(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661341
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】ソーラーモジュール据え付け用のエンドホルダ及び固定システム
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20200227BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20200227BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20200227BHJP
H02S 20/30 20140101ALI20200227BHJP
【FI】
E04D13/18ETD
H02S20/23 A
H02S20/10 M
H02S20/30 Z
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-230296(P2015-230296)
(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-118091(P2016-118091A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2018年5月29日
(31)【優先権主張番号】20 2014 009 489.6
(32)【優先日】2014年11月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513177716
【氏名又は名称】マウンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Mounting Systems GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マーク レーデル
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
独国実用新案第202011107843(DE,U1)
【文献】
中国実用新案第202839634(CN,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0260027(US,A1)
【文献】
独国実用新案第202012006839(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/10−20/32
E04D 13/00,13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる高さのソーラーモジュールをプロフィルレールに固定する高さ調節自在のエンドホルダ(100)であって、
第1及び第2の収容脚片(111,112)により形成され、前記第1の収容脚片(111)に前記ソーラーモジュール用の収容部(115)が形成されている収容ブラケット要素(110)と、
前記プロフィルレールへの固定用の固定要素(120)と、
前記収容ブラケット要素(110)を前記固定要素(120)に高さ調節自在に固定し、前記プロフィルレールへの前記ソーラーモジュールの据え付け状態において前記プロフィルレールからの前記収容部(115)の調節可能な間隔にて前記収容部(115)を介して圧着圧を、据え付けたい前記ソーラーモジュールに対して発生させ得るように形成されている調節要素(150)と、
を備え、
前記第2の収容脚片(112)は、前記第1の収容脚片(111)側の面に第1の鋸歯輪郭(113)を有し、
前記固定要素(120)は、前記第2の収容脚片側の面に第2の鋸歯輪郭(143)を有し、
前記第1の鋸歯輪郭(113)と前記第2の鋸歯輪郭(143)とは、前記プロフィルレールへの前記ソーラーモジュールの据え付け状態において、前記調節要素(150)の圧着圧の下で、前記プロフィルレールの長手方向に対して垂直な高さ方向での前記収容ブラケット要素(110)と前記固定要素(120)との相互の相対移動が阻止されており、前記プロフィルレールへの前記ソーラーモジュールの非据え付け状態において、前記高さ方向での前記収容ブラケット要素(110)と前記固定要素(120)との相互の相対移動が可能であるように形成されており、
前記固定要素(120)は、
クリップホルダ(130)であって、ねじ山付き孔を有するヘッドプレート(131)と、互いに対向するように前記ヘッドプレート(131)の側方に配置される2つのクリップホルダ脚片(132,133)とを有し、前記クリップホルダ脚片(132,133)の、前記ヘッドプレートとは反対側の端部は、前記プロフィルレールの屈曲部に回り込んで前記ヘッドプレートとは反対側の背後から係合するように形成されているフック(134,135)を有するクリップホルダ(130)と、
第1及び第2の固定脚片(141,142)によりL字形に形成され、前記第2の鋸歯輪郭(143)が前記第2の固定脚片(142)に形成されている固定ブラケット要素(140)と、
を有しており、
前記調節要素(150)は、前記固定ブラケット要素(140)を前記クリップホルダ(130)に固定する、
ことを特徴とする、エンドホルダ。
【請求項2】
前記調節要素(150)はねじである、請求項1記載のエンドホルダ。
【請求項3】
請求項1または2記載の少なくとも1つのエンドホルダ(100)と、前記エンドホルダが固定されている少なくとも1つのプロフィルレール(190)とを備える固定システム(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーモジュール据え付け用のエンドホルダ及び固定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーモジュール、例えば電気エネルギを発生させる太陽発電モジュール又は熱媒体を加熱するコレクタモジュールは、一般に屋上又は露天にて、互いに平行に配置された複数のプロフィルレール上に据え付けられる。寸法や配置の可能性に関して種々異なっている多数のソーラーモジュールが存在する。異なるタイプのソーラーモジュールは、異なるモジュール高さを有している。このことは、特にフレームが設けられたソーラーモジュールに関係する。それゆえ、ソーラーモジュール用の据え付けシステムは、可及的可変に使用可能であり、迅速かつ簡単な据え付け作業を可能にすることが望ましい。
【0003】
下記特許文献1において、高さ調節自在のエンドホルダが公知である。この公知のエンドホルダは、その高さ調節要素を用いて、様々な高さのモジュール用に使用可能であるように調整可能である。このために必要な高さ調節は、有段で実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国実用新案第202013005668号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、異なる高さのソーラーモジュールをプロフィルレールに固定する高さ調節自在のエンドホルダであって、
‐第1及び第2の収容脚片により形成され、第1の収容脚片にソーラーモジュール用の収容部が形成されている収容ブラケット要素と、
‐プロフィルレールへの固定用の固定要素と、
‐収容ブラケット要素を固定要素に高さ調節自在に固定し、据え付け状態においてプロフィルレールからの収容部の調節可能な間隔にて収容部を介して圧着圧を、据え付けたいソーラーモジュールに対して発生させ得るように形成されている調節要素と、
を備え、
第2の収容脚片は、第1の収容脚片側の面に第1の鋸歯輪郭を有し、
固定要素は、第2の収容脚片側の面に第2の鋸歯輪郭を有し、
第1の鋸歯輪郭と第2の鋸歯輪郭とは、据え付け状態において、調節要素の圧着圧の下で、プロフィルレールの長手方向に対して垂直な高さ方向での収容ブラケット要素と固定要素との相互の相対移動が阻止されており、非据え付け状態において、高さ方向での収容ブラケット要素と固定要素との相互の相対移動が可能であるように形成されている、
エンドホルダに関する。
【0006】
本発明に係るエンドホルダは、例えば一列のソーラーモジュールの端部において、まさに1つのソーラーモジュールを保持することを意図している。2つのモジュール間に配置されていて、それぞれのモジュール自体がストッパを形成するようになっているモジュールホルダとは異なり、エンドホルダは、エンドホルダにより1つのモジュールだけが固定されるため、それ自体がストッパを提供しなければならない。
【0007】
本発明は、収容ブラケット要素及び固定要素に設けられた互いに対面する2つの鋸歯輪郭を介してエンドホルダの収容部を様々な高さ設定に調節することを可能にする。この解決手段は、取り扱いの特に容易な、略無段式の、ひいては特に正確な高さ調節を可能にするという利点を有している。同時に鋸歯輪郭は、据え付け状態における所望の高さの特に確実な調節を提供する。これにより本発明は、様々なモジュール高さのために可変に使用可能な、改良された据え付けシステム及び単純化されたエンドホルダを提供するという利点を達成する。本発明に係るエンドホルダにおいて、高さは、非据え付け状態において固定要素と収容ブラケット要素との相互の変位を介して予め調節され、据え付け状態においては調節要素により精確に調節され得る。これにより、多種多様なモジュールの簡単な据え付けが可能である。
【0008】
エンドホルダの収容部と、エンドホルダが据え付けられるプロフィルレールとの間隔、つまり高さ調節は、本発明に係るエンドホルダにおいて、固定ブラケット要素と収容ブラケット要素との相互の相対的な変位から生じる。これにより、鋸歯輪郭相互の変位により、簡単な調節が可能である。高さ調節は、略無段式に可能である。これは、隣り合う高さ調節間隔が、鋸歯輪郭の単一の鋸歯の幅だけによるからである。
【0009】
以下に、高さ調節自在のエンドホルダの形態及び好適な適用について説明する。
【0010】
好ましい形態において、固定要素は、クリップホルダであり、クリップホルダは、ねじ山付き孔を有するヘッドプレートと、互いに対向するようにヘッドプレートの側方に配置される2つのクリップホルダ脚片とを有し、クリップホルダ脚片の、ヘッドプレートとは反対側の端部は、屈曲部に回り込んで背後から係合するように形成されているフックを有し、第2の鋸歯輪郭は、クリップホルダ脚片の狭幅面と、ヘッドプレートの、クリップホルダ脚片間に位置する狭幅面とに延在する。
【0011】
択一的な形態において、固定要素は、クリップホルダであって、ねじ山付き孔を有するヘッドプレートと、互いに対向するようにヘッドプレートの側方に配置される2つのクリップホルダ脚片とを有し、クリップホルダ脚片の、ヘッドプレートとは反対側の端部は、屈曲部に回り込んで背後から係合するように形成されているフックを有するクリップホルダと、第1及び第2の固定脚片により形成され、第2の鋸歯輪郭が第2の固定脚片に形成されている固定ブラケット要素と、を有する。好ましくは、固定ブラケット要素は、別の形態において調節要素を介してクリップホルダに固定されている。
【0012】
クリップホルダを有する固定要素の使用は、有利である。これは、クリップホルダが迅速かつ簡単にプロフィルレールに固定可能であり、取り扱い容易な据え付けに寄与するからである。
【0013】
好ましい形態において、調節要素はねじである。
【0014】
第2の態様において本発明は、少なくとも1つの本発明に係るエンドホルダと、エンドホルダが固定されている少なくとも1つのプロフィルレールとを備える固定システムに関する。
【0015】
エンドホルダは、一形態において、30〜50mmの範囲のモジュール高さ又はフレーム高さを保持するように形成されている。それとは異なるモジュール高さ又はフレーム高さも実現可能であり、このことは、収容ブラケット要素及び固定要素の長さの適合により可能である。
【0016】
本発明の第2の態様を形成するエンドホルダの好適な適用において、固定システムは、本発明の第1の態様又はその実施の形態に係る少なくとも1つのエンドホルダと、エンドホルダが固定されている少なくとも1つのプロフィルレールとを備える。
【0017】
固定システムの一形態において、エンドホルダは、プロフィルレールに対して横方向に据え付けられている。このことは、第2の収容脚片が据え付け状態においてプロフィルレールに対して横方向に配置されていることを意味する。固定システムの別の形態において、エンドホルダは、プロフィルレールに対して平行に据え付けられている。
【0018】
その他の特徴及び利点は、以下に図面に関して説明する実施の形態を参照すれば、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】高さ調節自在のエンドホルダの一実施の形態の斜視図である。
【
図2】固定システムの一実施の形態の部分斜視図である。
【
図3】固定システムにおける高さ調節自在のエンドホルダの一実施の形態のそれぞれ異なる高さ調節を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
エンドホルダ100は、収容ブラケット要素110、固定要素120及び調節要素150を有している。調節要素150は、本実施の形態ではねじとして形成されている。この場合、調節要素は、据え付け状態(図示せず)においてプロフィルレールからの収容部115の調節可能な間隔にて収容部115を介して圧着圧を、据え付けたいソーラーモジュールに対して発生させ得るように形成されている。収容ブラケット要素110は、第1の収容脚片111及び第2の収容脚片112により形成されている。第1の収容脚片111には、ソーラーモジュール用の収容部115が形成されている。さらに第1の収容脚片111は、調節要素150を収容する孔を有している。第2の収容脚片112には、第1の収容脚片111側の面に、第1の鋸歯輪郭113が配置されている。固定要素120は、図示の実施の形態では、クリップホルダ130及び固定ブラケット要素140を有している。固定ブラケット要素140は、第1の固定脚片141及び第2の固定脚片142により形成されている。第1の固定脚片141は、第1の収容脚片111と同様に、調節要素を収容する孔(ここでは不可視)を有している。第2の固定脚片142には、第2の収容脚片112側の面に、第2の鋸歯輪郭143が配置されている。クリップホルダ130は、ヘッドプレート131を有し、ヘッドプレート131は、調節要素150を収容するねじ山付き孔と、互いに対向するようにヘッドプレート131の側方に配置された2つのクリップホルダ脚片132,133とを有している。クリップホルダ脚片132,133の、ヘッドプレートとは反対側の端部は、フック134,135を有している。フック134,135は、屈曲部に回り込んで背後から係合するように形成されている。収容ブラケット要素110は、調節要素150により固定要素120に高さ調節可能に取り付けられている。第1の鋸歯輪郭113と第2の鋸歯輪郭143とは、据え付け状態(図示せず)において、調節要素150の圧着圧の下で、プロフィルレールの長手方向に対して垂直な高さ方向での収容ブラケット要素110と固定要素120との相互の相対移動が阻止されており、(図示の)非据え付け状態において、高さ方向での収容ブラケット要素110と固定要素120との相互の相対移動が可能であるように形成されている。
【0021】
図2は、
図1に示した実施の形態のエンドホルダ100を備える本発明の第2の態様に係る固定システム200の一実施の形態を斜視図で示している。固定システム200は、プロフィルレール190に固定されたエンドホルダ100を有している。据え付けたいソーラーモジュール180は、ここでは透明の直方体として略示してある。この斜視図には、エンドホルダの、第1の収容脚片111に設けられた収容部115が、ソーラーモジュール180を収容し、ねじとして形成された調節要素150の締め付けを介して、プロフィルレールに対する圧着圧が実現されることが看取可能である。クリップホルダ130は、ここでは、据え付け状態において、クリップホルダ脚片132,133に形成されているフック134,135によりプロフィルレール190内に係合し、プロフィルレール190への取り扱い容易な固定を保証する。クリップホルダ130のヘッドプレート131は、ねじ山付き孔を有している。ねじ山付き孔内には、調節要素150が収容される。本図に看取可能であるように、第1の鋸歯輪郭113は、ここに図示した実施の形態では、第2の収容脚片112の長さの一部にわたってのみ形成されている。択一的には、ここには図示していない実施の形態において、第2の収容脚片112の長さ全体にわたって鋸歯輪郭113を形成することも可能である。
【0022】
図3は、如何にして様々なモジュール高さが本発明の第1の態様に係る高さ調節自在のエンドホルダ100により固定システム内で実現され得るかを略示している。図示の実施の形態において、モジュール181は、約50mmのモジュール高さを有し、モジュール182は、約30mmのモジュール高さを有している。収容部150がプロフィルレール190の上方に有するそれぞれ異なる高さh1,h2は、収容ブラケット要素110の、固定要素20に対する相対移動を介して実現される。調節要素150は、据え付け状態において圧着圧が支配し、その結果、鋸歯輪郭143,113がもはや互いに変位し得ないように働く。その際、収容ブラケット要素110の第2の収容脚片112は、第2の固定脚片142と相俟って、収容脚片112と固定脚片142との、その都度調節要素150を介して調節されるオーバラップにより、ストッパ高さh1,h2を設定する。