(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸線に沿って延びるシャフト、該シャフトの径方向外側に固定されたロータコア、該ロータコア内に前記シャフトの周方向に間隔をあけて複数配置された永久磁石、及び、前記ロータコアを前記軸線方向両側から挟み込むように設けられた一対のエンドプレートを有するロータと、
該ロータを外周側から囲うステータコア、及び、該ステータコアに固定されて互いに周方向に間隔をあけて複数配置されたコイルを有するステータと、
を備え、
前記シャフトは、
該シャフトの前記軸線方向一方側の端部から前記ロータコアの前記軸線方向一方側の端部に対応する前記軸線方向位置まで延びているシャフト中心孔と、
該シャフト中心孔から該シャフトの外周面まで延びるシャフト径方向孔と、
を有し、
前記ロータコアは、
前記軸線方向に貫通する第一流路形成孔、抜き孔、及び、第二流路形成孔を有し、互いに前記軸線方向に積層された複数の第一鋼板と、
前記軸線方向に貫通する第一流路形成孔、及び、第二流路形成孔を有し、互いに積層された複数の第一鋼板にさらに前記軸線方向他方側から積層された少なくとも一の第二鋼板と、
を有し、
前記第一鋼板及び前記第二鋼板の第一流路形成孔によって、前記永久磁石に沿って前記軸線方向に延びる第一軸方向流路が画成され、
前記第一鋼板の前記抜き孔によって、前記第一軸方向流路とは独立して該第一軸方向流路の前記径方向内側に位置する空隙部が画成され、該空隙部は下端が前記第二鋼板によって閉塞されており、
前記第一鋼板及び前記第二鋼板の第二流路形成孔と前記シャフトの外周面とによって前記空隙部の前記径方向内側で前記軸線方向に延びて上端で前記シャフト径方向孔に連通する第二軸方向流路が画成され、
前記空隙部は、前記第二軸方向流路を前記径方向外側から覆うように形成されており、
前記一対のエンドプレートのうち前記軸線方向他方側のエンドプレートは、前記軸線方向一方側を向く面から窪む凹部を有し、
該凹部と前記第二鋼板とによって、前記径方向に延びて前記第一軸方向流路の下端と前記第二軸方向流路の下端とを連通させる径方向流路が画成され、
前記一対のエンドプレートのうち前記軸線方向一方側のエンドプレートは、前記軸線方向に貫通して前記第一軸方向流路に接続される貫通孔を有するとともに、前記空隙部を前記軸線方向一方側から閉塞している電動機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、本発明のロータを備えた電動機、及び、該電動機を備えた建設機械について
図1〜
図9を参照して詳細に説明する。
【0010】
<建設機械>
図1及び
図2に示すように、建設機械としての油圧ショベル100は、下部走行体110、スイングサークル120及び上部旋回体130を備えている。以下では、建設機械が水平面に設置された状態における重力が作用する方向を「上下方向」と称する。
下部走行体110は、左右一対の履帯111,111を有しており、これら履帯111,111が走行用油圧モータ(図示省略)によって駆動されることで油圧ショベル100を走行させる。
【0011】
スイングサークル120は、下部走行体110と上部旋回体130とを接続する部材であって、アウターレース121、インナーレース122及びスイングピニオン123を備えている。アウターレース121は下部走行体110に支持されており、上下方向に一致して延びる旋回軸線Lを中心とした環状をなしている。インナーレース122はアウターレース121と同軸をなす環状の部材であって、アウターレース121の内側に配置されている。インナーレース122は、アウターレース121に対して旋回軸線L回りに相対回転可能に支持されている。スイングピニオン123はインナーレース122の内歯に噛み合っており、スイングピニオン123が回転することでインナーレース122がアウターレース121に対して相対回転する。
【0012】
上部旋回体130は、インナーレース122に支持されることで下部走行体110に対して旋回軸線L回りに旋回可能に配置されている。上部旋回体130は、キャブ131、作業機132、これらの後方に設けられたエンジン136、発電機モータ137、油圧ポンプ138、インバータ139、キャパシタ140、及び、旋回モータとしての電動機1を備えている。
【0013】
キャブ131は、上部旋回体130の前方左側に配置されており、作業者の運転席が設けられている。作業機132は上部旋回体130の前方に延びるように設けられており、ブーム133、アーム134及びバケット135を有する。作業機132は、ブーム133、アーム134及びバケット135がそれぞれ各油圧シリンダ(図示省略)により駆動されることで掘削等の各種作業を行う。
【0014】
エンジン136及び発電機モータ137は、互いの回転軸がスプライン結合されている。発電機モータ137はエンジン136によって駆動されることで電力を生成する。発電機モータ137及び油圧ポンプ138は、互いの回転軸がスプライン結合されている。油圧ポンプ138は、エンジン136によって駆動される。油圧ポンプ138の駆動により生成される油圧は、上述した走行用油圧モータ、各油圧シリンダを駆動する。
【0015】
発電機モータ137、キャパシタ140及び電動機1はインバータ139を介して互いに電気的に接続されている。
電動機1は、回転中心となる軸線Oが上下方向に一致する縦置きの状態で配置されている。この電動機1の出力は、インナーレース122の内歯に噛み合あったスイングピニオン123に伝達される。
【0016】
油圧ショベル100は、発電機モータ137で生成される電力によって電動機1を駆動する。電動機1の駆動力はスイングピニオン123を介してインナーレース122に伝達される。これによってインナーレース122がアウターレース121に対して相対回転することで上部旋回体130が旋回する。
上部旋回体130の旋回の減速時には電動機1が発電機として機能することで回生エネルギーとしての電力を生成する。この電力はインバータ139を介してキャパシタ140に蓄積される。キャパシタ140に蓄積された電力は、エンジン136加速時に発電機モータ137に供給される。キャパシタの電力によって発電機モータ137が駆動されることで、該発電機モータ137がエンジン136の出力を補助する。
【0017】
<電動機>
図3に示すように電動機1は、ケーシング2、冷却油供給部20、ステータ30及びロータ40を備えている。
<ケーシング>
ケーシング2は、電動機1の外形をなす部材である。ケーシング2は、上下方向(軸線O方向)に延びる筒状をなして内側が収容空間とされた筒状部3と、収容空間を上下から閉塞する第一蓋部4及び第二蓋部7を有している。
【0018】
第一蓋部4の中央には、上方(軸線O方向一方側)に向かって突出するシャフト収容部5が形成されている。シャフト収容部5の上端側の部分には、軸線Oに沿ってシャフト収容部5を貫通する流路としての冷却油導入孔6が形成されている。シャフト収容部5の内周面には、軸線Oを中心とした環状をなす第一軸受11と、該第一軸受11よりも上方に配置された第一シール部13が固定されている。
【0019】
第二蓋部7の中央には、下方(軸線O方向他方側)に向かって筒状に延びるとともに、収容空間と外部空間とを上下に連通させるシャフト貫通部8が形成されている。シャフト貫通部8の内周面には、軸線Oを中心とした環状をなす第二軸受12と、該第二軸受12よりも下方に配置された第二シール部14が固定されている。第二蓋部7には、収容空間と外部とを連通させることで収容空間内の冷却油を外部に排出させる冷却油排出路9が形成されている。
【0020】
<冷却油供給部>
冷却油供給部20は、ケーシング2内に冷却油を供給する。本実施形態では、ケーシング2内に供給された冷却油は回収され、冷却された後、再びケーシング2内に供給される。即ち、冷却油供給部20によって冷却油を循環させている。
冷却油供給部20は、冷却油貯留部21、導入流路22、還流流路23、冷却油ポンプ24及び冷却部25を備えている。
【0021】
冷却油貯留部21は、冷却油を貯留する。導入流路22は、上流側の端部が冷却油貯留部21に接続され、下流側の端部がケーシング2における冷却油導入孔6に外部から接続されている。還流流路23は、上流側の端部がケーシング2における冷却油排出路9に外部から接続され、下流側の端部が冷却油貯留部21に接続されている。冷却油ポンプ24は、導入流路22に設けられており、冷却油貯留部21の冷却油を導入流路22を介してケーシング2の冷却油導入孔6に圧送する。冷却部25は、還流流路23に設けられており、ケーシング2の冷却油排出路9から排出されて還流流路23を流通する冷却油を冷却する。冷却部25は、例えば外部からの空気と冷却油との間で熱交換させることで冷却油を冷却する。
【0022】
<ステータ>
ステータ30は、ステータコア31及びコイル34を備えている。
ステータコア31は、軸線Oを中心とした円筒状をなして外周面がケーシング2の内周面に固定されたヨーク32と、該ヨーク32の内周面から突出するようにヨーク32の周方向に互いに間隔をあけて複数形成されたティース33とを有する。ステータコア31は、電磁鋼板を上下方向に複数積層させることで構成されている。
コイル34は各ティース33に対応するように複数設けられており、各ティース33に巻き掛けられている。これによってコイル34は、周方向に間隔をあけて複数が設けられている。
【0023】
<ロータ>
ロータ40は、シャフト41、ロータコア50、永久磁石80、第一エンドプレート90及び第二エンドプレート96(一対のエンドプレート)を備えている。
【0024】
<シャフト>
シャフト41は、軸線Oに沿って延びる棒状の部材である。以下では、シャフト41の径方向を単に「径方向」と称し、シャフト41の周方向を単に「周方向」と称する。
シャフト41は、ケーシング2内でステータ30の内側を上下方向に貫通するように配置されている。シャフト41の上端は、ケーシング2内におけるシャフト収容部5内に延びている。シャフト41の下端は、ケーシング2のシャフト貫通部8を挿通してケーシング2の外部まで延びている。シャフト41は、第一軸受11及び第二軸受12によってケーシング2に対して軸線O回りに相対回転可能に支持されている。シャフト41の外周面は第一シール部13及び第二シール部14に接触しており、これら第一シール部13及び第二シール部14の設置個所での液密性が担保されている。
【0025】
シャフト41の外周面における上下方向の一部には、周方向全周にわたって径方向外側に張り出す段差部42が設けられている。シャフト41の外周面における段差部42から上方に向かっての一部の領域は、ロータコア50、第一エンドプレート90及び第二エンドプレート96が外嵌される固定面43とされている。
【0026】
シャフト41には、該シャフト41の上端から下方に向かって延びるシャフト中心孔44と、該シャフト中心孔44からシャフト41の外周面までシャフト径方向孔45とが形成されている。
シャフト中心孔44は、シャフト41の上下方向全域にわたっては延びておらず、シャフト41の上端から下端に向かう中途まで延びている。これによってシャフト41は、上端から下端に向かってのシャフト中心孔44が形成されている部分が中空構造とされており、残りの下方側の部分が中実構造とされている。
【0027】
シャフト径方向孔45は、延在方向を軸線Oに直交する方向に一致させるようにして径方向に延びている。シャフト径方向孔45の径方向内側の端部は、シャフト中心孔44の下端に連通している。換言すれば、シャフト中心孔44は、シャフト径方向孔45の上下方向位置までのみ延びており、シャフト径方向孔45よりも下方には延びていない。
シャフト径方向孔45の径方向外側の端部は、シャフト41の外周面における固定面43に開口している。シャフト径方向孔45は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、周方向に90°の間隔をあけて計4つのシャフト径方向孔45が放射状に形成されている。
【0028】
<ロータコア>
ロータコア50は、
図3及び
図4に示すように、全体としての外形が筒状をなしており、シャフト41の外周面の固定面43に外嵌されている。シャフト41に外嵌されたロータコア50の上端は、シャフト中心孔44の下端に対応する上下方向位置とされている。換言すれば、シャフト中心孔44は、シャフトの上端から下方に端部に向かって、ロータコア50の上端に対応する上下方向位置まで延びている。シャフト径方向孔45もロータコアの上端に対応する上下方向位置に位置している。
【0029】
ロータコア50には、コア中央孔51、磁石埋込部52、第一軸方向流路53、第二軸方向流路54及び空隙部55が形成されている。
コア中央孔51は、ロータコア50を上下方向に貫通するように該ロータコア50の中央に形成された孔部である。コア中央孔51は軸線Oに直交する断面形状が円形をなしている。ロータコア50は、コア中央孔51を介してシャフト41の固定面43に外嵌される。
【0030】
磁石埋込部52は、ロータコア50内における外周側の部分に、周方向に互いに間隔をあけて複数形成された孔部である。磁石埋込部52は、ロータコア50の上下方向全域にわたって一様な形状で延びている。この磁石埋込部52はロータコア50の上端及び下端に開口している。
【0031】
第一軸方向流路53は、ロータコア50の外周側の部分に周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。第一軸方向流路53は、ロータコア50の上下方向全域にわたって一様な形状で延びている。第一軸方向流路53はロータコア50の上端及び下端に開口している。本実施形態では、第一軸方向流路53は磁石埋込部52と一体に形成されており、即ち、第一軸方向流路53と磁石埋込部52とは軸線O方向視で互いに連続している。
【0032】
第二軸方向流路54は、ロータコア50の内周側の部分に周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。第二軸方向流路54は、ロータコア50の上下方向全域にわたって一様な形状で延びている。第二軸方向流路54はロータコア50の上端及び下端に開口している。本実施形態では、第二軸方向流路54はシャフト41の外周面の固定面43に沿って接するように形成されている。第二軸方向流路54の上端は、シャフト径方向孔45の径方向外側の端部と連通している。換言すれば、シャフト径方向孔45は、第二軸方向流路54の上端と接続される上下方向位置に位置している。
【0033】
空隙部55は、ロータコア50における磁石埋込部52と第二軸方向流路54との間の径方向位置に、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。空隙部55はロータコア50内の上下方向に一様な形状で延びており、ロータコア50の上端に開口している。空隙部55はロータコア50の下端には開口していない。即ち、空隙部55はロータコア50の上端のみに開口している。空隙部55は、ロータコア50内で磁石埋込部52及び第二軸方向流路54から独立して隔離されている。これにより、空隙部55はロータコア50内で磁石埋込部52、第二軸方向流路54と非連通状態とされている。
【0034】
ロータコア50は、
図4に示すように、複数の電磁鋼板(鋼板)を上下方向に積層させることで構成されている。ロータコア50は、電磁鋼板として、互いに積層される複数の第一鋼板60と、互いに積層された第一鋼板60の下方からさらに積層された一つの第二鋼板70とを有している。
【0035】
<第一鋼板>
第一鋼板60は、
図5に示すように、軸線Oに直交する方向に延在するとともに、外形が軸線Oを中心とした円形をなす円板状の部材である。各第一鋼板60は、同一の形状をなしている。
第一鋼板60の中央には、軸線Oを中心とした円形をなして上下方向に貫通する鋼板中央孔61が形成されている。
【0036】
第一鋼板60における径方向外側の部分には、軸線O方向視で長孔状をなすように第一鋼板60を貫通する埋込部形成孔62が周方向に間隔をあけて複数形成されている。埋込部形成孔62は一対の埋込部形成孔62,62を一組として、各組が径方向内側に突出するV字状をなすように配置されている。本実施形態では、計8つの組が周方向に等間隔をあけて設けられている。
【0037】
各組の埋込部形成孔62,62におけるV字の頂点側には、第一鋼板60を貫通する一対の第一流路形成孔63,63が形成されている。一組の第一流路形成孔63,63は、埋込部形成孔62,62のV字状の頂点に対応する箇所で互いに周方向に対向するように配置されている。一対で一組の第一流路形成孔63,63は、各組の埋込部形成孔62,62同様、8つの組が周方向に等間隔をあけて設けられている。本実施形態では各第一流路形成孔63は埋込部形成孔62と一体に形成されており、即ち、第一流路形成孔63と埋込部形成孔62とは軸線O方向視で互いに連続している。
【0038】
各組の埋込部形成孔62,62におけるV字の頂点の反対側には、埋込部形成孔62と連続するように一体をなすように第一鋼板60を貫通するバリア形成孔64が形成されている。
本実施形態の第一鋼板60には、径方向外側から内側に向かって、即ち、上記V字の外側から内側に向かって、バリア形成孔64、埋込部形成孔62及び第一流路形成孔63が順次一体に連続して形成されている。
【0039】
第一鋼板60における第一流路形成孔63の径方向内側には、上下方向に貫通して周方向に円弧状に延びる抜き孔65が周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、8つの抜き孔65が周方向に等間隔で形成されている。隣り合う一対の抜き孔65同士の間の部分は、各組の埋込部形成孔62,62のV字状の頂点と同一の周方向位置とされている。
【0040】
第一鋼板60における抜き孔65のさらに径方向内側には、上下方向に貫通する第二流路形成孔66が周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では4つの第二流路形成孔66が周方向に90°の間隔をあけて形成されている。これら第二流路形成孔66は、8つの抜き孔65のうちの4つの抜き孔65の周方向位置に対応するように設けられており、各第二流路形成孔66は対応する抜き孔65によってそれぞれ外周側から覆われている。本実施形態の第二流路形成孔66は、鋼板中央孔61の外周から径方向外側に円弧状に凹むように形成されている。即ち、第二流路形成孔66は鋼板中央孔61と一体をなすように該鋼板中央孔61と連続して形成されている。
【0041】
第一鋼板60における埋込部形成孔62と抜き孔65との間の径方向位置には、周方向に互いに間隔をあけて複数のカシメ用凸部67が形成されている。カシメ用凸部67は、第一鋼板60の一部が下方側に突出するようにして形成されたいわゆるVカシメである。本実施形態では8つのカシメ用凸部67が、周方向に等間隔をあけるようにして8つの抜き孔65と同一の周方向位置に形成されている。
【0042】
<第二鋼板>
第二鋼板70は、
図6に示すように、軸線Oに直交する方向に延在するとともに、外形が軸線Oを中心とした円形をなす円板状の部材である。第二鋼板70の外形は第一鋼板60の外形と同様とされている。第二鋼板70には、第一鋼板60の鋼板中央孔61、埋込部形成孔62、第一流路形成孔63、バリア形成孔64及び第二流路形成孔66とそれぞれ同様の形状及び配置関係をなす鋼板中央孔71、埋込部形成孔72、第一流路形成孔73、バリア形成孔74及び第二流路形成孔76が形成されている。
【0043】
第二鋼板70には第一鋼板60の抜き孔65と同様の孔部は形成されていない。
第二鋼板70には、上下方向に貫通する複数のカシメ用孔部77が周方向に間隔をあけて複数形成されている。カシメ用孔部77は、第一鋼板60のカシメ用凸部67と対応するようにして計8つが設けられている。カシメ用孔部77は、第一鋼板60のカシメ用凸部67と同一の周方向位置及び径方向位置に設けられている。
第二鋼板70は、抜き孔65が形成されていない点、カシメ用凸部67に代えてカシメ用孔部77が形成されている点で第一鋼板60と相違する。
【0044】
<第一鋼板及び第二鋼板の積層>
図7に示すように、複数の第一鋼板60は、互いのカシメ用凸部67が上下方向に順次嵌合していることで固定一体化されている。一つの第二鋼板70は、互いに積層された複数の第一鋼板60のうちの最も下方の第一鋼板60のカシメ用凸部67が嵌合することで、該第一鋼板60に固定一体化されている。これにより全体として円筒形状をなすロータコア50が構成されている。
【0045】
複数の第一鋼板60及び一つの第二鋼板70が互いに積層されることで、ロータコア50内には、
図3〜
図6に示すように、上述したコア中央孔51、磁石埋込部52、第一軸方向流路53、第二軸方向流路54及び空隙部55が画成されている。
【0046】
コア中央孔51は、互いに積層された複数の第一鋼板60及び一つの第二鋼板70における鋼板中央孔61,71によって画成されている。
磁石埋込部52は、互いに積層された複数の第一鋼板60及び一つの第二鋼板70における埋込部形成孔62,72によって画成されている。
第一軸方向流路53は、互いに積層された複数の第一鋼板60及び一つの第二鋼板70における第一流路形成孔63,73によって画成されている。
第二軸方向流路54は、互いに積層された複数の第一鋼板60及び一つの第二鋼板70の第二流路形成孔66,76によって画成されている。
空隙部55は、互いに積層された複数の第一鋼板60の抜き孔65によって画成されている。空隙部55は、ロータコア50の最も下方に配置された第二鋼板70によって下方から閉塞されている。
【0047】
さらに、
図5及び
図6に示すように、ロータコア50内には、互いに積層された複数の第一鋼板60及び一つの第二鋼板70のバリア形成孔64,74によって、フラックスバリア部56(
図3、4において図示省略)が形成されている。フラックスバリア部56は、ロータコア50の上下方向全域にわたって一様な形状で延びている。フラックスバリア部56はロータコア50の上端及び下端に開口している。
【0048】
コア中央孔51、磁石埋込部52、第一軸方向流路53、フラックスバリア部56及び第二軸方向流路54の軸線O方向視における形状及び配置関係は、第一鋼板60及び第二鋼板70におけるにおける鋼板中央孔61,71、埋込部形成孔62,72、第一流路形成孔63,73、バリア形成孔64,74及び第二流路形成孔66,76の軸線O方向視における形状及び配置関係と同様である。空隙部55の軸線O方向視における形状及び配置関係は、第一鋼板60における抜き孔65の形状及び配置関係と同様である。
【0049】
即ち、磁石埋込部52,52は、ロータコア50の外周側の部分で、一対一組でV字状をなすように形成されており、当該V字状の組が周方向に間隔をあけて複数配置されている。第一軸方向流路53,53は、磁石埋込部52,52の各組のV字の頂点側に一対が配置されている。フラックスバリア部56,56は、磁石埋込部52,52のV字の頂点側とは反対側に配置されている。磁石埋込部52、第一軸方向流路53、フラックスバリア部56は軸線O方向視で互いに連続している。空隙部55は、磁石埋込部52、第一軸方向流路53、フラックスバリア部56の径方向内側に配置されている。空隙部55の径方向内側には第二軸方向流路54が配置されている。換言すれば、空隙部55は径方向から第一軸方向流路53と第二軸方向流路54とに挟み込まれるように配置されている。
【0050】
<永久磁石>
永久磁石80は、
図3及び
図4に示すように、ロータコア50の上下方向全域にわたって延びる長尺形状をなしている。永久磁石80は、周方向に間隔をあけて複数がロータコア50に固定されている。
【0051】
本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、各永久磁石80は、磁石埋込部52に挿入されることで、該磁石埋込部52内でロータコア50に固定されている。永久磁石80は、軸線Oに直交する断面形状が矩形状をなしている。永久磁石80の断面矩形における一対の長辺は、磁石埋込部52の内面に接している。永久磁石80の断面矩形における一対の短辺のうちの一方は、第一軸方向流路53に面している。即ち、第一軸方向流路53は、第一鋼板60及び第二鋼板70の第一流路形成孔63,73に加えて永久磁石80の一方の短辺を含む面によって画成されている。これにより、第一軸方向流路53は、ロータコア50の上下方向の全領域、即ち、永久磁石80の上下方向の全領域にわたって永久磁石80に接している。
【0052】
永久磁石80の一対の短辺のうちの他方は、フラックスバリア部56に面している。即ち、フラックスバリア部56は、第一鋼板60及び第二鋼板70のバリア形成孔64,74に加えて永久磁石80の上記他方の短辺を含む面によって画成されている。
【0053】
永久磁石80は、隣り合う磁極の極性が互いに相違するように設置されている。一組の磁石埋込部52,52と同様に軸線O方向視でV字状をなす一対一組の永久磁石80,80によって一つの磁極が形成される。本実施形態では、8つのV字状の磁石埋込部52,52の組が形成されているため、これら磁石埋込部52に永久磁石80が固定されることでロータ40の極数は8極とされている。
【0054】
<第一エンドプレート>
第一エンドプレート90は、
図3及び
図4に示すように、軸線Oに直交する方向に延在するとともに、外形が軸線Oを中心とした円形をなす円板状の部材である。第一エンドプレート90はロータコア50の下方から該ロータコア50に積層されるように固定されている。即ち、第一エンドプレート90は、ロータコア50における第二鋼板70に下方から積層されている。第一エンドプレート90は、中央に軸線Oを中心とした円形をなす円形孔91が形成されている。第一エンドプレート90は円形孔91がシャフト41の外周面の固定面43に外嵌されることで該シャフト41に固定されている。第一エンドプレート90の下方を向く面は、シャフト41の段差部42に上方から当接している。
【0055】
第一エンドプレート90内には、径方向に延びる径方向流路92が形成されている。径方向流路92は、ロータコア50の第一軸方向流路53と第二軸方向流路54とを径方向に接続する。本実施形態では、径方向流路92は、第二軸方向流路54を介してシャフト41内のシャフト径方向孔45と連通されている。径方向流路92は、第一エンドプレート90に形成された凹部93と第一エンドプレート90が下方から接する第二鋼板70とによって画成されている。
凹部93は、第一エンドプレート90の上方を向く面、即ち、第二鋼板70に接する面から窪むように、周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、
図8に示すように、周方向に等間隔をあけて4つの凹部93が形成されている。
【0056】
各凹部93は、それぞれ径方向に延びる一対一組の径方向流路形成部94によって構成されている。一組の径方向流路形成部94,94は、径方向内側の端部が互いに合流して円形孔91に接続されている。一組の径方向流路形成部94,94は、径方向外側に向かうにしたがって次第に周方向に離間するように分岐している。これによって、各凹部93は、頂点が径方向内側を向くV字状をなしている。各凹部93における一組の径方向流路形成部94,94の径方向外側の端部は、第一エンドプレート90の外周面に開口することなく閉塞されている。
【0057】
各凹部93のV字の頂点に該当する箇所の周方向位置は、ロータコア50の第二軸方向流路54の周方向位置と同一とされている。各凹部93における一組の径方向流路形成部94,94の径方向外側の端部の位置は、軸線O方向視にてロータコア50における互いに近接する一対の第一軸方向流路53を含む位置とされている。
第一エンドプレート90が第二鋼板70に積層されることで凹部93及び第二鋼板70によって画成される径方向流路92は、ロータコア50の第一軸方向流路53と第二軸方向流路54とを径方向に連通させている。径方向流路92は、第二鋼板70によって空隙部55と独立するように隔てられている。本実施形態では計8つの径方向流路形成部が形成されているため、軸線O方向視で8つの径方向流路92が画成されている。
【0058】
<第二エンドプレート>
第二エンドプレート96は、
図3及び
図4に示すように、第一エンドプレート90と同様、軸線Oに直交する方向に延在するとともに、外形が軸線Oを中心とした円形をなす円板状の部材である。第二エンドプレート96はロータコア50の上方から該ロータコア50に積層されるように固定されている。即ち、第二エンドプレート96は、ロータコア50における複数の第一鋼板60のうち最も上方に配置された第一鋼板60に上方から積層されている。第二エンドプレート96は、中央に軸線Oを中心とした円形をなす円形孔97が形成されている。第二エンドプレート96は円形孔97がシャフト41の外周面の固定面43に外嵌されることで該シャフト41に固定されている。第二エンドプレート96は第一エンドプレート90とともにロータコア50を上下から挟み込むように支持している。
【0059】
第二エンドプレート96は、下方を向く面によってロータコア50内の空隙部55を上方から閉塞している。空隙部55は、下端が第二鋼板70によって閉塞され、上端が第二エンドプレート96によって閉塞されることで外部から隔離された閉空間とされている。
第二エンドプレート96は、下方を向く面によってロータコア50内の第二軸方向流路54を上方から閉塞している。
第二エンドプレート96には、
図9に示すように、上下方向に貫通する貫通孔98が周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、貫通孔98は、周方向に等間隔をあけて計8つが形成されている。
【0060】
各貫通孔98の位置は、軸線O方向視にてロータコア50における互いに近接する一対の第一軸方向流路53を含む位置とされている。これによって、第二エンドプレート96の貫通孔98とロータコア50の第一軸方向流路53とが互いに連通されている。
これによりロータ40内には、シャフト中心孔44、シャフト径方向孔45、第二軸方向流路54、径方向流路92、第一軸方向流路53及び貫通孔98の順序で冷却油が流通する冷却流路が形成されている。
【0061】
<電動機の動作及び作用効果>
電動機1の駆動時には、インバータ139を介してステータ30の各コイル34に交流電力が供給され、これらコイル34によって生成される回転磁界に各永久磁石80が追従することでロータ40がステータ30に対して回転する。建設機械の上部旋回体130の旋回時には電動機1が高トルクで駆動される。そのため、ロータコア50での鉄損及び永久磁石80内の渦電流損によりロータコア50及び永久磁石80が高温になり、コイル34での銅損及びステータコア31での鉄損によりステータ30が高温となる。ステータ30が高温となれば、該ステータ30の輻射熱によりロータコア50はさらに高温となる。そのため、冷却油供給部20により電動機1内に冷却油が供給される。
【0062】
冷却油供給部20の冷却油ポンプ24が作動すると、冷却油貯留部21の冷却油が導入流路22を介して電動機1のケーシング2の冷却油導入孔6に供給される。冷却油導入孔6を流通する冷却油は、回転駆動するロータ40のシャフト41の上端からシャフト中心孔44内に導入される。シャフト中心孔44を下方に向かって流通した冷却油は、該シャフト中心孔44から分岐するシャフト径方向孔45に導入され径方向外側に向かって流通する。シャフト径方向孔45を介してシャフト41の外周面に冷却油が到達することで、該冷却油はロータコア50内の第二軸方向流路54の上端に導入される。冷却油は第二軸方向流路54をシャフト41の外周面に沿って下方に向かって流通し、ロータコア50から第一エンドプレート90に到達した段階で、第一エンドプレート90内の径方向流路92に導入される。
【0063】
冷却油は径方向流路92を径方向外側に向かって流通した後、ロータコア50の第一軸方向流路53に導入される。第一軸方向流路53内では冷却油は永久磁石80に接しながら上方に向かって流通する。そのため、永久磁石80が冷却油によって直接的に冷却され、高温化による永久磁石80の減磁が抑制される。第一軸方向流路53の上端まで到達した冷却油は、第二エンドプレート96の貫通孔98に導入され、該貫通孔98の上端より第一エンドプレート90の外部、即ち、ロータ40の外部に排出される。この際、冷却油は、ロータ40の回転による遠心力によって径方向外側に向かって散布されるように排出される。これによって、ステータ30のステータコア31及びコイル34に冷却油が供給され、該ステータ30の冷却が図られる。その後、ステータ30から垂れ落ちた冷却油は、ケーシング2の冷却油排出路9を通過してケーシング2の外部に排出される。そして、冷却油は、還流流路23を通過する過程で冷却部25によって冷却され、再び冷却油貯留部21に貯留される。
【0064】
以上のように、本実施形態の電動機1のロータ40では、ロータコア50に空隙部55が形成されているため、空隙部55の容積分だけロータコア50の軽量化を図ることができる。空隙部55は、冷却油が流通する第一軸方向流路53、第二軸方向流路54及び径方向流路92と独立しておりこれらと非連通状態のため、空隙部55内に直接的に冷却油が導入されることはない。
【0065】
仮にロータ40内の冷却流路が空隙部55と連通されていれば、空隙部55も冷却流路の一部となるため該空隙部55内にも冷却油が導入される。この場合、電動機1の空隙部55内の冷却油もロータ40とともに回転することになり、冷却油の分だけ回転駆動時の慣性モーメントが増加する。そのため、ロータコア50の軽量化を図ったにもかかわらず、電動機1の加減速トルクを効果的に低減することができない。
【0066】
これに対して本実施形態では、空隙部55とロータ40の冷却流路とが互いに隔離されているため、冷却流路から空隙部55に直接的に冷却油が流入することはない。そのため、回転駆動時の慣性モーメントが意図せずに増加してしまうことを回避できる。これにより、ロータコア50内の冷却対象箇所に必要な量だけの冷却油を供給しながら、電動機の加減速トルクの増加が抑制される。その結果、電動機1の性能を向上させることができる。
【0067】
本実施形態では、第一鋼板60によって空隙部55を画成しながら第二鋼板70によって空隙部55と径方向流路92とを隔てている。これによって、空隙部55の体積を大きく確保しつつ、空隙部55と径方向流路92とが互い連通してしまうこと回避することができる。第一鋼板60と第二鋼板70との2つの形状の鋼板を用いることのみをもって、空隙部55の形成と冷却流路の確保の両立を図ったロータコア50を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、径方向流路92が第一エンドプレート90内に形成されている。これにより、ロータコア50内における磁路を侵食することなく、ロータコア50の径方向内側から第一軸方向流路53に冷却油を導入することができる。
径方向流路92は第一エンドプレート90の凹部93と第二鋼板70とによって画成されている。そのため、第一エンドプレート90に孔加工を施すことなく径方向流路92を形成することができる。そのため、加工コストを低減させることができる。
【0069】
ここで、空隙部55を有さない従来のロータコアは、二種類の電磁鋼板を複数積層することで製造していた。これら電磁鋼板の相違は、一方の電磁鋼板にはカシメ用凸部67が形成されており、他方の電磁鋼板はカシメ用孔部77が形成されている点のみである。これら二種類の電磁鋼板は、それぞれに対応する二種類の型を用いたプレス加工で製造していた。
本実施形態の第一鋼板60及び第二鋼板70の相違は、カシメ用凸部67及びカシメ用孔部77以外は、抜き孔65の有無のみである。そのため、本実施形態の第一鋼板60及び第二鋼板70を製造するためには、従来の二種類の型のうち上記一方の型のみに、抜き孔65を形成するための変更を加えるのみでよい。したがって、従来の設備に軽微な変更を加えるのみで容易に製造設備を構築することができる。
なお、従来の二種類の電磁鋼板に埋込部形成孔62,72、第一流路形成孔63,73、バリア形成孔64,74、及び第二流路形成孔66,76がなければ、これを上記型にこれらを形成するための変更を加えればよい。
【0070】
一般にシャフト41に対して中心孔を深く形成する分だけ加工コストが増加する。本実施形態では、シャフト中心孔44の延びる領域をロータコア50の上端に対応する上下方向位置までとしている。そのため、シャフト41の製造コストを抑えることができる。本実施形態では、上記シャフト中心孔44であっても、第二軸方向流路54によって冷却油を下方に導き、その後、径方向流路92を介して第一軸方向流路53に冷却油を供給することができる。したがって、ロータコア50の冷却効果を十分に得ることができる。
ロータコア50がシャフト41に固定されている上下方向範囲はほぼ全域が中実構造となるため、シャフト41がロータコア50を支持する部分での強度を確保することができる。
【0071】
本実施形態では、冷却油が第二軸方向流路54及び径方向流路92を経由した後に第一軸方向流路53に導入される構成のため、永久磁石80に到達するまでのロータコア50内の冷却流路が長大化している。一般に鉄損により発熱するロータコア50内で冷却流路が長大化するほど、冷却油は加熱される傾向にある。
本実施形態では、第二軸方向流路54が径方向外側から空隙部55に覆われているため、該空隙部55がコイル34による径方向外側からの磁場の磁気シールドとなる。そのため、第二軸方向流路54の近傍までの磁場の到達が抑制される。したがって、ロータコア50における空隙部55の内側の部分である第二軸方向流路54付近では、鉄損による発熱が抑えられる。これにより、第二軸方向流路54を冷却油が流通する際に該冷却油の加熱が促進されることはない。よって、ロータコア50内での冷却流路が長大化しているにもかかわらず、永久磁石80を冷却に寄与する第一軸方向流路53での冷却効果を高く維持することができる。
【0072】
<第二実施形態>
第二実施形態のロータ40Aについて
図10を参照して説明する。第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第二実施形態のロータ40Aは、シャフト41A、ロータコア50A、第一エンドプレート90A及び第二エンドプレート96を備えている。
シャフト41Aは、シャフト中心孔44及びシャフト径方向孔45は形成されていない点で第一実施形態のシャフト41と相違する。シャフト41Aは軸線O方向全域にわたって中実構造とされている。
【0073】
ロータコア50Aは、第二軸方向流路54が形成されていない点で第一実施形態のロータコア50と相違する。ロータコア50Aは、複数の第一鋼板60Aのみを上下方向に積層することで構成されている。第二実施形態の第一鋼板60Aは、第二流路形成孔66が形成されていない点で第一実施形態の第一鋼板60と相違する。第二実施形態の空隙部55Aは、ロータコア50Aの上下方向全域にわたって延びており、ロータコア50Aの上端及び下端に開口している。
【0074】
第二実施形態の第一エンドプレート90Aは、第一実施形態の第一エンドプレート90における凹部93に代えて上下方向に貫通する貫通孔95Aが形成されている点で第一実施形態の第一エンドプレート90と相違する。第一エンドプレート90Aの貫通孔95Aは、複数の第一軸方向流路53に対応するように周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0075】
第二実施形態のロータ40Aでは、ロータ40Aの上方から第二エンドプレート96に対して冷却油が直接的に供給される。冷却油は、第二エンドプレート96の貫通孔98、第一軸方向流路53及び第一エンドプレート90Aの貫通孔95Aを流通してロータ40A外部に排出される。第一軸方向流路53を流通する過程では、第一実施形態と同様、永久磁石80を冷却する。
第二実施形態のロータ40Aでも、第一実施形態同様、第一軸方向流路53が空隙部55Aと独立して形成されているため、冷却油が空隙部55Aに直接的に導入されることはない。
【0076】
<第三実施形態>
第三実施形態のロータ40Bについて
図11を参照して説明する。第三実施形態では、他の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第三実施形態のロータ40Bは、シャフト41B、ロータコア50B、第一エンドプレート90及び第二エンドプレート96を備えている。
第三実施形態のシャフト41Bには、第一実施形態のシャフト41のシャフト中心孔44及びシャフト径方向孔45と異なるシャフト中心孔44B及びシャフト径方向孔45Bが形成されている。シャフト中心孔44Bは、シャフト41Bの上端からロータコア50Bの下端に対応する上下方向位置まで延びている。シャフト径方向孔45Bは、シャフト中心孔44Bの下端から径方向外側に延びて第一エンドプレート90に形成された径方向流路92に連通している。換言すれば、シャフト径方向孔45Bの上下方向位置は径方向流路92と同一とされている。シャフト中心孔44Bは、シャフト41の上端からシャフト径方向孔45Bの上下方向位置まで延びている。
本実施形態では、シャフト径方向孔45Bと径方向流路92とが直接的に接続されている。
【0077】
第三実施形態のロータコア50Bは、第一実施形態の第二軸方向流路54が形成されていない点で第一実施形態のロータコア50と相違する。ロータコア50Bは、複数の第一鋼板60B及び一つの第二鋼板70Bによって形成されている。第三実施形態の第一鋼板60Bは、第二流路形成孔66が形成されていない点で第一実施形態の第一鋼板60と相違する。第三実施形態の第二鋼板70Bは、第二流路形成孔76が形成されていない点で第一実施形態の第二鋼板70と相違する。ロータコア50Bは、互いに積層された複数の第一鋼板60Bの下方にさらに一つの第二鋼板70Bが積層されることで構成されている。
【0078】
第三実施形態のロータ40Bでは、第一実施形態と同様、シャフト41Bのシャフト中心孔44Bに上方から冷却油が供給される。冷却油は、シャフト中心孔44B、シャフト径方向孔45B、径方向流路92、第一軸方向流路53及び第二エンドプレート96の貫通孔98を流通してロータ40B外部に排出される。第一軸方向流路53を流通する過程では、第一実施形態と同様、永久磁石80を冷却する。
第三実施形態のロータ40Bでも、第一実施形態同様、第一軸方向流路53及び径方向流路92が空隙部55と独立して形成されているため、冷却油が空隙部55に直接的に導入されることはない。
【0079】
<第四実施形態>
第四実施形態のロータ40Cについて
図12を参照して説明する。第四実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第四実施形態のロータ40Cは、シャフト41C、ロータコア50C、第一エンドプレート90C及び第二エンドプレート96を備えている。
【0080】
第四実施形態のシャフト41Cには、第一実施形態のシャフト41と異なるシャフト中心孔44C及びシャフト径方向孔45Cが形成されている。シャフト中心孔44Cは、シャフト41Cの上端からロータコア50Cの上端と下端の間の上下方向位置まで延びている。本実施形態では、シャフト中心孔44Cはロータコア50Cの上下方向位置の中央まで延びている。シャフト径方向孔45Cはシャフト中心孔44Cの下端から径方向に延びて、ロータコア50Cの上下方向位置の中央に開口している。
【0081】
第四実施形態のロータコア50Cには、第二軸方向流路54が形成されておらず、径方向流路57Cが形成されている点で第一実施形態のロータコア50と相違する。ロータコア50Cの径方向流路57Cは、ロータコア50Cの上下方向位置の中央に形成されている。径方向流路57Cは、径方向内側の端部がシャフト径方向孔45Cに連通しており、径方向外側の端部が第一軸方向流路53に連通している。本実施形態では径方向流路57Cの上方及び下方の両側にそれぞれ空隙部55Cが形成されている。
【0082】
ロータコア50Cは、第一鋼板60C、第二鋼板70C及び第三鋼板78Cが積層されることで構成されている。第四実施形態の第一鋼板60Cは、第二流路形成孔66が形成されていない点で第一実施形態の第一鋼板60と相違する。第四実施形態の第二鋼板70Cは、第二流路形成孔76が形成されていない点で第一実施形態の第二鋼板70と相違する。
【0083】
ロータコア50Cにおける径方向流路57Cの上方の部分は、複数の第一鋼板60Cを積層し、さらに、下方に一つの第二鋼板70Cが積層されることで構成されている。ロータコア50Cにおける径方向流路57Cの下方の部分は、複数の第一鋼板60Cを積層し、さらに上方から一つの第二鋼板70Cが積層されることで構成されている。第三鋼板78Cは、ロータコア50Cにおける上方の部分及び下方の部分に挟まれるように設けられている。第三鋼板78Cは、上下方向に貫通するスリット(図示省略)が径方向に延びるように形成されている。スリットの径方向内側の端部はシャフト径方向孔45Cに連通している。スリットの径方向外側の端部は、第一軸方向流路53に連通する位置に形成されている。なお、スリットの軸線O方向視での形状は、例えば、
図8に示す凹部93と同様の形状、即ち、頂点が径方向内側を向くV字状をなしていてもよい。第三鋼板78Cが一対の第二鋼板70C,70Cによって上下から挟まれることで、これら一対の第二鋼板70C,70Cとスリットとによって径方向流路57Cが画成されている。径方向流路57Cは、上下一対の第二鋼板70C,70Cによって空隙部55Cと隔てられている。
【0084】
第四実施形態の第一エンドプレート90Cは、第一実施形態の第一エンドプレート90における凹部93に代えて上下方向に貫通する貫通孔95Cが形成されている点で第一実施形態の第一エンドプレート90と相違する。第一エンドプレート90Cの貫通孔95Cは、複数の第一軸方向流路53に対応するように周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0085】
第四実施形態のロータ40Cでは、第一実施形態と同様、シャフト中心孔44Cに上方から冷却油が供給される。冷却油は、シャフト中心孔44C、シャフト径方向孔45C、径方向流路57Cを経て、第一軸方向流路53の上下方向位置の中央に到達する。冷却油は径方向流路57Cと第一軸方向流路53との連通箇所で第一軸方向流路53の上方向及び下方向に分岐して流通する。第一軸方向流路53を上方に流通する冷却油は、第二エンドプレート96の貫通孔98を通過してロータ40Cの外部に排出される。第一軸方向流路53を下方に流通する冷却油は、第一エンドプレート90Cの貫通孔95Cを介してロータ40Cの外部に排出される。
第四実施形態のロータ40Cでは、第一軸方向流路53及び径方向流路57Cが上下の空隙部55C,55Cと独立して形成されているため、冷却油がこれら空隙部55C,55Cに直接的に導入されることはない。
【0086】
<第五実施形態>
第五実施形態のロータ40Dについて
図13を参照して説明する。第五実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第五実施形態のロータ40Dは、シャフト41、ロータコア50D、第一エンドプレート90D及び第二エンドプレート96Dを備えている。
【0087】
第五実施形態のロータコア50Dは、第一実施形態の第二軸方向流路54が形成されていない点で第一実施形態のロータコア50と相違する。ロータコア50Dは、複数の第一鋼板60D及び一つの第二鋼板70Dによって形成されている。第五実施形態の第一鋼板60Dは、第二流路形成孔66が形成されていない点で第一実施形態の第一鋼板60と相違する。第五実施形態の第二鋼板70Dは、第二流路形成孔76が形成されていない点で第一実施形態の第二鋼板70と相違する。ロータコア50Dは、互いに積層された複数の第一鋼板60Dの上方に、さらに一つの第二鋼板70Dが積層されることで構成されている。
第五実施形態の空隙部55Dの上端は第二鋼板70Dによって閉塞されており、下端は第一エンドプレート90Dによって閉塞されている。
【0088】
第五実施形態の第一エンドプレート90Dは、第一実施形態の第一エンドプレート90における凹部93に代えて上下方向に貫通する貫通孔95Dが形成されている点で第一実施形態の第一エンドプレート90と相違する。第一エンドプレート90Dの貫通孔95Dは、複数の第一軸方向流路53に対応するように周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0089】
第五実施形態の第二エンドプレート96Dは、第一実施形態の第二エンドプレート96の貫通孔98が形成されておらず、凹部99Dが形成されている点で第一実施形態の第二エンドプレート96と相違する。凹部99Dは第二エンドプレート96の下方を向く面から上方に窪むように形成されている。凹部99Dは、第一実施形態における第一エンドプレート90の凹部93と上下に対称な形状をなしている。第二エンドプレート96Dがロータコア50Dの最も上方に積層された第二鋼板70Dにさらに積層されることで、第二エンドプレート96Dの凹部99Dと第二鋼板70Dとによって径方向流路57Dが画成されている。径方向流路57Dの径方向内側の端部はシャフト径方向孔45に連通している。即ち、径方向流路57Dは、シャフト径方向孔45と直接的に接続されている。径方向流路57Dの径方向外側の端部は、第一軸方向流路53の上端に連通している。
【0090】
第五実施形態のロータ40Dでは、第一実施形態と同様、シャフト中心孔44に上方から冷却油が供給される。冷却油は、シャフト中心孔44、シャフト径方向孔45、径方向流路57Dを経て、第一軸方向流路53の上端に到達する。冷却油は、第一軸方向流路53を下方に向かって流通する過程で永久磁石80を冷却し、第一エンドプレート90Dの貫通孔95Dを通過してロータ40Dの外部に排出される。
第五実施形態のロータ40Dでも、第二エンドプレート96Dの径方向流路57Dとロータコア50の第一軸方向流路53が空隙部55Dと独立して形成されているため、冷却油が空隙部55Dに直接的に導入されることはない。
【0091】
<第六実施形態>
第六実施形態の電動機について
図14を参照して説明する。第六実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第一実施形態の電動機1が回転中心となる軸線Oを上下方向に一致させたいわゆる縦置きの電動機1であるのに対して、第六実施形態の電動機1Eは回転中心となる軸線Oを水平方向に一致させたいわゆる横置きの電動機である。横置きの電動機1Eは、例えばホイールローダ等の建設機械に走行用モータとして設けられている。
【0092】
第六実施形態の電動機1Eは、第一実施形態と同様のステータ30及びロータ40を有している。これらステータ30及びロータ40は、姿勢のみが第一実施形態と異なっている。即ち、ステータ30及びロータ40は軸線Oを水平方向に一致させた状態で配置されている。
ステータ30及びロータ40を囲うケーシング2Eは、軸線Oに沿って水平方向に延びる筒状をなして内側が収容空間とされた筒状部3Eと、収容空間を水平方向一方側(軸線方向一方側)から閉塞する第一蓋部4と、収容空間を水平方向他方側(軸線方向他方側)から閉塞する第二蓋部7とを有している。
【0093】
筒状部3Eにおける上部の壁部内には、上方に向かって筒状部3Eの外部に開口するとともに、筒状部3Eの内周面の上部に開口する冷却油導入路16が形成されている。冷却油導入路16における筒状部3Eの内周面の開口部は、コイル34の軸線方向両側のコイルエンドに対応する位置に一対が形成されている。
筒状部3Eにおける下部の壁部内には、下方に向かって筒状部3Eの外部に開口するとともに、筒状部3Eの内周面の下部に開口する冷却油排出路17が形成されている。冷却油排出路17における筒状部3Eの内周面の開口部は、コイル34の軸線O方向両側のコイルエンドに対応する位置に一対が形成されている。
【0094】
冷却油供給部20Eの導入流路22Eは、上流側の端部が冷却油貯留部21に接続され、下流側が二つに分岐してそれぞれケーシング2Eの冷却油導入孔6、冷却油導入路16に接続されている。導入流路22Eには冷却油ポンプ24が設けられている。冷却油供給部20Eの還流流路23Eの上流側の端部は、ケーシング2Eの冷却油排出路17に接続され、下流側の端部は冷却油貯留部21に接続されている。還流流路23Eには冷却部25が設けられている。
【0095】
冷却油供給部20Eの冷却油ポンプ24が作動すると、冷却油貯留部21の冷却油が導入流路22Eを介して電動機1Eのケーシング2Eの冷却油導入孔6及び冷却油導入路16に供給される。
冷却油導入孔6に導入された冷却油は、回転駆動するロータ40のシャフト41の水平方向一方側の端部からシャフト中心孔44内に導入され、第一実施形態同様、ロータコア50及び該ロータコア50に設けられた永久磁石80を冷却しロータ40外部に排出される。
冷却油導入路16に導入された冷却油は、コイル34のコイルエンドに直接的に供給されることで該コイルエンドを冷却する。その後、冷却油は下方に滴下されることでロータ40の外面を冷却し、ロータ40内を流通した冷却油とともに冷却油排出路17に導入され、ケーシング2E外部に排出される。
【0096】
以上のように、電動機1Eを横置きに配置した場合であっても、空隙部55がロータ40内の冷却流路から独立しているため、冷却油が空隙部55に直接的に導入されることはない。したがって、第一実施形態同様、電動機1Eの性能の向上を図ることができる。
【0097】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0098】
第一実施形態では、空隙部55と径方向流路92との軸線O方向の位置を相違させることで互いの連通を回避したが、空隙部55と径方向流路92とを周方向にずらすように配置することで互いの連通を回避した構成であってもよい。即ち、周方向に間隔をあけて複数の空隙部を形成し、互いに隣り合う空隙部の間に径方向流路を形成した構成であってもよい。これによって、互いの連通を回避しながら同一の軸線O方向位置に空隙部及び径方向流路を配置することができる。
【0099】
第一実施形態では、ロータ40の極数を8つとしたが適宜変更してもよい。シャフト径方向孔45及び第二軸方向流路54は周方向に等間隔をあけて4つずつ配置したが、適宜変更してもよい。シャフト径方向孔45及び第二軸方向流路54は、ロータ40の極数の半分の数が周方向に等間隔で形成されていることが好ましい。
第一実施形態では、径方向流路92が軸線O方向視で8つ形成されていたが適宜変更してもよい。径方向流路92の数は、シャフト径方向孔45及び第二軸方向流路54の数の倍とされることが好ましく、即ち、ロータ40の極数に一致することが好ましい。
【0100】
第一実施形態では、ロータ40内部を流通した冷却油をステータ30に散布する構成としたが、ロータ40内部の冷却経路とは別にステータ30を冷却する冷却経路を設けてもい。ステータ30に対して冷却油を外部から直接供給する構成であってもよい。
【0101】
第一実施形態では、磁石埋込部52と第一軸方向流路53とが連続するように一体に形成したが、これらを別個に形成してもよい。この場合、第一軸方向流路53を流通する冷却油によって永久磁石80を効果的に冷却できるように、磁石埋込部52と第一軸方向流路53とを軸線O方向視で互いに近接させて形成することが好ましい。永久磁石80が第一軸方向流路53を流通する冷却油によって冷却されるためには、空隙部55が、第一軸方向流路53及び永久磁石80の間の径方向位置に形成されているのではなく、第一軸方向流路53及び永久磁石80の双方よりも径方向内側に形成されていることが好ましい。
なお、第一実施形態では、フラックスバリア部56に加えて第一軸方向流路53もフラックスバリアとしての機能を有する。磁石埋込部52と第一軸方向流路53とを別個に形成する場合には、第一実施形態のフラックスバリア部56に加えて第二のフラックスバリア部を第一実施形態の第一軸方向流路53の形成箇所に設けることが好ましい。
【0102】
第一実施形態では、第二軸方向流路54がシャフト41の外周面に沿って延びる構成とした。第二軸方向流路54は、シャフト41の外周面に接することなく、ロータコア50の内部に形成してもよい。この場合であっても、第二軸方向流路54は空隙部の内周側に、該空隙部によって外周側から囲われるように設けられることが好ましい。
【0103】
第一実施形態では、第一エンドプレート90の凹部93と第二鋼板70とによって径方向流路92を画成されており、径方向流路92を第一エンドプレート90の表面に形成する例を説明した。これに限定されることはなく、径方向流路92が第一エンドプレート90の内部に形成されていてもよい。
第一エンドプレート90の径方向流路92に加えて、ロータコア50や第二エンドプレート96に第一軸方向流路53に連通する別の径方向流路を形成してもよい。即ち、径方向流路は、第一エンドプレート90、第二エンドプレート96及びロータコア50の少なくとも一つに形成されていればよい。
【0104】
第一実施形態では、第二鋼板70を一つのみ設けた例について説明したが、複数の第二鋼板70が互いに積層されて構成であってもよい。
第四実施形態では、第三鋼板78Cを一つのみ設けた例について説明したが、径方向流路57Cの流路断面積を確保するために複数の第三鋼板78Cを互いに積層してもよい。
永久磁石80はロータコア50の内部に埋め込むように設置するのみならず、ロータコア50の外周面に周方向に間隔をあけて設けてもよい。
シャフト中心孔44をロータコア50の上端に対応する上下方向位置よりも下方に延ばし、該シャフト中心孔44が下端に接続されたシャフト径方向孔45を介して第二軸方向流路54に連通する構成としてもよい。
【0105】
シャフト中心孔44はシャフト径方向孔45の上下方向位置よりも下方に延びていてもよい。シャフト中心孔44をドリル加工により形成した場合、シャフト中心孔44の下端は円錐形状となる。このような円錐形状のみがシャフト径方向孔45から下方に突出していてもよい。当該態様も、シャフト中心孔44の下端にシャフト径方向孔45が接続されている態様に含まれる。
【0106】
第一エンドプレート90、第二エンドプレート96は第一実施形態の形状に限られず、板状以外の他の形状であってもよい。
第一実施形態では、第一鋼板60にカシメ用凸部67としていわゆるVカシメを設けた例について説明したが、丸カシメ等の他のカシメ形状であってもよい。第二鋼板70のカシメ用孔部77は、第一鋼板60のカシメ用凸部67が嵌合可能であればいかなる形状であってもよい。
第一鋼板60、第二鋼板70に形成された各孔の形状を適宜変更してもよい。
【0107】
上記変形例は、第二〜第五実施形態の縦置き型に適用してもよいし、第六実施形態の横置き型に適用してもよい。第二〜第五実施形態のロータ40を第六実施形態に適用して横置き型としてもよい。
【0108】
第一〜第五実施形態では軸線Oを上下方向に一致させ、第六実施形態では軸線Oを水平方向に一致させて配置したが、軸線Oを斜め方向に一致させて配置してもよい。
電動機1の出力をスイングピニオン123に伝達する例について説明したが、例えば、電動機1が遊星歯車減速機を介してスイングピニオン123に接続されていてもよい。
電動機1をPTOを介してエンジン136や油圧ポンプ138に接続してもよい。これにより、油圧ポンプ138駆動時にエンジン136をアシストすることができる。
実施形態では、建設機械として油圧ショベル100、ホイールローダに電動機を適用した例について説明したが、他の建設機械に本実施形態の電動機を適用してもよい。