特許第6661486号(P6661486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661486
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】導線付き周面発光型導光棒
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20200227BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20200227BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20200227BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20200227BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200227BHJP
【FI】
   F21V8/00 310
   F21S2/00 670
   F21V8/00 200
   F21V23/00 160
   G02B6/00 326
   G02B6/00 331
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-138065(P2016-138065)
(22)【出願日】2016年7月12日
(65)【公開番号】特開2018-10765(P2018-10765A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076484
【弁理士】
【氏名又は名称】戸川 公二
(72)【発明者】
【氏名】金森 尚哲
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 保飛
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−41057(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/051689(WO,A1)
【文献】 特開2001−283601(JP,A)
【文献】 特開2001−210106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 2/00
F21V 23/00
G02B 6/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端または一端に光源(L)を配置した状態で使用され、かつ、周面の一部を可視発光面(A)とする周面発光型導光棒において、
導光棒本体(1)が、透明樹脂から成るコア層(11)と;このコア層(11)上の少なくとも可視発光面(A)となる部分に形成された、前記コア層(11)よりも屈折率の小さい半透明樹脂から成るクラッド層(12)とを含んで構成されている一方、
前記導光棒本体(1)の可視発光面(A)以外の部分に、長さ方向に沿って収納溝部(13)が設けられて、この収納溝部(13)内に、前記光源(L)と電源とを接続する導線(2)が脱着自在に固定されていることを特徴とする導線付き周面発光型導光棒。
【請求項2】
導光棒本体(1)に、コア層(11)とクラッド層(12)から成る断面形状が扇形、半円形または半楕円形の導光部(G)が設けられると共に、この導光部(G)の平面部(S)側に、導光棒本体(1)の長さ方向に延びる断面T型或いは断面L型の異型凸部(P)が突成されて、この異型凸部(P)と導光部(G)の平面部(S)との間に収納溝部(13)(13)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の導線付き周面発光型導光棒。
【請求項3】
導光棒本体(1)の導光部(G)において、収納溝部(13)の内壁を構成する平面部(S)にもクラッド層(12)が形成されていることを特徴とする請求項2記載の導線付き周面発光型導光棒。
【請求項4】
導光棒本体(1)に、開口部から底面に向けて溝幅が徐々に狭くなる形状の収納溝部(13)が形成されて、当該収納溝部(13)内に導線(2)が圧入されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の導線付き周面発光型導光棒。
【請求項5】
導光棒本体(1)に設けられる収納溝部(13)の深さ(D)が導線(2)の直径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の導線付き周面発光型導光棒。
【請求項6】
導線(2)の表面が白色の被覆材によって覆われていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の導線付き周面発光型導光棒。
【請求項7】
導光棒本体(1)の可視発光面(A)以外の部分に、材質や厚みによりクラッド層(12)よりも透明度が低くなった光反射層(14)が形成されて、当該光反射層(14)の一部、または光反射層(14)とクラッド層(12)の間、または光反射層(14)とコア層(11)の間に収納溝部(13)が形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の導線付き周面発光型導光棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導線付き周面発光型導光棒の改良、詳しくは、線状発光器具の組立て時において光源に対する配線作業を容易に行うことができ、また導線のみの取外しや付替えも可能で、しかも、導線によって外観が損なわれる心配もない導線付き周面発光型導光棒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光装飾等の分野では、周面発光型の導光棒(具体的には、所定の屈折率差を有するコア層とクラッド層を備えた棒体)を用いた線状発光器具の利用が進んでいる。またこの種の線状発光器具を大型化(長尺化)する際には、光源から導光棒の端部に入射された光の導光距離に限界があるため、導光棒を複数に分割して導光棒間に光源を配置して構成するのが一般的である。
【0003】
一方、上記の線状発光器具を組み立てる際には、導光棒の両側(または片側)に配置された光源に対して電源供給を行うための配線作業が必要となるが、複数の導光棒を繋いで構成された大型の線状発光器具においては、導光棒間に配置された光源に導線を接続するための配線を導光棒に添って行う必要がある。
【0004】
しかしながら、上記配線作業時において導光棒と導線がバラバラになっていると、複数の導光棒を繋いだ後、長尺の導線を導光棒に添わせる作業が必要となるため、配線作業に手間や時間がかかり易かった。これは特に、多数の導光棒を繋いで構成される大型の線状発光器具の組立て時において大きな問題となった。
【0005】
また、上記のように導光棒と導線がバラバラに構成されていると、導光棒の特定の位置に導線を固定しておくことができないため、導線が導光棒の可視面側に露出して外観も損なわれ易かった。しかも、線状発光器具の組立て後に、導光棒に添わせた導線が弛んで導光棒の下側に垂れ下がる問題も生じ易かった。
【0006】
他方、従来においては、導線を内蔵した周面発光型の導光棒も開発されているが(特許文献1,2参照)、これらの導光棒は、導線が完全に樹脂内に埋め込まれていたため、内蔵された導線を取り外すことができなかった。そのため、導線が途中で切れて断線した場合に、その導線が内蔵された導光棒ごと付け替える必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−59913号公報
【特許文献2】特開2006−3663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、線状発光器具の組立て時において光源に対する配線作業を容易に行うことができ、また断線した場合でも導線のみを付け替えることが可能で、しかも、導線が目立って外観が損なわれる心配もない導線付き周面発光型導光棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、両端または一端に光源Lを配置した状態で使用され、かつ、周面の一部を可視発光面Aとする周面発光型導光棒において、導光棒本体1を、透明樹脂から成るコア層11と;このコア層11上の少なくとも可視発光面Aとなる部分に形成された、前記コア層11よりも屈折率の小さい半透明樹脂から成るクラッド層12とを含んで構成する一方、前記導光棒本体1の可視発光面A以外の部分に、長さ方向に沿って収納溝部13を設けて、この収納溝部13内に、前記光源Lと電源とを接続する導線2を脱着自在に固定した点に特徴がある(図1図3参照)。
【0011】
また上記導光棒本体1に関しては、コア層11とクラッド層12から成る断面形状が扇形、半円形または半楕円形の導光部Gを設けると共に、この導光部Gの平面部S側に、導光棒本体1の長さ方向に延びる断面T型或いは断面L型の異型凸部Pを突成することで、この異型凸部Pと導光部Gの平面部Sとの間に収納溝部13・13を簡単に形成することができる(図2参照)。
【0012】
また上記導光棒本体1に導光部Gを形成する場合には、収納溝部13の内壁を構成する平面部Sにもクラッド層12が形成しておくことで、可視発光面Aと導線2との間にクラッド層12が二層介在することになるため、導線2がより見え難くなる(図2参照)。
【0013】
また更に、上記導光棒本体1において、開口部から底面に向けて溝幅が徐々に狭くなる形状の収納溝部13を形成すれば、収納溝部13内に導線2を圧入するだけで導線2を簡単に固定することができる(図2参照)。
【0014】
また上記導光棒本体1に設けられる収納溝部13の深さDを導線2の直径よりも大きくすれば、導線2を収納溝部13内に完全に収容することができるため、外部から導線2が見え難くなる(図2参照)。
【0015】
また本発明では、上記導光棒本体1に固定された導線2をより見え難くするために、表面が白色の被覆材によって覆われた導線2を使用することもできる。
【0016】
そしてまた、本発明では、上記導光棒本体1の可視発光面A以外の部分に、材質や厚みによりクラッド層12よりも透明度が低くなった光反射層14を形成して、当該光反射層14の一部、または光反射層14とクラッド層12の間、または光反射層14とコア層11の間に収納溝部13を形成することもできる(図4図5参照)。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、導光棒本体を周面の一部が可視発光面となるように構成すると共に、導光棒本体の可視発光面以外の部分に長さ方向に沿って溝部を設けて、この溝部内に導線を脱着自在に固定して構成したことにより、導光棒と導線とを一体化することができるため、線状発光器具の組立て時において、導光棒の両側に延びる導線を光源に接続するだけで配線作業を簡単に行うことができる。
【0018】
また本発明では、導線を導光棒の溝内に入れて固定することで、導線が外観上、目立たないようにしているため、導線が可視面側に露出したり垂れ下がったりして外観が悪化する問題も生じない。しかも、本発明では、導線を導光棒に対して脱着自在に固定しているため、断線した場合にそのその部分の導線のみを取り外して交換することも可能となる。
【0019】
したがって、本発明により、線状発光器具(特に大型のもの)の組立て作業が効率的に行えるようになるだけでなく、組立て後の外観面や修理等のメンテナンスの面でも有利な導線付き周面発光型導光棒を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1における導線付き周面発光型導光棒を表わす斜視図である。
図2】本発明の実施例1における導線付き周面発光型導光棒および導光棒本体を表わす断面図である。
図3】本発明の実施例1における導線付き周面発光型導光棒の使用状態を表わす概略図である。
図4】本発明の実施例2における導線付き周面発光型導光棒および導光棒本体を表わす断面図である。
図5】本発明における導線付き周面発光型導光棒の別形態を表わす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
『実施例1』
本発明の実施例1について、図1図3に基いて以下に説明する。なお同図において、符号1で指示するものは、導光棒本体であり、符号2で指示するものは、導線である。また符号Eで指示するものは、線状発光器具であり、符号Lで指示するものは、光源である。また符号Jで指示するものは、ジョイント部材である。
【0022】
「導線付き周面発光型導光棒の構成」
[1]基本構成について
まず基本構成について説明すると、本実施例では、図1及び図2(a)(b)に示すように、周面の一部を可視発光面Aとする導光棒本体1をコア層11とクラッド層12とから構成すると共に、この導光棒本体1の可視発光面A以外の部分に、長さ方向に沿って収納溝部13を設けて、この収納溝部13内に導線2を脱着自在に固定して導線付き周面発光型導光棒を構成している。
【0023】
[2]使用形態について
また上記導線付き周面発光型導光棒に関しては、図3に示すように、導光棒本体1の両端にLED等の光源L・Lを配置することで線状発光器具Eとして使用できる。そして、この線状発光器具Eの組立て時において、導線2を導光棒本体1に一体化したことで、光源Lに対する配線作業を容易に行うことができる。これは特にジョイント部材Jを介して複数本の導光棒1・1が連結された線状発光器具Eの組立て時に都合が良い。
【0024】
[3]コア層の材質について
次に上記導光棒本体1の各層の材質について説明する。まず上記コア層11の材料に関しては、本実施例では成形温度が190〜230℃のポリメタクリル酸メチル(PMMA)を使用しているが、所定の成形条件を満たし、かつ、空気よりも屈折率が大きい透明な熱可塑性樹脂から任意に選択できる。またコア層1の材料としては、屈折率が1.35〜1.60の硬質または軟質のアクリル系樹脂を使用することが好ましいが、成形条件が合えば、それ以外の樹脂、例えばポリカーボネート樹脂等を採用することもできる。
【0025】
ちなみに、屈折率が135〜1.60のアクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n−ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸t−ブチル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。またコア層1の材料選択時には、クラッド層2との屈折率差が0.01〜0.15となるように選択を行うのが好ましい。
【0026】
[4]クラッド層の材質について
また上記クラッド層2の材料に関しては、所定の成形条件を満たし、かつ、屈折率がコア層1よりも小さく空気よりも大きい半透明の熱可塑性樹脂から選択することができ、本実施例では、成形温度が220〜300℃のETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体)に、光拡散材料として酸化チタン粉末(白色顔料)を添加したものを使用している。なおクラッド層2の材料としては、屈折率が1.30〜1.45のフッ素系樹脂が好ましく、このようなフッ素系樹脂としてはETFEの他、EFEP(ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)も好適に使用できる。また成形条件が合えば、他のフッ素系樹脂やフッ素系以外の樹脂も使用できる。
【0027】
そしてまた、上記クラッド層2に添加する二酸化チタンやシリカ等の光拡散材料についても、クラッド層2の全光線透過率が60%以上、ヘイズ値が20%〜90%となる範囲で、添加量を任意に変更することができ、また添加する光散乱粒子の種類に関しても、二酸化チタンやシリカ以外の金属粒子や非金属の無機粒子を選択することができる。
【0028】
[5]導光部と異型凸部について
また本実施例では、図2(b)に示すように、上記導光棒本体1に、コア層11とクラッド層12から成る断面形状が扇形の導光部Gを設けると共に、この導光部Gの平面部S側に、コア層11から成り、かつ、導光棒本体1の長さ方向に延びる断面T型の異型凸部Pを突成している。これにより導光棒本体1の両側に収納溝部13・13を形成することができるため、図2(a)に示すようにプラスとマイナスの導線2・2を別個に収納できる。
【0029】
また上記導光部Gの断面形状に関しては、曲面状の可視発光面Aとその裏側の平面部Sとを有する扇型、半円形または半楕円形とすることが好ましいが、円形型や楕円形型、台形型、多角形型とすることもできる。なお導光部Gのクラッド層11については、少なくともコア層11上の可視発光面Aとなる部分に形成しておく必要がある。またクラッド層11は単層である必要はなく複数層形成することもできる。
【0030】
[6]収納溝部について
また上記導光棒本体1の収納溝部13に関しては、本実施例では、図2(a)(b)に示すように、収納溝部13を開口部から底面に向けて溝幅が徐々に狭くなる形状とすることで、収納溝部13内に導線2を圧入して簡単に固定できるようにしている。また本実施例では、導光部位Gの断面形状を中心角180°未満の扇形として傾斜面を形成しているが、異型凸部P側に傾斜面を形成することもできる。
【0031】
また本実施例では、上記導光棒本体1の収納溝部13の深さDを導線2の直径よりも大きくすることで、可視発光面Aの裏側に隠れるように導線2を収納溝部13内に固定している。そして更に本実施例では、上記導光部Gにおいて、収納溝部13の内壁を構成する平面部Sにもクラッド層12を形成することで、可視発光面Aと収納溝部13内の導線2との間にクラッド層12を二層介在させて導線2がより見え難くなるようにしている。
【0032】
[7]導線について
また上記導線2に関しては、本実施例では、表面が白色の被覆材で覆われたものを使用することにより、導光棒本体1の収納溝部13内に固定された導線2が目立たないようにしている。また導線2の被覆材に、弾性変形し易い軟質樹脂やエラストマー材料を使用すれば、導光棒本体1の収納溝部13内に圧入し易くなる。
【0033】
「導線付き周面発光型導光棒の製造方法」
次に上記導線付き周面発光型導光棒の製造方法について説明する。まず導光棒本体1については、コア層11とクラッド層12を共押出成形することにより、両層を一体化した状態で連続的に製造する。なおこの際用いられる押出成形機の金型形状によって、導光棒本体1の導光部Gや異型凸部P、収納溝部13の断面形状が決定される。その後、成形された導光棒本体1の収納溝部13内に導線2を挿入して固定する。
【0034】
『実施例2』
「光反射層を有する導光棒本体について」
次に本発明の実施例2について、図5(a)(b)に基いて以下に説明する。この実施例2では、導光棒本体1の可視発光面A以外の部分に、クラッド層12よりも透明度が低い光反射層14を形成している。具体的には、導光棒本体1に、コア層11とクラッド層12とから成る断面半円型の導光部Gを設けると共に、この導光部Gの平面部Sに、光反射層14から成る断面L型の異型凸部P・Pを二つ設けて、その内側に収納溝部13・13を形成している。
【0035】
そしてこれにより、導光棒本体1の収納溝部13・13の内側に導線2・2を固定して、可視発光面Aの裏側に隠れるように導線2・2を配置することができる。また本実施例においても、図5(b)に示すように、収納溝部13の内壁を構成する導光部Gの平面部Sにクラッド層12を形成しているため、可視発光面Aと収納溝部13内の導線2との間にクラッド層12が二層介在して導線2がより見え難くなっている。
【0036】
なお上記光反射層14の材料に関しては、所定の成形条件を満たし、かつ、材質や厚みによりクラッド層12よりも透明度が低くなる熱可塑性樹脂を使用することができ、本実施例では、クラッド層で用いた樹脂と同じ成形温度が220〜300℃のETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体)を白色に着色したものを使用している。なお光反射層3の材料としては、成形条件が合えば、フッ素系以外のポリアミド系樹脂等も使用できる。また本実施例の導光棒本体1については、コア層11、クラッド層12及び光反射層13を共押出成形することによって一体化された状態で連続的に製造できる。
【0037】
「収納溝部の変更例について」
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、図5(a)に示すように、上記導光棒本体1の異型凸部Pについては、断面L型の形状として収納溝部13を一つとすることもでき、その場合には、一つの収納溝部13に圧入して固定できるようにプラスマイナスの各線が一体化された導線2を好適に使用できる。
【0038】
また上記導光棒本体1の収納溝部13については、光反射層14とクラッド層12の間でなくとも、図5(b)に示すように、可視発光面Aの裏側において光反射層14の一部に形成することもでき、また光反射層14とコア層11の間に形成することもでき(図示せず)、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の導線付き周面発光型導光棒の用途としては、豪華客船やイベント、オブジェのデコレーション等に用いられる大型の線状発光器具の他、インテリアや車内装飾、警告装置や案内装置等に用いられる比較的小型の線状発光器具に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 導光棒本体
11 コア層
12 クラッド層
13 収納溝部
14 光反射層
2 導線
A 可視発光面
G 導光部
P 異型凸部
S 平面部
E 線状発光器具
L 光源
J ジョイント部材
D 収納溝部の深さ
図1
図2
図3
図4
図5