特許第6661258号(P6661258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661258
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】連続式発酵装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20200227BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20200227BHJP
   C12M 1/06 20060101ALI20200227BHJP
   A23N 17/00 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   C12M1/00 C
   C12M1/02 A
   C12M1/06
   A23N17/00 D
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-551728(P2018-551728)
(86)(22)【出願日】2016年10月11日
(65)【公表番号】特表2019-503202(P2019-503202A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】KR2016011379
(87)【国際公開番号】WO2017111269
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年6月20日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0186520
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514199250
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ファ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ホン ギ
(72)【発明者】
【氏名】ロ、ウォン ベ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、サン グァン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、サン イク
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ソン ジュン
【審査官】 藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録実用新案第20−0257316(KR,Y1)
【文献】 特開昭54−004762(JP,A)
【文献】 特開2004−359454(JP,A)
【文献】 特開2011−219225(JP,A)
【文献】 特開2013−160688(JP,A)
【文献】 実開昭54−031099(JP,U)
【文献】 韓国登録特許第10−0587732(KR,B1)
【文献】 特開昭49−026494(JP,A)
【文献】 特開昭48−103360(JP,A)
【文献】 特開昭51−104095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
A23N 1/00−17/02
DWPI(Derwent Innovation)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側から連続的に投入される発酵対象物を他側に移送するコンベアベルト110と、前記コンベアベルト110上に位置する攪拌機200と、前記コンベアベルト110の一側に位置する散気管300とを備える複数の発酵モジュール100を含み、
前記散気管300は、
前記コンベアベルト110の一側から前記コンベアベルト110の上方を横切るように位置する主供給管310と、
前記コンベアベルト110上で移送される前記発酵対象物の内に位置するように、前記主供給管310の一側から前記コンベアベルト110の上方の長手方向に延びて、周囲に複数の通孔331が打孔されている分配管320とを含み、
連続的に投入される前記発酵対象物が前記発酵モジュール100を通過しながら発酵が行われ、連続的に排出される、
連続式発酵装置。
【請求項2】
前記複数の発酵モジュール100は、前記各コンベアベルト110の一側及び他側がそれぞれ連結された積層形態であり、連続的に投入される前記発酵対象物の発酵が前記複数の発酵モジュール100を通過しながら連続的に行われる、
請求項1に記載の連続式発酵装置。
【請求項3】
前記複数の発酵モジュール100は、前記複数のコンベアベルト110が2列の積層形態をなし、前記各列のコンベアベルト110の一側及び他側を連結するベルト連結部150をさらに含み、連続的に投入される前記発酵対象物の発酵が前記複数の発酵モジュール100を通過しながら連続的に行われる、
請求項2に記載の連続式発酵装置。
【請求項4】
前記攪拌機200は、
前記コンベアベルト110の上方に位置するシャフト210と、
前記シャフト210の外周面の一側及び他側からそれぞれ放射状に延長する複数の支持フレーム220と、
前記各支持フレーム220の前記シャフト210とは反対側の端部を連結する連結フレーム230と、
前記一側及び他側の連結フレーム230を連結する複数の攪拌フレーム240とを含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続式発酵装置。
【請求項5】
前記攪拌機200は、前記シャフト210の回転により前記攪拌フレーム240が移動し、前記コンベアベルト110上で移送される前記発酵対象物を攪拌する、
請求項4に記載の連続式発酵装置。
【請求項6】
前記複数の攪拌フレーム240の外周面の一側に長手方向にそれぞれ位置する攪拌羽根250をさらに含む、
請求項4に記載の連続式発酵装置。
【請求項7】
前記シャフト210は、高さを調節することができる、
請求項4に記載の連続式発酵装置。
【請求項8】
前記通孔331は、少なくとも2列をなして打孔され、
前記通孔331から前記発酵対象物に空気が供給される、
請求項に記載の連続式発酵装置。
【請求項9】
前記通孔331のなす各列は、分配管320の中心から予め設定された角度で配置されている、
請求項に記載の連続式発酵装置。
【請求項10】
前記通孔331は、分配管320の外周面の一側に3列に配置され、前記通孔331のなす各列は、分配管320の中心から60度以上90度以下の角度差を有して配置されている、
請求項に記載の連続式発酵装置。
【請求項11】
前記コンベアベルト110の両側面から所定の高さを有して長手方向に位置するガイド120をさらに含む、
請求項1に記載の連続式発酵装置。
【請求項12】
前記連続的に発酵して排出される発酵対象物を乾燥部に移送するコンベアベルト110’をさらに含む、
請求項1に記載の連続式発酵装置。
【請求項13】
前記各コンベアベルト100の一側に備えられ、前記発酵対象物の発酵過程で発生する悪臭を吸入する複数の空調装置500と、前記複数の空調装置500に連結される悪臭処理部60とをさらに含み、
前記複数の空調装置500で吸入した前記悪臭が前記悪臭処理部60でまとめて処理される、
請求項1に記載の連続式発酵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵装置に関し、特に連続的に投入される発酵対象物を移送しながら発酵させることができる連続式発酵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜用の植物性タンパク質は、穀物性原料又はその原料の有効成分を抽出した際の副産物が主飼料原料として活用されている。このような植物性タンパク質の代表的な例として、大豆粕、コーングルテンなどが挙げられる。大豆粕は、大豆を脱皮、脱脂した成分であり、現在、豚、鶏、肉牛などの様々な家畜飼料として活用されている。現在、大豆粕は、動物性タンパク質に比べてタンパク質含有量が少なく、一部のビタミン、鉱物質及びUGF(Unknown Growth Factor)含有量に劣り、様々な抗栄養因子(anti−nutritional factor.ANF)が含まれているので、飼料として用いると消化率が低下するという問題がある。特に、トリプシンインヒビター(Trypsin inhibitor)などの抗栄養因子は、幼い家畜において消化率を低下させて成長を抑制する作用を有するので、幼い家畜用の飼料に添加される大豆粕の使用量が制限されている現状である。
【0003】
よって、前記問題を解決するために、大豆粕を微生物で発酵させることにより、抗栄養因子と消化率を改善する研究が行われており、現在国内外で様々な家畜の飼料として用いられている。その代表的な例が発酵大豆粕である。代表的な発酵大豆粕の製造方法は、大豆粕に有用微生物を投入して所定時間バッチ式発酵器内に保管し、こうして有用微生物により発酵させた大豆粕を乾燥、粉砕するものであり、それを配合飼料の主植物性タンパク質源として用いる。
【0004】
前記発酵大豆粕の主製造装置は、大豆粕内の汚染された一般微生物を低菌化する高温蒸煮装置、大豆粕と有用微生物を混合して固体発酵させる固体発酵装置、発酵終了後に発酵した大豆粕を乾燥させる乾燥装置、飼料として活用できる大きさに粉砕する粉砕装置に大きく分けられる。前記発酵大豆粕の製造工程において最も重要で技術的進歩性が要求される部分は固体発酵装置の部分であり、有用微生物が同一発酵時間、同一効果を有するという前提では、発酵大豆粕の製造装置のうち固体発酵器の性能と効率により製品の高品質及び製造コストの低減化が実現されるといえる。
【0005】
基本的に発酵大豆粕の固体発酵器において、その有用微生物の種類により異なるが、好気的微生物を用いる場合は、温度、通気性が主因子とみなされる。このような温度と通気の効果的調節のために、通常はバッチ式発酵器内で温度を調節している。
【0006】
特許文献1に開示されているバッチ式発酵器は、発酵性に優れ、運転方法が簡単であるため主に用いられているが、飼料工業において大量化されると、その規模と必要な発酵器の台数により投資コストの大部分を占めることとなる。
【0007】
図18に示すように、従来のバッチ式発酵装置は、投入部1から投入された原料(発酵対象物)を、蒸煮部2及び冷却部3での蒸煮及び冷却過程を経て、複数の発酵モジュールAに分配して投入させ、その複数の発酵モジュールAに培養部4で培養された種菌を投入することにより、発酵対象物の発酵を行う。また、発酵過程で発生する悪臭を処理するための悪臭処理部を各発酵装置に複数備えなければならず(6a,6b,6c,6d)、完了した発酵対象物を各発酵装置Aにパイプを介して連結されたサクション部5で吸引して乾燥部に移送するが、このようなバッチ式発酵の特性上、発酵装置内の汚染物除去のためのクリーニング時間、菌株及び原料投入時間、発酵物排出時間がかかるだけでなく、その発酵が完了した発酵対象物のサクション時にパイプが閉塞することもあり、その上、このような各工程が各発酵装置Aで断続的に行われるので、発酵器における最終生産物の生産性が非常に低下するという欠点がある。
【0008】
よって、大豆粕及びその他穀物類の固体発酵時に求められる発酵器の経済的開発が必要であり、またバッチ式発酵器の生産性低下を改善するための連続型発酵装置の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第2015−0008265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、本発明は、前記問題に着目してなされたものであり、連続的な発酵対象物の発酵を可能にし、原料投入、発酵、発酵物排出などが1つの装置内で行われるので、運転時に発生し得る問題を工程及び装置の単純化により防止することができ、製造装置の単純化により装置構成コストが低減される連続式発酵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、一側から連続的に投入される発酵対象物を他側に移送するコンベアベルトと、前記コンベアベルト上に位置する攪拌機と、前記コンベアベルトの一側に位置する散気管とを備える複数の発酵モジュールを含み、連続的に投入される前記発酵対象物が前記発酵モジュールを通過しながら発酵が行われ、連続的に排出される、連続式発酵装置を提供する。
【0012】
前記複数の発酵モジュールは、前記各コンベアベルトの一側及び他側がそれぞれ連結された積層形態であり、連続的に投入される前記発酵対象物の発酵が前記複数の発酵モジュールを通過しながら連続的に行われることが好ましい。
【0013】
前記複数の発酵モジュールは、前記複数のコンベアベルトが2列の積層形態をなし、前記各列のコンベアベルトの一側及び他側を連結するベルト連結部をさらに含み、連続的に投入される前記発酵対象物の発酵が前記複数の発酵モジュールを通過しながら連続的に行われることが好ましい。
【0014】
前記攪拌機は、前記コンベアベルトの上方に位置するシャフトと、前記シャフトの外周面の一側及び他側からそれぞれ放射状に延長する複数の支持フレームと、前記各支持フレームの前記シャフトとは反対側の端部を連結する連結フレームと、前記コンベアベルトを横切るように前記一側及び他側の連結フレームを連結する複数の攪拌フレームとを含むことが好ましい。
【0015】
前記攪拌機は、前記シャフトの回転により前記攪拌フレームが移動し、前記コンベアベルト上で移送される前記発酵対象物を攪拌することが好ましい。
【0016】
前記連続式発酵装置は、前記複数の攪拌フレームの外周面の一側に長手方向にそれぞれ位置する攪拌羽根をさらに含むことが好ましい。
【0017】
前記シャフトは、高さを調節することができることが好ましい。
【0018】
前記散気管は、前記コンベアベルトの一側から前記コンベアベルトの上方を横切るように位置する主供給管と、前記主供給管の一側から延びて前記コンベアベルトの上方の長手方向に位置し、周囲に複数の通孔が打孔されている分配管とを含むことが好ましい。
【0019】
前記通孔は、前記少なくとも2列をなして打孔され、前記通孔から前記発酵対象物に空気が供給されることが好ましい。
【0020】
前記分配管は、前記発酵対象物の前記コンベアベルト上での移送時に、前記発酵対象物内で空気を噴射することが好ましい。
【0021】
前記通孔のなす各列は、分配管の中心から予め設定された角度で配置されることが好ましい。
【0022】
前記通孔は、分配管の外周面の一側に3列に配置され、前記通孔のなす各列は、分配管の中心から60度以上90度以下の角度差を有して配置されることが好ましい。
【0023】
前記連続式発酵装置は、前記コンベアベルトの両側面から所定の高さを有して長手方向に位置するガイドをさらに含むことが好ましい。
【0024】
前記連続式発酵装置は、前記連続的に発酵して排出される発酵対象物を乾燥部に移送するコンベアベルトをさらに含むことが好ましい。
【0025】
前記連続式発酵装置は、前記各コンベアベルトの一側に備えられ、前記発酵対象物の発酵過程で発生する悪臭を吸入する複数の空調装置と、前記複数の空調装置に連結される悪臭処理部とをさらに含み、前記複数の空調装置で吸入した前記悪臭が前記悪臭処理部でまとめて処理されることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
前述したように、本発明による連続式発酵装置は、原料投入、発酵、発酵物排出などが連続的に行われることにより、工程時間を革新的に短縮し、生産工程の運転時間を短縮することができるので、固体発酵による量産化開発を行うと、投資コストの低減、生産性の向上などの企業競争力を向上させ、それにより製造産物の製造コストを革新的に低減させるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態による連続式発酵装置の全体斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による連続式発酵装置の側面図である。
図3】本発明の他の実施形態による連続式発酵装置の全体斜視図である。
図4】本発明の他の実施形態による連続式発酵装置の側面図である。
図5】攪拌機の構成を詳細に示す斜視図である。
図6】散気管の構成を詳細に示す斜視図である。
図7】a、b共に図6のA−A’線断面図であり、通孔の配置及び空気噴射角度を示す。
図8】コンベアベルト部分を上から見た平面図である。
図9図8のB−B’線断面図である。
図10】従来のバッチ式発酵装置と本発明による連続式発酵装置の発酵効果を比較した図であり、生菌数曲線を示す。
図11】従来のバッチ式発酵装置と本発明による連続式発酵装置の発酵効果を比較した図であり、水分含有量曲線を示す。
図12】従来のバッチ式発酵装置と本発明による連続式発酵装置の発酵効果を比較した図であり、CP曲線を示す。
図13】従来のバッチ式発酵装置と本発明による連続式発酵装置の発酵効果を比較した図であり、SDS−PAGEを示す。
図14】従来のバッチ式発酵装置と本発明による連続式発酵装置の発酵効果を比較した図であり、生菌数曲線を示す。
図15】従来のバッチ式発酵装置と本発明による連続式発酵装置の発酵効果を比較した図であり、粗タンパク質含有量変化曲線を示す。
図16】従来のバッチ式発酵装置と本発明による連続式発酵装置の発酵効果を比較した図であり、水分含有量曲線を示す。
図17】本発明による連続式発酵装置を用いた発酵対象物の全体的な発酵工程を示す図である。
図18】従来のバッチ式発酵装置による発酵対象物の発酵工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の前記目的、特徴及び他の利点は、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明することによりさらに明らかになるで。その過程において、図面に示す線の太さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されることがある。また、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義されたものであり、それらはユーザ、運用者の意図又は慣例に従って異なり得る。よって、それらの用語に対する定義は、本明細書全般の内容に基づいてなされるべきである。
【0029】
また、記載される実施形態は、発明の説明のために例示的に提供されるものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0030】
本発明の連続式発酵装置を構成する各構成要素は、必要に応じて一体として用いられてもよく、それぞれ分離されて用いられてもよい。また、使用形態に応じて一部の構成要素を省略して用いてもよい。
【0031】
以下、図1図17を参照して、本発明の一実施形態による連続式発酵装置について詳細に説明する。
【0032】
本発明の連続式発酵装置は、図2及び図4に示すように、コンベアベルト110と、攪拌機200と、散気管300と、ガイド120とを備える発酵モジュール100を含み、図1及び図3に示すように、複数の発酵モジュール100が積層された形態で構成され、こうすることにより設置空間を効率的に活用することができる。
【0033】
コンベアベルト110は、所定の長手方向に位置し、その一側111に投入される発酵対象物を移送して他側112から排出されるようにする。
【0034】
攪拌機200は、コンベアベルト110上に位置し、コンベアベルト110により移送される発酵対象物を攪拌する。
【0035】
図5を参照して、攪拌機200の構成をより詳細に説明すると、攪拌機200は、シャフト210と、支持フレーム220と、連結フレーム230と、攪拌フレーム240と、シリンダ260とを含む。
【0036】
シャフト210は、コンベアベルト110の移送方向と交差するように上方に所定間隔離隔して位置する。
【0037】
支持フレーム220は、シャフト210の一側及び他側からそれぞれ放射状に複数延びて位置し、その支持フレーム220の各端部を連結フレーム230が連結する。
【0038】
攪拌フレーム240は、各連結フレーム230間を横切るように配置されて前記シャフト210の回転により動作し、攪拌フレーム240によりコンベアベルト110上で移送される発酵対象物の攪拌が行われる。攪拌フレーム240にはその長手方向に沿って位置する攪拌羽根250が備えられてもよく、こうすることにより発酵対象物に触れる面積を大きくすることができ、より効果的に攪拌することができる。
【0039】
また、シャフト210の両側に連結されたシリンダ260によりシャフトの上下移動が可能なので、移送される発酵対象物の高さに応じて攪拌の高さを調節することができる。
【0040】
前記攪拌機200は、発酵に伴って発生する熱により発酵対象物の温度が発酵適正温度以上に上昇すると、発酵対象物を攪拌して温度を下降させることにより適正温度が維持されるようにする。
【0041】
散気管300は、コンベアベルト110の一側に位置し、コンベアベルト110上で移送される発酵対象物に空気を供給する。
【0042】
図6を参照して、散気管300の構成をより詳細に説明すると、散気管300は、主供給管310と、分配管320とを含む。
【0043】
主供給管310はコンベアベルト110上でコンベアベルト110を横切るように延びて位置し、その一側に連結された空気供給部600から主供給管310に空気が流入し、主供給管310上に配置されるバルブ311などの空気調節手段により、空気供給部600から主供給管310に供給される空気量を調節することができる。
【0044】
分配管320は、主供給管310に連通し、コンベアベルト110の移送方向に所定の長さを有して延びる。分配管320は、コンベアベルト110の幅に応じて複数備えられてもよく、その周囲に複数の通孔331が打孔され、主供給管310を介して流入した空気が複数の分配管320により分配され、通孔331からコンベアベルト110上で移送される発酵対象物に供給される。
【0045】
具体的には、発酵対象物が所定の高さに積層されてコンベア上で移送され、分配管320側に移動すると、分配管320が積層された発酵対象物内に位置することとなり、積層された発酵対象物内への酸素供給が行われる。
【0046】
また、前記複数の通孔331は少なくとも2列をなして配置されてもよく、図7のa、bに示すように、前記複数の分配管320が配置される間隔又は発酵対象物の量に応じて、前記通孔331がなす列の間隔及び通孔331から噴射される空気の角度を予め設定して噴射することにより、発酵対象物への効果的な通気を行うことができ、図7に示すように、分配管320の通孔331が3列の場合は、通孔331がなす各列の間隔は分配管320の一側からそれぞれ90度(図7のa)又は60度(図7のb)となるように配置されてもよい。
【0047】
これは、大豆などの固体物質の発酵において、液体状態とは異なり、固体状態では空気伝達に抵抗が生じることがあるので、各通孔331の数及び間隔が発酵対象物への均一な空気伝達のために重要である。すなわち、通孔331を1列で構成して供給される空気圧力を強くすると、発酵対象物全体に空気伝達が行われうるが、そうすると通孔に近い場所に位置する発酵対象物は空気が過剰供給されるので、発酵ではなく乾燥が起こり、全面的に均一な発酵が行われにくくなる。よって、通孔331を2列以上配置し、その間隔が中心から所定の角度をなすように配置して発酵対象物に全体的に空気を供給することにより、均一な発酵を行うことができる。
【0048】
また、分配管320の一端部には分配管320の一端を開閉することのできるキャップ330が備えられ、それを開閉することにより簡便に分配管320内を清掃することができる。
【0049】
ガイド120は、コンベアベルト110の長手方向の両側面に位置し、図8に示すように、ガイド120は、コンベアベルト110の両側面から所定の高さを有し、ガイド120の一側にはガイド120を支持する支持部121が位置する。
【0050】
すなわち、コンベアベルト110上で移送される発酵対象物がガイド120間を通過して移送される。コンベアベルト110上で発酵対象物が移送される際に発酵対象物が両側に広がる現象が発生するので、このように広がった発酵対象物がコンベアベルト110の両側に落下することを防止するために、コンベアベルト110の両側に余分の空間を設けてもよいが、そうするとコンベアベルト110の幅が広くなり、空間活用性が悪くなる。それに対して、前述したように、コンベアベルト110の両側にガイド120が備えられると、コンベアベルト110上で発酵対象物が広がる現象及びそれによる落下を防止しながらもコンベアのベルト幅を最小限に抑えることができる。
【0051】
また、各コンベアベルト110の上方には発酵対象物の発酵時に発生する臭いを除去するための複数の空調装置500が設置され、各空調装置500は1つの悪臭処理部60に連結され、各空調装置500で吸入した臭いを1つの悪臭処理部60で処理できるという利点がある。
【0052】
また、図1及び図2を参照して、前述したように複数の発酵モジュール100が積層される一実施形態について説明すると、複数の発酵モジュール100が一列に積層され、各発酵モジュール100の一側111及び他側112、具体的には各コンベアベルト110の一側111及び他側112がそれぞれ交互に配置される。1つのコンベアベルト110の一側111に投入された発酵対象物が他側112に移送されて排出され、排出された発酵対象物がその下方に位置するコンベアベルト110の一側111から再び他側112に移送されながら発酵が行われる形態である(図1及び図2の矢印参照)。
【0053】
また、各発酵モジュール100の間には、1つのコンベアベルト110から排出されて下方のコンベアベルト110に流入する発酵対象物をガイドするホッパー、及び発酵対象物を破砕する破砕部400が位置してもよい。さらに、各散気管300が連通して配置され、最も下方に位置する空気供給部600から前述したように連通した散気管300に空気を供給することができる。
【0054】
さらに、図3及び図4を参照して、前述したように複数の発酵モジュール100が積層される場合の他の実施形態を前記実施形態との相違点を中心に説明すると、複数の発酵モジュール100が2列に積層され、異なる列に位置する発酵モジュール100の一側111及び他側112がベルト連結部150により連結されるように配置される。ベルト連結部150の形態は限定されるものでなく、発酵対象物の円滑な移送のために湾曲した形態であってもよく、投入された発酵対象物が一方の列のコンベアベルト110からベルト連結部150を介して他方の列のコンベアベルト110に順に略楕円形状をなして移送されながら発酵対象物の発酵が行われる(図3及び図4の矢印参照)。
【0055】
また、最終的に位置する発酵モジュール100の他側と乾燥部を連結するコンベアベルト110’が備えられ、発酵モジュール100で発酵が完了して連続的に排出される発酵物を乾燥部(図示せず)に移送する。
【0056】
よって、連続的に排出される発酵物を効果的に移送して乾燥させることができ、従来のサクション方式を用いるバッチ式発酵装置とは異なり、パイプなどの閉塞現象が生じることなく、発酵物を円滑に移送して乾燥させることができる。
【0057】
以下、図1図17を参照して、本発明による連続式発酵装置の実験例を用いて従来のバッチ式発酵装置との相違点について説明する。従来のバッチ式発酵装置との発酵性及び品質の差を確認するために、本発明による連続式発酵装置を用いて固体発酵を行った。図17に示すように、投入部10から投入された原料(発酵対象物)を、蒸煮部20及び冷却部30での蒸煮及び冷却過程を経て、複数の発酵モジュール100からなる発酵装置Bに投入させ、発酵装置Bに培養部40で培養された種菌を投入することにより、発酵対象物の連続的な発酵を行い、発酵が完了して排出される発酵物をコンベアベルト110’を介して乾燥部に移送して乾燥させた。
【0058】
本実験において、原料、すなわち発酵対象物としては大豆粕を用い、その量は原料ベースで60kg〜90kgとした。大豆粕原料の効果的な単独菌発酵のために加水(水分43%レベル)を行い、その後加水大豆粕の滅菌のためにスチーム蒸煮を行った。蒸煮の際の大豆粕の平均品温は70℃〜90℃レベルであり、20分間行った。スチーム蒸煮後に冷却過程を経て本固体発酵のための種菌接種を行った。種菌としてはBacillus amyloliquefaciens subsp.Plantarum K2Gを用い、種菌の安定した成長のために1×107CFU/mL以上の初期菌数が確保されるように原料重量比10%の種菌を接種した。種菌のseed培養はGYP培地(glucose 10.0g,yeast extract 8.0g,polypeptone 2.0g,pH7.0)で活性化させた。
【0059】
投入される発酵対象物の高さは20cmを基準として投入し、種菌の生育過程と発酵物の品質変化の確認のために、4時間毎にサンプリングを行った。こうすることにより、各サンプルの生菌数(CFU/g)、発酵物中の水分含有量(%)、さらに粗タンパク質含有量(%)の変化を測定した。
【0060】
従来のバッチ式発酵器を代替するためには、同一条件下での発酵物の同一品質の確保が何よりも重要である。従来のバッチ式発酵は、種菌発酵時間が24時間以内に終了し、品質は生菌数1×109CFU/g以上、終了水分32%以下、粗タンパク質上昇6%以上であった。よって、このような品質達成(粗タンパク質上昇率の向上)のために、前記攪拌機200及び散気管300により発酵品温を調節し、酸素供給のための通気性の付与を最適化した。通気性、すなわち前述したように酸素の発酵対象物内への伝達をさらに容易にすべく、発酵対象物内に散気管300の分配管320が挿入されるようにした。こうすることにより通気性を強化することができ、発酵物全体の品質変化を最小限に抑えることができる。
【0061】
発酵を進めて発酵対象物の温度変化を観察し、発酵対象物の温度調節は次のように行った。発酵対象物の品温が所定温度(45℃)以上に上昇すると、攪拌機200を作動し、その攪拌機200による発酵対象物の空気接触により品温下降を誘導し、それにより47℃の品温が39℃に変化することを確認した。また、攪拌機200のみによる温度変化を共に測定することにより、攪拌中の散気効果を確認した。
【0062】
表1に示すように、攪拌機200のみを単独で運転した場合の攪拌前後の温度変化は約3℃であり、散気管300をさらに用いると約8℃の温度変化が生じたことから、固体発酵の高温発熱時に攪拌機200及び散気管300により攪拌及び散気を行うと発酵品温の調節に一層効果的であることが確認された。
【0063】
【表1】
【0064】
前述したように、攪拌による温度下降により、全般的な発酵温度を種菌であるバチルスの最適温度である37℃〜43℃レベルにして発酵させることができる。適切な発酵温度の維持は、バチルスのPGA成分による粘質物の固着を防止し、酵素反応の安定性を維持するので、非常に重要な制御因子であるといえる。
【0065】
また、それと共に、散気管300による発酵対象物内への酸素供給により発酵物の品質を向上させることができた。連続式発酵装置、特に好気性固体発酵のための連続式発酵装置の装置構成において最も難解かつ重要な要素の1つがまさに固体発酵対象物内への酸素の適切な供給である。空気伝達が不足すると、好気性微生物の代謝低下が生じることがあり、目標品質の確保が困難になることがある。
【0066】
よって、本発明による連続式発酵装置においては、コンベアベルト110を用いた連続式発酵装置に適するように散気管300の分配管320をコンベアベルト110上の移送方向に構成し、分配管320に通孔331を設け、通孔331のサイズ別(2mm〜3mm)、通孔331の箇所別の最適化を行った。また、最適な酸素供給のために、前述したように、分配管320の配列を3列〜8列で構成し、配列に応じた通孔331の角度の調整により空気が発酵対象物内に均一に強制通気されるようにした(図6参照)。
【0067】
確保された散気管300を用いて発酵性及び品質の評価を行ったところ、図10に示すように、微生物の生育性はバッチ式発酵装置とほぼ同程度であり、図11に示すように、固体発酵中の水分変化もバッチ式発酵装置と同程度の速度で変化することが確認された。よって、好気性発酵により発酵対象物内で発生した熱が外部に適切に放出されていることが分かる。
【0068】
また、図12に示すように、粗タンパク質含有量の変化においてはバッチ式発酵装置に比べて多少速く増加することが確認されたが、これは前述したように、分配管320の配列及び通孔331の配置角の最適化により発酵対象物内の通気性を強化した効果が全体的な品質の変化として現れたことを意味するものである。
【0069】
それだけでなく、バチルス種菌の活用は大豆粕内のタンパク質を酵素的加水分解(バチルス内のタンパク質分解酵素)によりペプチド化を誘導することに主な目的があり、その効果は飼料の消化率を向上させ、飼料の栄養効率を向上させる。
【0070】
図13に示すように、本発明による連続式発酵装置により発酵の際に各発酵時間でタンパク質分解が十分に起こることが確認され、これはバッチ式発酵装置に類似したタンパク質分解パターンを示すので、本連続式発酵装置の活用により最終製品の品質において同等以上の消化率を確保できることが確認された。
【0071】
次に、大豆粕の代表的な消化率阻害要因であるトリプシンインヒビターの活性とKOH溶解度(KOH solubility)を測定した。下記表2に示すように、原料、蒸煮、発酵過程において抗栄養因子であるトリプシンインヒビターの活性が低下することが確認され、KOH溶解度もバッチ式発酵装置と比較して優れたものであると評価され、最終品質を比較するとバッチ式発酵器と同等以上の品質が確保されることが分かる。よって、本発明による連続式発酵装置はバチルス発酵効率に優れたものであると評価される。
【0072】
【表2】
【0073】
結論として、固体発酵対象物内への酸素供給を円滑にするために散気管300を分配する配列により酸素伝達をより効果的に行うことができ、それにより最適な発酵状態を維持することができる。また、本装置により好気性微生物の固体発酵性を最大化することができ、発酵物の品質状態を十分に確保することができる。
【0074】
前述したように、固体発酵物の主制御因子である発酵品温、発酵対象物内への空気投入(通気性)の強化により、従来のバッチ式発酵装置に比べて同一発酵時間で同等以上の品質結果を確保することができ、これは工業化の際に連続式による生産性の向上、設置空間の効率化に多くのコスト低減の機会をもたらす要素となる。また、連続式発酵は、バッチ式発酵の攪拌に比べてその負荷が少なく、攪拌のための装置をより安価で設置でき、発酵対象物の随所で通気されるように構成できるので、好気性発酵に効果的である。それだけでなく、発酵対象物の高さによっては装置投資コストのさらなる低減が十分に可能であるという利点がある。
【0075】
また、前述したように、コンベアベルト110に備えられるガイド120により発酵対象物の落下及びそれによる汚染を防止することができるが、ガイド120が備えられると発酵の際にガイド120の表面に抵抗性が生じるおそれがあった。
【0076】
しかし、図14に示すように、本実験を行った際にガイド120の表面に抵抗性は生じず、前記分配管320により伝達される空気により全ての発酵対象物において適切に好気性発酵が行われることが確認された。
【0077】
また、図15及び図16にそれぞれ示すように、発酵対象物の菌成長、タンパク質の増加量、最終発酵物の水分含有量の結果においてもガイド120による影響はなかった。よって、ガイド120によりコンベアベルト110の幅を最小限に抑えることができるだけでなく、攪拌後に発酵物が広がる現象や発酵物の落下を防止することができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した特定の実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、添付の請求の範囲の思想及び範疇を逸脱することなく本発明に対する多くの変更及び修正が可能であり、あらゆる適切な変更及び修正の均等物も本発明の範囲に含まれるものとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0079】
100 発酵モジュール
110 コンベアベルト
200 攪拌機
300 散気管
400 破砕部
500 空調装置
600 空気供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18