(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
以下の実施形態は、LTEを例として説明するが、例えば、LTE以外のネットワークに適用されてもよい。
【0019】
(第1実施形態)
[通信システム]
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システム1の概略的な構成を示す図である。
本実施形態では、LTEのネットワークに適用した場合を示す。
LTEのネットワークは、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Network)と呼ばれる無線のネットワークと、EPC(Evolved Packet Core)と呼ばれるコアネットワークから構成されている。
【0020】
E−UTRANは、基地局装置(eNodeB)12−1〜12−3のみで構成される。
EPCは、MME装置21、S−GW(Serving−Gateway)装置22、P−GW(PDN(Packet data network)−Gateway)装置23、図示していないHSS装置など、複数の装置群によって構成される。
【0021】
本実施形態に係る通信システム1は、さらに、端末装置(UE)11−1〜11−3を備える。
本実施形態に係る通信システム1は、さらに、PDNあるいはインターネットなどのネットワーク24、記憶装置25、管理装置26を備える。
なお、端末装置11−1〜11−3、基地局装置12−1〜12−3、MME装置21、S−GW装置22あるいはP−GW装置23は、それぞれ、例えば、多数備えられており、
図1では、一部のみが備えられている。
【0022】
各端末装置11−1〜11−3は、例えば、スマートホンなどの装置である。各端末装置11−1〜11−3は、人(例えば、ユーザ)により携帯されるなどして、移動可能である。
各端末装置11−1〜11−3と、基地局装置12−1〜12−3との間で、無線により通信を行う。
2個以上の基地局装置12−1〜12−3の間で、信号の通信を行う。
【0023】
各基地局装置12−1〜12−3と、MME装置21とは、S1−MMEのインタフェースの回線101〜103を介して、通信を行う。各基地局装置12−1〜12−3は、回線101〜103を介して、例えば、端末装置11−1〜11−3の状態に関する情報をMME21に送信する。回線101〜103は、コントロールプレーン(Control−plane)である。
各基地局装置12−1〜12−3と、S−GW装置22とは、インタフェースの回線111〜113を介して、通信を行う。回線111〜113は、ユーザプレーン(User−plane)である。
MME装置21と、S−GW装置22とは、S11のインタフェースの回線104を介して、通信を行う。S−GW装置22は、回線104を介して、例えば、端末装置11−1〜11−3の状態に関する情報をMME装置21に送信する。回線104は、コントロールプレーン(Control−plane)である。
【0024】
S−GW装置22と、P−GW装置23とは、S5/S8のインタフェースの回線121、122を介して、通信を行う。回線121は、コントロールプレーン(Control−plane)である。回線122は、ユーザプレーン(User−plane)である。
P−GW装置23は、インタフェースの回線131を介して、ネットワーク24との間で通信を行う。回線131は、ユーザプレーン(User−plane)である。
【0025】
記憶装置25は、端末装置11−1〜11−3の状態に関する情報を記憶する。
本実施形態では、MME装置21が各基地局装置12−1〜12−3あるいはS−GW装置22から受信した情報、または、当該情報を用いて得られる情報が、記憶装置25に記憶される。
ここで、記憶装置25に記憶される情報は、例えば、MME装置21が各基地局装置12−1〜12−3から受信した情報と、MME装置21がS−GW装置22から受信した情報とのうちの任意の一方に基づいてもよく、または、両方に基づいてもよい。
一般に、S1−MMEのインタフェースの回線101〜103を流れる信号に基づいて、各端末装置11−1〜11−3の位置の情報が、各基地局装置12−1〜12−3ごとの単位で、記憶装置25に記憶(記録)される。
【0026】
管理装置26は、記憶装置25に記憶された情報に基づいて、端末装置11−1〜11−3の状態を管理する処理を行う。本実施形態では、端末装置11−1〜11−3の状態を管理する処理として、端末装置11−1〜11−3の集団移動の情報を取得する処理が行われる。
管理装置26は、例えば、人(管理者など)により操作されて動作してもよく、または、あらかじめ定められた規則にしたがって(自動的に)動作してもよい。
【0027】
[管理装置]
図2は、本発明の一実施形態に係る管理装置26の概略的な構成を示すブロック図である。
本実施形態では、管理装置26が独立な装置として、通信システム1に備えられている。または、管理装置26の機能が、通信システム1におけるいずれかの装置(例えば、MME装置21または他の装置)に備えられてもよい。または、管理装置26の機能が、通信システム1における2個以上の装置に分散されて備えられてもよい。
【0028】
管理装置26は、入力部211と、出力部212と、記憶部213と、状態検出部214と、制御部215を備える。
制御部215は、位置検出部231と、クラスタリング部232と、移動手段検出部233と、混雑度検出部234を備える。
【0029】
入力部211は、情報を入力する。入力部211は、例えば、他の装置から情報を入力してもよく、または、操作部を有し、人により行われた当該操作部の操作の情報を受け付けて入力してもよい。
出力部212は、情報を出力する。出力部212は、例えば、他の装置に情報を出力してもよく、一例として、ディスプレイ装置などの表示装置の画面に情報を表示出力してもよい。
記憶部213は、情報を記憶する。
【0030】
状態検出部214は、端末装置11−1〜11−3の状態の検出(推定的な検出でもよい。)を行う。本実施形態では、状態検出部214は、記憶装置25に記憶された情報(入力部211により入力された当該情報)に基づいて、S1とS11の一方または両方のシグナリング解析を行い、これにより、端末装置11−1〜11−3の状態を検出する。
具体例として、状態検出部214は、S1−MMEインタフェースとS11インタフェースの一方または両方を流れるデータ・パケットをモニタリングしてキャプチャし、端末装置11−1〜11−3ごとの単位で制御信号をマッピングして当該制御信号のシーケンスを解析することで、端末装置11−1〜11−3ごとの状態を検出する。端末装置11−1〜11−3ごとの状態には、例えば、端末装置11−1〜11−3ごとの位置の情報および移動に関する情報などが含まれてもよい。ここで、解析としては、例えば、S1APプロトコルとGTPv2プロトコルの一方または両方の解析が用いられてもよい。また、端末装置11−1〜11−3の特定を目的とせず識別を目的とする場合には、IMSIの単位でなく、TMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity)の単位で、端末装置11−1〜11−3の状態が検出および管理されてもよい。
【0031】
位置検出部231は、状態検出部214により検出された結果に基づいて、複数の端末装置11−1~11−3の位置の情報を検出する。なお、位置検出部231は、他の情報(例えば、入力部211により入力された情報、または記憶部213に記憶された情報など)に基づいて、複数の端末装置11−1~11−3の位置の情報を検出してもよい。
クラスタリング部232は、位置検出部231により検出された結果に基づいて、複数の端末装置11−1〜11−3についてクラスタリングの処理を行い、クラスタ(集団移動のクラスタ)を検出する。
移動手段検出部233は、クラスタリング部232により検出されたクラスタ(集団移動のクラスタ)に関し、移動手段を検出する。
混雑度検出部234は、移動手段検出部233により検出された移動手段に関し、混雑度を検出する(混雑度の詳細は、第2実施形態で説明する。)。
【0032】
[集団移動検出処理の具体例]
管理装置26により行われる集団移動検出処理の具体例を説明する。
図3は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る地
図301における端末装置11−1〜11−3の分布の一例を示す図である。
図3には、ある時刻で得られた情報として、地
図301における複数の端末装置11−1〜11−3の位置311を示してある。なお、
図3では、端末装置11−1〜11−3の位置311については、1箇所(1個の端末装置)のみに符号を付してある。
本例では、地
図301上に複数の端末装置11−1〜11−3(その位置)が分布している。
ここで、端末装置11−1〜11−3の位置を検出(例えば、推定的な検出でもよい。)する方法としては、任意の方法が用いられてもよく、例えば、ハンドオーバが発生した時刻およびそのときの端末装置11−1〜11−3の位置から線形補間を行う方法が用いられてもよい。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る地
図301の分割領域における端末装置11−1〜11−3の分布の一例を示す図である。
本例では、
図3に示される地
図301に、所定の格子321を設定して、格子状に分割された複数の領域(分割領域)を設定する。そして、複数の端末装置11−1〜11−3の位置311についてそれぞれの分割領域ごとにクラスタリングする。なお、各分割領域を識別する情報(例えば、番号など)は、例えば、複数の分割領域の並び順に付されてもよく、または、他の方法で付されてもよい。
本例では、例えば、地域によって基地局装置12−1〜12−3の粗密が異なる場合においても、密度に依存せずに、端末装置11−1〜11−3をクラスタ化することが可能である。
図4に示されるクラスタ分けは、ある時刻t(tは任意の時間)のスナップショットに基づいている。例えば、格子321の境界線付近に存在する端末装置11−1〜11−3は、地理的には近くに存在しても、隣り合う2個の分割領域のそれぞれに分離されて格納される場合がある。また、同じ分割領域の両端に存在する端末装置11−1〜11−3は、同じ分割領域に存在しても、地理的には遠くに存在する場合がある。
【0034】
ここで、本実施形態では、分割領域の形状として、格子状の四角形が用いられるが、他の構成例として、三角形、六角形、丸など、様々な形状が用いられてもよい。
また、分割領域の大きさ(サイズ)としては、様々な大きさが用いられてもよい。
【0035】
図5(A)は、複数の時刻(t−Δt)、t、(t+Δt)での地
図301−1〜301−3における端末装置11−1〜11−3の分布の一例を示す図である。
時刻(t−Δt)、時刻t、時刻(t+Δt)のそれぞれで、地
図301−1、地
図301−2、地
図301−3のそれぞれが得られている。時刻tは任意の時刻であり、Δtは任意の値である。
本例では、
図4に示されるような地
図301(スナップショット)を、事前に定められたパラメータ(スライディングウィンドウ)で示される数N(Nは2以上の整数)だけ時系列に配置する。なお、本例では、一例として、N=6が設定されているが、他の値が設定されてもよい。
【0036】
図5(B)は、はクラスタリングの一例を示す図である。
図5(B)には、時刻tの経過にしたがって複数の端末装置11−1〜11−3が移動する場合に、各時刻tで各端末装置11−1〜11−3が存在する分割領域361〜366を示してある。なお、
図5(B)では、各端末装置11−1〜11−3をそれぞれ異なる模様の丸印で示してある(
図5(B)では、10個の端末装置を示してある。)。分割領域361、362は時刻(t−Δt)での状況を表しており、分割領域363、364は時刻tでの状況を表しており、分割領域365、366は時刻(t+Δt)での状況を表している。
例えば、同じ分割領域から他の同じ分割領域へ移動した2以上の端末装置11−1〜11−3を、一緒に移動した端末装置11−1〜11−3として把握することが可能である。
【0037】
図6(A)は、複数の時刻t0〜t5(t0〜t5は次第に大きくなる任意の値)での地
図401における端末装置11−1〜11−3の分布の一例を示す図である。
図6(A)には、複数の時刻t0〜t5での情報が重ねられた結果である地
図401と、当該地
図401に設定された格子421と、当該地
図401における各端末装置11−1〜11−3の位置411が示されている。なお、
図6(A)では、端末装置11−1〜11−3の位置411については、1箇所(1個の端末装置)のみに符号を付してある。また、複数の端末装置11−1〜11−3のうちの3個の異なる端末装置A1〜A3について移動の様子を示してある。
【0038】
図6(B)は、複数の時刻t0〜t5での端末装置A1〜A3の移動の様子の一例を示す図である。なお、複数の時刻t0〜t5は、連続的に並んだ時刻である。
図6(B)には、時刻tの経過にしたがって3個の端末装置A1〜A3が移動する場合に、各時刻tで各端末装置A1〜A3が存在する分割領域501〜513を示してある。なお、
図6(B)では、各端末装置A1〜A3をそれぞれ異なる模様の丸印で示してある。
【0039】
図6(B)の例では、時刻t0において、各端末装置A1、A2、A3は、それぞれ、異なる分割領域501、502、503に存在する。時刻t1において、すべての端末装置A1、A2、A3は、同じ分割領域504に存在する。時刻t2において、2個の端末装置A1、A3は同じ分割領域505に存在し、1個の端末装置A2は他の分割領域510に存在する。時刻t3において、2個の端末装置A1、A3は同じ分割領域506に存在し、1個の端末装置A2は他の分割領域511に存在する。時刻t4において、各端末装置A1、A2、A3は、それぞれ、異なる分割領域507、512、508に存在する。時刻t5において、2個の端末装置A1、A3は同じ分割領域509に存在し、1個の端末装置A2は他の分割領域513に存在する。
【0040】
なお、
図6(B)の例において、分割領域501〜513に付した符号「501〜513」は、説明の便宜上のものであり、必ずしも処理の順序を表わすものではない。一例として、
図6(A)に示される格子状の複数の分割領域に対して、左の列から右の列に向かって順番に各列で上から下への順で分割領域に番号を付し、その番号の順に処理を行う構成が用いられてもよい。他の例として、
図6(B)に示される抽出された複数の分割領域501〜513について、左の列から右の列に向かって順番に各列で上から下への順で処理を行い、上から下へ行くときに分岐があるところでは左の列から右の列に向かって順番に処理を行う構成が用いられてもよい。また、処理の順序としては、必ずしも、上から下あるいは左から右が用いられなくてもよく、適宜、任意の処理順序が設定されてもよい。
【0041】
図7(A)は、複数の時刻t0〜t5での地
図401における端末装置11−1〜11−3の分布の一例を示す図である。
図7(A)は、
図6(A)と同じ図である。
図7(B)は、複数の時刻t0〜t5での端末装置11−1〜11−3のクラスタリングの一例を示す図である。
図7(B)の例では、スライディングウィンドウのサイズであるNと、所定の閾値Xを用いて、N個のスナップショットのうちX個以上のスナップショットで同じ分割領域に格納されている端末装置11−1〜11−3を、一緒に移動している端末装置11−1〜11−3(集団移動をしている端末装置11−1〜11−3)である、と判定する。本例では、N=6、X=4である。
【0042】
図6(B)に示されるように、端末装置A1と端末装置A3については、6個の時刻t0〜t5のうち4個の時刻t1、t2、t3、t5で同じ分割領域504、505、506、509に存在したため、一緒に移動している(集団移動をしている)と判定する。この結果に基づいて、
図7(B)に示されるように、端末装置A1と端末装置A3については、時刻t0では異なるクラスタ561、563に格納されるが、その後、時刻t1〜t5では同じクラスタ564〜568に格納される、と判定する。
一方、
図6(B)に示されるように、端末装置A2については、6個の時刻t0〜t5のうち1個の時刻t1のみで他の端末装置A1、A3と同じ分割領域504に存在したため、一緒に移動していない(集団移動をしていない)と判定する。この結果に基づいて、
図7(B)に示されるように、端末装置A2については、時刻t0〜t5のすべてで、単独でクラスタ562、569〜573に格納される、と判定する。
図6(B)と
図7(B)を比較すると、時刻t1では、端末装置A2は、他の端末装置A1、A3と同じ分割領域504に格納されていたが、別のクラスタ569に分類される。また、
図6(B)と
図7(B)を比較すると、時刻t4では、端末装置A1、A3は、別の分割領域507、508に格納されていたが、同じクラスタ567に分類される。
【0043】
図8(A)は、複数の時刻t0〜t5での地
図401における端末装置11−1〜11−3の分布の一例を示す図である。
図8(A)は、
図6(A)および
図7(A)と同じ図である。
【0044】
図8(B)は、複数の時刻t0〜t5での地
図401におけるクラスタリング結果の表示の一例を示す図である。
図8(B)には、複数の時刻t0〜t5での情報が重ねられた結果である地
図401と、当該地
図401に設定された格子421と、当該地
図401における各端末装置11−1〜11−3の位置411が示されている。なお、
図8(B)では、端末装置11−1〜11−3の位置411については、1箇所(1個の端末装置)のみに符号を付してある。また、複数の端末装置11−1〜11−3のうちの3個の異なる端末装置A1〜A3のクラスタリング結果について移動の様子を示してある。具体的には、
図7(B)に示されるクラスタリング結果に基づいて、2個の端末装置A1、A3が同じクラスタに格納されると判定された時刻t1〜t5については、これらの端末装置A1、A3をまとめた集合としての集団移動A4の位置(集団移動のクラスタの位置)の移動の様子が示されている。このようにクラスタの位置および移動が地図上に可視化されることで、2個以上の端末装置11−1〜11−3が一緒に移動する集団移動を人によって容易に捉えることが可能となる。
【0045】
一構成例として、本実施形態では、N個の異なる時刻における複数の端末装置11−1〜11−3の位置の情報に基づいて、N個のうちのX個以上の時刻において同じ分割領域に存在した2個以上の端末装置11−1〜11−3について、集団移動をしていると判定する。X個の時刻は、本実施形態では、N個の時刻の中で不連続な時刻でもよいという条件が用いられるが、他の構成例として、N個の時刻の中で連続した時刻であるという条件が用いられてもよい。また、N個の時刻は、例えば、等間隔であってもよく、または、等しくない間隔を含んでもよい。
【0046】
他の構成例として、所定の長さM(Mは0より大きい値)の時間における複数の端末装置11−1〜11−3の位置の情報に基づいて、長さMのうちの長さY(Yは0より大きくM以下の値)以上の時間において同じ分割領域に存在した2個以上の端末装置11−1〜11−3について、集団移動をしていると判定する、構成が用いられてもよい。長さYの時間は、例えば、長さMの時間の中で不連続な時間でもよいという条件が用いられてもよく、または、長さMの時間の中で連続した時間であるという条件が用いられてもよい。
【0047】
ここで、本実施形態では、2以上の任意の数の端末装置11−1〜11−3について集団移動を検出したが、他の構成例として、2以上の所定の数(例えば、2、3、4など)が設定されて、当該数の端末装置11−1〜11−3について集団移動を検出することが行われてもよい。
また、本実施形態では、各端末装置11−1〜11−3の位置の情報を常時(例えば、定期的なタイミングで)検出するが、他の構成例として、所定のイベントが発生したタイミングで、各端末装置11−1〜11−3の位置の情報を検出する構成が用いられてもよい。当該イベントとしては、例えば、2個の基地局装置12−1〜12−3の間におけるハンドオーバが用いられてもよく、端末装置11−1〜11−3のハンドオーバが発生したタイミングで得られた当該端末装置11−1〜11−3の位置の情報が用いられてもよい。この位置は、例えば、ハンドオーバに係る2個の基地局装置12−1〜12−3の位置に基づいて決定されてもよく、一例として、ハンドオーバに係る2個の基地局装置12−1〜12−3の位置の中点の位置などが用いられてもよい。
【0048】
また、2個以上の端末装置11−1〜11−3が格納されるクラスタの位置を決定する方法としては、任意の方法が用いられてもよく、例えば、同じクラスタに格納される2個以上の端末装置11−1〜11−3(例えば、集団移動をしていると予測されるもの)の位置の平均(例えば、重心)の位置を当該クラスタの位置として設定する方法が用いられてもよく、または、同じクラスタに格納される2個以上の端末装置11−1〜11−3(例えば、集団移動をしていると予測されるもの)のうちで代表となる1個の端末装置11−1〜11−3を決定して、当該端末装置11−1〜11−3の位置を当該クラスタの位置として設定する方法が用いられてもよい。
【0049】
[管理装置において行われる処理の具体例]
本実施形態では、管理装置26において、次のような処理を行う。
位置検出部231が、複数の端末装置11−1~11−3の位置の情報(一例として、
図4に示される位置の情報)を検出する。
クラスタリング部232が、位置検出部231により検出された結果に基づいて、複数の端末装置11−1〜11−3についてクラスタリングの処理(一例として、
図6および
図7を参照して説明されたクラスタリングの処理)を行い、集団移動のクラスタを検出する。
【0050】
移動手段検出部233が、クラスタリング部232により検出された集団移動のクラスタに関し、移動手段を検出する。
ここで、集団移動の移動手段としては、一例として、電車がある。つまり、同じ電車に乗車して移動する複数の人により携帯される端末装置11−1〜11−3が集団で移動する場合がある。
また、集団移動の移動手段としては、他の例として、バスがある。つまり、同じバスに乗車して移動する複数の人により携帯される端末装置11−1〜11−3が集団で移動する場合がある。
また、集団移動の移動手段としては、例えば、他のものが用いられてもよく、具体例として、公共の交通機関が用いられてもよい。
【0051】
例えば、電車あるいはバスなどの移動手段ごとに、定員あるいは移動速度などが異なり得る。このため、一例として、管理装置26において、移動手段ごとに、定員あるいは移動速度などの閾値を設定しておき、そして、移動手段検出部233は、定員あるいは移動速度などが当該閾値に関する所定の条件(例えば、閾値以上または閾値未満など)を満たす集団移動(クラスタ)を、当該条件に対応する移動手段による集団移動として検出する、構成が用いられてもよい。
【0052】
また、移動手段検出部233は、例えば、移動手段を特定せずに他の移動手段に対して識別可能に検出してもよく、または、移動手段を特定して検出してもよい。移動手段を特定して検出する一例では、特定の一つの電車あるいはバスなどを決定して移動手段を検出する。移動手段を特定せずに他の移動手段に対して識別可能に検出する一例では、特定の一つの電車あるいはバスなどは決定されないが、同じ移動手段であることを検出する。
なお、移動手段検出部233は、例えば、電車あるいはバスなどの時刻表あるいはその遅延などの情報を用いて、電車あるいはバスなどを特定してもよい。
【0053】
また、管理装置26では、位置検出部231、クラスタリング部232、あるいは移動手段検出部233により得られた結果などの情報を、出力部212により出力することが行われてもよい。一例として、このような情報が出力部212により画面に表示出力されてもよい。例えば、このような情報がネットワーク等の運用担当者に提示されることで、各種の分析および判定などが可能である。
また、管理装置26では、位置検出部231、クラスタリング部232、あるいは移動手段検出部233により得られた結果などの情報を、記憶部213により記憶することが行われてもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、複数の端末装置11−1〜11−3のそれぞれの位置の情報を検出し、その検出結果に基づいて、一緒に移動していると推測される2個以上の端末装置11−1〜11−3のクラスタリングを行い、集団移動を検出する。
したがって、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、2個以上の端末装置11−1〜11−3の集団移動を管理することが可能となる。
このように、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、端末装置11−1〜11−3の集団移動を把握することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、集団移動の移動手段を検出する。
したがって、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、2個以上の端末装置11−1〜11−3の集団移動に関し、移動手段を管理することが可能となる。
【0056】
本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、例えば、端末装置11−1〜11−3の集団移動を正確に精度よく監視することが可能であり、高品質なサービスの提供などに役立てることができる。
また、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、例えば、各端末装置11−1〜11−3の位置、移動または集団移動の軌跡などと、当該各端末装置11−1〜11−3の状態とを対応付けて管理(例えば、記憶など)することで、各端末装置11−1〜11−3の位置、移動または集団移動と、当該各端末装置11−1〜11−3の通信行動などとの相互関係を管理することが可能である。
また、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、例えば、各端末装置11−1〜11−3の位置、移動または集団移動と、当該各端末装置11−1〜11−3の通信行動などとの相互関係を管理することで、ネットワークの負荷を予測することが可能である。
【0057】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態とは異なる構成および動作について説明する。なお、説明の便宜上、第1実施形態と同じ符号(図に付された符号)を用いて説明する。
本実施形態では、管理装置26において、混雑度検出部234は、集団移動に関し、混雑度を検出(本実施形態では、推定的に検出)する。
ここで、本実施形態では、移動手段として電車が用いられる場合を示すが、他の移動手段についても同様である。
【0058】
[混雑度検出処理の具体例]
図9は、本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る電車の混雑度を検出する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、
図9に示される電車の混雑度を検出する処理を周期的に行う場合を示す。この周期は、任意であってもよい。
管理装置26において、混雑度検出部234は、ステップS1〜ステップS4の処理を周期的に行う。
【0059】
<ステップS1>
まず、混雑度検出部234は、移動手段検出部233により検出された結果に基づいて、端末装置11−1〜11−3が集団移動をしている移動手段を判定する。本実施形態では、当該移動手段は電車であるとする。本実施形態では、LTEの制御信号に基づいて、LTEの端末装置11−1〜11−3の集団移動および移動手段が検出されている。
【0060】
<ステップS2>
混雑度検出部234は、個々の電車(移動手段の一例)ごとを単位として、同じ電車で集団移動をしている複数の端末装置11−1〜11−3の数を検出(例えば、算出)する。
【0061】
<ステップS3>
混雑度検出部234は、同じ電車で集団移動をしている複数の端末装置11−1〜11−3の数の検出結果を補正する。
本実施形態では、混雑度検出部234は、同じ電車で集団移動をしている端末装置11−1〜11−3の数として、LTEの制御信号に基づいて算出される値を検出している。このため、当該値は、LTE以外を使用する端末装置の寄与分を含んでおらず、現実の乗車人数(現実の端末装置の数)とは乖離がある。そこで、混雑度検出部234は、同じ電車で集団移動をしている複数の端末装置11−1〜11−3の数の検出結果に対して所定の補正係数を乗算する補正を行い、補正後の値を検出する。
【0062】
ここで、所定の補正係数としては、例えば、LTEなどのキャリアに関するキャリア別のシェア率、LTEの普及率、あるいは、地域ごとの特性などを考慮した値が用いられてもよい。一例として、平成26年に総務省から発表されたLTEの普及率をもとに概算すると、およそLTEのユーザ数(LTEの端末装置の数)を6倍することで、およその端末装置の総数(乗車人数)を求めることができる。
なお、本実施形態では、端末装置の数と、当該端末装置を携帯している人の数とが同じであるとしているが、他の構成例として、これらの数が異なっているとして、補正を行ってもよい。
【0063】
<ステップS4>
混雑度検出部234は、同じ電車で集団移動をしている複数の端末装置11−1〜11−3の数の検出結果を補正した結果(補正値)に基づいて、当該電車の混雑度を検出(本実施形態では、推定)する。
ここで、混雑度としては、任意に定義された値が用いられてもよい。一例として、電車の車両の数および各車両の定員の数が定められている場合に、当該電車の全体としての定員の数が定められる。そして、乗車率(=検出された実際の乗車人数/定員の数)が混雑度として検出されてもよい。
【0064】
[管理装置において行われる処理の具体例]
本実施形態では、管理装置26において、次のような処理を行う。
混雑度検出部234が、移動手段(本実施形態では、電車)の混雑度を検出する。
また、管理装置26では、混雑度検出部234により得られた結果などの情報を、出力部212により出力することが行われてもよい。一例として、このような情報が出力部212により画面に表示出力されてもよい。例えば、このような情報がネットワーク等の運用担当者に提示されることで、各種の分析および判定などが可能である。
また、管理装置26では、混雑度検出部234により得られた結果などの情報を、記憶部213により記憶することが行われてもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、電車などの移動手段の混雑度を検出する。
したがって、本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、移動手段の混雑度(集団移動の混雑度)を管理することが可能となる。
本実施形態に係る通信システム1では、管理装置26において、例えば、移動手段の混雑度を監視することが可能であり、高品質なサービスの提供などに役立てることができる。
なお、混雑度の検出処理においては、例えば、各端末装置11−1〜11−3(各個人)が特定されなくてもよく、別の端末装置11−1〜11−3との間で識別されればよい。
【0066】
(以上の実施形態のまとめ)
一構成例として、複数の端末装置11−1〜11−3のそれぞれの位置を検出する位置検出部231と、位置検出部231による検出の結果に基づいて、2以上の端末装置11−1〜11−3の位置が同じ領域(本実施形態では、分割領域)に存在した状況が所定の条件を満たす場合に、これら2以上の端末装置11−1〜11−3を同じクラスタ(集団移動のクラスタ)に分類するクラスタリング部232と、を備える管理装置26である。
一構成例として、管理装置26において、クラスタリング部232は、2以上の端末装置11−1〜11−3の位置が同じ領域に存在した状況として、複数(例えば、N個)の時刻のそれぞれにおける状況を検出し、クラスタリング部232は、所定の条件として、所定の数(例えば、X個)の時刻において2以上の端末装置11−1〜11−3の位置が同じ領域に存在したという条件を使用する。
一構成例として、管理装置26において、クラスタリング部232は、2以上の端末装置11−1〜11−3の位置が同じ領域に存在した状況として、所定の第1長さ(例えば、M)の時間における状況を検出し、クラスタリング部232は、所定の条件として、所定の第2長さ(例えば、Y)の時間において2以上の端末装置11−1〜11−3の位置が同じ領域に存在したという条件を使用する。
一構成例として、管理装置26において、クラスタリング部232により分類されたクラスタに基づく端末装置11−1〜11−3の集団移動に関して、移動手段を検出する移動手段検出部233を備える。
一構成例として、管理装置26において、移動手段検出部233により検出された移動手段に関して、所定の混雑度を検出する混雑度検出部234を備える。
一構成例として、位置検出部231が、複数の端末装置11−1〜11−3のそれぞれの位置を検出し、クラスタリング部232が、位置検出部231による検出の結果に基づいて、2以上の端末装置11−1〜11−3の位置が同じ領域に存在した状況が所定の条件を満たす場合に、これら2以上の端末装置11−1〜11−3を同じクラスタに分類する、管理方法(管理装置26において行われる方法)である。
一構成例として、位置検出部231が、複数の端末装置11−1〜11−3のそれぞれの位置を検出するステップと、クラスタリング部232が、位置検出部231による検出の結果に基づいて、2以上の端末装置11−1〜11−3の位置が同じ領域に存在した状況が所定の条件を満たす場合に、これら2以上の端末装置11−1〜11−3を同じクラスタに分類するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム(管理装置26において実行されるプログラム)である。
【0067】
[以上の実施形態のまとめ]
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0068】
また、以上に示した実施形態に係る各装置(例えば、管理装置26など)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。