(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661223
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法
(51)【国際特許分類】
B29C 31/10 20060101AFI20200227BHJP
B29C 45/18 20060101ALI20200227BHJP
B29B 7/42 20060101ALI20200227BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20200227BHJP
B29C 48/285 20190101ALI20200227BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20200227BHJP
B01F 7/04 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
B29C31/10
B29C45/18
B29B7/42
B29B7/48
B29C48/285
B29C70/06
B01F7/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-201636(P2017-201636)
(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公開番号】特開2019-72959(P2019-72959A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2018年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155159
【氏名又は名称】株式会社名機製作所
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 隼人
(72)【発明者】
【氏名】林 真二
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 達哉
【審査官】
▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−159257(JP,A)
【文献】
特公昭40−005312(JP,B1)
【文献】
特開昭63−265613(JP,A)
【文献】
実開昭62−157207(JP,U)
【文献】
実開昭50−101580(JP,U)
【文献】
特開2016−047623(JP,A)
【文献】
特開2003−211438(JP,A)
【文献】
実開昭50−046766(JP,U)
【文献】
特開平04−316823(JP,A)
【文献】
特開2008−036881(JP,A)
【文献】
特開平08−025351(JP,A)
【文献】
特開平11−254499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00 − 7/94
B29C 31/00 − 31/10
B29C 45/00 − 45/84
B29C 48/00 − 48/96
B01F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料と樹脂材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給して可塑化を行う可塑化装置の材料供給装置において、
繊維材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、
樹脂材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、
材料供給孔内において回転軸に直交する側の前部が互いに対向するように設けられた複数の回転体と、
前記回転体に設けられた材料攪拌部と、
前記回転体を回転駆動する電動機とが備えられ、
前記各フィード装置から繊維材料と樹脂材料がそれぞれ供給量が制御されて材料供給孔内に供給されるとともに、
前記回転体を回転駆動して前記繊維材料と樹脂材料の攪拌を行うことを特徴とする可塑化装置の材料供給装置。
【請求項2】
繊維材料と樹脂材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給し可塑化を行う可塑化装置の材料供給装置において、
繊維材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、
樹脂材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、
材料供給孔内において回転軸が同方向に設けられた複数の回転体と、
前記回転体に設けられた材料攪拌部と、
前記回転体を回転駆動する電動機とが備えられ。
前記各フィード装置から繊維材料と樹脂材料がそれぞれ供給量が制御されて材料供給孔内に供給されるとともに、
前記回転体を回転駆動して前記繊維材料と樹脂材料の攪拌を行うことを特徴とする可塑化装置の材料供給装置。
【請求項3】
前記回転体は電動機により回転方向および回転速度が変更可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可塑化装置の材料供給装置。
【請求項4】
前記回転体の材料攪拌部は複数の羽根の間に材料保持部が設けられたインペラであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の可塑化装置の材料供給装置。
【請求項5】
繊維材料と樹脂材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給して可塑化を行う可塑化装置の材料供給方法において、
繊維材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、
樹脂材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、
材料供給孔内において回転軸に直交する側の前部が互いに対向するように設けられた複数の回転体と、
前記回転体に設けられた材料攪拌部と、
前記回転体を回転駆動する電動機とが備えられ、
前記各フィード装置から繊維材料と樹脂材料がそれぞれ供給量が制御されて材料供給孔内に供給されるとともに、
前記電動機を制御して前記回転体の回転速度または回転方向を変更して繊維材料と樹脂材料の混合の調整を行うことを特徴とする可塑化装置の材料供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給して可塑化を行う可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種の材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給して可塑化を行う可塑化装置としては特許文献1や特許文献2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1は、(実用新案登録請求の範囲)や(第2図)に記載されるように、ペレットと薬剤を攪拌混合する攪拌羽根をパルスモータで駆動するものである。また特許文献2は、(0032)や(
図4)に記載されるように、樹脂原料に対してマスターバッチが供給されると同時に攪拌羽根が回転し、原料とマスターバッチが混合されるものである。これら特許文献1、特許文献2では攪拌羽根の回転速度を制御することの記載はされていないが、特許文献1では攪拌羽根を回転駆動させるのはパルスモータであることから攪拌羽根を回転速度の制御については一定の示唆があるものとも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−157207号公報(実用新案登録請求の範囲、第2図)
【特許文献2】特開2003−211438号公報(0032、
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1や特許文献2では、複数種の材料が一つの攪拌用の回転体の回転により攪拌されるために、材料の攪拌の方向が一定方向となり、その結果複数種の材料の完全な攪拌混合ができない場合があった。また攪拌装置よりも下方への材料の落下位置に偏りが生じる場合があった。
【0006】
そこで本発明はこれらの問題に対応するものであり、複数種の材料の攪拌混合を良好にすることのできる可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法を提供することを目的とする。または攪拌混合された材料の落下位置が略均等になるようにしたり、落下位置を調整することができる可塑化装置の材料供給装置および可塑化装置の材料供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の可塑化装置の材料供給装置は、
繊維材料と樹脂材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給して可塑化を行う可塑化装置の材料供給装置において、
繊維材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、樹脂材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、材料供給孔内において回転軸に直交する側の前部が互いに対向するように設けられた
複数の回転体と、前記回転体に設けられた材料攪拌部と、前記回転体を回転駆動する電動機とが備えられ
、前記各フィード装置から繊維材料と樹脂材料がそれぞれ供給量が制御されて材料供給孔内に供給されるとともに、前記回転体を回転駆動して前記繊維材料と樹脂材料の攪拌を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に記載の可塑化装置の材料供給装置は、
繊維材料と樹脂材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給し可塑化を行う可塑化装置の材料供給装置において、
繊維材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、樹脂材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、材料供給孔内において回転軸が同方向に設けられた複数の回転体と、前記回転体に設けられた材料攪拌部と、前記回転体を回転駆動する電動機とが備えられ。
前記各フィード装置から繊維材料と樹脂材料がそれぞれ供給量が制御されて材料供給孔内に供給されるとともに、前記回転体を回転駆動して前記繊維材料と樹脂材料の攪拌を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に記載の可塑化装置の材料供給装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記回転体は電動機により回転方向および回転速度が変更可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に記載の可塑化装置の材料供給装置は、請求項2または請求項3において、前記回転体の材料攪拌部は複数の羽根の間に材料保持部が設けられたインペラであることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に記載の可塑化装置の材料供給方法は、
繊維材料と樹脂材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給して可塑化を行う可塑化装置の材料供給方法において、
繊維材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、樹脂材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、材料供給孔内において回転軸に直交する側の前部が互いに対向するように設けられた
複数の回転体と、前記回転体に設けられた材料攪拌部と、前記回転体を回転駆動する電動機とが備えられ、
前記各フィード装置から繊維材料と樹脂材料がそれぞれ供給量が制御されて材料供給孔内に供給されるとともに、前記電動機を制御して前記回転体の回転速度または回転方向を変更して
繊維材料と樹脂材料の混合の調整を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の
繊維材料と樹脂材料の可塑化装置の材料供給装置は、
繊維材料と樹脂材料を材料供給孔を介して加熱筒内に供給して可塑化を行う可塑化装置の材料供給装置において、
繊維材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、樹脂材料を材料供給孔内に供給量を制御して供給可能なフィード装置と、材料供給孔内において回転軸に直交する側の前部が互いに対向するように設けられた
複数の回転体と、前記回転体に設けられた材料攪拌部と、前記回転体を回転駆動する電動機とが備えられ
、前記各フィード装置から繊維材料と樹脂材料がそれぞれ供給量が制御されて材料供給孔内に供給されるとともに、前記回転体を回転駆動して前記繊維材料と樹脂材料の攪拌を行うので、
繊維材料と樹脂材料の攪拌混合を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の複数種の材料の可塑化装置の材料供給装置の断面図である。
【
図3】
図2のB−B線の矢視図であって、材料攪拌装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の可塑化装置の材料供給装置について
図1ないし
図3を参照して説明する。本実施形態の可塑化装置11の材料供給装置12は、炭素繊維材料Fと樹脂材料Rというように複数種の材料を加熱筒13内に供給するためのものである。また本実施形態の可塑化装置11は、複数種の材料から複合成形品を成形するための射出成形機(射出圧縮成形機を含む)の射出装置である。可塑化装置11の加熱筒13は、所定肉厚の円筒部材であり、ヒータ13aと図示しない熱電対がそれぞれ複数配設され、各ヒータ13aのゾーンごとに温度制御が可能となっている。そして加熱筒13の軸方向の中心に設けられた内孔13bには計量および射出用のスクリュ14が回転可能かつ前後進可能に配設されている。スクリュ14のフィードゾーン15を含む各ゾーンにはフライト14aが設けられ、計量時には前記フィードゾーン15に供給された炭素繊維材料Fを含む樹脂材料Rを混練・可塑化しながらスクリュ前方の内孔13b内に送って貯留し、射出時はスクリュ14の前進により前記貯留した材料を図示しない金型内のキャビティ内へ射出する役割を有する。
【0015】
加熱筒13の前方には図示しないノズルが固着されており、前記射出の際はノズルを介してキャビティへの射出がなされる。また加熱筒13の後部寄りの上部には材料を供給する材料供給孔16が設けられている。そして加熱筒13の材料供給孔16の部分の周囲には、ハウジング部17(前プレート)が固着されている。
【0016】
射出成形機の可塑化装置11である射出装置の駆動部等については公知であるので詳細な説明は省略するが、スクリュ14を回転させるための計量用サーボモータ18(計量用モータ)、スクリュ14を前後進させるための図示しない射出用サーボモータ、射出時や計量時にスクリュ14の軸方向にかかる力を検出する図示しないロードセル、射出装置全体を前後進させるとともにノズルを金型のノズルタッチ面に向けて押圧する図示しないノズルタッチ機構などが設けられている。計量用サーボモータ18と射出用サーボモータには回転数(回転角度)を検出するロータリエンコーダが備えられている。また前記計量用サーボモータ18と射出用サーボモータとそのロータリエンコーダやロードセル等は、制御装置19に接続されている。
【0017】
加熱筒13の材料供給孔16にはハウジング部17の材料供給孔20が接続されている。そして
図2に示されるように材料供給孔16の側面には供給された炭素繊維材料Fと樹脂材料Rからなる材料の貯留の有無を検出するレベルセンサ48が取付けられている。本実施形態ではレベルセンサは投光器48aと受光器48bからなる光電管式のものであるが別の種類のセンサでもよくセンサの位置も限定されない。また材料供給孔16,20の形状は、水平断面視において円形となっている。また本実施形態では材料供給孔20の形状も、水平断面視において円形となっているが、後述する2個の回転体を平面視した形状に応じて略矩形のものや楕円形のものでもよい。そしてハウジング部17の上部の材料供給孔20の周囲の部分には、材料供給装置12の材料攪拌装置21が取付けられている。
【0018】
図3に示されるように材料攪拌装置21には、回転可能な複数(本実施形態では二つ)の回転体25が設けられている。二つの回転体25は、材料供給孔22内において回転軸23に直交する前端部(前部)24が互いに対向するように設けられている。従って二つの回転体25の回転軸23はそれぞれ同方向に設けられている。そして回転体25の回転軸23には材料攪拌部26が設けられている。そして材料攪拌部26を含む回転体25は、電動機により回転速度および回転方向を制御して回転駆動可能となっている。より詳しく説明すると材料攪拌装置21の本体部27には縦方向に材料供給孔22が設けられている。また本体部27の外側には2つのサーボモータ28,29が取付けられている。サーボモータ28,29が取付けられている側は、加熱筒13内に配設されるスクリュ14の軸方向に対して直交する方向である。またサーボモータ28,29はそれぞれ制御装置19(サーボアンプを含む)と接続されている。
【0019】
そしてサーボモータ28,29の駆動軸28a,29aには、カップリング32を用いてそれぞれ回転体25の回転軸23が接続されている。なおサーボモータ28,29の駆動軸または回転軸23は本体部27に対してベアリングにより回転可能に軸保持されるようにしてもよい。本実施形態ではそれぞれの回転体25はインペラ構造のものであり、回転軸23には
図3に示されるようなインペラの攪拌羽根30が複数取付けられている。攪拌羽根30は、回転軸23から放射方向に向けて一例として4枚ないし20枚が取付けられている。そして攪拌羽根30の前端部24寄りの部分は回転軸23に対して平行となっており、根本寄りの部分が一定の傾斜角度となっている。そして攪拌羽根30と攪拌羽根30の間のポケットは材料保持部31となっている。攪拌羽根30の厚みは耐久性のある厚みであれば限定されないが一例として1〜5mmである。また攪拌羽根30の回転軸23に対して直交する側の前部は、回転軸23とは直交方向の向きの直線状の前端部24となっている。
【0020】
従って材料攪拌装置21の材料供給孔22内に2つ設けられた回転体25は、前端部24(前部)同士が僅かな間隙を隔てて互いに対向するように設けられている。この間隙については2つの回転体25が非接触状態で回転するために設けたものであるが、供給される複数種の材料によっては、一部の材料が間隙から落下可能なように寸法を設定してもよい。また回転体25の攪拌羽根30の回転軸に直交する方向の前部にも凸部や凹部を設けてもよく、凸部がある場合は回転軸23同士が一例として5〜20mm離隔させて対向するものでもよい。
【0021】
また回転体25の攪拌羽根30の側端部33と本体部27の材料供給孔22の内壁の間隙は、攪拌羽根30の側端部33が内壁に接触しない間隙であればよいが、1〜5mm程度の一部の材料が落下可能な隙間を設けてもよい。また側端部33と対向する側の材料供給孔22の内壁は、垂直面(平面)でもよく攪拌羽根30の側端部33の回転軌跡に倣って凹状の円弧面としてもよい。またこのサーボモータ28,29が取付けられていない側の本体部27の壁面は、内部の状態を監視するために透明樹脂やガラスをはめ込んでもよく、清掃等のメンテナンスを容易にするために一部を着脱や開閉可能としてもよい。更に回転体25の攪拌羽根30の後端側も回転軸23に対して直交する後端部34となっている。そして前記後端部34と本体部27の内壁は、接触しない限りにおいて僅かな間隙に設けられている。更に回転軸23と本体部27の内壁面の間も、ほぼ隙間なく形成されている。従って材料が回転体25の後端部34側に詰まったり、回転軸23と本体部27の間に入り込むことが防止されるようになっている。
【0022】
なお材料攪拌装置21の取付位置は、ハウジング部17の上部に材料供給筒が設けられ、その上部に材料攪拌装置21が取付けられたものでもよい。また平面視における材料攪拌装置21の回転体25の回転軸23の軸方向は、加熱筒13内のスクリュ14の方向に対して直交方向に限定されず、他の角度(一例として前記スクリュ14と同軸方向)であってもよい。また材料攪拌装置21全体が平面上で回転可能であって、回転軸23の取付角度が変更されるものでもよい。更に側面視における回転体25の回転軸23の取付方向は、水平方向に限定されず、一定角度(一例として水平に対して30°以内の範囲で角度を持って取付けられたものでよい。また2つの回転体25の回転軸23の設置方向はまったく同方向でなくてもよく、同方向に設置される場合も、完全に正対していないで僅かにずれて設けられたものであってもよい。即ち互いの回転体25の回転軸23に直交する側の前部同士が一部でも対向しているものであってもよい。
【0023】
更に本実施形態では材料攪拌装置21の材料供給孔22は、垂直方向に設けられているが、垂直方向に対して一定の角度(例えば45°以内の範囲)で傾斜して設けられたものでもよい。
また材料攪拌装置21の電動機については、サーボモータ28,29の他、ステッピングモータ等のクローズド制御可能な電動機でもよい。更には回転速度を制御不能な電動機でもよい。更には回転体の個数は、本実施形態のように2個が一般的だが3個以上でもよく、上下2段以上に設けられたものでもよい。
【0024】
回転体25に設けられた材料攪拌部26の形状は前記インペラの形状に限定されない。例えば回転体25の回転軸23に複数の楕円を含む円形状や角柱状の突起や平板状の板が取付けられたものでもよい。または回転軸23に押出機によく見られるような楕円形状や厚肉凸レンズ形状のニーディングデスクを複数設けたものでもよい。更には回転体25は円筒部からなり、円筒面に複数の凹部が形成されたものでもよい。更にまた回転体25としては、種々形状のスクリュやプロペラを設けたものでもよい。そして複数の回転体が前記のようなスクリュやプロペラであっても回転軸に直交する側の前部が互いに対向するように配設される。なお回転体25およびその材料攪拌部26の材質は、鉄に限定されずアルミ等の金属や熱硬化性樹脂等の樹脂でもよい。上記のように材料攪拌部26は、耐摩耗性と耐熱性を備え、材料攪拌・混合機能を備えたものであれば限定されない。また材料攪拌装置21の回転体25,25は着脱自在とし、複数種の材料に応じて適切なものに交換するようにしてもよい。
【0025】
次に材料供給装置12のフィード装置35,36について説明する。材料攪拌装置21の本体部の上部には材料供給筒部37が接続されている。そして材料供給筒部37の上方には、フィード装置35,36が設けられている。フィード装置35,36は、複数種の材料F,Rを材料供給孔22等を介して加熱筒13内に向けて供給するための装置である。なお材料供給筒部37は必須ではなく、材料攪拌装置21の本体部27に直接フィード装置35,36が取付けられたものでもよい。
【0026】
本実施形態ではフィード装置35は、第1の材料である炭素繊維材料Fの供給量を調整可能な材料供給装置であり、フィード装置36は、第2の材料である熱可塑性樹脂等の樹脂材料Rの供給量を調整可能な材料供給装置である。そして材料供給筒部37の上部開口部に、フィード装置35,36の円筒状の下部供給筒38,39が挿通されている。本実施形態では下部供給筒38,39は材料供給筒部37の材料供給孔46の中心に向けて斜め方向に設けられ、フィード装置35,36からそれぞれ落下して供給される炭素繊維材料Fと樹脂材料Rが材料供給筒部37の材料供給孔22内を通過して材料攪拌装置21の二つの回転体25であるインペラの間の部分を中心にして両方のインペラの上に混ざりながら落下されるようになっている。
【0027】
フィード装置35は、重量計測して供給量を制御可能なものであり、この材料供給筒部37の上部開口部とフィード装置35の下部供給筒38は直接接続して取付けられていない。そしてフィード装置35は別途の載置台40に重量計測手段であるロードセル41を介して載置されている。フィード装置35は、フィードスクリュ42が内孔に設けられた円筒状のスクリュ筒部43が水平方向または下流側が上方になるように設けられ、スクリュ筒部43の一方(下流側)の下側には前記下部供給筒38の部分が取付けられている。またスクリュ筒部43において下部供給筒38とは反対側の端部にはフィードスクリュ42を回転させる電動機が取付けられている。本実施形態において前記電動機はサーボモータ44である。
【0028】
そしてサーボモータ44の駆動軸に減速機等を介してフィードスクリュ42が取付けられている。またサーボモータ44は制御装置19(サーボアンプを含む)と接続されている。またスクリュ筒部43の下部供給筒38とは反対側の上部には、上部供給孔45が設けられている。そして上部供給孔45の上方には材料貯留部であるホッパ47が取付けられている。
【0029】
フィード装置36についてはフィード装置35と同様の構造の装置であり、サーボモータ44は、制御装置19に接続されている。本実施形態では同じ形状のフィード装置35,36が2つ設けられているが、フィード装置の数および種類は限定されない。一例としてフィード装置35,36は、フィードスクリュ42を設けたものに限定されず、ベルトにより材料F,R等を送るベルト式フィーダ等でもよい。またフィード装置35,36は、重量測定装置を備えていないものでもよく、その場合はフィードスクリュ42の回転量を制御することにより材料供給量を制御するものでもよい。更に本発明においてフィード装置は、材料攪拌装置21の上部に1基または複数基のホッパ式フィード装置が配置されたものでもよい。その場合、ホッパ式フィード装置の下部にあるシャッタの開閉により供給の開始および停止を行う。また上記した各種のフィード装置の数は、一つだけのものを除外しない。一つのフィード装置から複数種の材料が供給される場合であっても、供給される複数種の材料の混合度合に不足が有る場合に、本発明の材料攪拌装置21を用いて更に攪拌を行い、より一層混合度合を高めることができる。
【0030】
次に計量工程における材料供給装置12から可塑化装置11への炭素繊維材料Fと熱可塑性樹脂Rからなる材料の材料供給方法について説明する。まず最初に材料攪拌装置21のサーボモータの回転駆動を開始する。本実施形態では、サーボモータ28とサーボモータ29は制御装置19による制御により逆方向に回転され、回転体25であるインペラも逆方向に回転される。インペラの回転速度は、一例として20min
-1〜200min
-1程度が望ましい。そしてそれと同時か僅かに前後してフィード装置35,36のサーボモータ44がそれぞれ回転駆動され、炭素繊維材料Fと樹脂材料は材料供給筒部37の材料供給孔46内を略同時に材料攪拌装置21に向けて落下される。また計量工程ではフィード装置35,36の作動と同時か僅かに前後して計量用サーボモータ18が回転駆動を開始し、スクリュ14が回転駆動される。
【0031】
落下した炭素繊維材料Fと樹脂材料Rの一部は、回転するインペラの攪拌羽根30に衝突し、他の一部はそのまま攪拌羽根30と攪拌羽根30の間の材料保持部31に直接投入される。この際の攪拌羽根30の回転による位置の変動により、落下してきた炭素繊維材料Fと樹脂材料Rは、ランダムに方向が変更され、材料の攪拌が促進される。またこの際に一方のインペラに当接した材料が他方のインペラの材料保持部31に入ることも有り得る。このようにして炭素繊維材料Fと樹脂材料Rは、最終的にはいずれかの回転体25であるインペラのいずれかの材料保持部31に入り込み、各インペラの回転とともに材料攪拌装置21の下方に向けて送られ、材料供給孔20,16を介して加熱筒13内に向けて落下する。
【0032】
本実施形態では、この際に材料攪拌装置21の2つのインペラがそれぞれ逆回転されていることにより、加熱筒13の材料供給孔16内における炭素繊維材料Fと樹脂材料Rの供給位置に大きな偏りがなく、万遍無く供給される。なお本実施形態では、材料攪拌装置21の電動機にサーボモータ28,29を用いていることから、加熱筒13の材料供給孔16における複数種の材料供給の供給分布が最適になるように回転方向および回転数をそれぞれ最適に調整することができる。複数種の材料の種類によっては2つのサーボモータ28,29の回転方向は、同方向であってもよく、反対方向であってもよい。また2つのサーボモータの回転数も同じ回転数であってもよく、別の回転数であってもよい。また1回の成形サイクルの中で変化させてもよい。
【0033】
そして材料攪拌装置21を介して材料供給孔20,16内に供給され炭素繊維材料Fと樹脂材料Rの供給量がスクリュ14による加熱筒13前方への供給量よりも多くて材料供給孔20,16内に貯留された場合、レベルセンサ48により前記炭素繊維材料Fと樹脂材料Rの貯留レベルを監視する。そしてレベルセンサ48の受光器48bが受光を感知せずに炭素繊維材料Fと樹脂材料Rが貯留されたと判断された場合には、フィード装置35,36のサーボモータ44の駆動を停止して材料供給を停止する。なお飢餓成形を行う場合は、フィード装置35,36のサーボモータ44からの材料供給を更に高精度に行い、材料供給孔20,16内に炭素繊維材料Fと樹脂材料Rが貯留されないようにしてもよい。
【0034】
また本実施形態では、材料攪拌装置21の材料供給孔22の部分には常時材料が無く、落下する材料が材料攪拌装置21を通過する例について記載した。しかし回転体25の材料攪拌部26の形状やまたは複数種の材料の種類によっては、材料供給孔22内に材料を貯留した状態で、回転体25を回転させて、材料の攪拌・混合を行うものでもよい。
【0035】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、上記の各記載を組み合わせたものや当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。
【0036】
可塑化装置は、スクリュを内蔵した加熱筒を備えた可塑化装置とプランジャを内蔵した加熱筒を備えた射出装置を連結したプリプラ(登録商標)式の射出成形機であってもよい。更に可塑化装置は、プレス装置に繊維を含む溶融樹脂をダイから供給するスタンピング成形用の供給装置でもよい。更にまた可塑化装置は、押出機の可塑化装置であってもよい。
【0037】
また可塑化装置11に繊維材料を供給する場合については、炭素繊維材料Fに限定されず、ガラス繊維またはガラス繊維と炭素繊維の混合物等、他の繊維材料であってもよい。また樹脂材料Rについても、本実施形態では熱可塑性樹脂が用いられるがその種類は限定されず、熱硬化性樹脂であってもよい。このように繊維材料と樹脂材料を別々に投入する直接成形を行うことにより、繊維含有ペレットを使用した場合と比較して大幅に材料コストを低減することができる。更には本発明に用いる複数種の材料は、繊維を使用しないものでもよく限定されない。一例として無色樹脂ペレットとマスターバッチ樹脂ペレットの組合せでもよい。
【符号の説明】
【0038】
11 可塑化装置
12 材料供給装置
13 加熱筒
14 スクリュ
16,20,22,46 材料供給孔
21 材料攪拌装置
23 回転軸
24 前端部
25 回転体
26 材料攪拌部
28,29,44 サーボモータ
30 攪拌羽根
31 材料保持部
35,36 フィード装置
F 炭素繊維材料
R 樹脂材料