特許第6661120号(P6661120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フリーダムの特許一覧

<>
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000002
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000003
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000004
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000005
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000006
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000007
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000008
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000009
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000010
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000011
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000012
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000013
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000014
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000015
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000016
  • 特許6661120-貼箱製造方法 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661120
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】貼箱製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/74 20170101AFI20200227BHJP
   B65D 5/62 20060101ALN20200227BHJP
【FI】
   B31B50/74
   !B65D5/62 A
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-95178(P2019-95178)
(22)【出願日】2019年5月21日
(65)【公開番号】特開2019-217767(P2019-217767A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年5月21日
(31)【優先権主張番号】特願2018-115026(P2018-115026)
(32)【優先日】2018年6月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516289177
【氏名又は名称】株式会社フリーダム
(74)【代理人】
【識別番号】100196380
【弁理士】
【氏名又は名称】森 匡輝
(72)【発明者】
【氏名】永岡 慎吾
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6338261(JP,B2)
【文献】 特開平01−093334(JP,A)
【文献】 特開2018−51800(JP,A)
【文献】 特開2004−21026(JP,A)
【文献】 特開2000−25747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/74
B65D 5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地箱の側面に化粧紙を貼り付ける第1側面貼付工程と、
前記第1側面貼付工程で前記生地箱に貼り付けられた前記化粧紙の折り返し部を、前記生地箱の内側に折り込む第1折込工程と、
前記第1折込工程で前記化粧紙を折り込んだ側面と隣り合う前記生地箱の側面に、前記化粧紙を貼り付ける第2側面貼付工程と、を含み、
前記第1折込工程で前記折り返し部を折り込む折込板の幅は、
前記第1折込工程で前記化粧紙を貼り付ける前記生地箱の側面の幅より大きい、
ことを特徴とする貼箱製造方法。
【請求項2】
前記折り返し部に当接し、前記折り返し部を折り込む前記折込板の押込端部は、直線状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の貼箱製造方法。
【請求項3】
前記第1折込工程では、
折り込んだ前記折り返し部を、前記生地箱の内面に貼り付ける、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の貼箱製造方法。
【請求項4】
前記第2側面貼付工程で前記生地箱に貼り付けられた前記化粧紙の折り返し部を、前記生地箱の内側に折り込む第2折込工程を含む、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の貼箱製造方法。
【請求項5】
前記生地箱をセットする初期位置と、前記第1折込工程を行う第1加工位置と、前記第2折込工程を行う第2加工位置とが、直線上に配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の貼箱製造方法。
【請求項6】
前記第1折込工程では、
前記折り返し部が折り込まれる前記生地箱の開口端部と、前記折込板の主面とが平行となるように、予め調整された前記折込板を用いて、前記折り返し部を折り込む、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の貼箱製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼箱製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧紙を生地箱の外面に貼り付けて、貼箱を製造する貼箱製造装置が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の貼箱製造装置では、所定の形状に裁断された化粧紙と生地箱を貼箱製造装置にセットする。そして、生地箱の底面に化粧紙を貼り付けた後、生地箱の外側面に化粧紙を貼り付け、化粧紙の端部を生地箱の内面に折り返す。これにより、生地箱の外面全体に化粧紙を貼り付けた貼箱を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−64351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の貼箱製造装置では、底面部から延出する化粧紙を立ち上げて、生地箱の各外側面に、この延出部分を貼り付ける。そして、外側面全体に延出部分を貼り付けた後、生地箱の上端部から延出している化粧紙の折り返し部を、生地箱の内面に折り込んで貼り付ける。ここで、折り返し部を生地箱内側へ折り込む折込板の幅が、生地箱の側面の幅より大きい場合、折込板は隣り合う側面の折り返し部に接触して化粧紙を破損させる。特許文献1の貼箱製造装置は、隣り合う側面の折り返し部を挟み込んで折り曲げるように折込板の両端部に一対の突起を備える。しかしながら、生地箱の底面が三角形、長方形等の場合、すなわち隣り合う側面のなす角が鈍角でない場合、突起によって隣り合う側面の折り返し部を挟み込んで折り込むことはできない。
【0005】
したがって、長方形を含む任意の多角形を底面とする貼箱を製造する場合、折込板の幅は、生産する貼箱の側面の幅よりも小さく設定される。一方、折込板の幅が、折り返し部の幅よりも過度に小さい場合、化粧紙の折り返し部全体を押さえることができず、両端部の折り込みが不十分となる。これにより、折り返し部を生地箱内面に貼り付ける時(折り込み時)、折り返し部の両端を生地箱に密着させることができず、生地箱と化粧紙との間に浮きが生じる等、貼箱の外観品質が低下する。
【0006】
したがって、折込板の幅が生地箱の側面幅よりも僅かに小さい寸法となるよう、折込板は、生産する貼箱の切り替えの度に、貼箱の大きさに合わせて、取り替えられる必要がある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、折込板の取り替えを不要とすることにより、生産性を向上させることができる貼箱製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明に係る貼箱製造方法は、
生地箱の側面に化粧紙を貼り付ける第1側面貼付工程と、
前記第1側面貼付工程で前記生地箱に貼り付けられた前記化粧紙の折り返し部を、前記生地箱の内側に折り込む第1折込工程と、
前記第1折込工程で前記化粧紙を折り込んだ側面と隣り合う前記生地箱の側面に、前記化粧紙を貼り付ける第2側面貼付工程と、を含み、
前記第1折込工程で前記折り返し部を折り込む折込板の幅は、
前記第1折込工程で前記化粧紙を貼り付ける前記生地箱の側面の幅より大きい。
【0009】
また、前記折り返し部に当接し、前記折り返し部を折り込む前記折込板の押込端部は、直線状である、
こととしてもよい。
【0010】
また、前記第1折込工程では、
折り込んだ前記折り返し部を、前記生地箱の内面に貼り付ける、
こととしてもよい。
【0011】
また、前記第2側面貼付工程で前記生地箱に貼り付けられた前記化粧紙の折り返し部を、前記生地箱の内側に折り込む第2折込工程を含む、
こととしてもよい。
【0012】
また、前記生地箱をセットする初期位置と、前記第1折込工程を行う第1加工位置と、前記第2折込工程を行う第2加工位置とが、直線上に配置されている、
こととしてもよい。
【0013】
また、前記第1折込工程では、
前記折り返し部が折り込まれる前記生地箱の開口端部と、前記折込板の主面とが平行となるように、予め調整された前記折込板を用いて、前記折り返し部を折り込む、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、生地箱に貼り付けられた化粧箱の折り返し部を、隣り合う側面から折り返し部が延出していない状態で、側面の幅より大きい折込板を用いて生地箱内側に折り込むので、折込板が隣り合う側面の折り返し部を傷付けない。したがって、製造する貼箱の大きさによらず、共通の折込板を用いることが可能であり、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る貼箱製造装置の正面図である。
図2】実施の形態1に係る生地箱及び化粧紙の斜視図であり、(A)は貼り付け前の図、(B)は貼り付け後の図である。
図3】実施の形態1に係る貼箱製造処理のフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る生地箱と化粧紙の加工工程を示す斜視図であり、(A)は加工前の図、(B)は長辺側側面に化粧紙を貼り付けた図、(C)は長辺側折り返し部を折り込んだ図、(D)は短辺側側面にフラップを貼り付けた図、(E)は短辺側側面に化粧紙を貼り付けた図、(F)は貼箱完成品の図である。
図5】生地箱、化粧紙及び第1貼付ブラシの関係を示す側面図である。
図6】生地箱、化粧紙及びフラップ用ブラシの関係を示す平面図である。
図7】生地箱、折り返し部及び第1折込板の関係を示す図であり、(A)が平面図、(B)が側面図である。
図8】(A)は、圧着部で長辺側側面を押圧する状態を示す平面図であり、(B)は、圧着部で短辺側側面を押圧する状態を示す平面図である。
図9】生地箱、折り返し部及び第2折込板の関係を示す図であり、(A)が平面図、(B)が正面図である。
図10】第1折込板の一方の端部が生地箱の内側となる場合の生地箱と第1折込板との関係を示す平面図である。
図11】開口端部が底面と並行でない生地箱、折り返し部及び第1折込板の関係を示す図であり、(A)が正面図、(B)が側面図である。
図12】本発明の実施の形態2に係る貼箱製造装置の正面図である。
図13】実施の形態2に係る生地箱及び化粧紙の斜視図であり、(A)は貼り付け前の図、(B)は貼り付け後の図である。
図14】実施の形態2に係る貼箱製造処理のフローチャートである。
図15】実施の形態2に係る生地箱と化粧紙の加工工程を示す斜視図であり、(A)は加工前の図、(B)は長辺側の折り込み部を底面に折り込んだ図、(C)は短辺側の折り込み部を底面に折り込んだ図、(D)は長辺側の折り返し部を折り込んだ図、(E)は長辺側の折り返し部を生地箱の内側面に貼り付けた図、(F)は短辺側の折り返し部を折り込んだ図、(G)は貼箱完成品の図である。
図16】実施の形態2に係る生地箱と化粧紙の加工工程を示す側面図であり、(A)は第1折込工程の図、(B)は第2折込工程の図、(C)は第3折込工程の図、(D)は第4折込工程の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る貼箱製造方法及び貼箱製造装置について説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る貼箱製造装置1は、生地箱Bbの外面に化粧紙Dpを貼り付けて、貼箱を製造する装置である。貼箱製造装置1は、図1の概要図に示すように、ベースフレーム11、吸着ヘッド12、エアシリンダ13、第1貼付ブラシ14、フラップ用ブラシ15、第2貼付ブラシ16、第1折込板17、第2折込板18、エアシリンダ21、エアシリンダ22、ステージ25、圧着部38,39(不図示)、制御部31を備える。
【0023】
なお、貼箱製造装置1の各部を説明する図では、図1に示す貼箱製造装置1の正面視における左右方向をx軸方向、貼箱製造装置1の奥行き方向、すなわち図1の紙面垂直方向をy軸方向、貼箱製造装置1の上下方向をz軸方向とする直交座標系を設定し、適宜参照する。なお、図1の右方向を+x方向、奥行方向を+y方向、上方向を+z方向とする。
【0024】
また、図2(A)、(B)に示すように、本実施の形態に係る生地箱Bbは、長方形の底面と2つの長辺側側面71と2つの短辺側側面72とを備え、上面が開口している。ここで、生地箱Bbの上面及び底面は、貼箱製造装置1にセットする際の方向を示しており、完成した貼箱の使用時における方向はいずれであってもよい。すなわち、製造する貼箱は、一方が開口していればよく、使用時に底側となっても、蓋側となってもよい。
【0025】
ベースフレーム11は、吸着ヘッド12、ステージ25、第1貼付ブラシ14、第1折込板17等の構成要素を配置するための貼箱製造装置1の基台である。
【0026】
吸着ヘッド12は、図1に示すように、エアシリンダ13を介して、ベースフレーム11に取り付けられており、エアによる吸着機構(不図示)を備える。これにより、吸着ヘッド12は、ワークである生地箱Bb及び化粧紙Dpを吸着して所定の加工位置に移動させる。より具体的には、吸着ヘッド12は、ワークをセットする初期位置、第1の折込加工を行う第1加工位置、フラップ83を折り込むフラップ折込位置及び第2の折込加工を行う第2加工位置の間でワークを移動させる。吸着ヘッド12の素材は特に限定されないが、紙製の生地箱Bb及び化粧紙Dpを傷付けないために木、樹脂等を用いることが好ましい。
【0027】
エアシリンダ13は、吸着ヘッド12を移動させる直道アクチュエータであり、貼箱製造装置1に固定されている。エアシリンダ13は、貼箱製造装置1の上部に配置され、吸着ヘッド12をz軸方向に移動させる。これにより、エアシリンダ13は、吸着ヘッド12を初期位置、第1加工位置、フラップ折込位置及び第2加工位置の間で移動させる。
【0028】
第1貼付ブラシ14、フラップ用ブラシ15、第2貼付ブラシ16は、貼付面に接着剤が塗布された化粧紙Dpを生地箱Bbに貼り付けるためのブラシである。
【0029】
第1貼付ブラシ14は、生地箱Bbの底面から生地箱Bbの長辺側へ延出している化粧紙Dpを生地箱Bbの長辺側側面71に貼り付けるロール形状のブラシである。第1貼付ブラシ14は、図1に示すように、ブラシの中心軸がx軸方向となるように、貼箱製造装置1に配置され、吸着ヘッド12が初期位置から第1加工位置へと移動する過程で、化粧紙Dpを生地箱Bbの長辺側側面71に圧着する。
【0030】
フラップ用ブラシ15は、上述の第1貼付ブラシ14によって長辺側側面71に貼り付けられた化粧紙Dpから短辺側へ延出している4つのフラップ83(図4(D)で後述)を折り曲げて、短辺側側面72に貼り付けるものである。フラップ用ブラシ15は、矩形板状の基材と、基材の一方の長辺から外方に取り付けられたブラシを備える。フラップ用ブラシ15は、図1に示すように、ブラシの長手方向がz軸方向、ブラシの毛先が貼箱製造装置1のx軸方向中心を向くように、貼箱製造装置1のフラップ折込位置に配置される。フラップ用ブラシ15は、y軸方向に移動しながら化粧紙Dpのフラップ83を生地箱Bbの短辺側側面72に圧着する。
【0031】
第2貼付ブラシ16は、生地箱Bbの底面から生地箱Bbの短辺側へ延出している化粧紙Dpを生地箱Bbの短辺側側面72に貼り付けるロール形状のブラシである。第2貼付ブラシ16は、図1に示すように、ブラシの中心軸がy軸方向となるように、貼箱製造装置1に配置され、吸着ヘッド12がフラップ折込位置から第2加工位置へと移動する過程で、化粧紙Dpを生地箱Bbの短辺側側面72に圧着する。
【0032】
第1折込板17、第2折込板18は、生地箱Bb上部の開口端部から延出している化粧紙Dpの折り返し部84、86(図4(B)、(E)で後述)を生地箱Bbの内側へ折り込む部材である。本実施の形態に係る第1折込板17、第2折込板18は、矩形板状の金属部材であり、主面が貼箱製造装置1のz軸に直交するようにそれぞれ2つずつ配置されている。より具体的には、第1折込板17は、生地箱Bb及び化粧紙Dpが第1加工位置に位置する時、化粧紙Dpの折り返し部84を折り込むように、2つの長辺側側面71の外方に配置されている。また、第2折込板18は、生地箱Bb及び化粧紙Dpが第2加工位置に位置する時、化粧紙Dpの折り返し部86を折り込むように、2つの短辺側側面72の外方に配置されている。第1折込板17及び第2折込板18の材質は、金属に限られず、樹脂、木などであってもよい。
【0033】
また、第1折込板17、第2折込板18の下面側、すなわち貼箱製造装置1に配置された状態で−z方向を向く面は、図7(B)、図9(B)に示すように、化粧紙Dpに接触する側の辺を面取りされている。これにより、化粧紙Dpを折り込む際に、第1折込板17、第2折込板18が化粧紙Dpに引っかかり、化粧紙Dpを傷付けることを抑制できる。
【0034】
エアシリンダ21は、第1折込板17を動作させる直道アクチュエータである。本実施の形態に係る貼箱製造装置1は、2つのエアシリンダ21を備え、2つの第1折込板17にそれぞれに接続されている。エアシリンダ21は、長辺側の折り返し部84を折り込むため、貼箱製造装置1のy軸方向を可動方向(動作方向)として配置されている。
【0035】
エアシリンダ22は、第2折込板18を動作させる直道アクチュエータである。本実施の形態に係る貼箱製造装置1は、2つのエアシリンダ22を備え、2つの第2折込板18にそれぞれに接続されている。エアシリンダ22は、短辺側の折り返し部86を折り込むため、貼箱製造装置1のx軸方向を可動方向(動作方向)として配置されている。
【0036】
ステージ25は、ワークである生地箱Bb及び化粧紙Dpを載置する平板状の部材である。ステージ25は、エアによる吸着機構(不図示)を備え、例えば、化粧紙Dpの折り返し部84、86を折り込む際、生地箱Bb及び化粧紙Dpの位置が、第1折込板17、第2折込板18等に対してずれないよう保持する。本実施の形態に係るステージ25の載置面の大きさは、製造する貼箱の底面より小さく、生地箱Bbを載置した際、生地箱Bbの底面からはみ出さないように設定されている。
【0037】
圧着部38、39は、生地箱Bbの側面に貼り付けられた化粧紙Dpを押圧し、圧着させる部材である。圧着部38は、図示しないエアシリンダに接続されており、生地箱Bbの長辺側側面71に貼り付けられた化粧紙Dpを押圧するため、貼箱製造装置1のy軸方向に移動可能に配置されている(図8(A))。また、圧着部39は、図示しないエアシリンダに接続されており、生地箱Bbの短辺側側面72に貼り付けられた化粧紙Dpを押圧するため、貼箱製造装置1のx軸方向に移動可能に配置されている(図8(B))。
【0038】
制御部31は、CPU、メモリ、外部記憶装置、入出力I/O等を備え、貼箱製造装置1全体の動作を制御する。具体的には、予め外部記憶装置に記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、制御部31は、エアシリンダ13、21、22等を動作させるドライバに制御信号を送って制御する。また、制御部31は、作業者が貼箱製造装置1の電源のオン/オフ、エアのオン/オフ等を操作するスイッチを備える。
【0039】
続いて、貼箱製造装置1を用いた、貼箱の製造方法について、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0040】
まず、準備作業として、図2(A)、(B)に示すように、作業者は、生地箱Bbの大きさに合わせて切り抜かれた化粧紙Dpの貼付面全体に接着剤を塗布する。生地箱Bb底面に対応する部分である化粧紙Dpの底面部81を、生地箱Bbの底面に貼り付ける。
【0041】
続いて、作業者は、底面のみが化粧紙Dpで覆われた状態の生地箱Bb及び化粧紙Dp(図4(A))を、貼箱製造装置1にセットする。
【0042】
より具体的には、貼箱製造装置1の電源が投入されると、制御部31は吸着ヘッド12を動作させて、吸着ヘッド12の底面、すなわち−z方向の面(以下、吸着面という)から空気を吸入する。作業者は、吸着ヘッド12を生地箱Bbに挿入して、生地箱Bb及び化粧紙Dpをセットする(ステップS11)。これにより、生地箱Bbの底面は、吸着ヘッド12の吸着面に吸着、保持される。
【0043】
続いて、貼箱製造処理の第1側面貼付工程が開始されると、吸着ヘッド12は、−z方向に下降し、初期位置から第1加工位置へ移動する。吸着ヘッド12が下降すると、貼箱製造装置1のx軸方向に配置されている第1貼付ブラシ14が化粧紙Dpに当接する。
【0044】
第1貼付ブラシ14は、吸着ヘッド12に吸着された生地箱Bbの2つの長辺側側面71に接触する位置に、対向して配置されている。より具体的には、図5に示すように、2つの第1貼付ブラシ14のブラシ先端間の距離Wt1は、生地箱Bbの2つの長辺側側面71の距離Lb2より小さく設定されている。また、2つの第1貼付ブラシ14のブラシ基端間の距離Wb1は、生地箱Bbの2つの長辺側側面71の距離Lb2より大きく設定されている。これにより、生地箱Bb及び化粧紙Dpは、第1貼付ブラシ14の先端部に接触しつつ、2つの第1貼付ブラシ14の間を通過することができる。
【0045】
上述のように、吸着ヘッド12が下降する過程で、第1貼付ブラシ14は、生地箱Bbの底面部から延出した化粧紙Dpの長辺側側面部82を、生地箱Bbの長辺側側面71に貼り付ける(ステップS12)。
【0046】
吸着ヘッド12は、生地箱Bb及び化粧紙Dpが第1貼付ブラシ14を通過した後、第1加工位置、すなわち生地箱Bb及び化粧紙Dpがステージ25の近傍に達した位置で停止する。詳細には、制御部31は、生地箱Bbに貼り付けられた化粧紙Dpの底面部81がステージ25に当接するか、僅かに隙間がある位置、例えば1mm程度離れた位置で吸着ヘッド12を停止させる。
【0047】
続いて、制御部31は、吸着ヘッド12のエアを停止するとともに、ステージ25の上面に配置されているエア配管の吸入を開始する。これにより、生地箱Bb及び化粧紙Dpは、吸着ヘッド12に吸着されている状態から、ステージ25に吸着されている状態となる。そして、制御部31は、吸着ヘッド12を生地箱Bbから離し、初期位置に戻す(ステップS13)。
【0048】
続いて貼箱製造装置1は、第1折込工程を開始する。制御部31は、エアシリンダ21を動作させることにより、第1折込板17を移動させて、生地箱Bbの開口端部(上端部)から延出している化粧紙Dpの折り返し部84を生地箱Bbの内側へ折り込む(ステップS14)。
【0049】
より具体的には、制御部31は、図7(A)、(B)に示すように、2つの第1折込板17(図7(A)、(B)では一方を省略)を、生地箱Bbの外側から生地箱Bbの内側へ移動させる。2つの第1折込板17の下面、すなわち−z方向の面は、ステージ25との間隔を調整することにより、生地箱Bbの上端部から僅かに上(+z方向)、例えば1mm程度上に位置するよう予め設定されている。また、第1折込板17の幅Lplは、図7(A)に示すように、生地箱Bbの長辺側側面71の幅Lblより大きく設定されている。好ましくは、第1折込板17の幅Lplは、貼箱製造装置1で製造される貼箱の長辺側側面71の幅の最大値であるLblmaxより大きく設定される。第1折込板17の幅Lplは、例えば、長辺側側面71の幅の最大値であるLblmaxより10mm程度大きく設定される。また、折り返し部84に当接し、折り返し部84を折り込む第1折込板17の押込端部17aは、図7(A)に示すように、直線状となっている。
【0050】
これにより、第1折込板17が、生地箱Bbの外側から、生地箱Bbのy軸方向中心に向かって移動し、化粧紙Dpの折り返し部84を生地箱Bbの内側へ折り込む(図4(C))。
【0051】
本実施の形態では、上述の通り、生地箱Bbの上端部から延出する折り返し部84を折り込む時、生地箱Bbの短辺側側面72には化粧紙Dpが貼り付けられていない。したがって、生地箱Bbの短辺側側面上端部から化粧紙Dpの折り返し部86は延出していない。このため、第1折込板17の幅Lp1を長辺側側面71の幅Lb1より大きく設定していても、短辺側側面72に貼り付けられる化粧紙Dpの折り返し部86を破損させることがない。これにより、生地箱Bbの大きさ、具体的には長辺側側面71の幅Lb1に合わせて第1折込板17を取り替える必要がなく、第1折込板17の製造コストを低減することができる。また、製造する貼箱の切り替え時に、第1折込板17を取り替える作業コストを省くことができる。
【0052】
続いて、制御部31は、エアシリンダ13を動作させることにより、吸着ヘッド12を下降させ、生地箱Bbに挿入する。これにより、化粧紙Dpの折り返し部84は、折り返されて生地箱Bbの長辺側側面71の内面に貼り付けられる(ステップS15)。さらに、制御部31は、図8(A)に矢印で示すように、2つの長辺側側面71の外方に配置されている圧着部38を動作させ、長辺側側面71を押圧する。これにより、生地箱Bbの長辺側側面71の外面と内面に化粧紙Dpを、密着させることができる。本実施の形態に係る第1折込工程は、折り返し部84を生地箱Bbの内面に貼り付ける処理を含む。
【0053】
続いて、制御部31は、吸着ヘッド12、ステージ25、生地箱Bb及び化粧紙Dpを−z方向に下降させ、フラップ折込位置へ移動させる。さらに、制御部31は、エアシリンダ(不図示)を動作させ、図6中に矢印で示すように、4つのフラップ用ブラシ15を、生地箱Bbのy軸方向中心に向かって、+y方向又は−y方向に動作させる。これにより、図4(D)に示すように、長辺側側面71に貼り付けられた化粧紙Dpの短辺側側面72方向(x軸方向)に延出している化粧紙Dpのフラップ83を短辺側側面72に貼り付ける(ステップS16)。
【0054】
フラップ用ブラシ15は、ステージ25に吸着された生地箱Bbの2つの短辺側側面72に接触する位置に、長手方向がz軸方向となるように配置されている。より具体的には、図6に示すように、+x側の2つのフラップ用ブラシ15と−x側の2つのフラップ用ブラシ15とのブラシ先端間の距離Wt2は、生地箱Bbの対向する2つの短辺側側面72の間の距離Lb1より小さく設定されている。
【0055】
また、+x側の2つのフラップ用ブラシ15と−x側の2つのフラップ用ブラシ15とのブラシ基端間の距離Wb2は、生地箱Bbの2つの短辺側側面72間の距離Lb1より大きく設定されている。したがって、フラップ用ブラシ15は、+y方向又は−y方向に移動することにより、化粧紙Dpのフラップ83を生地箱Bbの短辺側側面72に貼り付けることができる。
【0056】
続いて、貼箱製造装置1は、第2側面貼付工程を開始する。制御部31は、吸着ヘッド12、ステージ25、生地箱Bb及び化粧紙Dpを−z方向に下降させ、第2加工位置へ移動させる。吸着ヘッド12、ステージ25等が下降すると、貼箱製造装置1のy軸方向に配置されている第2貼付ブラシ16が化粧紙Dpに当接する。
【0057】
第2貼付ブラシ16は、生地箱Bbの2つの短辺側側面72に接触する位置に、対向して配置されている。より具体的には、図5に示す第1貼付ブラシ14と同様に、2つの第2貼付ブラシ16のブラシ先端間の距離は、生地箱Bbの2つの短辺側側面72間の距離より小さく設定されている。また、2つの第2貼付ブラシ16のブラシ基端間の距離は、生地箱Bbの2つの短辺側側面72間の距離より大きく設定されている。これにより、生地箱Bb及び化粧紙Dpは、第2貼付ブラシ16の先端部に接触しつつ、2つの第2貼付ブラシ16の間を通過することができる。
【0058】
上述のように、吸着ヘッド12、ステージ25等が第2加工位置へ下降する過程で、第2貼付ブラシ16は、生地箱Bbの底面部から延出した化粧紙Dpの短辺側側面部85を、図4(E)に示すように、生地箱Bbの短辺側側面72に貼り付ける(ステップS17)。
【0059】
続いて、制御部31は、エアシリンダ13を動作させ、吸着ヘッド12を初期位置又は第1加工位置に戻す。本実施の形態では、エアシリンダ13は初期位置に戻される。
【0060】
また、貼箱製造装置1は、第2折込工程を開始する。制御部31は、エアシリンダ22を動作させることにより、第2折込板18を移動させて、生地箱Bbの上端部から延出している化粧紙Dpの折り返し部86を生地箱Bbの内側へ折り込む(ステップS18)。
【0061】
より具体的には、制御部31は、図9(A)、(B)に示すように、2つの第2折込板18(図9(A)、(B)では一方を省略)を、生地箱Bbの外側から生地箱Bbの内側へ移動させる。2つの第2折込板18の下面、すなわち−z方向の面は、ステージ25との間隔を調整することにより、生地箱Bbの上端部から僅かに上(+z方向)、例えば1mm程度上に位置するよう予め設定されている。また、第2折込板18の幅Lp2は、図9(A)に示すように、生地箱Bbの短辺側側面72の幅Lb2より大きく設定されている。好ましくは、第2折込板18の幅Lp2は、貼箱製造装置1で製造される貼箱の短辺側側面72の幅の最大値であるLb2maxより大きく設定される。第2折込板18の幅Lp2は、例えば、短辺側側面72の幅の最大値であるLb2maxより10mm程度大きく設定される。
【0062】
これにより、第2折込板18が、生地箱Bbの外側から、生地箱Bbのx軸方向中心に向かって移動し、化粧紙Dpの折り返し部86を生地箱Bbの内側へ折り込む。
【0063】
本実施の形態では、上述の通り、生地箱Bb上端部から延出する折り返し部86を折り込む時、生地箱Bbの長辺側側面71に貼り付けられる折り返し部84は、折り返されて生地箱Bbの内面に貼り付けられている。したがって、生地箱Bbの長辺側側面上端部から化粧紙Dpの折り返し部84は延出していない。このため、第2折込板18の幅Lp2を短辺側側面72の幅Lb2より大きく設定していても、長辺側側面71に貼り付けられる化粧紙Dpの折り返し部84を破損させることがない。これにより、生地箱Bbの大きさ、具体的には短辺側側面72の幅Lb2に合わせて第2折込板18を取り替える必要がなく、第2折込板18の製造コストを低減することができる。また、製造する貼箱の切り替え時に、第2折込板18を取り替える作業コストを省くことができる。また、折り返し部86に当接し、折り返し部86を折り込む第2折込板18の押込端部18aは、図9(A)に示すように、直線状となっている。
【0064】
続いて、制御部31は、エアシリンダ13を動作させることにより、吸着ヘッド12を下降させ、生地箱Bbに挿入する。これにより、化粧紙Dpの折り返し部86は、折り返されて生地箱Bbの短辺側側面72の内面に貼り付けられる(ステップS19)。さらに、制御部31は、図8(B)に矢印で示すように、2つの短辺側側面72の外方に配置されている圧着部39を動作させ、短辺側側面72を押圧し、貼箱を完成させる(図4(F))。これにより、生地箱Bbの短辺側側面72の外面と内面に化粧紙Dpを、密着させることができる。
【0065】
制御部31は、ステージ25のエアを停止するとともに、吸着ヘッド12の吸着を開始して、完成した貼箱を吸着ヘッド12の吸着面に吸着させる。また、吸着ヘッド12を初期位置に戻すとともに、ステージ25を第1加工位置に戻す。
【0066】
作業者が吸着ヘッド12のエアを停止し、完成した貼箱を吸着ヘッド12から取り外して(ステップS20)、貼箱製造処理は終了する。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態に係る貼箱製造装置1は、1対の長辺側側面71に化粧紙Dpを貼り付けた後、隣り合う短辺側側面72に化粧紙Dpを貼り付ける前に、化粧紙Dpの折り返し部84を生地箱Bbの内側へ折り込む。言い換えれば、生地箱Bbの隣り合う側面に化粧紙Dpを貼り付ける前に、第1折込板17によって折り返し部84を折り込む。したがって、第1折込板17の幅Lplが長辺側側面71の幅Lblより大きい場合でも、隣り合う短辺側側面72に貼り付けられた化粧紙Dpの折り返し部86と接触するおそれがない。これにより、生産する貼箱の長辺側側面71の幅Lblに合わせて、第1折込板17を交換する必要がなく共通の第1折込板17を用いることができるので、生産性を向上させることができる。また、第1折込板17の製造コストを低減できるとともに、製造する貼箱の切り替え時に第2折込板18を取り替える作業コストを省くことができる。
【0068】
さらに、第1折込板17の押込端部17aは直線状であり、第1折込板17を交換することなく三角形、長方形等任意の多角形の底面を有する貼箱を製造することができる。
【0069】
また、折り返し部84より幅の大きい第1折込板17、折り返し部86よりも幅の大きい第2折込板18を用いることにより、折り返し部84、86の幅方向両端まで押さえながら折り込むことができる。したがって、生地箱Bbと化粧紙Dpとの密着性を高め、貼箱の外観品質を向上させることができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る貼箱製造装置1では、ワークである生地箱Bb及び化粧紙Dpをセットする初期位置、第1加工位置、フラップ折込位置及び第2加工位置が直線上に配置されている。これにより、直道アクチュエータのみで、吸着ヘッド12、ステージ25を移動させることができるので、貼箱製造装置1の構造を簡素なものにできる。
【0071】
本実施の形態では、生地箱Bbの長辺側側面71をx−z平面と平行、短辺側側面72をy−z平面と平行に配置することとしたが、これに限られず、長辺側側面71と短辺側側面72とを入れ替えて配置することとしてもよい。また、本実施の形態に係る生地箱Bbの底面は、長方形であることとしたが、これに限られない。例えば、辺の長さが等しい正方形であってもよい。
【0072】
また、生地箱Bbの底面の形状は、四角形に限られず、例えば、六角形、八角形等でもよい。この場合、第1加工位置において化粧紙Dpを貼り付ける側面を1つおきに設定し、隣り合う側面への化粧紙Dpの貼付を第2加工位置で行えばよい。
【0073】
また、本実施の形態では、生地箱Bb側面への化粧紙Dpの貼付作業を、第1加工位置及び第2加工位置の2つの作業位置で行うこととしたがこれに限られず、3つ以上の加工位置を設けることとしてもよい。これにより五角形、七角形など2つの加工位置では、隣り合う側面への化粧紙Dpの貼り付けを別工程とすることが困難な場合であっても、隣り合う側面を空けて化粧紙Dpを貼り付けることができる。これにより、生地箱Bbの幅よりも大きい幅の第1折込板17、第2折込板18を用いることができる。したがって、生産する貼箱の大きさに合わせて第1折込板17、第2折込板18を取り替えなくても、貼箱を製造することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、第1折込板17は、生地箱Bbの長辺側側面71の幅方向両端からはみ出しているものとしたが、これに限られない。例えば、図10に示すように、第1折込板17の一方の端部が長辺側側面71の幅(x軸方向)の内側となるように配置されていてもよい。この場合、生地箱Bbの幅方向両端部のうち、第1折込板17が内側に位置する方(図10の−x側)の端部を基準として、ワークである生地箱Bb及び化粧紙Dpを貼箱製造装置1にセットすればよい。これにより、製造する貼箱の大きさが変わっても、折り返し部84の幅方向の大凡全体を押さえながら折り込むことができる。
【0075】
本実施の形態では、第1折込板17は、生地箱Bbの底面と第1折込板17の主面とが平行となるように固定されていることとしたが、これに限られない。例えば、第1折込板17は、化粧紙Dpを折り込む際の第1折込板17の可動方向(y軸方向)を回転軸として回転可能に構成されていてもよい。角度調整手段は特に限定されないが、例えば、エアシリンダ21に第1折込板17を固定するネジを回転中心として、第1折込板17の取り付け角度を調整可能に構成される。
【0076】
これにより、図11(A)、(B)に示すように、折り返し部84が折り込まれる生地箱Bbの開口端部(開口部の端辺)と、第1折込板17の主面とが平行となるように、予め調整することができる。したがって、開口端部が底面と平行でない生地箱Bbであっても、品質よく化粧紙Dpを折り込むことができる。
【0077】
また、上述の第1折込板17と同様に、第2折込板18の角度を調整できることとしてもよい。これにより、生地箱Bbの底面と並行でない開口端部に対して、第2折込工程において、化粧紙Dpを折り込むことができる。
【0078】
(実施の形態2)
続いて、本発明の実施の形態2に係る貼箱製造装置2(図12)について説明する。本実施の形態に係る貼箱製造装置2では、生地箱Bbの上下両方に延出する化粧紙Dpを折り込む点で、実施の形態1と異なる。より具体的には、生地箱Bbの長辺側側面71の上端及び下端から延出する化粧紙Dpを折り込む加工位置を第1加工位置とし、生地箱Bbの短辺側側面72の上端及び下端から延出する化粧紙Dpを折り込む加工位置を第2加工位置としている。その他の構成は実施の形態1と同様であるので、同じ符号を付す。
【0079】
本実施の形態に係る貼箱製造装置2では、図13(A)、(B)に示すように、生地箱Bbの側面全周に化粧紙Dpを貼り付けたワークを使用する。
【0080】
以下、貼箱製造装置2を用いた、貼箱の製造方法について、図14に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0081】
まず、準備作業として、図13(A)、(B)に示すように、作業者は、生地箱Bbの大きさに合わせて切り抜かれた化粧紙Dpの貼付面全体に接着剤を塗布する。そして、生地箱Bbの側面全周に化粧紙Dpを巻き付けるように貼り付ける。本実施の形態に係る生地箱Bbは、実施の形態1と同様に、長方形の底面と2つの長辺側側面71と2つの短辺側側面72とを備え、上面が開口している。
【0082】
続いて、作業者は、側面が化粧紙Dpで覆われた状態の生地箱Bb及び化粧紙Dp(図15(A))を、貼箱製造装置2にセットする。より具体的には、貼箱製造装置2の電源が投入されると、制御部31は吸着ヘッド12を動作させて、吸着ヘッド12の底面(吸着面)から空気を吸入する。作業者は、吸着ヘッド12を生地箱Bbに挿入して、生地箱Bb及び化粧紙Dpをセットする(ステップS31)。これにより、生地箱Bbの底面は、吸着ヘッド12の吸着面に吸着、保持される。
【0083】
続いて、吸着ヘッド12は、−z方向に下降し、初期位置から第1加工位置へ移動する(ステップS32)。第1加工位置において、制御部31は、図16(A)に示すように、生地箱Bbの底面が第1折込板17の上面より僅かに上、例えば、1mm程度上となる位置で、吸着ヘッド12を停止させる。
【0084】
続いて貼箱製造装置2は、第1折込工程を開始する。制御部31は、エアシリンダ21を動作させることにより、第1折込板17を移動させて、生地箱Bbの底面部から延出している化粧紙Dpの折り込み部92を生地箱Bbの内側へ折り込む(ステップS33)。
【0085】
より具体的には、制御部31は、図16(A)に矢印で示すように、2つの第1折込板17を、生地箱Bbの外側から生地箱Bbの内側へ移動させる。2つの第1折込板17の上面部、すなわち+z方向の面は、上述のように生地箱Bbの底面部から僅かに下(−z方向)に位置するよう予め設定されている。また、第1折込板17の幅は、生地箱Bbの長辺側側面71の幅より小さく設定されている。また、折り込み部92に当接し、折り込み部92を折り込む第1折込板17の押込端部17aは、実施の形態1と同様に、直線状となっている。
【0086】
これにより、第1折込板17が、生地箱Bbの外方から、生地箱Bbのy軸方向中心に向かって移動し、化粧紙Dpの折り込み部92を生地箱Bb底面の中心方向へ折り込む(図15(B))。
【0087】
また、第1折込板17、第2折込板18の上面側、すなわち貼箱製造装置2に配置された状態で+z方向を向く面は、図16(A)、(C)に示すように、化粧紙Dpに接触する側の辺を面取りされている。これにより、生地箱Bbの底面へ化粧紙Dpを折り込む際に、第1折込板17、第2折込板18が化粧紙Dpに引っかかり、化粧紙Dpを傷付けることを抑制できる。また、押込端部17a、18aは、断面R形状となっている。これにより、第1折込板17、第2折込板18と化粧紙Dpとの摩擦抵抗を低減できる。また、第1折込板17、第2折込板18の下面側の面も、実施の形態1と同様に面取りされている。
【0088】
続いて、吸着ヘッド12は、−z方向に下降し、第1加工位置から第2加工位置へ移動する(ステップS34)。第2加工位置において、制御部31は、生地箱Bbの底面が第2折込板18の上面より僅かに上、例えば、1mm程度上となる位置で、吸着ヘッド12を停止させる(図16(B))。
【0089】
続いて貼箱製造装置2は、第2折込工程を開始する。制御部31は、エアシリンダ22を動作させることにより、第2折込板18を移動させて、生地箱Bbの底面部から延出している化粧紙Dpの折り込み部95を生地箱Bb底面の中心方向へ折り込む(ステップS35)。折り込み部95は、第1折込工程で折り込み部92を折り込んだ側面と隣り合う側面から、底面側へと延出している部分である。
【0090】
より具体的には、制御部31は、2つの第2折込板18を、生地箱Bbの外側から生地箱Bbの内側へ移動させる。2つの第2折込板18の上面部、すなわち+z方向の面は、上述のように生地箱Bbの底面部から僅かに下(−z方向)に位置するよう予め設定されている。また、第2折込板18の幅Lp2は、実施の形態1(図9(A))と同様に、生地箱Bbの短辺側側面72の幅Lb2より大きく設定されている。また、折り込み部95に当接し、折り込み部95を折り込む第2折込板18の押込端部18aは、実施の形態1と同様に、直線状となっている。
【0091】
これにより、第2折込板18が、生地箱Bbの外側から、生地箱Bbのx軸方向中心に向かって移動し、化粧紙Dpの折り込み部95を生地箱Bbの底面部へ折り込む(図15(C))。
【0092】
続いて、制御部31は、吸着ヘッド12を下降させる。制御部31は、生地箱Bbの底面に折り込まれた化粧紙Dpの折り込み部92、95が、予め第2加工位置の下方に配置されていたステージ25に当接した位置で、吸着ヘッド12を停止させる。これにより、生地箱Bbの底面に、化粧紙Dpの折り込み部92、95を密着させることができる。
【0093】
制御部31は、吸着ヘッド12のエアを停止するとともに、ステージ25の上面に配置されているエア配管の吸入を開始する。これにより、生地箱Bb及び化粧紙Dpは、吸着ヘッド12に吸着されている状態から、ステージ25に吸着されている状態となる。そして、制御部31は、吸着ヘッド12を生地箱Bbから離脱させ、初期位置に戻す。また、制御部31は、ステージ25とステージ25に吸着されている生地箱Bb及び化粧紙Dpとを+z方向に上昇させ、第1加工位置へ移動させる(ステップS36)。
【0094】
第1加工位置において、制御部31は、図16(C)に示すように、生地箱Bbの開口端部(上端部)が第1折込板17の下面より僅かに下、例えば、1mm程度下となる位置で、ステージ25を停止させる。
【0095】
続いて貼箱製造装置2は、第3折込工程を開始する。制御部31は、エアシリンダ21を動作させることにより、第1折込板17を移動させて、生地箱Bbの上端部から延出している化粧紙Dpの折り返し部93を生地箱Bbの内側へ折り込む(ステップS37)。
【0096】
より具体的には、制御部31は、図16(C)に矢印で示すように、2つの第1折込板17を、生地箱Bbの外側から生地箱Bbの内側へ移動させる。2つの第1折込板17の下面部、すなわち−z方向の面は、上述のように生地箱Bbの上端部から僅かに上(+z方向)に位置するよう予め設定されている。そして、第1折込板17が、生地箱Bbの外側から、生地箱Bbのy軸方向中心に向かって移動し、化粧紙Dpの折り返し部93を生地箱Bbの内側へ折り込む(図15(D))。
【0097】
続いて、制御部31は、エアシリンダ13を動作させることにより、吸着ヘッド12を下降させ、生地箱Bbに挿入する。これにより、化粧紙Dpの折り返し部93は、図15(E)に示すように、折り返されて生地箱Bbの長辺側側面71の内面に貼り付けられる(ステップS38)。さらに、制御部31は、実施の形態1と同様に、2つの長辺側側面71の外側に配置されている圧着部38を動作させ、長辺側側面71を押圧する。これにより、生地箱Bbの長辺側側面71の外面と内面に化粧紙Dpを、密着させることができる。本実施の形態に係る第3折込工程は、折り返し部93を生地箱Bbの内面に貼り付ける処理を含む。
【0098】
続いて、制御部31は、ステージ25、生地箱Bb及び化粧紙Dpを−z方向に下降させ、第2加工位置へ移動させる(ステップS39)。
【0099】
第2加工位置において、制御部31は、図16(D)に示すように、生地箱Bbの開口端部(上端部)が第2折込板18の下面より僅かに下、例えば、1mm程度下となる位置で、ステージ25を停止させる。
【0100】
続いて貼箱製造装置2は、第4折込工程を開始する。制御部31は、エアシリンダ22を動作させることにより、第2折込板18を移動させて、生地箱Bbの上端部から延出している化粧紙Dpの折り返し部96を生地箱Bbの内側へ折り込む(ステップS40)。折り返し部96は、第3折込工程で折り返し部93を折り込んだ側面と隣り合う側面から、開口端部へと延出している部分である。
【0101】
より具体的には、制御部31は、2つの第2折込板18を、生地箱Bbの外側から生地箱Bbの内側へ移動させる。2つの第2折込板18の下面部、すなわち−z方向の面は、上述のように生地箱Bbの上端部から僅かに上(+z方向)に位置するよう予め設定されている。
【0102】
これにより、第2折込板18は、生地箱Bbの外側から、生地箱Bbのx軸方向中心に向かって移動し、化粧紙Dpの折り返し部96を生地箱Bbの内側へ折り込む(図15(F))。
【0103】
続いて、制御部31は、エアシリンダ13を動作させることにより、吸着ヘッド12を下降させ、生地箱Bbに挿入する。これにより、化粧紙Dpの折り返し部96は、図15(G)に示すように、折り返されて生地箱Bbの短辺側側面72の内面に貼り付けられる(ステップS41)。さらに、制御部31は、実施の形態1と同様に、2つの短辺側側面72の外側に配置されている圧着部39を動作させ、短辺側側面72を押圧する。これにより、生地箱Bbの短辺側側面72の外面と内面に化粧紙Dpを、密着させることができる。本実施の形態に係る第4折込工程は、折り返し部96を生地箱Bbの内面に貼り付ける処理を含む。
【0104】
制御部31は、ステージ25のエアを停止するとともに、吸着ヘッド12の吸着を開始して、完成した貼箱を吸着ヘッド12の吸着面に吸着させる。また、吸着ヘッド12を初期位置に戻す。
【0105】
作業者が吸着ヘッド12のエアを停止し、完成した貼箱を吸着ヘッド12から取り外して(ステップS42)、貼箱製造処理は終了する。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態に係る貼箱製造装置2は、生地箱Bbの側面から下方(底面側)に延出している化粧紙Dpと、上方(上端側)に延出している化粧紙Dpとを共通の第1折込板17、第2折込板18で折込加工する。したがって、上方の折込加工と下方の折込加工とで異なる装置を用いる必要がない。また、吸着ヘッド12、ステージ25の位置によって、上方の折込加工と下方の折込加工を切り替えるので、折込板の位置調整が不要である。
【0107】
また、第2折込板18の幅Lp2を、生地箱Bbの短辺側側面72の幅Lb2より大きいものとしているので、生産する貼箱の短辺側側面72の幅Lb2に合わせて、第2折込板18を交換する必要がなく共通の第2折込板18を用いることができる。したがって、生産性を向上させることができる。また、第2折込板18の製造コストを低減するとともに、製造する貼箱の切り替え時に第2折込板18を取り替える作業コストを省くことができる。
【0108】
本実施の形態では、化粧紙Dpを生地箱Bbの側面全周に貼り付けることとしたが、これに限られない。例えば、2つの長辺側側面71のうち一方と、2つの短辺側側面72の両方に化粧紙Dpを貼り付けることとしてもよい。
【0109】
また、本実施の形態では、第1貼付ブラシ14、第2貼付ブラシ16等を備えないこととしたが、これに限られない。これらのブラシを備えることにより、実施の形態1で説明した貼箱、すなわち底面部に化粧紙Dpを貼り付けた後、側面部に化粧紙Dpを貼り付ける貼箱も製造することができる。
【0110】
また、本実施の形態に係る貼箱製造装置2では、初期位置と、第1折込工程及び第3折込工程を行う第1加工位置と、第2折込工程及び第4折込工程を行う第2加工位置とが直線上に配置されている。これにより、直道アクチュエータのみで、吸着ヘッド12、ステージ25を移動させることができるので、貼箱製造装置2の構造を簡素なものにできる。
【符号の説明】
【0111】
1 貼箱製造装置、11 ベースフレーム、12 吸着ヘッド、13,21,22 エアシリンダ、14 第1貼付ブラシ、15 フラップ用ブラシ、16 第2貼付ブラシ、17 第1折込板、17a,18a 押込端部、18 第2折込板、25 ステージ、31 制御部、38,39 圧着部、Bb 生地箱、Dp 化粧紙、71 長辺側側面、72 短辺側側面、81 底部、82,91 長辺側側面部、83 フラップ、84,86,93,96 折り返し部、85,94 短辺側側面、92,95 折り込み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16