特許第6661461号(P6661461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661461
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】ボックスのリッド
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20200227BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20200227BHJP
   B60N 2/75 20180101ALN20200227BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
   B60N3/00 Z
   !B60N2/75
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-97663(P2016-97663)
(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公開番号】特開2017-206043(P2017-206043A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇裕
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−007413(JP,A)
【文献】 実公昭39−015507(JP,Y1)
【文献】 実開平01−174250(JP,U)
【文献】 特開2014−213632(JP,A)
【文献】 特開2007−038726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60N 3/00
B60N 2/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス本体に形成されている矩形の収納部の開口を開閉可能なボックスのリッドであって、
開口の短手方向または長手方向を橋渡すように長手方向または短手方向に沿って開口を塞ぎ可能に並設された複数のメインブロックから構成されており、
複数のブロックの各一端は、ボックス本体の開口の縁に対して剛性を有する第1の回転軸の軸回りに回転可能に組み付けられており、
複数のブロックの他端には、凹部を介して肉薄部が形成されており、
各肉薄部は、伸縮性を有する第2の回転軸の軸回りに回転可能に組み付けられているボックスのリッド。
【請求項2】
請求項1に記載のボックスのリッドであって、
メインブロックの表面を覆うファブリック状の表皮と、メインブロックに着脱可能なサブブロックとが設けられており、
メインブロックとサブブロックとの間には、メインブロックの表面を覆った表皮の縁を挟み込み可能となっているボックスのリッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスのリッドに関し、詳しくは、ボックス本体に形成されている収納部の開口を開閉可能なボックスのリッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車101等の車両の運転席102と助手席103との間のフロアfには、物品(図示しない)を収納可能な収納部である収納ボックス112を備えたコンソールボックス104が備えられている(図12参照)。ここで、下記特許文献1には、この収納ボックスの開口を開閉可能なリッド(蓋)120を備えたコンソールボックス104が開示されている(図13〜14参照)。これにより、リッド120を閉じると収納ボックス112に収納した物品を目隠しできる。そのため、収納ボックスに収納した物品の露出を防止できる。したがって、収納ボックスに物品を収納したときのコンソールボックス104の見栄えを高めることができる。また、この収納ボックス112の開口112aを閉じたリッド120を肘掛けとしても使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−173440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、収納ボックス112から物品を出し入れするためには、物品の大きさに関わらず、リッド120全体を開ける操作をしなければいけなかった。そのため、物品のサイズが小さい場合、物品のサイズに対してリッド120の開き量が大きくなってしまうことがあった。したがって、開けたリッド120を邪魔に感じてしまうことがあった。この問題を解決するために、リッド120を柔らかな素材(例えば、ウレタン等)から構成しておき、収納ボックス112から出し入れする物品が小さいときには、リッド120の一部を変形させて物品を出し入れすることが考案された。しかしながら、この考案では、リッド120に剛性が確保されていないため、収納ボックス112の開口112aを閉じたリッド120を肘掛けとして使用できないという新たな問題が発生していた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、剛性を確保しつつ、収納ボックスからの物品の出し入れに必要な量だけ開閉できるボックスのリッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、ボックス本体に形成されている矩形の収納部の開口を開閉可能なボックスのリッドである。リッドは、開口の短手方向または長手方向を橋渡すように長手方向または短手方向に沿って開口を塞ぎ可能に並設された複数のメインブロックから構成されている。複数のブロックの各一端は、ボックス本体の開口の縁に対して剛性を有する第1の回転軸の軸回りに回転可能に組み付けられている。複数のブロックの他端には、凹部を介して肉薄部が形成されている。各肉薄部は、伸縮性を有する第2の回転軸の軸回りに回転可能に組み付けられている。
【0007】
請求項1の発明によれば、リッドの一部のみ(例えば、前側のみ)を開けることができる。したがって、出し入れする物品のサイズに合わせた必要な量だけリッドを開閉できる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボックスのリッドであって、メインブロックの表面を覆うファブリック状の表皮と、メインブロックに着脱可能なサブブロックとが設けられている。メインブロックとサブブロックとの間には、メインブロックの表面を覆った表皮の縁を挟み込み可能となっている。
【0009】
請求項2の発明によれば、リッドの表面を覆った表皮の端末をリッドの裏面側でサブブロックによって目隠しできる。したがって、この端末を綺麗に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るコンソールボックスを適用した自動車の車内の斜視図である。
図2図1のコンソールボックスの拡大図である。
図3図2において、表皮を透過した状態を示している。
図4図2のコンソールボックスの分解図である。
図5図4のリッドの分解図である。
図6図5のメインブロックとサブブロックとの拡大図である。
図7図4のリッドの短手方向の縦断面図である。
図8図4のリッドの長手方向の縦断面図である。
図9図2のリッドの一部を開けた一例であり、表皮を透過した状態を示している。
図10図9のX−X線の縦断面図である。
図11図2のリッドの一部を開けた他の例であり、表皮を透過した状態を示している。
図12】従来技術に係るコンソールボックスを適用した自動車の車内の斜視図である。
図13図12のコンソールボックスの拡大図である。
図14図13のリッドを開けた一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜11を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、自動車1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0012】
まず、図1〜8を参照して、本発明の実施例に係るコンソールボックス4の全体構成を説明する。このコンソールボックス4は、図1〜4からも明らかなように、主として、ボックス本体10とリッド20とから構成されている。以下に、これらボックス本体10とリッド20とを個別に説明する。
【0013】
はじめに、ボックス本体10から説明していく。このボックス本体10は、上側から物品(図示しない)を収納可能(出し入れ可能)な矩形の収納ボックス(収納部)12が形成されたボックス状の部材から構成されている(図4参照)。このボックス本体10の収納ボックス12の開口12aの縁における助手席3側の前後には、貫通孔14aを有するヒンジアーム14が対を成すように形成されている。
【0014】
ボックス本体10は、このように構成されている。このように構成されているボックス本体10は、剛性を有する合成樹脂から一体的に成形されている。なお、このボックス本体10は、収納ボックス12の長手方向が前後方向を成すように、自動車1の床フロアFにおいて運転席2と助手席3との間に設置されている(図1参照)。
【0015】
次に、リッド20を説明する。このリッド20は、上述したボックス本体10の開口12aを開閉する蓋状の部材から構成されている。このリッド20は、開口12aの左右方向(短手方向)の縁を橋渡すように前後方向(長手方向)に沿って開口12aを塞ぎ可能に並設された複数のメインブロック30とから構成されている(図5参照)。
【0016】
このメインブロック30の下側には、後述するサブブロック40を嵌め合い可能な切欠32が形成されている(図6参照)。この切欠32が形成された切欠面(下面)32aには、この切欠32に嵌め合うサブブロック40の一対の係合突起42を係合可能な一対の係合穴32bが形成されている(図7参照)。このメインブロック30の一端34には、剛性を有するシャフト60を挿し込み可能な貫通孔34aが形成されている。
【0017】
一方、このメインブロック30の他端36には、その前側に形成された円状の凹部36aを介して肉薄部36cが形成されている(図8参照)。この肉薄部36cには、伸縮性を有するゴムワイヤ70を挿し込み可能な貫通孔36dが形成されている。この貫通孔36dの径rは、凹部36aの凹面36bの径Rより小さくなるように設定されている。なお、この複数のメインブロック30のうち、両端のメインブロック30は、他のメインブロック30より肉厚となるように形成されている(図3参照)。
【0018】
これにより、この両端のメインブロック30をボックス本体10の開口12aの前後の縁に安定して載せることができる。複数のメインブロック30は、このように構成されている。このように構成されている複数のメインブロック30は、剛性を有する合成樹脂からそれぞれ一体的に成形されている。なお、この複数のメインブロック30の各一端34の貫通孔34aには、抜け防止が施された状態でシャフト60が挿し込まれている。これにより、この複数のメインブロック30の各一端34は、シャフト60の軸回りに回転可能に組み付けられていることとなっている。このシャフト60が、特許請求の範囲に記載の「剛性を有する第1の回転軸」に相当する。
【0019】
また、この複数のメインブロック30の各他端36の貫通孔36dには、抜け防止が施された状態でゴムワイヤ70が挿し込まれている。これにより、この複数のメインブロック30の各他端36も、ゴムワイヤ70の軸回りに回転可能に組み付けられている(繋がっている)こととなっている。このゴムワイヤ70が、特許請求の範囲に記載の「伸縮性を有する第2の回転軸」に相当する。そして、この複数のメインブロック30は、その表面がファブリック状の表皮50によって覆われている(カバーリングされている)。
【0020】
なお、この覆った表皮50の端末(縁)は、メインブロック30の裏面側に巻き込ませてサブブロック40による係合(メインブロック30の係合穴32bとサブブロック40の係合突起42とによる係合)によって切欠32に挟み込まれている。この係合が、特許請求の範囲に記載の「着脱」に相当する。リッド20は、このように構成されている。このように構成されているリッド20は、そのシャフト60の両端がボックス本体10の一対のヒンジアーム14の各貫通孔14aに回転可能に組み付けられている。これらボックス本体10とリッド20とからコンソールボックス4は構成されている。
【0021】
次に、図3、9〜10を参照して、上述したコンソールボックス4の作用を説明する。図3に示すように、収納ボックス12の開口12aを閉じたリッド20の閉じ状態では、リッド20の複数のメインブロック30が開口12aの左右方向の縁を橋渡す格好となっている。このリッド20を構成する複数のメインブロック30は、既に説明したように、剛性を有する合成樹脂からそれぞれ一体的に成形されている。そのため、従来技術の説明と同様に、この開口12aを閉じたリッド20を肘掛けとして使用できる。
【0022】
また、既に説明したように、リッド20を構成する複数のメインブロック30の各他端36は、ゴムワイヤ70によって繋がっている。また、この複数のメインブロック30の各他端36は、凹部36aが形成されている。これらにより、例えば、図9に示すように、リッド20の一部(この例では、前側)を持ち上げると(シャフト60の軸回りに回転させると)、すなわち、複数のメインブロック30のうちの一部(この例では、前側)のメインブロック30を持ち上げると(シャフト60の軸回りに回転させると)、この持ち上げていない残りの(この例では、後側の)メインブロック30の自重によってゴムワイヤ70が伸びることとなる。
【0023】
そのため、この伸びたゴムワイヤ70が持ち上げていない残りの(この例では、後側の)メインブロック30の凹部36aに入り込むこととなる(図10参照)。したがって、この持ち上げていない残りの(この例では、後側の)メインブロック30において、持ち上げた側(この例では、前側)から持ち上げていない側(この例では、後側)に向けて徐々に閉ざされることとなる。すなわち、リッド20の一部のみ(この例では、前側のみ)を開けることができる。なお、これらの持ち上げ操作を解消すると、開けたリッド20が閉じ状態に戻される。
【0024】
本発明の実施例に係るコンソールボックス4は、上述したように構成されている。この構成によれば、リッド20は、開口12aの左右方向(短手方向)の縁を橋渡すように前後方向(長手方向)に沿って開口12aを塞ぎ可能に並設された複数(この例では、44個)のメインブロック30とから構成されている。この複数のメインブロック30の各一端34の貫通孔34aには、抜け防止が施された状態でシャフト60が挿し込まれている。また、このメインブロック30の他端36には、その前側に形成された円状の凹部36aを介して肉薄部36cが形成されている。この肉薄部36cには、伸縮性を有するゴムワイヤ70を挿し込み可能な貫通孔36dが形成されている。また、この複数のメインブロック30の各他端36の貫通孔36dには、抜け防止が施された状態でゴムワイヤ70が挿し込まれている。そのため、リッド20の一部のみ(例えば、前側のみ)を開けることができる。したがって、出し入れする物品のサイズに合わせた必要な量だけリッド20を開閉できる。
【0025】
また、この構成によれば、複数のメインブロック30は、その表面がファブリック状の表皮50によって覆われている(カバーリングされている)。この覆った表皮50の端末(縁)は、メインブロック30の裏面側に巻き込ませてサブブロック40によって切欠32に挟み込まれている。そのため、リッド20の表面を覆った表皮50の端末をリッド20の裏面側でサブブロック40によって目隠しできる。したがって、この端末を綺麗に処理できる。
【0026】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
【0027】
実施例では、「リッド」が「コンソールボックス4のボックス本体10の開口12aを開閉可能なリッド20」である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「ボックス本体」が「インストルメントパネルに形成されたアッパーボックス本体の開口を開閉可能なリッド、ラゲージのバックボードの開口を開閉するリッド等」であっても構わない。
【0028】
また、実施例では、「伸縮性を有する第2の回転軸」が「ゴムワイヤ70」である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「伸縮性を有する第2の回転軸」が「伸縮性を有するワイヤ(例えば、エラストマで形成されたワイヤ、ポリウレタンで形成されたワイヤ)等」であっても構わない。また、ワイヤそのものに伸縮性がなくても構わない。その場合、ワイヤの一端が巻取装置に締結され、この巻取装置によってワイヤに伸縮性を持たせても構わない。
【0029】
また、実施例では、「リッド20を持ち上げる一部」が「リッド20の前側」である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「リッド20を持ち上げる一部」が「リッド20の真ん中側」であっても構わない(図11参照)。もちろん、「リッド20を持ち上げる一部」が「リッド20の後側」であっても構わない。
【0030】
また、実施例では、「開口の短手方向または長手方向を橋渡すように長手方向または短手方向に沿って開口を塞ぎ可能に並設された複数のメインブロック」が「開口12aの左右方向の縁を橋渡すように前後方向に沿って開口12aを塞ぎ可能に並設された複数のメインブロック30」である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「開口12aの前後方向の縁を橋渡すように左右方向に沿って開口12aを塞ぎ可能に並設された複数のメインブロック30」であっても構わない。
【符号の説明】
【0031】
4 コンソールボックス(ボックス)
10 ボックス本体
12 収納ボックス(収納部)
12a 開口
20 リッド
30 メインブロック
34 一端
36 他端
36a 凹部
36c 肉薄部
40 サブブロック
60 シャフト(第1の回転軸)
70 ゴムワイヤ(第2の回転軸)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14