(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
複数の回転翼及び前記回転翼を駆動させるモータを少なくとも備えた飛行部と、
対象物を積載可能な積載部と、
前記飛行部と前記積載部とを互いに変位可能に接続する接続部と、
を備えた飛行体。
[項目2]
項目1に記載の飛行体であって、
前記接続部は、前記飛行部の重心又は中心よりも上方にある、
飛行体。
[項目3]
項目2に記載の飛行体であって、
前記接続部は、前記飛行部の重心又は中心よりも鉛直方向において真上又は略真上にある、
飛行体。
[項目4]
項目1に記載の飛行体であって、
前記接続部は、前記飛行部の重心又は中心と一致又は略一致している、
飛行体。
[項目5]
項目1に記載の飛行体であって、
前記接続部は、前記飛行部の重心又は中心よりも下方にある、
飛行体。
[項目6]
項目5に記載の飛行体であって、
前記接続部は、前記飛行部の重心又は中心よりも鉛直方向において真下又は略真下にある、
飛行体。
[項目7]
項目1に記載の飛行体であって、
前記接続部は、前記飛行体の重心又は中心よりも水平方向において異なる位置にある、
飛行体。
[項目8]
項目1乃至項目7のいずれかに記載の飛行体であって、
前記接続部は、前記積載部の重心又は中心にある、
飛行体。
[項目9]
項目1に記載の飛行体であって、
前記接続部が二軸以上の回動軸を備えている、
飛行体。
[項目10]
項目1又は項目2に記載の飛行体であって、
前記積載部がその長さを伸長させるための調節機構を備えていることを特徴とする飛行体。
[項目11]
複数の回転翼と、
前記複数の回転翼を支持するアーム部と、
物体を搭載する搭載部と、
前記搭載部が所定の範囲で移動可能な状態で当該搭載部を前記アーム部に接続する接続部とを備え、
前記接続部の位置が、当該アーム部の重心よりも上にある、
飛行体。
[項目12]
項目11に記載の飛行体であって、
前記接続部が二軸ジンバル構造を備えている、
飛行体。
[項目13]
項目11又は項目12に記載の飛行体であって、
前記搭載部がその長さを伸長させるための調節機構を備えていることを特徴とする飛行体。
[項目14]
項目1乃至項目13のいずれかに記載の飛行体であって、
前記搭載部にロープが取り付けられている、
飛行体。
[項目15]
項目1乃至項目4のいずれかに記載の飛行体であって、
前記接続部の位置が、前記複数の回転翼が回転することによって機体に発生する揚力の当該飛行体に対する作用点よりも上にある、
飛行体。
[項目16]
項目1乃至項目5のいずれかに記載の飛行体であって、
前記接続部の位置が、当該飛行体の重心よりも上にある、
飛行体。
【0015】
<実施形態1>
以下、適宜図面を参酌しながら、本発明の飛行体1について説明する。
【0016】
(飛行体の基本構造)
図1乃至
図4に示されるように、本発明の実施の形態による飛行体は、プロペラと、当該プロペラを回転させるためのモータと、フレームとを備える飛行部と、支持部と当該支持部の両端に設けられた上側対象物及び下側対象物とを備える積載部とを備えている。
【0017】
図2に示される飛行体において、本実施の形態によるジンバル(接続部)は、飛行部と積載部とが水平方向(X軸及びY軸)において変位可能に互いに接続するものである。
【0018】
図3に示される飛行体において、ジンバルは、積載部の重心Gr又は中心Crと一致又は略一致している。なお、図示される図は、積載部の重心と中心が一致している場合を示しているが、上側対象物と下側対象物との重量や形状等が異なる場合には、重心Grと中心Crとは必ずしも一致するとは限らない。この場合でも、ジンバルは、重心Grと一致又は略一致する位置に設けられる。
【0019】
図5に示される飛行体において、ジンバルは、飛行部の重心Gf又は中心Cfよりも上方にある。
【0020】
かかる構成によれば、図示されている例においては、例えば、ユーザが図の左方向から下側対象物をハンドキャッチによりつかんだ場合、飛行部がユーザがから離れる方向に傾くこととなり、プロペラによる回転からユーザを守ることができる。
【0021】
図6に示される飛行体において、ジンバルは、飛行部の重心Gf又は中心Cfよりも鉛直方向において真上又は略真上にある。
【0022】
かかる構成によれば、停止時であっても、やじろべえと同様の原理によって、飛行部はセルフレベリングすることができる。
【0023】
図7に示される飛行体において、ジンバルは、飛行部の重心Gf又は中心Cfと一致又は略一致している。
【0024】
かかる構成によれば、飛行部が風にあおられた場合や急旋回した場合であっても、飛行部は、重心を中心として回転することから、飛行部の変位は積載部の変位に影響しない。
【0025】
図8に示される飛行体において、ジンバルは、飛行部の重心Gf又は中心Cfよりも下方にある。
【0026】
図9に示される飛行体において、ジンバルは、飛行部の重心Gf又は中心Cfよりも鉛直方向において真下又は略真下にある。
【0027】
図10に示される飛行体は、ジンバルは、飛行体の重心Gf又は中心Cfよりも水平方向において異なる位置にある。かかる構成によれば、例えば、給電ケーブル等を下側対象物に取り付けた場合、当該ケーブルを引っ張った場合に、飛行部は左に傾く(すなわち、左側のプロペラが右側のプロペラよりも下方に来るように傾く)。よって、ユーザの手元に戻るように誘導させることがでる。
【0028】
図11に示されるように、本実施の形態によるジンバルは、飛行部の重心Gr又は飛行部の中心Crから所定距離を半径とする仮想球Sの範囲内に位置している。
【0029】
本実施の形態によるジンバルは、二軸の回動軸を備えるに軸ジンバルである。
【0030】
なお、積載部の支持部は、その長さを伸長させるための調節機構を備えていることであってもいい。
【0031】
図12乃至
図17は、上述した
図5乃至
図11に示した構造のうち、上側対象物と、当該上側対象物を支持するための支持部をなくした構造である。
【0032】
図から理解されるように、
図12乃至
図17に示されるジンバルは、積載部の重心にはない。即ち、ジンバルは、積載部の重心とは異なる位置に設けられている。
【0033】
図18に示される飛行体において、ジンバルは、積載部の重心に設けられている。また、ジンバルは水平方向において飛行部の重心又は中心とは異なる位置に設けられている。
【0034】
かかる構成によれば、上側対象物と下側対象物とをカメラ等とすることにより、橋梁検査に適した構成とすることができる。
【0035】
図19は、
図18におけるジンバル飛行部の重心Gr又は中心Crよりも情報に設けたものである。
【0036】
以下、上述した実施の形態による構造のうち、一部の実施例について例示して説明する。
【0037】
図210は、本発明の飛行体1の概要を示した斜視図である。
図210に示されるように飛行体1は、複数の回転翼部10A〜10Dを備えている。回転翼部10A〜10Dは、回転翼12A〜12Dと動力部14A〜14Dからなる。回転翼12A〜12Dは、動力部14A〜14Dを駆動源として、所定方向に回転をする。動力部14A〜14Dとしては、回転翼12A〜12Dを駆動することができるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、電気モータ、小型エンジン等を挙げることができる。なお、本発明の飛行体が備えている回転翼部10の個数は、特に制限されるものではなく、適宜設定することができる。実施形態1においては、4個の回転翼部を備えた飛行体1を一例として説明する。
【0038】
飛行体1は、複数の回転翼部10A〜10Dを支持する複数のアーム部16A〜16Dと、フライト部18のベースである円環形状のフライト部材162と、フライト部材18の下方に設けられた撮影部20と、フライト部材18と撮影部20とを連結するための支持部材30を備えている。フライト部材18と撮影部20とは、支持部材30の下端部34を介して連結されている。撮影部20は、収納ボックス22と撮影用カメラ本体26からなり、収納ボックス22は、撮影用カメラ本体26を収納するためにボックス形状を有している。
【0039】
図210に示された飛行体1において、支持部材30の下方端部34は、ボックス形状を有する撮影部20の上面に設置された収納ボックス取付け部24と連結している。飛行体1は、上記撮影部20の下面から連通し、ボックス形状を有する撮影部20の内部において、撮影用カメラ本体22を固定するための固定用支持部材28を有している。支持部材30と固定用支持部材28は、同一の直線上に位置している。
【0040】
固定用支持部材28の端部282には、飛行体1の飛行位置及び飛行形態を制御するための繋留ロープ60が取り付けられている。繋留ロープ60は、いわゆる「凧の脚」と同様に、飛行体1の飛行状態を安定化させる。飛行体1が安定して飛行することによって、撮影部20を水平に保持することができる。
飛行体1は、タワーマンション、高層マンション等の展望撮影に最も適しており、タワーマンション、高層マンション等の敷地内の上空において、飛行することが前提となっている。このため、繋留ロープ60は、飛行体1がタワーマンション、高層マンション等の敷地外の上空へ飛行することを回避する観点から設けられている。なお、繋留ロープ60を取り付ける形態は、撮影部20の下方に取り付けられるものであれば、その形態は、特に制限されない。例えば、固定用支持部材28の端部282を介することなく、撮影部20の底面に直接取り付けてもよい。
【0041】
飛行体1は、回転翼部10A〜10Dを支持するアーム部16A〜16Dを備えている。実施形態1において、フライト部18を構成するアーム部16は、アーム部16A〜16Dの4本を備えているが、アーム部16の本数はこれに限定されない。例えば、飛行体1のアーム部16として、6本、8本、10本、12本等のアーム部を適宜設けてもよい。飛行体1が安定して飛行して、かつ重量が大きく、精度の高いカメラを搭載する場合には、回転翼部10の個数に合せて、例えば、アーム部16の数を6本以上としてもよい。
【0042】
図210において、4本のアーム部16A〜16Dは、円環形状において等間隔となるように4方向に設けられている。すなわち、4本のアーム部16A〜16Dは、隣接するアーム部の間隔が、90°となるように設けられている。なお、アーム部16A〜16Dは、直線形状を有していても、設計上の観点から直線形状を基調として、折れ曲がった形状を有していてもよい。
【0043】
アーム部16A〜16Dは、支持部材30の外周に設けられたリングRを中心として外側に向かって、等間隔にて延伸している。支持部材30は、リングRを連通して、上方向に延伸している。支持部材30の上方端部32は、フライト部18と支持部材30とを接続するための接続部40を有している。
【0044】
図21は、実施形態1の飛行体1を真上から見た概略図である。
図21に示されるように、飛行体1は、複数のアーム部16A〜16Dの回転翼部10A〜10D側の底面端部をフライト部材162によって連結させた構造を有していてもよい。複数のアーム部16A〜16Dの端部に位置する回転翼部10A〜10Dをフライト部材162によって連結すると、隣接する回転翼部10A〜10Dが繋がって、飛行体1の真上から見たフライト部材162の外観形状は、円環形状となる。
【0045】
フライト部材162の形状は、隣接する回転翼部10を連結することができるものであれば、特に限定されるものではなく、円環形状、楕円形状、矩形状の枠体であってもよい。アーム部16の端部に位置する回転翼部10をフライト部材162により連結することによって、フライト部18は、構造上より安定する。なお、フライト部材162の外側側面には、飛行体1が夜間飛行する際に目印となる発光ダイオード等の発光体164を設けていてもよい。
【0046】
図21に示された飛行体1は、飛行体1は、支持部材30の上方端部32に設置された接続部40を通って、対向するフライト部材162上の部分を接続部40と橋架けするための連結部材50を備えている。連結部材50は、支持部材30の支持部材上端32に設けられている接続部40と同期して駆動する。接続部40が駆動することによって、連結部材50は傾斜又は回転する。連結部材50は、フライト部10と連結しているので、接続部40が駆動することによってフライト部10が傾斜又は回転する。フライト部10は、接続部40が駆動する方向、大きさに依拠して、傾斜又は回転をする。飛行体1は、支持部材30を中心にフライト部10を傾斜又は回転することができる。
【0047】
具体的には、飛行体1は、回転翼部10Aと回転翼部10Dとの中間に設定されたフライト部材18の中間点181と、回転翼部Bと回転翼部Cとの中間に設定されたフライト部材18の中間点182とを橋架けする連結部材50を備えている。連結部材50は、支持部材30の上方端部32に設けられた接続部40を通過しているので、フライト部18は、接続部40が駆動することによって、接続部40を頂点として傾斜することができる。同様に、フライト部18は、接続部40が駆動することによって、接続部40を頂点として回転することもできる。
【0048】
接続部40は、フライト部10を傾斜又は回転することができる機構であれば、特に制限されるものではない。飛行体の機能に応じて、適宜設定することができる。例えば、接続部40として、一軸ジンバル構造、二軸ジンバル構造、三軸ジンバル構造を採用してもよい。なお、上記ジンバル構造には、モータ等の駆動装置を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0049】
本発明の飛行体をタワーマンション、高層マンション等の眺望撮影を目的とする飛行体として採用する場合には、その飛行態様は、主に垂直上昇用であるので、接続部40を二軸ジンバル構造とすればよい。接続部40が駆動することによって、連結部材50を傾斜させることができ、回転させることもできる。連結部材50が傾斜又は回転することによって、連結部材50と連結しているフライト部18は、傾斜又は回転する。フレーム18が傾斜又は回転することによって、フライト部18に搭載されている回転翼12A〜12Dは、傾斜又は回転することができる。
【0050】
図22は、飛行体1の側面図である。飛行体1の技術的特徴は、支持部材30の上方端部32に接続部40を備えており、フライト部18は、接続部40を頂点として傾斜又は回転することができ、接続部40が、複数の回転翼12A〜12Dが回転することによって前記飛行体に発生する揚力の中心点Uよりも上方に位置することにある。
図22に示される飛行体1において、支持部材30は、連結部材50と重なっている。このため、
図22に示される飛行体1においては、連結部材50と支持部材30とが同一直線上に存在している。
【0051】
図22に示されるように、接続部40(1)は、複数の回転翼12A〜12Dが回転することによって飛行体に発生する揚力の中心点U(2)よりも上方に位置している。従来の飛行体は、フライト部と支持部材との接続部が、複数の回転翼が回転することによって飛行体に発生する揚力の中心点U(2)と一致しているか、又は、飛行体に発生する揚力の中心点U2)よりも低い位置に設定されている。
【0052】
本発明の飛行体は、接続部40の中心点Gと飛行体に発生する揚力の中心点Uとが上記位置関係を採用することによって、飛行体1が飛行時に横風等の強風を受けた場合であっても、上記飛行体1に取り付けられた繋留ロープ60を引くことによって、飛行態勢を立て直して、元の飛行状態に戻すことができる。
【0053】
一方、従来の飛行体は、フライト部18と支持部材30との接続部40の重心点Gが飛行体1に発生する揚力の中心点Uよりも下方に位置している。このため、従来の飛行体は、横風等の強風を受けて飛行態勢を崩した態勢から、当該態勢を元に戻すために飛行体の繋留ロープを引いても、下向きの力がさらに加えられる。その結果、従来の飛行体は、横風等の強風を受けて飛行態勢を崩した態勢からさらに当該飛行体の飛行態勢を悪化させる。最終的には、従来の飛行体は、高層マンション等の敷地内の上空範囲を出て、当該敷地外の上空を飛行し、高層階から落下する場合もある。
【0054】
(飛行体の飛行態様)
図24は、飛行体1の飛行態様を示したモデル図である。
図24に基づいて、実施形態1の飛行体1の飛行態様について説明する。飛行体1の飛行態様を(a)タワーマンション、高層マンション等の敷地内の地上を出発地点とした離陸する工程、(b)垂直に上昇して飛行を開始し、タワーマンション、高層マンション等の高層階を撮影する工程、(c)高層階を撮影した後、着陸する工程とに分けて説明する。
【0055】
(a)タワーマンション等の敷地内の地上を出発地点とした離陸する工程
図24(a)に示されるように、タワーマンション、高層マンション等の敷地内の出発地において、飛行体1の撮影部20を構成する収納ボックス22には、撮影用カメラ本体26が搭載されている。飛行体1の操縦者は、操作部を備えたラジオコントロール用の送信機を操作して、回転翼部10A〜10Dの動力部14A〜14Dの出力を上昇させて、回転翼12A〜12Dの回転数を増加させる。回転翼12A〜12Dが回転することによって、飛行体1を浮上させるために必要な揚力が鉛直上向きに発生する。当該揚力が、飛行体1に働く重力を超えると飛行体1は、地面を離れて出発地を離陸する。なお、フライト部18において対向する回転翼は、同じ向きに回転している。具体的に飛行体1においては、回転翼12Aと回転翼12Cは左向きに回転し、回転翼12Bと回転翼12Dは右向きに回転する。
【0056】
(b)垂直に上昇して飛行を開始し、タワーマンション、高層マンション等の高層階を撮影する工程
図24(b)に示されるように、飛行体1は、回転翼12A〜12Dの回転数を増加させることによって、タワーマンション、高層マンション等の敷地内において、上空に向かって、垂直に上昇する。その後、飛行体1は、上昇を続けて、一定の高度に到達する。一定の高度に到達した飛行体1は、当該高度において、空中停止(ホバリング)を行う。当該高度は、飛行体1の飛行ルート、タワーマンション、高層マンション等の建築物の高さ、飛行体1に適用される航空法等によって、適宜決定される。操縦者は、種々の条件を勘案して、飛行体1が空中停止(ホバリング)を行う高度をあらかじめ設定しておいてもよい。
【0057】
飛行体1にかかる重量と、回転翼12A〜12Dの回転によって、飛行体1に発生している揚力とが力学的に釣り合っているため、当該飛行体は、空中停止(ホバリング)することができる。回転翼12A〜12Dの回転数は、一定レベルに維持されている。空中停止(ホバリング)は、飛行体1が撮影用カメラ本体26を用い、タワーマンション、高層マンション等の撮影を開始するために行われる。
【0058】
図24(b)に示されるように、飛行体1が空中停止(ホバリング)している状態から当該高度において水平移動する場合には、フライト部18を傾斜させる。飛行体1が水平移動する場合には、フライト部18を構成する回転翼12A〜12Dの回転数がほぼ同一となるように調整する。飛行体1は、当該高度を保持しながら、水平移動した位置において、撮影を開始することができる。飛行体1は、所定の高度において空中停止(ホバリング)をしながら、所定の位置において、タワーマンション、高層マンション等の高層階を撮影する。また、飛行体1は、必要に応じて、水平方向に飛行し、撮影位置を変えることができる。また、飛行体1は、垂直方向に飛行し、撮影位置を変えることができる。
【0059】
(c)高層階を撮影した後、着陸する工程
図24(c)に示されるように、飛行体1は、タワーマンション、高層マンション等の敷地内の目的地に着陸する。
図24(c)において、目的地は地表であってもよいし、タワーマンション、高層マンション等に設けられた飛行体1専用のヘリポートであってもよい。飛行体1は、目的地上空において回転翼12A〜12Dの回転数を減少させる。飛行体1は、高度を低下させて、着陸態勢に入る。飛行体1が着陸態勢に入る場合には、フライト部18は地表に対して水平に維持される。フライト部18が傾斜している場合には、当該フライト部18が地表に対して水平となるように回転翼12A〜12Dの回転数を調整する。
【0060】
飛行体1は、着陸直前にフライト部18の回転翼12A〜12Dの回転を停止する。回転翼12A〜12Dの回転を停止することによって、フライト部18は、それ自身の自重によって、地表に対して水平となる。具体的には、
図24(c)に示された飛行体1は、破線で示されたようにフライト部分18が傾いた状態から、回転翼部12A〜12Dが無通電状態となることにより、実線で示されたように実線で示されたようにフライト部分18が水平な状態となる。回転翼12A〜12Dは、重力の影響により、自然に水平となる。このように、本発明の飛行体1は、支持部材30の上方端部32にフライト部18との接続部40を設けているので、飛行体1が着陸直前に無通電状態となった場合にフライト部18が水平となることにより、安定した着陸状態を確保することができる。
【0061】
このように、実施形態1の飛行体1は、タワーマンション、高層マンション等の敷地内において安定した飛行を確保することができ、撮影用カメラ本体26の撮影時のブレが少ないため、夜景撮影にも好適に用いることができる。実施形態1の飛行体1は、当該飛行体が空中停止(ホバリング)している限りは、撮影部20を水平に保持することができ、撮影部20は大きく揺れることがない。このため、飛行体1は、夜景撮影に必要なシャッター速度にも十分対応することができる。
【0062】
<実施形態2>
実施形態2の飛行体2は、当該飛行体に発生する揚力の中心点Uと、支持部材30と撮影部20との重力の作用点Gが一致していることを特徴としている。飛行体2は、上記揚力の中心点Uと重力の作用点Gとが一致するように設計されているので、支持部材30と撮影部20による重力による回転モーメントが発生しない。このため、実施形態2の飛行体2においては、水平方向に進行する場合において、進行方向に対して前方の回転翼の回転数と後方の回転翼の回転数とをほぼ等しくすることができる。
【0063】
飛行体2は、繋留ロープの係留地点からほぼ垂直に上昇し、狭い範囲でホバリングしながら長時間の撮影に適したものである。さらに、飛行体2は、タワーマンション、高層マンション等の敷地内を水平方向に移動する場合には、利便性がさらに向上する。すなわち、飛行体2は、タワーマンション、高層マンション等の眺望撮影に適したものであり、繋留ロープの係留地点から垂直(直上)に飛行することを基本動作とする。しかしながら、飛行体2がタワーマンション、高層マンション等の周囲を撮影する場合、外壁検査等を行う場合には、垂直(直上)に飛行することのみならず、水平方向に飛行することも必要となる。飛行体2が水平方向に飛行する場合には、フライト部18を傾斜させなければならない。
【0064】
実施形態2の飛行体2は、水平方向に進行するためにフライト部18を傾斜しなければならない場合であっても、進行方向に対して前方の回転翼の回転数と後方の回転翼の回転数とをほぼ等しくできることによって、回転翼12A〜12Dを駆動するための動力部14A〜14Dの出力を抑制することができる。
【0065】
<実施形態3>
実施形態3の飛行体3は、支持部材30が当該支持部材30の長さを伸長させるための調節機構を備えている。調節機構は、支持部材30の外周に設けられたアーム部16A〜16Dと係合するリングRを基準として、上部に設けられていても、下部に設けられていてもよい。調節機構は、支持部材30の長さを伸長する。
【0066】
飛行体3がタワーマンション、高層ビル等の敷地内において、着陸する場合には、上記調節機構によって、鉛直下向きに支持部材30を伸長する。鉛直下向きに支持部材30を伸長することによって、飛行体3の重心が下方に移動し、安定した着陸状態を確保することができる。
【0067】
本発明の飛行体は、タワーマンション、高層マンション等の敷地内において利用することを想定している。このため、飛行体3がタワーマンション・高層ビル等の付近に発生する上昇気流の影響を受けた場合であっても、着陸態勢に入ると同時に飛行体3の重心を調節機構により下方に移動することによって、適宜上昇気流に対抗して、安定した飛行状態を保持することができる。
【0068】
調節機構は、支持部材30の長さを伸長することができるものであれば、特に制限されるものではない。調節機構としては、例えば、光学機器等におけるピント合わせに用いられるラック・アンド・ピニオン機構、ステアリング・ギア機構を採用してもよい。また、調節機構は、伸縮性を備えた筒体構造を備えていてもよい。当該調節機構は、支持部材30は、外筒となる支持部材と内筒となる支持部材とから構成されていてもよい。
【0069】
実施形態3の飛行体3は、調節機構を備えているのでフライト部18と撮影部20との距離を可能な限り、大きくとることができる。このため、実施形態3の飛行体3は、撮影部20に搭載された撮影用カメラ本体26による撮影視野にフライト部18が映り込むことがなく、上下の深い視野角を確保することができる。
【0070】
さらに、実施形態3の飛行体3は、通常の飛行体よりもフライト部18と撮影部20との距離が離れており、下方に位置する撮影部20からタワーマンション、高層マンション等の低層階を撮影することができると同時に、低層階からタワーマンション、高層マンション等の高層階を眺望した撮影をすることができる。
【0071】
<実施形4>
実施形態5の飛行体5は、
図24〜
図26に示されるように、複数の回転翼12A〜12Dと、当該回転翼12A〜12Dを回転させる動力部(モータ)14A〜14Dと、当該動力部(モータ)14A〜14を支持するアーム部16と、カメラ等の物体を搭載する搭載部20’と、搭載部20’が所定の範囲(例えば、X方向及びY方向の二軸)で移動(変位)可能な状態で搭載部20’をアーム部16に接続する接続部40’とを備えている。回転翼12A〜12Dと動力部(モータ)14A〜14Dとアーム部16とはフライト部18を構成する。本実施形態の搭載部20’は、接続部40’から下方に延びるフレームとフレームの先端に取り付けられる搭載部位とを備えている。
【0072】
図24に示されるように、本実施形態の飛行体5は、下から順に停止時の飛行体5の全体に関する重心(機体重心)G
B、フライト部18の重心(フライト重心)G
F、回転翼12A〜12Dが回転することによって機体に発生する揚力の当該飛行体5に対する作用点(浮力重心)G
L、接続部40’と並んでいる。即ち、本実施形態の接続部40’は、機体重心G
B、フライト重心G
F、浮力重心G
Lよりも(Z方向において)上に位置している。
【0073】
図25に示されるように、接続部40’はフライト部18を当該接続部40’を中心としてx方向及びy方向の2軸において、図のθx及びθy方向に関し変位が可能に構成されている。
【0074】
このように、実施形態4の飛行体5は、実施形態1乃至実施形態3の飛行体と同様に、タワーマンション、高層マンション等の敷地内において安定した飛行を確保することができ、搭載部20’のブレが少ないため、例えば、カメラによる夜景撮影にも好適に用いることができる。また、実施形態4の飛行体5は、当該飛行体が空中停止(ホバリング)している限りは、搭載部20’を水平に保持することができ、搭載部40’は大きく揺れることがない。このため、夜景撮影に必要なシャッター速度にも十分対応することができる。
【0075】
また、飛行体5がタワーマンション、高層ビル等の敷地内において、着陸する場合には、調節機構50によって、鉛直下向きに搭載部20’支持部材30を伸長する。鉛直下向きに支持部材30を伸長することによって、飛行体3の重心が下方に移動し、より安定した着陸状態を確保することができる。
【0076】
本発明の飛行体は、タワーマンション、高層マンション等の敷地内において利用することを想定している。このため、飛行体3がタワーマンション・高層ビル等の付近に発生する上昇気流の影響を受けた場合であっても、着陸態勢に入ると同時に飛行体3の重心を調節機構により下方に移動することによって、適宜上昇気流に対抗して、安定した飛行状態を保持することができる。
【0077】
図25及び
図26に示されるように、調節機構50は、支持部材30の長さを伸長することができるものであれば、特に制限されるものではない。調節機構としては、例えば、光学機器等におけるピント合わせに用いられるラック・アンド・ピニオン機構、ステアリング・ギア機構を採用してもよい。また、調節機構は、伸縮性を備えた筒体構造を備えていてもよい。当該調節機構は、支持部材30は、外筒となる支持部材と内筒となる支持部材とから構成されていてもよい。
【0078】
実施形態3の飛行体3は、調節機構を備えているのでフライト部18と搭載部20’との距離を可能な限り、大きくとることができる。このため、実施形態3の飛行体3は、搭載部20’に搭載された撮影用カメラ本体よる撮影視野にフライト部18が映り込むことがなく、上下の深い視野角を確保することができる。
【0079】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、無通電時(停止時)にフライト部がセルフレベリングが可能となる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は、全て本発明の適用範囲である。