特許第6661079号(P6661079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6661079含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661079
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット
(51)【国際特許分類】
   C08B 11/193 20060101AFI20200227BHJP
   D06M 15/09 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   C08B11/193
   D06M15/09
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-45736(P2016-45736)
(22)【出願日】2016年3月9日
(65)【公開番号】特開2017-88845(P2017-88845A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2019年2月21日
(31)【優先権主張番号】特願2015-219639(P2015-219639)
(32)【優先日】2015年11月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502145313
【氏名又は名称】ユニマテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
(74)【代理人】
【識別番号】100066005
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114351
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 和子
(72)【発明者】
【氏名】木島 哲史
(72)【発明者】
【氏名】宮田 桃香
(72)【発明者】
【氏名】澤田 英夫
【審査官】 ▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6573278(JP,B2)
【文献】 特許第6132999(JP,B2)
【文献】 国際公開第2015/137346(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/137343(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 5/00
D06M 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
Rf(A-OH)k 〔X〕
(ここで、kは1または2であり、kが1の場合Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基のフッ素原子の一部が水素原子で置換されたポリフルオロアルキル基、炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基および炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基を含んで構成されるポリフルオロアルキル基または炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基、炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を有する、直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、kが2の場合Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を有する、直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基またはポリフルオロアルキレン基であり、Aは炭素数1〜6のアルキレン基である)で表される含フッ素アルコール、ホウ酸およびセルロースエーテルの縮合体からなる含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項2】
一般式〔X〕で表される含フッ素アルコールとして、一般式
RF-A-OH 〔I〕
(ここで、RFは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基のフッ素原子の一部が水素原子で置換されたポリフルオロアルキル基、または炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基および炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基を含んで構成されるポリフルオロアルキル基であり、Aは炭素数1〜6のアルキレン基である)で表される含フッ素アルコールが用いられた請求項1記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項3】
一般式〔I〕で表される含フッ素アルコールとして、一般式
CnF2n+1(CH2)jOH 〔II〕
(ここで、nは1〜6、jは1〜6の整数である)で表されるポリフルオロアルキルアルコールが用いられた請求項2記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項4】
一般式〔I〕で表される含フッ素アルコールとして、一般式
CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cOH 〔III〕
(ここで、nは1〜6、aは1〜4、bは0〜2、cは1〜3の整数である)で表されるポリフルオロアルキルアルコールが用いられた請求項2記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項5】
一般式〔X〕で表される含フッ素アルコールとして、一般式
RF′-A-OH 〔Ia〕
または一般式
HO-A-RF′′-A-OH 〔Ib〕
(ここで、RF′は炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基、炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を有する、直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、RF′′は炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を有する、直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基またはポリフルオロアルキレン基であり、Aは炭素数1〜6のアルキレン基である)で表される含フッ素アルコールが用いられた請求項1記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項6】
一般式〔Ia〕で表される含フッ素アルコールとして、一般式
CmF2m+1O〔CF(CF3)CF2O〕dCF(CF3)(CH2)eOH 〔IIa〕
(ここで、mは1〜3、dは0〜100、eは1〜3の整数である)で表されるヘキサフルオロプロペンオキシドオリゴマーアルコールが用いられた請求項5記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項7】
一般式〔Ia〕で表される含フッ素アルコールとして、一般式
CmF2m+1(OCF2CF2CF2)s(OCF2CF2)t(OCF2)u(CH2)vOH 〔IIa´〕
(ここで、mは1〜3、s、t、uはそれぞれ0〜200、vは1または2の整数である)で表されるポリフルオロポリエーテルアルコールが用いられた請求項5記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項8】
一般式〔Ib〕で表される含フッ素アルコールとして、一般式
HO(CH2)fCF(CF3)〔OCF2CF(CF3)〕gO(CF2)hO〔CF(CF3)CF2O〕iCF(CF3)(CH2)fOH
〔IIb〕
(ここで、fは1〜3、g+iは0〜50、hは1〜6の整数である)で表されるパーフルオロアルキレンエーテルジオールが用いられた請求項5記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項9】
一般式〔Ib〕で表される含フッ素アルコールとして、一般式
HO(CH2CH2O)pCH2CF2(OCF2CF2)q(OCF2)rOCF2CH2(OCH2CH2)pOH
〔IIb´〕
(ここで、pは0〜6、q+rは0〜50の整数である)で表されるポリフルオロアルキレンエーテルジオールが用いられた請求項5記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット。
【請求項10】
請求項2記載の含フッ素アルコール〔I〕または請求項5記載の含フッ素アルコール〔Ia〕あるいは〔Ib〕およびホウ酸を反応させ、生成した含フッ素アルコール-ホウ酸コンポジットにセルロースエーテルを溶媒および水の存在下で縮合反応させることを特徴とする含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットの製造方法。
【請求項11】
含フッ素アルコール100重量部に対しホウ酸が0.1〜100重量部、セルロースエーテルが5〜600重量部の割合で用いられた請求項10記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットの製造方法。
【請求項12】
請求項2記載の含フッ素アルコール〔I〕または請求項5記載の含フッ素アルコール〔Ia〕あるいは〔Ib〕、ホウ酸およびセルロースエーテルを溶媒および水の存在下で縮合反応させることを特徴とする含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットの製造方法。
【請求項13】
含フッ素アルコール100重量部に対しホウ酸が0.1〜300重量部、セルロースエーテルが10〜1000重量部の割合で用いられた請求項12記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットの製造方法。
【請求項14】
請求項1、2または5記載の含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットを有効成分とする繊維用表面処理剤。
【請求項15】
油水分解膜として用いられる請求項14記載の繊維用表面処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットに関する。さらに詳しくは、表面処理特性を改善せしめた含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットに関する。
【背景技術】
【0002】
無機材料表面を各種の化合物やポリマーでコーティングすることにより、様々な表面特性を発現させることが知られている。中でも、フッ素系化合物を表面処理剤として使用した場合には、フッ素原子の有する特性から、撥水性だけではなく撥油性の点でも表面改質できるので、様々な基材へのコーティングに利用されている。
【0003】
特に、C8のパーフルオロアルキル基を有する表面処理剤を基質に塗布するとことで、高い撥水撥油性を示すコーティングが可能であるが、近年C7以上のパーフルオロアルキル基を有する化合物が、細胞株を用いた試験管内試験において、発がん因子と考えられている細胞間コミュニケーション阻害をひき起すこと、かつこの阻害は官能基ではなく、フッ素化された炭素鎖長に依存し、炭素鎖が長いもの程阻害力が高いことが報告されており、フッ素化された炭素数の長い化合物を使用したモノマーの製造が制限されるようになってきている。
【0004】
特許文献1には、セラミックススラリーのセラミックス粉末として酸化ホウ素B2O3を使用し、ポリビニルブチラール〔PVB〕が用いられる樹脂バインダー中の水酸基をホウ素に対して50モル%以下、有機溶剤中の水分量をホウ素に対して10モル%以下としたセラミックススラリーが記載されている。
【0005】
ここで、セラミックススラリーの粉末として酸化ホウ素を使用しているのは、次式で示される反応を抑制するためであるとされている。
B(OH)3 + 2H2O → B(OH)4- + H3O+
【0006】
また、ホウ素の物質量に対するスラリー中の水酸基量を50モル%以下にすることにより、ゲル化を防ぐことができ、PETフィルム等に適用したときフィルムからの剥れを抑制することができると述べられている。なお、ホウ酸を使用したものは、比較例とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−238254号公報
【特許文献2】特許第4674604号公報
【特許文献3】WO 2007/080949 A1
【特許文献4】特開2008−38015号公報
【特許文献5】米国特許第3,574,770号公報
【特許文献6】WO 2014/024873 A1
【特許文献7】WO 2012/091116 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、環境中に放出されてもパーフルオロオクタン酸等を生成させず、しかも短鎖の化合物に分解され易いユニットを有する含フッ素アルコールを用い、様々な基材に対する撥油性および親水性を有する含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって、一般式
Rf(A-OH)k 〔X〕
(ここで、kは1または2であり、kが1の場合Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基のフッ素原子の一部が水素原子で置換されたポリフルオロアルキル基、炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基および炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基を含んで構成されるポリフルオロアルキル基または炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基、炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を有する、直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、kが2の場合Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を有する、直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基またはポリフルオロアルキレン基であり、Aは炭素数1〜6のアルキレン基である)で表される含フッ素アルコール、ホウ酸およびセルロースエーテルの縮合体からなる含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明で用いられる含フッ素アルコールは、末端パーフルオロアルキル基やポリフルオロアルキル基中のパーフルオロアルキレン鎖の炭素数が6以下のものであり、短鎖の含フッ素化合物に分解され易いユニットを有しているため、環境汚染につながらない。
【0011】
含フッ素アルコールは撥水撥油性を有し、またセルロースエーテルは親水性を有しているので、得られた含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットは、撥油性および親水性を発現しつつ、ガラス、金属、石材等の無機質基材、各種プラスチック等の様々な基材に対するコーティング剤として有効に使用することができる。さらに、用いられる含フッ素アルコールとセルロースエーテルの種類および相対的な使用割合を様々に変化させることにより、異なる表面特性を有する薄膜の形成を可能とする。
【0012】
得られた含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットは、ポリエステル、ポリアミド、レーヨン、ガラス繊維、炭素繊維などの化学繊維、木綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維等の繊維、布、織布、紙、フィルムに親水撥油剤として適用できる。また、処理された布類は、油水分離膜として利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般式 Rf(A-OH)kで表される含フッ素アルコール〔X〕としては、例えば一般式〔I〕、〔Ia〕または〔Ib〕によって示される含フッ素アルコールが用いられる。
一般式〔I〕によって示される含フッ素アルコール:
RF-A-OH 〔I〕
RF:炭素数6以下のパーフルオロアルキル基
炭素数6以下のパーフルオロアルキル基のフッ素原子の一部が水素原
子で置換されたポリフルオロアルキル基
炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基および炭素数6以下のパー
フルオロアルキレン基を含んで構成されるポリフルオロアルキル基
一般式〔Ia〕によって示される含フッ素アルコール:
RF′-A-OH 〔Ia〕
RF′:炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基、炭素数6以下のパーフ
ルオロアルキレン基をおよびエーテル結合を有する、直鎖状または
分岐状パーフルオロアルキル基
一般式〔Ib〕によって示される含フッ素アルコール:
HO-A-RF′′-A-OH 〔Ib〕
RF′′:炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を
有する、直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基または
ポリフルオロアルキレン基
【0014】
含フッ素アルコール〔I〕としては、例えば一般式
CnF2n+1(CH2)jOH 〔II〕
n:1〜6、好ましくは4〜6
j:1〜6、好ましくは1〜3、特に好ましくは2
で表されるポリフルオロアルキルアルコール等が用いられる。
【0015】
アルキレン基Aとしては、CH2基、CH2CH2基等が挙げられ、かかるアルキレン基を有するパーフルオロアルキルアルキルアルコールとしては、2,2,2-トリフルオロエタノール(CF3CH20H)、3,3,3-トリフルオロプロパノール(CF3CH2CH2OH)、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール(CF3CF2CH20H)、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタノール(CF3CF2CH2CH2OH)、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンタノール(CF3CF2CF2CF2CH20H)、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキサノール(CF3CF2CF2CF2CH2CH2OH)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクタノール(CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2OH)等が例示される。
【0016】
また、ポリフルオロアルキル基は、例えばパーフルオロアルキル基の末端CF3基がCHF2基などに置き換った基あるいは中間CF2基がCHF基またはCH2基に置き換った基を指しており、かかる置換基を有する含フッ素アルコール〔I〕としては、例えば2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール(HCF2CF2CH2OH)、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブタノール(CF3CHFCF2CH2OH)、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノール(HCF2CF2CF2CF2CH2OH)等が挙げられる。
【0017】
一般式〔II〕で表されるポリフルオロアルキルアルコールは、例えば特許文献2に記載されており、次のような一連の工程を経て合成される。
まず、一般式
CnF2n+1(CF2CF2)b(CH2CH2)cI
で表されるポリフルオロアルキルアイオダイド、例えば
CF3(CH2CH2)I
CF3(CH2CH2)2I
C2F5(CH2CH2)I
C2F5(CH2CH2)2I
C3F7(CH2CH2)I
C3F7(CH2CH2)2I
C4F9(CH2CH2)I
C4F9(CH2CH2)2I
C2F5(CF2CF2)(CH2CH2)I
C2F5(CF2CF2)(CH2CH2)2I
C2F5(CF2CF2)2(CH2CH2)I
C2F5(CF2CF2)2(CH2CH2)2I
C4F9(CF2CF2)(CH2CH2)I
C4F9(CF2CF2)(CH2CH2)2I
をN-メチルホルムアミド HCONH(CH3)と反応させ、ポリフルオロアルキルアルコールとそのギ酸エステルとの混合物とした後、酸触媒の存在下でそれを加水分解反応させ、ポリフルオロアルキルアルコール
CnF2n+1(CF2CF2)b(CH2CH2)cOH
を形成させる。ただし、n+2bの値は6以下である。
【0018】
含フッ素アルコール〔I〕としてはまた、RF基がパーフルオロアルキル基のフッ素原子の一部が水素原子で置換され、炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基および炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基を含んで構成されるポリフルオロアルキル基であり、具体的には炭素数3〜20、好ましくは6〜10のポリフルオロアルキル基であり、Aが炭素数2〜6、好ましくは2のアルキレン基である含フッ素アルコール、例えば一般式
CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cOH 〔III〕
n:1〜6、好ましくは2〜4
a:1〜4、好ましくは1
b:0〜2、好ましくは1〜2
c:1〜3、好ましくは1
で表されるポリフルオロアルキルアルコール等も用いられる。
【0019】
一般式〔III〕で表されるポリフルオロアルキルアルコールは、特許文献2に記載されており、次のような一連の工程を経て合成される。
まず、一般式
CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cI
で表されるポリフルオロアルキルアイオダイド、例えば
CF3(CH2CF2)(CH2CH2)I
C2F5(CH2CF2)(CH2CH2)I
C2F5(CH2CF2)(CH2CH2)2I
C3F7(CH2CF2)(CH2CH2)I
C3F7(CH2CF2)(CH2CH2)2I
C4F9(CH2CF2)(CH2CH2)I
C4F9(CH2CF2)(CH2CH2)2I
C2F5(CH2CF2)(CF2CF2)(CH2CH2)I
C2F5(CH2CF2)(CF2CF2)(CH2CH2)2I
C2F5(CH2CF2)2(CF2CF2)(CH2CH2)I
C2F5(CH2CF2)2(CF2CF2)(CH2CH2)2I
C4F9(CH2CF2)(CF2CF2)(CH2CH2)I
C4F9(CH2CF2)2(CF2CF2)(CH2CH2)I
C4F9(CH2CF2)(CF2CF2)(CH2CH2)2I
C4F9(CH2CF2)2(CF2CF2)(CH2CH2)2I
をN-メチルホルムアミド HCONH(CH3)と反応させ、ポリフルオロアルキルアルコールとそのギ酸エステルとの混合物とした後、酸触媒の存在下でそれに加水分解反応させ、ポリフルオロアルキルアルコール
CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cOH
を形成させる。
【0020】
含フッ素アルコール〔Ia〕としては、RF′基が炭素数6以下の末端パーフルオロアルキル基、炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を有する直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、具体的には炭素数3〜305、好ましくは8〜35のO含有パーフルオロアルキル基であり、Aが炭素数1〜3、好ましくは1のアルキレン基である含フッ素アルコール、例えば一般式
CmF2m+1O〔CF(CF3)CF2O〕dCF(CF3)(CH2)eOH 〔IIa〕
m:1〜3、好ましくは3
d:0〜100、好ましくは1〜10
e:1〜3、好ましくは1
で表されるヘキサフルオロプロペンオキシドオリゴマーアルコール
または一般式
CmF2m+1(OCF2CF2CF2)s(OCF2CF2)t(OCF2)u(CH2)vOH 〔IIa´〕
m:1〜3、好ましくは3
s、t、u:それぞれ0〜200の整数、好ましくは0〜80の整数
v:1または2、好ましくは1
で表されるポリフルオロポリエーテルアルコール等が用いられる。
【0021】
また、含フッ素アルコール〔Ib〕としては、RF′′基が炭素数6以下のパーフルオロアルキレン基およびエーテル結合を有し、具体的には炭素数5〜160のO含有パーフルオロアルキレン基であり、Aが炭素数1〜3、好ましくは1のアルキレン基である含フッ素アルコール、例えば一般式
HO(CH2)fCF(CF3)〔OCF2CF(CF3)〕gO(CF2)hO〔CF(CF3)CF2O〕iCF(CF3)(CH2)fOH 〔IIb〕
f:1〜3、好ましくは1
g+i:0〜50、好ましくは2〜50
h:1〜6、好ましくは2
または一般式
HO(CH2CH2O)pCH2CF2(OCF2CF2)q(OCF2)rOCF2CH2(OCH2CH2)pOH 〔IIb´〕
p:0〜6、好ましくは1〜4
q+r:0〜50、好ましくは10〜40
で表されるパーフルオロアルキレンエーテルジオール等が用いられる。
【0022】
一般式〔IIa〕で表されるヘキサフルオロプロペンオキシドオリゴマーアルコールにおいて、m=1、e=1の化合物は特許文献3に記載されており、次のような工程を経て合成される。
一般式 CF3O〔CF(CF3)CF2O〕nCF(CF3)COOR (R:アルキル基、n:0〜12の整数)で表される含フッ素エーテルカルボン酸アルキルエステルを、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いて還元反応させる。
【0023】
一般式〔IIa´〕で表されるポリフルオロポリエーテルアルコールとしては、市販品、例えばダイキン工業製品デムナム(DEMNUM)SA等を用いることができる。
【0024】
さらに、一般式〔IIb〕で表されるパーフルオロアルキレンエーテルジオールにおいて、f=1の化合物は特許文献4〜5に記載されており、次のような一連の工程を経て合成される。
FOCRfCOF → H3COOCRfCOOCH3 → HOCH2RfCH2OH
Rf:-CF(CF3)〔OCF2C(CF3)〕aO(CF2)cO〔CF(CF3)CF2O〕bCF(CF3)-
【0025】
一般式〔IIb´〕で表されるポリフルオロアルキレンエーテルジオールとしては、市販品、例えばSolvay Solexis社製品Fomblin Z DOL TX等を用いることができる。
【0026】
ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等が用いられ、一般にはオルトホウ酸が用いられる。
【0027】
セルロースエーテルは、セルロースの水酸基の水素原子の一部または全部をメチル基 CH3、ヒドロキシエチル基 CH2CH2OH、ヒドロキシプロピル基 CH2CHOHCH3等で置換することにより得られ、一般式〔IV〕で示される。
R:CH3、CH2CH2OH、CH2CHOHCH3
【0028】
これらの置換基は、1種または2種以上が用いられ、セルロースエーテルとしては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベンジルセルロース、カルボキシメチルセルロール等が用いられる。実際には、市販品、例えば信越化学工業製品メトローズ(登録商標)SM、SE、SHシリーズのものが用いられる。これらのセルロースエーテルは、単独でまたは2種類以上混合して用いられる。
メトローズの置換基と置換度・置換モル数:
注)メトキシル基OCH3については、セルロースのグルコース環単位当りOCH3で置換さ
れた水酸基の平均個数を置換度として示している
ヒドロキシエトキシル基OCH2CH2OH、ヒドロキシプロポキシル基OCH2CHOHCH3につ
いては、セルロースのグルコース環単位当りに付加したOCH2CH2OHまたは、
OCH2CHOHCH3基の平均モル数を置換モル数として示している
【0029】
含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットの製造は、含フッ素アルコール〔I〕、〔Ia〕または〔Ib〕等にホウ酸を反応させ、含フッ素アルコール-ホウ酸コンポジットを生成させた後、これにセルロースエーテルを水の存在下で縮合反応させることにより行われる。これら2段階の反応はいずれも、約10〜120℃の温度、一般には室温条件下で、テトラヒドロフラン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒を用い、攪拌することにより行われる。第1段の反応は、含フッ素アルコールとホウ酸とを数時間程度攪拌した後、溶媒を加えて約24時間程度攪拌することにより行われる。第2段の反応は、溶媒およびセルロースエーテルに対して500倍量程度の水の存在下で約24時間程度攪拌することにより行われる。水の存在は、セルロースエーテルを溶解する作用を行う。
【0030】
これらの各成分は、含フッ素アルコール100重量部に対し、ホウ酸が約0.1〜100重量部、好ましくは約0.5〜60重量部の割合で、またセルロースエーテルが約5〜600重量部、好ましくは約10〜200重量部の割合で用いられる。ホウ酸の使用割合がこれよりも多い割合で使用されると溶媒への分散性が悪くなる。また、セルロースエーテルの使用割合がこれよりも多い割合で使用されると撥油性が低くなる。
【0031】
また、含フッ素ホウ酸セルロールエーテルコンポジットの製造を、3成分を同時に反応させて1段階で行う場合には、含フッ素アルコール〔I〕、〔Ia〕または〔Ib〕100重量部に対し、ホウ酸約0.1〜300重量部、セルロースエーテル約10〜1000重量部を、約10〜120℃の温度、一般には室温条件下で、前述の如き溶媒および水を用い、約24時間程度攪拌することによって行われる。
【0032】
反応生成物である含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットは、ホウ酸粒子の水酸基に含フッ素アルコールおよびセルロースエーテルが結合しているものと考えられ、したがってホウ酸の化学的、熱的安定性、フッ素のすぐれた撥水撥油性、防汚性およびセルロースエーテルの親水性などが有効に発揮されており、実際にガラス表面を含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットで処理したものは良好な撥油性および親水性を示している。
【0033】
また、得られた含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットは、繊維、布、織布、紙、フィルム、カーペットあるいはフィラメント、糸、繊維等から作られた布帛製品等に親水撥油剤として有効に適用され、適用方法としては、塗布、浸漬、吹付け、パッティング、ロールコーティングあるいはこれらの組合せ方法が用いられる。実際に、PET繊維製布を含フッ素ホウ酸セルロールエーテルコンポジットで表面処理したものは、良好な撥油性および親水性を示しており、油水分離膜として利用することができる。
【0034】
なお、含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジットは、含フッ素アルコール、セルロースエーテルおよびホウ酸粒子の縮合反応生成物としても形成されるが、この発明の目的を阻害しない限り他の成分の混在も許容される。かかる他の成分としては、有機モノ-またはポリ-カルボン酸エステルである有機エステル可塑剤、有機リン酸エステル可塑剤、有機亜リン酸エステル可塑剤等の可塑剤、好ましくは液状可塑剤を挙げることができる。
【実施例】
【0035】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0036】
実施例1
容量10mlの反応容器に、CF3(CF2)5(CH2)2OH〔FA-6〕4.80mg(0.27モル)およびホウ酸0.20mg(0.27モル)を仕込み、室温条件下で5時間攪拌した。その後、テトラヒドロフラン5mlを加え、室温条件下で24時間攪拌した。さらに溶媒を留去して、含フッ素アルコール-ホウ酸コンポジットを得た。得られたコンポジットにヒドロキシエチルメチルセルロース(メトローズSEB-40T:20℃における2%水溶液粘度値4,000mPa・秒)5.0mg、テトラヒドロフラン7.5mgおよび水2.5mlを添加し、室温条件下で24時間攪拌することにより、目的とする含フッ素ホウ酸セルロースエーテルコンポジット分散液を得た。
【0037】
得られたコンポジット分散液について、液滴の接触角の測定を行った。
液滴の接触角(単位:°):
コンポジット分散液(コンポジット濃度5g/L)を、ガラスプレパラート(MATSUNAMI社製マイクロカバーグラス)にディッピングし、室温条件下で乾燥させ、得られた薄膜表面にn-ドデカンまたは水の液滴4μlを静かに接触させ、付着した液滴の接触角(単位:°)を、θ/2法により接触角計(協和界面化学製Drop Master 300)で測定した。なお、水については経時的な測定が行われた。
【0038】
実施例2〜25、参考例1〜5
実施例1において、表1に示される如く、含フッ素アルコールの種類および量、ホウ酸の量およびセルロースエーテルの種類が種々変更されて用いられた。なお、セルロースエーテルとして用いられたメトローズの名称の後半(-以下)は、20℃における2%水溶液の粘度値(単位:mPa・秒)を示しており、04Tは4,000、60Tは30,000〜100,000の間の数値を示している。得られた結果は、後記表2に示される。
表1
含フッ素アルコール B(OH)3
種類 mg mg メトローズ
実施例1 FA-6 4.80 0.20 SEB-04T
〃 2 FA-6 4.80 0.20 SNB-60T
〃 3 FA-6 4.80 0.20 90SH-100
〃 4 FA-6 4.80 0.20 90SH-4000
〃 5 FA-6 4.80 0.20 SM-1500
〃 6 P03-OH 4.84 0.16 SEB-04T
〃 7 P03-OH 4.84 0.16 SNB-60T
〃 8 P03-OH 4.84 0.16 90SH-100
〃 9 P03-OH 4.84 0.16 90SH-4000
〃 10 P03-OH 4.84 0.16 SM-1500
〃 11 P06-OH 4.92 0.08 SEB-04T
〃 12 P06-OH 4.92 0.08 SNB-60T
〃 13 P06-OH 4.92 0.08 90SH-100
〃 14 P06-OH 4.92 0.08 90SH-4000
〃 15 P06-OH 4.92 0.08 SM-1500
〃 16 OXF8PO-OH 4.95 0.05 SEB-04T
〃 17 OXF8PO-OH 4.95 0.05 SNB-60T
〃 18 OXF8PO-OH 4.95 0.05 90SH-100
〃 19 OXF8PO-OH 4.95 0.05 90SH-4000
〃 20 OXF8PO-OH 4.95 0.05 SM-1500
〃 21 OXF14PO-OH 4.97 0.03 SEB-04T
〃 22 OXF14PO-OH 4.97 0.03 SNB-60T
〃 23 OXF14PO-OH 4.97 0.03 90SH-100
〃 24 OXF14PO-OH 4.97 0.03 90SH-4000
〃 25 OXF14PO-OH 4.97 0.03 SM-1500
参考例1 FA-8 4.84 0.16 SEB-04T
〃 2 FA-8 4.84 0.16 SNB-60T
〃 3 FA-8 4.84 0.16 90SH-100
〃 4 FA-8 4.84 0.16 90SH-4000
〃 5 FA-8 4.84 0.16 SM-1500
注)P03-OH:C3F7OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OH
P06-OH:C3F7O〔CF(CF3)CF2O〕4CF(CF3)CH2OH
OXF8PO-OH(m+n=6)、OXF14PO-OH(m+n=12):
HOCH2CF(CF3)〔OCF2CF(CF3)〕nOCF2CF2O〔CF(CF3)CF2O〕mCF(CF3)CH2OH
FA-8:CF3(CF2)7(CH2)2OH

表2
水接触時間 (単位:分)
ドデカン 10 15 20 25 30
実施例1 33 47 21 18 17 14 14 13
〃 2 37 55 36 34 32 29 28 27
〃 3 33 48 31 30 30 30 30 30
〃 4 35 59 22 18 17 17 14 14
〃 5 36 60 48 47 46 46 44 43
〃 6 34 77 34 29 24 20 15 11
〃 7 36 88 30 25 21 18 13 12
〃 8 37 57 47 42 34 27 21 14
〃 9 36 64 28 25 21 15 11 8
〃 10 38 68 26 21 15 11 6 6
〃 11 43 55 32 27 23 20 19 16
〃 12 45 46 35 32 28 26 22 19
〃 13 40 48 40 36 32 29 25 21
〃 14 38 55 38 36 32 26 18 15
〃 15 38 63 55 49 45 40 35 28
〃 16 46 111 44 36 31 27 22 16
〃 17 57 71 27 27 22 16 12 10
〃 18 56 71 18 18 15 8 7 4
〃 19 57 73 52 52 45 32 24 15
〃 20 58 64 43 43 37 24 17 10
〃 21 59 71 43 39 36 32 30 26
〃 22 54 103 46 39 33 29 25 24
〃 23 55 65 32 29 26 22 18 16
〃 24 56 62 24 20 19 16 12 9
〃 25 58 105 26 21 19 17 16 13
参考例1 36 60 52 46 40 33 29 28
〃 2 43 46 40 35 28 23 23 21
〃 3 41 49 43 38 31 22 15 8
〃 4 40 55 43 32 29 25 19 14
〃 5 34 59 54 44 40 37 33 30
【0039】
比較例1
含フッ素アルコールFA-6 5mgについて、実施例1と同様に接触角の測定を行った。
【0040】
比較例2
実施例1において、ヒドロキシエチルメチルセルロールが用いられなかった。
【0041】
比較例3
ガラスについて、実施例1と同様に接触角の測定を行った。
【0042】
比較例1〜3で得られた結果は、次の表3に示される。
表3
水接触時間(単位:分)
比較例 ドデカン 10 15 20 25 30
1 37 47 46 44 41 40 36 35
2 28 35 30 23 19 13 12 11
3 0 50 41 36 34 31 26 29
【0043】
実施例26
容量50mlの反応容器に、含フッ素アルコール OXF8PO-OH(m+n=6) 25.0mg、ホウ酸62.5mg、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ90SH-100)250.0mg、テトラヒドロフラン12.5mlおよび水12.5mlを加え、室温条件下で24時間攪拌することにより、目的とする含フッ素ホウ酸セルロールエーテルコンポジット分散液を得た。
【0044】
得られたコンポジット分散液をガラスプレパラートにスピンコーティング処理し、減圧下50℃で1日間乾燥させ、得られたガラス表面について、実施例1と同様の接触角測定を行った。得られた結果は、次の表4に示される。
表4
水接触時間(単位:分)
ドデカン 10 15 20 25 30
実施例26 57 81 20 17 12 11 6 4
【0045】
実施例27
実施例26で得たコンポジット分散液にPET繊維製布単体をディッピングし、減圧下50℃で1日間乾燥させ、得られた布表面について、実施例1と同様の接触角測定を行った。なお、n-ドデカンについても、経時的な測定が行われた。
【0046】
比較例4
PET繊維製布単体について、実施例27と同様の接触角測定を行った。
【0047】
実施例27および比較例4で得られた結果は、次の表5に示される。
表5
ドデカン接触時間(単位:分) 水接触時間(単位:分)

実施例27 71 71 92 0
比較例4 0 0 0 0
これらの結果に示されるように、表面処理を行ったPET繊維製布は、初期(0分)に撥水性を示すが5分後には親水性を示す一方、ドデカンの接触角は経時的に変化がみられないことから、親水撥油性を付与する表面処理が行われていることが確認された。
【0048】
実施例28
実施例27で得られたPET繊維製布単体を、減圧ろ過装置の油水分離膜として適用させ、赤色に着色した水とn-ドデカンの混合液を減圧させながらろ過させると、着色した水のみが膜を透過し、n-ドデカンは透過されずに油と水を分離することができた。
【0049】
比較例5
比較例4で得られたPET繊維製布単体について、実施例28と同様に油水分離膜として適用させたが、油と水を分離することはできなかった。