特許第6661329号(P6661329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661329
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 3/04 20060101AFI20200227BHJP
   A47C 4/04 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   A47C3/04
   A47C4/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-209170(P2015-209170)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-79879(P2017-79879A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】黒尾 智也
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0111412(KR,A)
【文献】 特開2004−344438(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0079727(KR,A)
【文献】 特開2012−090792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C3/04
A47C4/04
A47C5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座を跳ね上げて前後にネスティング可能な椅子において、
後下方に向かって延びる左右の後向き脚を前下方に向かって延びる左右の前向き脚の内側に配置し、
これら後向き脚と前向き脚を中間で交叉するように幅方向に連結して、
少なくとも使用状態で後向き脚と前向き脚が一定角度をなすように構成し
左右の後向き脚の間を連結部材によって連結して、前記連結部材の上面を座受けとし、
前記座を跳ね上げた自立状態において、前記座の後縁が前記座受けよりも上方に配置されるように構成したことを特徴とする椅子。
【請求項2】
前向き脚の交叉部よりも上端部側で座を回転軸に支持させ、後向き脚の上端部に前記座受けを設定して着座状態の姿勢を保つ請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
後向き脚および前向き脚の脚材は平面視直線状のものである請求項1又は2に記載の椅子。
【請求項4】
交叉部を挟んで左右の後向き脚の上端部側の間を前記連結部材によって連結し、前記交叉部を挟んで左右の後向き脚の下端部側の間をもう一つの連結部材によって連結している請求項1〜3の何れかに記載の椅子。
【請求項5】
左右の前向き脚間は、左右の後向き脚間を連結する前記連結部材よりも上方で連結されている請求項4に記載の椅子。
【請求項6】
座の後部下方が左右の前向き脚の上端部側を連結する支持杆に支持され、この支持杆の一部に回転軸が設定されるとともに、左右の後向き脚の上端部間が前記連結部材で連結され、当該連結部材の上面が前記座受けとされている請求項2〜5の何れかに記載の椅子。
【請求項7】
支持杆は中央の座取付領域を両側の前向き脚への被取付領域よりも少なくとも上方へ偏倚させた形状であり、前記座取付領域に前記回転軸が設定される請求項6に記載の椅子。
【請求項8】
座の下面であって前記座受けに対応する位置に、当該座の下面から突出する座側被支持部を設けている請求項2〜7の何れかに記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構造で脚の材質によらずネスティングを有効に実現できるようにした椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、不使用時の椅子をコンパクトに収納するために、パイプ椅子のようにそれ自体が平坦に折り畳まれるタイプのものや、機能や外観、素材等に起因して折り畳みができないために自立状態で前後に重ね合わせる所謂ネスティングができるタイプのもの等が知られている。
【0003】
このうち、ネスティング可能な椅子としては、特許文献1等に示すものを挙げることができる。
【0004】
この椅子は、座を跳ね上げて前後にネスティングできるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−134124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このものは、後下方に向かって延びる左右の後向き脚と前下方に向かって延びる左右の前向き脚とを一本の脚材をねじることによって構成されている。このため、脚材が金属製のパイプフレーム等に限定されるという問題がある。
【0007】
これに対し、後向き脚と前向き脚を幅方向に重ね合わせて連結することも考えられるが、同引用文献1のように後向き脚を前向き脚の外側に配置し、交叉部付近において左右の後向き脚間に強度部材(背支持部材)を架設すると、ネスティングの際に後方から近づけた別の椅子の後向き脚や前向き脚が強度部材と干渉するため、スタックピッチが制限されてしまう。
【0008】
また、前向き脚と後向き脚の境界部に座の回転軸と座受けを配置すると、トルクアームが短くなるため、座受けに高荷重が作用し易くなり、前向き脚と後向き脚の境界部に必要以上に高い剛性をもたせなければならなくなるという課題もある。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解消し、簡易な構造であっても荷重を確実に支持でき、かつ脚材によらずにネスティングを有効に実現できるようにした椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明の椅子は、座を跳ね上げて前後にネスティング可能な椅子において、後下方に向かって延びる左右の後向き脚を前下方に向かって延びる左右の前向き脚の内側に配置し、これら後向き脚と前向き脚を中間で交叉するように幅方向に連結して、少なくとも使用状態で後向き脚と前向き脚が一定角度をなすように構成し、左右の後向き脚の間を連結部材によって連結して、前記連結部材の上面を座受けとし、前記座を跳ね上げた自立状態において、前記座の後縁が前記座受けよりも上方に配置されるように構成したことを特徴とする。
【0012】
すなわち、後向き脚と前向き脚の内外関係を、脚同士を交叉させずに実現しようとすると、後向き脚と前向き脚の連結構造が特殊になったり、脚材のねじり加工等が必要になるが、脚同士を交叉させれば簡素な脚材の重ね合わせで簡単に実現することができる。
【0013】
また、前向き脚は交叉部よりも上端側に背凭れや座の支持杆等を取り付ければ比較的簡単に剛性を出せるが、前向き脚の剛性を出すためには適宜箇所を強度部材で連結することが必要になってくる。この場合、後ろ向き脚が前向き脚の外側に配置されていると、ネスティングの際に後方から別の椅子を近づけたときに、後方の椅子の連結部材が前方の椅子の前向き脚等と干渉してスタックピッチが制限される。これに対して、本発明のように後向き脚を前向き脚の内側に配置しておけば、左右の後向き脚間が強度部材で連結されていても、ネスティングの際に強度部材が前方の椅子の左右の前向き脚間に干渉することなく進入することができるので、スタックピッチが制限されることを回避することができる。
【0014】
座受けの負荷を軽減するためには、前向き脚の交叉部よりも上端部側で座を回転軸に支持させ、後向き脚の上端部に座受けを設定して着座状態の姿勢を保つように構成することが好ましい。
【0015】
以上を踏まえれば、後向き脚および前向き脚の脚材は平面視直線状のものが好適であり、また、交叉部を挟んで左右の後向き脚の上端部側の間を上記連結部材によって連結し、交叉部を挟んで左右の後向き脚の下端部側の間をもう一つの連結部材によって連結することが望ましい。
【0016】
加えて、ネスティングの便のために、左右の前向き脚間は、左右の後向き脚間を連結する連結部材よりも上方で連結されていることが好ましい。
【0017】
構造の簡素化とともに、ネスティングの邪魔にならないように部品点数の効果的な削減を図るためには、座の後部下方が左右の前向き脚の上端部側を連結する支持杆に支持され、この支持杆の一部に回転軸が設定されるとともに、左右の後向き脚の上端部間が連結部材で連結され、当該連結部材の上面が座受けとされていることが望ましい。
【0018】
この場合、座の跳ね上げがネスティングに必要な下方空間を狭めることを有効に回避するためには、支持杆は中央の座取付領域を両側の前向き脚への被取付領域よりも少なくとも上方へ偏倚させた形状であり、前記座取付領域に前記回転軸が設定されることが好ましい。
【0019】
上記以外にネスティングの便を向上させるためには、座の下面であって座受けに対応する位置に、当該座の下面から突出する座側被支持部を設けていることが好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明した構成であるから、簡易な構造であっても荷重を確実に支持でき、かつ脚材によらずにネスティングを有効に実現できるようにした椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る椅子の使用状態を示す斜視図。
図2】同正面図。
図3】同平面図。
図4】同右側面図。
図5】同実施形態に係る椅子の座を跳ね上げた状態を示す斜視図。
図6】同正面図。
図7】同平面図。
図8】同右側面図。
図9】同椅子の一部分解斜視図。
図10】同椅子のネスティングを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
図1及び図5に示す椅子Aは、木製のもので、座1が跳ね上げ可能、かつ自立状態のままで前後に重ね合わせてネスティング可能なように構成されている。
【0024】
具体的に説明すると、この椅子Aは、後下方に延びる後向き脚2と、前下方に延びる前向き脚3とを中間部で幅方向に連結し、後向き脚2の上端部2bに座受け2xを配するとともに、前向き脚3の上端部3b側に回転軸mを設けて座1の後縁1a側の下面1cを回転可能に支持している。そして、前向き脚3の上端部3bに背支桿4を一体に連接し、左右の背支桿4、4間に背5を取り付けている。
【0025】
図3及び図4に示すように、前向き脚3は、下端部3aから上端部3bに向かって漸次幅広となる側面視形状を有し、平面視形状は直線状をなしている。後向き脚2も、下端部2aから上端部2bに向かって漸次幅広となる側面視形状を有し、平面視形状は直線状をなしている。さらに、背支桿4は下端部4aから上端部4bに向かって漸次幅狭となる側面視形状を有し、平面視形状は直線状をなしている。この背支桿4と前記前向き脚3とは部材同士を接合したものでもよく、部材から一体に切り出すなどして形成したものでも構わない。
【0026】
左右の後向き脚2、2の間は、図2及び図5に示すように、幅方向に延びる第1の連結部材21および第2の連結部材22によって梯子状に連結されている。第1の連結部材21は左右の後向き脚2の上端部2b付近の内面2c、2c間を連結し、第2の連結部材22は後述する後向き脚2と前向き脚3との連結位置Jを挟んで第1の連結部材21と反対側に位置する部位における内面2c、2c間を連結するもので、何れも平面視及び正面視が直線形状をなしている。
【0027】
これら前向き脚3、後向き脚2、背支桿4、第1、第2の連結部材21、22には、全て同じ木製角材が用いてある。
【0028】
そして、後向き脚2を前向き脚3の内面3c側に位置づけて側面視X字状に交叉させ、その交叉角度を維持した状態で、後向き脚2と前向き脚3とを連結部材7によって幅方向に連結している。連結部材7は、図9(a)に示すようにL字金具によって構成されたもので、前向き脚3の内面3cに当該連結部材7の一片71を挟み込んだ状態で後向き脚2の内面2cを当てがい、後向き脚2および連結部材7の一片71に挿入した皿ビス等の止着具v1を前向き脚3の内面3cに緊締している。そしてその取付時に、連結部材7の他片72が後向き脚2の前面2dに添接している状態にしておき、前方から他片72に挿通した皿ネジ等の止着具v2を後向き脚2の前面2dに緊締している。
【0029】
一方、図1及び図5に示すように、左右の前向き脚3、3の間は、背凭れ5と座回転支持部6によって連結されている。背凭れ5は、合板を前方が凹となるように湾曲させたもので、斜め前側方に延びる左右の湾曲部51の背面側に設定した被取付部位51aと、背支桿4の対応するコーナーに面取り加工して形成した取付部位41とを突き当て、背凭れ51の前面側からダボ等の止着具v3を挿入して背支桿4に取り付け固定している。座回転支持部6は、図5及び図9(b)等に示すように、左右の前向き脚3の上端部3b近傍における内面3c、3c間に亘って取り付けた支持杆61と、この支持杆61に回転可能に取り付けた回転部材62とを備えている。支持杆61は、同軸上に位置する左右の被取付領域61a、61aと、この左右の被取付領域61a、61aの間にあって当該被取付領域61aの中心nに対して、図6に示すように上方にΔ1、図7に示すように後方にΔ2だけ偏倚した位置に軸心mを持ち出した座取付領域61bとを丸棒状鋼材の塑性変形加工によって形成したものである。一方、回転部材62は、図9等に示すように扁平な箱舟状のもので、支持杆61の座取付領域61bの左右2箇所を軸承するリブ等からなる上向き略半円状の軸承部62aと、これらの軸承部62aとの間で支持杆61の座取付領域61bを挟み込むようにして軸承部62aの周辺に係合する下向き略半円状の押さえ部材62bとを有し、その状態で回転部材62の挿通孔62cに下方から挿通したねじ等の止着具v4を図6に示す座1の下面1cに緊締している。その際、図9(b)に示す支持杆61の座取付領域61bと回転部材62の間には規制部材62cを用いて座1を所定の跳ね上げ位置にクリックストップさせるストッパ機構を構成している。このストッパ機構は、規制部材62cが座取付領域61bとの間の適宜の凹凸係合構造(不図示)によって、座1を跳ね上げた位置(1箇所又は2箇所)で安定的に仮保持するものであり、保持力を超える力を付与することによって保持状態を解除可能としている。
【0030】
以上の結果、この椅子Aは、前向き脚3と後向き脚4が図1に示す使用状態においても図5に示す座1の跳ね上げ状態においても常時一定角度を保って自立状態とされる。そして、後向き脚2の上端部2b間を連結する第1の連結部材21は上面が水平状態とされ、この上面が座受け2xに設定されている。
【0031】
そして、座1の下面1cであって、座1が図6に示す支持杆61の取付領域61bの軸心m回りに回転した際に第1の連結部材21の上面の座受け2xと当接する位置に、座側被支持部材11を突出させて取り付けており、この座側被支持部材11が座受け2xに当接した図2及び図4の状態で座1が所定角度の使用位置に支持されて着座者の荷重を受け得るようにしている。
【0032】
また、軸心mを偏倚させることによって、図6に示すように跳ね上げた座1の後縁1aを少なくとも支持杆61の左右の取付領域61aの高さ位置まで持ち上げており、また図7に示すように座1の上面1dを背凭れ5の前面5aに極力近づける位置まで後退させている。
【0033】
このように構成される椅子Aの座1を図5及び図8に示すように跳ね上げた状態で、図10に示すように前方の椅子Afの後方から別の椅子Abを近づけると、後方の椅子Abの座受け2x(Ab)が前方の椅子Afを構成する座1(Af)の後縁1a(Af)の下を通り、かつ後方の椅子Abを構成する左右の後向き脚2(Ab)が前方の椅子Afを構成する左右の前向き脚3(Af)の内面間を通過して前方の椅子Afの後向き脚2(Af)に近づき、同時に後方の椅子Abを構成する左右の前向き脚3(Ab)が前方の椅子Afを構成する左右の後向き脚2(Af)の外側に入り込む。さらに、後方の椅子Abの背凭れ5(Ab)はその凹となる内側に前方の椅子Afの背凭れ5(Af)および背支桿4(Af)を受け入れ、前方の椅子Afを構成する背凭れ5(Af)の背面5c(Af)が後方の椅子Abを構成する座1(Ab)の下面1c(Ab)に当接ないし近接した位置でネスティングが完了する。
【0034】
この際、図2に示すように、左右の前向き脚3の内面3c、3c間の内法寸法W1に比べて左右の後向き脚2の外面2d、2d間の外法寸法W2は、少なくとも連結部材7の一片71の厚み2枚分相当だけ小さいため、図10に示す後方の椅子Abを構成する後向き脚2(Ab)は前方の椅子Afを構成する前向き脚3(Af)の内側に、また後方の椅子Abを構成する前向き脚3(Ab)は前方の椅子Afを構成する後向き脚2(Af)の外側に、それぞれスムーズに重合することができる。
【0035】
この椅子Aを移動させるときは、跳ね上げた状態で図5に示す後向き脚2,2間を連結する第1の連結部材21と背凭れ5の下縁5bが持ち手となるため、キャスター等を設けずとも簡単に運搬することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の椅子Aは、座1を跳ね上げて前後にネスティング可能なものにおいて、後下方に向かって延びる左右の後向き脚2を前下方に向かって延びる左右の前向き脚3の内側に配置し、これら後向き脚2と前向き脚3を中間で交叉するように幅方向に連結して、少なくとも使用状態で後向き脚2と前向き脚3が一定角度をなすように構成したものである。
【0037】
このように、後向き脚2と前向き脚3の内外関係を部材を交叉させることにより実現しているので、簡素な脚材を用いてネスティングに必要な脚構造を簡単に実現することができる。また、前向き脚3の剛性を出すうえで適宜箇所を強度部材で連結するにあたり、本実施形態のように後向き脚2を前向き脚3の内側に配置しておけば、左右の後向き脚2、2間が連結部材21、22で連結されていても、ネスティングの際に連結部材21、22が前方の椅子Afの左右の前向き脚3、3間に干渉することなく進入することができるので、スタックピッチが制限されることを有効に回避することができる。
【0038】
また、前向き脚3の交叉部Jよりも上端部3b側で座1を回転軸mに支持させ、後向き脚2の上端部2bに座受け2xを設定して着座状態の姿勢を保つようにしており、回転軸mと座受け2xの間の距離を離すことができるので、トルクアームが大きくなり、座受け2xに高荷重が作用することを有効に回避することができる。
【0039】
さらに、後向き脚2および前向き脚3の脚材は平面視直線状のものを用いている。すなわち、本実施形態では、後向き脚2と前向き脚3の内外関係を保つことでネスティングが可能となるため、脚材はむしろこのようなシンプルな構造が適しており、構造の簡素化や脚材の多様化にも通ずるものとなる。
【0040】
特に、交叉部Jを挟んで左右の後向き脚2の上端部2b側の間および下端部2a側の間を、それぞれ連結部材21、22によって連結している。すなわち、本実施形態では後向き脚2の構造がネスティングに影響を及ぼさないため、このように左右の後向き脚2、2間を適切な位置で連結して剛性を高めることができる。
【0041】
この場合、左右の前向き脚3、3間は、左右の後向き脚2、2間を連結する連結部材21、22よりも上方で連結されているので、ネスティングする際、これら左右の後向き脚2、2間の連結部材21,22が左右の前向き脚3、3間の連結部分と干渉することを回避することができる。
【0042】
具体的構成としては、座1の後縁1a側の下方が左右の前向き脚3の上端部3b側を連結する支持杆61に支持され、この支持杆61の一部に回転軸mが設定されるとともに、左右の後向き脚2の上端部2b、2b間が連結部材21で連結され、当該連結部材21の上面が座受け2xとされており、剛性を高めるための部材に回転軸mや座受け2xの機能を兼ねさせているので、構造の簡素化とともに、ネスティングの邪魔にならないように部品点数の効果的な削減を図ることができる。
【0043】
その際、支持杆61は中央の座取付領域61bを両側の前向き脚3への被取付領域61aよりも少なくとも上方へ偏倚させて回転軸mを持ち上げているため、座1を跳ね上げたときの座1の後縁1aをこれに伴って上方に持ち上げることができ、ネスティングに必要な下方空間を狭めることを有効に回避することができる。
【0044】
さらに、座1の下面1cであって座受け2xに対応する位置に、当該座1の下面1cから突出する座側被支持部11を設けており、座受け2xの位置を低く抑えることができるので、ネスティング時に起立した座1の後縁1aを通し易くすることができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、脚や連結部材の素材を始めとして、各部の具体的な構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…座
1a…後縁
1c…下面
2…後向き脚
2a…下端部
2b…上端部
2x…座受け
3…前向き脚
3b…上端部
11…座側被支持部(座側被支持部材)
21…第1の連結部材
22…第2の連結部材
61…支持杆
61a…被取付領域
61b…座取付領域
A…椅子
J…交叉部
m…回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10