特許第6661030号(P6661030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661030
(24)【登録日】2020年2月13日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】半乾きのインクジェット媒体用の調整機
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20200227BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   B65H29/70
   B41J2/01 305
   B41J2/01 125
   B41J2/01 123
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-552629(P2018-552629)
(86)(22)【出願日】2016年1月15日
(65)【公表番号】特表2019-502618(P2019-502618A)
(43)【公表日】2019年1月31日
(86)【国際出願番号】US2016013734
(87)【国際公開番号】WO2017123257
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2018年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】シバタ,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ラスムセン,スティーヴ・オー
(72)【発明者】
【氏名】ライサネン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ビンガム,ジェフリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】シング,サム
(72)【発明者】
【氏名】マルッジ,アウレリオ
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−301151(JP,A)
【文献】 特開2008−110554(JP,A)
【文献】 特開2006−167967(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0113868(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B65H 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半乾きのインクジェット媒体用の調整機であって、
前記調整機の第1の端部を印刷装置に連結する第1の連結部と、
前記調整機の第2の端部を仕上げ装置に連結する第2の連結部と、
半乾きのインクジェット媒体を前記印刷装置から受け取り、該半乾きのインクジェット媒体を前記仕上げ装置に送給するための、前記調整機を通って延在する圧迫経路と
互いに連結されて前記圧迫経路を構成している、第1の硬化装置と第2の硬化装置であって、前記半乾きのインクジェット媒体を加熱して水分を除去することによって前記半乾きのインクジェット媒体を硬化させるものであり、前記第1の硬化装置が、前記半乾きのインクジェット媒体の蒸発した印刷液から水分を受け取り、前記第2の硬化装置が、前記半乾きのインクジェット媒体に前記水分を加えるものである、第1の硬化装置及び第2の硬化装置と
を備えてなる調整機。
【請求項2】
前記調整機の前記第1の端部と前記調整機の前記第2の端部とが、張出し部を備えている、請求項1に記載の調整機。
【請求項3】
前記張出し部が、前記圧迫経路と比べて大きな面積を有している、請求項2に記載の調整機。
【請求項4】
前記半乾きのインクジェット媒体上にコーティング材を被着させるための液体被着装置を備えている、請求項1に記載の調整機。
【請求項5】
前記圧迫経路が過剰圧迫経路であり、
前記過剰圧迫経路が、前記調整機の前記第1の端部と前記調整機の前記第2の端部との間の一部にアーチを備えている、請求項1に記載の調整機。
【請求項6】
半乾きのインクジェット媒体用の調整機のシステムであって、
印刷装置に連結されて、前記印刷装置から半乾きのインクジェット媒体を受け取る調整機であって、前記半乾きのインクジェット媒体のいくつかの物理的特性を変化させる圧迫経路と、互いに連結されて前記圧迫経路を構成し、前記半乾きのインクジェット媒体を加熱して水分を除去することによって前記半乾きのインクジェット媒体を硬化させる、第1の硬化装置及び第2の硬化装置とを備えており、前記第1の硬化装置が、前記半乾きのインクジェット媒体の蒸発した印刷液から水分を受け取り、前記第2の硬化装置が、前記半乾きのインクジェット媒体に前記水分を加えるものである、調整機と、
前記圧迫経路に熱を加えるための熱源と、
前記調整機に連結されて、前記調整機から前記半乾きのインクジェット媒体を受け取る仕上げ機と
を備えてなるシステム。
【請求項7】
前記調整機が、前記半乾きのインクジェット媒体の全面にコーティング材を分布させる定着機を備えている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記圧迫経路が、前記半乾きのインクジェット媒体に圧迫を加えるための真空状態を有している、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記圧迫経路が、該圧迫経路内で前記半乾きのインクジェット媒体を曲げるアーチを備える過剰圧迫経路を備えている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記圧迫経路が、前記半乾きのインクジェット媒体の表面に圧力を加えるものである、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記圧迫経路が加える前記圧力によって、前記仕上げ機のいくつかの特性に応じて前記いくつかの物理的性質を変化させる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
半乾きのインクジェット媒体用の調整機のシステムであって、
第1の連結部と第2の連結部との間にある圧迫経路と、互いに連結されて前記圧迫経路を構成している、第1の硬化装置と第2の硬化装置とを備える調整機であって、前記圧迫経路が、該圧迫経路を通過する半乾きのインクジェット媒体に圧力を加えるものであり、前記第1の硬化装置と前記第2の硬化装置は、前記半乾きのインクジェット媒体を加熱して水分を除去することによって前記半乾きのインクジェット媒体を硬化させるものであり、前記第1の硬化装置が、前記半乾きのインクジェット媒体の蒸発した印刷液から水分を受け取り、前記第2の硬化装置が、前記半乾きのインクジェット媒体に前記水分を加えるものである、調整機と、
前記第1の連結部に連結されて、半乾きのインクジェット媒体を前記調整機に送給する印刷装置と、
前記第2の連結部に連結されて、前記調整機から前記半乾きのインクジェット媒体を受け取る仕上げ装置と
を備えてなるシステム。
【請求項13】
前記調整機が、前記半乾きのインクジェット媒体の非印刷面上に真空状態を作り出すための硬化装置を備えている、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェットプリンタは、(例えば、紙、プラスチックなどの)印刷可能媒体に或る量の印刷液を被着させることができる。いくつかの例では、インクジェットプリンタによって被着させた印刷液の液滴がまだ完全には乾燥していない間に、インクジェットプリンタによって印刷媒体に反りやしわが生じてしまう場合がある。また、いくつかの例では、インクジェットプリンタによって被着させた印刷液の液滴がまだ完全には乾燥していない間、印刷可能媒体のいくつかの物理的特性に変化が生じてしまう場合がある。例えば、インクジェットプリンタによって被着させた印刷液の液滴がまだ完全には乾燥していない間、印刷可能媒体の剛性が変化してしまう場合がある。そして、反りやしわ、印刷液の液滴によって生じた他の物理的特性の変化によって、仕上げ処理を行うことが困難になる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステムを示す。
図2】本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステムを示す。
図3】本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステムを示す。
図4】本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステムを示す。
図5】本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステムを示す。
図6】本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステムを示す。
図7】本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本明細書では、半乾きのインクジェット媒体用の調整機のシステムや装置として、いくつかのシステムや装置を記載している。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体用の調整機のシステムは、半乾きのインクジェット媒体用の調整機であって、前記調整機の第1の端部を印刷装置に連結する第1の連結部と、前記調整機の第2の端部を仕上げ装置に連結する第2の連結部と、半乾きのインクジェット媒体を前記印刷装置から受け取り、該半乾きのインクジェット媒体を前記仕上げ装置に送給するための、前記調整機を通って延在する圧迫経路(constrained path)とを備える調整機とを備えていてもよい。本明細書において、半乾きのインクジェット媒体(partially dried inkjet media)とは、インクジェット式の印刷装置によって同媒体上に付着した印刷液がまだ完全には乾燥していない状態の媒体を含みうる。
【0004】
半乾きのインクジェット媒体は、積み重ねたり、位置を揃えたり、仕上げ処理を行ったりすることが難しい場合がある。これは、例えば、半乾きのインクジェット媒体には、反り、しわ、剛性の低下、表面粗さの増大、表面からの繊維の飛び出し、繊維配向の乱れ、媒体シート間摩擦の増大などの特性変化が生じている場合があるためである。いくつかの例では、これらの特性変化は、印刷液を媒体上に被着させて、媒体が印刷液を吸収することによって生じ得る。例えば、印刷液は、紙などの媒体が吸収可能な液体の状態をとることができる。この例の場合、液体状態の印刷液によって、他の液体によって媒体に生じる特性変化と同様の特性変化が媒体に生じてしまう可能性がある。
【0005】
本明細書に記載の半乾きのインクジェット媒体用の調整機は、印刷装置と仕上げ装置との間に連結されて、仕上げ装置用に半乾きのインクジェット媒体を調製することができる。例えば、調整機は、半乾きのインクジェット媒体に圧力を加えるための圧迫経路を備えることができる。この例の場合、圧迫経路が加える圧力によって、半乾きのインクジェット媒体の乾燥を促進することができる。いくつかの例では、圧迫経路が加える圧力によって、乾燥を促進し、印刷液によって生じた特性変化を、部分的あるいは完全に元の状態に戻すことを促進することができる。例えば、圧迫経路が加える圧力によって、半乾きのインクジェット媒体の反りまたはしわを比較的平坦な状態に戻すことができる。他の例では、圧迫経路が加える圧力によって、半乾きのインクジェット媒体の剛性や表面粗さを元の状態に戻すことができる。
【0006】
本明細書にさらに記載するように、半乾きのインクジェット媒体用の調整機は、半乾きのインクジェット媒体を印刷装置から圧迫経路を介して受け取ることができ、半乾きのインクジェット媒体に生じていたいくつかの特性変化を元の状態に戻すことができる。いくつかの例では、仕上げ装置の種類に応じて半乾きのインクジェット媒体を元の状態に戻せるように、半乾きのインクジェット媒体調整機を調整することができる。例えば、仕上げ装置は、仕上げ装置によって異なる特定レベルの特性変化が残っている媒体を受け取り、これに対して仕上げ処理を行うことができる。
【0007】
本明細書において、参照番号は、最上位桁が図面番号に対応し、それ以外の桁が図面における要素やコンポーネントを識別するという番号付け規則に従っている。本明細書において、図中に示す各要素は、追加や交換、省略が可能であり、これにより、さらにいくつかの本開示の例を得ることができる。さらに、図に示す各要素の比率や相対的な大きさは、本開示の例を説明することを意図するものであって、限定的な意味で解釈すべきではない。
【0008】
図1は、本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機106の例示的なシステム100を示している。いくつかの例では、システム100を利用して、プリンタ102から半乾きのインクジェット媒体104−1を調製することができる。いくつかの例では、システム100を利用して、仕上げ機112が行う仕上げ処理用に半乾きのインクジェット媒体104−1を調製することができる。いくつかの例では、調整機106によって半乾きのインクジェット媒体104−1を調製することができる。
【0009】
システム100は、半乾きのインクジェット媒体104−1を生成することができるプリンタ102を備えることができる。本明細書に記載するように、プリンタ102は、(例えば、インクなどの)印刷液を(例えば、紙、プラスチックなどの)媒体に被着させることができるインクジェットプリンタであってもよい。本明細書に記載するように、印刷液の被着によって、半乾きとなったインクジェット媒体104−1には、反り、しわ、剛性の低下、表面粗さの増大、繊維の露出、シート間の摩擦の増大などの特性変化が生じてしまう場合がある。
【0010】
いくつかの例では、プリンタ102は、半乾きのインクジェット媒体104−1を調整機106に送給することができる。調整機106を利用して、半乾きのインクジェット媒体104−1に生じていたいくつかの特性変化を元の状態に戻す、もしくは部分的に元の状態に戻すことができる。いくつかの例では、調整機106は、圧迫経路(constrained path)108を備えることができる。いくつかの例では、圧迫経路108を利用して、半乾きのインクジェット媒体104−2が圧迫経路108を移動している間に、半乾きのインクジェット媒体104−2に圧力を加えることができる。例えば、圧迫経路108は、半乾きのインクジェット媒体104−2に圧力を加えることによって、圧迫経路108内において圧迫を与えることができる。いくつかの例では、圧迫経路108は、半乾きのインクジェット媒体104−2が静止状態にあるときに、半乾きのインクジェット媒体104−2に圧力を加えることができる。
【0011】
いくつかの例では、圧迫経路108は、(例えば、上側プレート、下側プレートなどの)いくつかの平板を利用することができる。いくつかの例では、これらいくつかの平板を、半乾きのインクジェット媒体104−2の特性変化の度合いに応じて調整することができる。例えば、プリンタ102は、いくつかの特徴に応じて様々な量の印刷液をインクジェット媒体上に被着させることができる。いくつかの例では、そのようないくつかの特徴として、プリンタの種類、印刷液で形成する像の画質、印刷液の被着を媒体の片面または両面のいずれに対して行うか、印刷液の種類などを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの例では、圧迫経路108のいくつかの平板を、特性変化の度合いが大きいほど、半乾きのインクジェット媒体104−2により大きな圧力を加えられるように調整することができる。いくつかの例では、これらいくつかの平板を、(例えば、アクチュエータなどの)機械的機構を介して調整することができる。いくつかの例では、圧迫経路108は、半乾きのインクジェット媒体104−2の表面に圧力を加える。例えば、圧迫経路108は、半乾きのインクジェット媒体104−2の表面に真空圧を加えることによって、圧力を加えることができる。他の例では、圧迫経路108は、半乾きのインクジェット媒体104−2の表面に正圧を加えることによって、圧力を加えることができる。
【0012】
いくつかの例では、調整機106は、半乾きのインクジェット媒体104−2を受け取るためのいくつかの張出し部110を備えることができる。これらいくつかの張出し部110は、半乾きのインクジェット媒体104−2に反りやしわが生じている場合であっても、半乾きのインクジェット媒体104−2が圧迫経路108内に進入することが可能となるように、圧迫経路108に比べて比較的大きい開口を有する、調整機106の部分であってもよい。例えば、半乾きのインクジェット媒体104−2の反りの案内を助ける張出し部110がない状態で半乾きのインクジェット媒体104−2を挿入すると、この半乾きのインクジェット媒体104−2の反りによって問題が生じてしまう可能性がある。いくつかの例では、調整機106が半乾きのインクジェット媒体104−2をプリンタ102からより容易に受け取ることができ、かつ調整機106が半乾きのインクジェット媒体104−2を仕上げ機112により容易に引き渡すことができるように、いくつかの張出し部110を調整機106の両端に配置することができる。また、いくつかの例では、張出し部110は、圧迫経路と比べて大きな面積を有することができる。
【0013】
いくつかの例では、圧迫経路108を、半乾きのインクジェット媒体104−2の特性変化の度合いに応じた特定の距離とすることができる。例えば、特定のプリンタ102は、半乾きのインクジェット媒体104−2に対して特定のレベルの特性変化を生じさせることから、その特定のレベルの特性変化に基づいて圧迫経路108の距離を決めることができる。いくつかの例では、圧迫経路108の距離を、仕上げ機112の性能に基づいて決めることができる。例えば、圧迫経路108の距離を利用して、半乾きのインクジェット媒体104−2の特性を、仕上げ機112がいくつかの仕上げ処理を行うことができる特定のレベルまで戻すことができる。
【0014】
いくつかの例では、仕上げ機112は、調整機106から半乾きのインクジェット媒体104−2を受け取ることができる。いくつかの例では、仕上げ機112は、調整機106の一端に連結されていてよい。仕上げ機112は、半乾きのインクジェット媒体104−3を使って、(例えば、ステープル留め、穴あけ、位置揃え、積み重ねなどの)仕上げ処理を行うことができる。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体104−1,104−2と比べて、半乾きのインクジェット媒体104−3においては、いくつかの特性が元の状態に戻されていてよい。
【0015】
図2は、本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機206の例示的なシステム220を示している。いくつかの例では、システム220は、図1に参照されるプリンタ102および仕上げ機112と同様のプリンタ202、仕上げ機212、またはその両方を利用することができる。例えば、プリンタ202は、印刷液を印刷媒体に被着させることができるインクジェットプリンタであってもよい。本明細書に記載するように、印刷液の被着によって印刷媒体のいくつかの特性に変化が生じてしまう場合がある。
【0016】
本明細書に記載するように、プリンタ202は、調整機206に送給することができる半乾きのインクジェット媒体204−1を生成することができる。調整機206は、図1に参照される調整機106と同一または同様のいくつかの特徴を備えることができる。例えば、調整機206は、プリンタ202から半乾きのインクジェット媒体204−1を受け取るためのいくつかの張出し部210を備えることができる。本明細書に記載するように、これらいくつかの張出し部210は、半乾きのインクジェット媒体204−1に反りやしわが生じている場合であっても、半乾きのインクジェット媒体204−1を圧迫経路208内に配置することを支援することができる。
【0017】
いくつかの例では、調整機206の圧迫経路208は、半乾きのインクジェット媒体204−2に圧力を加えるために真空状態を有することができる。いくつかの例では、調整機206の圧迫経路208は、半乾きのインクジェット媒体204−2に圧力を加えるためのいくつかの平板を備えることができる。本明細書に記載するように、圧迫経路208で圧力を加えることによって、半乾きのインクジェット媒体206の乾燥を促進したり、真っ直ぐに延ばすのを促進したり、あるいはその両方を促進することができる。例えば、圧力を加えることによって、半乾きのインクジェット媒体204−2のいくつかの特性を元の状態に戻すことができる。いくつかの例では、いくつかのガイドを利用して、圧迫経路208を形成することができ、かつ半乾きのインクジェット媒体204−2が(例えば、過剰圧迫経路などの)形成した圧迫経路を通過することができるように誘導することができる。
【0018】
いくつかの例では、圧迫経路208を過剰圧迫経路(over constrained path)とすることができる。例えば、過剰圧迫経路は、圧迫経路208の、特定のアーチ角度222を有するアーチを備えている部分であってもよい。いくつかの例では、アーチ角度222を約5〜10度の間とすることができる。いくつかの例では、圧迫経路208のアーチ半径を、約1インチ〜6インチの間の距離とすることができる。いくつかの例では、過剰圧迫経路は、半乾きのインクジェット媒体に印刷液を付着させることによって生じた反りを軽減することができる逆方向の反りであってもよい。例えば、過剰圧迫経路は、半乾きのインクジェット媒体204−2の反りの方向とは反対方向のアーチ状に曲がることができる。いくつかの例では、過剰圧迫経路を利用して、半乾きのインクジェット媒体204−2を仕上げ機212に誘導することができる。例えば、過剰圧迫経路によって、半乾きのインクジェット媒体204−2をプリンタ202から仕上げ機212の比較的低い位置に誘導することができる。いくつかの例では、圧迫経路208は、圧迫経路208内で半乾きのインクジェット媒体204−2を曲げるアーチを備える過剰圧迫経路を備えている。
【0019】
本明細書に記載するように、半乾きのインクジェット媒体204−2は仕上げ機212に送給することができる。いくつかの例では、仕上げ機212にある半乾きのインクジェット媒体204−3においては、半乾きのインクジェット媒体204−1に生じていたいくつかの特性変化が元の状態に戻されているか、あるいは部分的に元の状態に戻されている。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体204−3は、仕上げ機212がいくつかの仕上げ処理を行うのに適した状態となっている。
【0020】
図3は、本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機306の例示的なシステム330を示している。いくつかの例では、システム330は、図1に参照されるプリンタ102および仕上げ機112と同様のプリンタ302、仕上げ機312、またはその両方を利用することができる。例えば、プリンタ302は、印刷液を印刷媒体に被着させることができるインクジェットプリンタであってもよい。本明細書に記載するように、印刷液の被着によって印刷媒体のいくつかの特性に変化が生じ、仕上げ処理を行うことが困難になってしまう場合がある。
【0021】
本明細書に記載するように、プリンタ302は、調整機306に送給することができる半乾きのインクジェット媒体304−1を生成することができる。調整機306は、図1に参照される調整機106、図2に参照される調整機206、又はその両方と同一または同様のいくつかの特徴を備えることができる。例えば、調整機306は、プリンタ302から半乾きのインクジェット媒体304−1を受け取るためのいくつかの張出し部310を備えることができる。本明細書に記載するように、これらいくつかの張出し部310は、半乾きのインクジェット媒体304−1に反りやしわが生じている場合であっても、半乾きのインクジェット媒体304−1を圧迫経路308内に配置することを支援することができる。
【0022】
いくつかの例では、調整機306の圧迫経路308は、半乾きのインクジェット媒体304−2に圧力を加えるために真空状態を有することができる。いくつかの例では、調整機306の圧迫経路308は、半乾きのインクジェット媒体304−2に圧力を加えるためのいくつかの平板を備えることができる。本明細書に記載するように、圧迫経路308で圧力を加えることによって、半乾きのインクジェット媒体306の乾燥を促進したり、真っ直ぐに延ばすのを促進したり、あるいはその両方を促進することができる。例えば、圧力を加えることによって、半乾きのインクジェット媒体304−2のいくつかの特性を元の状態に戻すことができる。いくつかの例では、熱源332を利用して圧迫経路308の温度を上昇させることができる。いくつかの例では、圧迫経路308の温度を上昇させることによって、半乾きのインクジェット媒体304−2からの蒸発、乾燥、あるいはその両方を促進することができる。
【0023】
いくつかの例では、圧迫経路の両側に熱源332を設けて、半乾きのインクジェット媒体304−2の両側に熱を与えることができる。いくつかの例では、熱源332は、圧迫経路308から湿った空気を排出させる空気循環装置を備えることができる。熱源と空気循環装置とを設けることにより、半乾きのインクジェット媒体304−2からの蒸発、乾燥、あるいはその両方を促進することができる。いくつかの例では、熱源332の発熱によって、圧迫経路308の温度を(例えば、室温などの)圧迫経路308の周辺温度よりも約10℃〜50℃高くすることができる。いくつかの例では、空気循環装置が、熱源332からの暖かい空気を半乾きのインクジェット媒体に向けて押し出すとともに、圧迫経路308から湿った空気を排出させることにより、インクジェット媒体に被着した印刷液の蒸発、乾燥あるいはその両方を促進することができる。
【0024】
いくつかの例では、圧迫経路、過剰圧迫経路、熱源332のうち1つ以上を組み合わせてそれらを併用することにより、半乾きのインクジェット媒体304−2に生じていたいくつかの特性変化を元の状態に戻すことができる。本明細書に記載するように、半乾きのインクジェット媒体304−2は仕上げ機312に送給することができる。いくつかの例では、仕上げ機312にある半乾きのインクジェット媒体304−3においては、半乾きのインクジェット媒体304−1に生じていたいくつかの特性変化が元の状態に戻されているか、あるいは部分的に元の状態に戻されている。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体304−3は、いくつかの仕上げ処理を行うのに適した状態となっている。
【0025】
図4は、本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステム450を示している。いくつかの例では、システム450は、図1に参照されるプリンタ102および仕上げ機112と同様のプリンタ402、仕上げ機412、またはその両方を利用することができる。例えば、プリンタ402は、印刷液を印刷媒体に被着させることができるインクジェットプリンタであってもよい。本明細書に記載するように、印刷液の被着によって印刷媒体のいくつかの特性に変化が生じ、仕上げ処理を行うことが困難になってしまう場合がある。いくつかの例では、プリンタ402は、半乾きのインクジェット媒体404−1を調整機406に送給して、そのいくつかの特性を元の状態に戻すことができる。
【0026】
いくつかの例では、調整機406は、プリンタ402から半乾きのインクジェット媒体404−2を受け取ることができる。いくつかの例では、調整機406は、液体被着装置452を備えることができる。いくつかの例では、液体被着装置452は、噴射(spray)、膜、噴霧(mist)のうち1つ以上を生成することができ、これらを利用して、半乾きのインクジェット媒体404−2に液体を被着させることができる。いくつかの例では、液体被着装置452が被着させる液体として、実質的に透明な液体を挙げることができる。本明細書において、実質的に透明な液体(substantially clear liquid)とは、半乾きのインクジェット媒体404−2上に被着させたときに不透明というよりもむしろ透明となる液体を含みうる。いくつかの例では、液体被着装置452が被着させる液体としては、ポリウレタン塗料、ポリウレタントナー、ワックスを主成分とする材料のいずれかまたはすべてを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0027】
いくつかの例では、液体被着装置452が被着させる液体を、プリンタ402が付着させる印刷液よりも比較的速い速度で半乾きのインクジェット媒体上で乾燥することができる液体とすることができる。例えば、液体被着装置452が被着させる液体は、半乾きのインクジェット媒体404−2上で印刷液が完全に乾燥する前に、半乾きのインクジェット媒体404−2上で乾燥することができるものである。いくつかの例では、液体被着装置452が被着させる液体を、実質的に透明なコーティング材とすることができる。すなわち、液体被着装置452が被着させる液体を、半乾きのインクジェット媒体404−2の、プリンタ402によって印刷液を被着させた側に塗布することができる。この例では、液体被着装置452が被着させる液体は、印刷液によって半乾きのインクジェット媒体404−2に特性変化が生じてしまうことを防止するコーティングとして働くことができる。
【0028】
いくつかの例では、液体被着装置452が被着させる液体が乾燥すると、この液体被着装置452が被着させる液体が、印刷液を被着させた側を覆うコーティングとして働くことができる。いくつかの例では、この液体を、半乾きの状態の印刷液で覆われた領域と相関する領域に選択的に被着させることができる。いくつかの例では、液体被着装置452が被着させる液体は、半乾きのインクジェット媒体404−2の半乾きの状態の印刷液を覆う乾燥層として働くことができる。いくつかの例では、液体被着装置452が被着させる液体は、半乾きのインクジェット媒体404−2に対して(例えば、ラミネートなどの)構造的な支持体となることができる。例えば、液体被着装置452が被着させる液体は、乾燥して硬化することにより、印刷液によってインクジェット媒体のいくつかの特性に変化が生じてしまうことを防止することができる。この例では、液体被着装置452によって被着させて乾燥した液体が、構造的な支持体となり、半乾きのインクジェット媒体に反りやしわが発生するのを防止することができる。さらに、液体被着装置452によって被着させて乾燥した液体によって、半乾きのインクジェット媒体404−2の繊維が、半乾きのインクジェット媒体404−2の表面から露出したり、飛び出したりすることを防止することができる。
【0029】
いくつかの例では、液体被着装置452によって被着させて乾燥した液体によって、液体被着装置452によって液体を被着させない場合の半乾きのインクジェット媒体404−2と比べて比較的摩擦の低い表面を形成することができる。本明細書に記載するように、プリンタ402が被着させる印刷液によって、半乾きのインクジェット媒体404−2の表面摩擦が変化してしまう可能性がある。いくつかの例では、印刷液によって、半乾きのインクジェット媒体404−2に比較的高い摩擦表面が形成されてしまう場合がある。液体被着装置452が被着させる液体によって、半乾きのインクジェット媒体404−2の表面摩擦が低減し、これにより印刷液によって生じる特性変化を低減することができる。いくつかの例では、液体被着装置452によって被着させて乾燥した液体は、半乾きのインクジェット媒体404−2の特性を変化させて、半乾きのインクジェット媒体404−2が、暖かくて、乾燥し、平坦で、べたつきがない状態であるように表面的に見せるコーティングとなることができる。
【0030】
いくつかの例では、液体被着装置452によって被着させて乾燥した液体は、半乾きのインクジェット媒体404−2上に被着した印刷液を覆う気密封止または実質的に気密な封止を形成することができる。いくつかの例では、液体被着装置452によって被着させて乾燥した液体は、半乾きのインクジェット媒体404−2上に被着した印刷液上に実質的に気密な封止を形成して、印刷液に付随する水分が、半乾きのインクジェット媒体404−2の反対側から蒸発できるようにすることができる。例えば、液体被着装置452が被着させる液体を(例えば、印刷液が被着した面などの)印刷面上に被着させて、印刷液に付随する水分を、半乾きのインクジェット媒体404−2の非印刷面から蒸発させることができる。
【0031】
いくつかの例では、調整機406がいくつかの追加的な調整処理444を有することができる。例えば、これらいくつかの追加的な調整処理444の1つとして、液体被着装置452が被着させた液体を硬化させるための加熱処理を挙げることができる。他の例では、これらいくつかの追加的な調整処理444としては、圧迫経路や、過剰圧迫経路、紫外線の照射、反応触媒、加熱した圧迫経路のいずれかまたはすべてを挙げることができる。いくつかの例では、加熱処理を利用して、液体被着装置452が被着させた液体を硬化させることができる。いくつかの例では、加熱処理を利用して、液体被着装置452が被着させた液体を、加熱処理を利用しない場合よりも速く乾燥させることができる。
【0032】
いくつかの例では、(例えば、液体被着装置452が被着させる液体などの)液体をローラ454によって被着させることができる。いくつかの例では、ローラ454は、半乾きのインクジェット媒体404−2の一面と接触させることができる。これらの例では、ローラ454によって、半乾きのインクジェット媒体404−2の一面全体にこの液体の被膜を施すことができる。これらの例では、半乾きのインクジェット媒体404−2の、この液体を塗布する面を、プリンタ402によって印刷液を被着する側と同一の面とすることができる。
【0033】
いくつかの例では、調整機406は、トナー付着システム442を備えることができる。いくつかの例では、トナー付着システム442を利用して、トナー、液体またはその両方を半乾きのインクジェット媒体404−2に付着・塗布させることができる。いくつかの例では、トナー付着システム442を利用して、ローラ454で塗布した液体を半乾きのインクジェット媒体404−2に結合させることができる。いくつかの例では、トナー付着システム442を利用して、半乾きのインクジェット媒体404−2に熱を加え、ローラ454で塗布した液体を硬化させることができる。
【0034】
いくつかの例では、システム450は、調整機406を利用して、半乾きのインクジェット媒体404−2に液体を塗布することができる。いくつかの例では、この液体は、半乾きのインクジェット媒体404−2のいくつかの特性を維持したり、元の状態に戻したり、あるいはその両方を行うことができるものである。いくつかの例では、調整機406は、半乾きのインクジェット媒体404−2の特性、仕上げ機412が半乾きのインクジェット媒体404−3に対して仕上げ処理を行うことができる状態まで戻すことができる。
【0035】
図5は、本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステム560を示している。いくつかの例では、システム560は、図1に参照されるプリンタ102および仕上げ機112と同様のプリンタ502、仕上げ機512、またはその両方を利用することができる。例えば、プリンタ502は、印刷液を印刷媒体に被着させることができるインクジェットプリンタであってもよい。本明細書に記載するように、印刷液の被着によって印刷媒体のいくつかの特性に変化が生じ、仕上げ処理を行うことが困難になってしまう場合がある。いくつかの例では、プリンタ502は、半乾きのインクジェット媒体504−1を調整機506に送給して、そのいくつかの特性を元の状態に戻すことができる。
【0036】
いくつかの例では、調整機506は、いくつかの硬化装置562−1,562−2,564−1,564−2を備えることができる。いくつかの例では、これらいくつかの硬化装置によって、半乾きのインクジェット媒体504−2上に硬化剤を被着させることができる。いくつかの例では、これらいくつかの硬化装置562−1,562−2,564−1,564−2によって、半乾きのインクジェット媒体504−2から物質を除去することができる。いくつかの例では、これらいくつかの硬化装置562−1,562−2,564−1,564−2は連携して機能し、半乾きのインクジェット媒体504−2に生じていたいくつかの特性変化を元の状態に戻すか、あるいは部分的に元の状態に戻すことができる。例えば、硬化装置562−1は、1つ以上の他の硬化装置562−2,564−1,564−2と連携して機能することができる。
【0037】
一例では、硬化装置562−1を利用して真空状態を作り出し、半乾きのインクジェット媒体504−2から水分を取り除くことができる。いくつかの例では、硬化装置562−1を半乾きのインクジェット媒体504−2の印刷面とは反対側に設置し、硬化装置562−1を利用して真空状態を作り出して、半乾きのインクジェット媒体504−2の印刷面から水分を取り除くことができる。いくつかの例では、硬化装置562−1によって、半乾きのインクジェット媒体504−2の周辺領域から水分を取り除いて、半乾きのインクジェット媒体504−2に被着させた印刷液の乾燥速度を上昇させることができる。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体504−2上に被着させた印刷液の乾燥速度を上昇させることにより、いくつかの特性に変化が生じてしまうことを防止するか、または実質的に防止することができる。
【0038】
他の例では、硬化装置564−1を利用して熱を発生させることができる。いくつかの例では、硬化装置564−1は、発生させた熱を半乾きのインクジェット媒体504−2に加える加熱装置とすることができる。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体504−2の、プリンタ502によって印刷液が付着した面に対して熱を加えることができる。いくつかの例では、硬化装置564−1が加える熱によって、半乾きのインクジェット媒体504−2上に被着した印刷液の乾燥速度を上昇させることができる。
【0039】
他の例では、硬化装置562−1は、硬化装置564−1と連携して機能することができる。この例では、本明細書に記載するように、硬化装置562−1を利用して真空状態を作り出すことができ、硬化装置564−1を利用して熱を発生させることができる。いくつかの例では、硬化装置562−1と硬化装置564−1との連携によって、半乾きのインクジェット媒体504−2に被着した印刷液の乾燥速度を上昇させることができる。いくつかの例では、硬化装置564−1によって半乾きのインクジェット媒体504−2に熱を与えることにより、(例えば、非印刷面、硬化装置564−1とは反対側の面、印刷液を被着させた面とは反対側の面などの)上面付近の水分量が上昇してしまう場合がある。これらの例では、半乾きのインクジェット媒体504−2の上面付近の水分量の上昇により、本明細書に記載している印刷液によって生じる特性変化と同様の半乾きのインクジェット媒体の特性変化が生じてしまう可能性がある。上面付近の水分量の上昇によって半乾きのインクジェット媒体504−2に特性変化が生じてしまうことを防止するために、硬化装置564−1によって真空状態を作り出し、半乾きのインクジェット媒体504−2の上面から水分を取り除くことができる。
【0040】
他の例では、調整機506は、液体被着装置566を備えることができる。いくつかの例では、液体被着装置566は、半乾きのインクジェット媒体504−2上に、液体を霧または液滴で噴射することができる装置を備えることができる。いくつかの例では、液体被着装置566は、半乾きのインクジェット媒体504−2の(例えば、半乾きのインクジェット媒体504−2の、プリンタ502による印刷液の付着が行われていない側の面などの)非印刷面に液体を被着させることができる。いくつかの例では、液体被着装置566は、半乾きのインクジェット媒体504の(例えば、半乾きのインクジェット媒体504−2の、プリンタ502による印刷液の付着が行われていない側の面などの)非印刷面上の印刷液の位置に対応する領域に対して選択的に液体を被着させることができる。
【0041】
いくつかの例では、液体被着装置566が被着させる液体は、水を含有することができる。いくつかの例では、液体被着装置566が被着させる液体を利用して、半乾きのインクジェット媒体504−2の非印刷面全体にこの液体を均一に被着させることができる。いくつかの例では、液体被着装置566が被着させる液体によって、半乾きのインクジェット媒体504−2の両面を比較的同様の速度で乾燥させることができる。いくつかの例では、液体被着装置566が被着させる液体によって、半乾きのインクジェット媒体504−2の特性に本明細書に記載するような変化が生じてしまうことを防止するか、または実質的に防止することができる。
【0042】
いくつかの例では、硬化装置568−2を利用して、蒸気を生成することができる。いくつかの例では、硬化装置568−2が生成する蒸気を、水などの液体から生成する蒸気とすることができる。いくつかの例では、この蒸気の一部を半乾きのインクジェット媒体504−1が吸収することができる。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体が吸収するこの一部の蒸気を、非印刷面で吸収することができる。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体504−2の非印刷面が吸収した蒸気によってこの非印刷面を飽和状態にして、非印刷面と印刷面とが実質的に等しい飽和状態となるようにすることができる。いくつかの例では、硬化装置568−2が生成する蒸気を利用して、半乾きのインクジェット媒体504−2の特性に本明細書に記載するような変化が生じてしまうことを防止することができる。
【0043】
いくつかの例では、硬化装置562−2を利用して、熱を発生させることができる。いくつかの例では、この熱を、半乾きのインクジェット媒体504−2の一面に与えることができる。いくつかの例では、硬化装置562−2が与える熱によって、プリンタ502によって被着させた印刷液の乾燥速度を上昇させることができる。いくつかの例では、この熱を、半乾きのインクジェット媒体504−2の、プリンタ502によって印刷液を被着させた面とは反対側の面に与えることができる。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体504−2の一面に与えた熱によって水分が生成されてしまい、その水分が硬化装置564−2を通過する場合がある。いくつかの例では、硬化装置564−2を利用して、本明細書に記載するような真空状態を作り出して、この熱によって生成された水分を除去することができる。
【0044】
いくつかの例では、システム560は、調整機506を利用して、半乾きのインクジェット媒体504−2に対していくつかの工程の硬化処理を行うことができる。いくつかの例では、これらいくつかの工程の硬化処理によって、半乾きのインクジェット媒体504−2のいくつかの特性を維持したり、元の状態に戻したり、あるいはその両方を行うことができる。いくつかの例では、調整機506は、半乾きのインクジェット媒体504−2の特性を、仕上げ機512が半乾きのインクジェット媒体504−3に対して仕上げ処理を行うことができる状態まで戻すことができる。
【0045】
図6は、本開示の内容と合致する、半乾きのインクジェット媒体用の調整機の例示的なシステム670を示している。いくつかの例では、システム670は、図1に参照されるプリンタ102および仕上げ機112と同様のプリンタ602、仕上げ機612、またはその両方を利用することができる。例えば、プリンタ602は、印刷液を印刷媒体に被着させることができるインクジェットプリンタであってもよい。本明細書に記載するように、印刷液の被着によって印刷媒体のいくつかの特性に変化が生じ、仕上げ処理を行うことが困難になってしまう場合がある。いくつかの例では、プリンタ602は、半乾きのインクジェット媒体604−1を調整機606に送給して、そのいくつかの特性を元の状態に戻すことができる。
【0046】
いくつかの例では、調整機606は、連結部676を介して互いに連結されているいくつかの硬化装置674−1,674−2を備えることができる。いくつかの例では、連結部676はダクト材を備えることができ、このダクト材を利用して蒸発した印刷液中の水分を硬化装置674−1に送ることができる。いくつかの例では、硬化装置674−1は、半乾きのインクジェット媒体604−2に熱を加えるための加熱装置672を備えることができる。本明細書に記載するように、加熱装置672が加える熱によって、プリンタ602によって被着された印刷液が蒸発し、その結果水分が生成されてしまう場合がある。いくつかの例では、この水分を硬化装置674−1が回収し、連結部676を通過させて硬化装置674−2に送ることができる。いくつかの例では、この水分を、(例えば、ファンや換気扇などの)機械的装置によって連結部676を通過させることができる。
【0047】
いくつかの例では、蒸発した印刷液から送られる水分を利用して、硬化装置674−2は半乾きのインクジェット媒体604−2の反対側の面に水分を加えることができる。本明細書に記載するように、半乾きのインクジェット媒体604−2は、硬化装置674−2によって加えられた水分を吸収することができる。いくつかの例では、半乾きのインクジェット媒体604−2に吸収された水分は、その非印刷面全体に実質的に均一に分布することができる。いくつかの例では、吸収された水分を利用して、半乾きのインクジェット媒体604−2の特性に本明細書に記載するような変化が生じてしまうことを防止することができる。
【0048】
いくつかの例では、システム670は、調整機606を利用して、半乾きのインクジェット媒体604−2に対していくつかの工程の硬化処理を行うことができる。いくつかの例では、これらいくつかの工程の硬化処理によって、半乾きのインクジェット媒体604−2のいくつかの特性を維持したり、元の状態に戻したり、あるいはその両方を行うことができる。いくつかの例では、調整機606は、半乾きのインクジェット媒体604−2の特性を、仕上げ機612が半乾きのインクジェット媒体604−3に対して仕上げ処理を行うことができる状態にまで戻すことができる。
【0049】
上述の明細書、例およびデータは、本開示の方法および用途、ならびに本開示のシステムおよび方法の利用を説明するためのものである。本開示のシステムおよび方法の趣旨および範囲から逸脱することなく、数多くの例を実現することができるため、本明細書は、単にそれら多くの可能な構成例や実施態様例のうちの一部を記載しているに過ぎない。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1〜15の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
半乾きのインクジェット媒体用の調整機であって、
前記調整機の第1の端部を印刷装置に連結する第1の連結部と、
前記調整機の第2の端部を仕上げ装置に連結する第2の連結部と、
半乾きのインクジェット媒体を前記印刷装置から受け取り、該半乾きのインクジェット媒体を前記仕上げ装置に送給するための、前記調整機を通って延在する圧迫経路と
を備えてなる調整機。
(請求項2)
前記調整機の前記第1の端部と前記調整機の前記第2の端部とが、張出し部を備えている、請求項1に記載の調整機。
(請求項3)
前記張出し部が、前記圧迫経路と比べて大きな面積を有している、請求項2に記載の調整機。
(請求項4)
前記半乾きのインクジェット媒体上にコーティング材を被着させるための液体被着装置を備えている、請求項1に記載の調整機。
(請求項5)
前記圧迫経路が過剰圧迫経路であり、
前記過剰圧迫経路が、前記調整機の前記第1の端部と前記調整機の前記第2の端部との間の一部にアーチを備えている、請求項1に記載の調整機。
(請求項6)
半乾きのインクジェット媒体用の調整機のシステムであって、
印刷装置に連結されて、前記印刷装置から半乾きのインクジェット媒体を受け取る調整機であって、前記半乾きのインクジェット媒体のいくつかの物理的特性を変化させる圧迫経路を備えている調整機と、
前記圧迫経路に熱を加えるための熱源と、
前記調整機に連結されて、前記調整機から前記半乾きのインクジェット媒体を受け取る仕上げ機と
を備えてなるシステム。
(請求項7)
前記調整機が、前記半乾きのインクジェット媒体の全面にコーティング材を分布させる定着機を備えている、請求項6に記載のシステム。
(請求項8)
前記圧迫経路が、前記半乾きのインクジェット媒体に圧迫を加えるための真空状態を有している、請求項6に記載のシステム。
(請求項9)
前記圧迫経路が、該圧迫経路内で前記半乾きのインクジェット媒体を曲げるアーチを備える過剰圧迫経路を備えている、請求項6に記載のシステム。
(請求項10)
前記圧迫経路が、前記半乾きのインクジェット媒体の表面に圧力を加えるものである、請求項6に記載のシステム。
(請求項11)
前記圧迫経路が加える前記圧力によって、前記仕上げ機のいくつかの特性に応じて前記いくつかの物理的性質を変化させる、請求項10に記載のシステム。
(請求項12)
半乾きのインクジェット媒体用の調整機のシステムであって、
第1の連結部と第2の連結部との間に圧迫経路を備える調整機であって、前記圧迫経路が、該圧迫経路を通過する半乾きのインクジェット媒体に圧力を加えるものである調整機と、
前記第1の連結部に連結されて、半乾きのインクジェット媒体を前記調整機に送給する印刷装置と、
前記第2の連結部に連結されて、前記調整機から前記半乾きのインクジェット媒体を受け取る仕上げ装置と
を備えてなるシステム。
(請求項13)
前記調整機が、連結部によって第2の硬化装置に連結されている第1の硬化装置を備えている、請求項12に記載のシステム。
(請求項14)
前記第1の硬化装置が、蒸発した印刷液から水分を受け取り、前記第2の硬化装置が、前記半乾きのインクジェット媒体に前記水分を加える、請求項13に記載のシステム。
(請求項15)
前記調整機が、前記半乾きのインクジェット媒体の非印刷面上に真空状態を作り出すための硬化装置を備えている、請求項12に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6