(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した磁界応答材料941(磁気粘性流体)の作用を利用することにより、モータを用いないで、操作部材の操作量や操作方向に応じた抵抗力や推力等の外力(力覚)を付与することができる。そして、この外力(力覚)を付与する方法を従来例1のような入力装置に応用することが考えられる。
【0012】
しかしながら、従来例2の構成では、操作部材の操作量や操作方向に応じた抵抗力や推力等の外力(力覚)を付与するのみで、入力のタイミングと操作感触とがズレる場合があった。特に、操作部材の操作位置を表示する表示部を有した操作装置においては、操作部材の実際に位置する操作の位置が表示部に表示される表示位置となり、操作者が所望する操作の位置と表示位置が一致せずに、操作者に対して違和感を与えてしまうという課題があった。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するもので、操作者が操作した際に、操作者に対して磁気粘性流体を用いて良好な操作感触を与えることができる操作装置及び該操作装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題を解決するために、本発明の操作装置は、操作者の操作により動作する操作体を有した操作ユニットと、前記操作体の位置する操作の位置を検出する位置検出手段と、前記操作体の操作位置を表示する表示ユニットと、を備えた操作装置であって、前記操作ユニットが、前記操作者が操作
する前記操作体を有した操作部材と、前記操作体の動作を自在に支持する支持体と、前記操作体に対して負荷を付与する可動負荷付与機構と、を備え、前記操作体
は、前記動作を可能にする可動軸を有し、前記可動負荷付与機構が、該可動軸と係合して前記動作する可動部材と、該可動部材と隙間を挟んで対向する磁気発生機構と、該隙間の少なくとも一部に存在し磁界の強さに応じて粘性が変化する磁気粘性流体と、前記磁気発生機構を制御する操作制御部と、を有し、前記磁気発生機構が、該操作制御部による通電で磁界を発生させるコイルと、該コイルを囲むように設けられ前記可動部材の一方側に配設された第1ヨークと、を有し、
前記操作制御部による前記コイルへの電流値の強弱により、前記負荷のピーク値とボトム値を複数有する負荷カーブが形成され、前記表示ユニットが、前記操作位置を表示する表示部と、該表示部への表示を制御する表示制御部と、を備え、前記操作制御部と前記表示制御部とを制御する制御部を有し
、前記ピーク値及び前記ボトム値の内、第1ピーク値から第1ボトム値、該第1ボトム値から次の第2ピーク値に移行する際に、前記制御部が前記表示制御部を制御して、前記操作位置の移動状態を前記表示部に表示させることを特徴としている。
【0015】
これによれば、本発明の操作装置は、コイルへの通電により磁界が発生し、第1ヨークから磁路が広がって形成されて、磁気粘性流体における磁性粒子が磁束に沿って揃うこととなる。このため、第1ヨークと可動部材及び可動部材と第1ヨークにかけて形成された磁束を横切る方向に動作する可動部材に対して、磁気粘性流体により負荷がかかるようになり、可動部材及び可動軸を介して操作体に負荷がかかるようになる。また、操作者が操作体の操作を行った際に、操作ユニットの操作体の操作された位置と操作者が所望する位置(操作位置)とがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置と表示ユニットの表示部に表示された表示位置とを一致させることができる。これらのことにより、操作者に対して良好な操作感(操作感触)を与えることができる。
【0016】
また、本発明の操作装置は、電子音を発生する音発生部材と、該音発生部材を制御する音声制御部と、を備え、該音声制御部が前記制御部に制御されることを特徴としている。
【0017】
これによれば、操作体の実際の操作された位置と操作体への負荷とに応じて、任意の電子音を発生させることができる。このことにより、より良好な操作感(操作感触)を操作者に対して与えることができる。
【0018】
また、本発明の操作装置は、前記可動部材が軟磁性体からなることを特徴としている。
【0019】
これによれば、第1ヨークから可動部材に、可動部材から第1ヨークにかけて磁路が確実に形成されて、磁気粘性流体における磁性粒子が互いに対向する対向面方向に揃うこととなる。このため、磁性粒子が揃った対向面方向を横切る方向に動作する可動部材に対して、より強い負荷がかかるようになる。このことにより、可動部材及び可動軸を介して操作体により強い負荷がかかるようになり、良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
【0020】
また、本発明の操作装置は、前記磁気発生機構は、前記可動部材の他方側に前記可動部材と対向して配設された第2ヨークを有し、前記可動部材と前記第2ヨークとの前記隙間に前記磁気粘性流体が充填されていることを特徴としている。
【0021】
これによれば、可動部材の動作する方向と垂直な方向に磁性粒子を揃えることができ、より強い負荷をかけることができる。更に、磁束を横切る方向に動作する可動部材に対して、更なる負荷を付与することができる。このことにより、同等の磁界であっても、更に大きな操作感触を操作者に対して与えることができる。
【0022】
また、本発明の操作装置の制御方法は、操作者の操作により動作する操作体を有した操作ユニットと、前記操作体の位置する操作の位置を検出する位置検出手段と、前記操作体の操作位置を表示する表示ユニットと、前記操作ユニット及び前記表示ユニットを制御する制御部と、を備えた操作装置の制御方法であって、前記操作ユニットが、操作者が操作
する前記操作体を有した操作部材と、前記操作体の可動を自在に支持する支持体と、前記操作体に対して負荷を付与する可動負荷付与機構と、を備え、前記操作体
は、前記動作を可能にする可動軸を有し、前記可動負荷付与機構が、該可動軸と係合して前記動作する可動部材と、該可動部材と隙間を挟んで対向する磁気発生機構と、該隙間の少なくとも一部に存在し磁界の強さに応じて粘性が変化する磁気粘性流体と、を有し、前記磁気発生機構が、通電により磁界を発生させるコイルと、該コイルを囲むように設けられ前記可動部材の一方側に配設された第1ヨークと、前記コイルへの通電を制御する操作制御部と、を有し、前記表示ユニットが、前記操作位置を表示する表示部と、該表示部への表示を制御する表示制御部と、を備え、前記操作制御部による前記コイルへの電流値の強弱により、前記負荷のピーク値とボトム値を複数有する負荷カーブを形成し、前記制御部が、前記ピーク値及び前記ボトム値の内、第1ピーク値から第1ボトム値、該第1ボトム値から次の第2ピーク値に移行する際に、前記表示制御部を制御して、前記操作位置の移動状態を前記表示部に表示させることを特徴としている。
【0023】
これによれば、操作者が操作体の操作を行った際に、操作ユニットの操作体の操作された位置と操作者が所望する操作位置とがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置と表示ユニットの表示部に表示された表示位置とを一致させることができる。このことにより、操作者に対して良好な操作感(操作感触)を与えることができる。
【0024】
また、本発明の操作装置の制御方法は、前記制御部が、前記負荷カーブの前記ボトム値を挟んだ所定の範囲に前記操作体があるとき、前記操作位置を前記表示部の所望の位置に表示させることを特徴としている。
【0025】
これによれば、操作者が操作体から受ける負荷が小さい範囲において、操作体の操作された位置と操作者が所望する操作位置とがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置と表示位置とが一致した表示を視認することができる。このことにより、操作者に対してより良好な操作感(操作感触)を与えることができる。
【0026】
また、本発明の操作装置の制御方法は、電子音を発生する音発生部材と、該音発生部材を制御する音声制御部と、を備え、前記制御部が、前記ピーク値から前記ボトム値、該ボトム値から次の前記ピーク値に移行する際に、前記音声制御部を制御して、前記電子音を発生させることを特徴としている。
【0027】
これによれば、操作者が操作体の操作を行った際に、操作者が所望する操作位置が表示部に表示されると同時に、任意の電子音を発生させることができる。このことにより、操作者が操作した操作感(操作感触)を実感することができる。
【0028】
また、本発明の操作装置の制御方法は、前記制御部が、前記ボトム値を挟んだ所定の範囲に前記操作体があるときに、前記電子音を発生させることを特徴としている。
【0029】
これによれば、操作者が操作体から受ける負荷が小さい範囲において、任意の電子音を聞くことができる。このことにより、操作者が操作した操作感(操作感触)をより実感することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の操作装置は、コイルへの通電により磁界が発生し、第1ヨークから磁路が広がって形成されて、磁気粘性流体における磁性粒子が磁束に沿って揃うこととなる。このため、第1ヨークと可動部材及び可動部材と第1ヨークにかけて形成された磁束を横切る方向に動作する可動部材に対して、磁気粘性流体により負荷がかかるようになり、可動部材及び可動軸を介して操作体に負荷がかかるようになる。また、操作者が操作体の操作を行った際に、操作ユニットの操作体の操作された位置と操作者が所望する位置(操作位置)とがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置と表示ユニットの表示部に表示された表示位置とを一致させることができる。これらのことにより、操作者に対して良好な操作感(操作感触)を与えることができる。
【0031】
また、本発明の操作装置の制御方法は、操作者が操作体の操作を行った際に、操作ユニットの操作体の操作された位置と操作者が所望する操作位置とがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置と表示ユニットの表示部に表示された表示位置とを一致させることができる。このことにより、操作者に対して良好な操作感(操作感触)を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態に係わる操作装置100の構成を示すブロック図である。
【0036】
本発明の第1実施形態の操作装置100は、
図1に示すように、操作者の操作により動作する操作体11を有した操作ユニットU1と、操作体11の位置を検出する位置検出手段M2と、操作者が視認する操作位置PP(後述する
図14を参照)を表示する表示ユニットU4と、電子音を発生する音発生部材(他の図では図示していないが、
図1のブロック図では16で示している)を有した音声発生手段(他の図では図示していないが、
図1ではH6で示している)と、操作ユニットU1と位置検出手段M2と表示ユニットU4と音声発生手段(H6)のそれぞれと電気的に接続されている制御部(他の図では図示していないが、
図1ではC8で示している)と、を備えて構成されている。そして、本発明の第1実施形態では、操作装置100は、操作者が操作する操作ユニットU1の近傍に位置検出手段M2を配設し、位置検出手段M2と表示ユニットU4とを接続して、操作ユニットU1とは離れた位置にある表示ユニットU4に、操作体11が操作された位置を表示するようにしている。
【0037】
次に、操作装置100のそれぞれの構成要件について詳細に説明する。
【0038】
先ず、操作装置100の操作ユニットU1について説明する。
図2は、操作ユニットU1の上方斜視図である。
図3(a)は、
図2に示すZ1側から見た操作ユニットU1の上面図であり、
図3(b)は、
図2に示すY2側から見た操作ユニットU1の正面図である。
図4は、
図3(a)に示すIV−IV線における断面図である。
図5は、
図2に示す操作部材1の操作部51を省略した上方斜視図である。
図6は、
図5に示す操作ユニットU1の分解斜視図である。
【0039】
操作装置100の操作ユニットU1は、
図2、
図3及び
図5に示すような外観を呈し、
図6に示すように、操作者の操作により操作方向へ動作する操作体11を有した操作部材1と、操作体11の動作を自在に支持する支持体3と、操作体11に対して負荷を付与する可動負荷付与機構F5と、を備えて主に構成されている。なお、本発明の第1実施形態の操作装置100では、操作ユニットU1の操作体11の可動軸11j(後述するが、
図4を参照)を回転中心とした回動方向(回転方向)への操作が可能な回転型の装置となっている。
【0040】
また、第1実施形態の操作ユニットU1では、上述の構成要素に加え、
図4及び
図6に示すように、本体の側壁の一部を構成する側壁スペーサS17と(
図4を参照)、可動負荷付与機構F5の中に配設されるスリットスペーサS57と(
図13を参照)、を有している。そして、この回転型の操作ユニットU1は、
図2及び
図3に示す操作部材1の操作部51が操作体11の一端側に係合され、操作者により操作部51が把持されて操作され、操作体11が両方向に回転動作するようになっている。
【0041】
先ず、操作ユニットU1の操作部材1について説明する。操作部材1は、操作者が把持する操作部51と、操作部51が係合され操作部51の回転操作に伴って動作する操作体11と、を有している。
【0042】
操作部材1の操作部51は、操作者により把持されて操作される操作ノブや操作つまみ等の部材であり、本発明の第1実施形態では、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、poly butylene terephtalate)等の合成樹脂を用い、
図2及び
図3に示すように、円筒形状で箱状に形成されている。そして、操作部51は、
図4に示すように、操作体11の一端側に係合されている。なお、その形状は、操作し易いような形状等を考慮され、適用される製品によって任意に決められる。
【0043】
操作部材1の操作体11は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用い、
図6に示すように、円柱形状の柱部11cと、柱部11cの中心を貫き回転中心を中心とした可動軸11jと、操作体11の他端側に設けられ柱部11cより一回り大きいサイズのリング部11rと、を有して、一体に射出成形されて作製されている。そして、
図4に示すように、OリングR7が、柱部11cに挿通されて、柱部11cとリング部11rとの繋ぎ目部分に配設されている。ここに装着されているOリングR7は、後述する可動部材55が収容される収容空間を閉じる機能も有している。これにより、この収容空間に充填された磁気粘性流体75が収容空間から漏れ出すのを防止している。
【0044】
次に、操作ユニットU1の支持体3について説明する。支持体3は、
図4に示すように、操作体11の可動軸11jの端部が当設される軸受け部3jと、操作体11の柱部11cが挿通されて柱部11cを案内する軸支持部3sと、軸支持部3sを押さえて安定させるための蓋部3uと、から主に構成されている。そして、この支持体3は、操作体11の可動(回転)が自在になるように操作体11(操作部材1)を支持している。
【0045】
また、支持体3の軸受け部3jは、
図4に示すように、操作体11の可動軸11jと対向する側が凹形状となっている。そして、軸受け部3jは、操作ユニットU1が組み立てられた際には、この軸受け部3jの凹形状部分に可動軸11jの端部が当接されて、操作体11の動作が容易に行われることを許容している。
【0046】
また、支持体3の軸支持部3sは、中央部に貫通穴を有したリング形状をしており(
図6を参照)、
図4に示すように、可動負荷付与機構F5(後述する磁気発生機構FM5の第1ヨーク15の上ヨーク15A)の中央の上部に設けられた凹み部15u(後述する
図8(a)を参照)に収容されている。そして、操作体11の柱部11cが軸支持部3sの貫通穴に挿通されて、軸支持部3sが柱部11c(操作体11)を回転可能に支持している。
【0047】
また、支持体3の蓋部3uは、平板状で中央部に貫通穴を有した円形形状をしており(
図6を参照)、
図5に示すように、可動負荷付与機構F5(上ヨーク15A)に載置されている。そして、軸支持部3sと同様に、操作体11の柱部11cが蓋部3uの貫通穴に挿通されている。なお、軸受け部3j、軸支持部3s及び蓋部3uは、操作体11と同様にして、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用い、射出成形されて作製されている。
【0048】
次に、操作ユニットU1の可動負荷付与機構F5について説明する。
図7は、
図4に示すP部分の拡大断面図である。
図8(a)は、可動負荷付与機構F5の上方斜視図であり、
図8(b)は、
図8(a)に示すY2側から見た正面図である。
図9(a)は、
図8に示す第2ヨーク25を省略した下方斜視図であり、
図9(b)は、
図9(a)に示す可動部材55を更に省略した下方斜視図である。
【0049】
可動負荷付与機構F5は、
図4に示すように、可動軸11jと係合して動作する可動部材55と、
図7に示すように、可動部材55と隙間5gを挟んで一方側に対向する磁気発生機構FM5と、この隙間5gに存在する磁気粘性流体75と、を備えて構成されている。更に、可動負荷付与機構F5の磁気発生機構FM5は、
図8(a)に示すような円柱形状を呈し、
図4に示すように、通電により磁界を発生させるコイル35と、コイル35を囲むように設けられた第1ヨーク15と、可動部材55と隙間5gを挟んで他方側に対向する第2ヨーク25と、コイル35への通電を制御する操作制御部(他の図では図示していないが、
図1ではFSで示している)と、を有して構成されている。そして、可動負荷付与機構F5は、操作者による回転操作を受けて、操作体11に可動負荷付与機構F5からの負荷を与えることにより、操作者に対して操作部材1の操作部51(操作ノブや操作つまみ等)へ負荷(回転負荷)を付与するように構成されている。
【0050】
先ず、可動負荷付与機構F5の磁気発生機構FM5について説明する。磁気発生機構FM5のコイル35は、金属線材が環状に巻回されて形成されており、
図4に示すように、可動部材55の一方側(
図4に示すZ1側)に配設されている。そして、このコイル35に通電することにより、コイル35の周囲に磁界が発生するようになる。なお、コイル35は、金属線材が巻回されて束ねられた形状となっているが、
図6では、簡略化して、表面を平坦にして示している。
【0051】
次に、磁気発生機構FM5の第1ヨーク15は、
図4に示すように、コイル35を囲むようにして設けられ、コイル35の一方側(
図4に示すZ1側)とコイル35の内側側壁(環状形状の中心側の側壁)とを覆う上ヨーク15Aと、コイル35の外側側壁とコイル35の他方側(
図4に示すZ2側)の一部とを覆う横ヨーク15Bと、コイル35の他方側の一部を覆う下ヨーク15Cと、を有して構成されている。そして、第1ヨーク15は、
図4に示すように、可動部材55の一方側に配設されて、横ヨーク15Bの一部及び下ヨーク15Cが可動部材55と隙間5g(第1隙間5ga、
図7を参照)を挟んで対向している。この第1ヨーク15により、コイル35から発生する磁束が閉じ込められ、効率的に可動部材55側に磁界が作用することとなる。
【0052】
また、第1ヨーク15は、
図7及び
図9(b)に示すように、可動部材55と対向する側において、横ヨーク15Bと下ヨーク15Cとで形成されたスリット15s(ヨークスリット)を有しており、第1ヨーク15の可動部材55と対向する側が分割された形状となっている。ここで、可動部材55と対向している横ヨーク15Bの部分を、第1ヨーク15の第1対向部TB5とし、可動部材55と対向している下ヨーク15Cの部分を、第2対向部TC5としている。
【0053】
また、
図4及び
図7に示すように、このスリット15s幅は、第1ヨーク15と可動部材55との隙間5g(第1隙間5ga)より狭くなっている。これにより、コイル35への通電により磁界が発生し、例えば第1ヨーク15の第1対向部TB5から第2対向部TC5にかけて磁路が可動部材55側に広がって形成されるようになる。
【0054】
また、本発明の第1実施形態では、第1ヨーク15のスリット15sの部分には、
図9(b)に示すように、リング形状のスリットスペーサS57(
図6を参照)が収納されている。このスリットスペーサS57は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用いて形成されており、第1ヨーク15(横ヨーク15B)の第1対向部TB5と第1ヨーク15(下ヨーク15C)の第2対向部TC5とを磁気回路においても分割している。なお、本発明の第1実施形態では、第1ヨーク15が、上ヨーク15A、横ヨーク15B及び下ヨーク15Cの3つの部品で構成されているが、これに限るものではなく、2つの部品或いは4つ以上の部品で構成されていても良い。また、第1ヨーク15にスリット15sを好適に用いた構成であるが、スリット15sを有さない構成であっても良い。
【0055】
次に、磁気発生機構FM5の第2ヨーク25は、
図6に示すような円盤形状で形成されており、
図4、
図7及び
図8(b)に示すように、可動部材55の他方側に配設され、可動部材55と隙間5g(第2隙間5gb、
図7を参照)を挟んで対向している。これにより、コイル35から発生した磁束が、第1ヨーク15の第1対向部TB5から第2ヨーク25に、第2ヨーク25から第1ヨーク15の第2対向部TC5にかけて確実に貫くこととなる。このため、可動部材55の動作する方向(
図8(a)に示すX−Y平面を横切る方向)と垂直な方向(
図8(b)に示すX−Y平面に垂直なZ方向)に確実に磁路が形成される。
【0056】
また、第1ヨーク15(横ヨーク15B)の外周側と第2ヨーク25の外周側との間には、本体の側壁の一部を構成する側壁スペーサS17が設けられている。この側壁スペーサS17も、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等の合成樹脂を用いて形成されており、第1ヨーク15(横ヨーク15B)と第2ヨーク25とを磁気回路において分割している。
【0057】
また、
図4に示すように、第1ヨーク15と第2ヨーク25と側壁スペーサS17とで、操作体11の可動軸11jに沿った方向(
図4に示すZ方向)と直交する方向(X−Y平面の方向)に狭い収容空間を形成している。この狭い収容空間に、可動負荷付与機構F5の可動部材55が配設されている。
【0058】
次に、磁気発生機構FM5の操作制御部(FS)は、集積回路(IC、integrated circuit)を用いており、コイル35への通電量、通電のタイミング等を制御している。具体的には、例えば、操作者の操作により回転操作がされた際に、操作体11の位置を検出する位置検出手段M2からの検出信号を受けて、操作制御部(FS)は、コイル35にある一定量の電流を流したり、操作体11の位置に応じて電流量を変化させたりしている。
【0059】
また、操作制御部(FS)は、図示していない回路基板に搭載されて、コイル35と電気的に接続されている。なお、操作制御部(FS)及び回路基板は、磁気発生機構FM5の近傍に好適に配設されているが、これに限るものではない。例えば、操作制御部(FS)は、フレキシブルプリント基板(FPC、Flexible printed circuits)等でコイル35と接続され、適用される製品の母基板(マザーボード)に搭載されていても良い。
【0060】
次に、可動負荷付与機構F5の可動部材55について説明する。可動部材55は、
図6に示すように、可動軸11jの回転中心を中心とした貫通穴を有した基部55dと、基部55dと一体に形成され回転中心を中心とした円盤形状の円盤部55eと、から構成されている。
【0061】
また、可動部材55は、鉄等の軟磁性体から形成されている。これにより、第1ヨーク15から可動部材55に、可動部材55から第1ヨーク15にかけて磁路が確実に形成される。つまり、可動部材55の動作する方向と垂直な方向に確実に磁路が形成される。
【0062】
可動部材55の基部55dは、
図4に示すように、操作体11のリング部11rの下部側で操作体11の可動軸11jと係合している。これにより、操作体11の両方向への回転動作に伴って、可動部材55の円盤部55eが両方向へ回転移動することとなる。
【0063】
可動部材55の円盤部55eは、操作装置100が組み立てられた際には、
図4に示すように、上述した狭い収容空間に収容される。これにより、コイル35から発生した磁束が、第1ヨーク15の第1対向部TB5から可動部材55に、可動部材55から第2ヨーク25に、第2ヨーク25から可動部材55に、可動部材55から第1ヨーク15の第2対向部TC5にかけて、確実に貫くこととなる。このため、可動部材55の動作する方向と垂直な方向により確実に磁路が形成される。
【0064】
また、円盤部55eには、
図6及び
図9(a)に示すように、可動軸11jの回転中心を中心とした仮想のリング形状を4つに分割した円弧形状の可動部スリット55sが形成されている。この可動部スリット55sは、
図4及び
図7に示すように、第1ヨーク15に設けられたスリット15sと対向した位置に設けられている。これにより、コイル35から発生した磁束が、可動部材55により閉じ込められることがなく、第1ヨーク15及び可動部材55を介して第2ヨーク25へ、第2ヨーク25から可動部材55を介して第1ヨーク15へと、確実に貫くことができるようになる。このことにより、第1ヨーク15から第2ヨーク25まで誘導されず上側の磁気粘性流体75や可動部材55だけを通るようにショートカットして第1ヨーク15へ(横ヨーク15Bから第2ヨーク25を介さず下ヨーク15Cへ)導かれる磁束を少なくすることができる。
【0065】
しかも、
図7に示すように、可動部スリット55sの幅が第1ヨーク15のスリット15sの幅よりも小さいので、第1ヨーク15からの磁束の広がりを可動部材55で捕捉することができ、第2ヨーク25まで導くことができる。なお、可動部スリット55sの幅の中心位置とスリット15sの幅の中心位置とが一致するようにすると、より好適である。
【0066】
最後に、可動負荷付与機構F5の磁気粘性流体75について説明する。
図10は、磁気粘性流体75について説明する模式図であって、
図10(a)は、磁界が印加されていない状態の磁気粘性流体75の図であり、
図10(b)は、磁界が印加されている状態の磁気粘性流体75の図である。なお、
図10(b)には、説明を分かり易くするために磁界(磁束)の流れを2点鎖線で示している。
【0067】
磁気粘性流体75は、
図10(a)に示すように、有機溶剤等の溶質SV中に、鉄やフェライト等の磁性を有した微細な磁性粒子JRが分散した物質であって、一般的にMR流体(Magneto Rheological Fluid)と呼称されている。この磁気粘性流体75は、磁界の強さに応じて粘性が変化する特性を有しており、同じような磁性流体(Magnetic Fluid)とは区別されている。両者の形態の大きな違いは粉体の粒子径であり、MR流体の方が1μm〜1mm程度で、磁性流体の方が10nm〜1μm程度で、MR流体の方が磁性流体と比べて粒子径が100〜1000倍程度、大きくなっている。
【0068】
ここで、この磁気粘性流体75における“磁界の強さに応じて粘性が変化する”ことについて簡単に説明する。
【0069】
先ず、磁気粘性流体75に磁界がかかっていない場合、
図10(a)に示すように、磁性粒子JRが不規則に溶質SV中に分散している。この際に、例えば可動部材55が動作する(
図10(a)に示すZ方向に対して垂直な面(X−Y平面)での回転)と、比較的低い抵抗力を受けながら可動部材55が容易に動作する。
【0070】
次に、磁気発生機構FM5のコイル35に電流が流されて磁界が発生すると、
図10(b)に示すように、磁気粘性流体75に対して作用する磁界に沿って(
図10(b)ではZ方向に沿って)、磁性粒子JRが直鎖状に規則的に揃うようになる。なお、この規則性の度合いは、磁界の強さに応じて変化している。つまり、磁気粘性流体75に対して作用する磁界が強くなればなる程、規則性の度合いが強くなる。そして、この直鎖状に揃った磁性粒子JRの規則性を崩す方向に対して、より強いせん断力が働き、結果として、この方向に対しての粘性が強くなってくる。特に、作用した磁界に対して直交する方向(
図10(b)ではX−Y平面方向)に最も高いせん断力が働いている。
【0071】
そして、このような通電状態(
図10(b)に示す状態)で、可動部材55が動作すると、可動部材55に対して抵抗力が生じ、可動部材55に係合した操作体11に、この抵抗力(回転負荷)が伝達するようになる。これにより、可動負荷付与機構F5は、操作者に対して回転操作の回転負荷(回転に対する負荷)を付与することができる。その際に、操作制御部(FS)によりコイル35への通電量や通電のタイミング等を制御しているので、操作者に対して任意のタイミングで任意の負荷を自由に与えることができる。
【0072】
この“磁界の強さに応じて抵抗力(回転負荷)が強くなる”ことを検証した結果を
図11に示す。
図11は、磁気発生機構FM5のコイル35に流す電流と操作体11にかかるトルクとの関係の一例を表したグラフである。横軸は電流(A)で縦軸がトルク(Nm)である。このトルクは、操作体11にかかる抵抗力(回転負荷)に相当する。
【0073】
図11に示すように、磁気発生機構FM5のコイル35に流す電流を大きくすると、それに伴って発生する磁界が強くなり、この磁界の強さに伴ってトルク、つまり操作体11にかかる抵抗力(回転負荷)が増大するようになる。このようにして、磁気粘性流体75における“磁界の強さに応じて、粘性が変化して、抵抗力が強くなる”ことを利用して、操作体11(操作部材1)に可変の負荷をかけることができる。
【0074】
本発明の第1実施形態では、上述した特性を有した磁気粘性流体75を好適に用いている。そして、磁気粘性流体75は、
図4に示すように、第1ヨーク15と可動部材55との隙間5g(第1隙間5ga、
図7を参照)に配設され、特に、
図4に示すように、第1ヨーク15の第1対向部TB5及び第2対向部TC5と可動部材55との隙間5g(第1隙間5ga)に充填されている。これにより、第1ヨーク15(第1対向部TB5)と可動部材55及び可動部材55と第1ヨーク15(第2対向部TC5)にかけて形成された磁束を横切る方向に動作する可動部材55に対して、磁気粘性流体75により負荷(回転負荷)がかかるようになる。このことにより、可動部材55及び可動軸11jを介して操作体11に負荷(回転負荷)がかかるようになる。従って、良好な操作感触が得られる操作装置100を提供することができる。
【0075】
しかも、本発明の第1実施形態では、
図9(b)に示す第1対向部TB5における磁気粘性流体75に臨む第1対向面15rの面積と第2対向部TC5における磁気粘性流体75に臨む第2対向面15tの面積とが同じである。これにより、磁束の入口と出口とで磁束密度が同等になり、コイル35から発生した磁束を磁気粘性流体75の粘性の制御に効率的に作用させることができる。このことにより、可動部材55に対して均等に負荷(回転負荷)を付与することができ、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
【0076】
更に、本発明の第1実施形態では、可動部材55と第2ヨーク25との隙間5g(第2隙間5gb)にも磁気粘性流体75が充填されている。ここに充填された磁気粘性流体75にも、第1ヨーク15(第1対向部TB5)から可動部材55を介して第2ヨーク25に、第2ヨーク25から可動部材55を介して第1ヨーク15(第2対向部TC5)にかけて形成された磁束が作用することとなる。このため、可動部材55の動作する方向と垂直な方向に磁性粒子JRを揃えることができ、より強い回転負荷をかけることができる。このことにより、更なる回転負荷を付与することができ、同等の磁界であっても、更に大きな操作感触を操作者に対して与えることができる。
【0077】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の操作ユニットU1は、操作部材1の操作量や操作方向に応じた抵抗力や推力等の外力(力覚)を付与する方法として、従来例1のようにモータ810を用いていないので、小型化が図れるとともに、消費電力を低減することができる。しかも、外力(力覚)が付与される際の音も生じることがない。
【0078】
次に、操作装置100の位置検出手段M2について説明する。
図12は、位置検出手段M2を説明する図であって、
図2に示す操作部材1の操作部51を省略した上方斜視図である。
図13は、位置検出手段M2の分解斜視図である。
【0079】
操作装置100の位置検出手段M2は、
図13に示すように、磁気を発生する永久磁石12と、永久磁石12の一方側に配設された可動ヨーク32と、永久磁石12の他方側に配設された固定ヨーク42と、可動ヨーク32と固定ヨーク42との間に配設され(
図12を参照)磁気を検出する2つの磁気センサ62と、を備えて構成されている。そして、位置検出手段M2は、
図12に示すように、操作ユニットU1の操作体11の近傍に配設され、操作体11の位置を検出している。つまり、本発明の第1実施形態では、位置検出手段M2は、操作体11の回転動作を検出、例えば操作体11の回転角度を検出して、操作体11の位置を特定している。
【0080】
先ず、位置検出手段M2の永久磁石12は、一般的なサマリウムコバルト磁石等を用いており、
図13に示すように、中央に貫通孔12hを有した円形のリング形状で形成されている。この貫通孔12hには、
図4に示すように、操作体11が回転可能に挿通されている。
【0081】
次に、位置検出手段M2の可動ヨーク32は、鉄等の軟磁性体材料を用いており、
図13に示すように、円盤形状の盤部32bと、盤部32bの中央に設けられた円形形状の台座部32dと、から構成されている。
【0082】
また、可動ヨーク32の中央には、盤部32b及び台座部32dを貫通する貫通孔32hが形成されており、この貫通孔32hには、
図4に示すように、操作体11が挿通されて嵌合されている。また、
図4に示すように、台座部32dと操作部51とが嵌合されている。そして、操作者の操作により、操作部51が動作(回転動作)するのに伴って、可動ヨーク32が回転動作するとともに、操作体11が回転動作するように構成されている。
【0083】
また、盤部32bの永久磁石12と対向する側は、
図12及び
図13に示すように、永久磁石12に対する距離が変化するように、凹凸形状に形成されている。これにより、可動ヨーク32が回転操作した際には、永久磁石12と可動ヨーク32との間の磁界が変化することとなる。つまり、凸部では磁界が強まり、凹部では磁界が弱まるようになっている。
【0084】
次に、位置検出手段M2の固定ヨーク42は、鉄等の軟磁性体材料を用いており、
図13に示すように、円盤形状の外観を呈し、中央に形成された貫通孔42hと、永久磁石12が載置され収容されるへこみ部42rと、磁気センサ62が載置され収容される切欠部42kと、を有して構成されている。そして、永久磁石12から発生した磁束が可動ヨーク32から固定ヨーク42へと磁路を形成することとなる。
【0085】
最後に、位置検出手段M2の磁気センサ62は、磁界の変化を検知する磁気検出素子(図示していないが、
図1では62Kで示している)と、磁気検出素子からの信号に基づいて角度を算出するセンサ制御部(他の図では図示していないが、
図1ではSSで示している)と、を備えて構成され、
図12及び
図13に示すように、4つの取り出し端子を有して、磁気検出素子及びセンサ制御部(SS)を合成樹脂によりパッケージングされている。そして、2つの磁気センサ62は、
図12示すように、可動ヨーク32と固定ヨーク42との間に配設されて、可動ヨーク32と固定ヨーク42との間の磁界の変化を検出している。
【0086】
また、磁気検出素子は、ホール効果を用いて磁気を検出するホール素子を用いている。また、センサ制御部(SS)は、集積回路(IC)を用いている。なお、2つの磁気センサ62がそれぞれ検出する磁界が異なるように、2つの磁気センサ62の配設位置と盤部32bの凹凸形状が設けられる位置とは、適切に対応して構成されている。
【0087】
次に、操作装置100の表示ユニットU4について説明する。
図14は、表示ユニットU4を説明する模式図であって、表示ユニットU4の上面図の一部である。
【0088】
操作装置100の表示ユニットU4は、一般に広く用いられている液晶ディスプレイ(LCD、liquid crystal display)等の表示デバイスを用いており、
図14に示すように、操作体11(操作部51)の操作位置PPを表示する表示部14(液晶パネル)と、この表示部14へ操作体11(操作部51)及び所望の位置(操作位置PP)を表示するための表示制御部(他の図では図示していないが、
図1ではPSで示している)と、を備えて構成されている。なお、この表示制御部(PS)は、液晶パネルの駆動用モジュールに組み込まれている。
【0089】
そして、本発明の第1実施形態では、表示制御部(PS)は、
図14に示すように、ポイント位置QPが明示された操作部51の画像と、操作体11の位置する操作位置PP(操作者が所望する視認の位置)の画像と、を、液晶パネルの表示部14に表示するようにしている。これにより、操作位置PPは、操作ユニットU1の操作体11の状態に連動して可変して表示できるようになっている。つまり、操作者が操作体11の操作を行った際に、操作ユニットU1の操作体11の操作された位置と操作者が所望する操作の位置(操作位置PP)とがズレていたとしても、操作者が所望する操作の位置(操作位置PP)と表示ユニットU4の表示部14に表示された表示位置(視認される位置で)とを一致させることができる。
【0090】
次に、操作装置100の音声発生手段(H6)について説明する。音声発生手段(H6)は、圧電素子を用いた一般的な電子音を発生する音発生部材(16)と、音発生部材(16)を制御する音声制御部(他の図では図示していないが、
図1のブロック図ではHSで示している)と、を備えて構成されている。そして、音声発生手段(H6)の音声制御部(HS)は、操作ユニットU1の操作体11の状態に連動して、音発生部材(16)を駆動している。つまり、操作体11の実際の操作された位置と操作体11への負荷とに応じて、任意の電子音を発生させることができる。
【0091】
最後に、操作装置100の制御部(C8)について説明する。制御部(C8)は、集積回路(IC)を用いて構成されており、
図1に示すように、操作ユニットU1の操作制御部(FS)と、位置検出手段M2のセンサ制御部(SS)と、表示ユニットU4の表示制御部(PS)と、音声発生手段(H6)の音声制御部(HS)と、それぞれ電気的に接続されている。そして、制御部(C8)は、操作ユニットU1及び位置検出手段M2からの情報に基づいて、操作制御部(FS)、センサ制御部(SS)、表示制御部(PS)及び音声制御部(HS)を制御している。
【0092】
ここで、本発明の第1実施形態の操作装置100における、効果について、以下に纏めて説明する。
【0093】
本発明の第1実施形態の操作装置100は、可動負荷付与機構F5が操作体11(可動軸11j)と係合して動作する可動部材55と、可動部材55の一方側に配設された磁気発生機構FM5のコイル35及び第1ヨーク15と、可動部材55との隙間5g(第1隙間5ga)の少なくとも一部に存在する磁気粘性流体75と、を備えた構成とした。これにより、コイル35への通電により磁界が発生し、第1ヨーク15から磁路が広がって形成されて、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが磁束に沿って揃うこととなる。このため、第1ヨーク15と可動部材55及び可動部材55と第1ヨーク15にかけて形成された磁束を横切る方向に動作する可動部材55に対して、磁気粘性流体75により負荷がかかるようになり、可動部材55及び可動軸11jを介して操作体11に負荷がかかるようになる。また、コイル35への通電を制御する操作ユニットU1の操作制御部(FS)と表示部14への表示を制御する表示ユニットU4の表示制御部(PS)とを制御する制御部(C8)を有しているので、操作者が操作体11の操作を行った際に、操作ユニットU1の操作体11の操作された位置と操作者が所望する位置(操作位置PP)とがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置PPと表示ユニットU4の表示部14に表示された表示位置(視認される位置)とを一致させることができる。これらのことにより、操作者に対して良好な操作感(操作感触)を与えることができる
【0094】
また、電子音を発生する音発生部材(16)と音発生部材(16)を制御する音声制御部(HS)とを備え、音声制御部(HS)が制御部(C8)に制御されるので、操作体11の実際の操作された位置と操作体11への負荷とに応じて、任意の電子音を発生させることができる。このことにより、より良好な操作感(操作感触)を操作者に対して与えることができる。
【0095】
また、可動部材55が軟磁性体からなるので、第1ヨーク15(第1対向部TB5)から可動部材55に、可動部材55から第1ヨーク15(第2対向部TC5)にかけて磁路が確実に形成されて、磁気粘性流体75における磁性粒子JRが第1ヨーク15と可動部材55と互いに対向する対向面方向(
図4に示すZ方向)に揃うこととなる。このため、磁性粒子JRが揃った対向面方向を横切る方向に動作する可動部材55に対して、より強い負荷(回転負荷)がかかるようになる。このことにより、可動部材55及び可動軸11jを介して操作体11により強い負荷がかかるようになり、より良好な操作感触を操作者に対して与えることができる。
【0096】
また、磁気発生機構FM5が可動部材55の他方側に対向して配設された第2ヨーク25を有するので、第1ヨーク15(第1対向部TB5)から第2ヨーク25に、第2ヨーク25から第1ヨーク15(第2対向部TC5)にかけて磁路が確実に形成される。このため、可動部材55の動作する方向と垂直な方向に磁性粒子JRを揃えることができ、より強い負荷(回転負荷)をかけることができる。更に、可動部材55と第2ヨーク25との隙間5g(第2隙間5gb)に磁気粘性流体75が充填されているので、磁束を横切る方向に動作する可動部材55に対して、更なる負荷を付与することができる。これらのことにより、可動部材55及び可動軸11jを介してより強い負荷(回転負荷)を操作体11にかけることができるとともに、同等の磁界であっても、更に大きな操作感触を操作者に対して与えることができる。
【0097】
次に、発明の第1実施形態の操作装置100における制御方法について、
図14及び
図15を用いて簡単に説明する。
図15は、操作装置100における制御方法について説明する模式図であって、操作体11に付与される負荷の負荷カーブの一例を示したグラフである。横軸は、操作体11(操作部51)の位置を示し、縦軸は、操作体11に付与される負荷荷重を示している。
【0098】
本発明の第1実施形態の操作装置100は、可動負荷付与機構F5(磁気発生機構FM5)の操作制御部(FS)によって、コイル35への電流値を制御して、例えば、
図15に示すような負荷カーブのような負荷を操作体11(操作部51)に付与している。具体的には、操作者の操作により回転操作がされた際に、操作装置100の制御部(C8)は、位置検出手段M2からの操作体11の位置情報(位置の情報信号)に基づいて、磁気発生機構FM5の操作制御部(FS)に命令信号を送付する。そして、命令信号を受けた操作制御部(FS)は、ある一定量の電流をコイル35にタイミングを図って流すようにし、流す電流量(電流値)も変化させている。このように、コイル35への電流値の強弱により、
図15に示すように、ピーク値Pvとボトム値Bvを複数有する負荷カーブを形成している。
【0099】
また、制御部(C8)は、操作者の操作により回転操作がされて、あるピーク値Pv(第1ピーク値)からボトム値Bv(第1ボトム値)、第1ボトム値から次のピーク値Pv(第2ピーク値)に移行する際に、表示ユニットU4の表示制御部(PS)に命令信号を送信する。そして、命令信号を受けた表示制御部(PS)は、操作部51を回転させるとともに、操作部51のポイント位置QP(
図14を参照)が移動して操作位置PPと一致する状態(移動状態)を、表示ユニットU4の表示部14に表示させるようにしている。このため、操作者が操作体11の操作を行った際に、操作ユニットU1の操作体11が操作された実際の位置と操作者が所望する操作位置PPとがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置PPと表示ユニットU4の表示部14に表示された表示位置とを一致させることができる。
【0100】
特に、本発明の第1実施形態では、制御部(C8)は、負荷カーブのボトム値Bvを挟んだ所定の範囲(例えば
図15に示す破線の間の範囲)に操作体11があるとき、操作位置PPを表示部14の所望の位置に表示させるようにしている。このため、操作者が操作体11から受ける負荷が小さい範囲において、操作体11の操作された実際の位置と操作者が所望する操作位置PPとがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置PPと表示部14の表示位置とが一致した表示を視認することができる。これれらのことにより、操作者に対して良好な操作感(操作感触)を与えることができる。
【0101】
また、制御部(C8)は、操作者の操作により回転操作がされて、あるピーク値Pv(第1ピーク値)からボトム値Bv(第1ボトム値)、第1ボトム値から次のピーク値Pv(第2ピーク値)に移行する際に、音声発生手段(H6)の音声制御部(HS)に命令信号を送信する。そして、命令信号を受けた音声制御部(HS)は、音発生部材(16)による電子音を発生させるようにしている。このため、操作者が操作体11の操作を行った際に、操作者が所望する操作位置PPが表示部14に表示されると同時に、任意の電子音を発生させることができる。このことにより、操作者が操作した操作感(操作感触)を実感することができる。
【0102】
特に、本発明の第1実施形態では、制御部(C8)が、ボトム値Bvを挟んだ所定の範囲に操作体11があるときに、電子音を発生させるので、操作者が操作体11から受ける負荷が小さい範囲において、任意の電子音を聞くことができる。このため、操作の終了時に近い状態のときに電子音を聞くので、操作者が操作した操作感(操作感触)をより実感することができる。
【0103】
最後に、本発明の第1実施形態の操作装置100の制御方法における、効果について、以下に纏めて説明する。
【0104】
本発明の第1実施形態の操作装置100の制御方法は、制御部(C8)が、操作制御部(FS)により形成された負荷カーブの第1ピーク値から第1ボトム値、第1ボトム値から次の第2ピーク値に移行する際に、表示制御部(PS)を制御して、操作位置PP(表示位置)の移動状態を表示部14に表示させるように構成した。このため、操作者が操作体11の操作を行った際に、操作ユニットU1の操作体11が操作された位置と操作者が所望する操作位置PPとがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置PPと表示ユニットU4の表示部14に表示された表示位置とを一致させることができる。このことにより、操作者に対して良好な操作感(操作感触)を与えることができる。
【0105】
また、負荷カーブのボトム値Bvを挟んだ所定の範囲に操作体11があるとき、操作位置PPを表示部14の所望の位置に表示させるので、操作者が操作体11から受ける負荷が小さい範囲において、操作体11の操作された位置と操作者が所望する操作位置PPとがズレていたとしても、操作者が所望する操作位置PPと表示部14の表示位置とが一致した表示を視認することができる。このことにより、操作者に対してより良好な操作感(操作感触)を与えることができる。
【0106】
また、制御部(C8)が、操作制御部(FS)により形成された負荷カーブのピーク値Pvからボトム値Bv、ボトム値Bvから次のピーク値Pvに移行する際に、音声制御部(HS)を制御して、音発生部材(16)による電子音を発生するように構成した。このため、操作者が操作体11の操作を行った際に、操作者が所望する操作位置PPに表示位置が表示されると同時に、任意の電子音を発生させることができる。このことにより、操作者が操作した操作感(操作感触)を実感することができる。
【0107】
また、制御部(C8)がボトム値Bvを挟んだ所定の範囲に操作体11があるときに電子音を発生させるので、操作者が操作体11から受ける負荷が小さい範囲において、任意の電子音を聞くことができる。このことにより、操作者が操作した操作感(操作感触)をより実感することができる。
【0108】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0109】
<変形例1>
上記第1実施形態では、操作ユニットU1と表示ユニットU4とを離れた位置に配設して構成にしたが、これに限るものではなく、例えば操作ユニットU1の近傍に表示ユニットU4を配設して、操作者が両方を視認できるようにしても良い。
【0110】
<変形例2>
上記第1実施形態では、可動部材55が収容される収容空間(第1ヨーク15と第2ヨーク25と側壁スペーサS17とで形成した収容空間)を満たすように磁気粘性流体75が充填されていたが、これに限るものではなく、磁気粘性流体75が隙間5gの少なくとも一部に存在していれば良い。
【0111】
<変形例3>
上記第1実施形態では、音声発生手段(H6)として、好適に電子音を発生する音発生部材(16)を用いた構成としたがこれに限るものではなく、例えば、被打物を打振して音を発生するような機械的な機構を用いても良い。
【0112】
<変形例4>
上記第1実施形態では、位置検出手段M2として、永久磁石12と可動ヨーク32と2つの磁気センサ62とで構成したが、これに限りものではない。例えば、抵抗体パターンが形成された基板と抵抗体パターンを摺接する摺動子とから構成された、所謂、回転型可変抵抗器を用いても良い。
【0113】
<変形例5>
上記第1実施形態では、可動部材55が好適に軟磁性体から形成されていたが、これに限るものではなく、合成樹脂等の非磁性体であっても良い。
【0114】
<変形例6>
上記第1実施形態では、第1ヨーク15の横ヨーク15Bと下ヨーク15Cとで、第1対向部TB5及び第2対向部TC5を構成したが、下ヨーク15Cのみが可動部材55と対向するようにして、第1対向部TB5及び第2対向部TC5を設けない構成でも良い。
【0115】
<変形例7>
上記第1実施形態では、可動部材55が円盤形状を有して構成されていたが、これに限るものではなく、例えば矩形状や多角形形状であっても良い。
【0116】
<変形例8>
上記第1実施形態では、軟磁性体からなる可動部材55に可動部スリット55sを設けた構成であったが、可動部スリット55sを設けない構成でも良い。その際には、可動部材55を非磁性体とするのが好適である。
【0117】
<変形例9><変形例10>
上記第1実施形態では、可動部材55が回転動作するタイプの回転型の操作装置であったが、この回転動作に限るものではない。例えば、可動部材が支持体の延在方向に対して交差する方向にスライド動作するスライド型の操作装置であっても良い{変形例9}。また、例えば、支持体の延在方向にプッシュ動作する押圧型の操作装置であっても良い{変形例10}。この押圧型の操作装置の場合、可動部材と第1ヨーク(及び第2ヨーク)とがプッシュ動作方向に対して交差する方向(好ましくは直交方向)で対向するようにし、可動部材と第1ヨーク(及び第2ヨーク)との隙間に磁気粘性流体を充填するように構成すると適切に負荷を与えることができる。
【0118】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。