することができる。一方、過電圧保護回路が正常に動作しなかったときには、制御回路により実行される異常対応により、適切に対処することができる。
【0010】
また、前記第2電源から前記制御回路への電力の供給と遮断とを切り替えるためのスイッチング素子を備え、
前記制御回路は、前記異常対応として、前記スイッチング素子により前記第2電源から前記制御回路への電力供給を遮断する処理を行うことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、過電圧保護回路が正常動作していない状態で、制御回路が作動することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の電源装置の構成図。
図2】過電圧保護回路の動作確認処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図1図2を参照して説明する。
【0014】
[1.装置構成]
図1を参照して、電源装置1は、基本的には商用電源2(例えば、AC100Vの商用電源)から供給される電力によって作動するが、停電時には電池14をセットして電池14から供給される電力によっても作動することできる構成となっている。電源装置1は、例えば、ガスコンロ、ガス炊飯器等に搭載して使用される。
【0015】
電源装置1は、商用電源2から外部電源接続端子5,6を介して供給される交流電力から、DC13Vの直流電力を生成して出力する第1電源回路10(本発明の第1電源に相当する)、第1電源回路10から供給される直流電力からDC3V(本発明の所定電圧に相当する)の直流電力を生成して出力する第2電源回路12(本発明の第2電源に相当する)、第2電源回路から供給されるDC3Vの出力電力又は電池14から供給される直流電力からDC3.3Vの直流電力を生成して出力する第3電源回路24、及び第3電源回路から供給される電力によって作動するマイクロコンピュータ50(本発明の制御回路に相当する。以下、マイコン50という)を備えている。
【0016】
第1電源回路10は第1FET11を介して第2電源回路12に接続されている。第1FET11がON(導通状態)であるときは、第1電源回路10から第2電源回路12に電力が供給される。また、第1FET11がOFF(遮断状態)であるときには、第1電源回路10から第2電源回路12への電力供給が遮断される。
【0017】
第2電源回路12は第2FET23(本発明のスイッチング素子に相当する)を介して第3電源回路24に接続されている。第2FET23がON(導通状態)であるときは、第2電源回路12から第3電源回路24に電力が供給される。また、第2FET23がOFF(遮断状態)であるときには、第2電源回路12から第3電源回路24への電力供給が遮断される。第2電源回路12の入力部と出力部との間には、出力部から入力部への方向を順方向としてダイオード13が接続されている。
【0018】
第1FET11は、過電圧保護回路30から出力される制御電圧Vc1によってON/OFFが制御され、制御電圧Vc1がLowレベル(0Vレベル)であるときはONとなり、制御電圧Vc1がHighレベル(DC13Vレベル)であるときにはOFFとなる。
【0019】
過電圧保護回路30は、疑似過電圧入力回路32から電圧検出部に入力されるモニタ電圧Vmが判定電圧以下であるときは、第1FET11のゲートに出力する制御電圧Vc1をLowレベルとして、第1電源回路10から第2電源回路12に電力を供給する。また、疑似過電圧入力回路32から入力されるモニタ電圧Vmが判定電圧よりも高いときには、第1FET11のゲートに出力する制御電圧Vc1をHighレベルとして、第1電源回路10から第2電源回路12への電力供給を遮断する。
【0020】
過電圧保護回路30は、モニタ電圧Vmが判定電圧よりも高くなって第1FET11のゲートに出力する制御電圧Vc1をHighレベルにしたときに、第1電源回路10からの供給電力が遮断されるまで、制御電圧Vc1をHighレベルに維持する遮断状態維持処理を行う機能を有している。
【0021】
ここで、第1電源回路10から過電圧保護回路30への電力供給の遮断は、使用者が図示しない電源プラグを商用電源2のコンセントから抜くこと等により、商用電源2から第1電源回路10への電力供給を遮断することによって行う。
【0022】
遮断状態維持禁止回路31は、過電圧保護回路30による遮断状態維持処理を禁止する機能を有し、マイコン50の出力ポートPo3から第3制御信号Ct3が出力されているときに、過電圧保護回路30における遮断状態維持処理を禁止する。また、マイコン50の出力ポートPo3から第3制御信号Ct3が出力されていないときには、過電圧保護回路30において、遮断状態維持処理が実行され得る状態となる。
【0023】
疑似過電圧入力回路32は、マイコン50の出力ポートPo2から第2制御信号Ct2が出力されているときは、判定電圧を超える疑似過電圧をモニタ電圧Vmとして過電圧保護回路30に出力する。また、マイコン50の出力ポートPo2から第2制御信号Ct2が出力されていないときには、第2電源回路12の電圧Vo2をモニタ電圧Vmとして過電圧保護回路30に入力する。
【0024】
電源スイッチ20はモメンタリ型の押釦スイッチであり、使用者により押し操作されているときは接点がON(導通状態)となり、押し操作がなされていないときには接点がOFF(遮断状態)となる。電源スイッチ20は第2FET駆動回路25とマイコン50の入力ポートPi1に接続されており、マイコン50は入力ポートPi1に入力される電圧Vswにより、電源スイッチ20の操作状態を認識する。
【0025】
なお、図1では省略されているが、電源スイッチ20とマイコン50の入力ポートPi1との間には、電源スイッチ20を介して入力される電圧V3を、マイコン50の入力可能レベルに変換する回路(トランジスタ等)が設けられる。
【0026】
また、第2電源回路12の出力電圧(電池14がセットされているときには、電池14の出力電圧)を抵抗21,22で分圧した電圧Vsが、マイコン50のAD入力ポートPad(アナログ/デジタル変換入力ポート)に入力される。マイコン50は、AD入力ポートPadに入力される電圧Vsをデジタル値に変換して認識し、電圧Vsを監視する。
【0027】
第2FET駆動回路25は、電源スイッチ20及びマイコン50の出力ポートPo1に接続されており、電源スイッチ20の操作とマイコン50の出力ポートからの第1制御信号Ct1の出力とのうちの少なくともいずれか一方がなされているときに、第2FET23のゲートに出力する制御電圧Vc2をLowレベル(0Vレベル)にして、第2FET23をON状態にする。
【0028】
また、電源スイッチ20が操作されておらず、且つマイコン50の出力ポートPo1から第1制御信号Ct1が出力されていないときには、第2FET駆動回路25は、第2FET23のゲートに出力する制御電圧Vc2をHighレベル(DC3Vレベル)にして、第2FET23をOFF状態にする。
【0029】
マイコン50は、第3電源回路24から供給される電力によって作動する。使用者が電源スイッチ20を操作(電源ON操作)すると、第2FET駆動回路25からFET23のゲートに入力される制御電圧Vc2がLowレベルとなって、第2FET23がON状態となり、第2電源回路12から第3電源回路24を介してマイコン50に電力が供給される。これによりマイコン50が起動し、マイコン50はメモリに保持された電源装置1の制御用プログラムを実行して、後述する過電圧保護回路30の動作確認処理等を実行する。
【0030】
マイコン50は、出力ポートPo1から第2FET駆動回路25に第1制御信号Ct1を出力して、第2FET駆動回路25から第2FET23のゲートに出力される制御電圧Vc2をLowレベルにする。これにより、使用者が電源スイッチ20の操作を終了して、電源スイッチ20がOFFになった後も、第2FET23がON状態に維持されて、第2電源回路12から第3電源回路24を介してマイコン50に電力が供給される状態が保持され、マイコン50は作動を継続する。
【0031】
その後、使用者が電源スイッチ20を操作(電源OFF操作)して、マイコン50の入力ポートPi1に入力される電圧VswがHighレベルになったときに、マイコン50は、出力ポートPo1から第2FET駆動回路25への第1制御信号Ct1の出力を停止する。これにより、第2FET駆動回路25から第2FET23のゲートに出力される制御電圧Vc2がHighレベルとなって、第2FET23がOFF状態となり、第2電源回路12から第3電源回路24を介したマイコン50への電力供給が遮断されて、マイコン50は作動を停止する。
【0032】
[2.過電圧保護回路の動作確認処理]
次に、図2に示したフローチャートに従って、マイコン50により実行される過電圧保護回路30の動作確認処理について説明する。
【0033】
マイコン50は、STEP1で、使用者による電源スイッチ20のOFF操作(電源OFF操作)に応じて、入力ポートPi1に入力される電圧VswがHighレベルになったときにSTEP2に進む。
【0034】
STEP2で、マイコン50は、出力ポートPo3から第3制御信号Ct3を出力して、遮断状態維持禁止回路31により、過電圧保護回路30における遮断状態維持処理が禁止された状態とする。続くSTEP3で、マイコン50は、出力ポートPo2から第2制御信号Ct2を出力して、疑似過電圧入力回路32から過電圧保護回路30に、過電圧の判定電圧を超える疑似過電圧が入力される状態とする。
【0035】
これにより、過電圧保護回路30が正常に作動しているときは、過電圧保護回路30から第1FET11のゲートに入力される制御電圧Vc1がLowレベル(0Vレベル)からHighレベル(DC13Vレベル)に切り替わって、第1FET11がOFF状態となる。一方、過電圧保護回路30の故障により、過電圧保護回路30から第1FET11のゲートに入力される制御電圧Vc1がLowレベルに維持されるときには、第1FET11はON状態のままとなる。
【0036】
続くSTEP4で、マイコン50は、STEP3で疑似過電圧の入力を開始してからの経過時間によって、過電圧保護回路30の正常動作を判断するための時間(本発明の所定時間に相当する)がセットされたタイマをスタートさせ、次のSTEP5で、タイマがタイムアップするのを待つ。ここで、過電圧保護回路30が正常に作動しているときは、上述したように第1FET11がOFF状態となるので、第2電源回路12から第3電源回路24を介したマイコン50への電力供給が遮断される。
【0037】
そのため、STEP5でタイマがタイムアップする前にマイコン50の作動が停止し、STEP6以降の処理が行われることはない。そして、マイコン50への電力供給が遮断されると、出力ポートPo1〜Po3からの第1制御信号Ct1、第2制御信号Ct2、及び第3制御信号Ct3の出力が停止して、第2FET駆動回路25から第2FET23のゲートに入力される制御電圧Vc2がHighレベルとなり、疑似過電圧入力回路32から過電圧保護回路30への疑似過電圧の入力が停止し、遮断状態維持禁止回路31による過電圧保護回路30における遮断状態維持処理の禁止が解除される。
【0038】
これにより、過電圧保護回路30により第1FET11がOFF状態に維持されることが回避され、次に使用者が電源スイッチ20をON操作したときに、第2電源回路12から第3電源回路24を介したマイコン50への電力供給が再開されて、マイコン50が起動する。そのため、使用者は、過電圧保護回路30により第1FET11がOFF状態に維持された状態を解除するために、商用電源2からの電力供給を一旦遮断する作業を行う必要がない。
【0039】
一方、過電圧保護回路30が正常に作動していないために、疑似過電圧入力回路32から過電圧保護回路30に疑似過電圧を入力しても、第1FET11がOFFにならなかった場合には、STEP5でタイマがタイムアップしてSTEP6に進む。STEP6で、マイコン50は、図示しないエラーランプの点灯及びスピーカからのブザー音の出力等によるエラー報知処理を行って、使用者に電源装置1の異常を報知する。
【0040】
また、続くSTEP7で、マイコン50は、出力ポートPo1からの第1制御信号Ct1の出力を停止することにより、第2FET駆動回路25から第2FET23のゲートへの制御電圧Vc2をHighレベルとして、第2FET23をOFF状態にする。これにより、第2電源回路12から第3電源回路24を介したマイコン50への電力供給が遮断され、第2FET23に過電圧が印可された状態が継続することが防止される。なお、STEP6,7の処理は、本発明の所定の異常対応に相当する。
【0041】
[3.他の実施形態]
上記実施形態では、商用電源2からの電力供給又は電池14から供給される電力供給によって作動する例を示したが、電源回路の出力電圧を監視して、電源回路の出力が過大となったときに電源回路への電力供給を遮断する機能を有し、この遮断状態を解除するためには電源からの電力供給を一旦遮断する必要がある電源装置であれば、本発明を適用して本発明の作用効果を得ることができる。
【0042】
上記実施形態では、第2電源回路12又は電池14から第3電源回路24への電力の供給と遮断を切り替える第2FET23を備え、図2のSTEP7で、マイコン50により第2FET23をOFFする処理を行ったが、この処理を行わない場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【0043】
上記実施形態では、本発明の制御回路としてマイコン50を示したが、ロジック回路により制御回路を構成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…電源装置、2…商用電源、10…第1電源回路(第1電源)、11…第1FET、12…第2電源回路(第2電源)、14…電池、20…電源スイッチ、23…第2FET(スイッチング素子)、24…第3電源回路、25…第2FET駆動回路、30…過電圧保護回路、31…遮断状態維持禁止回路、32…疑似過電圧入力回路、50…マイクロコンピュータ(制御回路)。
図1
図2