【実施例1】
【0026】
以下の工程では、ボイル殺菌槽(菱熱工業株式会社製)を用いて実施した。
鶏卵を割卵し、ホール卵を潰さないように、微生物による2次汚染のない環境下でナイロンポリ袋に充填した。
【0027】
ホール卵を充填したナイロンポリ袋をボイル殺菌槽に入れ、ボイル殺菌槽の設定温度を58.4℃、35分間とする。
【0028】
ボイル殺菌槽の温度を58.4℃〜58.8℃に維持し、ボイル殺菌槽に並べた複数のナイロンポリ袋に均等に熱が加わるように、お湯を対流させ24分間、加熱処理を行い、ホール卵の温度を58.0〜58.6℃で維持させ、その後、8℃以下でインキュベータ冷却保存した。
【0029】
この全卵液は、一般生菌数が10未満/gで、大腸菌群および大腸菌がともに陰性で、サルモネラ(SE菌)数が陰性/25gであり、卵白に白濁が認められない加熱殺菌前の全卵液と同等の機能性を有していることが確認された。
【0030】
<サンプル1(発明品)>
鶏卵を割卵して得られた全卵液(一般性菌数10
4/g)に有害細菌の指標菌としてサルモネラ・エンティリティディス10
5レベルを卵黄に接種し、3日間保存した全液卵(サンプル全卵液1)、サルモネラ・エンティリティディス10
5レベルを全体に接種し、7日間保存した全液卵(サンプル全卵液2)を作成した。
【0031】
上記菌を添加した全卵液を実施例1と同様の方法および装置で加熱して検証を行った。
このサンプルでの検証結果を以下、表1に示す。
【0032】
【表1】
NT;ノートライ
【0033】
なお、本サンプルでは、卵白が白濁する現象は観察されなかった。
【0034】
<サンプル2>
鶏卵を割卵して得られた全卵液(一般性菌数10
4/g)に有害細菌の指標菌としてサルモネラ・エンティリティディス10
6レベルを全体に接種し、3日間保存した全液卵(サンプル全卵液3)、サルモネラ・エンティリティディス10
5レベルを全体に接種し、7日間保存した全液卵(サンプル全卵液4)を作成した。
【0035】
上記作成したホール卵(全卵液)を充填したナイロンポリ袋をボイル殺菌槽に入れ、設定温度を57.7℃、35分間とする。
【0036】
ボイル殺菌槽の温度を57.7℃〜58.1℃に維持し、ボイル殺菌槽に並べた複数のナイロンポリ袋に均等に熱が加わるように、お湯を対流させ24分間、加熱処理を行い、ホール卵の温度を57.3〜57.9℃で維持させ、その後、8℃以下でインキュベータ冷却保存した。
このサンプルでの検証結果を以下、表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
なお、本サンプルでは、卵白が白濁する現象は観察されなかった。
【0039】
<サンプル3>
鶏卵を割卵して得られた全卵液(一般性菌数10
4/g)に有害細菌の指標菌としてサルモネラ・エンティリティディス10
6レベルを全体に接種し、3日間保存した全液卵(サンプル全卵液5)、サルモネラ・エンティリティディス10
5レベルを全体に接種し、7日間保存した全液卵(サンプル全卵液6)を作成した。
【0040】
上記作成したホール卵(全卵液)を充填したナイロンポリ袋をボイル殺菌槽に入れ、設定温度を59.1℃、35分間とする。
【0041】
ボイル殺菌槽の温度を59.1℃〜59.4℃に維持し、ボイル殺菌槽に並べた複数のナイロンポリ袋に均等に熱が加わるように、お湯を対流させ24分間、加熱処理を行い、ホール卵の温度を58.7〜59.3℃で維持させ、その後、8℃以下でインキュベータ冷却保存した。
このサンプルでの検証結果を以下、表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
但し、本サンプルでは、卵白が白濁する現象が観察された。
【0044】
<サンプル4>
鶏卵を割卵して得られた全卵液(一般性菌数10
4/g)に有害細菌の指標菌として大腸菌群10
5ベルを全体に接種し、3日間保存した全液卵(サンプル全卵液7)を作成した。
【0045】
上記菌を添加した全卵液を実施例1と同様の方法および装置で加熱して検証を行った。
このサンプルでの検証結果を以下、表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
なお、本サンプルでは、卵白が白濁する現象は観察されなかった。
【0048】
<試験結果>
試験結果のまとめを下記表5に示す。
なお、各サンプルの一般生菌数、大腸菌群、大腸菌、サルモネラ(SE菌)については、相対的に結果が良くなかったサンプル全卵液1、サンプル全卵液3、サンプル全卵液5、サンプル全卵液7の結果を示した。
【0049】
下記表5に示すように、サンプル1(発明品)では、一般性菌数が減少しており、サルモネラ(SE菌)数が陰性/25g、大腸菌群が10/gであり、加熱殺菌前の全卵液と同等の機能性を有しており、卵白の白濁も見られず、極めて良好な結果であった。
【0050】
サンプル2では、一般生菌数は減少しているものの、他のサンプルに比べて残存数が多く、サルモネラ(SE菌)も残存しているが、卵白の白濁は見られなかった。
【0051】
つまり、ホール卵の温度が57.9℃以下の温度では、少なくとも一般生菌数およびサルモネラ(SE菌)数を食品衛生法に定めるレベルまで減少させるには不十分であることが認められる。
【0052】
そのため、一般生菌数、サルモネラ(SE菌)数を食品衛生法に定めるレベルまで減少させるためのホール卵の温度は、57.9℃よりも高い温度が適切であることが認められる。
【0053】
サンプル3では、一般生菌数は減少し、サルモネラ(SE菌)の残存も認められなかったが、卵白の白濁が確認された。
【0054】
そのため、一般生菌数、サルモネラ(SE菌)数を食品衛生法に定めるレベルまで減少させ、かつ、卵白の白濁が見られないホール卵の温度は、58.7℃よりも低い温度が適切であることが認められる。
【0055】
サンプル4では、一般生菌数、大腸菌群がともに食品衛生法に定めるレベルまで減少し、卵白の白濁も確認されなかった。
【0056】
この結果と、サンプル1(発明品)の結果とから、設定温度を58.4℃、35分間とすること、ボイル殺菌槽の温度を58.4℃〜58.8℃に維持すること、ホール卵の温度を24分間、58.0〜58.6℃で維持することの妥当性が確認された。
【0057】
【表5】
【0058】
なお、細菌数は、サンプル1gあたりの個数で表示した。
【0059】
大腸菌群の<10は、1gあたり10個未満を表す。
【0060】
一般生菌数の測定は、標準寒天培地で検出した。
【0061】
サルモネラ(SE菌)数の測定は、イムノクロマト法で判定した。
【0062】
大腸菌群数の測定は、XM−G培地で検出した。
【0063】
以上述べたように、本発明によると、一般生菌数が減少していると同時に、サルモネラ(SE菌)、大腸菌群、大腸菌などの有害細菌も死滅しており、かつ、全卵液が加熱殺菌前に有していた機能の低下が起こらない例えば、生卵を使用した調理品に好適な全卵液および全卵液の製造方法を提供することができる。
また、本発明の全卵液および全卵液の製造方法は、食品衛生法に規定される「食鳥卵の製造基準」にも合致するものである。