【実施例】
【0033】
以下に実施例
、参考例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0034】
実施例1、4、参考例2、3及び比較例1〜8(密封包装体用容器の作製)
(実施例
1、4、参考例2、3の密封包装体用容器)
坪量300g/m
2の紙の一方面に中密度ポリエチレン樹脂層(乾燥後厚み30μm)を押出しコート法により積層した。更にPET樹脂層(ポリエステル系樹脂層)を、中密度ポリエチレン樹脂層を覆うように押出しコート法により積層した。
【0035】
上記積層体を容器形成用の形状に打ち抜き、スカイブ加工した後、開口径約95mmφ、高さ約105mmのカップ型に成型した。成型の際、PET樹脂層を容器内面側とし、開口端面はPET樹脂層が外面(露出面)となるよう縁巻き加工を施した。
【0036】
続いて、開口端面のPET樹脂層上にEMMAを主成分(70重量%)とするコート剤(副成分としてポリエチレン樹脂を30重量%含有)を固形分重量で1g/m
2塗布し、実施例
1、4、参考例2、3の密封包装体用容器(同一物4つ)を作製した。
(比較例1〜5の密封包装体用容器)
開口端面のPET樹脂層上に何も塗布しない以外は、実施例
1、4、参考例2、3と同様にして比較例1〜5の密封包装体用容器(同一物5つ)を作製した。
(比較例6の密封包装体用容器)
開口端面のPET樹脂層上にエチレン−アクリル酸共重合樹脂(EAA)系コート剤を固形分重量で1g/m
2塗布した以外は、実施例
1、4、参考例2、3と同様にして比較例6の密封包装体用容器を作製した。
(比較例7の密封包装体用容器)
開口端面のPET樹脂層上にアイオノマー系コート剤(三井化学株式会社製「ケミパールS100」)を固形分重量で1g/m
2塗布した以外は、実施例
1、4、参考例2、3と同様にして比較例7の密封包装体用容器を作製した。
(比較例8の密封包装体用容器)
開口端面のPET樹脂層上にシランカップリング系コート剤(信越化学工業株式会社製「KBM603」)を固形分重量で1g/m
2塗布した以外は、実施例
1、4、参考例2、3と同様にして比較例8の密封包装体用容器を作製した。
【0037】
蓋材1〜7の作製
(蓋材1)
坪量80g/m
2の紙の一方面と、厚さ12μmのアルミニウム箔(1N30軟質箔)とをウレタン系プレポリマーを用いて無溶剤(ノンソル)ラミネートにより貼り合わせた。
【0038】
アルミニウム箔の露出面をアンカーコート処理した後、乾燥後厚さ20μmとなるように低密度ポリエチレン樹脂層を押出しコートした。更に、低密度ポリエチレン樹脂層上に熱接着層を積層した。具体的には、ヤスハラケミカル株式会社製のヒロダイン7563(ポリエチレン:ポリブテン−1の重量比=4:1)を乾燥後厚さ30μmとなるように、低密度ポリエチレン樹脂層上に押出し積層した。これにより蓋材1を作製した。
(蓋材2)
熱接着層を形成する材料として、東ソー株式会社製のMX47D(低密度ポリエチレン:ポリプロピレン:低分子量ポリエチレンワックスの重量比=50:35:15)を用いた以外は、蓋材1と同様にして蓋材2を作製した。
(蓋材3)
熱接着層を形成する材料として、三菱化学株式会社製のマルチEK3833(ポリプロピレン:ポリエチレン:ポリスチレンの重量比=1:1:1)を用いた以外は、蓋材1と同様にして蓋材3を作製した。
(蓋材4)
熱接着層を形成する材料として、東ソー株式会社製のMX47A(ポリエチレン:ポリプロピレン:ポリブテン−1の重量比=3:1:1)を用いた以外は、蓋材1と同様にして蓋材4を作製した。
(蓋材5)
熱接着層を形成する材料として、三井デュポンポリケミカル株式会社製のV−70(EVA系樹脂)を用いた以外は、蓋材1と同様にして蓋材5を作製した。
(蓋材6)
熱接着層を形成する材料として、東ソー株式会社製のA3081(低分子ポリエチレン系樹脂)を用いた以外は、蓋材1と同様にして蓋材6を作製した。
(蓋材7)
熱接着層を形成する材料として、東洋アドレ株式会社製のER−6008C(EVA系樹脂)を用いた以外は、蓋材1と同様にして蓋材7を作製した。
【0039】
各密封包装体の作製
上記で作製した各実施例
、参考例及び比較例の密封包装体用容器の開口端面(実施例
及び参考例はEMMAを主成分とするコート層上、比較例は他のコート層上又はPET樹脂層)に、表1に示す組み合わせで上記蓋材1〜7(タブ付きの丸型メンコ状に打ち抜いたもの)の熱接着層が接触するように載せた。
【0040】
次に、160℃、0.08MPa及び0.8秒間の条件でヒートシールを2回施して各密封包装体を作製した。
【0041】
試験例1
各密封包装体の各種物性を調べた。
【0042】
各試験方法及び評価方法を下記に示す。
<開封強度>
各密封包装体の蓋材のタブを、開封始点から見て仰角45度の方向に100mm/分の速度で引っ張り、開封時の最大荷重(=開封強度(N))を測定した。各包装体についてn=6点測定し、その平均値を求めた。
<開封性(スリップスティック現象の有無)>
手指で各密封包装体の蓋材のタブを持って開封し、開封性を評価した。
○:一定の力で滑らかに開封できた。
△:小刻みながら強弱を繰り返し、チリチリと音がした。
×:一定の力で開封できず、激しく強弱を繰り返した。
−:蓋材が熱接着せず、評価不能。
<紙破れ性>
手指で各密封包装体の蓋材のタブを持って開封し、開封性(破れの有無)を評価した。
○:蓋材の破れは無かった。
△:蓋材の一部が破れた。
×:蓋材の複数箇所が破れた。
−:蓋材が熱接着せず、評価不能。
<90℃ホット耐熱性>
手指で各密封包装体の蓋材のタブを持って半分まで開封した後、90℃のお湯を100g充填し、3分後に残りのシールされた半分を剥がし、開封性を評価した。
○:残りのシールされた部分がしっかりとシールされた状態から開封できた。
△:残りのシールされた部分が幾分強度低下し、辛うじてシールされた状態から一応開封できた。
×:残りのシールされた部分が強度低下し、シール部が不用意に外れた。
−:蓋材が熱接着せず、評価不能。
<耐熱試験>
各密封包装体を40℃、50℃、40℃×RH90%条件下、経時1週間後にシール部分のリークの有無を確認した。なお、リークの有無は{乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和54年4月16日厚生省令第17号)}の封緘強度試験法に準じて、容器内に空気を流入し続け、内圧300mmHgにおいても空気漏れが無かった場合をリーク無しとし、内圧300mmHg未満で空気漏れがあった場合をリーク有り(発生)とした。
○:どの条件下でもシール部からのリークは無く、密封された状態が維持されていた。
×:少なくともいずれかの条件下でリークが発生した。
−:蓋材が熱接着せず、評価不能。
<シュリンクテスト>
各密封包装体をシュリンク梱包条件の130℃の乾燥機に入れて5分間放置し取り出した後、密封性に問題が無いかどうかを確認した。なお、密封性の評価は前記リークの有無と同様、封緘強度試験法に準じて、容器内に空気を流入し続け、内圧300mmHgにおいても空気漏れが無かった場合を密封性維持とし、内圧300mmHg未満で空気漏れがあった場合を密封性低下とした。
○:130℃×5分間放置条件下でも全て密封性が維持されていた。
×:130℃×5分間放置条件下で密封性が低下した。
−:蓋材が熱接着せず、評価不能。
【0043】
各試験の結果を下記表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示す評価結果より、本発明の密封包装体用容器は、開口端面のポリエステル樹脂層に更にEMMAを含有する被覆層が積層されていることにより、容易に蓋材をヒートシールすることができ、しかもポリエステル系樹脂層が結晶化する程度の温度でヒートシールした場合でも、蓋材の優れた密封性及び優れた開封性が得られることが分かる。