(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品が保持された部品供給テープを、部品供給装置の本体部に設けられたテープ通路を通じて前記部品供給テープの長手方向に送出して部品供給位置で前記部品を供給する部品供給方法であって、
前記長手方向において前記部品供給位置の反対側で前記テープ通路に連通して前記本体部に設けられた導入領域の上部空間を介して前記部品供給テープを前記テープ通路に送出する第1送出工程と、
前記導入領域において前記上部空間よりも下方に位置する下部空間を介して前記部品供給テープを前記テープ通路に送出する第2送出工程と、
テープ位置切替機構を用いて前記導入領域における前記部品供給テープの送出経路を前記上部空間から前記下部空間に切り替えるテープ位置切替工程と、を備え、
前記テープ位置切替機構は、
前記部品供給テープを下方から支持する支持位置と、前記部品供給テープの幅方向において前記支持位置から離れた非支持位置との間で移動自在なテープ支持部と、
前記本体部に固定される固定部と、
前記長手方向において前記固定部に対して前記部品供給位置の反対側で前記長手方向に進退自在に設けられるシャフト部材と、
前記部品供給位置と反対側の前記シャフト部材の端部に設けられるとともに前記テープ支持部を固着するプレート部材とを有し、
前記テープ支持部は、前記支持位置から前記非支持位置に移動されることで前記部品供給テープの支持を解除して前記部品供給テープを下方に移動させ、前記プレート部材および前記シャフト部材と一体的に前記長手方向に移動されることで前記導入領域に対して挿脱され、
前記第1送出工程は、前記導入領域に挿入されるとともに前記支持位置で位置決めされた前記テープ支持部で前記部品供給テープを下方から支持して前記送出経路を前記上部空間に形成する工程を含み、
前記テープ位置切替工程は、前記テープ支持部を前記導入領域から離脱させた後に前記非支持位置に移動させて前記部品供給テープの支持を解除して前記部品供給テープを前記下部空間に移動させる工程を含む
ことを特徴とする部品供給方法。
部品が保持された部品供給テープを、部品供給装置の本体部に設けられたテープ通路を通じて前記部品供給テープの長手方向に送出して部品供給位置で前記部品を供給する部品供給方法であって、
前記長手方向において前記部品供給位置の反対側で前記テープ通路に連通して前記本体部に設けられた導入領域の上部空間を介して前記部品供給テープを前記テープ通路に送出する第1送出工程と、
前記導入領域において前記上部空間よりも下方に位置する下部空間を介して前記部品供給テープを前記テープ通路に送出する第2送出工程と、
前記導入領域における前記部品供給テープの送出経路を前記上部空間から前記下部空間に切り替えるテープ位置切替工程と、を備え、
前記第1送出工程は、支持位置で位置決めされたテープ支持部を前記導入領域に挿入することで前記テープ支持部で前記部品供給テープを下方から支持しながら前記テープ通路に向かって下り勾配を有する前記送出経路を前記上部空間に形成する工程を含み、
前記テープ位置切替工程は、前記テープ支持部を前記部品供給テープの幅方向において前記支持位置から離れた非支持位置に移動させて前記部品供給テープの支持を解除して前記部品供給テープを前記下部空間に移動させる工程を含む
ことを特徴とする部品供給方法。
部品が保持された部品供給テープを、部品供給装置の本体部に設けられたテープ通路を通じて前記部品供給テープの長手方向に送出して部品供給位置で前記部品を供給する部品供給方法であって、
前記長手方向において前記部品供給位置の反対側で前記テープ通路に連通して前記本体部に設けられた導入領域の上部空間を介して前記部品供給テープを前記テープ通路に送出する第1送出工程と、
前記導入領域において前記上部空間よりも下方に位置する下部空間を介して前記部品供給テープを前記テープ通路に送出する第2送出工程と、
前記導入領域における前記部品供給テープの送出経路を前記上部空間から前記下部空間に切り替えるテープ位置切替工程と、を備え、
前記第1送出工程は、テープ支持部で前記部品供給テープを下方から支持して前記送出経路を前記上部空間に形成する工程を含み、
前記テープ支持部は、第1の支持位置で前記部品供給テープの幅方向における前記部品供給テープの一方端部を下方から支持する第1の支持部材と、第2の支持位置で前記幅方向における前記部品供給テープの他方端部を下方から支持する第2の支持部材とを有し、
前記第1の支持部材は、前記幅方向において前記第2の支持部材と反対側の方向に前記第1の支持位置から離れた第1の非支持位置と、前記第1の支持位置との間で移動自在であり、
前記第2の支持部材は、前記幅方向において前記第1の支持部材と反対側の方向に前記第2の支持位置から離れた第2の非支持位置と、前記第2の支持位置との間で移動自在であり、
前記テープ位置切替工程は、前記第1の支持部材を前記第1の支持位置から前記第1の非支持位置に移動させるとともに、前記第2の支持部材を前記第2の支持位置から前記第2の非支持位置に移動させて前記部品供給テープの支持を解除して前記部品供給テープを前記下部空間に移動させる工程を含む
ことを特徴とする部品供給方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明にかかる部品供給装置の第1実施形態を装備する表面実装機を示す図である。また、
図2は
図1に示す表面実装機の部分正面図である。さらに、
図3は
図1に示す表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。この表面実装機1は、フィーダー型供給機構40に装着されたフィーダー50(これが本発明の「部品供給装置」の一例に相当)により供給される部品をプリント基板P1(本発明の「基板」の一例に相当)に実装する装置であり、上記フィーダー型供給機構40以外に、基台10と、プリント基板P1を搬送するための搬送コンベア20と、プリント基板P1上に電子部品E1を実装するための部品実装装置30とを備えている。
【0022】
基台10は平面視で長方形状を有している。そして、この基台10に対し、その長手方向と平行に搬送コンベア20が設けられている。また、搬送コンベア20の下方には、プリント基板P1上に電子部品E1を実装する際にそのプリント基板P1をバックアップするためのバックアッププレート(図示省略)が設けられている。なお、以下の説明では、基台10の長辺方向(
図1の左右方向)および搬送コンベア20によるプリント基板P1の搬送方向をX軸方向とし、基台10の短辺方向(
図1の上下方向)をY軸方向とし、上下方向(
図2の上下方向)をZ軸方向とする。
【0023】
搬送コンベア20は、Y軸方向における基台10の略中央位置に配置され、プリント基板P1を搬送方向(X軸方向)に沿って搬送する。搬送コンベア20は、搬送方向Xに循環駆動する一対のコンベアベルト22を備えている。プリント基板P1は、両コンベアベルト22に架設する形で載置され、その状態でX軸方向に搬送される。本実施形態では、プリント基板P1は、搬送方向Xの一方側(
図1で示す右側)からコンベアベルト22に沿って基台10上の作業位置(
図1の二点鎖線で囲まれる位置)に搬入され、作業位置で停止して電子部品E1の実装作業がされた後、コンベアベルト22に沿って他方側(
図1で示す左側)に搬出されるようになっている。
【0024】
部品実装装置30は、一対の支持フレーム31と、ヘッドユニット32と、ヘッドユニット32を駆動するヘッドユニット駆動機構とを有している。各支持フレーム31は、それぞれX軸方向における基台10の両側に位置しており、Y軸方向に延設されている。支持フレーム31には、ヘッドユニット駆動機構を構成するX軸サーボ機構およびY軸サーボ機構が設けられている。そして、装置全体を制御する制御部80からの動作指令に応じてX軸サーボ機構およびY軸サーボ機構が作動することで、ヘッドユニット32が一定の可動領域内でX軸方向およびY軸方向に移動する。
【0025】
Y軸サーボ機構は、Y軸ガイドレール33Y、Y軸ボールねじ34YおよびY軸サーボモータ35Yを有している。このY軸サーボ機構では、各支持フレーム31に対し、Y軸ガイドレール33Yが延設されている。また、各Y軸ガイドレール33Yと平行にY軸ボールねじ34Yが延設されている。このY軸ボールねじ34Yの一方端には、Y軸サーボモータ35Yが取り付けられ、制御部80からの駆動指令に応じて作動することでY軸ボールねじ34Yに螺合しているボールナット(図示省略)がY軸方向に移動する。これらのボールナットにヘッド支持体36が固定されている。ヘッド支持体36はX軸方向に延設されている。そして、2つのY軸ガイドレール33Yを橋渡しするようにヘッド支持体36はボールナット上に配置され、Y軸ガイドレール33Yに沿って移動自在となっている。このため、制御部80によりY軸サーボモータ35Yが通電制御されると、上記したボールナットの進退動作によって、ボールナットに固定されたヘッド支持体36、及び後述するヘッドユニット32がY軸ガイドレール33Yに沿ってY軸方向に移動する。
【0026】
X軸サーボ機構は、X軸ガイドレール33X(
図2参照)、X軸ボールねじ34XおよびX軸サーボモータ35Xを有している。このX軸サーボ機構では、ヘッド支持体36に対し、X軸ガイドレール33XがX軸方向に延設されている。また、X軸ガイドレール33Xと平行にX軸ボールねじ34Xが延設されている。このX軸ボールねじ34Xの一方端には、X軸サーボモータ35Xが取り付けられ、制御部80からの駆動指令に応じて作動することでX軸ボールねじ34Xに螺合しているボールナット(図示省略)がX軸方向に移動する。このボールナットにはヘッドユニット32が固定されており、上記ボールナットの移動によってX軸ガイドレール33Xに沿ってX軸方向に移動する。
【0027】
ヘッドユニット32は、後述するフィーダー型供給機構40によって供給される電子部品E1を取り出してプリント基板P1上に実装する。ヘッドユニット32には、
図2に示すように、電子部品E1の実装動作を行う実装ヘッド37が列状をなして複数個搭載されている。各実装ヘッド37は、ヘッドユニット32の下面から下向きに突出しており、その先端には電子部品E1を負圧によって吸着する吸着ノズル38がそれぞれ設けられている。
【0028】
各実装ヘッド37は、R軸サーボモータ35R(
図3)によって上下方向Zに延びる軸周りの回転動作が可能とされている。また、各実装ヘッド37は、Z軸サーボモータ35Z(
図3)の駆動によってヘッドユニット32のフレーム32Aに対して上下方向Zに昇降可能とされている。
【0029】
なお、ヘッドユニット32には、基板認識カメラC1(
図2)が設けられている。基板認識カメラC1は、撮像面を下に向けた状態でヘッドユニット32のフレーム32Aに固定されており、ヘッドユニット32とともに一体的に移動する。基板認識カメラC1は、ヘッドユニット32がX軸方向およびY軸方向に移動されることで、作業位置に停止したプリント基板P1上の任意の位置の画像を撮像する。
【0030】
また、基台10上におけるヘッドユニット32による実装位置の近傍には、部品認識カメラC2(
図1)が固定されている。部品認識カメラC2は、実装ヘッド37によって部品供給位置S1(後で説明する
図4参照)から取り出された電子部品E1の画像を撮像することで、各電子部品E1の吸着ノズル38による吸着姿勢等を認識する。
【0031】
上記のように構成された表面実装機1の各部を制御するために、制御部80が設けられている。制御部80はCPU(Central Processing Unit)により構成される演算処理部81を備えている。演算処理部81には、モータ制御部82と、記憶部83と、画像処理部84と、外部入出力部85と、フィーダー通信部86と、表示部88と、入力部89と、がそれぞれ接続されている。
【0032】
モータ制御部82は、後述する実装プログラム83Aに従ってヘッドユニット32のX軸サーボモータ35XおよびY軸サーボモータ35Yを駆動させるとともに、各実装ヘッド32のZ軸サーボモータ35ZおよびR軸サーボモータ35Rを駆動させる。また、モータ制御部82は、実装プログラム83Aに従って搬送コンベア20を駆動させる。
【0033】
記憶部83は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成され、実装プログラム83Aおよび各種データ83Bが記憶されている。記憶部83に記憶される実装プログラム83Aには、実装対象となるプリント基板P1の生産台数に関する基板情報、プリント基板P1に実装される電子部品E1の個数や種類等を含む部品情報等が含まれている。記憶部83に記憶される各種データ83Bには、フィーダー型供給機構40に取り付けられた各フィーダー50に保持された電子部品E1の数や種類に関するデータ等が含まれている。
【0034】
画像処理部84には、基板認識カメラC1および部品認識カメラC2から出力される撮像信号がそれぞれ取り込まれる。画像処理部84では、取り込まれた各カメラC1,C2からの撮像信号に基づいて、部品画像の解析、基板画像の解析等が行われるようになっている。
【0035】
外部入出力部85は、いわゆるインターフェースであって、表面実装機1の本体に設けられる各種センサ類85Aから出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部85は、演算処理部81から出力される制御信号に基づいて、表面実装機1の本体に設けられる各種アクチュエータ類85Bに対する動作制御を行うように構成されている。
【0036】
フィーダー通信部86は、フィーダー型供給機構40に取り付けられた各フィーダー50のフィーダー制御部59と接続されており、各フィーダー50を統括して制御する。なお、フィーダー制御部59は、実装プログラム83Aに従った制御によってフィーダー50内の前側モータ52Aおよび後側モータ54Aの駆動を制御する。また、フィーダー制御部59は、フィーダー50内のテープセンサ(図示省略)と接続されており、当該テープセンサから出力される検出信号が取り込まれるようになっている。なお、フィーダー50の構成および動作については、後で詳述する。
【0037】
表示部88は、表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、表面実装機1の状態等を表示画面上に表示する。入力部89は、キーボード等から構成され、手動による操作によって外部からの入力を受け付けるようになっている。
【0038】
図4は本発明の第1実施形態の一例であるフィーダーの構成を示す図である。また、
図5は部品の供給に用いられる部品供給テープの構成を示す斜視図である。本実施形態では、フィーダー型供給機構40は搬送コンベア20の両側(
図1の上下両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。各フィーダー型供給機構40は、複数のフィーダー50を列状に着脱自在に装着した一括交換台車により構成されている。各フィーダー型供給機構40には、複数のリール支持部(図示省略)が設けられており、リール支持部に対してリール状に巻回された部品供給テープ60をフィーダー50に送出可能となっている。
【0039】
部品供給テープ60は、例えば
図5に示すように、一方向に長いシート形状を有するキャリアテープ62と、キャリアテープ62に貼着されるトップテープ64とから構成される。キャリアテープ62には、上方に開口した空洞状の部品収納部62Aがテープの長手方向に一定間隔で設けられている。そして、各部品収納部62Aに対し、トップテープ64によって閉止された状態で電子部品E1が収納され、保持されている。また、キャリアテープ62の一辺側には、その縁部に沿って上下に貫通する係合孔62Bが一定間隔で設けられている。
【0040】
このように構成された部品供給テープ60はリール支持部から送出されてフィーダー50にセットされた後、制御部80からの動作指令に応じたフィーダー50の動作によって部品供給位置S1に搬送される。これによって、部品収納部62Aに収納された電子部品E1の供給が可能となる。なお、フィーダー50の構成説明を行うにあたって、説明の便宜から、電子部品E1を供給する側(搬送コンベア20に向けられる側、
図4における右側)を前側とし、それとは反対側を後側とする。また、フィーダー50の前後方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)の両者と直交する方向をフィーダー50の幅方向(X軸方向)とする。
【0041】
フィーダー型供給機構40には、フィーダー取付部42が設けられており、当該フィーダー取付部42に対して複数のフィーダー50がX軸方向に一列に整列して取り付け可能となっている。各フィーダー50は、電子部品E1が保持された部品供給テープ60を部品供給位置S1に向けて送出するために、
図4に示すように、前後方向(Y軸方向)に長い形状をなす本体部51に対して2つの送出部52、54を設けている。なお、本体部51には、カバー部材511が取り付けられているが、
図4ではカバー部材511を切欠いて両送出部52、54の構成を図示している。
【0042】
これらのうち送出部52は、本体部51の前側部分に設けられた前側送出部であり、前側モータ52Aと、複数枚のギヤからなる前側ギヤ群52Bと、本体部51の前端上部に配された前側スプロケット52Cと、中間スプロケット52Dとを有している。前側モータ52Aは
図3に示すようにフィーダー制御部59と電気的に接続されており、制御部80からの動作指令に応じてフィーダー制御部59が前側モータ52Aを駆動制御する。これによって、前側モータ52Aが上記実装プログラム83Aに従って作動する。そして、前側モータ52Aの動力は前側ギヤ群52Bを介して前側スプロケット52C及び中間スプロケット52Dに伝達され、前側スプロケット52C及び中間スプロケット52Dを回転させる。この前側スプロケット52Cの外周には、部品供給テープ60の係合孔62Bに係合される歯52Eが等ピッチで形成されている。また、中間スプロケット52Dの外周にも、前側スプロケット52Cと同様に、部品供給テープ60の係合孔62Bに係合される歯52Fが等ピッチで形成されている。そして、前側送出部52は、前側スプロケット52Cの歯52Dが部品供給テープ60の係合孔62Bに係合した状態で前側スプロケット52C及び中間スプロケット52Dを回転させることで、後側送出部54側から送出されてくる部品供給テープ60をフィーダー50の前端部の部品供給位置S1に送出する。また、中間スプロケット52Dと前側スプロケット52Dとの間にはこの間を移動する部品供給テープ60のトップテープ64を切断あるいは剥離することにより電子部品E1を露出させる図示しない露出機構が設けられている。
【0043】
後側送出部54は、後側モータ54Aと、複数枚のギヤからなる後側ギヤ群54Bと、本体部51の後端上部に配された後側スプロケット54Cとを有している。後側送出部54も、基本的には、前側送出部52と同様に構成されている。すなわち、後側モータ54Aは
図3に示すようにフィーダー制御部59と電気的に接続されており、制御部80からの動作指令に応じてフィーダー制御部59が後側モータ54Aを駆動制御する。これによって、後側モータ54Aが実装プログラム83Aに従って作動する。そして、後側モータ54Aの動力が後側ギヤ群54Bを介して後側スプロケット54Cに伝達され、後側スプロケット54Cの歯54Dが部品供給テープ60の係合孔62Bに係合した状態で後側スプロケット54Cが回転する。これによって、部品供給テープ60がテープ通路56を介して前側送出部52に送出される。
【0044】
このように、本実施形態では、部品供給テープ60を後側送出部54にセットすることで後側送出部54により前側送出部52に送出し、さらに前側送出部52により部品供給テープ60を前方に送出することで部品供給テープ60に収納された電子部品E1を部品供給位置S1に搬送することが可能となっている。また、上記したように前側スプロケット52Cの歯52Dが部品供給テープ60の係合孔62Bに係合した状態では、後側スプロケット54Cの歯54Dが部品供給テープ60の係合孔62Bに係合していない状態、つまりフリー状態のまま、前側送出部52のみにより電子部品E1を部品供給位置S1に搬送することが可能となっている。さらに、フィーダー50に対して先にセットされた部品供給テープ60(以下、これを「先行テープ60A」と称する)を前側送出部52のみにより送出するとともに、後で説明するように先行テープ60Aの末端部がフィーダー50に近づくのに対応してフィーダー50に対してセットされた部品供給テープ60(以下、これを「後続テープ60B」と称する)を後側送出部54により前側送出部52に向けて送出することが可能となっている。すなわち、本実施形態では、前側送出部52および後側送出部54を設け、以下の3つの態様、
・第1テープ送出態様:1つの部品供給テープ60を後側送出部54で前側送出部52に送り、さらに同部品供給テープ60を前側送出部52により部品供給位置S1に送出する、
・第2テープ送出態様:1つの部品供給テープ60を前側送出部52のみで部品供給位置S1に送出する、
・第3テープ送出態様:前側送出部52のみによる先行テープ60Aの部品供給位置S1への送出から独立して後続テープ60Bを後側送出部54で前側送出部52に送る、
で部品供給テープ60を搬送することが可能となっている。
【0045】
また、本体部51には、上記3つの送出態様を実行可能とするために、
図4に示すように、後側送出部54から前側送出部52に向けてテープ通路56が設けられるとともに、部品供給テープ60をテープ通路56に導入するための導入領域53が設けられている。特に本実施形態では、導入領域53はテープ通路56と接続する位置から本体部51の後端部に向けて上下方向Zにおいてラッパ状に広がっている。
【0046】
本実施形態では、一対のテープ支持部材551、552を有するテープセット部55の先端が導入領域53に対して挿脱自在に設けられている。そして、導入領域53へのテープセット部55の挿入により部品供給テープ60をテープ支持部材551、552によって下方から支持して後側送出部54による送出を可能とする。また、導入領域53からのテープセット部55の引抜(離脱)およびテープ支持部材551、552による支持の解除によって部品供給テープ60を導入領域53の下方側に移動させて後側送出部54に対してフリー状態にする。以下、テープセット部55と、テープセット部55を移動させるセット移動機構70との構成および動作について図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図6Aおよび
図6Bはテープセット部およびセット移動機構の全体構成を示す斜視図であり、
図6Aはテープ支持を解除した支持解除状態を示す一方、
図6Bはテープ支持が可能な支持状態を示している。また、
図7Aはテープセット部およびセット移動機構の側面図であり、
図7Bは
図7A中のB−B線断面図であり、
図7Cは
図7A中のC−C線断面図であり、
図7Dはテープセット部およびセット移動機構をX軸方向の後方側(
図7Aの左手側)から見た図である。テープセット部55は上記したように部品供給テープ60の幅方向(Y軸方向)において配置された一対のテープ支持部材551、552で構成されている。そして、テープ支持部材551、552を一体的にテープセット部55の長手方向(X軸方向)に往復移動させ、またテープ支持部材551、552を互いに近接および離間移動させるために、セット移動機構70が設けられている。
【0048】
セット移動機構70は、
図4に示すように、本体部51に対して固定される固定部71と、固定部71に対して反部品供給位置側(同図の左手側)でX軸方向に進退自在に設けられたシャフト部材72、73と、シャフト部材72、73の先端部(反部品供給位置側の端部)から上方に立設されたプレート部材74、75とを有している。固定部71には、シャフト部材72、73の部品供給位置側の端部が水平移動するための移動空間711がX軸方向に延設されている。また、固定部71では、
図7Aおよび
図7Bに示すように、上記移動空間711を望むようにスリット712がX軸方向に延設されており、シャフト部材72の部品供給位置側の端部から上方に突設された突起部位721が挿入されている。また、当該スリット712は
図7Bに示すように略L字形状を有しており、スリット712の反部品供給位置側(同図の左手側)では、部品供給テープ60の幅方向(Y軸方向)に直角に折れ曲がっている。ここでは、スリット712の溝幅は突起部位721の外径よりも若干広い程度に仕上げられており、折れ曲がり部分を除き、シャフト部材72は回転移動を規制されながらX軸方向にスライド可能となっている。また、突起部位721が折れ曲がり部分に到達すると、そこでシャフト部材72の反部品供給位置側へのスライド移動が停止される一方、折れ曲がり部分での溝幅が広がった分に相当する角度範囲でシャフト部材72は長手方向と平行な回転軸周りに回動自在となっている。
【0049】
もう一方のシャフト部材73はシャフト部材72の鉛直下方で長手方向に延びる回転軸周りに回転自在に配置されており、その反部品供給位置側(同図の左手側)の端部が連結部78を介してシャフト部材72の反部品供給位置側の端部と連結されている。この連結部78は、
図7Cに示すように、シャフト部材73に固定されたブロック部材781と、シャフト部材72からブロック部材781に向けて突設された突起部材782とを有している。突起部材782の下端部は略半球面状に仕上げられている。また、突起部材782の下端部に対応してブロック部材781の上面に凹部783が形成されている。そして、突起部材782の下端部がブロック部材781の凹部783に嵌入されることでシャフト部材72、73が相互に連結される。
【0050】
また、連結部78が上記したように構成されたことでシャフト部材72、73は互いに反対方向に回動自在となっている。そして、後で説明するようにオペレータの操作によってシャフト部材72が
図7Cの紙面において時計回りに回動させられると、突起部材782がブロック部材781の凹部783内で変位してブロック部材781とともにシャフト部材73がその長手方向Xに延びる回転軸周りに反時計回りに回動する。このように一方のシャフト部材72に対して外力によって回転力が加えられると、それに連動して他方のシャフト部材73が反対方向に回転し、互いに平行な姿勢で立設していたプレート部材74、75が連結部78を中心に扇状に広がり、
図6Aに示すようにプレート部材74、75の上端部にそれぞれ固着されたテープ支持部材551、552が互いに部品供給テープ60の幅方向Yに移動してテープ支持を解除する。一方、逆向きの外力がシャフト部材72に加わると、上記とは逆の回転力によって扇状に広がっていたプレート部材74、75が平行な姿勢に戻ってテープ支持部材551、552が一体化されてテープ支持可能な状態に戻る。なお、上記した外力はテープ支持部材551、552やテープ支持部材551に連結されたレバー部材553に対してオペレータが加える力を意味している。また、プレート部材74、75が閉じて互いに平行な状態になったときに、プレート部材74,75間の間隔は部品供給テープ60の幅よりも広く、テープ支持部材551,552の下側に部品供給テープ60が位置しているときにスムーズに移動できるようになっている。
【0051】
このように、テープ支持部材551、552は、セット移動機構70によってガイドされながら導入領域53から離間されたときに、一体化されて部品供給テープ60を下方から支持する支持状態(
図6B)と、互いに離間して部品供給テープ60の支持を解除した非支持状態(
図6A)との間で切替可能となっている。なお、テープ支持部材551、552は、レバー部材553の有無を除いて、ほぼ対称構造を有している。したがって、以下のおいては、レバー部材553が連結されたテープ支持部材551について説明する一方、テープ支持部材552については同一構造に同一符号を付して構成説明を省略する。
【0052】
図8Aはレバー部材によるテープクランプを解除したときのテープ支持部材を示す図であり、
図8Bはレバー部材によるテープクランプを実行したときのテープ支持部材を示す図である。各図面では、Y軸方向の一方側から見た図と、他方側から見た図とを併記している。テープ支持部材551は、プレート部材76の上端部に固定されたベース部材554と、ベース部材554の上方側で上下方向Zに移動自在に配置された可動部材555と、ベース部材554の上面と可動部材555の下面との間に配置されてベース部材554に対して可動部材555を上方に付勢するバネ部材556とを有している。これらのうち可動部材555の上面は幅方向Yにおける部品供給テープ60の一方端部を下方から支持するテープ支持面となっている。より詳しくは、可動部材555の上面には、上方にわずかに立ち上がる当接壁が形成されて部品供給テープ60の幅方向に規制する。なお、当接壁はテープ支持部材552の可動部材555にも形成されており、後で説明するように一対のテープ支持部材551、552が支持状態になると、両当接壁に挟まれた各テープ支持部材551、552の上面領域で部品供給テープ60の幅方向Yの両下面端部を下方から支持する。なお、両当接壁の間隔は、部品供給テープ60の幅方向寸法よりも大きくなり、部品供給テープ60が幅方向にずれてテープセット部55から外れるのを効果的に防止することが可能となっている。また、テープ支持部材551及びテープ支持部材552が閉じて当接して部品供給テープ60を支持する状態では部品供給テープ60を支持する面は両テープ支持部材551,552の間で略隙間が無いようにされている。テープセット部55が
図9Fのように本体51にセットされている状態であってもレバー553を押し下げて部品供給テープ60を挿入してスプロケット54Cに嵌合させることができる。このときに、テープ支持部材551及びテープ支持部材552の部品供給テープ60を支持する面に隙間がないのでその面に沿って部品供給テープを簡単に挿入させることができる。
【0053】
また、ベース部材554の上面中央部には、軸支部位557が突設されており、レバー部材553の一方端部を軸支している。このレバー部材553の一方端部では、軸支位置からわずかに他方端側に進んだ位置にピンがY軸方向に突設され、可動部材555の一部に係止されている。さらに、レバー部材553の中央部には、Y軸方向にクランププレート558が可動部材555の上面(テープ支持面)に向けて突設されている。このため、レバー部材553に対して外力が作用していないときには、バネ部材556の付勢力により可動部材555が上方に押圧されて
図8Aに示す位置まで移動する。また、この移動に応じてレバー部材553が回動し、レバー部材553の他方端部は斜め上方に立ち上がった姿勢となる。さらに、クランププレート558は可動部材555のテープ支持面から離れて部品供給テープ60をクランプしない、いわゆるアンクランプ状態となる。
【0054】
一方、
図8B中の白抜き矢印で示すように、オペレータがバネ部材556の付勢力に抗いながらレバー部材553の他方端部を押し下げるように操作すると、上記軸支部分を中心にレバー部材553が回転され、可動部材555を下方に押し下げる。また、クランププレート558が可動部材555と協働して部品供給テープ60をクランプする、いわゆるクランプ状態となる。なお、この状態からオペレータがレバー部材553から手を放すと、バネ部材556の付勢力によってアンプランプ状態に戻る(
図8A)。
【0055】
また、レバー部材553はクランプ状態およびアンクランプ状態を切り替えるクランプ切替機能以外に、Y軸方向の外力を受けてテープセット部55をテープ支持状態とそれを解除した支持解除状態との間で切り替える支持切替機能も兼ね備えている。つまり、
図6Aおよび
図6Bに示すように本体部51からテープセット部55全体が引き抜かれた状態で、オペレータがレバー部材553をY軸方向のうちテープ支持部材552に向かう方向(
図6Aにおける右下方向)の力を加えると、テープ支持部材551は
図6Bに示すように幅方向Yにおける部品供給テープ60の一方端部の下方位置(本発明の「第1の支持位置」に相当)に位置して部品供給テープ60の一方端部を下方から支持する。また、テープ支持部材551の移動に連動してテープ支持部材552は
図6Bに示すように部品供給テープ60の他方端部の下方位置(本発明の「第2の支持位置」に相当)に位置して部品供給テープ60の他方端部を下方から支持する。このように一対のテープ支持部材551、552が相互に近接して部品供給テープ60を支持している、つまりテープ支持状態となっているため、部品供給テープ60を安定して支持することができる。
【0056】
また、テープ支持状態を安定化させるために、本実施形態では、連結部57が設けられている。この連結部57は、
図7Dに示すようにテープ支持部材551のベース部材554に固着されたマグネット571と、テープ支持部材552のベース部材554に固着されたマグネット572とで構成されており、テープ支持状態で両マグネット571、572が近接して対向して両者の間で発生する磁気吸着力によってテープ支持部材551、552を相互に連結する。なお、いずれか一方のマグネットを磁性体に代えて磁気吸着力を発生させるように構成してもよい。
【0057】
オペレータがレバー部材553をY軸方向のうちテープ支持部材552から離れる方向(
図6Bにおける左上方向)に上記磁気吸着力よりも大きな力を与えると、テープ支持部材551は幅方向Yにおいてテープ支持部材552と反対側の方向に上記第1の支持位置から離れた第1の非支持位置に移動する。また、セット移動機構70によって上記移動に連動してテープ支持部材552は幅方向Yにおいてテープ支持部材551と反対側の方向に上記第2の支持位置から離れた第2の非支持位置に移動する。これによって一対のテープ支持部材551、552が部品供給テープ60の下方位置から退避することで部品供給テープ60の支持が解除される。
【0058】
このように、本実施形態では、オペレータによるレバー部材553のワンタッチ操作によって3つの動作、つまり、
・テープ支持状態およびテープ支持状態の解除の切替動作、
・導入領域53に対するテープセット部55の挿脱動作、
・クランプ状態およびクランプ状態の切替動作、
を同時に並行して行うことが可能となっており、優れた操作性が得られる。
【0059】
次に、上記のように構成された表面実装機1において、部品供給テープ60が未装着状態のフィーダー50に対して新たな部品供給テープ60を装着して部品供給を実行する動作、ならびに先行テープ60Aによる部品供給中に後続テープ60Bをセットして次のテープ切替の準備を行う動作について
図9Aないし
図9Fを参照しつつ説明する。
【0060】
図9A〜9Fはフィーダーへの部品供給テープの装着手順を模式的に示す図である。これらの図面中の破線TP0はテープ通路56に沿って部品供給テープ60が部品供給位置S1に送出される送出経路を示している。また、破線TP1は導入領域53へのテープセット部55の挿入により導入領域53の上部空間に形成されて後側送出部54により部品供給テープ60をテープ通路56に送出する送出経路を示しており、本実施形態ではテープ通路56に向かって下り勾配を有するように設けられている。さらに、破線TP2は導入領域53の下部空間に形成されて前側送出部52のみにより部品供給テープ60をテープ通路56に送出するときの送出経路を示している。
【0061】
フィーダー取付部42に装着された複数のフィーダー50のうちの一つに対して空状態のフィーダー50に部品供給テープ60をセットする場合、オペレータにより以下のマニュアル操作が実行される。まず、
図9Aの白抜き矢印で示すように、フィーダー50をフィーダー取付部42に装着した状態のまま当該フィーダー50のテープセット部55を導入領域53から引き抜き、本体部51から離脱させる。そして、この離脱状態で部品供給テープ60をリール支持部(図示省略)から送出し、部品供給テープ60の先端をテープセット部55の先端部に設けられた目印MKと一致させるとともに、連結部57により相互に連結された一対のテープ支持部材551、552の上面に部品供給テープ60の先端部を載置する。なお、本実施形態では、各可動部材555の上面に設けられた段差部位、より具体的には当接壁の部品供給位置S1側の端面位置を目印MKとして設定しており、テープセット部55を導入領域53に挿入したときに目印MKが後側スプロケット54Cを少し過ぎた位置に到達し、部品供給テープ60の先端部を後側スプロケット54Cの直下位置に位置させることが可能となる。これによって、後側スプロケット54Cの歯54Dを部品供給テープ60の係合孔62Bと安定的に係合させることが可能となる。なお、目印MKとして段差部位以外の構造を用いてもよい。また、テープセット部55に対して目印MKを新たに追加してもよい。
【0062】
このように部品供給テープ60を載置すると、幅方向Yにおいて部品供給テープ60の両端部がテープ支持部材551、552により下方から支持される。これに続いて、
図9B中の矢印Fで示すようにレバー部材553の押下によってクランププレート558と可動部材555とで部品供給テープ60がクランプされ、そのクランプ状態を維持したままテープセット部55が導入領域53に向けて移動される。このように本実施形態では、部品供給テープ60をフィーダー50の本体部51に挿入する前に、テープセット部55により予め決められた位置に位置決めするとともにクランプしておく、いわゆる部品供給テープ60のプリセット処理を行っている。
【0063】
そして、部品供給テープ60をプリセットしているテープセット部55が導入領域53に挿入されると、
図9Cに示すように、部品供給テープ60の先端部を後側スプロケット54Cの直下位置に位置決めされる。これに続いて、レバー部材553の押下が解除されると、バネ部材556の付勢力により可動部材555が上方に移動し、部品供給テープ60の先端部を後側スプロケット54Cに押圧する。これによって、後側スプロケット54Cの歯54Dが部品供給テープ60の係合孔62Bと係合するとともに、部品供給テープ60の下面が可動部材555によって弾性的に支持される。したがって、部品供給テープ60に対してバネ部材556の付勢力を超える圧力が印加されるのを防止しながら部品供給テープ60を後側送出部54により安定して送出することが可能となる。
【0064】
こうして、後側送出部54による部品供給テープ60の送出準備が完了し、オペレータが入力部89を介してセット指令を制御部80に与えると、
図9Dに示すように、それに応じて制御部80が後側モータ54Aを駆動して後側スプロケット54Cを回転させて部品供給テープ60の先端部をフィーダー50の前側まで送出して前側スプロケット52Cの歯52Dと係合させる(第1送出工程)。
【0065】
こうして部品供給の準備が完了すると、制御部80は上述の実装プログラム83Aにしたがって表面実装機1の各部を制御してフィーダー50から電子部品E1を供給するとともに当該電子部品E1をヘッドユニット32によってプリント基板P1の表面に実装する。なお、上記した第1送出工程と実装プログラム83Aに基づく部品実装とを区別して実行しているが、第1送出工程を実装プログラム83Aに組み込んでもよいことは言うまでもない。
【0066】
このように本実施形態では、テープセット部55を用いて部品供給テープ60をフィーダー50の本体部51にセットしているため、部品供給テープ60を変形させることなく、本体部51への部品供給テープ60の導入を容易に行うことができる。しかも、テープセット部55に設けられた目印MKを利用してプリセット処理を行っているため、上記導入を安定して行うことができる。
【0067】
上記電子部品E1の供給を行っている間、フィーダー50は部品供給テープ60を部品供給位置S1まで送出し続けており、そのうち当該部品供給テープ60の残りが少なくなっていく。そこで、当該部品供給テープ60を部品供給位置S1に間欠的に送出し続けている間に、オペレータは上記部品供給テープ60を先行テープ60Aとし、先行テープ60Aによる部品供給が終了するまでに次の部品供給テープ60、つまり後続テープ60Bを以下のマニュアル操作によってフィーダー50にセットする。
【0068】
先行テープ60Aを部品供給位置S1まで送出し続けている状態でテープセット部55が
図9Eの白抜き矢印で示すように導入領域53から引き抜かれ、本体部51から離脱させられる。それに続いて、同図中の矢印ARで示すようにレバー部材553をY軸方向のうちテープ支持部材552から離れる方向に与えてテープ支持部材551、552をそれぞれ「第1の非支持位置」および「第2の非支持位置」に移動させる。つまり、一対のテープ支持部材551、552が同時に部品供給テープ60の下方位置から退避して部品供給テープ60の支持を解除する。これによって、先行テープ60Aはその自重によって導入領域53内を鉛直下方に移動し、後側スプロケット54Cから離れて導入領域53内での先行テープ60Aの送出経路が送出経路TP1から送出経路TP2に切り替わる(テープ位置切替工程)。このとき、先行する部品供給テープ60Aは前側スプロケット52Cと既に係合しているため、先行テープ60Aは後側スプロケット55から離れても、前側スプロケット52Cを回転させることで先行テープ60Aを部品供給位置S1まで送出し続けることができる(第2送出工程)。
【0069】
導入領域53での先行テープ60Aの下方移動が完了すると、レバー部材553を元の位置に戻して一対のテープ支持部材551、552を相互に連結させて一体化するとともに、先行テープ60Aのセット動作(
図9A〜
図9Cに示す一連の動作)と同様にして後続テープ60Bを導入領域53に導入し、後側スプロケット54Cの歯54Dを部品供給テープ60の係合孔62Bと係合させるとともに、部品供給テープ60の下面を可動部材555によって弾性的に支持して後続テープ60Bのセットを完了させる。
【0070】
その後、先行テープ60Aの末端部がテープ通路56を通過したことを図示省略のテープセンサが検出すると、その検出信号を取り込んだフィーダー制御部59は、後側モータ54Aを駆動し、後側スプロケット54Cを回転させる。これにより、後続テープ60Bの先端部がフィーダー50の前側まで送出されて前側スプロケット52Cと係合される。
【0071】
なお本実施形態では、テープ通路56内に先行テープ60Aが無いことをテープセンサが検出すると、フィーダー制御部59は、所定時間の間、後側モータ54Aを前側モータ52Aよりも速い速度で回転駆動する。これにより、所定時間の間、後続テープ60Bが先行テープ60Aよりも速く送出され、後続テープ60Bの先端部が先行テープ60Aの末端部に近づく。
【0072】
上述した所定時間は、次のようにして予め算出され、設定される。即ち、本実施形態では、前側モータ52Aが回転駆動する速度は一定となっており、制御部80は、前側モータ52Aによって部品供給テープ60が送出される速度と、テープセンサと後側スプロケット54Cとの間の距離とから、後続テープ60Bの先端部が先行テープ60Aの末端部に到達するまでの時間を算出し、算出した時間を上記所定時間として設定することができる。
【0073】
以上のように、第1実施形態によれば、一対のテープ支持部材551、552をそれぞれ第1の支持位置および第2の支持位置に位置させて部品供給テープ60を下方から支持している。そして、テープ支持部材551、552をそれぞれ第1の非支持位置および第2の非支持位置に同時に移動させることで部品供給テープ60の支持を解除し、その自重により部品供給テープ60を鉛直下方に移動させて送出経路を送出経路TP1(導入領域53の上部空間)から送出経路TP2(導入領域53の下部空間)に切り替えている。したがって、上記移動の際に余分な負荷が部品供給テープ60に与えられるのを効果的に防止することができ、部品の供給を安定的に行うことができる。その結果、部品供給のトラブルの発生頻度を低下させ、表面実装機1の稼働率を高めることができる。
【0074】
また、第1実施形態では、
図6A、
図6Bおよび
図7Dに示すように、テープ支持部材551が第1の支持位置から第1の非支持位置に向かう方向と、テープ支持部材552が第2の支持位置から第2の非支持位置に向かう方向とが幅方向Yにおいて相互に反対側である。つまり、部品供給テープ60を中心としてテープ支持部材551、552が両開き状に移動して支持が解除される。このため、テープ支持部材551、552が幅方向Yにおける部品供給テープ60の中心部に設けられた部品収納部62Aと干渉するのを効果的に防止することができ、部品供給テープ60を下方に安定して移動させることができる。
【0075】
また、このような両開き構造を採用することで部品供給テープ60の支持解除のために各テープ支持部材551、552の幅方向Yへの移動量は少なくなり、隣接するフィーダー50との干渉を抑制することができる。
【0076】
また、上記したようにテープセット部55をフィーダー50の本体部51に対して挿脱する構造を採用しているため、テープセット部55が本体部51から独立している場合には、本体部51から取り外された際にテープセット部55を紛失する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、テープ支持部材551、552がセット移動機構70により本体部51と連結されているため、上記紛失を確実に防止することができる。
【0077】
また、セット移動機構70によってテープセット部55を本体部51に対して挿脱する構造を採用しているが、テープ支持部材551、552の少なくとも一部が導入領域53に挿入されている間、つまり
図7B中の1点鎖線で示すように、スリット712の溝幅に突起部位721がガイドされてシャフト部材72を回転方向への移動を規制している。この移動規制によって、テープセット部55を導入領域53から抜き出している最中に、誤ってテープ支持部材551、552が開いて部品供給テープ60を落下させてしまい、部品供給テープ60に損傷を与えたり、フィーダー50が故障する等の不具合を確実に防止することができる。
【0078】
また、
図9Aや
図9Eに示すように、テープセット部55全体がフィーダー50の本体部51から離脱した状態でテープ支持部材551、552への部品供給テープ60の支持操作や、部品供給テープ60の支持解除操作などのマニュアル操作が容易となり、優れた作業性が得られる。特に複数のフィーダー50を隣接してフィーダー取付部42に装着している表面実装機1では、上記作用効果は顕著なものとなる。
【0079】
また、第1実施形態では、
図9Bに示すように部品供給テープ60をクランプ支持した状態のままテープセット部55を導入領域53に挿入してテープ通路56に送出する送出経路TP1を形成しているが、当該送出経路TP1は
図4や
図9Cなどに示すようにテープ通路56に向かって下り勾配を有している。したがって次のような作用効果が得られる。部品供給テープは通常リール状に巻き取られており、いわゆる巻き癖を有した状態で提供されることが多い。したがって、上記したように送出経路TP1の傾斜方向が巻き癖に対して逆方向となるように構成することで、例えば
図9Eに示すように部品供給テープ60を自重により下方に移動させるときに、巻き癖が下方への移動をアシストする役割を果たして送出経路TP1から送出経路TP2への切替をより確実なものとする。
【0080】
さらに、一対のテープ支持部材551、552をそれぞれ第1の支持位置および第2の支持位置に位置させた状態、つまり部品供給テープ60を下方から支持している状態で、両テープ支持部材551、552を連結部57により相互に連結している。このため、テープ支持部材551、552による部品供給テープ60の下方支持を安定させることができる。
【0081】
図10は本発明にかかる部品供給装置の第2実施形態を示す側面図である。また、
図11は
図10に示す部品供給装置の部分斜視図である。さらに、
図12は
図10に示す部品供給装置を反部品供給位置側から見た図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、テープセット部55では、テープ支持部材551、552が一体化されている点と、テープ支持部材551、552を一体化した支持部材をプレート部材74によってシャフト部材72に連結して当該支持部材を支持位置と非支持位置との間で回動させる点であり、その他の構成および動作は基本的に第1実施形態と同様である。したがって、以下においては相違点を中心に説明し、同一構成および動作については同一あるいは相当符号を付して説明を省略する。
【0082】
この第2実施形態では、ベース部材554の上方側で可動部材555が上下方向Zに移動自在に配置されるとともに、ベース部材554の上面と可動部材555の下面との間にバネ部材556が配置されてベース部材554に対して可動部材555を上方に付勢している。また、ベース部材554はプレート部材74の上端部に固定されている。さらに、プレート部材74の下端部はシャフト部材72に固定されている。このため、第1実施形態における第1テープ支持部材551と同様に、セット移動機構70によってテープセット部55を本体部51に対して挿脱自在となっている。また、テープセット部55を導入領域53から完全に引き出した状態(
図10や
図11参照)で、シャフト部材72はX軸方向と平行に伸びる回動軸周りに一定角度αだけ回動自在となっている。
【0083】
この第2実施形態では、空状態のフィーダー50への部品供給テープ60のセットについては第1実施形態と同様のマニュアル操作によって行われるのに対し、フィーダー50への後続テープ60のセットについては以下のようにして行われる。すなわち、先行テープを部品供給位置S1まで送出し続けている状態でテープセット部55が
図10や
図11の白抜き矢印で示すように導入領域53から引き抜かれ、本体部51から離間させられる。それに続いて、
図12に示すようにレバー部材553を操作してテープセット部55を上記回動軸中心に角度αだけ回動させる。これによって、テープセット部55に設けられて先行テープ(図示省略)を下方から支持しているテープ支持部材(第1実施形態のテープ支持部材551、552に相当)が一体的に部品供給テープ(図示省略)の下方位置から回動方向(
図12の紙面における反時計方向)に移動して部品供給テープ60の支持を解除する。これによって、先行テープはその自重によって導入領域53内を鉛直下方に移動し、導入領域53内での先行テープの送出経路が送出経路TP1から送出経路TP2に切り替わる。こうして導入領域53での先行テープの下方移動が完了すると、レバー部材553を元の位置に戻してテープセット部55を導入領域53に対向させた後、第1実施形態における先行テープ60Aのセット動作(
図9A〜
図9Cに示す一連の動作)と同様にして後続テープ(図示省略)を導入領域53に導入して後続テープのセットを完了させる。
【0084】
以上のように、第2実施形態においては、テープセット部55のテープ支持部材(図示省略)を支持位置(
図10)に位置決めして部品供給テープを下方から支持する一方、テープ支持部材を一体的に非支持位置(
図12)に同時に移動させることで部品供給テープの支持を解除し、その自重により部品供給テープを鉛直下方に移動させて送出経路を送出経路TP1(導入領域53の上部空間)から送出経路TP2(導入領域53の下部空間)に切り替えている。したがって、第1実施形態と同様に、上記移動の際に余分な負荷が部品供給テープに与えられるのを効果的に防止することができ、部品の供給を安定的に行うことができる。その結果、部品供給のトラブルの発生頻度を低下させ、表面実装機1の稼働率を高めることができる。
【0085】
上述のように、上記した実施形態では、電子部品E1が本発明の「部品」の一例に相当し、フィーダー50が本発明の「部品供給装置」の一例に相当している。また、テープセット部55およびセット移動機構70がそれぞれ本発明の「テープ支持部」および「移動部」の一例に相当しており、これらが本発明の「テープ位置切替機構」として機能している。また、テープ支持部材551、552がそれぞれ本発明の「第1の支持部材」および「第2の支持部材」の一例に相当している。
【0086】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記第1実施形態では、
図7Cに示すように2本のシャフト部材72、73と連結部78とにより一対のテープ支持部材551、552を両開きさせるように構成しているが、両開き構造はこれに限定されるものではなく、従来より周知の両開き構造を用いてもよく、例えばシャフト部材72、73を二重管状に配置してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、レバー部材553のマニュアル操作を停止する、例えばオペレータがレバー部材553から手を放すと、バネ部材556の付勢力によってレバー部材553が元に戻ってクランプ状態(
図8B)からアンプランプ状態(
図8A)に戻るように構成している。ここで、レバー部材553の回動機構に対してラッチ機構を組み込んでラッチ解除操作を介してクランプ状態(
図8B)からアンプランプ状態(
図8A)に戻るように構成してもよい。
【0088】
また、第1実施形態では、テープ支持部材551、552を同時に移動させるために、
図7Cに示すように、連結部78に凹凸構造を設けているが、その他の構造によってテープ支持部材551、552を同時移動させてもよい。また、テープ支持部材551の移動から多少遅れてテープ支持部材552が移動してテープ支持部材551、552が両開きとなるように構成してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、先行テープ60Aによる部品供給中に後続テープ60Bを自動的に送出して後続テープ60Bの先端部を先行テープ60Aの末端部に近づけて部品供給の切れ目を抑制する、いわゆるオートローディングフィーダーに本発明を適用しているが、本発明の適当対象はこれに限定されるものではなく、部品供給テープ60を長手方向に送出して電子部品E1を供給する部品供給技術全般に適用することができる。