(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
以下に示す説明において、制御部30は、例えばCPUなどの演算処理装置、メモリ、メモリにロードされたプログラム、そのプログラムを格納する記憶メディア(例えば不揮発メモリ)によって実現される。制御部30は、例えば、マイクロコンピューター(マイコン)を含む回路である。ただし、制御部30のハードウェア構成は、上記した例に限定されない。また、制御部30は、通信回線網を介して発光装置10を制御していてもよい。
【0011】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る発光装置10の機能構成を示すブロック図である。実施形態に係る発光装置10は、照明パネル15、検知部20、及び制御部30を備えている。照明パネル15は発光色すなわち照明パネル15の発光の色温度が制御可能である。検知部20は照明パネル15の発光色を検知する。制御部30は照明パネル15を制御する。制御部30は、照明パネル15の制御モードとして、第1モード、調整モード、及び第2モードを有している。第1モードにおいて、制御部30は、照明パネル15の制御パラメータ、例えば電流値、電流密度、又は電圧を第1の設定値にする。この第1の設定値は、照明パネル15の発光色の色温度が基準を満たすように設定されている。調整モードにおいて、制御部30は、検知部20の検知結果に基づき、第1の設定値を調整する。第2モードにおいて、制御部30は、照明パネル15の輝度を、調整モード実行前の第1モードにおける照明パネル15の輝度(以下、第1輝度と記載)と調整モード実行後の第1モードにおける照明パネル15の輝度(以下、第2輝度と記載)の間にする。以下、発光装置10の各構成について詳細に説明する。
【0012】
照明パネル15は、複数種類の発光素子を有している。これら複数種類の発光素子は、互いに発光スペクトルのピーク波長が異なる。言い換えると、これら複数種類の発光素子の発光色は、互いに異なる。そして、これら複数種類の発光素子は、互いに独立して制御される。このため、照明パネル15の発光色は、制御可能になっている。
【0013】
照明パネル15が有する発光素子は、例えば有機EL素子である。照明パネル15が有する複数の有機EL素子は、いずれも基板の上に形成されており、第1電極、第2電極、及び有機層を有している。この有機層は、第1電極と第2電極の間に位置している。なお、照明パネル15が有する有機EL素子は、ボトムエミッション型、トップエミッション型及び両面発光型のいずれであってもよい。
【0014】
有機EL素子がボトムエミッション型である場合、照明パネル15の基板は、例えばガラスや透光性の樹脂などの透光性の材料で形成されており、基板のうち第1電極とは逆側の面が照明パネル15の光取出面になっている。基板は、例えば矩形などの多角形である。また、基板は可撓性を有していてもよい。基板が可撓性を有している場合、基板の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。特に基板をガラス材料で可撓性を持たせる場合、基板の厚さは、例えば200μm以下である。基板を樹脂材料で可撓性を持たせる場合は、基板の材料として、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを含ませて形成されている。また、基板が樹脂材料を含む場合、水分が基板を透過することを抑制するために、基板の少なくとも発光面(好ましくは両面)に、SiN
xやSiONなどの無機バリア膜が形成されている。
【0015】
なお、有機EL素子がトップエミッション型である場合、基板は透光性を有していなくてもよい。
【0016】
有機EL素子は基板の一面に形成されており、第1電極、有機層、及び第2電極を有している。
【0017】
第1電極及び第2電極の少なくとも一方は、光透過性を有する透明電極である。例えば有機EL素子がボトムエミッション型である場合、第1電極は透明電極である。また有機EL素子がトップエミッション型である場合、第2電極は透明電極である。一方、有機EL素子が両面発光型である場合、第1電極および第2電極の双方が透明電極である。
【0018】
透明電極を構成する透明導電材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。透明電極の材料の屈折率は、例えば1.5以上2.2以下である。透明電極の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。透明電極は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、透明電極は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよいし、薄い金属電極であってもよい。
【0019】
第1電極及び第2電極のうち透光性を有していない電極、例えばボトムエミッション型の第2電極は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属、又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。この電極は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。
【0020】
有機層は、第1電極と第2電極の間に位置しており、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層を有している。ただし、正孔注入層及び正孔輸送層の一方は形成されていなくてもよい。また、電子輸送層及び電子注入層の一方は形成されていなくてもよい。有機層は、さらに他の層を有していてもよい。
【0021】
照明パネル15は、複数の端子を有している。照明パネル15が有する複数種類の発光素子の少なくとも一方の電極、例えば陽極は、互いに異なる端子に電気的に接続している。そして複数の端子は、いずれも制御部30に電気的に接続している。
【0022】
検知部20は、例えば光電変換素子を有しており、この光電変換素子の出力を用いて、照明パネル15の発光色及び輝度を検知するための信号(以下、検知信号と記載)を生成する。検知部20は、例えば互いに異なる色を検知するための複数種類の光電変換素子を有している。そして検知部20は、これら複数種類の光電変換素子それぞれの出力をそのまま用いる又は増幅することにより、検知信号を生成する。この検知信号は、制御部30に入力される。
【0023】
制御部30は、照明パネル15の発光色及び発光の色温度を制御する。具体的には、制御部30は、照明パネル15の制御モードとして複数の制御モードを有している。これら複数の制御モードの大部分には、照明パネル15の制御パラメータ(例えば各発光素子の電流又は電圧)が設定されている。この制御パラメータは、例えば制御部30内の記憶素子に記憶されており、何らかの理由により修正されない限りは、固定値となっている。ただし、上記した制御パラメータはクラウド上にあってもよい。この場合、制御部30には通信部が設けられる。制御部30は、照明パネル15の制御パラメータを、その時の選択された制御モードの値となるようにする。
【0024】
制御部30が有する制御モードには、上記した第1制御モードが含まれている。第1制御モードは、照明パネル15の発光色が予め定められた色温度(以下、設定色温度と記載)になるように、上記した制御パラメータが設定されている。例えば第1モードが化粧時に用いられる場合、この色温度は3500K以上4500K以下の値、例えば4000Kである。また、落ち着きたいとき、リラックスしたい時などは色温度の範囲を2600K以上2800K以下の値、たとえば2700Kに、学習用途など集中したいときは色温度を4500K以上5500K以下の値、たとえば5000Kに設定する。ここで、4000Kや5000Kの色温度での発光は化粧対象者の肌の見栄えを良くする色温度であるといわれている。これらの色温度は利用者が化粧する(される)際の肌の見栄えや想定される環境(利用者が屋外の環境で滞在するか室内で滞在するか)に合わせて2000Kから6500Kの範囲で適宜設定される。換言すれば、一度照明パネル15の設定色温度が設定された後は、制御部30は設定色温度で発光し続けるような制御を行う。なお、制御部30は設定色温度±50Kの範囲になるように制御する。
【0025】
図2は、照明パネル15の累積発光時間と第1モードにおける色温度の関係を説明するための図である。発光素子の発光効率は、累積発光時間が長くなるにつれて低下する。言い換えると、同じ電流を流している場合、累積発光時間が長くなるにつれて発光素子の輝度は低下する。この発光効率(又は輝度)の低下速度は、発光素子の発光色によって異なる。このため、複数の発光色の発光素子を有する照明パネル15の発光色の色温度は、各発光素子の輝度バランスの変化に起因して徐々に変化していく。
【0026】
これに対して、制御部30は調整モードを有している。調整モードにおいて、制御部30は、検知部20から受信した検知信号(検知結果)を用いて、照明パネル15の発光色が設定色温度から±50Kに含まれるように、第1モードにおける制御パラメータを修正する。例えば制御部30は、制御パラメータを変更させながら照明パネル15を発光させる。そして、検知部20の検知結果(照明パネル15の色温度)が設定色温度となったときの制御パラメータを、第1モードにおける制御パラメータにする。
【0027】
制御部30は、検知部20から受信した検知信号が示す色温度が基準(下限)を下回った時に、調整モードを実行してもよいし、ユーザから調整を行う旨の入力があった時に調整モードを実行してもよい。
【0028】
なお、この調整モードを行うと、照明パネル15の第1モードにおける輝度が低下することがある。言い換えると、第2輝度が第1輝度よりも小さくなることがある。
【0029】
以下、
図3及び
図4を用いて、具体例を挙げて説明する。
【0030】
図3は、照明パネル15の構成の一例を模式的に示す図である。本図に示す例において、照明パネル15は第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cを有している。これら発光素子の発光色は互いに異なる。第1発光素子140aの発光スペクトルのピーク波長は第2発光素子140bの発光スペクトルのピーク波長よりも短く、かつ第3発光素子140cの発光スペクトルのピーク波長よりも短い。例えば第1発光素子140aの発光色は青であり、第2発光素子140bの発光色は緑であり、第3発光素子140cの発光色は赤である。そして制御部30の各モードにおいて、制御パラメータは、第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cのそれぞれに対して個別に設定されている。
【0031】
このような場合において、第1発光素子140aの劣化速度は、第2発光素子140bの劣化速度及び第3発光素子140cの劣化速度よりも早い。そして、照明パネル15の発光色を予め定められた値に戻すためには、第1発光素子140aの輝度、第2発光素子140bの輝度、及び第3発光素子140cの輝度の相対値を予め定められた比に応じた値にする必要がある。このため、制御部30は、調整モードにおいて、第1発光素子140aの制御パラメータを変化させずに、第2発光素子140bの制御パラメータ及び第3発光素子140cの制御パラメータを変化させる。
【0032】
例えば制御部30は、第2発光素子140bに流れる電流及び第3発光素子140cに流れる電流を下げることにより、第2発光素子140bの輝度を第1発光素子140aの輝度で割った値が基準を満たし、かつ第3発光素子140cの輝度を第1発光素子140aの輝度で割った値が基準を満たすようにする。
【0033】
しかし、このようにすると、
図4に示すように、調整モードが実行されるたびに、第2発光素子140bの輝度及び第3発光素子140cの輝度が低下する。その結果、調整モードが行われるたびに、照明パネル15の輝度が低下する。
【0034】
一方、照明パネル15の用途には、色温度を予め定められた値に保ちたい場合の他に、色温度は変わってもよいが輝度を或る程度大きくしたい場合もある。これに対して制御部30は、第2モードを有している。第2モードにおける制御パラメータは、照明パネル15の輝度が、第1輝度(調整モード実行前の第1モードにおける輝度)と第2輝度(調整モード実行後の第1モードにおける第2輝度)の間の値となるように設定されている。このようにすると、照明パネル15の輝度を確保しつつ、照明パネル15の劣化が早まることを抑制できる。
【0035】
第2モードにおいて、制御部30は、第1発光素子140aの輝度を上げずに、第2発光素子140bの輝度及び第3発光素子140cの輝度の少なくとも一方を上げるのが好ましい。このようにすると、第2モードを実行しても、最も劣化速度が速い第1発光素子140aの劣化速度がさらに早まることを抑制できる。なお、第2モードにおいて、第2発光素子140bの輝度は、一つ手前の第1モード(言い換えると最新の調整モードが実行される前の第1モード)における第2発光素子140bの輝度よりも低いのが好ましい。第3発光素子140cの輝度についても同様である。
【0036】
なお、
図3において、照明パネル15は第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cを一つずつ有している。ただし、照明パネル15には、第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cを繰り返し配置されていてもよい。この場合、第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cは、いずれもストライプ状(例えば直線状)かつ互いに並行しているのが好ましい。
【0037】
図5は、制御部30が行う制御フローの一例を示す図である。まず、制御部30は、調整モードを行う(ステップS10)。そして制御部30は、照明パネル15を第1モードで発光させる場合(ステップS20:Yes)、照明パネル15の各発光素子を、第1モード用の制御パラメータで制御する(ステップS30)。一方、制御部30は、照明パネル15を第2モードで発光させる場合(ステップS20:No)照明パネル15の各発光素子を、第2モード用の制御パラメータで制御する(ステップS40)。
【0038】
図6は、調整モードにおける制御部30の動作の一例を示す図である。まず制御部30は、検知部20から受信した検知信号を確認することにより、照明パネル15の発光色が検知されているか否かを確認する(ステップS11:No)。発光色が検知されていない場合、制御部30は、照明パネル15を第3モードで発光させる。第3モードは、発光装置10における発光色の検知機能に異常があることをユーザに知らせるためのモードであり、例えば、照明パネル15を通常の色とは異なる色(例えば赤などの原色)で発光させるモード、又は照明パネル15を点滅させるモードである。
【0039】
制御部30が照明パネル15の発光色を検知できた場合(ステップS11:Yes)、制御部30は、調整モードを実行し、照明パネル15の各制御パラメータを調整する(ステップS13)。そして制御部30は、調整モード実行後の第1モードで照明パネル15を発光させつつ、検知部20から受信した検知信号を処理することにより、調整モード実行後の第1モードにおける照明パネル15の輝度を測定する(ステップS14)。そして、この輝度が基準を満たさない場合(ステップS15:No)、照明パネル15を交換すべきタイミングであることをユーザに知らせるために、制御部30は、照明パネル15を第4モードで発光させる。ここで、発光輝度の基準はたとえば照明パネル15の発光の初期値(利用開始時)の30%以下となる場合にステップS15をNoとする。第4モードは、例えば、照明パネル15を通常の色及び第3モードとは異なる色(例えば赤などの原色)で発光させるモード、又は照明パネル15を第3モードとは異なる規則で点滅させるモードである。
【0040】
以上、本実施形態によれば、発光装置10は、通常の使用方法である第1モードの他に、調整モード及び第2モードを有している。第1モードにおいて、制御部30は照明パネル15の制御パラメータを、照明パネル15の発光色の色温度が基準を満たすように設定された値にする。しかし、照明パネル15の発光素子は劣化していくため、第1モードにおける発光色は徐々に変化する。このため、制御部30は、調整モードにおいて第1モードの制御パラメータを再設定する。しかし、この調整モードを行うと、照明パネル15の第1モードにおける輝度が低下することがある。そこで制御部30は、第2モードを有している。第2モードは、輝度を色温度よりも輝度を優先して照明パネル15を制御するモードである。ここで第2モードにおける輝度は、調整モード実行前の第1モードにおける輝度と、調整モード実行後の第1モードにおける輝度の間の値になる。従って、第2モードにおいて、照明パネル15の輝度を確保しつつ、照明パネル15の劣化が早まることを抑制できる。
【0041】
(実施例1)
図7は、実施例に係る発光装置10の構成を示す図である。実施例に係る発光装置10は、照明パネル15、筐体40、制御部30、及び入力部50を有している。照明パネル15は筐体40の中に収容されており、入力部50は筐体40の外部に、例えばリモートコントローラとして設けられている。制御部30及び入力部50はリモートコントローラの筐体の中に収容されていてもよい。また、制御部30は筐体40の中に設けられていてもよい。また、実施形態に示した検知部20(
図7では省略)は、筐体40の中に設けられていてもよいし、筐体40の外部に設けられていてもよい。
【0042】
図8は、照明パネル15の構成の一例を示す平面図である。
図9は
図8から第2電極130を取り除いた図であり、
図10は
図9から絶縁層150及び有機層120を取り除いた図である。照明パネル15は、基板100、第1発光素子140a、第2発光素子140b、第3発光素子140c、及び絶縁層150を有している。
【0043】
基板100は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透光性を有する基板である。基板100は可撓性を有していてもよい。可撓性を有している場合、基板100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。基板100は、例えば矩形などの多角形や円形である。基板100が樹脂基板である場合、基板100は、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを用いて形成されている。また、基板100が樹脂基板である場合、水分が基板100を透過することを抑制するために、基板100の少なくとも一面(好ましくは両面)に、SiN
xやSiONなどの無機バリア膜が形成されているのが好ましい。なお、基板100を樹脂基板で形成する場合は、樹脂基板に直接後述する第1電極110や有機層120を成膜する方法と、ガラス基板の上に第1電極110以降の層を形成した後に、第1電極110とガラス基板を剥離し、さらに、剥離した積層体を樹脂基板に配置する方法などがある。
【0044】
基板100の一面には、第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cが繰り返し形成されている。これら発光素子は、いずれも、第1電極110、発光層を含む有機層120、及び第2電極130をこの順に積層させた構成を有している。発光装置10が照明装置の場合、第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cはライン状(例えば直線状)かつ互いに平行に延在している。
【0045】
第1電極110は、光透過性を有する透明電極である。透明電極の材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極110の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極110は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極110は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。また、第1電極110は複数の膜を積層した積層構造を有していてもよい。
【0046】
有機層120は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層をこの順に積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。有機層120は蒸着法で形成されてもよい。また、有機層120のうち少なくとも一つの層、例えば第1電極110と接触する層は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。なお、この場合、有機層120の残りの層は、蒸着法によって形成されている。また、有機層120のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。
【0047】
第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cは、有機層120の少なくとも一層の構成(例えば材料)が異なる。これにより、これら発光素子の発光色は互いに異なる。
【0048】
第2電極130は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属、又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。このため、第2電極130は遮光性あるいは光反射性を有している。第2電極130の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第2電極130は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。
【0049】
第1電極110の縁は、絶縁層150によって覆われている。絶縁層150は例えばポリイミドなどの感光性の樹脂材料によって形成されており、第1電極110のうち発光部140となる部分を囲んでいる。また、絶縁層150は、第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cを画定している。具体的には、絶縁層150は発光素子毎に開口を有しており、この開口の中に有機層120が形成されている。ただし、発光装置10は絶縁層150を有していなくてもよい。
【0050】
発光装置10は、第1端子部112及び第2端子部132を有している。第1端子部112及び第2端子部132は、複数の発光部140のそれぞれに対して設けられている。複数の第1端子部112は、基板100の一辺に沿って並んでおり、複数の第2端子部132は、基板100のうち第1端子部112とは逆側の辺に沿って並んでいる。
【0051】
第1端子部112は第1電極110に電気的に接続しており、第2端子部132は第2電極130に電気的に接続している。第1端子部112及び第2端子部132は、例えば、第1電極110と同一の材料で形成された層により形成されている。この場合、第1端子部112は第1電極110と一体になっている。一方、第2端子部132は第1電極110から分離している。なお、第1端子部112と第1電極110の間には引出配線が設けられていてもよい。また、第2端子部132と第2電極130の間にも引出配線が設けられていてもよい。
【0052】
第1電極110の上(又は下)には、導電層180が形成されている。導電層180は第1電極110と同じ方向に延在しており、いずれも上記した透明導電材料よりも抵抗が低い材料を用いて形成されている。導電層180は、例えばMo層、Al層、及びMo層をこの順に積層した構成を有していてもよいし、導電粒子(例えば銀ナノ粒子)を含む塗布材料を用いて形成されていてもよい。後者の場合、導電層180は、塗布材料に含まれている複数の導電粒子が互いに結合した構成を有しているため、ボイドを有している。導電層180は、第1電極110の補助電極として機能する。また、導電層180は絶縁層150によって覆われている。これにより、第1電極110と第2電極130が導電部160を介して互いに短絡することを抑制できる。
【0053】
第1端子部112の上には導電層182が形成されており、第2端子部132の上には導電層184が形成されている。導電層182は、第1端子部112に導電部材(例えばリード部材やボンディングワイヤ)を接続するときの接続部として機能し、導電層184は、第2端子部132に他の導電部材を接続するときの接続部として機能する。導電層182,184は、導電層180と同一の工程で形成されている。
【0054】
第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cは、封止部材を用いて封止されている。封止部材は、例えばガラス、アルミニウムなどの金属、又は樹脂を用いて形成されており、中央に凹部を設けた形状を有している。そして封止部材の縁は接着材で基板100に固定されている。これにより、封止部材と基板100で囲まれた空間は封止される。そして第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cは、この封止された空間の中に位置している。
【0055】
封止部材は封止膜であってもよい。封止膜は、酸化アルミニウムや酸化チタンなどの無機材料によって形成されている。封止膜の成膜方法は、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法である。ただし封止膜は、他の成膜法、例えばCVD法やスパッタリング法を用いて形成されていてもよい。この場合、封止膜は、SiO
2又はSiNなど絶縁膜によって形成されている。
【0056】
また、封止部材は封止シートであってもよい。この場合、封止シートは、例えば樹脂層の両面に無機層を設けた構成を有している。そして封止シートは、接着層を介して基板100のうち発光部140が形成されている面に貼り付けられる。
【0057】
図11は、
図8の変形例を示す平面図である。本図に示す例において、第2電極130は陰極であり、第1発光素子140a、第2発光素子140b、及び第3発光素子140cにまたがって連続的に形成されている。言い換えると、第2電極130は、複数の発光素子の共通の電極になっている。
【0058】
以上、本実施例において、制御部30は実施形態と同様の機能を有している。このため、本実施例においても、実施形態に示したように、照明パネル15の色温度を予め定めた範囲に制御するとともに、色温度よりも輝度を優先した制御をできるようにし、かつ、照明パネル15の劣化を抑制することができる。
【0059】
(実施例2)
図12は、実施例2に係る発光装置10の構成を示す図である。本実施例において、発光装置10は複数の照明パネル15を有している。複数の照明パネル15は、一つの筐体の中に収容されていてもよいし、互いに異なる筐体の中に収容されていてもよい。後者の場合、複数の照明パネル15は、互いに離れて配置されていてもよい。
【0060】
検知部20は複数の照明パネル15のそれぞれに対して設けられている。そして制御部30は、複数の照明パネル15のそれぞれに対して、個別に実施形態に示した制御を行う。このため、複数の照明パネル15のそれぞれについて、色温度を予め定めた範囲に制御するとともに、色温度よりも輝度を優先した制御をできるようにし、かつ、照明パネル15の劣化を抑制することができる。
【0061】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。