(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド開口部には、リード線をガイド開口部に挿通する際に、前記リード線をガイド開口部に配置するための切欠部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の表面温度測定センサ。
前記ガイド開口部には、リード線をガイド開口部に挿通する際に、前記リード線をガイド開口部に配置するための切欠部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の表面温度測定センサ。
前記取り付けベース板に、温度測定素子部の取り付けベース板側の少なくとも一部を収容する収容溝部が形成されていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の表面温度測定センサ。
【背景技術】
【0002】
従来、このような表面温度測定センサとして、例えば、特許文献1(特開平8−219904号公報)に開示されるような、保護チューブタイプの表面温度測定センサが提案されている。
【0003】
図9(A)は、特許文献1の表面温度測定センサ100の断面図、
図9(B)は、特許文献1の表面温度測定センサ100の側面図、
図9(C)は、
図9(A)のA−A線での断面の模式図である。
【0004】
図9に示したように、特許文献1の表面温度測定センサ100では、サーミスタ素子からなる温度測定素子102に、素子リード線102a、102bの一端が接続されている。そして、これらの素子リード線102a、102bの他端に、被覆リード線104a、104bの導体部105a、105bが接続されている。
【0005】
この温度測定素子102と、接続部106a、106bを、樹脂絶縁体108によってコーティングすることによって、温度測定素子部110を構成している。そして、耐熱ゴムからなる保護チューブ112内に、温度測定素子部110を収納している。
【0006】
この温度測定素子部110を収納した保護チューブ112を、金属製の取り付けベース板114上に、取り付けベース板114の突起114aに当接させた状態で、カシメ部116、118で、カシメ固定することによって、表面温度測定センサ100を構成している。
【0007】
また、
図10の断面図に示したように、樹脂パテタイプ(ポッティングタイプ)の表面温度測定センサ200が提案されている。
図10は、
図9(A)のA−A線での断面図と同様な断面図である。
【0008】
すなわち、
図10に示したように、このタイプの表面温度測定センサ200は、サーミスタ素子などの温度測定素子202を、ガラスやエポキシなどの素子コーティング材204で覆うことによって、温度測定素子部206を構成している。
【0009】
そして、温度測定素子部206を、例えば、エポキシ樹脂などの熱伝導率の高い保護樹脂パテ208でモールドすると同時に、金属製の取り付けベース板210に接着固定することによって、表面温度測定センサ200を構成している。
【0010】
さらに、特許文献2(特開平10−274567号公報)には、保護樹脂パテタイプとカシメ加工を組み合わせたようなタイプの表面温度測定センサ300が提案されている。
【0011】
図11は、特許文献2の表面温度測定センサ300の一部を切欠した斜視図である。
【0012】
図11に示したように、表面温度測定センサ300は、サーミスタ素子などの温度測定素子302を、金属製の取り付けベース板304上に、接着性を有する絶縁樹脂液を注入して固化し、樹脂の固化により形成された絶縁樹脂層306内に温度測定素子302を埋設して、取り付けベース板304上に、接着固定することによって、温度測定素子部308を構成している。
【0013】
また、取り付けベース板304は、端子取り付け部314と、素子取り付け部316を備えており、端子取り付け部314には、被測定対象物の表面に、表面温度測定センサ300を取り付けるためのネジ挿入孔310が形成されている。また、素子取り付け部316には、その座面318の両側に、側壁322、322を備えている。
【0014】
そして、温度測定素子302は、素子取り付け部316の両側壁322、322の間に注入することによって、固化した絶縁樹脂層306中に埋設されるようになっている。
【0015】
また、これらの素子取り付け部316と、端子取り付け部314の間には、堰320が形成され、注入された絶縁樹脂をせき止めて、端子取り付け部314のネジ挿入孔310が、樹脂で埋め込まれるのを防止している。
【0016】
さらに、これらの一対の側壁322、322は、上端が内側へ傾斜しており、これらの側壁322、322の間から、絶縁樹脂層306で固化された温度測定素子部308が抜け落ちるのを防止している。
【0017】
また、素子取り付け部316の後端(リード線324側の端部)の両側壁322、322の間の間隔が、温度測定素子部308の幅より小さくすることによって、両側壁322、322が、温度測定素子部308を支持して、後方への抜け止めが働くように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、このような従来の特許文献1の表面温度測定センサ100では、熱伝導率の高い金属製の取り付けベース板114上に、温度測定素子部110を保護チューブ112で覆ったものをカシメ固定している。
【0020】
しかしながら、保護チューブ112は、その材質が、例えば、ゴムやポリエチレン樹脂などの絶縁材料から構成されているため、熱伝導率が低く、被測定対象物の表面温度を、温度測定素子部110の温度測定素子102に伝達するのが良好ではなく、被測定対象物の表面温度を正確に測定することができないことがある。
【0021】
また、
図9(C)の断面図に示したように、平面である取り付けベース板114の載置面114bに対して、保護チューブ112は、その形状が円筒状であるため、取り付けベース板114と保護チューブ112との間の接触面積が小さくなる。
【0022】
さらに、
図9(C)に示したように、取り付けベース板114と保護チューブ112との間に、隙間S1もできるので、熱伝導効率が良好でなく、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部110の温度測定素子102に伝達することができず、被測定対象物の表面温度を正確に測定することができないことがある。
【0023】
また、保護チューブ112の側面を、カシメ部116、118で、カシメ固定する構造であるので、リード線の引っ張り強度が弱く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わることによって、温度測定素子部110からリード線が抜け落ちたり、カシメ部116から保護チューブ112ごとそっくり抜けてしまうおそれがある。
【0024】
さらに、特許文献1の表面温度測定センサ100では、温度測定素子部110を収納した保護チューブ112を、金属製の取り付けベース板114上に配置して、カシメ部116で固定する際に、固定しづらく、上下左右方向に位置がずれることがあり、被測定対象物の表面温度を正確に測定することができないことがある。
【0025】
また、
図10に示した樹脂パテタイプの表面温度測定センサ200では、熱伝導率の高い金属製の取り付けベース板210上に、エポキシ樹脂などの熱伝導率の高い保護樹脂パテ208でモールドして、取り付けベース板210に接着固定している。
【0026】
しかしながら、熱伝導率の高い保護樹脂パテ208は、
図10に示したように、被測定対象物と反対側の外気に、その表面積の半分以上が接しているため、測定対象外の外気温度も測定してしまい、測定誤差の要因となって、被測定対象物の表面温度を正確に測定することができないことがある。
【0027】
また、構造上、リード線の引っ張り方向や、上下左右方向の強度が弱く、保護樹脂パテ208ごと、取り付けベース板210から剥がれてしまうおそれがある。
【0028】
さらに、保護樹脂パテ208でモールドして、取り付けベース板210に接着固定するため、製作時に温度測定素子部206の位置出しや、リード線の引き出し方向が安定しづらく、製品品質がばらついてしまい、被測定対象物の表面温度を正確に測定することができないことがある。
【0029】
また、特許文献2の表面温度測定センサ300では、素子取り付け部316の一対の側壁322、322によって、側壁322、322の間から、絶縁樹脂層306で固定された温度測定素子部308の、上下左右方向、および、リード線324の引っ張り方向への抜け落ちが防止されるように構成されている。
【0030】
しかしながら、取り付けベース板304上に絶縁樹脂層306によってモールドして、取り付けベース板304に接着固定するため、製作時に温度測定素子部308の位置出しや、リード線324の引き出し方向が安定しづらく、製品品質がばらついてしまい、被測定対象物の表面温度を正確に測定することができないことがある。
【0031】
本発明は、このような現状に鑑み、金属製の取り付けベース板と、温度測定素子部の接触面積が大きく、熱伝導効率が良好で、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部の温度測定素子に伝達することができ、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することを目的とする。
【0032】
また、本発明は、温度測定素子部を金属製の取り付けベース板上に配置して、固定する際に、温度測定素子部の位置出しや、リード線の引き出し方向が安定して固定しやすく、また、上下左右方向に位置がずれることがなく安定し、取り付けベース板上の、所定の位置に温度測定素子部を確実に設置でき、製品品質がばらつかず、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することを目的とする。
【0033】
また、本発明は、構造上リード線の引っ張り強度が強く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わっても、温度測定素子部が抜け落ちることがなく、また、リード線の引っ張り方向だけでなく、上下左右のあらゆる方向に、温度測定素子部が取り付けベース板から脱落するおそれがなく、耐久性が向上した、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することを目的とする。
【0034】
また、本発明は、測定対象外の外気温度を測定することがなく、測定誤差が発生せず、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部の温度測定素子に伝達することができ、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の表面温度測定センサは、
被測定対象物の表面温度を測定するための表面温度測定センサであって、
前記表面温度測定センサを、測定対象物の表面と接触状態で取り付けるための金属製の取り付けベース板と、
前記取り付けベース板に接触するように配置され、温度測定素子を備えた温度測定素子部と、
前記温度測定素子部に接続されるリード線と、
前記温度測定素子部を被覆する被覆樹脂部とを備え、
前記取り付けベース板に、温度測定素子部の取り付けベース板側の少なくとも一部を収容する収容溝部が形成され、
前記取り付けベース板のリード線側端部に、ストッパーが立設され、
前記ストッパーに、
前記被覆樹脂部が当接し固化した状態で支持されていることを特徴とする。
【0036】
このように構成することによって、取り付けベース板に形成された収容溝部内に、温度測定素子部の取り付けベース板側の少なくとも一部が収容されるので、金属製の取り付けベース板と、温度測定素子部の接触面積が大きくなる。
【0037】
その結果、熱伝導効率が良好で、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部の温度測定素子に伝達することができ、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能である。
【0038】
また、取り付けベース板に形成された収容溝部内に、温度測定素子部の取り付けベース板側の少なくとも一部が収容されるので、温度測定素子部の取り付けベース板への設置位置が収容溝部により安定することになる。
【0039】
これにより、表面温度測定センサの製作時に、温度測定素子部を取り付けベース板上に配置して、固定する際に、温度測定素子部の位置出しや、リード線の引き出し方向が安定して固定しやすく、作業性が向上する。
【0040】
さらに、上下左右方向に位置がずれることがなく安定し、取り付けベース板上の、所定の位置に温度測定素子部を確実に設置でき、製品品質がばらつかず、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することができる。
【0041】
また、本発明の表面温度測定センサは、
被測定対象物の表面温度を測定するための表面温度測定センサであって、
前記表面温度測定センサを、測定対象物の表面と接触状態で取り付けるための金属製の取り付けベース板と、
前記取り付けベース板に接触するように配置され、温度測定素子を備えた温度測定素子部と、
前記温度測定素子部に接続されるリード線と、
前記温度測定素子部を被覆する被覆樹脂部とを備え、
前記被覆樹脂部が、
前記温度測定素子部を被覆する内側樹脂部と、
前記内側樹脂部を被覆する外側樹脂部とを備え、
前記内側樹脂部の熱伝導率が、外側樹脂部の熱伝導率よりも大きく、
前記取り付けベース板のリード線側端部に、ストッパーが立設され、
前記ストッパーに、
前記被覆樹脂部が当接し固化した状態で支持されていることを特徴とする。
【0042】
このように構成することによって、温度測定素子部を被覆する被覆樹脂部の内側樹脂部の熱伝導率が、内側樹脂部を被覆する外側樹脂部の熱伝導率よりも大きいので、熱伝導率が大きい内側樹脂部によって、金属製の取り付けベース板と、温度測定素子部の接触面積が大きくなるのと同様の効果がある。
【0043】
その結果、熱伝導効率が良好で、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部の温度測定素子に伝達することができ、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能である。
【0044】
また、熱伝導率が小さい外側樹脂部によって、測定誤差の要因である外気温度を遮断することができ、測定対象外の外気温度を測定することがなく、測定誤差が発生せず、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部の温度測定素子に伝達することができ、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することができる。
【0045】
また、本発明の表面温度測定センサでは、前記取り付けベース板のリード線側端部に、ストッパーが立設され、前記ストッパーに、
前記被覆樹脂部が当接し固化した状態で支持されている。
【0046】
このように構成することによって、取り付けベース板のリード線側端部に、ストッパーが立設されており、このストッパーに被覆樹脂部が当接し固化した状態で支持されているので、リード線の引っ張り強度が強く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わっても、温度測定素子部が抜け落ちることがない。
【0047】
また、このストッパーによって、リード線の引っ張り方向だけでなく、上下左右のあらゆる方向に、温度測定素子部が取り付けベース板から脱落するおそれがなく、耐久性が向上した、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することができる。
また、ストッパーに、被覆樹脂部(内側樹脂部、外側樹脂部)が当接し固化した状態で支持されているので、リード線の引っ張り強度が強く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わっても、温度測定素子部が抜け落ちることがない。
【0048】
また、本発明の表面温度測定センサは、前記ストッパーに、リード線を挿通して案内するガイド開口部が形成されていることを特徴とする。
【0049】
このように構成することによって、ストッパーに、リード線を挿通して案内するガイド開口部が形成されているので、表面温度測定センサの製作時に、リード線の設置方向がガイド開口部により安定するので、温度測定素子部を取り付けベース板上に配置して、固定する際に、温度測定素子部の位置出しや、リード線の引き出し方向が安定して固定しやすく、作業性が向上する。
【0050】
さらに、リード線がガイド開口部により安定して支持されるので、上下左右方向に位置がずれることがなく安定し、取り付けベース板上の、所定の位置に温度測定素子部を確実に設置でき、製品品質がばらつかず、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能である。
【0051】
しかも、リード線がガイド開口部により安定して支持されるので、取り付けベース板から温度測定素子部が剥離して脱落することがなく耐久性が向上する。
【0052】
また、本発明の表面温度測定センサは、前記ガイド開口部には、リード線をガイド開口部に挿通する際に、前記リード線をガイド開口部に配置するための切欠部が形成されていることを特徴とする。
【0053】
このように構成することによって、ガイド開口部には、リード線をガイド開口部に挿通する際に、リード線をガイド開口部に配置するための切欠部が形成されているので、リード線をガイド開口部に配置する際に、切欠部を介して、リード線がガイド開口部へ確実に案内され、所定の位置に配置することができる。
【0054】
その結果、取り付けベース板上の、所定の位置に温度測定素子部を確実に設置でき、製品品質がばらつかず、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能である。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、取り付けベース板に形成された収容溝部内に、温度測定素子部の取り付けベース板側の少なくとも一部が収容されるので、金属製の取り付けベース板と、温度測定素子部の接触面積が大きくなる。
【0056】
その結果、熱伝導効率が良好で、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部の温度測定素子に伝達することができ、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能である。
【0057】
また、取り付けベース板に形成された収容溝部内に、温度測定素子部の取り付けベース板側の少なくとも一部が収容されるので、温度測定素子部の取り付けベース板への設置位置が収容溝部により安定することになる。
【0058】
これにより、表面温度測定センサの製作時に、温度測定素子部を取り付けベース板上に配置して、固定する際に、温度測定素子部の位置出しや、リード線の引き出し方向が安定して固定しやすく、作業性が向上する。
【0059】
さらに、上下左右方向に位置がずれることがなく安定し、取り付けベース板上の、所定の位置に温度測定素子部を確実に設置でき、製品品質がばらつかず、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することができる。
【0060】
また、本発明によれば、取り付けベース板のリード線側端部に、ストッパーが立設されているので、このストッパーによって、リード線の引っ張り強度が強く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わっても、温度測定素子部が抜け落ちることがない。
【0061】
また、このストッパーによって、リード線の引っ張り方向だけでなく、上下左右のあらゆる方向に、温度測定素子部が取り付けベース板から脱落するおそれがなく、耐久性が向上した、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することができる。
【0062】
また、本発明によれば、温度測定素子部を被覆する被覆樹脂部の内側樹脂部の熱伝導率が、内側樹脂部を被覆する外側樹脂部の熱伝導率よりも大きいので、熱伝導率が大きい内側樹脂部によって、金属製の取り付けベース板と、温度測定素子部の接触面積が大きくなるのと同様の効果がある。
【0063】
その結果、熱伝導効率が良好で、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部の温度測定素子に伝達することができ、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能である。
【0064】
また、熱伝導率が小さい外側樹脂部によって、測定誤差の要因である外気温度を遮断することができ、測定対象外の外気温度を測定することがなく、測定誤差が発生せず、被測定対象物の表面温度を効率よく、温度測定素子部の温度測定素子に伝達することができ、被測定対象物の表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサを提供することができる。
また、ストッパーに、被覆樹脂部(内側樹脂部、外側樹脂部)が当接し固化した状態で支持されているので、リード線の引っ張り強度が強く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わっても、温度測定素子部が抜け落ちることがない。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【0067】
図1は、本発明の表面温度測定センサの正面図、
図2は、
図1の表面温度測定センサのA−A線での断面図、
図3は、
図1の表面温度測定センサのB−B線での断面図、
図4は、
図1の表面温度測定センサのC方向矢視図、
図5は、
図1の表面温度測定センサの斜視図、
図6は、表面温度測定センサの取り付けベース板の斜視図、
図7は、本発明の表面温度測定センサの別の実施例を示す取り付けベース板の
図4と同様なC方向矢視図、
図8は、発明の表面温度測定センサの別の実施例を示す
図3と同様なB−B線での断面図である。
【0068】
図1〜
図5において、符号10は、全体で本発明の表面温度測定センサを示している。
【0069】
図1〜
図5に示したように、本発明の表面温度測定センサ10は、例えば、PTC(正特性)サーミスタ素子、NTC(負特性)サーミスタ素子などのサーミスタ素子からなる温度測定素子12を備えている。
【0070】
この温度測定素子12には、図示しないが、素子リード線の一端が接続されており、これらの素子リード線の他端に、
図3に示したように、絶縁材料で被覆されたリード線14(14a、14b)の導線部16a、16bが接続されている。
【0071】
そして、この温度測定素子12と、導線部16a、16bの接続部(図示せず)を、例えば、ガラスやエポキシ系樹脂などの素子コーティング材18をコーティングすることによって、温度測定素子部20が構成されている。
【0072】
また、
図2〜
図3、
図6に示したように、表面温度測定センサ10は、表面温度測定センサ10を、被測定対象物Tの表面と接触状態で取り付けるために、略平板形状で金属製の取り付けベース板22を備えている。
【0073】
なお、この取り付けベース板22を構成する金属材料としては、熱伝導率の高い金属、例えば、銅、真鍮、リン青銅など銅系の合金金属などが使用可能であり、特に限定されるものではない。すなわち、熱伝導効率が良好で、被測定対象物Tの表面の温度を、取り付けベース板22を介して、効率よく温度測定素子部20の温度測定素子12に伝達することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0074】
取り付けベース板22は、
図1、
図3〜
図6に示したように、略矩形形状の素子取り付け部24と、素子取り付け部24の先端側に形成された、幅広の取り付け部26とを備えている。
【0075】
また、
図1、
図5〜
図6に示したように、取り付け部26には、被測定対象物Tに表面温度測定センサ10を取り付けるための取り付け孔26aが形成されており、図示しない、ネジなどの締結部材によって、被測定対象物Tに表面温度測定センサ10を取り付けることができるようになっている。
【0076】
なお、この実施例の場合には、取り付け孔26aを形成したが、このような取り付け孔26aを形成することなく、被測定対象物Tの種類などに応じて、例えば、接着剤による接着、溶着、溶接、カシメなどによって取り付ければよく、特に限定されるものではない、
【0077】
そして、この取り付けベース板22の素子取り付け部24の略中央部分には、温度測定素子部20の取り付けベース板22の側の少なくとも一部を収容する収容溝部28が形成されている。
【0078】
この場合、この実施例の収容溝部28は、
図2、
図3に示したように、温度測定素子部20の断面形状に略合致した形状の断面円弧形状であり、温度測定素子部20の取り付けベース板22の側の少なくとも一部を収容するように構成されている。
【0079】
このように構成することによって、取り付けベース板22に形成された収容溝部28内に、温度測定素子部20の取り付けベース板22の側の少なくとも一部が収容されるので、金属製の取り付けベース板22と、温度測定素子部20の接触面積が大きくなる。
【0080】
その結果、熱伝導効率が良好で、被測定対象物Tの表面温度を効率よく、温度測定素子部20の温度測定素子12に伝達することができ、被測定対象物Tの表面温度を正確に測定することが可能である。
【0081】
また、取り付けベース板22に形成された収容溝部28内に、温度測定素子部20の取り付けベース板22の側の少なくとも一部が収容されるので、温度測定素子部20の取り付けベース板22への設置位置が収容溝部28により安定することになる。
【0082】
これにより、表面温度測定センサ10の製作時に、温度測定素子部20を取り付けベース板22上に配置して、固定する際に、温度測定素子部20の位置出しや、リード線14(14a、14b)の引き出し方向が安定して固定しやすく、作業性が向上する。
【0083】
なお、この収容溝部28の長手方向の長さLは、
図3に示したように、温度測定素子部20の長さと略同じ長さであるのが、前述したように、温度測定素子部20の位置出しや、リード線14(14a、14b)の引き出し方向が安定して固定しやすくなる。
【0084】
また、この場合、
図3に示したように、収容溝部28の深さDは、できるだけ深い方が金属製の取り付けベース板22と、温度測定素子部20の接触面積が大きくなり好ましい。例えば、リード線14(14a、14b)の導線部16a、16bが露出している場合には、収容溝部28の深さDは、温度測定素子部20を収容溝部28内に配置した場合に、取り付けベース板22の上面が、リード線14(14a、14b)の導線部16a、16bと接触しない深さまで可能である。
【0085】
しかしながら、リード線14(14a、14b)の導線部16a、16bが絶縁材料で被覆されていれば、収容溝部28の深さDは、温度測定素子部20を収容溝部28内に配置した場合に、取り付けベース板22の上面が、リード線14(14a、14b)の導線部16a、16bと接触するような深さであっても良い。
【0086】
また、取り付けベース板22の素子取り付け部24のリード線14(14a、14b)の側の端部に、略平板形状のストッパー30が、素子取り付け部24に対して垂直方向に立設するように形成されている。
【0087】
このストッパー30には、
図4〜
図6に示したように、リード線14(14a、14b)の断面形状に略合致した形状のガイド開口部32が形成され、このガイド開口部32の溝部32a、32b内に、リード線14(14a、14b)がそれぞれ収納されるように構成されている。
【0088】
また、
図4に示したように、このガイド開口部32には、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32の溝部32a、32b内に挿通する際に、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32に配置するために、ストッパー30の上端部に、ガイド開口部32に繋がる切欠部34が形成されている。
【0089】
これにより、リード線14(14a、14b)を、ガイド開口部32の溝部32a、32b内に配置する際に、
図4の矢印で示したように、切欠部34を介して、リード線14(14a、14b)がガイド開口部32の溝部32a、32bへ確実に案内され、所定の位置に配置することができるようになっている。
【0090】
また、この際、
図4に示したように、ガイド開口部32の溝部32a、32bの切欠部34側の隅角部には、R部32c、32dが形成されている。これにより、前述したリード線14(14a、14b)の、ガイド開口部32の溝部32a、32b内への切欠部34を介しての挿入配置が容易になるように構成されている。
【0091】
なお、図示しないが、切欠部34の上端の開口端部にも、R部を形成しておけば、
前述したリード線14(14a、14b)の、ガイド開口部32の溝部32a、32b内への切欠部34を介しての挿入配置がさらに容易になる。
【0092】
また、取り付けベース板22のリード線14(14a、14b)の側の端部に、ストッパー30が立設されており、このストッパー30に、後述するように、被覆樹脂部36(内側樹脂部38、外側樹脂部40)が当接し固化した状態で支持されているので、リード線14(14a、14b)の引っ張り強度が強く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わっても、温度測定素子部20が抜け落ちることがない。
【0093】
また、このストッパー30によって、リード線14(14a、14b)の引っ張り方向だけでなく、上下左右のあらゆる方向に、温度測定素子部20が取り付けベース板22から脱落するおそれがなく、耐久性が向上した、被測定対象物Tの表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサ10を提供することができる。
【0094】
また、ストッパー30に、リード線14(14a、14b)を挿通して案内するガイド開口部32が形成されているので、表面温度測定センサ10の製作時に、リード線14(14a、14b)の設置方向がガイド開口部32により安定することになる。
【0095】
従って、温度測定素子部20を取り付けベース板22上に配置して、固定する際に、温度測定素子部20の位置出しや、リード線14(14a、14b)の引き出し方向が安定して固定しやすく、作業性が向上する。
【0096】
さらに、リード線14(14a、14b)がガイド開口部32により安定して支持されるので、上下左右方向に位置がずれることがなく安定し、取り付けベース板22上の、所定の位置に温度測定素子部20を確実に設置でき、製品品質がばらつかず、被測定対象物Tの表面温度を正確に測定することが可能である。
【0097】
しかも、リード線14(14a、14b)がガイド開口部32により安定して支持されるので、取り付けベース板22から温度測定素子部20が剥離して脱落することがなく耐久性が向上する。
【0098】
また、ガイド開口部32には、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32に挿通する際に、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32に配置するための切欠部
34が形成されているので、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32に配置する際に、切欠部34を介して、リード線14(14a、14b)がガイド開口部32へ確実に案内され、所定の位置に配置することができる。
【0099】
その結果、取り付けベース板22上の、所定の位置に温度測定素子部20を確実に設置でき、製品品質がばらつかず、被測定対象物Tの表面温度を正確に測定することが可能である。
【0100】
このように、温度測定素子部20を取り付けベース板22に形成された収容溝部28内に配置するとともに、リード線14(14a、14b)を、ガイド開口部32の溝部32a、32b内への切欠部34を介して所定の位置に挿入配置した後、
図1〜
図5に示したように、温度測定素子部20が、モールド樹脂である被覆樹脂部36で被覆される。
【0101】
図2〜
図3に示したように、被覆樹脂部36は、温度測定素子部20を被覆する内側樹脂部38と、この内側樹脂部38を被覆する外側樹脂部40とを備えており、内側樹脂部38の熱伝導率が、外側樹脂部40の熱伝導率よりも大きくなるように形成されている。
【0102】
このように構成することによって、温度測定素子部20を被覆する被覆樹脂部36の
内側樹脂部36の熱伝導率が、内側樹脂部38を被覆する外側樹脂部40の熱伝導率よりも大きいので、熱伝導率が大きい内側樹脂部38によって、金属製の取り付けベース板22と、温度測定素子部20の接触面積が大きくなるのと同様の効果がある。
【0103】
その結果、熱伝導効率が良好で、被測定対象物Tの表面温度を効率よく、温度測定素子部20の温度測定素子12に伝達することができ、被測定対象物Tの表面温度を正確に測定することが可能である。
【0104】
また、熱伝導率が小さい外側樹脂部40によって、測定誤差の要因である外気温度を遮断することができ、測定対象外の外気温度を測定することがなく、測定誤差が発生せず、被測定対象物Tの表面温度を効率よく、温度測定素子部20の温度測定素子12に伝達することができ、被測定対象物Tの表面温度を正確に測定することが可能な表面温度測定センサ10を提供することができる。
【0105】
この場合、被覆樹脂部36を構成する、内側樹脂部38と外側樹脂部40の組み合わせは、内側樹脂部38の熱伝導率が、外側樹脂部40の熱伝導率よりも大きくなるように、適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0106】
例えば、内側樹脂部38の熱伝導率が、外側樹脂部40エポキシ系の熱伝導率に対して、10倍以上の熱伝導率になるようにするのが望ましい。
【0107】
数値を挙げれば、例えば、内側樹脂部38としては、その熱伝導率が、4W/(m・K)以上であるのが望ましく、好ましくは、熱伝導率が、4W/(m・K)〜10W/(m・K)の範囲であるのがより望ましい。
【0108】
一方、外側樹脂部40としては、その熱伝導率が、0.1W/(m・K)〜0.3W/(m・K)の範囲にあるのが望ましい。
【0109】
具体的に例示すれば、内側樹脂部38として、デュラルコ社製の「型番128」(熱伝導率4.2W/(m・K))、スリーボンド社製の「型番2270J」(熱伝導率4.2W/(m・K))などのエポキシ系樹脂、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製の「型番TIA600R」(熱伝導率6.0W/(m・K))などのシリコーン系樹脂が採用可能である。
【0110】
また、外側樹脂部40としては、一般的なエポキシ系樹脂が採用可能であり、信越シリコーン「型番KE−3412」(熱伝導率0.21W/(m・K))などのシリコーン系樹脂も採用可能である。
【0111】
このように、ストッパー30に、このように被覆樹脂部36(内側樹脂部38、外側樹脂部40)が当接し固化した状態で支持されているので、リード線14(14a、14b)の引っ張り強度が強く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わっても、温度測定素子部20が抜け落ちることがない。
【0112】
なお、上記の実施例では、
図4に示したように、このガイド開口部32には、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32の溝部32a、32b内に挿通する際に、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32に配置するために、ストッパー30の上端部に、ガイド開口部32に繋がる切欠部34が形成されている。
【0113】
しかしながら、この切欠部34の形成位置とリード線14の挿入方向は、特に限定されるものではない。例えば、
図7(A)に示したように、ストッパー30の上端隅部に、ガイド開口部32に繋がる切欠部34が形成されていても良い。この場合には、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32の溝部32a、32b内に挿通する際に、
図7(A)の矢印で示したように、斜め上方向からリード線14(14a、14b)を挿入すれば良い。
【0114】
また、
図7(B)に示したように、ストッパー30の側方部に、ガイド開口部32に繋がる切欠部34が形成されていても良い。この場合には、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32の溝部32a、32b内に挿通する際に、
図7(B)の矢印で示したように、側方方向からリード線14(14a、14b)を挿入すれば良い。
【0115】
また、
図7(C)に示したように、ストッパー30の下方部に、ガイド開口部32に繋がる、温度測定素子部20の幅より僅かに大きな幅を有する切欠部34が形成されていても良い。この場合には、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32の溝部32a、32b内に挿通する際に、
図7(C)の矢印で示したように、温度測定素子部20から挿入してリード線14(14a、14b)を配置すれば良い。
【0116】
さらに、
図7(D)に示したように、ストッパー30にこのような切欠部34を形成しない構成とすることもできる。この場合には、リード線14(14a、14b)をガイド開口部32の溝部32a、32b内に挿通する際に、
図7(D)の矢印で示したように、リード線14(14a、14b)から挿入してリード線14(14a、14b)を配置すれば良い。
【0117】
また、この実施例では、取り付けベース板22の素子取り付け部24のリード線14(14a、14b)の側の端部に、略平板形状のストッパー30が、素子取り付け部24に対して垂直方向に立設するように形成されている。
【0118】
しかしながら、
図8に示したように、ストッパー30を素子取り付け部24に対して、内側に傾斜角度α°傾くように楔形状に形成しても良い。これにより、ストッパー30に、被覆樹脂部36(内側樹脂部38、外側樹脂部40)が当接し固化した状態で強固に支持されている状態となる。
【0119】
従って、リード線14(14a、14b)の引っ張り強度が強く、例えば、周囲の温度変化や振動によりリード線とその接続部に繰り返し応力が加わっても、温度測定素子部20が抜け落ちることがない。
【0120】
なお、この場合、傾斜角度α°としては、特に限定されるものではないが、被覆樹脂部36(内側樹脂部38、外側樹脂部40)が、隙間なくストッパー30に当接し固着した状態となるためには、60°≦α≦100°、好ましくは、85°≦α≦95°の範囲とするのが望ましい。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、収容溝部28は、
図2、
図3に示したように、温度測定素子部20の断面形状に略合致した形状の断面円弧形状であり、温度測定素子部20の取り付けベース板22の側の少なくとも一部を収容するように構成したが、温度測定素子部20の断面形状に応じて、収容溝部28の断面形状を設定すればよいなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。