(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の製造装置では、吸引ロールの外周面に、多孔質基体を介して、電解質膜が保持される。そして、吸引ロールを回転させることによって、多孔質基体および電解質膜を搬送しつつ、ノズルから触媒インクを吐出することによって、電解質膜の表面に触媒インクを塗布する。このような製造装置では、吸引ロールに対して、複数の基材が搬入・搬出される。したがって、吸引ロールの周囲に、多数のローラが配置される。
【0008】
また、触媒インクを吐出するためのノズルや配管は、定期的に分解洗浄等のメンテナンスを行う必要がある。このため、吸引ロールの周囲には、多数のローラだけではなく、メンテナンススペースも確保する必要がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、膜・電極接合体の製造装置において、メンテナンススペースを確保しながら、装置の高さ寸法を抑えることができるレイアウトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、長尺帯状の電解質膜を搬送しつつ、前記電解質膜の表面に電極層を形成する膜・電極接合体の製造装置であって、外周面に負圧を発生させつつ回転する吸着ローラと、前記吸着ローラの外周面に向けて、長尺帯状の多孔質基材を繰り出す多孔質基材供給ローラと、前記吸着ローラの外周面から離れた前記多孔質基材を巻き取る多孔質基材回収ローラと、前記吸着ローラの外周面に保持された多孔質基材の表面に向けて、前記電解質膜を繰り出す電解質膜供給ローラと、前記多孔質基材の表面から離れた前記電解質膜を巻き取る電解質膜回収ローラと、前記吸着ローラの周囲において、前記電解質膜の表面に電極材料を塗布する塗布部と、前記塗布部のメンテナンスを行うための
足場が設けられたメンテナンススペースと、を備え、前記多孔質基材供給ローラおよび前記多孔質基材回収ローラと、前記メンテナンススペースとが、前記吸着ローラを挟んで互いに水平方向の反対側に配置され
、前記メンテナンススペースは、前記電解質膜供給ローラと前記吸着ローラとの間に位置し、前記電解質膜供給ローラから繰り出された前記電解質膜が、前記メンテナンススペースの前記足場の下を通る。
【0011】
本願の第2発明は、第1発明の製造装置であって、前記電解質膜供給ローラおよび前記メンテナンススペースが、前記吸着ローラの水平方向の一方側に配置され、前記多孔質基材供給ローラ、前記多孔質基材回収ローラおよび前記電解質膜回収ローラが、前記吸着ローラの水平方向の他方側に配置される。
【0012】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の製造装置であって、前記電解質膜供給ローラは、一方の面に電極層が形成された電解質膜を繰り出し、前記製造装置は、前記電解質膜供給ローラと前記吸着ローラとの間において、前記電解質膜を案内する複数の搬入ローラをさらに有し、前記複数の搬入ローラのうち、前記電解質膜の前記一方の面側に配置される搬入ローラの数は、前記電解質膜の他方の面側に配置される搬入ローラの数よりも少ない。
【0014】
本願の第
4発明は、第1発明ないし第
3発明のいずれか1発明の製造装置であって、前記多孔質基材供給ローラと前記多孔質基材回収ローラとが、同一の高さで隣接配置される。
【0015】
本願の第
5発明は、第1発明ないし第
4発明のいずれか1発明の製造装置であって、前記電解質膜供給ローラは、前記電解質膜および第1支持フィルムの少なくとも2層を有する積層基材を繰り出し、前記製造装置は、前記吸着ローラの手前において、前記電解質膜から剥離された前記第1支持フィルムを巻き取る第1支持フィルム回収ローラをさらに備え、前記電解質膜供給ローラと前記第1支持フィルム回収ローラとが、前記吸着ローラの水平方向の同じ側に配置される。
【0016】
本願の第
6発明は、第
5発明の製造装置であって、前記電解質膜供給ローラと前記第1支持フィルム回収ローラとが、同一の高さで隣接配置される。
【0017】
本願の第
7発明は、第1発明ないし第
6発明のいずれか1発明の製造装置であって、前記電極材料が塗布された前記電解質膜の表面に、第2支持フィルムを貼り付けるラミネートローラと、前記ラミネートローラへ向けて前記第2支持フィルムを繰り出す第2支持フィルム供給ローラと、をさらに備え、前記電解質膜回収ローラと前記第2支持フィルム供給ローラとが、前記吸着ローラの水平方向の同じ側に配置される。
【0018】
本願の第
8発明は、第
7発明の製造装置であって、前記電解質膜回収ローラと前記第2支持フィルム供給ローラとが、同一の高さで隣接配置される。
【0019】
本願の第
9発明は、第1発明ないし第
8発明のいずれか1発明の製造装置であって、前記電解質膜供給ローラと前記電解質膜回収ローラとが、同一の高さに配置される。
【0020】
本願の第
10発明は、第1発明ないし第
9発明のいずれか1発明の製造装置であって、前記多孔質基材供給ローラ、前記多孔質基材回収ローラ、前記電解質膜供給ローラおよび前記電解質膜回収ローラは、いずれも、前記吸着ローラよりも低い位置に配置される。
【発明の効果】
【0021】
本願の第1発明〜第
10発明によれば、多孔質基材供給ローラと、多孔質基材回収ローラとを、吸着ローラの片側にまとめて配置することによって、吸着ローラの反対側に、メンテナンススペースを確保できる。また、多孔質基材供給ローラ、多孔質基材回収ローラおよびメンテナンススペースを、全て吸着ローラの片側に配置する場合よりも、製造装置の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0022】
特に、本願の第2発明によれば、駆動部である多孔質基材供給ローラおよび多孔質基材回収ローラを、塗布処理前の電解質膜から遠ざけることができる。このため、多孔質基材供給ローラまたは多孔質基材回収ローラから粉塵が発生したとしても、その粉塵が、塗布処理前の電解質膜に付着することを抑制できる。
【0023】
特に、本願の第3発明によれば、電解質膜の一方の面に既に形成された電極層に、搬入ローラが接触する回数を少なくして、電極層の損傷や粉塵の付着を抑制できる。
【0024】
特に、本願の第
4発明によれば、多孔質基材供給ローラと多孔質基材回収ローラとを異なる高さに配置する場合よりも、製造装置の高さ方向の寸法を抑制できる。また、多孔質基材供給ローラおよび多孔質基材回収ローラのそれぞれにおいて、基材の交換作業を行いやすい。
【0025】
特に、本願の第
6発明によれば、電解質膜供給ローラと第1支持フィルム回収ローラとを異なる高さに配置する場合よりも、製造装置の高さ方向の寸法を抑制できる。また、電解質膜供給ローラおよび第1支持フィルム回収ローラのそれぞれにおいて、基材の交換作業を行いやすい。
【0026】
特に、本願の第
8発明によれば、電解質膜回収ローラと第2支持フィルム供給ローラとを異なる高さに配置する場合よりも、製造装置の高さ方向の寸法を抑制できる。また、電解質膜回収ローラおよび第2支持フィルム供給ローラのそれぞれにおいて、基材の交換作業を行いやすい。
【0027】
特に、本願の第
9発明によれば、電解質膜供給ローラと電解質膜回収ローラとを異なる高さに配置する場合よりも、製造装置の高さ方向の寸法を抑制できる。また、電解質膜供給ローラおよび電解質膜回収ローラのそれぞれにおいて、基材の交換作業を行いやすい。
【0028】
特に、本願の第
10発明によれば、駆動部である多孔質基材供給ローラ、多孔質基材回収ローラ、電解質膜供給ローラおよび電解質膜回収ローラから粉塵が発生したとしても、その粉塵が吸着ローラの周囲へ飛散しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
<1.製造装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る膜・電極接合体の製造装置1の構成を示した図である。この製造装置1は、長尺帯状の基材である電解質膜の表面に、電極層を形成して、固体高分子形燃料電池用の膜・電極接合体を製造する装置である。
図1に示すように、本実施形態の膜・電極接合体の製造装置1は、吸着ローラ10、多孔質基材供給回収部20、電解質膜供給部30、塗布部40、乾燥炉50、接合体回収部60および制御部70を備えている。
【0032】
吸着ローラ10は、多孔質基材91および電解質膜92を吸着保持しつつ回転するローラである。吸着ローラ10は、複数の吸着孔を有する円筒状の外周面を有する。吸着ローラ10の直径は、例えば、200mm〜1600mmとされる。
図2は、吸着ローラ10の下部付近の拡大図である。
図2中に破線で示したように、吸着ローラ10には、モータ等の駆動源を有する回転駆動部11が接続される。回転駆動部11を動作させると、吸着ローラ10は、水平に延びる軸心周りに回転する。
【0033】
吸着ローラ10の材料には、例えば、多孔質カーボンや多孔質セラミックス等の多孔質材料が用いられる。多孔質セラミックスの具体例としては、アルミナ(Al
2O
3)または炭化ケイ素(SiC)の焼結体を挙げることができる。多孔質の吸着ローラ10における気孔径は、例えば5μm以下とされ、気孔率は、例えば15%〜50%とされる。
【0034】
なお、吸着ローラ10の材料に、多孔質材料に代えて、金属を用いてもよい。金属の具体例としては、SUS等のステンレスまたは鉄を挙げることができる。吸着ローラ10の材料に金属を用いる場合には、吸着ローラ10の外周面に、微小な吸着孔を、加工により形成すればよい。吸着孔の直径は、吸着痕の発生を防止するために、2mm以下とすることが好ましい。
【0035】
吸着ローラ10の端面には、吸引口12が設けられている。吸引口12は、図外の吸引機構(例えば、排気ポンプ)に接続される。吸引機構を動作させると、吸着ローラ10の吸引口12に負圧が生じる。そして、吸着ローラ10内の気孔を介して、吸着ローラ10の外周面に設けられた複数の吸着孔にも、負圧が発生する。多孔質基材91および電解質膜92は、当該負圧によって、吸着ローラ10の外周面に吸着保持されつつ、吸着ローラ10の回転によって円弧状に搬送される。
【0036】
また、
図2中に破線で示すように、吸着ローラ10の内部には、複数の水冷管13が設けられている。水冷管13には、図外の給水機構から、所定温度に温調された冷却水が供給される。製造装置1の動作時には、吸着ローラ10の熱が、熱媒体である冷却水に吸収される。これにより、吸着ローラ10が冷却される。熱を吸収した冷却水は、図外の排液機構へ排出される。
【0037】
なお、後述する乾燥炉50に代えて、吸着ローラ10の内部に、温水循環機構やヒータなどの加熱機構が設けられていてもよい。その場合、吸着ローラ10の内部に水冷管を設けず、吸着ローラ10の内部に設けられた加熱機構を制御することによって、吸着ローラ10の外周面の温度を制御してもよい。
【0038】
多孔質基材供給回収部20は、長尺帯状の多孔質基材91を吸着ローラ10へ向けて供給するとともに、使用後の多孔質基材91を回収する部位である。多孔質基材91は、多数の微細な気孔を有する通気可能な基材である。多孔質基材91は、粉塵が発生しにくい材料で形成されていることが好ましい。
図1に示すように、多孔質基材供給回収部20は、多孔質基材供給ローラ21、複数の多孔質基材搬入ローラ22、複数の多孔質基材搬出ローラ23および多孔質基材回収ローラ24を有する。多孔質基材供給ローラ21、複数の多孔質基材搬入ローラ22、複数の多孔質基材搬出ローラ23および多孔質基材回収ローラ24は、いずれも、吸着ローラ10と平行に配置される。
【0039】
供給前の多孔質基材91は、多孔質基材供給ローラ21に巻き付けられている。多孔質基材供給ローラ21は、図示を省略したモータの動力により回転する。多孔質基材供給ローラ21が回転すると、多孔質基材91は、多孔質基材供給ローラ21から繰り出される。繰り出された多孔質基材91は、複数の多孔質基材搬入ローラ22により案内されつつ、所定の搬入経路に沿って、吸着ローラ10の外周面まで搬送される。そして、多孔質基材91は、吸着ローラ10の外周面に吸着保持されつつ、吸着ローラ10の回転によって、円弧状に搬送される。なお、
図2では、理解容易のため、吸着ローラ10と、吸着ローラ10に保持される多孔質基材91とが、間隔を空けて図示されている。
【0040】
多孔質基材91は、吸着ローラ10の軸心を中心として、180°以上、好ましくは270°以上搬送される。その後、多孔質基材91は、吸着ローラ10の外周面から離れる。吸着ローラ10から離れた多孔質基材91は、複数の多孔質基材搬出ローラ23により案内されつつ、所定の搬出経路に沿って、多孔質基材回収ローラ24まで搬送される。多孔質基材回収ローラ24は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、使用後の多孔質基材91が、多孔質基材回収ローラ24に巻き取られる。
【0041】
電解質膜供給部30は、電解質膜92および第1支持フィルム93の2層で構成される積層基材94を、吸着ローラ10の周囲へ供給するとともに、電解質膜92から第1支持フィルム93を剥離する部位である。
【0042】
電解質膜92には、例えば、フッ素系または炭化水素系の高分子電解質膜が用いられる。電解質膜92の具体例としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を含む高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、ゴア(Gore)社製のGoreselect(登録商標))を挙げることができる。電解質膜92の膜厚は、例えば、5μm〜30μmとされる。電解質膜92は、大気中の湿気によって膨潤する一方、湿度が低くなると収縮する。すなわち、電解質膜92は、大気中の湿度に応じて変形しやすい性質を有する。
【0043】
第1支持フィルム93は、電解質膜92の変形を抑制するためのフィルムである。第1支持フィルム93の材料には、電解質膜92よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。第1支持フィルム93の具体例としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを挙げることができる。第1支持フィルム93の膜厚は、例えば25μm〜100μmとされる。
【0044】
図1に示すように、電解質膜供給部30は、積層基材供給ローラ31(電解質膜供給ローラ)、複数の積層基材搬入ローラ32、剥離ローラ33、複数の第1支持フィルム搬出ローラ34および第1支持フィルム回収ローラ35を有する。積層基材供給ローラ31、複数の積層基材搬入ローラ32、剥離ローラ33、複数の第1支持フィルム搬出ローラ34および第1支持フィルム回収ローラ35は、いずれも、吸着ローラ10と平行に配置される。
【0045】
供給前の積層基材94は、第1支持フィルム93が外側となるように、積層基材供給ローラ31に巻き付けられている。本実施形態では、電解質膜92の、第1支持フィルム93とは反対側の面(以下、「第1面」と称する)に、予め電極層(以下、「第1電極層9a」と称する)が形成されている。第1電極層9aは、この製造装置1とは別の装置において、第1支持フィルム93および電解質膜92の2層で構成される積層基材94を、そのままロール・ツー・ロール方式で搬送しつつ、電解質膜92の第1面に電極材料を間欠塗布し、塗布された電極材料を乾燥させることによって形成される。
【0046】
積層基材供給ローラ31は、図示を省略したモータの動力により回転する。積層基材供給ローラ31が回転すると、積層基材94は、積層基材供給ローラ31から繰り出される。繰り出された積層基材94は、複数の積層基材搬入ローラ32により案内されつつ、所定の搬入経路に沿って、剥離ローラ33まで搬送される。
【0047】
剥離ローラ33は、電解質膜92から第1支持フィルム93を剥離するためのローラである。剥離ローラ33は、吸着ローラ10よりも径の小さい円筒状の外周面を有する。剥離ローラ33の少なくとも外周面は、弾性体により形成される。剥離ローラ33は、吸着ローラ10に対する多孔質基材91の導入位置よりも、吸着ローラ10の回転方向のやや下流側において、吸着ローラ10に隣接配置されている。また、剥離ローラ33は、図示を省略したエアシリンダによって、吸着ローラ10側へ加圧されている。
【0048】
図2に示すように、複数の積層基材搬入ローラ32により搬入される積層基材94は、吸着ローラ10と剥離ローラ33との間へ導入される。このとき、電解質膜92の第1面は、第1電極層9aとともに、吸着ローラ10に保持された多孔質基材91の表面に接触し、第1支持フィルム93は、剥離ローラ33の外周面に接触する。また、積層基材94は、剥離ローラ33から受ける圧力で、吸着ローラ10側へ押し付けられる。吸着ローラ10に保持された多孔質基材91の表面には、吸着ローラ10からの吸引力によって、負圧が生じる。電解質膜92は、当該負圧によって、多孔質基材91の表面に吸着される。そして、電解質膜92は、多孔質基材91とともに吸着ローラ10に保持されつつ、吸着ローラ10の回転によって、円弧状に搬送される。なお、
図2では、理解容易のため、吸着ローラ10に保持される多孔質基材91と電解質膜92とが、間隔を空けて図示されている。
【0049】
このように、本実施形態では、吸着ローラ10の外周面と電解質膜92との間に、多孔質基材91を介在させる。このため、吸着ローラ10の外周面と、電解質膜92の第1面に形成された第1電極層9aとは、直接接触しない。したがって、第1電極層9aの一部が吸着ローラ10の外周面に付着したり、吸着ローラ10の外周面から電解質膜92へ異物が転載されたりすることを、防止できる。
【0050】
一方、吸着ローラ10と剥離ローラ33との間を通過した第1支持フィルム93は、吸着ローラ10から離れて、複数の第1支持フィルム搬出ローラ34側へ搬送される。これにより、電解質膜92から第1支持フィルム93が剥離される。その結果、電解質膜92の第1面とは反対側の面(以下、「第2面」と称する)が露出する。剥離された第1支持フィルム93は、複数の第1支持フィルム搬出ローラ34により案内されつつ、所定の搬出経路に沿って、第1支持フィルム回収ローラ35まで搬送される。第1支持フィルム回収ローラ35は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、第1支持フィルム93が、第1支持フィルム回収ローラ35に巻き取られる。
【0051】
塗布部40は、吸着ローラ10の周囲において、電解質膜92の表面に電極材料を塗布する機構である。電極材料には、例えば、白金(Pt)を含む触媒粒子をアルコールなどの溶媒中に分散させた触媒インクが用いられる。
図1に示すように、塗布部40はノズル41を有する。ノズル41は、吸着ローラ10による電解質膜92の搬送方向において、剥離ローラ33よりも下流側に設けられている。ノズル41は、吸着ローラ10の外周面に対向する吐出口411を有する。吐出口411は、吸着ローラ10の外周面に沿って、水平に延びるスリット状の開口である。
【0052】
ノズル41は、図示を省略した電極材料供給源と接続されている。塗布部40を駆動させると、電極材料供給源から配管を通ってノズル41に、電極材料が供給される。そして、ノズル41の吐出口411から電解質膜92の第2面に向けて、電極材料が吐出される。これにより、電解質膜92の第2面に、電極材料が塗布される。
【0053】
本実施形態では、ノズル41に接続されるバルブを一定の周期で開閉することによって、ノズル41の吐出口411から、電極材料を断続的に吐出する。これにより、電解質膜92の第2面に、電極材料を搬送方向に一定の間隔で間欠塗布する。ただし、バルブを連続的に開放して、電解質膜92の第2面に、搬送方向に切れ目無く電極材料を塗布してもよい。
【0054】
なお、電極材料中の触媒粒子には、高分子形燃料電池のアノードまたはカソードにおいて燃料電池反応を起こす材料が用いられる。具体的には、白金(Pt)、白金合金、白金化合物等の粒子を、触媒粒子として用いることができる。白金合金の例としては、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)等からなる群から選択される少なくとも1種の金属と白金との合金を挙げることができる。一般的には、カソード用の電極材料には白金が用いられ、アノード用の電極材料には白金合金が用いられる。ノズル41から吐出される電極材料は、カソード用であってもアノード用であってもよい。ただし、電解質膜92の表裏に形成される電極層9a,9bには、互いに逆極性の電極材料が用いられる。
【0055】
塗布部40のノズル41や配管は、定期的に分解洗浄等のメンテナンスを行う必要がある。このため、この製造装置1は、塗布部40のメンテナンスを行うためのメンテナンススペース80を有する。本実施形態では、塗布部40と第1支持フィルム回収ローラ35との間に、メンテナンススペース80が配置されている。塗布部40のメンテナンスを行うときには、メンテナンススペース80に設けられた足場801の上に作業者89が立って、塗布部40を構成する部品の洗浄等を行う。
【0056】
乾燥炉50は、電解質膜92の第2面に塗布された電極材料を乾燥させる部位である。本実施形態の乾燥炉50は、吸着ローラ10による電解質膜92の搬送方向において、塗布部40よりも下流側に配置されている。また、乾燥炉50は、吸着ローラ10の外周面に沿って、円弧状に設けられている。乾燥炉50は、吸着ローラ10の周囲において、電解質膜92の第2面に、加熱された気体(熱風)を吹き付ける。そうすると、電解質膜92の第2面に塗布された電極材料が加熱され、電極材料中の溶剤が気化する。これにより、電極材料が乾燥して、電解質膜92の第2面に電極層(以下、「第2電極層9b」と称する)が形成される。その結果、電解質膜92、第1電極層9aおよび第2電極層9bで構成される膜・電極接合体95が得られる。
【0057】
接合体回収部60は、膜・電極接合体95に第2支持フィルム96を貼り付けて、膜・電極接合体95を回収する部位である。
図1に示すように、接合体回収部60は、第2支持フィルム供給ローラ61、複数の第2支持フィルム搬入ローラ62、ラミネートローラ63、複数の接合体搬出ローラ64および接合体回収ローラ65(電解質膜回収ローラ)を有する。第2支持フィルム供給ローラ61、複数の第2支持フィルム搬入ローラ62、ラミネートローラ63、複数の接合体搬出ローラ64および接合体回収ローラ65は、いずれも、吸着ローラ10と平行に配置される。
【0058】
供給前の第2支持フィルム96は、第2支持フィルム供給ローラ61に巻き付けられている。第2支持フィルム供給ローラ61は、図示を省略したモータの動力により回転する。第2支持フィルム供給ローラ61が回転すると、第2支持フィルム96は、第2支持フィルム供給ローラ61から繰り出される。繰り出された第2支持フィルム96は、複数の第2支持フィルム搬入ローラ62により案内されつつ、所定の搬入経路に沿って、ラミネートローラ63まで搬送される。
【0059】
第2支持フィルム96の材料には、電解質膜92よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。第2支持フィルム96の具体例としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを挙げることができる。第2支持フィルム96の膜厚は、例えば25μm〜100μmとされる。第2支持フィルム96は、第1支持フィルム93と同じものであってもよい。また、第1支持フィルム回収ローラ35に巻き取られた第1支持フィルム93を、第2支持フィルム96として第2支持フィルム供給ローラ61から繰り出すようにしてもよい。
【0060】
ラミネートローラ63は、膜・電極接合体95に第2支持フィルム96を貼り付けるためのローラである。ラミネートローラ63の材料には、例えば、耐熱性の高いゴムが用いられる。ラミネートローラ63は、吸着ローラ10よりも径の小さい円筒状の外周面を有する。ラミネートローラ63は、吸着ローラ10の回転方向において、乾燥炉50よりも下流側、かつ、吸着ローラ10から多孔質基材91が離れる位置よりも上流側において、吸着ローラ10に隣接配置されている。また、ラミネートローラ63は、図示を省略したエアシリンダによって、吸着ローラ10側へ加圧されている。
【0061】
図2に示すように、ラミネートローラ63の内部には、通電により発熱するヒータ631が設けられている。ヒータ631には、例えば、シーズヒータが用いられる。ヒータ631に通電すると、ヒータ631から生じる熱によって、ラミネートローラ63の外周面が、環境温度よりも高い所定の温度に温調される。なお、ラミネートローラ63の外周面の温度を放射温度計等の温度センサを用いて測定し、その測定結果に基づいて、ラミネートローラ63の外周面が一定の温度となるように、ヒータ631の出力を制御してもよい。
【0062】
複数の第2支持フィルム搬入ローラ62により搬入される第2支持フィルム96は、
図2に示すように、吸着ローラ10の周囲において搬送される膜・電極接合体95とラミネートローラ63との間へ導入される。このとき、第2支持フィルム96は、ラミネートローラ63からの圧力により、膜・電極接合体95に押し付けられるとともに、ラミネートローラ63の熱により加熱される。その結果、電解質膜92の第2面に、第2支持フィルム96が貼り付けられる。電解質膜92の第2面に形成された第2電極層9bは、電解質膜92と第2支持フィルム96との間に挟まれる。
【0063】
吸着ローラ10とラミネートローラ63との間を通過した第2支持フィルム96付きの膜・電極接合体95は、吸着ローラ10から離れる方向へ搬送される。これにより、多孔質基材91から膜・電極接合体95が剥離される。
【0064】
また、本実施形態では、ラミネートローラ63の近傍に、押圧ローラ632が配置されている。押圧ローラ632は、吸着ローラ10とラミネートローラ63との間の隙間よりも、膜・電極接合体95の搬送方向下流側において、ラミネートローラ63に隣接配置されている。また、押圧ローラ632は、図示を省略したエアシリンダによって、ラミネートローラ63側へ加圧されている。多孔質基材91から離れた第2支持フィルム96付きの膜・電極接合体95は、続いて、ラミネートローラ63と押圧ローラ632との間を通過する。これにより、電解質膜92の第2面に対する第2支持フィルム96の密着性が向上する。
【0065】
その後、第2支持フィルム96付きの膜・電極接合体95は、複数の接合体搬出ローラ64により案内されつつ、所定の搬出経路に沿って、接合体回収ローラ65まで搬送される。接合体回収ローラ65は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、第2支持フィルム96付きの膜・電極接合体95が、第2支持フィルム96が外側となるように、接合体回収ローラ65に巻き取られる。
【0066】
このように、本実施形態の製造装置1では、積層基材供給ローラ31からの積層基材94の繰り出し、電解質膜92からの第1支持フィルム93の剥離、電解質膜92への電極材料の塗布、乾燥炉50による乾燥、電解質膜92への第2支持フィルム96の貼り付け、接合体回収ローラ65への膜・電極接合体95の巻取り、の各工程が、順次に実行される。これにより、固体高分子形燃料電池の電極に用いられる膜・電極接合体95が製造される。電解質膜92は、第1支持フィルム93、吸着ローラ10、または第2支持フィルム96に、常に保持されている。これにより、製造装置1における電解質膜92の膨潤・収縮等の変形が抑制される。
【0067】
制御部70は、製造装置1内の各部を動作制御するための手段である。
図3は、制御部70と、製造装置1内の各部との接続を示したブロック図である。
図3中に概念的に示したように、制御部70は、CPU等の演算処理部71、RAM等のメモリ72およびハードディスクドライブ等の記憶部73を有するコンピュータにより構成される。記憶部73内には、膜・電極接合体の製造処理を実行するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。
【0068】
また、
図3に示すように、制御部70は、上述した吸着ローラ10の回転駆動部11、吸着ローラ10の吸引機構、多孔質基材供給ローラ21のモータ、多孔質基材回収ローラ24のモータ、積層基材供給ローラ31のモータ、剥離ローラ33のエアシリンダ、第1支持フィルム回収ローラ35のモータ、塗布部40、乾燥炉50、第2支持フィルム供給ローラ61のモータ、ラミネートローラ63のエアシリンダ、ラミネートローラ63のヒータ631、押圧ローラ632のエアシリンダおよび接合体回収ローラ65のモータと、それぞれ通信可能に接続されている。
【0069】
制御部70は、記憶部73に記憶されたコンピュータプログラムPやデータをメモリ72に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、演算処理部71が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、製造装置1における膜・電極接合体の製造処理が進行する。
【0070】
<2.複数のローラおよびメンテナンススペースのレイアウトについて>
続いて、上述した製造装置1における、複数のローラおよびメンテナンススペースのレイアウトについて、説明する。
図4は、この製造装置1のレイアウトを、概念的に示した図である。
【0071】
図4に示すように、この製造装置1では、積層基材供給ローラ31、第1支持フィルム回収ローラ35およびメンテナンススペース80が、吸着ローラ10よりも、水平方向(吸着ローラ10の軸心に対して垂直な水平方向)の一方側の空間(以下、「上流側空間81」と称する)に配置されている。また、多孔質基材供給ローラ21、多孔質基材回収ローラ24、第2支持フィルム供給ローラ61および接合体回収ローラ65が、吸着ローラ10よりも、水平方向の他方側の空間(以下、「下流側空間82」と称する)に配置されている。
【0072】
すなわち、この製造装置1では、多孔質基材供給ローラ21と、多孔質基材回収ローラ24とが、吸着ローラ10の片側の空間である下流側空間82に、まとめて配置されている。これにより、吸着ローラ10を挟んで反対側の上流側空間81に、広いメンテナンススペース80を確保することが、可能となっている。また、多孔質基材供給ローラ21および多孔質基材回収ローラ24と、メンテナンススペース80とを、互いに反対側の空間に配置することによって、これらを全て片側の空間に配置する場合よりも、製造装置1の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0073】
特に、この製造装置1では、積層基材供給ローラ31が配置される上流側空間81に、メンテナンススペース80が配置されている。そして、接合体回収ローラ65が配置される下流側空間82に、多孔質基材供給ローラ21および多孔質基材回収ローラ24が配置されている。これにより、駆動部である多孔質基材供給ローラ21および多孔質基材回収ローラ24が、塗布処理前の電解質膜92から遠ざけられている。このため、仮に、多孔質基材供給ローラ21または多孔質基材回収ローラ24から粉塵が発生したとしても、その粉塵が、塗布処理前の電解質膜92に付着することを抑制できる。
【0074】
また、この製造装置1では、メンテナンススペース80が、積層基材供給ローラ31および第1支持フィルム回収ローラ35と、吸着ローラ10との間に位置する。そして、積層基材供給ローラ31から繰り出された積層基材94と、剥離後の第1支持フィルム93とが、いずれも、メンテナンススペース80の足場801の下を通る。このようにすれば、積層基材94および第1支持フィルム93がメンテナンススペース80の上側を通る場合よりも、製造装置1の高さ方向の寸法を、より抑制できる。
【0075】
また、上述の通り、この製造装置1では、積層基材供給ローラ31から繰り出される電解質膜92の第1面に、既に第1電極層9aが形成されている。このため、
図1に示すように、複数の積層基材搬入ローラ32のうち、電解質膜92の第1面側に配置される積層基材搬入ローラ32の数は、電解質膜92の第2面側に配置される積層基材搬入ローラ32の数よりも、少なくしている。これにより、電解質膜92の第1面に既に形成された第1電極層9aに、積層基材搬入ローラ32が接触する回数を少なくしている。その結果、第1電極層9aの損傷や、第1電極層9aへの粉塵の付着が抑制されている。
【0076】
また、
図1に示すように、この製造装置1では、複数の接合体搬出ローラ64は、全て、電解質膜92の第2面側に配置されている。すなわち、複数の接合体搬出ローラ64は、全て、第2支持フィルム96に接触する。これにより、第2支持フィルム96に保護されていない電解質膜92の第1面や、第1面に形成された第1電極層9aが、接合体搬出ローラ64により損傷したり、第1電極層9aに粉塵が付着したりすることが、抑制されている。
【0077】
また、
図4に示すように、この製造装置1では、積層基材供給ローラ31と第1支持フィルム回収ローラ35とが、同一の高さh1で隣接配置されている。このようにすれば、積層基材供給ローラ31と第1支持フィルム回収ローラ35とを異なる高さに配置する場合よりも、製造装置1の高さ方向の寸法を抑制できる。また、積層基材供給ローラ31における積層基材94の交換作業と、第1支持フィルム回収ローラ35における第1支持フィルム93の交換作業とに、同一の搬送装置を用いることができる。したがって、これらの交換作業を行いやすい。
【0078】
また、この製造装置1では、第2支持フィルム供給ローラ61と接合体回収ローラ65とが、同一の高さh1で隣接配置されている。このようにすれば、第2支持フィルム供給ローラ61と接合体回収ローラ65とを異なる高さに配置する場合よりも、製造装置1の高さ方向の寸法を抑制できる。また、第2支持フィルム供給ローラ61における第2支持フィルム96の交換作業と、接合体回収ローラ65における膜・電極接合体95の交換作業とに、同一の搬送装置を用いることができる。したがって、これらの交換作業を行いやすい。
【0079】
また、この製造装置1では、多孔質基材供給ローラ21と多孔質基材回収ローラ24とが、同一の高さh2で隣接配置されている。このようにすれば、多孔質基材供給ローラ21と多孔質基材回収ローラ24とを異なる高さに配置する場合よりも、製造装置1の高さ方向の寸法を抑制できる。また、多孔質基材供給ローラ21における多孔質基材91の交換作業と、多孔質基材回収ローラ24における多孔質基材91の交換作業とに、同一の搬送装置を用いることができる。したがって、これらの交換作業を行いやすい。
【0080】
さらに、この製造装置1では、積層基材供給ローラ31および第1支持フィルム回収ローラ35と、第2支持フィルム供給ローラ61と接合体回収ローラ65とが、同一の高さに配置されている。このようにすれば、これらの4つのローラを互いに異なる高さに配置する場合よりも、製造装置1の高さ方向の寸法を抑制できる。また、これらの4つのローラにおける基材の交換作業に、同一の搬送装置を用いることができる。したがって、これらの交換作業を行いやすい。
【0081】
また、この製造装置1では、多孔質基材供給ローラ21、多孔質基材回収ローラ24、積層基材供給ローラ31、第1支持フィルム回収ローラ35、第2支持フィルム供給ローラ61および接合体回収ローラ65が、いずれも、吸着ローラ10よりも低い位置に配置されている。このようにすれば、駆動部である多孔質基材供給ローラ21、多孔質基材回収ローラ24、積層基材供給ローラ31、第1支持フィルム回収ローラ35、第2支持フィルム供給ローラ61および接合体回収ローラ65から粉塵が発生したとしても、その粉塵が吸着ローラ10の周囲へ飛散しにくい。したがって、電極材料の塗布処理において、不良が発生する虞を抑制できる。
【0082】
さらに、この製造装置1では、
図1に示すように、複数の多孔質基材搬入ローラ22、複数の多孔質基材搬出ローラ23、複数の積層基材搬入ローラ32、複数の第1支持フィルム搬出ローラ34、複数の第2支持フィルム搬入ローラ62、および複数の接合体搬出ローラ64も、全て、吸着ローラ10よりも低い位置に配置されている。このようにすれば、駆動部であるこれらのローラから粉塵が発生したとしても、その粉塵が吸着ローラ10の周囲へ飛散しにくい。したがって、電極材料の塗布処理において、不良が発生する虞を、より抑制できる。
【0083】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0084】
図5は、一変形例に係る製造装置1aのレイアウトを、概念的に示した図である。
図5の例では、多孔質基材供給ローラ21、多孔質基材回収ローラ24、積層基材供給ローラ31および第1支持フィルム回収ローラ35が、上流側空間81に配置されている。また、第2支持フィルム供給ローラ61、接合体回収ローラ65およびメンテナンススペース80が、下流側空間82に配置されている。
【0085】
図5の例では、多孔質基材供給ローラ21と、多孔質基材回収ローラ24とが、吸着ローラ10の片側の空間である上流側空間81に、まとめて配置されている。これにより、吸着ローラ10を挟んで反対側の下流側空間82に、メンテナンススペース80を確保することが可能となっている。また、多孔質基材供給ローラ21および多孔質基材回収ローラ24と、メンテナンススペース80とを、互いに反対側の空間に配置することによって、これらを全て片側の空間に配置する場合よりも、製造装置1aの高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0086】
また、上記の実施形態では、一方の面に予め第1電極層9aが形成された電解質膜92の他方の面に、第2電極層9bを形成する場合について説明した。しかしながら、本発明の製造装置は、表裏のいずれの面にも電極層が形成されていない電解質膜に対して、電極層を形成するものであってもよい。
【0087】
また、上記の実施形態では、電解質膜供給ローラとしての積層基材供給ローラ31から、電解質膜92および第1支持フィルム93の2層で構成される積層基材94を供給する場合について説明した。しかしながら、本発明における電解質膜供給ローラは、第1支持フィルム93が貼り付けられていない電解質膜92を繰り出すものであってもよい。
【0088】
また、上記の実施形態では、電解質膜回収ローラとしての接合体回収ローラ65が、第2支持フィルム96付きの電解質膜92を巻き取る場合について説明した。しかしながら、本発明における電解質膜回収ローラは、第2支持フィルム96が貼り付けられていない電解質膜92を巻き取るものであってもよい。
【0089】
また、製造装置の細部の構成については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。