特許第6661255号(P6661255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 吉田化学株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6661255-フロアボード 図000002
  • 特許6661255-フロアボード 図000003
  • 特許6661255-フロアボード 図000004
  • 特許6661255-フロアボード 図000005
  • 特許6661255-フロアボード 図000006
  • 特許6661255-フロアボード 図000007
  • 特許6661255-フロアボード 図000008
  • 特許6661255-フロアボード 図000009
  • 特許6661255-フロアボード 図000010
  • 特許6661255-フロアボード 図000011
  • 特許6661255-フロアボード 図000012
  • 特許6661255-フロアボード 図000013
  • 特許6661255-フロアボード 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6661255
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】フロアボード
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20200227BHJP
   B60N 3/04 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   B60R5/04 Z
   B60N3/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-245336(P2018-245336)
(22)【出願日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】395015261
【氏名又は名称】吉田化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】安藤 清海雄
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−094083(JP,A)
【文献】 特開2006−069471(JP,A)
【文献】 実開昭61−177939(JP,U)
【文献】 特開2016−016683(JP,A)
【文献】 実開昭56−097181(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
B60N 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席(1)及び助手席(2)よりも後方で荷室フロア(3)の後の凹部(103)を被覆して収納室(101)を形成する、木質材料からなるフロアボード(32)であって、
互いに組み合わされて前記フロアボードを形成する、左右二つのフロアボード要素(321、322)と、
前記フロアボード要素の側面(712、713)、及び前部側面(771、772)にそれぞれ設けられる一つ以上の第一緩衝部材(733)と、
前記左右二つの各前記フロアボード要素同士が互いに接触する側面を除く各前記フロアボード要素の各側面において、各前記フロアボード要素の下面外側の一部分が切り取られてなる複数の位置決め用ザグリ部位(751−758)と、
前記フロアボード要素の外縁部が切り取られてなる一つ以上の把持部(761、762)と、を備え、
前記左右二つの各前記フロアボード要素が組み合わされてなる前記フロアボードは、
収納室の上部外縁に形成された平坦部(102)に嵌合し、
前記荷室フロアの前の車室床面(8)の上方に設けられた別のフロアボード(31)の後部側面前記前部側面で接し、連続した一様な平面を形成することを特徴とするフロアボード。
【請求項2】
前記一つ以上のフロアボード要素の上面には防水性シート(742)が貼付され、
前記一つ以上のフロアボード要素の下面には第二緩衝部材(734)が貼付される、請求項1に記載のフロアボード。
【請求項3】
前記第一緩衝部材又は前記第二緩衝部材は、不織布、フェルト、スポンジ材料、樹脂材料のいずれか一つを含む、請求項1または2に記載のフロアボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転席及び助手席よりも後方に設けられる荷室フロアの車室床面を覆うフロアボードに関する。特に、木質材料からなるフロアボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワゴン車、特にワンボックスカー等の二列目シート部分を含めた車室内空間を荷室フロアとして有効に利用するため、その車室床面に設置するためのフロアボードが提案されている。
その中で、荷室フロアの後に収納室が設けられ、その収納室をフロアボードにより閉塞するものがある。近年、収納室の使用頻度は増加しており、そのため、開閉作業が容易なフロアボードが提案されている。
例えば、特開2008−87503号公報に記載されたフロアボードは、複数のフロアボード要素を車両の前後方向に互いにヒンジ結合させ、その前端部分がフロアパネルに固定され、容易に収納室を開閉できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−87503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以下の課題を解決することを目的としてなされたものである。
(i)走行中でもガタガタせず安定し、静粛であること、
(ii)車室床面の複雑な形状に合わせて簡便に設置できること、
(iii)フロアボード上に人間が載っても大丈夫なほど堅牢な、水平な荷室フロアとして使用できること、
(iv)収納室を形成し、開閉作業に便利なフタとしても機能すること、などが実現されたフロアボードを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の木質材料からなるフロアボード(32)は、
互いに組み合わされてフロアボードを形成する、左右二つのフロアボード要素(321、322)と、
フロアボード要素の側面(712、713)、及び前部側面(771、772)にそれぞれ設けられる一つ以上の第一緩衝部材(733)と、
左右二つの各フロアボード要素同士が互いに接触する側面を除く各フロアボード要素の各側面において、各フロアボード要素の下面外側の一部分が切り取られてなる複数の位置決め用ザグリ部位(751−758)と、
フロアボード要素の外縁部が切り取られてなる一つ以上の把持部(761、762)と、を備える。
左右二つの各フロアボード要素が組み合わされてなるフロアボードは、荷室フロア(3)の後側の凹部(103)を被覆して収納室(101)を形成する。このとき、収納室の上部外縁に形成された平坦部(102)に嵌合する。また、荷室フロアの前の車室床面(8)の上方に設けられた別のフロアボード(31)の後部側面前部側面で接し、連続した一様な平面を形成する。
【0006】
好ましくは、フロアボード要素(321、322)の上面には防水性シート(742)が貼付され、フロアボード要素の下面には第二緩衝部材(734)が貼付される。
【0007】
好ましくは、第一緩衝部材又は第二緩衝部材は、不織布、フェルト、スポンジ材料、樹脂材料のいずれか一つ又はそれらの組合せを含む。
【0008】
本発明のフロアボードは、使用者が複雑な形状の収納室の平坦部に嵌合することで、安定的かつ簡便に設置し、使用できる。このとき、別のフロアボードと連続した平面を形成し、強度、耐久性に優れた木質材料による安定かつ堅牢な荷室フロアを提供する。
また、本発明のフロアボードは各側面に適宜緩衝部材を有し、また適宜位置決め用ザグリ部位を有することから、車両が走行中であっても、使用者の意図しない移動、振動等を生ずることがなく安定しており、またガタガタしないことから静粛さを保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の車両の荷室フロアを後部ドア側から見た斜視図。
図2】実施例1の車両の車室レイアウトを示す平面図。
図3】実施例1の、図2に示したIII−III断面図。
図4】実施例1のフロアボード要素(321)の平面図。
図5】実施例1のフロアボード要素(321)の底面図。
図6】実施例1のフロアボード要素(321)の、図5に示したVI側からの側面図。
図7】実施例1のフロアボード要素(321)の、図5に示したVII側からの側面図。
図8】実施例1の2枚目のフロアボード要素(322)の平面図。
図9】実施例1の2枚目のフロアボード要素(322)の底面図。
図10】実施例1の2枚目のフロアボード要素(322)の、図9に示したX側からの側面図。
図11】実施例1の2枚目のフロアボード要素(322)の、図9に示したXI側からの側面図。
図12】実施例2のフロアボード要素(321)の平面図。
図13】実施例2の場合の、フロアボード要素(321)の、図6に示したXIII−XIII断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図1−13にしたがって説明する
【0011】
(実施例1)
実施例1は、本願請求項1に記載の発明を実施したものである。図1に示すように、運転席及び助手席の後方には二列目シート(4)が設けられる。二列目シートは二列目シート用スライドレール(41−44)上に搭載されており、不使用時に前にスライドさせ、コンパクトに収納できるように設置される。なお、この二列目シートは取り外されていても良い。
収納された二列目シートの後方には、荷室フロアが形成される。
本願発明のフロアボード(32)は、荷室フロアの後の凹部(103)を被覆して収納室(101)を形成する。
フロアボードは、フロアボードの前の車室床面(8)の上方に設けられる別のフロアボード(31)と組み合わせて設置することができ、このときフロアボードと別のフロアボードは接し、連続した一体となった一様な平面を形成する。なお、別のフロアボードは本発明には含まれない。
【0012】
図2に示すように、二列目シート(4)は収納され、その後方に荷室フロア(3)が形成され、その後側にフロアボード(32)が、前側に別のフロアボード(31)が設置される。
【0013】
図に示すように、フロアボード(32)は、荷室フロア(3)の後の複雑な形状を呈する凹部(103)を覆い、収納室(101)を形成する。このとき、フロアボードは収納室の上部外縁に設けられた平坦部(102)に安定に嵌合する。
【0014】
図4に示すように、フロアボード要素の側面(712、713)、及び前部側面(771)には一つ以上の第一緩衝部材(733)が接着されている。
【0015】
図5に示すように、フロアボード要素の側面(712)、及び前部側面(771)には一つ以上の第一緩衝部材(733)が接着されている。
本発明のフロアボード要素は、底面外側の一部分が切り取られてなる一つ以上の位置決め用ザグリ部位(751−754)、及び外縁部が切り取られてなる一つ以上の把持部(761)を有する。図5のように、位置決め用ザグリ部位は4箇所、把持部は1箇所に設けられている。
【0016】
図6及び7に示すように、フロアボード要素の側面(712)及び前部側面(771)には第一緩衝部材(733)が接着されている。図7のように、位置決め用ザグリ部位(751−753)は、側面に1箇所、前部側面に2箇所設けられている。把持部(761)は側面に1箇所に設けられている。
【0017】
図8に示すように、フロアボード要素の側面(713)及び前部側面(772)には第一緩衝部材(733)が接着されている。
なお、実施例1に示した第一緩衝部材は、不織布、フェルト、スポンジ材料、樹脂材料のいずれか一つ、あるいはこれらを組み合わせた複合材料を含んでもよい。
さらに、各フロアボード要素の各角部(特に荷重が係る各角部の下方)に当たる部分には、各角部以外の部分に貼付される第一緩衝部材とは別に、各角部の強度を増し、また保護するための第一緩衝部材が別途設けられてもよい。この別途設けられる第一緩衝部材は、ABS樹脂などからなる樹脂成型品であってもよい。
【0018】
図9に示すように、本発明のフロアボード要素は、底面外側の一部分が切り取られてなる一つ以上の位置決め用ザグリ部位(755−758)、及び外縁部が切り取られてなる一つ以上の把持部(762)を有する。また、位置決め用ザグリ部位が4箇所、把持部が1箇所に設けられている。
【0019】
図10及び11に示すように、位置決め用ザグリ部位(755−757)は、前部側面に2箇所、側面に1箇所設けられている。また、把持部(76)は側面に1箇所に設けられている。
【0020】
なお、実施例1では、フロアボード要素(321、322)はそれぞれ位置決め用ザグリ部位(751−758)が4箇所、把持部(761、762)が1箇所に設けられているが、本発明はこれに限定されない。位置決め用ザグリ部位及び把持部は、必要に応じて設置場所及び設置数を適宜変更できる。
また、各フロアボード要素の下面は、軽量化のため、耐荷重性に影響を与えない範囲で、切り取られてなる1つ以上の軽量化凹部を有していてもよい。
【0021】
(実施例2)
以下、実施例2として、本願請求項2及び3を実施したものを示す。なお、実施例1と2とに共通の内容については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0022】
図12に示すように、実施例2は、平面図では実施例1と同じであるが(図4)、図13に示すように、フロアボード要素の上面には防水性シート(742)が貼付され、下面には第二緩衝部材(734)が貼付されている。第一緩衝部材又は第二緩衝部材は、不織布、フェルト、スポンジ材料、樹脂材料のいずれか一つ、あるいはこれらを組み合わせた複合材料を含んでもよい。
なお、実施例2では、防水性シートには塩ビ(PVC)製のシートが使用され、第二緩衝部材には不織布が使用されるが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜仕様を変更して実施してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 運転席
2 助手席
3 荷室フロア
31 別のフロアボード
32 フロアボード
321、322 フロアボード要
4 二列目シート
41−44 二列目シート用スライドレール
5 後部ドア
712、713 側面
733 第一緩衝部材
734 第二緩衝部材
742 防水性シート
751−758 位置決め用ザグリ部位
761、762 把持部
771、772 前部側面
8 車室床面
h 凹部底面からフロアボード下面までの距離(収納室の深さ)
101 収納室
102 平坦部
103 凹部
【要約】
【課題】車両の運転席及び助手席よりも後方に設けられる荷室フロアの車室床面を覆うフロアボードを提供する。
【解決手段】フロアボード31は、互いに組み合わされてフロアボード32を形成する、一つ以上のフロアボード要素321、322と、フロアボード要素321、322の側面712、713、及び前部側面771、772にそれぞれ設けられる一つ以上の第一緩衝部材733と、前記フロアボード要素321、322の下面外側の一部分が切り取られてなる一つ以上の位置決め用ザグリ部位751−758と、フロアボード要素321、322の外縁部が切り取られてなる一つ以上の把持部761、762と、を備える。フロアボード32は、収納室101の上部外縁に形成された平坦部102に嵌合し、また前部側面771、772で荷室フロア3の前方の車室床面の上方に設けられた別のフロアボード32と接し、連続した一様な平面を形成する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13