特許第6661221号(P6661221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許66612213D輪郭データ収集及びう蝕検出のシステム、方法、並びにコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661221
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】3D輪郭データ収集及びう蝕検出のシステム、方法、並びにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/247 20060101AFI20200227BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20200227BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20200227BHJP
   G06T 15/04 20110101ALI20200227BHJP
【FI】
   A61B1/247
   A61B1/045 610
   A61B1/00 551
   A61B1/00 511
   G06T15/04
【請求項の数】24
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-528514(P2016-528514)
(86)(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公表番号】特表2016-528972(P2016-528972A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014065779
(87)【国際公開番号】WO2015011173
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年5月23日
(31)【優先権主張番号】13/948,665
(32)【優先日】2013年7月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500058187
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ティール,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ミカエリ,ダニエル
【審査官】 ▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−090091(JP,A)
【文献】 特表2010−509993(JP,A)
【文献】 特表2011−504586(JP,A)
【文献】 特開2010−188119(JP,A)
【文献】 特表2003−518614(JP,A)
【文献】 特表2005−538347(JP,A)
【文献】 特表2002−522752(JP,A)
【文献】 特表2012−518445(JP,A)
【文献】 特開2004−038926(JP,A)
【文献】 特開2002−063592(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/137243(WO,A1)
【文献】 特開2010−129063(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0122052(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/000745(WO,A1)
【文献】 特表2015−527896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G06T 15/00, 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科環境におけるオブジェクト(8)の画像を取得するシステムであって、前記システムは、
光学系(100、200、300、400)であって、前記光学系(100、200、300、400)がイメージングモードで動作している間、前記オブジェクト(8)の少なくとも1つの第1の画像を取り込むように配置され、前記光学系(100、200、300、400)が診断モードで動作している間、前記オブジェクト(8)の少なくとも1つの第2の画像を取り込むように更に配置されることを特徴とする、光学系(100、200、300、400)と、
前記第2の画像を前記第1の画像上に重ねるように配置される、少なくとも1つの処理系(104)と、
前記第2の画像のデータセットを座標(u,v)と関連付けてテクスチャマップを作成し、前記第1の画像のデータセットをアンラップして頂点、縁、及び面を有する二次元多角形メッシュを作成し、前記二次元多角形メッシュを前記テクスチャマップ上で位置合わせして前記座標(u,v)を前記二次元多角形メッシュの頂点に割り当て、前記座標(u,v)が割り当てられた二次元多角形メッシュのデータを三次元モデルに作成し直し、前記三次元モデルの頂点に割り当てられた座標(u,v)に基づいて、前記テクスチャマップのピクセルを前記三次元モデル上に重ねることによって診断レンダリングを作成するように配置される、マッピングデバイス(106)と、
を備え、
前記少なくとも1つの第1の画像が前記オブジェクト(8)の三次元画像であり、前記少なくとも1つの第2の画像が前記オブジェクト(8)のう蝕検出された二次元画像である、システム。
【請求項2】
前記光学系(100、200、300、400)が前記イメージングモード及び前記診断モードで非同時に動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学系(100、200、300、400)が、前記イメージングモード及び前記診断モードのうち少なくとも一方を選択するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光学系(100、200、300、400)が、少なくとも1つの光源(3、3’)及びイメージングセンサ(11)を更に含み、前記少なくとも1つの光源(3、3’)が、投影光路(1、1’)に沿って光線(2)を放射して前記オブジェクト(8)を照明するように配置され、前記イメージングセンサ(11)が、観察光路(9、9’)を規定する、前記オブジェクト(8)の少なくとも1つの表面(7)による後方散乱光を受信するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学系(100、200、300、400)が、前記少なくとも1つの光源(3、3’)及び前記イメージセンサ(11)のうち少なくとも一方が収容されるハウジングを更に含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学系が、投影光路(1、1’)及び観察光路(9、9’)と、前記光路のうち少なくとも一方に含まれる少なくとも1つの光学素子とを含み、前記少なくとも1つの光学素子が、対物レンズ、光学レンズ、開口アレイ(404)、交換光学素子(408)、及びプリズム(6)のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記交換光学素子が、前記イメージングモード用の共焦点光学素子(408a、508a)、及び前記診断モード用の固定焦点光学素子のうち少なくとも一方を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記共焦点光学素子(408a、508a)が、所定範囲内で前記オブジェクト(8)の高さを判定するように配置され、前記固定焦点光学素子が、前記所定範囲に等しいか又はより大きい被写界深度を前記光学系(100、200、300、400)に提供するように配置される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記光学系(100、200、300、400)が、前記イメージングモードで動作している間は位相シフト三角法による三次元イメージングを行い、前記診断モードで動作している間は透視イメージングを行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光学系(100、200、300、400)が、前記イメージングモードで動作している間は色分け三角法による三次元イメージングを行い、前記診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光学系(100、200、300、400)が、前記イメージングモードで動作している間は走査共焦点イメージングを行い、前記診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記光学系(100、200、300、400)が、前記イメージングモードで動作している間はクロマティック共焦点イメージングを行い、前記診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記光学システム(100、200、300、400)が、1つのカメラ内に配設されるか、または光ガイドによってカメラに接続される、カメラの外部のユニット内に配設される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
歯科環境における診断レンダリングを作成する装置の作動方法であって、
光学カメラシステム(100、200、300、400)を動作させる工程と、
前記光学カメラシステム(100、200、300、400)のイメージングモードにおいて、オブジェクト(8)の少なくとも1つの第1の画像を取り込む工程と
前記光学カメラシステム(100、200、300、400)の診断モードにおいて、前記オブジェクト(8)の少なくとも1つの第2の画像を取り込む工程と
前記第2の画像を前記第1の画像上に重ねる工程と
前記第2の画像のデータセットを座標(u,v)と関連付けてテクスチャマップを作成する工程と
前記第1の画像のデータセットをアンラップして頂点、縁、及び面を有する二次元多角形メッシュを作成する工程と
前記二次元多角形メッシュを前記テクスチャマップ上で位置合わせし、前記座標(u,v)を前記二次元多角形メッシュの頂点に割り当てる工程と
前記座標(u,v)が割り当てられた二次元多角形メッシュのデータを三次元モデルに作成し直す工程と、
前記三次元モデルの頂点に割り当てられた座標(u,v)に基づいて、前記テクスチャマップのピクセルを前記三次元モデル上に重ねることによって診断レンダリングを作成する工程と
を含み、
前記少なくとも1つの第1の画像が前記オブジェクト(8)の三次元画像であり、前記少なくとも1つの第2の画像が前記オブジェクト(8)のう蝕検出された二次元画像である、作動方法。
【請求項15】
前記イメージングモードにおいて前記第1の画像を取り込むこと及び前記診断モードにおいて前記第2の画像を取り込むことが非同時に行われる、請求項14に記載の作動方法。
【請求項16】
前記イメージングモードにおいて前記第1の画像を取り込むこと及び前記診断モードにおいて前記第2の画像を取り込むことが選択可能である、請求項14に記載の作動方法。
【請求項17】
前記光学カメラシステム(100、200、300、400)が、前記イメージングモードにおける取り込み用の共焦点光学素子(408a、508a)、及び前記診断モードにおける取り込み用の固定焦点光学素子のうち少なくとも一方を備える、請求項14に記載の作動方法。
【請求項18】
前記イメージングモードにおいて前記第1の画像を取り込むことが位相シフト三角法によって三次元イメージングを行うことを含み、前記診断モードにおいて前記第2の画像を取り込むことが透視イメージングを行うことを含む、請求項14に記載の作動方法。
【請求項19】
前記イメージングモードにおいて前記第1の画像を取り込むことが色分け三角法によって三次元イメージングを行うことを含み、前記診断モードにおいて前記第2の画像を取り込むことが光誘導蛍光イメージングを行うことを含む、請求項14に記載の作動方法。
【請求項20】
前記イメージングモードにおいて前記第1の画像を取り込むことが走査共焦点イメージングを行うことを含み、前記診断モードにおいて前記第2の画像を取り込むことが光誘導蛍光イメージングを行うことを含む、請求項14に記載の作動方法。
【請求項21】
前記イメージングモードにおいて前記第1の画像を取り込むことがクロマティック共焦点イメージングを行うことを含み、前記診断モードにおいて前記第2の画像を取り込むことが光誘導蛍光イメージングを行うことを含む、請求項14に記載の作動方法。
【請求項22】
前記光学システム(100、200、300、400)が、1つのカメラ内に配設されるか、または光ガイドによってカメラに接続される、カメラの外部のユニット内に配設される、請求項14に記載の作動方法。
【請求項23】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶され、かつコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、実行時に、コンピュータシステムに、
光学カメラシステム(100、200、300、400)のイメージングモードにおいて、歯科環境におけるオブジェクト(8)の少なくとも1つの第1の画像を取り込むことと、
前記光学カメラシステム(100、200、300、400)の診断モードにおいて、前記オブジェクト(8)の少なくとも1つの第2の画像を取り込むことと、
前記第2の画像を前記第1の画像上に重ねることと、
前記第2の画像のデータセットを座標(u,v)と関連付けてテクスチャマップを作成することと、
前記第1の画像のデータセットをアンラップして頂点、縁、及び面を有する二次元多角形メッシュを作成することと、
前記二次元多角形メッシュを前記テクスチャマップ上で位置合わせし、前記座標(u,v)を前記二次元多角形メッシュの頂点に割り当てることと、
前記座標(u,v)が割り当てられた二次元多角形メッシュのデータを三次元モデルにに作成し直すことと、
前記三次元モデルの頂点に割り当てられた座標(u,v)に基づいて、前記テクスチャマップのピクセルを前記三次元モデル上に重ねることによって診断レンダリングを作成することと、
を含む処理手順を行わせ、
前記少なくとも1つの第1の画像が前記オブジェクト(8)の三次元画像であり、前記少なくとも1つの第2の画像が前記オブジェクト(8)のう蝕検出された二次元画像である、コンピュータプログラム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの第1の画像が前記オブジェクトの三次元画像であり、前記少なくとも1つの第2の画像がう蝕検出画像であり、前記重ねることが、前記う蝕検出画像を前記三次元画像上にマッピングすることを含む、請求項23に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する例示の態様は、全体として、歯科環境において画像を取得することに関し、より具体的には、3D収集及びう蝕検出の方法、システム、装置、並びにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科学では、診断及び治療のタスクには様々なデバイスを利用する。治療計画では、歯及びその周囲の歯列の3−D輪郭データを収集するのに、3−Dカメラが使用される場合が多い。3−D輪郭データは、歯冠、インレー、アンレー、及び他の修復物の作製及び配置に使用される。診断タスクの場合、虫歯の存在を検出するのに多くの光学技術が使用される。虫歯の治療計画及び診断に使用される既存のデバイス及び技術は、互いに異なる別個のデバイスである。
【0003】
3−D歯科用カメラの分野では、当該分野において既知の技術としては、三角形分割、色分けパターンの3−Dイメージング、共焦点イメージング、及びクロマティック共焦点イメージングが挙げられる。
【0004】
3−Dカメラは、J.Pfeifferらによる、「Dreidimensionale Optische Vermessung von Zahnen」(Technisches Messen:Sensoren,Gerate,Systeme[計測学:センサ、デバイス、システム]、1996年6月、254〜261ページ)という名称の出版物において開示されている。
【0005】
米国特許第6,885,464号は、オブジェクトの表面構造における高さ又は深さの差を判定するのに位相シフト三角法を利用する、3−Dカメラシステムについて記載している。
【0006】
米国特許第6,813,035号は、オブジェクトの表面構造における高さ又は深さの差を判定するのに色分けパターン技術を利用する、3−Dカメラシステムについて記載している。
【0007】
米国特許第6,697,164号は、オブジェクトの表面構造における高さ又は深さの差を判定する、共焦点イメージングに基づいた3−Dカメラシステムについて記載している。
【0008】
米国特許出願公開第2012/0075425号は、オブジェクトの表面構造における高さ又は深さの差を判定する、クロマティック共焦点イメージング技術について記載している。
【0009】
3−Dイメージング技術とは異なり、虫歯の診断を可能にする、様々な他の光学技術が市販されている。かかる診断技術の例としては、光ファイバー透視、光誘導蛍光定量法、及び光コヒーレンス断層撮影法が挙げられる。これらのうちいくつかは、I.Prettyによる、「う蝕の検出及び診断:新技術(Caries Detection and Diagnosis:Novel Technologies)」(Journal of Dentistry、第34巻、2006年、733〜39ページ)という名称の学術論文に記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記と関連付けられる既存の制約、並びに他の制約は、オブジェクトの画像を取得するシステム及び装置によって、また、光学カメラシステムを動作させる方法、並びにその方法にしたがって動作するコンピュータプログラムによって克服することができる。
【0011】
本明細書における例示の一実施形態によれば、システムは、光学系と少なくとも1つの処理系とを備える。光学系は、光学系がイメージングモードで動作している間、オブジェクトの少なくとも1つの第1の画像を取り込むように配置され、更に、光学系が診断モードで動作している間、オブジェクトの少なくとも1つの第2の画像を取り込むように配置される。本明細書の一例では、光学系は自己充足型カメラである。少なくとも1つの処理系は、第1及び第2の画像を組み合わせるように配置される。
【0012】
本明細書における例示の一実施形態では、光学系は、イメージングモード及び診断モードで同時に動作する。本明細書における別の例示の実施形態では、光学系は、イメージングモード及び診断モードで非同時に動作する。
【0013】
本明細書における別の例示の実施形態によれば、システムは、イメージングモード及び診断モードのうち少なくとも一方を選択するように動作可能である。
【0014】
また、本明細書における例示の一実施形態では、光学系は、少なくとも1つの光源及びイメージングセンサを更に含み、少なくとも1つの光源は、投影光路に沿って光線を放射してオブジェクトを照明するように配置され、イメージングセンサは、観察光路を規定する、オブジェクトの少なくとも1つの表面による後方散乱光を受信するように配置される。本明細書における更なる例示の一実施形態では、光学系は、少なくとも1つの光源及びイメージセンサのうち少なくとも一方が収容されるハウジングを更に含む。
【0015】
本明細書におけるいくつかの例示の実施形態では、光学系は、投影光路及び観察光路と、光路のうち少なくとも一方に含まれる少なくとも1つの光学素子とを含み、少なくとも1つの光学素子は、対物レンズ、光学レンズ、開口アレイ、交換光学素子、及びプリズムのうち少なくとも1つを含む。交換光学素子は、例えば、イメージングモード用の共焦点光学素子、及び診断モード用の固定焦点光学素子のうち少なくとも一方を含むことができる。共焦点光学素子は、所定範囲内でオブジェクトの高さを判定するように配置することができ、固定焦点光学素子は、所定範囲に等しい被写界深度を光学系に提供するように配置することができる。
【0016】
本明細書における更なる例示の一実施形態では、光学系は、イメージングモードで動作している間は位相シフト三角法による三次元イメージングを行い、診断モードで動作している間は透視イメージングを行う。
【0017】
本明細書における別の例示の実施形態では、光学系は、イメージングモードで動作している間は色分け三角法(color-coded triangulation)による三次元イメージングを行い、診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う。
【0018】
本明細書における別の例示の実施形態では、光学系は、イメージングモードで動作している間は走査共焦点イメージングを行い、診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う。
【0019】
本明細書における別の例示の実施形態では、光学系は、イメージングモードで動作している間はクロマティック共焦点イメージングを行い、診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う。
【0020】
いくつかの例示の実施形態では、少なくとも1つの第1の画像はオブジェクトの三次元画像であり、少なくとも1つの第2の画像はう蝕検出画像である。
【0021】
システムは、三次元イメージング及び光学歯科診断技術の異なる機能性を組み合わせて、組み合わされた歯科治療計画の解決策を提供するのに有用であり得る。このように異なる機能性を組み合わせて単一のシステムにすることによって、別個の機器を使用することと関連するものに比べて、機器のコスト及び非能率が低減される。
【0022】
本明細書における様々な実施形態の更なる特徴及び利点、並びにそれらの構造及び動作については、添付図面を参照して以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書において主張及び/又は記載する教示については、例示の実施形態の観点から更に記載する。これらの例示の実施形態については、図面を参照して詳細に記載する。これらの実施形態は非限定的な例示の実施形態であり、図面のうちいくつかのものを通して、類似の参照番号は同様の構造を表す。
図1】本明細書における例示の一実施形態によるシステムのシステムブロック図である。
図2】イメージングモードで動作している間は位相シフト三角法による三次元イメージングを行い、診断モードで動作している間は透視イメージングを行う、本明細書における例示の一実施形態にしたがって構築されたカメラのブロック図である。
図3】イメージングモードで動作している間は色分け三角法による三次元イメージングを行い、診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う、本明細書における例示の一実施形態にしたがって構築されたカメラのブロック図である。
図4】イメージングモード又は診断モードのどちらかで動作する、本明細書における例示の一実施形態にしたがって構築されたカメラのブロック図であり、図4は、交換光学素子を有するカメラの一実施形態を示す図、図4Aは、交換光学素子が共焦点光学素子を含み、カメラが、イメージングモードで動作している間は走査共焦点イメージングを行う、カメラの一実施形態を示す図、図4Bは、交換光学素子が、カメラに対して所定の被写界深度を提供するように配置された固定焦点光学素子を含み、カメラが、診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う、カメラの一実施形態を示す図である。
図4A】イメージングモード又は診断モードのどちらかで動作する、本明細書における例示の一実施形態にしたがって構築されたカメラのブロック図であり、図4は、交換光学素子を有するカメラの一実施形態を示す図、図4Aは、交換光学素子が共焦点光学素子を含み、カメラが、イメージングモードで動作している間は走査共焦点イメージングを行う、カメラの一実施形態を示す図、図4Bは、交換光学素子が、カメラに対して所定の被写界深度を提供するように配置された固定焦点光学素子を含み、カメラが、診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う、カメラの一実施形態を示す図である。
図4B】イメージングモード又は診断モードのどちらかで動作する、本明細書における例示の一実施形態にしたがって構築されたカメラのブロック図であり、図4は、交換光学素子を有するカメラの一実施形態を示す図、図4Aは、交換光学素子が共焦点光学素子を含み、カメラが、イメージングモードで動作している間は走査共焦点イメージングを行う、カメラの一実施形態を示す図、図4Bは、交換光学素子が、カメラに対して所定の被写界深度を提供するように配置された固定焦点光学素子を含み、カメラが、診断モードで動作している間は光誘導蛍光イメージングを行う、カメラの一実施形態を示す図である。
図5】交換光学素子がクロマティック共焦点光学素子を含み、カメラが、イメージングモードで動作している間はクロマティック共焦点イメージングを行う、図4のカメラのブロック図である。
【0024】
図面のうち異なるものが、同じ構成要素を特定するために、少なくともいくつかの同一の参照番号を有することがあるが、かかる構成要素それぞれの詳細な説明は、各図面に関して以下に提供されないことがある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に記載する例示の態様にしたがって、3−Dイメージング及びう蝕検出のため、図1に示されるようなシステムが提供される。システムは、注目オブジェクト8の1つ以上の画像を取得するように動作させることができるカメラ100を備え、また、デバイス102〜108も備える。カメラ100は、3−Dイメージングモード及びう蝕検出モードのうち少なくとも一方で動作させることができる。カメラ100は、スイッチデバイス102及びプロセッサ104(例えば、マイクロプロセッサ又はコントローラ)に電気的に接続される。スイッチデバイス102は、3Dイメージングモード及びう蝕検出モードのそれぞれ1つにそれぞれ対応する、少なくとも2つの設定を有し、例えばそれらの設定のうち1つを選択するように、プロセッサ104を構成する。それに加えて、本明細書における1つの例示の態様では、スイッチデバイス102は、用いられる特定の実施形態に応じて、例えば、レンズ系の1つ以上の構成要素、励起レーザー、又は他の要素など、カメラ100の少なくとも1つの要素を構成(例えば、再配置)することができる。スイッチデバイス102は、手動又は自動のどちらかで制御することができる。
【0026】
スイッチデバイス102が3−Dイメージングモードに設定されると、カメラ100は3−Dイメージングモードで動作し、プロセッサ104は、後述するような方式で、例えばオブジェクト8の少なくとも表面7を表す、3−Dイメージングデータを取得することができる。スイッチデバイス102がう蝕検出モードに設定されると、カメラ100はう蝕検出モードで動作し、プロセッサ104は、後述するような方式で、オブジェクト8のう蝕症の場所を表すう蝕検出データセットを取得することができる。
【0027】
特に、カメラ100は、例えば、3−Dイメージングモード及びう蝕検出モードの両方を行うための光学素子を収容した単一の自己充足型デバイスで、それらのモードを行うことができ、それによって、3−Dイメージングデータセット上へのう蝕検出データの位置合わせ及びマッピングが単純化される。本明細書における例示の一実施形態では、3−Dイメージングモード及びう蝕検出モードはそれぞれ、オブジェクト8がカメラ100の視野内にある状態で、及び、データセット間におけるカメラの何らかの空間移動が、直ぐにマッピングされる結果のデータセットに及ぼす影響が無視できる程度であるような高速収集速度で、オブジェクト8の3−Dイメージングデータセット及びう蝕検出データセットを取り込む。当然ながら、1つ以上の画像を得ることができる。本明細書における別の例示の実施形態では、3−Dイメージングモードとう蝕検出モードとの間でカメラ100が行う任意の相対的な動きは、加速度計などの動き検出デバイス(図示なし)によって検出され、検出された動きは、マッピングデバイス106によるデータセットの精密な位置合わせ及びマッピングが可能になるように補正される。例示の一実施形態では、かかる検出及び補正は、「三角法を使用する歯科用3Dカメラを用いた三次元オブジェクトの光学走査の方法及びデバイス(Method and Device for Optical Scanning of Three−Dimensional Objects by Means of a Dental 3D Camera Using a Triangulation Method)」という名称の、Pfeifferらによる2012年12月18日発行の米国特許第8,334,894号に記載されているように行われる。米国特許第8,334,894号は、全体が本明細書にて説明されているものとしてその全体を参照により本明細書に組み込む。
【0028】
プロセッサ104は全てのデータセットをマッピングデバイス106に提供する。マッピングデバイス106は、本明細書における例示の一実施形態では、1つ以上のマッピング方法を用いることによって、二次元う蝕検出データセットを3−Dイメージングデータセット上に重ねる。例示の一実施形態では、デバイス106は、全体が本明細書にて説明されているものとしてその全体を参照により本明細書に組み込む、P.Shirleyによる、「コンピュータグラフィックスの基礎(Fundamentals of Computer Graphics)」(A K Peters/CRC Press、2009年、252〜253ページ)という名称の刊行物に記載されているような、マッピング方法を用いる。この例示の実施形態によれば、マッピングデバイス106は、最初に、う蝕検出データセットを(u,v)などの座標系と関連付けてテクスチャマップを作成し、3−Dイメージングデータセットをアンラップして、頂点、縁、及び面を有する二次元多角形メッシュを作成する。マッピングデバイス106は、次に、二次元多角形メッシュをテクスチャマップ上で位置合わせし、(u,v)座標をメッシュの頂点に割り当てる。(u,v)座標が割り当てられた二次元多角形メッシュを、次に三次元モデルへと組み立て直し、モデルの頂点に割り当てられた(u,v)座標に基づいて、テクスチャマップのピクセルを三次元モデル上に重ねることによって診断レンダリングを作成する。当然ながら、他のタイプのマッピングを代わりに用いることができる。
【0029】
診断レンダリングは、ディスプレイ108上でユーザに対して表示される。本明細書におけるいくつかの実施形態では、デバイス102〜108の1つ以上をカメラ100の一部として含めることができるが、図示される例示の実施形態ではそれらは別々に示されている。また、いくつかの例示の実施形態では、デバイス102〜108の1つ以上を単一の処理系(例えば、マイクロプロセッサ)に含めることができるが、図示される例示の実施形態ではそれらは別々に示されている。
【0030】
次に、本明細書における例示の一実施形態における、注目オブジェクト8(例えば、1つ以上の歯)が撮像されるのと併せて使用される3−Dイメージング及びう蝕検出カメラ200を示す、図2を参照する。カメラ200は、図1のカメラ100をより詳細に表す例であり得る。図2に示される例示の実施形態によれば、3−Dイメージングモードは位相シフト三角法を用いて提供され、う蝕検出モードは、後方散乱構成で動作する、透視技術を用いて提供される。
【0031】
位相シフト三角法の例は、J.Pfeifferらによる、「Dreidimensionale Optische Vermessung von Zahnen」(Technisches Messen:Sensoren,Gerate,Systeme[計測学:センサ、デバイス、システム]、1996年6月、254〜26ページ)という名称の出版物、「特に歯科用の表面構造を記録する3−Dカメラ(3-D camera for Recording Surface Structures, in Particular for Dental Purposes)」という名称の、Pfeifferらによる2005年4月26日発行の米国特許第6,885,464号、並びに、「カスタム形状のインプラントを作製するための方法及び装置(Method and Apparatus for the Fabrication of Custom-Shaped Implants)」という名称の、Moermannらによる1986年3月11日発行の米国特許第4,575,805号に記載されており、全体が本明細書にて説明されているものとしてそれらの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0032】
図2を参照すると、投影光路1は、光源3によって生成することができる、光線群2によって規定される。例えば、光源3はLED(又は他の光源)を含むことができる。投影光路1は、例示の一実施形態では、光線群2の断面積及び強度に関する平均を形成するビームである、中心ビーム(centroid beam)によって表される。より正確には、光線群の断面における中心ビームの位置は、それぞれの光強度で重み付けした断面点座標を平均することによって得られる。均一な強度及び円形状を有する光線群では、中心ビームは円の中心を通過する。
【0033】
投影光路1の光線群2は、絞り4を通過してプリズムチューブ5に入り、次にそこから光線群が、プリズム6によって偏移された後、プリズムチューブ5の長手方向軸線に対して所定の角度で、オブジェクト8に向かって出てくる。中心ビームによって表される、プリズム6を介してプリズムチューブ5から出てくる光線群は、測定されるオブジェクト8(例えば、患者の歯)の少なくとも1つの表面7に突き当たり、そこで後方散乱する。
【0034】
後方散乱した光線群2は観察光路9に沿って進む。観察光路9の中心ビームは表面7と交差し、三角測量角度と呼ばれる角度αは投影光路1と観察光路9との間に含まれる。注目オブジェクト8によって後方散乱した光は、プリズム6を介して観察光路9に沿って再び偏移され、プリズムチューブ5及び第2の絞り10を通して、イメージセンサ11(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサなど)に送達される。イメージセンサ11としては、例えば、ピクセルセンサのアレイが挙げられる。例示の一実施形態では、イメージセンサ11はカメラ200内に配設される。別の例示の実施形態では、イメージセンサ11及び/又は光源3はカメラ200外部のユニット内に配設され、ユニット及びカメラ200は光ガイド(図示なし)によって光学的に接続される。イメージセンサ11は、受信した光信号をオブジェクト8の二次元画像に変換し、それが次にプロセッサ(図1のデバイス104など)に送達される。
【0035】
3−Dイメージングモードの間、位相シフト三角法のため、回折格子12を投影光路1に挿入することができる。回折格子12は、上述したように、一例では操作者によって手動で、又は別の例では、スイッチデバイス102の制御下にあるプロセッサ104の制御によって挿入することができる。あるいは、機械的な回折格子の代わりに、基準パターンを生成するためにLCD素子を用いることができる。
【0036】
回折格子12は、圧電アクチュエータ13によって、回折格子のラインに垂直な方向に移動することができる。回折格子12は、回折格子の画像が表面7上に投影されて、平行な縞のパターンなどの基準パターンを表面7上に形成するような形で、ビーム内に配置される。圧電アクチュエータ13を起動することによって、回折格子12は、1つの非限定例では、回折格子のラインに垂直な方向で周期的に動かされ、それに対応して基準パターンが、例えば表面7を横切って周期的に移動する。回折格子が移動するサイクルの間に周期的に、イメージセンサ11は、例えば、表面7上における基準パターンの4つの連続画像を収集する。一例では、1つの移動サイクルで4つの画像が収集されるので、画像は、例えば、表面7における基準パターンの0°、90°、180°、及び270°の位相シフトに対応する。これらの二次元画像は、次にプロセッサ104によって、オブジェクトの第三次元、即ち表面7の高さに関する情報を計算するのに使用される。一例では、これは、最初に0°位相シフトに対する画像と180°位相シフトに対する画像との間の差を取り込んで、0°〜180°画像を作成することによって行われる。同様に、90°及び270°の画像間の差によって、90°〜270°画像を作成する。0°〜180°画像及び90°〜270°画像の対応するピクセルで記憶された値を、複素数の実部及び虚部それぞれに対応させて示すことができる。この複素数の位相角は、その結果、対応するピクセルの表面7の高さに比例し、対応するピクセルそれぞれに対してこの位相角を計算することによって、位相角画像を作成することができる。3−Dイメージングデータセットは、少なくとも1つの位相角画像から作成される。
【0037】
う蝕検出モードの間、回折格子12は投影光路1内に存在しなくてもよい。本明細書における例示の一実施形態によれば、回折格子12は投影光路1に含まれず、又はそこから制御可能に除去することができる。あるいは、別の例示の実施形態によれば、光線2は、投影光路1に挿入されたミラー又はプリズム(図示なし)の配列によって回折格子12の周りで方向転換されるが、別の方法では、図2に示されるように同じ経路を辿る。回折格子12は投影光路1から除去することができ、一例では操作者によって手動で、あるいは別の例では、スイッチデバイス102の制御下にあるプロセッサ104の制御によって、ミラー又はプリズムの配列を投影光路1に挿入することができる。
【0038】
本明細書における例示の一実施形態では、破線1’によって表されるように中心ビームを投影光路1内で上にシフトさせるように、3−Dイメージングモード中の使用に合わせて、絞り4を下側領域で覆うか又は陰にすることができる。結果的に、観察光路もシフトされる(図示なし)。絞り4が部分的に覆われた投影光路1’のおかげで、角度α’によって表されるように、三角測量角度’αが低減される。三角測量角度を変更して、投影及び/又は観察光路の中心ビームの変更をもたらすことによって、有利には、カメラ100のコンパクトな構造を維持したまま、オブジェクト8の大きな高さの差が存在する場合の明白な測定が可能になる。う蝕検出モードの間、一例では、絞り4は完全に開かれるので、光線群2はどの部分も覆われたり陰になったりしない。
【0039】
スイッチデバイス102がう蝕検出モードに設定されるとき、カメラ100及びプロセッサ104は透視う蝕検出を行うように構成される。光源3は、例示の1つの態様では、3−Dイメージングモードの間利用される強度に比べて高い強度を有するように構成される。光源3はまた、約1300nm〜約1460nmの波長など、透視う蝕検出に特に有利な波長を出力する能力を有してもよいが、これらの例は非限定的である。イメージセンサ11は、一例では、広いダイナミックレンジを有することができる。例えば、イメージセンサ11のダイナミックレンジを増大するため、光検出器に基づくイメージセンサ11の積分時間は、3−Dイメージングモードの間利用される積分時間に比べて増加される。また、イメージセンサ11は、十分な高い容量を有することができるので、3−Dイメージングモードによって利用されるのはダイナミックレンジの一部分のみであり、残りのダイナミックレンジはう蝕検出モードに利用可能である。プロセッサ104は、イメージセンサ11から取得した画像を解析し、それによってう蝕検出データセットを作成する。本明細書における例示の一実施形態では、う蝕検出データセットは、う蝕症を検出し診断するのに有用な、患者の歯のグレースケール画像を含む。例えば、う蝕症は、脱灰してう蝕に影響された歯構造の部分内における光散乱の増加により、グレースケール上の白点として現れる場合がある。
【0040】
言及した図面に描写されているもの以外の光学素子を用いることもできるが、便宜上、それらについては説明しない。用いることができる様々な光学素子の例は、Pfeiffer,J.らによる、「Dreidimensionale Optische Vermessung von Zahnen」という名称の上述の出版物の257ページ及び図6、及び上述の米国特許第6,885,464号、並びに上述の米国特許第4,575,805号に記載されている。
【0041】
本実施形態の説明を考慮して理解できるように、3−Dイメージングモード及びう蝕検出モードは両方とも、同じ単一のカメラ200を使用して実施することができる。結果として、3−Dイメージングデータセット及びう蝕検出データセットは、マッピングデバイス106によって容易に組み合わせ、上述のように、診断レンダリングとしてディスプレイ108上でユーザに対して提示することができる。
【0042】
図3に示される別の例示の実施形態によれば、3−Dイメージングモードは色分け3−D三角法を用いて提供され、う蝕検出モードは光誘導蛍光定量技術を用いて提供される。
【0043】
次に図3を参照すると、カメラ300がオブジェクト8と共に示されている。カメラ300は、例示の一実施形態では、図1のカメラ100を形成することができる。投影光路1は、光源3によって生成することができる、色パターンでコード化された光の投影を表す。本明細書における例示の一実施形態では、光源3は、例えば赤、緑、及び青など、少なくとも三色のLEDを含むことができる。全体が本明細書にて説明されているものとしてそれらの全体を参照により本明細書に組み込む、「三次元表面座標を決定する方法(Method for Determining Three-Dimensional Surface Coordinates)」という名称の、Hoffmannによる2004年11月2日発行の米国特許第6,813,035号、並びに「オブジェクトを三次元検出する方法及びデバイス、並びにそのデバイス及び方法の使用(Method and Device for Three-Dimensionally Detecting Objects and the Use of This Device and Method)」という名称の、Forsterらによる2008年6月17日発行の米国特許第7,388,678号に記載されているように、三色のLEDを組み合わせることによって、例えば、投影光路1に対して、黒、青、緑、シアン、赤、マゼンタ、黄、及び白を含む少なくとも八色の光線を生成し、堅牢な三角法のため、識別可能な標識を有する色パターンをオブジェクト8の表面7上に投影することが可能である。本明細書における別の例示の実施形態では、光源3は、例えば青など、単色のみを生成してもよい。青色LEDが、青色を有する光源3として用いられてもよく、又は、本明細書における別の例示の実施形態では、光源3は、投影光路1内の単色光を生成し、その光が370nmの波長を有する、複数色の光源であってもよい。
【0044】
光源3によって提供される色パターンでコード化された光は、投影光路1を辿り、図1及び図2に関して上述したのと実質的に類似した方式で、オブジェクト8の表面7から観察光路9に沿ってイメージセンサ11へと後方散乱される。三角測量角度αは、投影光路1と観察光路9との間で形成される。上述の実施形態と同様に、イメージセンサ11及び/又は光源3は、一例ではカメラ300内に配設されてもよく、又は別の例では、光ガイド(図示なし)によってカメラに接続される、カメラ300外部のユニット内に配設されてもよい。
【0045】
図1と併せて図3を参照すると、イメージセンサ11は、受信した光信号を二次元画像に変換し、それが次にプロセッサ104(図1)に送達される。本明細書における例示の一実施形態では、イメージセンサ11は、例えばCCD又はCMOSセンサなど、赤色光、緑色光、又は青色光のいずれかに対する感度をそれぞれ持つピクセルセンサのアレイを有する、固体撮像デバイスであってもよい。例えばロングパスフィルタなど、約370nmの波長を減衰し、540nm超の波長を伝達する光学フィルタ17が、観察光路9に差し挟まれてもよい。
【0046】
スイッチデバイス102(図1)が3−Dイメージングモードに設定されると、光学フィルタ17は観察光路9から除去される。これは、一例では操作者によって手動で、又は別の例では、スイッチデバイス102の制御下にあるプロセッサ104の制御によって行うことができる。プロセッサ104は、上述したような既知の方式で、イメージセンサ11によって提供された二次元画像を解析して、オブジェクト8の三次元、即ち表面7の高さに関する情報を計算し、高さ画像(例えば、3−D画像)を取得する。3−Dイメージングデータセットを1つ以上の高さ画像から作成することができる。
【0047】
スイッチデバイス17がう蝕検出モードに設定されると、スイッチデバイス102は、後述するように、光源3、光学フィルタ17、イメージセンサ11、及びプロセッサ104のうち少なくとも1つを構成する。例示の一実施形態では、光源3は、歯エナメル質の蛍光を誘導する励起光を提供するため、例えば約370nmの波長の青色光を放射するが、この例は非限定的である。
【0048】
う蝕検出モードの場合、イメージセンサ11が歯エナメル質から放射される蛍光光を主に検出するように、青色励起光は、光学フィルタ17によって観察光路9から除去されてもよい。本明細書における例示の一実施形態では、光学フィルタ17は、一例では操作者によって手動で、又は別の例ではスイッチデバイス102の制御下にあるプロセッサ104を用いて、観察光路9に挿入される。あるいは、光学フィルタ17を通して観察光路9を方向転換するため、ミラー又はプリズム(図示なし)の配列が観察光路9に挿入されてもよい。本明細書における例示の一実施形態では、イメージセンサ11は、例えば、540nm超の波長に対してのみ感度を持つので、光学フィルタ17がカメラ300内で用いられるか否かにかかわらず、イメージセンサ11の赤及び緑のピクセルセンサからのデータのみをプロセッサ104に対して出力する。プロセッサ104は、イメージセンサ11によって提供される二次元画像を解析し、それによって、上述したのと類似の方式でう蝕検出データセットを取得する。
【0049】
本明細書における例示の一実施形態では、歯エナメル質から検出される蛍光光の強度の差は、う蝕症を示すことができ、う蝕症の検出及び診断を可能にすることができる。脱灰したう蝕歯エナメル質では励起及び蛍光光の散乱が増加するため、例えば、370nmの波長を有する励起光に晒されると、う蝕歯エナメル質は健康な歯エナメル質と比べて強度が弱い蛍光を発する。したがって、蛍光強度が低減した範囲は、う蝕症が存在することを示すことができる。
【0050】
特に、図3の実施形態では、色パターンコード化三角法による3−Dイメージング、及び光誘導蛍光定量法によるう蝕検出の両方に有用である光源3及びイメージセンサ11が、同じカメラ300内に含まれる。結果として、3−Dイメージングデータセット及びう蝕検出データセットは、マッピングデバイス106によって容易に組み合わせ、上述のように、診断レンダリングとしてディスプレイ108上でユーザに対して提示することができる。
【0051】
図4に示される別の例示の実施形態によれば、3−Dイメージングモードは平行共焦点イメージングを用いて提供され、う蝕検出モードは光誘導蛍光定量技術を用いて提供される。図4では、カメラ400がオブジェクト8と共に示されている。カメラ400は、例示の一実施形態では、図1のカメラ100を形成することができる。
【0052】
平行共焦点システムの例が、「共焦点顕微鏡法の原理に基づく高速測定デバイス及び方法(High-Speed Measuring Device and Method Based on a Confocal Microscopy Principle)」という名称の、Pfeifferによる2009年9月1日発行の米国特許第7,582,855号、並びに「光線のアレイの共焦点合わせによる三次元構造のイメージング(Imaging a Three-Dimensional Structure by Confocal Focussing an Array of Light Beams)」という名称の、Babayoffらによる2004年2月24日発行の米国特許第6,697,164号に記載されており、全体が本明細書にて説明されているものとしてそれらの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0053】
図4を参照すると、光源3は光路401内の光線を生成する。例示の一実施形態では、光源は単色光を放射することができる。本明細書における別の例示の実施形態では、光源は白色光を放射することができる。例えば、白色光は、一部には、約370nmの波長を含んでもよい。光源3が370nmの波長を含む光を放射しない別の実施形態では、う蝕検出モードの間、光源3は任意に使用不能にされてもよく、一例では操作者によって手動で、又は別の例では、スイッチデバイス102の制御下にあるプロセッサ104を用いて、約370nmの波長を含む光を放射する第2の光源3’が提供される。第2の光源3’から放射される光は、例えばビームスプリッタ403などの方向転換メカニズム403によって、経路401内へと方向付けられる。
【0054】
いずれの場合も、経路401内を伝播したビームは、イメージング光学素子402を通過し、次に開口アレイ404を通過して、投影光路1’によって表される光線のアレイ412を形成する。イメージング光学素子402は、例えば、ビームを拡大して開口アレイ404をより十分に照明する、ビーム拡大器であってもよい。開口アレイ404は、例えば、回折格子、孔開きボード、又はマイクロレンズアレイであってもよい。経路401内を伝播したビームを、経路1’に沿って伝播する光線のアレイ412に転換することによって、例えばラスタ走査によって、カメラを走査することなく平面画像を取得するメカニズムが得られる。
【0055】
光線アレイ412は、1’に沿って伝播し、例えばビームスプリッタ又は部分透過ミラーなどの偏向メカニズム406を通過し、そのメカニズムは受信した光を投影光路1’に沿って伝達するが、反対方向で移動する光は反射する。光線アレイ412は次に、交換光学素子408を通して投影光路1’に沿って進み続け、リレー光学素子410に沿ってカメラの長さを下流に伝達され、プリズム6によってカメラ400の外に方向付けられ、オブジェクト8の表面7に衝突し、そこから後方散乱する。交換光学素子408は、3−Dイメージングモードを可能にする光学素子(例えば、図4aに表されるような、走査共焦点光学素子408a)、及び/又はう蝕検出モードを可能にする光学素子(例えば、図4bに表されるような、長被写界深度光学素子408b)を含むことができる。どのタイプの光学素子が光学素子408に用いられるかは、本明細書における例示の一実施形態では、走査共焦点光学素子(例えば、408a)を光路内に再配置し、長被写界深度光学素子(例えば、408b)を光路外に再配置することによって、又はその逆によって、あるいは別の例示の実施形態では、ミラー又はプリズム(図示なし)の配列を挿入して、走査共焦点光学素子(例えば、408a)又は長被写界深度光学素子(例えば、408b)のどちらかを通して光路を方向転換することによって、選択することができる。上述した例示の実施形態では、交換光学素子408の再配置、及びミラー又はプリズムの配列の挿入は、一例では操作者によって手動で、又は別の例では、スイッチデバイス102の制御下にあるプロセッサ104を用いて行われてもよい。
【0056】
後方散乱光を再び参照すると、後方散乱光は、カメラ400を通って観察光路9に沿って戻り、プリズム6によって再び偏移されて、リレー光学素子410及び交換光学素子408を通過して偏向メカニズム406に向かう。後方散乱光は、偏向メカニズム406によって経路9’に沿って偏移され、受信器光学素子416及び開口マトリックス418を通ってイメージセンサ11に至る。例示の一実施形態では、受信器光学素子416としては、例えば、後方散乱光の断面が開口マトリックス418を十分に照明すると共にそれと一致するような方式で後方散乱光を転換する、レンズ又は複数のレンズが挙げられる。例示の一実施形態では、開口マトリックス418はピンホールのアレイであってもよい。例えばCCD又はCMOSセンサなど、ピクセルセンサのアレイを有するイメージセンサ11は、受信した光線のアレイを二次元画像に変換し、それが次にプロセッサ104に送達される。例示の一実施形態では、開口マトリックス418の各開口は、図1のイメージセンサ11の1ピクセルに相当する。
【0057】
上述の実施形態と同様に、イメージセンサ11及び/又は光源3は、一例ではカメラ400内に配設されてもよく、又は別の例では、光ガイド(図示なし)によってカメラに接続される、カメラ400外部のユニット内に配設されてもよい。
【0058】
図4aは、スイッチデバイス102が3−Dイメージングモードに設定されているときの図4の実施形態を示す。上述したように、3−Dイメージングモードでは、図4の交換光学素子408は図4aの走査共焦点光学素子408aである。走査共焦点光学素子408aは、光線のアレイ412の各ビームを同じ焦点距離に集束させることによって、焦点面414(図4a)を規定し、カメラ400とオブジェクト8との間に提供される投影光路の一部として規定されるZ軸に沿って配設された焦点面414を、走査範囲全体にわたって平行移動させる。走査共焦点光学素子408aは、単なる例として、モータにリンクされた可動のテレセントリック共焦点光学素子であってもよい。光学素子408aに用いることができる様々なタイプの光学素子の例が、上述の米国特許第7,582,855号、並びに「共焦点顕微鏡の光学系(Optical System for a Confocal Microscope)」という名称の、Bernerによる2010年4月8日公開の米国特許出願公開第2010/0085636号に記載されており、全体が本明細書にて説明されているものとしてその全体を参照により本明細書に組み込む。
【0059】
3−Dイメージングモードの間、投影光路1’からの光線のアレイ412は、表面7が平らであってもなくてもよい、オブジェクト8の表面7に突き当たる。焦点面414でオブジェクト8の表面7に突き当たるビーム412は焦点が合っているが、焦点面以外の場所で表面7に突き当たるビームは焦点が合っていない。後方散乱した合焦点ビームは、(デバイス6、410、408a、及び416を用いて伝播した後)開口マトリックス418でも焦点が合っており、イメージセンサ11へと通過する。焦点外れビームから到達する後方散乱光は、(デバイス6、410、408a、及び416を用いて伝播した後)開口マトリックス418によって減衰され、その結果、イメージセンサ11における合焦点ビームよりも検出強度が低くなる。結果として、合焦点ビームはイメージセンサ11において、減衰した焦点外れビームよりも比較的高い強度を有し、任意の所与の焦点面414におけるオブジェクト8の表面7の形状は、イメージセンサ11が検出する合焦点光線から判定することができる。走査共焦点光学素子408aは、焦点面414を平行移動させることによって走査範囲を通って走査するので、図1のプロセッサ104は、イメージセンサ11によって提供される二次元画像を、走査した範囲の各焦点面から編集する。プロセッサ104は、編集された二次元画像を解析して各ピクセル位置における最も高い強度を有する画像を見つけ出し、高さ画像の対応するピクセル位置における、その最も高強度の画像の対応するZ軸位置を格納することによって、高さ画像を作成する。Z軸位置を格納することによって、高さ画像を作成する。3−Dイメージングデータセットは、少なくとも1つの高さ画像から作成される。
【0060】
図4bは、スイッチデバイス102がう蝕検出モードに設定されているときの図4の実施形態を示す。上述したように、う蝕検出モードでは、図4の交換光学素子408は図4bの長被写界深度光学素子408bであってもよい。長被写界深度光学素子408bは、投影光路1及び1’並びに観察光路9及び9’内にある他の光学素子を補完する形で動作し、それによってカメラ100は、例えば、固定の焦点距離と、走査共焦点光学素子408aを用いた3−Dイメージングモードで動作するカメラ100の走査範囲以上の被写界深度とを有する。したがって、カメラ100の他の光学素子との相互作用により、カメラ100が、上述したような固定の焦点距離及び被写界深度を有する限り、長被写界深度光学素子408b自体が実際の長被写界深度特性を有する必要はない(ただし、いくつかの実施形態ではかかる特性を有してもよい)。長被写界深度光学素子408bはまた、例えば、波長依存の透過特性を、より具体的には、約370nm〜約800nmの波長に対する高い透過率を有することができる。本明細書における例示の一実施形態では、長被写界深度光学素子408bとしては、テレセントリック共焦点光学素子408a、及び観察光路9内の小径開口が挙げられるが、本発明の範囲はその例のみに限定されない。被写界深度は焦点距離と開口径との比の関数なので、走査共焦点光学素子の走査範囲以上の被写界深度を提供する、開口径を選択することができる。カメラ100のより長い被写界深度を得るために、どの程度開口径を低減してもよいかは、実際には、イメージセンサ11まで伝達される光の量の減少、及び回折の増加など、開口径を低減することによる他の結果によって限定される。
【0061】
う蝕検出モードでは、オブジェクト8の表面7としては、例えば歯エナメル質を挙げることができる。本明細書における例示の一実施形態では、光源3は、少なくとも部分的に、例えば約370nmの波長を有する青色光を放射する。青色光がオブジェクト8の表面7に突き当たることによって、オブジェクト8に含まれる歯エナメル質が、約540nm以上の波長を有する蛍光光を放射してもよい。蛍光光は、オブジェクト8から後方散乱する光源3からの光と共に、観察光路9に沿ってカメラ400に入る。
【0062】
う蝕検出モードでは、青色光は観察光路9’から除去されてもよいので、イメージセンサ11は歯エナメル質から放射される蛍光光を主に検出する。例えばロングパスフィルタなど、約370nmの波長を減衰し、540nm超の波長を伝達する光学フィルタ17は、一例では操作者によって手動で、又は別の例では、スイッチデバイス102の制御下にあるプロセッサ104を用いて、イメージセンサ11の前で観察光路9’に差し挟まれてもよい。例示の一実施形態では、光学フィルタ17を通して光路9’内のビームを方向転換するため、ミラー又はプリズム(図示なし)の配列が観察光路9’に挿入されてもよい。
【0063】
イメージセンサ11に到達する光は二次元画像に変換され、それが次に、上述した用に、図1のプロセッサ104によって解析される。本明細書における例示の一実施形態では、歯エナメル質から検出される蛍光光の強度の差は、う蝕症を示すことができ、う蝕症の検出及び診断を可能にすることができる。上述したように、蛍光強度が低減した歯エナメル質の範囲は、う蝕症が存在することを示すことができる。
【0064】
特に、平行共焦点イメージングによる3−Dイメージング、及び光誘導蛍光定量法によるう蝕検出の両方に有用である同じ光源3及びイメージセンサ11が、同じカメラ400内に含まれる。図4と併せて図1を参照すると、カメラ400は、データをプロセッサ104に提供して3−Dイメージングデータセット及びう蝕検出データセットの両方を作成し、それを次に、上述したように、マッピングデバイス106によって容易に組み合わせ、診断レンダリングとしてディスプレイ108に表示することができる。
【0065】
やはり重要なのは、可変の焦点距離を有する3−Dイメージングモードの共焦点光学素子408a、及び固定の焦点距離を有するう蝕検出モードの長被写界深度光学素子408bが両方とも、同じカメラ400で使用可能な点である。
【0066】
本実施形態の上述の説明を考慮すると、3−Dイメージングモード及びう蝕検出モードは両方とも、同じ単一のカメラ400を使用して実施することができ、3−Dイメージングデータセット及びう蝕検出データセットはマッピングデバイス106によって容易に組み合わせることができることを理解することができる。
【0067】
次に別の例示の実施形態について記載する。この例示の実施形態は、本実施形態では3−Dイメージングモードが図5に示されるようなクロマティック共焦点イメージングを用いて提供される点を除いて、上述し図4に例証した実施形態に類似している。特に、本実施形態は、3−Dイメージングモードを可能にする交換光学素子408が、例えば図5のクロマティック共焦点光学素子508aであってもよい点を除いて、上述し図4に例証した実施形態と同じ構成要素を使用してもよい。この例示の実施形態のう蝕検出モードは、図4bに示される実施形態において上述したような光誘導蛍光定量技術を用いて提供される。
【0068】
図4を参照すると、光源3はビーム401を生成する。好ましくは、光源3は多色性の白色光を放射する。光は、上述したようなデバイス402、404、406、408、410、及び6を用いて、投影光路1’を伝播する。光は、オブジェクト8の表面7から後方散乱し、デバイス6、410、408、406、416、及び418を用いてカメラ400を通って伝播して、イメージセンサ11に達する。
【0069】
図5は、スイッチデバイス102が3−Dイメージングモードに設定されている例示のケースを示す。上述したように、3−Dイメージングモードでは、図4の交換光学素子408は図5のクロマティック共焦点光学素子508aであってもよい。クロマティック共焦点光学素子508aとしては、例えば、回折光学素子、屈折光学素子、又は回折光学素子と屈折光学素子との組み合わせが挙げられる。クロマティック共焦点光学素子508aは、そこを通過する光線のアレイ412の各ビームに対して軸方向の色分散を付与して、カメラ400の外部で投影光路1’の一部として規定されるZ軸に沿って配設される、λ1焦点520、λ2焦点522、及びλ3焦点524によって例示される、波長でコード化された連続する焦点を規定することができる。
【0070】
図5の挿入図を参照すると、3−Dイメージングモードの間の、光線のアレイ412の単一ビームに対するクロマティック共焦点原理の例が、本明細書に提示される。表面7が平らであってもなくてもよいオブジェクト8の表面7は、ビームの波長でコード化された連続する焦点内に位置付けられてもよい。クロマティック共焦点光学素子508aによってビームに付与される色分散により、ビームの1つの特定の成分波長λ2 526のみが、λ2焦点522においてオブジェクト8の表面7に焦点が合っている。
【0071】
次に図5全体を参照すると、ビームが(デバイス6、410、508a、406、及び416を用いて)後方散乱し、観察光路9及び9’を辿るにつれて、合焦点波長λ2は開口マトリックス418で焦点が合い、イメージセンサ11のピクセルセンサまで通過する。他の波長は焦点が合っておらず、開口マトリックス418によって減衰され、その結果、イメージセンサ11におけるそれらの波長の強度が波長λ2よりも低くなる。イメージセンサ11のピクセルセンサは、例えば、光源3によって放射される波長の範囲に対して、又は別の例では、波長でコード化された連続する焦点に対応する波長範囲に対して感度を持つことができる。イメージセンサ11は、例えば、検出された光強度を各ピクセルにおける波長の関数として表すものを含む二次元画像を、図1のプロセッサ104に対して提供する。波長はZ軸に沿った位置に相関するので、図1のプロセッサ104は、イメージセンサ11のピクセルセンサで受信した後方散乱光の空間解析を行うことによって、ビーム内におけるオブジェクト8の表面7の位置を判定することができる。空間解析は、例えば、最も高い相対強度を有する後方散乱光の波長成分を判定することを含んでもよいが、この例は非限定的である。同じ原理を、イメージセンサ11のピクセルセンサに各ビームが対応する、光線のアレイ412全体にわたって適用して、図1のプロセッサ104が、対応する各ピクセルにおけるZ軸に沿ったオブジェクト8の表面7の位置を格納する、高さ画像を取得できるようにすることができる。3−Dイメージングデータセットは、1つ以上の高さ画像から作成することができる。
【0072】
う蝕検出モード、及びう蝕検出データセットを取得する方法は、上述し図4bに例証した一実施形態に類似している。う蝕検出データセットを、3−Dイメージングデータセット上に重ねて、図1のマッピングデバイス106によって組み合わされたデータセットを形成することができる。う蝕検出データセットが重ねられた3−Dイメージングデータセットは、上述したように、図1のディスプレイ108によって診断レンダリングとしてユーザに提示することができる。
【0073】
特に、クロマティック共焦点イメージングによる3−Dイメージング、及び光誘導蛍光定量法によるう蝕検出の両方に有用である同じ光源3及びイメージセンサ11を、同じカメラシステム内で組み合わせることができる。
【0074】
やはり重要なのは、焦点が合った色分散を生成する3−Dイメージングモードのクロマティック共焦点光学素子508a、及び固定の焦点距離を有し、分散をほとんど又は全く有さない、う蝕検出オードの長被写界深度光学素子408bが両方とも、同じカメラシステム内で交換可能に組み合わされる点である。
【0075】
本実施形態の上述の説明を考慮すると、3−Dイメージングモード及びう蝕検出モードは両方とも、同じ単一のカメラ400を使用して実施することができ、3−Dイメージングデータセット及びう蝕検出データセットはマッピングデバイス106によって容易に組み合わせることができることを理解することができる。
【0076】
本明細書における例示の一実施形態では、図1に示されるシステムの少なくとも一部の構成要素(カメラ100及びオブジェクト8以外の全ての構成要素など)が、コンピュータシステムを形成するか、又はそれらをコンピュータシステムに含めることができる。コンピュータシステムは少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(例えば、中央処理装置又は多重処理装置)を含み、それがデバイス102〜106の少なくとも1つ以上を含んでもよい(あるいは、それらのデバイスの1つ以上はコンピュータプロセッサとは別個であることができる)。コンピュータプロセッサは、通信基盤(例えば、通信バス、クロスオーバーバーデバイス、又はネットワーク)(図示なし)に接続される。
【0077】
コンピュータシステムはまた、カメラ100がイメージングモード及び/又は診断モードで動作している間、コンピュータシステムが画像の取り込みを行うことができるように、構成要素のいずれか1つを中に含むカメラ100に接続することができる。
【0078】
コンピュータシステムはまた、ディスプレイ108、又はユーザ認知可能な情報を出力する他の任意の好適なタイプのデバイスなど、出力ユーザインターフェースを含む。
【0079】
コンピュータシステムはまた、コンピュータシステムのユーザがコンピュータプロセッサに情報を送るのに使用することができる、入力ユーザインターフェースを含むことができる。例えば、入力装置としては、キーボードデバイス、表示ユーザインターフェース、スイッチデバイス102、及び/又はマウスデバイス若しくは他の入力デバイスを挙げることができる。一例では、ディスプレイ108及び入力ユーザインターフェースは、ユーザインターフェースを集合的に形成することができる。
【0080】
それに加えて、コンピュータシステムは、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、ハードディスクドライブ、及び/又は取外し可能な記憶ドライブ(例えば、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光学ディスクドライブ、フラッシュメモリドライブなど)など、1つ以上のメモリ(図示なし)を含む。取外し可能な記憶ドライブは、周知の方式で、取外し可能な記憶ユニットからの読出し及び/又はそこへの書込みを行う。取外し可能な記憶ユニットは、取外し可能な記憶ドライブへの書込み及びそこからの読出しが行われる、例えば、フロッピーディスク、磁気テープ、光学ディスク、フラッシュメモリデバイスなどであってもよい。メモリとしては、コンピュータ実行可能なソフトウェア命令及び/又はデータを記憶する、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を挙げることができる。
【0081】
1つ以上のコンピュータプログラムがメモリに記憶される。コンピュータプログラムとしては、コンピュータプロセッサによって実行されたとき、スイッチデバイス102、プロセッサ104、及びマッピングデバイス106の処理手順、並びに例えばカメラ100のイメージングモード及び診断モードにおいて画像を取り込むための処理手順、並びに/あるいは本明細書に記載する任意の処理手順をコンピュータシステムに行わせる、コンピュータ実行可能命令が挙げられる。
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図5