(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記膨張収縮部が水平方向内側に空間部を有し、前記空間部に昇降作動可能なリンク機構を備え、前記駆動部の補助的な作動をする請求項1〜3のいずれかに記載の昇降装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の腰掛部材の昇降装置を詳細に説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1及び
図2に示されるように、本発明の第1実施形態に係る腰掛部材の昇降装置(以下、単に昇降装置という)1は、腰掛部材2と、腰掛部材2を駆動する駆動装置3とを備えている。駆動装置3は、
図1及び
図2に示されるように、駆動部31と、流通管32とを有している。
【0016】
腰掛部材2は、人が着座可能な部材である。腰掛部材2は、人が着座する座面を有し、座面の反対側(下部側)において駆動部31に直接または間接的に接続される。腰掛部材2は、人が着座可能であり、駆動部31に接続可能であれば、特にその構造は限定されないが、本実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、基部21と、基部21上に設けられる着座部22と、持ち手23とを有し、座面が着座部22に形成されている。
【0017】
基部21は、着座部22等、腰掛部材2の構成要素を支持する部材であり、本実施形態では、着座部22及び持ち手23が支持されている。基部21は、本実施形態では、略矩形板状のベース板として示されているが、着座部22等を支持することができれば特にその形状は限定されるものではない。
【0018】
着座部22は、入浴者等、人が着座する部分である。着座部22は、本実施形態では、垂直方向の軸周りに基部21に対して回転可能に取り付けられている。着座部22が回転することにより、腰掛部材2に着座している入浴者の体の向きを変更することができる。なお、着座部22は、本実施形態では基部21に対して回転可能に取り付けられているが、基部21と一体とし、基部21に対して回転しないように構成しても構わない。
【0019】
持ち手23は、着座部22に着座した入浴者が姿勢を維持するための姿勢補助具であって複数の姿勢補助要素で構成され、着座部22に着座する際、入浴中、着座部22から立ち上がる際などに、入浴者が手を掛けることができる。持ち手23は、入浴者が手を掛けることができるものであれば、特にその形状は限定されない。本実施形態では、持ち手23は、
図1及び
図2に示されるように、基部21の上面から上方に延びる支柱23aと、支柱23aの上端から略水平に延びる第1の持ち手23bと、第1の持ち手23bと略平行に延びる第2の持ち手23cと、第1の持ち手23bの一端と第2の持ち手23cの一端とを接続する接続部材23dとを備えている。第1の持ち手23b、第2の持ち手23c及び接続部材23dにより構成される持ち手23は、本実施形態では略U字状に形成され、第1の持ち手23bの他端側と第2の持ち手23cの他端側との間の空間から、入浴者が着座部22に着座するときに、着座可能とされている。
【0020】
第1の持ち手23b及び第2の持ち手23cは、着座部22への入浴者の着座時には、入浴者の側方に位置し、入浴中など、着座部22が向きを変えたときには、入浴者の前後両側に位置するように、所定の間隔で互いに離間して配置されている。接続部材23dは、着座部22への入浴者の着座時には、入浴者の背凭れとなり、浴槽への転落を防止することができ、入浴中など、着座部22が向きを変えたときには、入浴者の側方に位置して持ち手となる。
【0021】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態の昇降装置1は取付部材4を備えている。取付部材4は、昇降装置1を浴槽に取り付ける部材である。取付部材4は、例えば腰掛部材2または駆動部31に接続されて、昇降装置1を浴槽に取り付ける。取付部材4は、昇降装置1を浴槽に取り付けることができればその取付場所等は限定されないが、本実施形態では、
図7(a)及び(b)に示されるように、浴槽縁Beの上方から浴槽底部Bbに至るように、浴槽Bの一つの側壁に近接して配置されている。取付部材4が浴槽縁Beと浴槽底部Bbとで支えられることにより、昇降装置全体が浴槽Bにより支えられ、がたつき等が抑制される。取付部材4は、本実施形態では、長手方向に斜面を有する鉤状で、浴槽壁に沿って浴槽底部Bbから上昇して、平坦な部位が浴槽縁Beの上方を覆うことが可能な形状で、所定の幅の帯状を呈している。本実施形態では、取付部材4は、
図1及び
図2に示されるように、浴槽縁Beの上端側に位置する平坦部41と、平坦部41から浴槽B内部に向けて平坦部41に対して鈍角を成すように傾斜して延びる傾斜部42と、傾斜部42から浴槽壁に沿って延びる立ち上がり部43とを備えている。また、取付部材4は、平坦部41の下面側から下方に向かって延びて浴槽壁の外面との当接が可能であり、取付部材4を浴槽縁Beに係止させ、昇降装置1を浴槽Bに取り付けることが可能な係止部44を有している。係止部44は、本実施形態では板状の係止部として示されているが、取付部材4を浴槽縁Beに係止させることができるものであれば、特にその形状は限定されるものではない。取付部材4は、浴槽Bの一つの側壁と垂直な方向において昇降装置1の移動を抑制することができるので、昇降装置1を浴槽Bにコンパクトに設置することができる。
【0022】
また、本実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、腰掛部材2は、基部21に隣接して設けられた補助基部24を介して取付部材4に接続されている。腰掛部材2の補助基部24は、腰掛部材2が上昇して浴槽上端側の上方位置にあるときに、人が浴槽縁Be側から基部21側に(または基部21側から浴槽縁Beへと)移動できるように配置される。補助基部24は、基部21の取付部材4側の一端側において基部21に取り付けられている。基部21と補助基部24とは、例えば、ヒンジや、軸受構造等の公知の接合手段により、補助基部24が基部21に対して水平軸周りに回転可能に取り付けられる。また、補助基部24の他端側(基部21と接続される側の端部とは反対側)は、取付部材4の延在方向に沿って設けられたガイド部45に図示しない係合部材を介して接続されている。補助基部24の他端側は、腰掛部材2の上昇及び下降の間、ガイド部45によりガイドされて、取付部材4に沿って昇降する。補助基部24は、腰掛部材2が上方位置に位置する場合においては、基部21に対して略平坦となり、腰掛部材2が下方位置に位置する場合においては、補助基部24が
図2に示されるように、基部21に対して傾斜した状態で基部21と接続する。このように、補助基部24は上方位置にあるときには、人が浴槽縁Beから補助基部24を介して基部21側に移動でき、基部21側から補助基部24を介して浴槽縁Be側へ移動することができる。この際、着座部22が基部21及び補助基部24上をスライドできるように、スライドガイド等のスライド手段を基部21及び補助基部24に設けて、着座部22を水平方向に移動できるように構成してもよい。また、腰掛部材2の下降時には、
図2に示されるように、補助基部24は基部21に対して水平軸周りに回転して、腰掛部材2の昇降を妨げることがない。また、補助基部24は、腰掛部材2の昇降時に、着座部22と取付部材4(例えば、傾斜部42や立ち上がり部43など)との間に起立した状態で介在する(
図2および
図7(a)参照)。したがって、腰掛部材2の昇降時に、取付部材4に対して相対移動する入浴者の身体の一部(例えば足や腰など)と取付部材4との間に、補助基部24が障壁となって介在し、入浴者の身体の一部が取付部材4に擦れることを防止することができる。なお、本明細書において、「上方位置」及び「下方位置」とは、浴槽Bに対する腰掛部材2の相対的な位置をいうものであり、具体的には、「下方位置」とは、浴槽Bの底部に近い浴槽底部Bb側の位置であり、「上方位置」とは下方位置に対して上側の浴槽上端に近い浴槽上部側の位置をいう。「上方位置」及び「下方位置」は図示する位置に限定されるものではなく、上方位置は入浴者が浴槽Bの外側に出ることができる位置であればよく、下方位置は入浴者が浴槽B内の湯に浸かることができる程度に腰掛部材2が下降した位置であればよい。
【0023】
なお、補助基部24をガイド部45に接続する係合部材は、ガイド部45に係合して、ガイド部45の延在方向に移動するようにガイドされる。係合部材は、補助基部24を介して、取付部材4の幅方向における腰掛部材2の揺動を抑制可能であり、ガイド部45から係合部材が抜け出ることが防止されるように構成される。補助基部24は、基部21との接続部分を軸として旋回することにより腰掛部材2の昇降に追随し、腰掛部材2の水平方向の揺動と取付部材4からの所定の距離以上離間することとを抑制することができる。また、係合部材は、腰掛部材2が昇降する際に、補助基部24と取付部材4との成す角度が変化しても、この変化に追従するようにされている。係合部材としては、例えばガイド部45内に突出し、先端にガイド部45の溝内を転動するローラ等の転動部材を有する係合部材を用いることができる。なお、本実施形態では、ガイド部45は、取付部材4の幅方向に離間して配置された一対の溝として示されているが、補助基部24が取付部材4に沿って移動することができれば凸条であってもよく、ガイド部45の数や、形状は図示するものに限定されるものではない。
【0024】
駆動装置3は、腰掛部材2を駆動する。駆動装置3は、
図1及び
図2に示されるように、駆動部31及び流通管32を備えている。本実施形態では、駆動装置3は駆動部31及び流通管32の他に、
図3及び
図4に示されるリンク機構5や、腰掛部材2の昇降を案内する取付部材4のガイド部45を備えているが、駆動装置3は少なくとも駆動部31及び流通管32を備えていればよく、他の構造であっても構わない。
【0025】
駆動部31は、流体源からの流体により伸縮駆動され、所定の浴槽底部Bb側の位置から所定の浴槽縁Be側の位置まで腰掛部材2を昇降させる。駆動部31は、膨張収縮部Eを有し、膨張収縮部Eの膨張及び収縮により、腰掛部材2を昇降させる。駆動部31の上端は、腰掛部材2を昇降させるために腰掛部材2に接続される。本実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、腰掛部材2の下部側に上端側接続部C1が設けられ(
図3及び
図4では腰掛部材2の図示は省略している)、上端側接続部C1を介して膨張収縮部Eの上端が腰掛部材2に接続される。上端側接続部C1は、例えば腰掛部材2の基部21の下面に設けられてもよいし、別部材として設けて腰掛部材2に取り付けられてもよい。駆動部31の下端は、腰掛部材2及び膨張収縮部Eを支持できるように、浴槽底部Bb側に配置される(
図7(a)及び(b)参照)。駆動部31の下端には、本実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、下端側接続部C2が設けられ、下端側接続部C2に膨張収縮部Eの下端が接続される。特に図示はしていないが、駆動部31の下端は、駆動部31の昇降駆動時に駆動部31の下端の位置をその場で保持するために、取付部材4の下端側(例えば下端側接続部C2)に接続されて固定されてもよい。
【0026】
本実施形態では、駆動装置3は、
図3及び
図4に示されるように、膨張収縮部Eの他に、リンク機構5を備えている。リンク機構5は、膨張収縮部Eの膨張、収縮に応じて伸縮駆動される駆動部31の補助的な作動を行う。すなわち、リンク機構5は、例えば上昇時の駆動部31の姿勢を所定の範囲内に保持することができ、また、腰掛部材2に加わった荷重をある程度支持することができる。リンク機構5は
図3及び
図4に示されるように、膨張収縮部Eの膨張に伴って伸長し、膨張収縮部Eの収縮に伴って収縮する。
【0027】
リンク機構5の構造は特に限定されないが、多節リンクにより構成することができる。なお、
図3及び
図4では、1つのリンク機構5のみが示されているが、同様の動作を行う一対のリンク機構5を設けてもよい。本実施形態では、一対のリンク機構5のそれぞれにおいて、
図3及び
図4に示されるように、複数のリンク部材をX字状に交差させ、垂直方向にリンク接続している。しかしながら、リンク機構5の構造は図示する構造に限定されず、リンク機構5が伸縮可能であればよい。
【0028】
リンク機構5の上端は、駆動部31の上端側または腰掛部材2の下部側に接続され、リンク機構5の下端は、駆動部31の下端側に接続される。具体的には、例えば、リンク機構5の上端は上端側接続部C1に接続され、リンク機構5の下端は下端側接続部C2に接続される。本実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、上端側接続部C1に、例えば水平方向に延びる溝状のリンクガイドG1が設けられ、リンク機構5の上端に位置するリンク部材51a及び51bの一端がリンクガイドG1に接続されている。本実施形態では、上端に位置する一方のリンク部材51aは固定支点S1により固定され、他方のリンク部材51bは可動支点S2によりリンクガイドG1内を移動できるように構成されている。同様に、下端側接続部C2に、例えば水平方向に延びる溝状のリンクガイドG2が設けられ、リンク機構5の下端に位置するリンク部材52a及び52bの一端がリンクガイドG2に接続されている。本実施形態では、下端に位置する一方のリンク部材52aは固定支点S3により固定され、他方のリンク部材52bは可動支点S4によりリンクガイドG2内を移動できるように構成されている。なお、リンク機構5は膨張収縮部Eの膨張、収縮に伴って伸縮可能に設けられていれば、リンク機構5の上端及び下端における接続方法や動作は特に限定されず、支点S1〜S4の全てが可動支点であってもよい。また、
図3及び
図4に示されるように、リンク機構5の下端のリンク部材52bの下端に、リンクガイドG2内を回転しながら移動するローラRを設けても構わない。
【0029】
流通管32は、
図1及び
図2に示されるように、駆動部31と接続され、流体を駆動部31に流通させる。流通管32は、流体源からの流体を駆動部31に送り込む供給路として機能する。流通管32は、必要な流体圧に耐え得る太さ、長さを有していれば、その構造や材料は特に限定されない。本実施形態では、流通管32は、可撓性チューブが用いられ、可撓性チューブを用いた場合は、昇降装置1における駆動部31の配置位置等、昇降装置1のレイアウトに応じて流通管32を自在に曲げることが可能である。例えば、流通管32は、腰掛部材2や取付部材4に沿わせて配置してもよい。
【0030】
流通管32は、流体源から流体を駆動部31に供給するために、流体源(例えば
図1及び
図2の流体ポンプ33)と膨張収縮部Eとの間を接続する。本実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、流通管32の一端は、膨張収縮部Eの下端側に接続され、他端が流体ポンプ33に接続されている。しかしながら、流通管32は、膨張収縮部Eの内部に流体を供給可能であれば、流通管32と膨張収縮部Eとの接続箇所は特に限定されず、例えば膨張収縮部Eの上端側に接続されてもよい。なお、流通管32と駆動部31との接続方法は、内部を流通する流体が漏れないように接続するものであれば、特に限定されない。また、流通管32は、駆動部31や流体源に着脱自在に接続してもよい。
【0031】
流体源は、駆動部31を駆動するために、流通管32を介して駆動部31に流体を送り込む。なお、流体源から供給される流体は、腰掛部材2を上昇させる際に、膨張収縮部Eに流入し、腰掛部材2を下降させる際に膨張収縮部Eから排出可能であれば特に限定されないが、例えば水を用いることができる。流体源は、所定の流体圧で流通管32に流体を送り込むことができるものであればよいが、本実施形態のように、流体源は、公知のポンプ等、流体ポンプ33を備えたものとすることができる。しかしながら、流体源は、流通管32に流体を送り込むことができれば流体ポンプ33に限定されるものではなく、例えば、後述する第2実施形態に示されるように、家庭用水道の蛇口WF(
図8参照)を流通管32に接続するなどして、水道水の水圧を利用してもよい。
【0032】
流体ポンプ33は、本実施形態では、
図1に示されるように、取水口33a及び(及び/又は)排水口33bを有している。取水口33aは水を吸い込むように構成され、排水口33bは、取水口33aから吸い込んだ水を駆動部31に向けて吐出するように構成される。本実施形態では、取水口33aには、チューブ等の取水管34が接続され、取水管34から水を吸引することが可能となっている。なお、流体ポンプ33等、流体源により膨張収縮部E内に送り込まれた流体は、例えば
図1及び
図2に示されるように、切換弁35に設けられた排出部35aから排出するように構成し、流通管32を膨張収縮部Eへの供給路としてだけではなく、排出路としても用いてもよい。本実施形態では、切換弁35は、駆動部31へ流体を送り込む際には、流体ポンプ33と膨張収縮部Eとが流通管32により連通するようにし、膨張収縮部Eから流体を排出する際には、切換弁35を切り換えることにより、排出部35aから流体が排出されるように構成されている。本実施形態では、排出部35aは、流通管32の途中に設けられた切換弁35に形成されているが、排出部35aは、駆動部31に設けられてもよいし、流体ポンプ33に内蔵させてもよい。また、後述する第2実施形態に示されるように、流通管32とは別に排出管36(
図8参照)等、膨張収縮部E内の流体を排出する排出口を別途設けてもよい。排出管36を設ける場合、例えば
図8に示されるように、排出管36に、切換弁37のような、排出管36の閉鎖状態と開放状態とを切り換える切換部材が設けられ、膨張収縮部E内部の流体を排出可能にすればよい。なお、切換弁37等の切換部材の位置は、図示する位置に限定されず、他の位置に設けられていてもよい。
【0033】
つぎに、膨張収縮部Eについて説明する。膨張収縮部Eは、流通管32に接続され、内部に流体が充填されることにより膨張する膨張状態(
図1及び
図3参照)と、内部の流体が排出されることにより収縮する収縮状態(
図2及び
図4参照)との変化が可能である。膨張収縮部Eは、
図1〜
図4に示されるように、水平方向に長さを有する膨張収縮部単位(膨張収縮部単位の一部を参照符号U1、U2で示す)が高さ方向に複数積み重ねられて構成されている。
【0034】
膨張収縮部Eの膨張状態は、流通管32から流体が供給されることにより、所定の圧力で流体によって膨らんだ状態であり、人を支持できる膨張した状態をいう。また、収縮状態は、膨張状態から内部の流体が排出され、膨張状態に対して収縮した状態をいう。膨張収縮部E内に流体を充填又は膨張収縮部E内から流体を排出することにより、各膨張収縮部単位U1、U2が膨張又は収縮し、膨張収縮部E全体を高さ方向で伸縮させて、腰掛部材2を昇降させる。なお、膨張収縮部Eは、膨張状態と収縮状態との可逆的な変形が可能で、腰掛部材を昇降させることができるものであれば、特にその材料は限定されないが、可撓性を有する樹脂材料、例えばゴム等の柔軟な材料を用いることが好ましい。
【0035】
膨張収縮部単位U1、U2は、膨張収縮部Eの水平方向に延びる一単位であり、水平方向に延びる各膨張収縮部単位U1、U2が高さ方向に複数段積み重ねられることにより、膨張収縮部Eを構成している。各膨張収縮部単位U1、U2が膨張することにより、膨張収縮部E全体が高さ方向に伸長し、各膨張収縮部単位U1、U2が収縮して、膨張収縮部E全体が高さ方向で収縮する。
【0036】
各膨張収縮部単位U1、U2は、水平方向成分を有する方向に延びており、流体が水平方向に流れる流路をそれぞれ形成している。高さ方向に積み重ねられた膨張収縮部単位U1、U2は、それぞれが水平方向の単位を形成するが、互いに一体であってもよいし、別体であってもよい。本実施形態では、膨張収縮部単位U1、U2は、
図1〜
図4に示される実施形態または
図5に示される実施形態では環状に設けられている。ここで、「環状」とは、膨張収縮部単位U1、U2が垂直軸の周りを一周するように設けられたものをいうが、一周の起点と終点とがつながっている必要はない。例えば、膨張収縮部単位U1やU2のそれぞれが、
図1に示されるように螺旋状に一周して、一周の起点と終点とがつながっていなくてもよいし、
図5に示されるようにリング状に一周して起点と終点とがつながっていてもよい。また、環状とは円環状に限られず、上面視で多角形状のものも含む。膨張収縮部単位U1、U2が環状に形成される場合、膨張収縮部E全体としては略筒状(本実施形態では略円筒状)となり、略筒状の膨張収縮部Eが高さ方向で伸縮する。本実施形態では、
図1〜
図4に示されるように、膨張収縮部Eは1本の管状体が螺旋状に積み重ねられて構成されて、膨張収縮部Eが略円筒状となっている。しかし、膨張収縮部Eは、膨張収縮部単位U1、U2の延びる方向が水平方向成分を有しているものであれば他の形状であってもよく、
図5に示される変形例のように、複数の略同径のリング状の膨張収縮部単位U1、U2を高さ方向に同心状に積み重ねたものであってもよい。また、膨張収縮部Eを形成するにあたっては、上述のように1本の管状体を螺旋状に積み重ねたものや、複数のリング状の膨張収縮部単位U1、U2を高さ方向に積み重ねたもの以外に、例えば、径の異なる2つの蛇腹状の略筒状部材を組み合わせて(大径の蛇腹状の略筒状部材の内側に小径の蛇腹状の略筒状部材を配置して)、
図3に示す形状の膨張収縮部を形成してもよい。
【0037】
また、膨張収縮部単位U1、U2は、環状以外の形状であってもよく、例えば水平方向に直線状に延びる膨張収縮部単位を高さ方向に複数積み重ねて壁状とし、その壁状の膨張収縮部を一対対向させて設けて膨張収縮部としてもよい。
【0038】
膨張収縮部単位U1、U2の断面形状は特に限定されないが、本実施形態では膨張状態において、
図3に示されるように、膨張収縮部単位U1、U2のそれぞれの高さ方向での断面が略円形または楕円形となるように構成されている。そして、膨張状態において、この略円形または楕円形断面の膨張収縮部単位U1、U2が高さ方向に積み重なって配置されている。膨張収縮部単位U1、U2の内部の流体が排出された収縮状態のときには、
図4に示されるように、それぞれの膨張収縮部単位U1、U2が高さ方向で押し潰され、扁平状に変形して、膨張収縮部Eが収縮する。
【0039】
また、膨張収縮部Eは、膨張収縮部単位U1、U2間で流体が流通するように、膨張収縮部単位U1、U2間を接続し、複数の膨張収縮部単位U1、U2の内部の流体が相互に移動可能な連通路P(
図3参照)を有している。連通路Pは本実施形態では、膨張収縮部単位U1、U2間が上下方向に連通するように形成されている。しかしながら、連通路Pは、膨張収縮部単位U1、U2の内部の流体が相互に移動可能な通路であればよく、例えば膨張収縮部Eが1本の管状体により形成されている場合は、膨張収縮部単位U1とU2との内部の空間を連通路としてもよい。なお、
図3では複数の連通路Pが膨張収縮部単位U1、U2の周方向で同じ位置に形成されたものが示されているが、連通路Pを設ける位置は、膨張収縮部単位U1、U2間で流体が相互に移動可能であれば、膨張収縮部単位U1、U2の周方向で異なる位置に設けても構わない。
【0040】
上述したように、膨張収縮部Eが、流通管32からの流体により膨張状態と収縮状態との間で変化が可能であり、
図7(a)及び(b)に示されるように、駆動部31の伸縮により腰掛部材2が昇降作動して、腰掛部材2が浴槽上端側の上方位置(
図7(b)参照)と浴槽底部側の下方位置(
図7(a)参照)との間を往復移動する。具体的には、腰掛部材2が下方位置にあり、流体が供給される前の膨張収縮部Eの膨張収縮部単位U1、U2は、
図4及び
図7(a)に示されるように、各膨張収縮部単位U1、U2が収縮状態となっている。この下方位置から上方位置に腰掛部材2を上昇させる場合には、
図7(a)の状態で、流体源から流通管32を介して流体を膨張収縮部Eに供給する。流体が膨張収縮部Eに供給されると、各膨張収縮部単位U1、U2内が流体の圧力で膨張し、それぞれの膨張収縮部単位U1、U2が高さ方向に伸長して、腰掛部材2を上昇させる。この膨張収縮部単位U1、U2の膨張状態と収縮状態の繰り返しにより、腰掛部材2が往復移動することができる。なお、膨張収縮部Eを膨張させる際に、膨張収縮部E内部の空気を排出するための排気口(弁等)が設けられていてもよい。逆に腰掛部材2を下降させる際には、膨張収縮部Eから流体を排出すると、各膨張収縮部単位U1、U2が高さ方向で縮んで、腰掛部材2が下降する。
【0041】
このように、駆動部31は、膨張収縮部Eへの流体の充填及び膨張収縮部Eからの流体の排出により駆動されるため、所定の流体圧を供給することができれば腰掛部材2の昇降が可能となる。したがって、腰掛部材2を昇降させるのに、特許文献1のような人を乗せた状態で昇降部を昇降できる比較的大きな駆動力を生じさせる必要がある駆動モータや、その駆動モータを作動させる電源は必要ない。本発明の昇降装置1は、腰掛部材2の昇降の直接的な駆動力として電源の電力を用いたものとは基本的に異なり、流体による圧力を、腰掛部材2を昇降させる直接的な駆動力としている。そのため、電源の出力に依存した従来の昇降装置とは異なり、感電等の防止のための防水対策が軽減され、装置構成がシンプルで小型化することができ、水が用いられる場所での取り扱いが容易となる。また、膨張収縮部単位U1、U2は水平方向に長さを有して、複数積み重ねられているので、膨張状態では人が腰掛部材2に座った際の荷重を効果的に支持することができる。また、収縮状態では、膨張収縮部単位が高さ方向で複数設けられているため、
図3及び
図4に示されるように、膨張状態と収縮状態とで、膨張収縮部単位U1、U2の外周側への張り出し幅が小さく、コンパクトに折り畳まれる。
【0042】
また、本実施形態では、
図3に示されるように、膨張収縮部Eが水平方向内側に空間部Spを有し、空間部Spに昇降作動可能なリンク機構5が設けられている。空間部Spは、
図3に示すような略円筒状の膨張収縮部Eの場合、膨張収縮部Eの径方向内側の空間であるが、本実施形態に限定されることはなく、膨張収縮部Eを対向する2つの壁状の膨張収縮部により形成する場合など、空間部Spは水平方向で膨張収縮部により挟まれる内側方向の空間であってもよい。このように空間部Spにリンク機構5が設けられ、リンク機構5が空間部Sp内で伸縮するように構成されている場合、入浴者の足など身体の一部とリンク機構5との間に、膨張収縮部Eが介在することになるため、リンク機構5の伸縮時に、入浴者の身体の一部がリンク機構5に当たったり、挟まれたりすることを抑制することができる。
【0043】
また、変形例として、
図6に示されるように、隣接する膨張収縮部単位U1、U2間に、剛性を有する介在部材6が配されていてもよい。介在部材6は、膨張収縮部単位U1、U2間に介在して、膨張収縮部単位U1、U2の膨張、収縮による腰掛部材2の昇降時に、膨張収縮部単位U1、U2間の位置を規制する。介在部材6としては、たとえば
図6に示されるように、膨張収縮部単位U1、U2の境界部Iにおいて、境界部Iにおける膨張収縮部Eの外側への変形や広がりを規制して、膨張収縮部単位U1、U2間の相対的な位置を規制している。介在部材6の形状は、
図6では、内周面が境界部Iの外周に沿うように形成された環状の円板61と、円板61の外周縁から略垂直方向に立設する立設部62を有したものが示されているが、介在部材6は膨張収縮部単位U1、U2間に介在して、膨張収縮部単位U1、U2間の位置を規制することができるものであれば、
図6に示される形状に限定されるものではない。例えば、介在部材6は、膨張収縮部Eの外周表面又は内周表面から凹状となった境界部Iの外周または内周に設けられるリング状の部材であってもよいし、膨張収縮部Eが螺旋状の場合は、螺旋状の境界部Iの外周または内周に設けられる、コイルバネのような螺旋状介在部材であってもよい。なお、介在部材6の剛性は、膨張収縮部E内に流体が充填された際に境界部Iにおける変形を抑制できる程度の剛性があればよい。
【0044】
つぎに、
図7(a)及び(b)を参照し、昇降装置1の一実施例を説明する。なお、以下の実施例はあくまで一例であり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
まず、
図7(a)に示されるように、浴槽Bの浴槽縁Beに、取付部材4の平坦部41および係止部44を係止させて、昇降装置1を浴槽Bに取り付ける。操作スイッチ等が設けられた図示しない昇降装置1の操作部を操作すると、流体ポンプ33により取水管34から浴槽B内の水を吸引し、流通管32から膨張収縮部Eに浴槽B内の水を送り込む。膨張収縮部Eに送り込まれた水は、各膨張収縮部単位U1、U2内で水平方向に流れるとともに、
図3に示される連通路Pを通って一方の膨張収縮部単位U1から他方の膨張収縮部単位U2へと流れる。供給された水の圧力は、膨張収縮部Eの各膨張収縮部単位U1、U2を膨張させ、膨張収縮部E全体が垂直方向に膨張し、
図7(b)に示されるように、腰掛部材2は上方位置に向かって上昇する。また、このとき、リンク機構5が
図4に示す状態から
図3に示す状態のように伸長して、膨張収縮部Eの姿勢を補助的に安定させることができる。また、リンク機構5は外周が膨張収縮部Eにより覆われているため、リンク機構5は外部に露出せず、入浴者がリンク機構5に接触したり、リンク機構5により挟まれたりすることが抑制される。
【0046】
次に、
図7(b)に示される上方位置にある腰掛部材2に入浴者を着座させる。このとき、
図7(b)に示されるように、補助基部24は、腰掛部材2が上方位置にあるときに腰掛部材2の基部21と略水平な位置に配置されているため、入浴者の基部21側への移動が容易になる。なお、補助基部24は、腰掛部材2の上昇及び下降時は、
図7(a)に示されるように、取付部材4のガイド部45に案内されるとともに基部21に対して水平軸周りに回転して取付部材4の表面の形状に沿って傾斜し、腰掛部材2の昇降の妨げとなることがない。また、流体ポンプ33は入浴者にとって邪魔にならない浴槽縁Beの上端に設置されており、入浴者の足元には、邪魔になるものが存在しない。このため、着座した状態での体の洗浄や、入浴する際の姿勢の変更や、自分で腰掛部材2から立ち上がることなどが容易となる。入浴者の着座が完了すると、着座部22を回転させて、入浴者の姿勢(浴槽Bに対する向き)を変更する(
図1及び
図2参照)。その後、図示しない操作部の操作、または切換弁35の操作などにより、膨張収縮部E内に導入された水を排出部35a等から排出可能にする。膨張収縮部E内の水が排出可能になると、入浴者の体重による圧力により、膨張収縮部E内の水が排出されるとともに、各膨張収縮部単位U1、U2が収縮して、膨張収縮部E全体が垂直方向に収縮する。これにより、腰掛部材2が下方位置に移動して、入浴者が浴槽B内の湯に浸かることができる。
【0047】
入浴者の入浴が完了すると、再度操作部等を操作することにより、流体ポンプ33により膨張収縮部E内に水が送り込まれ、膨張収縮部Eが膨張し、腰掛部材2が上昇する。その後、入浴者は、補助基部24を経由して浴槽Bから出ることができる。
【0048】
入浴が完了した後、昇降装置1を取り外す場合は、腰掛部材2や、取付部材4を上に引き上げることにより、昇降装置1を取り外すことができる。昇降装置1には、電動モータや電動モータを駆動する電源等を必要とせず、重量のある部材が少ないため、昇降装置1を容易に持ち上げることができ、昇降装置1の取り外しや設置場所の移動を容易に行うことができる。また、昇降装置1を取り外す際に、流体ポンプ33と流通管32との接続を解除したり、膨張収縮部Eと流通管32との接続を解除することにより、流体ポンプ33は浴槽縁Beに載置したままとして、昇降装置1を取り外すこともできる。この場合、昇降装置1はより軽量かつコンパクトとなり、より昇降装置1の浴槽Bからの取り外しが容易となる。
【0049】
<第2実施形態>
つぎに、本発明の第2実施形態の昇降装置について説明する。第2実施形態の昇降装置は、腰掛部材の昇降時に、膨張収縮部の伸縮方向が浴槽の底部の垂直方向に対して傾斜している点で、
図1〜
図7に示される実施形態(以下、第1実施形態という)と異なる。なお、以下では、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、相違点を中心に説明する。第2実施形態において説明する各構成要素は、第1実施形態において説明した構成要素と組み合わせて用いることができる。以下、
図8〜
図10を参照し、第2実施形態の昇降装置について説明する。
【0050】
本実施形態の昇降装置10は、
図8〜
図10に示されるように、膨張収縮部E内に流体源である蛇口WFから水が供給されることにより、膨張収縮部Eが膨張状態となり腰掛部材2を上昇させ、排出管36(
図9および
図10においては図示せず)から水が排出されることにより、膨張収縮部Eが収縮状態となり、腰掛部材2を下降させる。本実施形態では、膨張収縮部Eは、
図9および
図10に示されるように、内部に充填部Fを有する中空の略筒状体として形成されている。より具体的には、
図8〜
図10に示されるように、膨張収縮部Eは、膨張収縮部Eの伸縮方向に沿って、山部と谷部とが連続して交互に形成された蛇腹状に形成されている。本実施形態では、例えば、
図8に示される膨張収縮部単位U1、U2のように、1の山部を含んだ、1の谷部の底から、高さ方向で隣接する谷部の底までが1の膨張収縮部単位を構成し、複数の山部と谷部とによって、複数の膨張収縮部単位が高さ方向に複数積み重なるように構成されている。なお、本実施形態では、膨張収縮部Eの充填部Fは、膨張収縮部Eの伸縮軸Xに沿った膨張収縮部Eの中心部を含んだ、膨張収縮部Eの内部全体に流体が充填されるように構成されている。
【0051】
また、本実施形態の昇降装置10は、腰掛部材2が
図9に示す下方位置から
図10に示す上方位置に向かって上昇するときに、腰掛部材2が上昇するとともに、取付部材4が取り付けられた浴槽縁Beに近付くように水平方向に移動するように構成されている。すなわち、本実施形態では、膨張収縮部Eは、その伸縮軸Xが、
図10に示されるように、浴槽底部Bbに対して垂直な垂直方向(鉛直方向)Vから傾斜するように膨張、収縮するように構成されている。具体的には、昇降装置10は、昇降装置10の下端側接続部C2が浴槽底部Bb上に配置されたときに、浴槽底部Bbに対する垂直方向Vに対して傾斜するように、浴槽底部Bbから浴槽縁Beに向かって延びる支持部材46と、膨張収縮部Eの膨張および収縮に伴って支持部材46に沿って摺動して、膨張収縮部Eの上下方向の挙動をガイドするガイド部材47とを備えている。本実施形態では、
図8に示されるように、昇降装置10は、例えば腰掛部材2の基部21から延びるなど、腰掛部材2から一対の支持部材46のそれぞれに向かって延びるアームArの一対を有し、アームArに設けられたガイド部材47を介して支持部材46に対して相対移動可能に接続されている。支持部材46は、一方の端部が浴槽縁Beの上端側に位置する平坦部41に接続し、他方の端部が下端側接続部C2に接続し、浴槽上端側の上方側位置から浴槽底部側の下方側位置に亘って延びている。アームArは、アームArの水平部分における支持部材46側と反対側の端部から垂直方向上側に延在し、延在したアームArの上端から水平方向に一対の持ち手23b、23cが延びている。また、一対のアームArの垂直方向に延在した部分の間には、背凭れ23eが形成されている。本実施形態においては、ガイド部材47は、背凭れ側とは反対のアームArの端部に設けられている。
【0052】
本実施形態では、上述したように、腰掛部材2が上昇するとともに、取付部材4が取り付けられた浴槽縁Beに近付くように水平方向に移動するように構成されている。したがって、本実施形態では、第1実施形態において説明した効果に加えて、入浴者が腰掛部材2に乗り降りする際には、腰掛部材2が浴槽縁Beに近付くことにより、乗り降りしやすくなる。また、腰掛部材2が下降する際には、浴槽底部Bb側で浴槽Bの中央部(
図9および
図10中の左右方向における中央部)に向かって腰掛部材2が水平方向に移動する。そのため、入浴中に入浴者が浴槽Bの壁部から離れた中央部側で入浴することができる。また、支持部材46が浴槽底部Bbに対する垂直方向Vに対して傾斜するように、浴槽底部Bbから浴槽縁Beに向かって延びていることにより、浴槽Bの壁部が
図9および
図10に示されるように段差が付いている浴槽Bであっても、昇降装置10を容易に設置することができる。
【0053】
また、本実施形態の昇降装置10は、
図8に示されるように、膨張収縮部Eの外周の少なくとも一部(例えば、膨張収縮部Eの谷部など)と支持部材46との間を接続し、膨張収縮部Eが膨張および収縮する際に、支持部材46に対して摺動可能に取り付けられた補助ガイド部材48を備えている。補助ガイド部材48は、膨張収縮部Eの収縮時に膨張収縮部Eの収縮を阻害しないような形状に形成されている。補助ガイド部材48が設けられることにより、膨張収縮部Eの膨張および収縮時に膨張収縮部Eをガイドして、腰掛部材2の安定した昇降を補助する。なお、
図9および
図10では、補助ガイド部材48の図示を省略している。
【0054】
また、本実施形態では、補助基部24は、一対のアームArの支持部材46側の端部に固定された一対の固定部24aと、一対の固定部24aと繋がり、腰掛部材2の上方位置において、浴槽縁Be上に位置するように設けられた補助基部本体24bとを備えている。補助基部本体24bは、本実施形態では、腰掛部材2が上方位置にあるときに、腰掛部材2の外周形状に対応した形状を有し、補助基部本体24bと腰掛部材2との間の水平方向の隙間を小さくしている。本実施形態では、補助基部24は、一対の固定部24aと補助基部本体24bとが、薄肉のヒンジ部24cにより互いに対して揺動可能に接続されている。これにより、
図9および
図10に示されるように、腰掛部材2が上方位置から下降した際には、補助基部本体24bはヒンジ部24c周りに揺動して、支持部材46と入浴者との間に配置されて、入浴者の身体の一部と支持部材46との間の擦れを防止する。また、本実施形態のように、補助基部24を樹脂などの薄板により形成し、ヒンジ部24cを薄肉として補助基部本体24bを揺動可能にすることにより、部品点数の低減や、昇降装置10の軽量化が可能になる。なお、本実施形態の補助基部24は、固定部24aのみで固定され、補助基部本体24bは支持部材46などに固定されることなく、フリーな状態とされており、これにより、昇降装置10をシンプルな構成とすることができる。
【0055】
<第3実施形態>
つぎに、第3実施形態の昇降装置について説明する。第3実施形態の昇降装置は、膨張収縮部が、径方向で二重に構成され、内側膨張収縮部の内部の空間、および、外側膨張収縮部の内周と内側膨張収縮部の外周との間の空間の両方に流体が供給可能な点で、第1および第2実施形態と異なっている。以下、
図11を用いて、第3実施形態の昇降装置について説明する。
【0056】
図11に示されるように、本実施形態の昇降装置11は、それぞれが膨張状態と収縮状態との変化が可能に構成された内側膨張収縮部E1および外側膨張収縮部E2を備えている。
図11に示されるように、内側膨張収縮部E1は、外側膨張収縮部E2の径方向内側に設けられ、外側膨張収縮部E2よりも小径に形成されている。内側膨張収縮部E1および外側膨張収縮部E2は、略同軸上に配置されている。内側膨張収縮部E1は、その内部に流体を供給可能な第1充填部F1を備えている。外側膨張収縮部E2の内周と、内側膨張収縮部E1の外周との間には、流体を供給可能な第2充填部F2が設けられている。第1充填部F1および第2充填部F2は、それぞれに流体の供給が可能なように、流通管32または他の流路を直接または間接的に接続することができる。このように、本実施形態では、膨張収縮部Eを、内側膨張収縮部E1と外側膨張収縮部E2との二重構造とすることにより、第1実施形態で説明した効果に加えて、いずれか一方の膨張収縮部が破れたり、孔が空いてしまった場合であっても、他方の膨張収縮部により、入浴者が腰掛部材2に着座した状態で、腰掛部材2が急激に下降することがない(またはそのまま支持し続ける)。本実施形態では、第1充填部F1が主駆動部として機能し、第2充填部F2が第1充填部F1を外部との摩擦から保護し、腰掛部材の昇降作動を補助する副駆動部として機能する。なお、内側膨張収縮部E1および外側膨張収縮部E2は、第1充填部F1と第2充填部F2とが形成され、それぞれの充填部に流体を供給することができれば、別体としてそれぞれ形成してもよいし、一体的に形成してもよい。また、第3実施形態の昇降装置11は、膨張収縮部が少なくとも二重構造となる部分を有していればよく、たとえば三重(たとえば、径の異なる第1〜第3の膨張収縮部)以上にしても構わない。