(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等の店舗の改装工事において、工事中の区画と外部とを遮蔽する手段として平板状のパネルが採用されている(例えば、特許文献1参照)。かかるパネルは、各パーツに分解して運搬し、現場で一体的に組み付ける。かかるパネルは、組み立て現場で容易且つ迅速に組み付けることができるように、種々工夫がなされている。かかるパネルは、互いに隣接する平板パネルの両端部同士を接合して全体として平面状に接続する構成のものである。
【0003】
特許文献1に記載の平面状のパネルは、平面状のものであるが、展示ブース設営や仮設店舗等においては、例えば、商品広告や装飾のディスプレイ等を目的として円筒状パネルを設置する場合がある。かかる円筒状パネル100は、
図12に示すように、筒周方向に複数に分割されたパーツ(分割パネル)101の端面同士を突き合わせて円筒状に接合したものである。従来では、分割パネル101の接合手段としては、隣接する分割パネル101の端部である突合せ面同士を接着剤や両面テープにより貼着している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のように分割パネル101の突合せ面同士を接着剤や両面テープで貼着する円筒状パネルの接合方法にあっては、分割パネル同士を一旦接着してしまうと、剥がして分離することが困難である。特に、分割パネルが紙製の場合は、接合面が剥がれてしまう問題がある。このように複数の分割パネルを接着剤や両面テープで接続するため、分割パネルにずれが生じた場合、分離して、ずれの微調整を行う修正作業が困難となる問題がある。
【0006】
また、筒状パネルの場合は、その内側に作業者が入れないため、複数の作業者が各分割パネル101を持って一斉に分割パネルを接続させる方法が採用されており、作業性がよくないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、複数に分割された筒状パネルの設置現場において、最小人数の作業者により複数の分割パネルを容易且つ迅速に組み付けてセットできるようにした筒状パネル及び筒状パネルの組付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る筒状パネルの組付け方法は、複数の分割パネルを備え、一方の分割パネルの一端部と他方の分割パネルの他端部とを接合することにより、筒状に形成する筒状パネルの組付け方法であって、一方の分割パネルの一端部にマグネットを設け、この一方の分割パネルの一端部を他方の分割パネルの他端部に前記マグネットで磁気吸着させることで筒状に組み付けることを特徴としている。
【0009】
本発明に
用いる分割パネルは、両端部を磁気吸着で接合できるものであって、一端部にはマグネットが備えられ、他端部には被磁気吸着部材としての強磁性体又はマグネットが備えられると共に、その一端部とマグネットとの間、及び、その他端部と被磁気吸着部材との間にクッション材が
備えられているものであり、複数使用する。
【0010】
そして
、最初の分割パネルの他端部と、次の分割パネルの一端部とを磁気吸着し、さらにそれ以外の分割パネルも同様に磁気吸着させ、最後の分割パネルの他端部を、最初の分割パネルの一端部に磁気吸着させることで
筒状パネルとすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の分割パネルを備え、一方の分割パネルの一端部がマグネットを介して他方の分割パネルの他端部に磁気吸着する構成であるので、容易に組み付けることができるだけでなく、一方の分割パネルと他方の分割パネルとの接合状態を吸着力に抗して適宜分離することが可能であり、組み付け状態を容易に微調整することができるだけでなく、分割パネルを容易に分離・撤去して再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る筒状パネルを分解した平面図である。
【
図2】
図1に示す点線で囲った筒状パネルの要部を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る筒状パネルを構成する分割パネルの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る筒状パネルの組み付け状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る筒状パネルであって、断面形状を三角形の筒状に構成したもので、(a)は分割パネルの分解状態を示す断面平面図、(b)は分割パネルの接合状態を示す断面平面図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態に係る筒状パネルであって、断面形状を四角形の筒状に構成したもので、(a)は分割パネルの分解状態を示す断面平面図、(b)は分割パネルの接合状態を示す断面平面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態に係る筒状パネルであって、断面形状を五角形の筒状に構成したもので、(a)は分割パネルの分解状態を示す断面平面図、(b)は分割パネルの接合状態を示す断面平面図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態に係る筒状パネルであって、断面形状を六角形の筒状に構成したもので、(a)は分割パネルの分解状態を示す断面平面図、(b)は分割パネルの接合状態を示す断面平面図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施形態に係る筒状パネルであって、断面形状を七角形の筒状に構成したもので、(a)は分割パネルの分解状態を示す断面平面図、(b)は分割パネルの接合状態を示す断面平面図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態に係る筒状パネルであって、断面形状を八角形の筒状に構成したもので、(a)は分割パネルの分解状態を示す断面平面図、(b)は分割パネルの接合状態を示す断面平面図である。
【
図11】本発明のさらに他の実施形態に係る筒状パネルであって、断面形状を九角形の筒状に構成したもので、(a)は分割パネルの分解状態を示す断面平面図、(b)は分割パネルの接合状態を示す断面平面図である。
【
図12】従来の筒状パネルの組付け方法の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る筒状パネル及び筒状パネルの組付け方法を実施の形態に基づき、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る筒状パネルを分解した平面図(遠近法で描いている。
図2〜
図4も同じ。)、
図2は同じく筒状パネルの筒状パネルの要部(
図1中の点線で囲った部分)を示す斜視図、
図3は同じく筒状パネルを構成する分割パネルの斜視図である。
【0015】
本実施形態の筒状パネル1は、複数の分割パネル2を備えている。尚、本実施形態は、円筒状の筒状パネル1が筒周方向に4分割された場合を例示する。
【0016】
筒状パネル1は、同一形状の第1〜第4分割パネル2a〜2dを備えている。第1〜第4分割パネル2a〜2dは、外側に凸状となるように軽量の紙製シートが円弧状に湾曲形成されたものである。第1〜第4分割パネル2a〜2dの周方向両端部には、筒中心に向けて屈曲形成された帯状の連結部20、21が、分割パネルの長手方向全長にわたってそれぞれ設けられている。第1〜第4分割パネル2a〜2dの表面には、例えば広告や装飾等の絵柄が施されている。
【0017】
第1〜第4分割パネル2a〜2dにおける一方の連結部20の外面(接合面)である端部には、マグネットとしての帯状のマグネットシート5が連結部全長にわたって接着剤や両面接着テープなどにより貼着されている。また、他方の連結部21の外面(接合面)である端部には、被磁気吸着部材としての強磁性体(例えばスチール箔のような強磁性体シート)6が端部の全長にわたって接着剤や両面接着テープなどにより貼着されている。
【0018】
第1分割パネル2aの連結部20のマグネットシート5と、隣接する第4分割パネル2dの連結部21の強磁性体シート6とは、着脱自在に磁気吸着する。また、第1分割パネル2aの連結部21の強磁性体シート6と、隣接する第2分割パネル2bの連結部20のマグネットシート5とは、着脱自在に磁気吸着する。第2分割パネル2bの連結部21の強磁性体シート6と、隣接する第3分割パネル2cの連結部20のマグネットシート5とは、着脱自在に磁気吸着する。第3分割パネル2cの連結部21の強磁性体シート6と、隣接する第4分割パネル2dのマグネットシート5とは、着脱自在に磁気吸着する。
【0019】
次に、一人の作業者が第1〜第4分割パネル2a〜2dを組み付けて筒状パネル1を形成する筒状パネルの組付け方法について説明する。
【0020】
まず、各分割パネル2を展示ブース設営、仮設店舗等の所定の現場まで搬送する。この運搬に際しては、分割パネル2は紙製であるため軽量であり、取り扱いが簡単である。
【0021】
次に、第1分割パネル2aを所定の設置面に立設させる。これら第1〜第4分割パネル2は円弧状に湾曲形成されているため、容易に自立させることが可能である。自立する第1分割パネル2aの隣に、第2分割パネル2bを接近させ、第1分割パネル2aの連結部21の強磁性体シート6に、第2分割パネル2bの連結部20のマグネットシート5を磁気吸着によって接続する。これにより、第1分割パネル2aと第2分割パネル2bとの接続が完了する。
【0022】
さらに、自立する第2分割パネル2bの連結部21の強磁性体シート6に、第3分割パネル2cの連結部20のマグネットシート5を吸着吸着によって接続する。これにより、第2分割パネル2bと第3分割パネル2cとの接続が完了する。
【0023】
さらに、自立する第3分割パネル2cの連結部21の強磁性体シート6に、第4分割パネル2dの連結部20のマグネットシート5を磁気吸着によって接続する。以上の第1分割パネル2aと第2分割パネル2bとの接続から第2分割パネル2bと第3分割パネル2cとの接続は、作業者が各分割パネル2a〜2cの内側に入って作業してもよい。
そして、
図4に示すように、第4分割パネル2dの連結部21の強磁性体シート6に、第1分割パネル2aの連結部20のマグネットシート5を磁気吸着によって接続し、第4分割パネル2dの連結部20のマグネットシート5を第3分割パネル2cの強磁性体シート6に磁気吸着によって接続する。
このとき、作業者は第1〜第3分割パネル2a〜2dの内側に入って作業することができない。しかし、第1〜第3分割パネル2a〜2dは、磁気吸着によって接続され、換言すれば、拘束されていることで、第4分割パネル2dを第1分割パネル2aと第3分割パネル2cとの間に入れ込んでも、第1分割パネル2aと第3分割パネル2cとの間隔が広がるようなことはない。これにより、第4分割パネル2dは、第1分割パネル2aおよび第3分割パネル2cとの接続が完了し、筒状パネル1が形成される。
【0024】
以上のように、本発明の筒状パネルの組付け方法によれば、一人の作業者により、第1〜第4分割パネル2a〜2dを組み付けて筒状パネル1を容易且つ迅速に形成してセットすることが可能である。尚、前記実施形態では、作業者は一人としたが、複数人で作業することも可能である。また、第1〜第4分割パネル2a〜2dのそれぞれは、磁気吸着力を利用して接続しているため、第1〜第4分割パネル2a〜2dを順次接続する過程において、位置ずれして接続されても、所望の第1〜第4分割パネル2a〜2dを吸着力に抗して適宜分離して分割パネルの上下位置や、筒径方向の相対位置をずらしたりして容易に位置調整(微調整)をすることが可能である。
【0025】
また、紙製の第1〜第4分割パネル2a〜2dを分離する場合であっても、第1〜第4分割パネル2a〜2d同士は、磁気吸着力を利用しているため、接合面が剥がれるおそれはない。
【0026】
展示ブース設営や仮設店舗終了の際には、第1〜第4分割パネル2a〜2dを吸着力に抗してそれぞれ分離して筒状パネル1を分解することが可能である。尚、任意のパネルに予め把手部または開口部(図示省略)を設けておいて、この把手部等を把持してパネルを分解するようにしてもよい。
【0027】
また、本実施形態の筒状パネルは、各第1〜第4分割パネル2a〜2dを独立して着脱することが可能となり、任意の第1〜第4分割パネル2a〜2dのみを新なものと交換してディスプレイの表示を任意に変更したり、別の場所で再利用することも可能である。
【0028】
図5〜
図11は、本発明の他の実施形態を示す。尚、前記実施形態と同一部材には同一符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0029】
図5(a)および(b)に示す本実施形態に係る筒状パネルは、水平方向に切断した断面形状を三角形の筒状に構成したものである。かかる筒状パネル1は、3個の分割パネル(第1〜第3分割パネル2a〜2c)を備えている。
第1分割パネル2aと第3分割パネル2cは、両端部を内側に折り曲げた連結部20,21を備え、それぞれの端部には、マグネットシート5と強磁性体シート6(ともに図示せず)とが貼着されている。そして、第2分割パネル2bは平板状に形成されており、一方の連結部20と他方の連結部21は平坦な両端部に設けられている。なお、図示しないが、第1〜第3分割パネル2a〜2cは、一方の端部のみ内側に折り曲げることで、全て同じ形状としてもよい。
【0030】
図6(a)および(b)に示す本実施形態に係る筒状パネルは、水平方向に切断した断面形状を四角形の筒状に構成したものである。かかる筒状パネル1は、4個の分割パネル(第1〜第4分割パネル2a〜2d)を備えている。各第1〜第4分割パネル2a〜2dの中途部は直角に屈曲されている。また、各第1〜第4分割パネル2a〜2dは、両端部を内側に折り曲げた連結部20,21を備え、それぞれの端部には、マグネットシート5と強磁性体シート6(ともに図示せず)とが貼着されている。
【0031】
図7(a)および(b)に示す本実施形態に係る筒状パネルは、水平方向に切断した断面形状を五角形の筒状に構成したものである。かかる筒状パネル1は、5個の分割パネル(第1〜第5分割パネル2a〜2e)を備えている。第1分割パネル2aの中途部は屈曲形成され、第2〜第5分割パネル2b〜eは平板状に形成されている。
また、第1、第2、第4、第5分割パネル2a,2b,2d,2eの両端部は、内側に折り曲げた連結部20,21を備え、それぞれの端部には、マグネットシート5と強磁性体シート6(ともに図示せず)とが貼着されている。第3分割パネル2cの両端部は折り曲げられず、マグネットシート5と強磁性体シートとが貼着されている。
【0032】
図8(a)および(b)に示す本実施形態に係る筒状パネルは、水平方向に切断した断面形状を六角形の筒状に構成したものである。かかる筒状パネル1は、6個の分割パネル(第1〜第6分割パネル2a〜2f)を備えている。第1〜第6分割パネル2a〜2fは、両端部を内側に折り曲げた連結部20,21を備え、それぞれの端部には、マグネットシート5と強磁性体シート6(ともに図示せず)とが貼着されている。
【0033】
図9(a)および(b)に示す本実施形態に係る筒状パネルは、水平方向に切断した断面形状を七角形の筒状に構成したものである。かかる筒状パネル1は、7個の分割パネル(第1〜第7分割パネル2a〜2g)を備えている。第1〜第7分割パネル2a〜2gは、両端部を内側に折り曲げた連結部20,21を備え、それぞれの端部には、マグネットシート5と強磁性体シート6(ともに図示せず)とが貼着されている。
【0034】
図10(a)および(b)に示す本実施形態に係る筒状パネルは、水平方向に切断した断面形状を八角形の筒状に構成したものである。かかる筒状パネル1は、8個の分割パネル(第1〜第8分割パネル2a〜2h)を備えている。第1〜第7分割パネル2a〜2hは、両端部を内側に折り曲げた連結部20,21を備え、それぞれの端部には、マグネットシート5と強磁性体シート6(ともに図示せず)とが貼着されている。
【0035】
図11(a)および(b)に示す本実施形態に係る筒状パネルは、水平方向に切断した断面形状を九角形の筒状に構成したものである。かかる筒状パネル1は、9個の分割パネル(第1〜第9分割パネル2a〜2i)を備えている。第1〜第7分割パネル2a〜2iは、両端部を内側に折り曲げた連結部20,21を備え、それぞれの端部には、マグネットシート5と強磁性体シート6(ともに図示せず)とが貼着されている。
【0036】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、連結部21の磁性体シート6に代えてマグネットシート5を設けることも可能である。かかる場合は、マグネットシート5同士を吸着させることができるため、さらに強固な吸着力で分割パネル同士を接続させることが可能である。
【0037】
筒状パネル1の断面形状は、円形や多角形に限定されるものではなく、任意の形状のものが採用可能である。また、分割パネルの材質も紙製以外に金属製のものであってよい。かかる場合は、分割パネル自体が磁性体の機能を発揮するため、別部材の磁性体を設ける必要がない。
【0038】
また、各分割パネル2a〜2iの連結部20,21とマグネットシート5の間及び強磁性体シート6との間にクッション材(図示せず)を介在させてもよい。連結部20,21の表面がわずかに起伏し、この起伏に沿ってマグネットシート5と強磁性体シート6とが密着した場合であっても、クッション材によって起伏を解消し、マグネットシート5と強磁性体シート6とが密着するようにすることができる。
しかも、マグネットシート5および磁性体シート6は、連続したもの以外に、所定の間隔を有して断続的に設けたものであってもよい。さらに、筒状パネル1は、建物の室内外に立設された柱の周囲に設けることも可能である。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。