(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本実施形態の打音検査制御装置のハードウエア構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態の打音検査制御装置のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図1に示すように、打音検査制御装置は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路には、様々なモジュールが含まれる。
【0014】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、センサ、遠隔操作端末、打音検査装置、ブームの動作を制御する制御装置等の装置と情報の送受信を行うためのインターフェイスなどを含む。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行う。
【0015】
以下、本実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、各装置は1つの機器により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
<第1の実施形態>
まず、本実施形態の概要を説明する。本実施形態の打音検査制御装置は、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて、ブームの先端に取り付けられた打音検査装置の位置を所定の座標系で管理する。
【0017】
そして、打音検査制御装置は、打音検査装置を予め定められた複数の移動方向の中の何れかに移動させる指示入力を、オペレータから受付けることができる。打音検査装置は、指示入力を受付けると、その都度、指示入力で特定される移動方向に所定の移動量だけ移動させた後の打音検査装置の上記座標系における位置を目的位置として算出する。そして、打音検査制御装置は、ブームの動作を制御して、打音検査装置を目的位置に移動させる。
【0018】
このように、本実施形態の打音検査制御装置は、所定の移動方向に移動させる指示入力をオペレータから受付けると、その都度、その方向に所定の移動量だけ打音検査装置を移動させる。本実施形態では、指示入力で特定される方向への所定の移動量の移動の繰り返しにより、所望の軌道での打音検査装置の移動が実現される。
【0019】
次に、機械装置の概要を説明する。機械装置は、例えば、クレーンや、クレーンからフック及びフック吊り上げ機能を取り除いたもの、高所作業機、橋梁点検機等が考えられる。
【0020】
図2に、ブームの先端に打音検査装置を備えた機械装置の一例を示す。
図3に、機械装置を搭載したトラックの一例を示す。図示するように、機械装置は、左右自在に回転する旋回体の上にコラム715を取り付けている。そして、そのコラム715にブーム720をブームフートピンと起伏シリンダ705で固定している。起伏シリンダ705の伸縮でブーム720の起伏動作を可能としている。また、ブーム720に内蔵されている伸縮シリンダ710を伸縮させることでブーム720を伸縮させることができる。
【0021】
このような機械装置の動作を、機械装置本体に設置されている手動レバー725や遠隔操作端末等を用いて制御することができる。
【0022】
図4に示すように、ブーム720の長さ及びブーム720の起伏角度を変更することで、ブーム720の先端に取り付けられた打音検査装置1000を水平方向にスライドさせることができる。また、
図5に示すように、ブーム720の長さ及びブーム720の起伏角度を変更することで、打音検査装置1000の位置を鉛直方向にスライドさせることができる。図示する機構の場合、姿勢調節ユニット740により、ブーム720の状態にかかわらず打音検査装置1000の姿勢が一定に維持される。姿勢調節ユニット740の詳細は特段制限されないので、ここでの説明は省略する。
【0023】
次に、本実施形態の打音検査制御装置の構成について詳細に説明する。本実施形態の打音検査制御装置は、上述したような機械装置のブームの動作を制御する。
【0024】
図6に、本実施形態の打音検査制御装置100の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、打音検査制御装置100は、検出部110と、位置管理部120と、移動入力受付部130と、算出部140と、出力部150とを有する。
【0025】
検出部110は、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを検出する。所定位置に、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを測定するセンサが設置される。そして、検出部110は、当該センサから測定値を継続的に取得する。
【0026】
位置管理部120は、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて、ブームの先端に取り付けられた打音検査装置の位置を所定の座標系(以下、「第1の座標系」)で管理する。例えば、位置管理部120は、打音検査装置の現在の位置を、第1の座標系における座標で管理する。
【0027】
例えば、
図7に示すように、打音検査装置の位置(図示するブームトップ座標)は、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて所定の直交座標系(第1の座標系)で特定することができる。図示する例は、
図3に示すようにトラックに設置された機械装置において、旋回中心軸(Z軸)の直下の地面を原点(0、0、0)とし、トラックの幅方向をx軸方向、トラックの長さ方向をy軸方向、トラックの高さ方向をz軸方向とした直交座標系でブームトップの座標(x、y、z)を示している。なお、ブーム720の先端に姿勢調節ユニット740等を介して設置された打音検査装置1000の先端位置(検査対象面と接する箇所)を、ブームトップとしている。図示する可変要素は値が可変な要素であり、固定要素は値が固定な要素である。予め、固定要素の値が位置管理部120に登録されている。なお、直交座標系の設定の仕方(原点位置、軸方向等)は設計的事項であり、ここで例示したものに限定されない。
【0028】
図6に戻り、移動入力受付部130は、打音検査装置を、予め定められた複数の移動方向の中の何れかに移動させる指示入力を受付ける。
【0029】
予め定められた複数の移動方向は、例えば、第1の座標系の軸方向(x軸方向、y軸方向及びz軸方向)であってもよい。この場合、オペレータは、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の中から1つを選択し、その方向に打音検査装置を移動させる指示入力を行うことができる。
【0030】
移動入力受付部130は、移動方向に加えて、移動量を指定する指示入力を受付けてもよい。なお、移動量(スカラ値)を予め移動入力受付部130に登録しておくと、移動入力受付部130は、移動量を含まない移動方向のみの指示入力を受付けることができる。この場合、移動入力受付部130は、所定方向に移動させる指示入力を受付けると、指示入力で特定される方向に、登録されている移動量だけ移動させる移動指示として扱う。
【0031】
算出部140は、移動入力受付部130が指示入力を受付けると、その都度、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて特定されるブームトップの現在位置(打音検査装置の現在位置)に基づき、指示入力で特定される移動方向に所定の移動量だけ打音検査装置を移動させた後にブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが取るべき値を算出する。
【0032】
例えば、算出部140は、位置管理部120より、第1の座標系で特定された打音検査装置の現在位置(第1の座標系における座標)を取得する。また、算出部140は、移動入力受付部130より、指示入力で特定される移動方向を取得する。その後、算出部140は、打音検査装置の現在位置(第1の座標系における座標)に、指示入力で特定される移動方向の単位ベクトルに移動量を乗じたベクトルを加えることにより、指示入力で特定される移動方向に所定の移動量だけ移動させた後の打音検査装置の位置(第1の座標系における座標)を算出する。
【0033】
その後、算出部140は、
図7に示すような、第1の座標系におけるブームトップの座標(x、y、z)と、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φとの関係式に基づき、移動後の座標(x
1、y
1、z
1)となるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを算出する。
【0034】
出力部150は、算出部140による算出結果(指示入力に従った移動後のブームトップの座標(x
1、y
1、z
1)となるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ)を制御信号として出力する。ブームは、当該制御信号に従い動作し、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを制御信号で示される状態にする。
【0035】
次に、フローチャートを用いて、本実施形態の打音検査制御装置100の処理の流れの一例を説明する。
【0036】
まず、
図8のフローチャートを用いてメイン処理の一例を説明する。打音検査制御装置100が起動すると、初期化処理S10にて、制御に必要な情報が記憶部から読み出される。次に、座標取得処理S11にて、現在の打音検査装置の位置(ブームトップの位置)が第1の座標系の座標として取得される。
【0037】
ここで、
図10のフローチャートを用いて、座標取得処理S11の一例を説明する。座標取得処理S11が開始されると、センサ値取得S11−1にて、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ等のセンサ値が検出される(検出部10)。続いて、座標変換S11−2にて、S11−1で取得されたセンサ値から、例えば
図7の関係式に基づき、現在の打音検査装置の位置が第1の座標系の座標として算出される(位置管理部120)。これにより、座標取得処理S11を終了する。
【0038】
図8に戻り、モード変更入力判定S12では、モード変更入力の有無を判定し、変更入力がある場合(S12のYes)、モード変更処理S14を実行する。
【0039】
本実施形態では、「通常操作モード」(
図8の通常操作処理S16に対応)と、「連続検査モード」(
図8の連続検査処理に対応)があり、オペレータがモードを切り替えることができる。各モードの詳細は、後述する。モード変更入力判定S12では、これらのモード間でモードを変更する入力の有無を判定する。
【0040】
連続検査モードに変更した直後は、打音検査装置の現在位置を検査開始位置として処理を行うため、モードが切り替わった時点で検査開始位置更新S20を実行する。モード変更処理S14および検査開始位置更新S20実行後は座標取得処理S11に戻る。モード変更入力判定S12にて変更入力が無い場合(S12のNo)、検査指示判定S13に進む。
【0041】
検査指示がある場合(S13のYes)、打音検査を行うためのフロー(移動出力停止S18及び検査シーケンスS19)に進み、一連の打音検査処理を実行する。打音検査処理を実行するためまず移動出力停止S18にて打音検査装置の移動を停止させる。続いて検査シーケンスS19を実行する。検査シーケンスS19には、検査対象箇所への打撃、打撃に応じて発生した音の収集、収集した音データの解析等が含まれる。打音検査の詳細は、後述する。検査シーケンスS19が終了すると座標取得処理S11に戻る。
【0042】
一方、検査指示がない場合(S13のNo)、モード判定S15に進む。モード判定S15では、現在、通常操作モードと連続検査モードのどちらに設定されているかを判定し、判定結果に基づき通常操作処理S16または連続検査処理S17を実行する。S16またはS17の何れかが実行されると座標取得処理S11に戻る。
【0043】
ここで
図12のフローチャートを用いて、
図8の通常操作処理S16の一例を説明する。
通常操作処理ではオペレータの入力に応じて検査装置を移動させる。
【0044】
通常操作処理S16では移動指示入力取得S16−1にて、移動入力受付部130より移動方向を含む指示入力を取得する。ここでは、オペレータは、所定の操作部材を介して、車両の幅方向(x軸方向。
図3参照。)への移動指示を入力し(所定のレバーを所定の方向に倒す、所定のボタンを押下する等)、他の所定の操作部材を介して、車両の長さ方向(y軸方向。
図3参照。)への移動指示を入力する(所定のレバーを所定の方向に倒す、所定のボタンを押下する等)ものとする。
【0045】
検査装置通常移動処理S16−2では、打音検査装置を、移動指示入力取得S16−1で指示される方向に所定の速度で移動させるための制御信号(ブームを動作させるための制御信号)を出力する(出力部150)。移動の速度は予め定めても良いし、入力によって適宜変更してもよい。当該制御信号に従いブームが動作し、ブームに取り付けられた打音検査装置が所定の移動方向に移動する。
【0046】
なお、検査装置通常移動処理S16−2では、打音検査装置を連続して移動させるために、検査装置通常移動処理S16−2終了時点では出力を停止せず、次周期の通常操作処理S16(検査装置通常移動処理S16−2の後に通常操作処理を一旦終了し、
図8のメイン処理に戻り、その後、再び開始することになった通常操作処理S16)まで出力を維持してもよい。この場合、打音検査装置は連続的に移動し続ける。
【0047】
なお、所定の方向への入力(所定のレバーを所定の方向に倒す、所定のボタンを押下する等)が継続している間(レバーを倒し続ける、ボタンを押下し続ける)、対応する方向への打音検査装置の移動を継続し、当該入力が途絶えると、移動を停止してもよい。
【0048】
次に、
図14のフローチャートを用いて、
図8の連続検査処理S17の一例を説明する。連続検査処理S17では、打音検査装置の移動を半自動的に繰り返す。
【0049】
連続検査処理S17では、まず移動指示入力判定S17−1にて移動方向を含む指示入力を取得する(移動入力受付部130)。当該指示入力に用いる操作部材は通常操作モードで用いる操作部材と共通であることが望ましい。また、操作部材と軸方向の対応も通常操作モードと統一されていることが望ましい。
【0050】
続いて移動入力指示判定S17−2にて指示入力があるか判定する。指示入力がない場合(S17−2のNo)、連続検査処理S17を終了し、座標取得処理S11に戻る。一方、指示入力がある場合(S17−2のYes)、目標位置算出S17−3を実行する。
【0051】
目標位置算出S17−3では、検査開始位置と指示入力に基づき、次の目標検査位置を動的に求める。具体的には検査開始位置を基準に指示入力で特定される方向に所定の距離だけ移動した点が次の目標検査位置になる。移動距離は予め定めてもよいし、入力によって適宜変更してもよい。ここで、次の目標検査位置は一度の入力によって確定はされず、次の目標位置に到着するまでは移動の途中で任意に変更することもできる。
【0052】
目標位置到着判定S17−4では、現在の打音検査装置の位置が目標位置に到着しているか判定する。到着している場合(S17−4のYes)、一連の検査処理を実行する。到着していない場合(S17−4のNo)、目標位置移動処理S17−5を実行する。
【0053】
目標位置移動処理S17−5では、算出部140が、例えば
図7の関係式に基づき打音検査装置が目標位置に位置するためのブームの長さL、ブームの起伏角度θおよびブームの旋回角度φの目標値を求める。そして、出力部150が、算出部140の算出結果を、制御信号として出力する。これに応じてブームが動作し、打音検査装置が移動する。
【0054】
通常操作モードと同様に打音検査装置を連続して移動させるために目標位置移動処理S17−5終了時点では出力を停止させず、次周期に移動指示が変更されるまで出力を維持する。目標位置移動処理S17−5を終了すると、連続検査処理を終了し、座標取得処理S11に戻る。
【0055】
目標位置到着判定S17−4にて到着している場合(S17−4のYes)、まず移動出力停止S17−6を実行して打音検査装置の移動を停止する。続いて、検査開始位置更新S17−7にて現在の打音検査装置の座標を検査開始位置として更新する。ここで、現在の打音検査装置の座標ではなく、目標検査位置を検査開始位置として更新してもよい。
【0056】
検査開始位置更新S17−7を終えると、連続検査処理S17を終了し、座標取得処理S11に戻り次の入力待ちとなる。
【0057】
例えば、
図9の矢印に示すような軌道で打音検査装置を移動させたい場合がある。この場合、オペレータは通常操作モードにて、P1に打音検査装置を位置させた後、連続検査モードに切り替える。続いて所定方向に移動させる指示入力を行う。すると、P2が目的位置として算出され、打音検査装置がP2に移動され、検査を行うために停止する。その後、P2に打音検査装置が位置する状態で、オペレータは、所定方向に移動させる指示入力を行う。すると、P3が目的位置として算出され、打音検査装置がP3に移動される。本実施形態の場合、このような処理を繰り返すことで、
図9の矢印に示すような軌道を、定められた間隔での移動が半自動的に実現される。
【0058】
ところで、
図9の矢印に示すような軌道での移動を実現させる例として、予め当該軌道を登録しておき、その軌道通りに打音検査装置を移動させるよう、ブームの動作を制御する例が考えられる。
【0059】
しかし、検査対象の表面には、突起等、移動の障害となる障害物が不規則に存在し得る。予め登録した軌道通りに打音検査装置を移動させる例の場合、軌道上に障害物が存在すると、その時点で移動が停止し、打音検査自体も停止してしまう。結果、作業効率が悪くなる。
【0060】
本実施形態の打音検査制御装置100によれば、オペレータの判断により検査箇所を定めることができるため所望の軌道上に障害物が存在する場合、その障害物を避けて打音検査装置を移動させることができる。また、次の目標検査位置へ移動を開始した後であっても検査開始位置を基準に目標検査位置を変えることができるため、移動開始前に障害物に接触するか否かを判断しなくても、障害物に接触しそうになった段階で検査位置を変更することができる。なお、オペレータが移動方向の指示入力を間違えた際に、移動方向の訂正を行う場合においても同様の効果が得られる。結果、良好な作業効率を実現できる。
【0061】
ここで、参考までに、
図16に、本実施形態の機械装置及び打音検査制御装置100を含むシステムの回路図の一例を示す。なお、当該回路図はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0062】
<第2の実施形態>
本実施形態の打音検査制御装置100は、所定の移動方向に移動させる指示入力をオペレータから受付けると、その都度、目的位置に位置させるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが可動範囲を外れるか判断し、少なくとも1つが可動範囲を外れる場合、移動不可と判断する。また、打音検査装置に周辺の障害物を検出する距離センサ等を搭載し、障害物への接触の可能性を判定することで移動不可と判断してもよい。
【0063】
そして、移動不可と判断した場合は、打音検査装置を移動させることなく警告を出力する。一方、移動可と判断した場合は、打音検査装置を目的位置に移動させる。
【0064】
本実施形態の打音検査制御装置100の機能ブロック図の一例は、第1の実施形態同様、
図6で示される。検出部110、位置管理部120、移動入力受付部130及び算出部140の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0065】
出力部150は、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ各々の可動範囲を保持している。
図11に、出力部150が保持する情報の一例を模式的に示す。図示する例では、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ各々に対応付けて、各々の可動範囲が示されている。
【0066】
出力部150は、移動入力受付部130が移動方向を含む指示入力を受付け、算出部140が当該移動方向に所定の移動量だけ打音検査装置を移動させた後にブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが取るべき値を算出すると、その都度、算出部140による算出結果で示されるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが可動範囲を外れるか判断する。
【0067】
そして、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φの中の少なくとも1つが可動範囲を外れる場合、出力部150は、算出部140による算出結果を制御信号として出力せず、警告を出力する。警告は、ディスプレイ、スピーカ、警告ランプ等、あらゆる出力装置を介して出力することができる。
【0068】
一方、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが可動範囲を外れない場合、出力部150は、算出部140による算出結果を制御信号として出力する。
【0069】
次に、
図15のフローチャートを用いて、本実施形態の打音検査制御装置100の連続検査処理S17(
図8参照)の一例を説明する。メイン処理等その他の処理のフローは、第1の実施形態と同様である。
【0070】
連続検査処理S17では、打音検査装置の移動を半自動的に繰り返す。連続検査処理S17では、まず移動指示入力判定S17−1にて移動入力受付部130より移動方向を含む指示入力を取得する。当該指示入力に用いる操作部材は通常操作モードで用いる操作部材と共通であることが望ましい。また、操作部材と軸方向の対応も通常操作モードと統一されていることが望ましい。
【0071】
続いて移動入力指示判定S17−2にて指示入力があるか判定する。指示入力がない場合(S17−2のNo)、連続検査処理S17を終了し、座標取得処理S11に戻る。一方、指示入力がある場合(S17−2のYes)、目標位置算出S17−3を実行する。
【0072】
目標位置算出S17−3では、検査開始位置と指示入力に基づき、次の目標検査位置を動的に求める。具体的には検査開始位置を基準に指示入力で特定される方向に所定の距離だけ移動した点が次の目標検査位置になる。移動距離は予め定めてもよいし、入力によって適宜変更してもよい。ここで、次の目標検査位置は一度の入力によって確定はされず、次の目標位置に到着するまでは移動の途中で任意に変更することもできる。
【0073】
その後、出力部150は、打音検査装置を算出した目的位置に移動可能か判断する(S17−8)。具体的には、打音検査装置を目的位置に位置させるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが、可動範囲を外れているか判断する。
【0074】
すべてが可動範囲内である場合、出力部150は移動可と判断する(S17−8のYes)。この場合、出力部150は、算出部140による算出結果を制御信号として出力する。これに応じてブームが動作し、打音検査装置が移動する。
【0075】
一方、少なくとも1つが可動範囲を外れる場合、出力部150は移動不可と判断する(S17−8のNo)。この場合、出力部150は、検査装置の移動を停止させ(S17−9)、警告を出力する(S17−10)。その後、S11に戻る。
【0076】
目標位置到着判定S17−4では、現在の打音検査装置の位置が目標位置に到着しているか判定する。到着している場合(S17−4のYes)、一連の検査処理を実行する。到着していない場合(S17−4のNo)、目標位置移動処理S17−5を実行する。
【0077】
目標位置移動処理S17−5では、算出部140が、例えば
図7の関係式に基づき打音検査装置が目標位置に位置するためのブームの長さL、ブームの起伏角度θおよびブームの旋回角度φの目標値を求める。そして、出力部150が、算出部140の算出結果を、制御信号として出力する。
【0078】
通常操作モードと同様に打音検査装置を連続して移動させるために目標位置移動処理S17−5終了時点では出力を停止させず、次周期に移動指示が変更されるまで出力を維持する。目標位置移動処理S17−5を終了すると、連続検査処理を終了し、座標取得処理S11に戻る。
【0079】
目標位置到着判定S17−4にて到着している場合(S17−4のYes)、まず移動出力停止S17−6を実行して打音検査装置の移動を停止する。続いて、検査開始位置更新S17−7にて現在の打音検査装置の座標を検査開始位置として更新する。ここで、現在の打音検査装置の座標ではなく、目標検査位置を検査開始位置として更新してもよい。
【0080】
検査開始位置更新S17−7を終えると、連続検査処理S17を終了し、座標取得処理S11に戻り次の入力待ちとなる。
【0081】
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を実現できる。また、本実施形態の打音検査制御装置100は、指示入力に従った移動の可否を判断し、判断結果に応じた処理を実行できる。具体的には、移動可である場合、指示入力に従った移動を実行し、移動不可である場合、指示入力に従った移動を行わず、警告を出力する。
【0082】
このような本実施形態の場合、オペレータが誤ってブームの可動範囲を超える方向への移動を指示入力した場合、打音検査制御装置100が移動不可であることを検知し、当該指示入力に従った移動を行うことなく、警告を出力できる。障害物へ接触する可能性がある場合も同様に警告を出力できる。警告を確認したオペレータは、異なる方向への移動指示を再入力し、移動可能な方向への移動を実行させることができる。
【0083】
本実施形態の場合、オペレータは、ブームの可動範囲か否かを気にすることなく、所定の方向への指示入力を行うことができる。このため、オペレータの負担を軽減できる。
【0084】
また、移動を開始する前に移動の可否を判断し、移動不可の場合は移動を行わず警告を出力する。このため、移動不可の方に移動し、そこで停止したり、また、停止位置から元の位置に戻ってきたりという不要な移動処理が発生しない。結果、作業効率の悪化を回避できる。
【0085】
<第3の実施形態>
本実施形態の打音検査制御装置100は、ブームの動作に加えて、さらに、打音検査装置の動作を制御する。そして、打音検査制御装置100は、オペレータの指示入力に応じて打音検査装置を移動させると、その都度、移動後の位置で打音検査装置を制御し、打音検査を実行させる。本実施形態によれば、所定方向に移動させる指示入力に応じて、打音検査装置の移動及び移動位置での打音検査が実行される。
【0086】
本実施形態の打音検査制御装置100の機能ブロック図の一例は、第1及び第2の実施形態同様、
図6で示される。検出部110、位置管理部120、移動入力受付部130及び算出部140の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。以下、出力部150について説明する。ここでは、第1及び第2の実施形態と異なる点を説明する。
【0087】
出力部150は、算出部140による算出結果を制御信号として出力すると、その都度、移動後の目的位置で打音検査装置に打音検査を実行させる制御信号を出力する。打音検査装置は、当該制御信号に従い、打音検査を実行する。
【0088】
打音検査装置は、対象物に打撃を加える打撃部と、打撃に応じて発生した音声を集音し、記録する記録部とを有する。各位置での打音検査は、検査対象への少なくとも1回の打撃と、当該打撃よりも所定時間前から所定時間後までの音声の集音及び記録とを含む。
【0089】
すなわち、出力部150は、打音検査装置を目的位置に移動させる(ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを所定の状態にする)と、それに応じて、打音検査を開始する制御信号を打音検査装置に入力する。打音検査装置は、当該制御信号に応じて、検査対象への少なくとも1回の打撃、及び、当該打撃よりも所定時間前から所定時間後までの音声の集音及び記録を含む打音検査を実行する。
【0090】
ここで、打音検査装置の一例を説明するが、本実施形態の打音検査装置はこれに限定されない。
【0091】
図13は、打音検査装置1000の全体像を示す。
図13において、付勢部3、サスペンション機構4及び保持リンク5以外の部分については、部分的に断面図として内部構造を示しており、付勢部3については、その衝突部材6の一部分を除き、内部構造を示さない正面図となっている。
【0092】
図13に示すように、打音検査装置1000は、検査対象に衝突して打撃を加える打撃部材1と、打撃部材1を保持するとともに、一方向に案内する案内部7と、打撃部材1に衝突して打撃部材1を一方向に付勢する付勢部3と、マイク8と、マイク8を保持するマイク保持部9とを有する。
【0093】
付勢部3の衝突部材6は、一方向にスライド移動可能に構成される。衝突部材6は、付勢部3内で発生した力に応じて一方向にスライド移動する。その結果、衝突部材6は打撃部材1に衝突する。打撃部材1は、付勢部3によって付勢された後、案内部7により案内されて一方向に移動して、検査対象を打撃する。
【0094】
マイク8は、マイク保持部9を介して、打音検査装置1000の所定位置に固定されている。マイク8は音声を集音し、記憶手段(例:Hard Disk Drive)に記録する。
【0095】
次に、
図17のフローチャートを用いて、本実施形態の打音検査制御装置100の連続検査処理S17(
図8参照)の一例を説明する。メイン処理等その他の処理のフローは、第1の実施形態と同様である。
【0096】
連続検査処理S17では、打音検査装置の移動を半自動的に繰り返す。連続検査処理S17では、まず移動指示入力判定S17−1にて移動入力受付部130より移動方向を含む指示入力を取得する。当該指示入力に用いる操作部材は通常操作モードで用いる操作部材と共通であることが望ましい。また、操作部材と軸方向の対応も通常操作モードと統一されていることが望ましい。
【0097】
続いて移動入力指示判定S17−2にて指示入力があるか判定する。指示入力がない場合(S17−2のNo)、連続検査処理S17を終了し、座標取得処理S11に戻る。一方、指示入力がある場合(S17−2のYes)、目標位置算出S17−3を実行する。
【0098】
目標位置算出S17−3では、検査開始位置と指示入力に基づき、次の目標検査位置を動的に求める。具体的には検査開始位置を基準に指示入力で特定される方向に所定の距離だけ移動した点が次の目標検査位置になる。移動距離は予め定めてもよいし、入力によって適宜変更してもよい。ここで、次の目標検査位置は一度の入力によって確定はされず、次の目標位置に到着するまでは移動の途中で任意に変更することもできる。
【0099】
目標位置到着判定S17−4では、現在の打音検査装置の位置が目標位置に到着しているか判定する。到着している場合(S17−4のYes)、一連の検査処理を実行する。到着していない場合(S17−4のNo)、目標位置移動処理S17−5を実行する。
【0100】
目標位置移動処理S17−5では、算出部140が、例えば
図7の関係式に基づき打音検査装置が目標位置に位置するためのブームの長さL、ブームの起伏角度θおよびブームの旋回角度φの目標値を求める。そして、出力部150が、算出部140の算出結果を、制御信号として出力する。これに応じてブームが動作し、打音検査装置が移動する。
【0101】
通常操作モードと同様に打音検査装置を連続して移動させるために目標位置移動処理S17−5終了時点では出力を停止させず、次周期に移動指示が変更されるまで出力を維持する。目標位置移動処理S17−5を終了すると、連続検査処理を終了し、座標取得処理S11に戻る。
【0102】
目標位置到着判定S17−4にて到着している場合(S17−4のYes)、まず移動出力停止S17−6を実行して打音検査装置の移動を停止する。続いて、検査開始位置更新S17−7にて現在の打音検査装置の座標を検査開始位置として更新する。ここで、現在の打音検査装置の座標ではなく、目標検査位置を検査開始位置として更新してもよい。
【0103】
検査開始位置更新S17−7を終えると、検査シーケンスS17−11を実行する。検査シーケンスS17−11では、上述した打音検査を行う。これは
図8における検査シーケンスS19と同様である。検査シーケンスS17−11が完了するまで待機し、完了すると連続検査処理S17を終了し、座標取得処理S11に戻り次の入力待ちとなる。
【0104】
次に、
図18のフローチャートを用いて、本実施形態の打音検査制御装置100の連続検査処理S17(
図8参照)の処理の一例を説明する。メイン処理等その他の処理のフローは、第1の実施形態と同様である。
【0105】
連続検査処理S17では、打音検査装置の移動を半自動的に繰り返す。連続検査処理S17では、まず移動指示入力判定S17−1にて移動入力受付部130より移動方向を含む指示入力を取得する。当該指示入力に用いる操作部材は通常操作モードで用いる操作部材と共通であることが望ましい。また、操作部材と軸方向の対応も通常操作モードと統一されていることが望ましい。
【0106】
続いて移動入力指示判定S17−2にて指示入力があるか判定する。指示入力がない場合(S17−2のNo)、連続検査処理S17を終了し、座標取得処理S11に戻る。一方、指示入力がある場合(S17−2のYes)、目標位置算出S17−3を実行する。
【0107】
目標位置算出S17−3では、検査開始位置と指示入力に基づき、次の目標検査位置を動的に求める。具体的には検査開始位置を基準に指示入力で特定される方向に所定の距離だけ移動した点が次の目標検査位置になる。移動距離は予め定めてもよいし、入力によって適宜変更してもよい。ここで、次の目標検査位置は一度の入力によって確定はされず、次の目標位置に到着するまでは移動の途中で任意に変更することもできる。
【0108】
その後、出力部150は、打音検査装置を算出した目的位置に移動可能か判断する(S17−8)。具体的には、打音検査装置を目的位置に位置させるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが、可動範囲を外れているか判断する。
【0109】
すべてが可動範囲内である場合、出力部150は移動可と判断する(S17−8のYes)。この場合、出力部150は、算出部140による算出結果を制御信号として出力する。
【0110】
一方、少なくとも1つが可動範囲を外れる場合、出力部150は移動不可と判断する(S17−8のNo)。この場合、出力部150は、検査装置の移動を停止させ(S17−9)、警告を出力する(S17−10)。その後、S11に戻って、新たな指示入力待ち状態となる。
【0111】
目標位置到着判定S17−4では、現在の打音検査装置の位置が目標位置に到着しているか判定する。到着している場合(S17−4のYes)、一連の検査処理を実行する。到着していない場合(S17−4のNo)、目標位置移動処理S17−5を実行する。
【0112】
目標位置移動処理S17−5では、算出部140が、
図7の関係式に基づき打音検査装置が目標位置に位置するためのブームの長さL、ブームの起伏角度θおよびブームの旋回角度φの目標値を求める。そして、出力部150が、算出部140の算出結果を、制御信号として出力する。これに応じてブームが動作し、打音検査装置が移動する。
【0113】
通常操作モードと同様に打音検査装置を連続して移動させるために目標位置移動処理S17−5終了時点では出力を停止させず、次周期に移動指示が変更されるまで出力を維持する。目標位置移動処理S17−5を終了すると、連続検査処理を終了し、座標取得処理S11に戻る。
【0114】
目標位置到着判定S17−4にて到着している場合(S17−4のYes)、まず移動出力停止S17−6を実行して打音検査装置の移動を停止する。続いて、検査開始位置更新S17−7にて現在の打音検査装置の座標を検査開始位置として更新する。ここで、現在の打音検査装置の座標ではなく、目標検査位置を検査開始位置として更新してもよい。
【0115】
検査開始位置更新S17−7を終えると、検査シーケンスS17−11を実行する。検査シーケンスS17−11では、上述した打音検査を行う。これは
図8における検査シーケンスS19と同様である。検査シーケンスS17−11が完了するまで待機し、完了すると連続検査処理S17を終了し、座標取得処理S11に戻り次の入力待ちとなる。
【0116】
以上説明した本実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様な作用効果を実現できる。
【0117】
また、本実施形態の打音検査制御装置100は、オペレータの指示入力に応じて打音検査装置を移動させると、その都度、移動後の位置で打音検査装置を制御し、打音検査を実行させる。このように、ブームの動作と打音検査装置の動作を連動させることができる本実施形態によれば、打音検査装置の移動、及び、打音検査の実行を連続的に無駄な待ち時間なく実行できる。結果、作業効率を向上させることができる。
【0118】
また、オペレータは、打音検査装置を移動させる指示入力のみを行えばよく、移動の指示入力、及び、打音検査を実行させる指示入力を別々に行う必要がない。このため、オペレータの負担を軽減できる。
【0119】
<第4の実施形態>
本実施形態の打音検査制御装置100は、打音検査装置を移動させる方向の登録を受付け、登録された方向に移動させる指示入力を受付けることができる点で、第1乃至第3の実施形態と異なる。
【0120】
本実施形態の打音検査制御装置100の機能ブロック図の一例は、第1乃至第3の実施形態同様、
図6で示される。検出部110、位置管理部120及び出力部150の構成は、第1乃至第3の実施形態と同様である。以下、移動入力受付部130及び算出部140について説明する。ここでは、第1乃至第3の実施形態と異なる点を説明する。
【0121】
算出部140は、打音検査装置を移動させる方向の登録を受付ける。例えば、オペレータは、機械装置のブームを動作させ、打音検査装置を所望の位置(第1基準位置)に位置させる。算出部140は、この状態におけるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを取得し、登録する。
【0122】
また、オペレータは、機械装置のブームを動作させ、打音検査装置を所望の他の位置(第2基準位置)に位置させる。算出部140は、この状態におけるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを取得し、登録する。結果、第1の位置と第2の位置とを結ぶ方向が、打音検査装置を移動させる方向(第1の方向)として登録される。
【0123】
また、オペレータは、機械装置のブームを動作させ、打音検査装置を所望の他の位置(第3基準位置)に位置させる。算出部140は、この状態におけるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを取得し、登録する。第1の方向と直交し、第1乃至第3の位置を含む平面に平行な方向が、打音検査装置を移動させる方向(第2の方向)として登録される。
【0124】
移動入力受付部130は、このようにして登録された方向(例:第1及び第2の方向)に打音検査装置を移動させる指示入力を受付けることができる。
【0125】
ここで、算出部140が、打音検査装置を移動させる指示入力に応じて、目的位置を算出する処理の一例を説明する。
【0126】
算出部140は、例えば、第1乃至第3基準位置各々に位置する時のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて、第1の座標系における第1乃至第3基準位置各々の座標を算出する。
【0127】
そして、算出部140は、算出した第1基準位置及び第2基準位置の座標を用いて第1基準位置及び第2基準位置間のベクトルを算出した後、当該ベクトルを第1基準位置及び第2基準位置間の距離で割ることで、第1の方向の単位ベクトルを算出する。また、算出部140は、第1の方向の単位ベクトルに直交し、第1乃至第3基準位置を含む平面に平行な単位ベクトルを、第2の方向の単位ベクトルとして算出する。
【0128】
そして、算出部140は、現在の打音検査装置の座標に、指示入力で特定される方向(第1の方向又は第2の方向)のベクトルに、所定の移動量を乗じたベクトルを加えることにより、第1の座標系における目的位置の座標を算出する。
【0129】
以上説明した本実施形態によれば、第1乃至第3の実施形態と同様な効果を実現できる。
【0130】
また、本実施形態によれば、予め移動方向を登録することで、打音検査装置を所望の方向に移動させることができる。結果、機械装置と検査対象の位置関係に関わらず、簡易な操作で、打音検査装置を所望の方向に移動させることが可能となる。結果、作業効率が向上する。
【0131】
以下、参考形態の例を付記する。
1. 伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出部と、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて、前記ブームの先端に取り付けられた打音検査装置の位置を所定の座標系で管理する位置管理部と、
前記打音検査装置を、予め定められた複数の移動方向の中の何れかに移動させる指示入力を受付ける移動入力受付部と、
前記移動入力受付部が前記指示入力を受付けると、その都度、前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定されるブームトップの現在位置に基づき、前記指示入力で特定される前記移動方向に所定の移動量だけ前記打音検査装置を移動させた後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出部と、
前記算出部による算出結果を制御信号として出力する出力部と、
を有する打音検査制御装置。
2. 1に記載の打音検査装置において、
前記出力部は、前記算出部による算出結果を制御信号として出力すると、その都度、移動後の位置で前記打音検査装置に打音検査を実行させる制御信号を出力する打音検査制御装置。
3. 1又は2に記載の打音検査制御装置において、
前記出力部は、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φ各々の可動範囲を保持しており、
前記算出部による算出結果で示される前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φの中の少なくとも1つが前記可動範囲を外れる場合、前記算出部による算出結果を制御信号として出力せず、警告を出力し、
前記算出部による算出結果で示される前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが前記可動範囲を外れない場合、前記算出部による算出結果を制御信号として出力する打音検査制御装置。
4. コンピュータが、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出工程と、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて、前記ブームの先端に取り付けられた打音検査装置の位置を所定の座標系で管理する位置管理工程と、
前記打音検査装置を、予め定められた複数の移動方向の中の何れかに移動させる指示入力を受付ける移動入力受付工程と、
前記移動入力受付工程で前記指示入力を受付けると、その都度、前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定されるブームトップの現在位置に基づき、前記指示入力で特定される前記移動方向に所定の移動量だけ前記打音検査装置を移動させた後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出工程と、
前記算出工程での算出結果を制御信号として出力する出力工程と、
を実行する打音検査制御方法。
5. コンピュータを、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出手段、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて、前記ブームの先端に取り付けられた打音検査装置の位置を所定の座標系で管理する位置管理手段、
前記打音検査装置を、予め定められた複数の移動方向の中の何れかに移動させる指示入力を受付ける移動入力受付手段、
前記移動入力受付手段が前記指示入力を受付けると、その都度、前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定されるブームトップの現在位置に基づき、前記指示入力で特定される前記移動方向に所定の移動量だけ前記打音検査装置を移動させた後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出手段、
前記算出手段による算出結果を制御信号として出力する出力手段、
として機能させるプログラム。