(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アングル付きの窓枠用と、アングル無しの窓枠用とで、異なる種類の窓額縁を用意することは、窓額縁の種類が増えてしまうという課題がある。
本発明の目的は、アングル付きの窓枠用と、アングル無しの窓枠用とで兼用できる窓額縁と、この窓額縁を用いた建具とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、建物の開口に取り付けられる窓枠の室内側に設けられる窓額縁であって、前記窓枠がアングル付きの場合に、前記アングルからねじ込まれるねじを受ける被ねじ打ち部と、前記窓枠がアングル無しの場合に、前記窓額縁が取り付けられる被取付部にねじ込まれるねじの頭部が係止される係止部とを備え、前記被ねじ打ち部は、前記窓枠の見込み方向に沿って配置され、前記係止部は、前記窓額縁の表面に開口する溝を区画する溝形成部の底面で構成され、前記溝形成部は、前記溝の開口を塞ぐカバー部材が取り付け可能に構成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の窓額縁によれば、アングル付きの窓枠に取り付ける場合には、アングルの外周側に窓額縁を配置し、アングルを介して被ねじ打ち部に、ねじをねじ込むことで窓額縁を取り付けることができる。
一方で、アングル無しの窓枠に取り付ける場合には、窓額縁の溝形成部で区画形成される溝から係止部を介して、窓枠や躯体などの被取付部に、ねじをねじ込むことで窓額縁を取り付けることができる。
したがって、本発明の窓額縁は、アングルにねじ止めするための被ねじ打ち部と、アングル以外の被取付部にねじ止めするための係止部とを有するため、アングル付き窓枠用の窓額縁と、アングル無し窓枠用の窓額縁として兼用できる。したがって、窓額縁の種類を少なくでき、製造コストや管理コストを低減できる。
さらに、窓額縁を、アングル無しの窓枠に取り付ける場合には、溝形成部の底面である係止部に、ねじの頭部を係止し、溝形成部にはカバー部材を取り付けることができるため、ねじが額縁の表面に露出することを防止でき、窓額縁の意匠性を向上できる。
【0007】
本発明の窓額縁において、前記窓枠の見込み方向に沿って設けられる見込み片部と、前記見込み片部の室外側端部から前記窓枠の見付け方向内周側に延出される室外内周片部と、前記見込み片部の室内側端部から前記窓枠の見付け方向内周側に延出される室内内周片部と、前記室内内周片部に連続して形成される額縁本体部とを備え、前記室外内周片部および前記室内内周片部の先端部には互いに近接する方向に突出する突部が形成され、前記溝形成部は、前記室外内周片部と、前記室内内周片部と、前記見込み片部とで構成され、前記被ねじ打ち部および前記係止部は、前記見込み片部で構成されることが好ましい。
【0008】
本発明によれば、被ねじ打ち部および係止部を見込み片部で兼用しているので、被ねじ打ち部および係止部を別々に設ける場合に比べて窓額縁をコンパクトに形成することができる。
また、額縁本体部にねじ固定用の構成を設ける必要が無いため、額縁本体部は意匠性を重視して形成することができ、窓額縁のデザイン性を向上できる。
さらに、被ねじ打ち部および係止部のいずれの場合も、見込み片部に対してねじを窓枠内周側から見付け方向にねじ込むため、同様の作業で窓額縁を取り付けることができ、作業性を向上できる。
【0009】
本発明の窓額縁において、前記見込み片部の室外側端部から前記窓枠の見付け方向外周側に延出された室外外周片部と、前記見込み片部の室内側端部から前記窓枠の見付け方向外周側に延出された室内外周片部とを備え、前記額縁本体部は、前記室内外周片部から室内側に延出された延出部と、前記室内内周片部および前記延出部間に設けられた表面部と、前記延出部から窓枠の見付け方向外周側に延出されたヒレ部とを備えることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、見込み片部と、室外外周片部と、室内外周片部とで区画される溝が、見込み片部の外周側に形成される。このため、見込み片部を被ねじ打ち部として用いた場合に、見込み片部から突出するねじ先端部が前記溝内に納まるように、ねじの長さ寸法を設定することもできる。この場合、ねじの先端が窓額縁から突出しないため、窓額縁の外周側に配置される部材(窓枠のヒレや躯体)を窓額縁と近接して配置でき、窓額縁の納まりの自由度が向上する。
また、額縁本体部は、前記室内内周片部および前記延出部間に設けられる表面部を備えるため、表面部を、交差配置される2つの板部で構成したり、円弧状の板部で構成することなどで、窓額縁の外観を設定でき、意匠性を向上できる。
さらに、額縁本体部の延出部から延出されたヒレ部を備えているので、窓額縁の外周側に配置される建物躯体と、延出部との間をヒレ部で被覆でき、この点でも意匠性を向上できる。
【0011】
本発明の窓額縁において、前記窓枠の見付け方向に沿って形成された見付け片部と、前記見付け片部の外周側端部から前記窓枠の見込み方向室外側に延出された外周室外片部と、前記見付け片部の内周側端部から前記窓枠の見込み方向室外側に延出された内周室外片部と、前記見付け片部の外周側端部から前記窓枠の見込み方向室内側に延出された外周室内片部と、前記見付け片部の内周側端部から前記窓枠の見込み方向室内側に延出された内周室内片部と、前記外周室内片部に連続して形成された額縁本体部とを備え、前記外周室内片部および前記内周室内片部の先端部には互いに近接する方向に突出する突部が形成され、前記溝形成部は、前記外周室内片部と、前記内周室内片部と、前記見付け片部とで構成され、前記被ねじ打ち部は、前記外周室外片部で構成され、前記係止部は、前記見付け片部で構成されることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、被ねじ打ち部を外周室外片部で構成し、係止部を見付け片部で構成している。このため、アングル無し窓枠に対しては、ねじを見込み方向からねじ込むことができ、窓額縁の外周側に配置される窓枠のヒレや躯体などと離れた位置に窓額縁を取り付けることもでき、窓額縁の納まりの自由度を向上できる。
さらに、被ねじ打ち部である外周室外片部を、アングルに当接させた状態でねじ打ちすることができる。このため、アングルから被ねじ打ち部である外周室外片部にねじをねじ込む際に、ねじ締め力を容易に調整できる。
【0013】
本発明の窓額縁において、前記額縁本体部は、前記外周室内片部から窓枠の見付け方向外周側に延出されたヒレ部を備えることが好ましい。
本発明によれば、外周室内片部から延出されたヒレ部を備えているので、外周室内片部と窓額縁の外周側に配置される建物躯体との間をヒレ部で被覆でき、意匠性を向上できる。
【0014】
本発明の窓額縁において、前記ヒレ部の室外面には、前記窓額縁の長手方向に連続し、かつ、見付け方向に一定間隔で形成された複数の溝が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、ヒレ部を前記溝部分で切断して、ヒレ部の延出寸法を調整することができる。このため、窓枠の上枠、下枠、左右の縦枠などで、窓額縁の外周側に配置される建物躯体と、窓額縁との間隔が異なる場合に、ヒレ部を溝部分で切断してその延出寸法を調整でき、窓額縁を確実に取り付けることができる。
【0015】
本発明の窓額縁において、前記溝形成部に取り付けられるカバー部材を備えることが好ましい。
本発明によれば、溝形成部で形成される溝をカバー部材で塞ぐことができ、溝や溝内のねじが窓額縁の表面に露出しないので、意匠性を向上できる。
【0016】
本発明の建具は、上下の横枠と、左右の縦枠とで構成される建具枠と、前記建具枠の室内側に取り付けられる前記窓額縁と、前記横枠に取り付けられた前記窓額縁、および、前記縦枠に取り付けられた前記窓額縁の間に設けられる額縁連結カバーとを備えた建具であって、前記額縁連結カバーは、前記縦枠に取り付けられる窓額縁の見込み面の上下方向の端縁を覆う縦ヒレ部と、前記横枠に取り付けられる窓額縁の見込み面の左右方向の端縁を覆う横ヒレ部とを備え、前記縦ヒレ部は、前記縦枠がアングル付きの場合に切断除去される切断除去部を備え、前記横ヒレ部は、前記横枠がアングル付きの場合に切断除去される切断除去部を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、アングル付きの建具枠と、アングル無しの建具枠とで窓額縁を兼用できるため、窓額縁の種類を少なくできる。
また、額縁連結カバーの縦ヒレ部および横ヒレ部に切断除去可能な切断除去部を設けたので、アングル付きの建具枠と、アングル無しの建具枠とで、額縁連結カバーも兼用できる。したがって、窓額縁および額縁連結カバーの種類を少なくできて、製造コストや管理コストを低減できる。
【0018】
本発明の建具において、前記横枠は、上枠および下枠を備え、前記上枠と、左右の縦枠とは、アングル付きの枠で構成され、前記下枠は、アングル無しの枠で構成され、前記上枠に取り付けられる窓額縁と、前記縦枠に取り付けられる窓額縁との接合部には、前記縦ヒレ部および前記横ヒレ部の切断除去部が切断除去された額縁連結カバーが設けられ、前記下枠に取り付けられる窓額縁と、前記縦枠に取り付けられる窓額縁との接合部には、前記縦ヒレ部の切断除去部が切断除去され、前記横ヒレ部の切断除去部は残された額縁連結カバーが設けられていることが好ましい。
【0019】
額縁連結カバーは、縦ヒレ部および横ヒレ部に、それぞれ切断除去部を設けたので、上枠および左右の縦枠の三方の枠がアングル付きの枠であり、下枠がアングル無しの枠で構成された場合に、アングルと干渉する部分の切断除去部のみを切断して除去し、干渉しない部分の切断除去部は切断せずに残しておくことができる。したがって、上下および左右の枠に、アングル付きの枠およびアングル無しの枠が混在している場合でも、同一の額縁連結カバーを設けることができる。さらに、アングル付きの下枠を用いた場合、下枠の納まりによって下枠が設置される床材等と下枠のアングルとの間隔が変動し、下枠に窓額縁を取り付けることができないおそれがあるが、本発明ではアングル無しの下枠を用いているので、下枠の納まりに影響されずに窓額縁を取り付けることができる。
【0020】
本発明の建具において、前記縦ヒレ部および前記横ヒレ部には、前記切断除去部の切断箇所の見込み方向の位置を示す切断マークが設けられていることが好ましい。
ここで、切断マークとしては、各ヒレ部に溝を形成して構成してもよいし、ヒレ部にマークを印刷してもよいし、マークが印刷されたシールを貼ってもよく、作業者が切断位置を認識できるものであればよい。
本発明によれば、切断マークに基づいて、各ヒレ部を切断することで、切断除去部を容易に切断して除去でき、現場作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アングル付きの窓枠用と、アングル無しの窓枠用とで兼用できる窓額縁と、この窓額縁を用いた建具とを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、各図においては、図面を見やすくするために、主要部材の断面部分のハッチングを省略することがある。
【0024】
[第1実施形態]
第1実施形態の窓額縁20は、
図1、2に示すようなアングル付きの窓枠2A用の窓額縁と、
図5に示すようなアングル無しの窓枠2B用の窓額縁とに兼用できるものである。
【0025】
[アングル付き窓枠の構成]
アングル付きの窓枠2Aは、引違い窓1の建具枠として用いられている。
図1,2では、窓枠2Aは、既設の窓枠100および窓枠100の室内側に設けられた木額縁110やスペーサ材120の内側に設けられる改装用の建具である。この改装用の建具を既設の窓枠100等に取り付ける構造は、周知技術であるため、説明を省略する。
【0026】
引違い窓1は、建具枠である窓枠2Aと、図示しない内外の障子とを備えて構成されている。
以下の説明においては、躯体に取り付けられた窓枠2Aを室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、室内外方向を見込み方向として示す。また、窓枠2Aの各枠の見付け方向(上下枠では上下方向、左右の縦枠では左右方向)において、引違い窓1の中心に向かう方向を見付け方向内周側、中心から離れる方向を見付け方向外周側とする。
【0027】
窓枠2Aは、上枠11、下枠12および左右の縦枠13,14を備えて構成される。本実施形態の上枠11、下枠12、縦枠13,14は、同一断面形状の合成樹脂製の枠材であり、それぞれ室内側に突出するアングル15が一体に形成されている。
なお、前記見付け方向内周側は上枠11では下方、下枠12では上方、縦枠13,14では、左右方向のうち他の縦枠に向かう方向である。また、前記見付け方向外周側は、上枠11では上方、下枠12では下方、縦枠13,14では、左右方向のうち、他の縦枠から離れる方向である。
また、窓枠2Aの上枠11、下枠12、縦枠13、14の室内側は、取付金具130を介して木額縁110やスペーサ材120に固定されている。
【0028】
[アングル無し窓枠の構成]
一方、アングル無しの窓枠2Bは、図示は省略するが、例えば、外開き窓などの建具枠として用いられ、
図5に示すように、アングルが設けられていない窓枠2Bである。
【0029】
[窓額縁]
窓枠2A、2Bの室内側には、第1実施形態の窓額縁20が配置されている。以下、窓額縁20の具体的な構成を、主に
図3,5を参照して説明する。
窓枠2Aの上枠11、下枠12、縦枠13,14の屋内側にそれぞれ配置される窓額縁20は、同一断面形状の樹脂製の押出成形品である。ただし、各窓額縁20のヒレ部265の延出寸法は、木額縁110までの距離に応じてヒレ部265を切断することで調整されている。
【0030】
窓額縁20は、見込み片部21と、室外内周片部22と、室内内周片部23と、室外外周片部24と、室内外周片部25と、額縁本体部26とを備えている。
見込み片部21は、窓枠2Aの見込み方向に沿って設けられる板状部である。
【0031】
室外内周片部22は、見込み片部21の室外側端部から窓枠2Aの見付け方向内周側(対向する枠材側)に延出されている。なお、本実施形態の室外内周片部22は、見込み片部21に連続する基端部221と、基端部221から斜め外側に延出された傾斜部222と、傾斜部222から見付け方向内周側に延出された先端部223とを備えている。先端部223の先端には、室内側に突出された突部224が設けられている。
【0032】
室内内周片部23は、見込み片部21の室内側端部から窓枠2Aの見付け方向内周側に延出されている。室内内周片部23の先端には、室外側つまり前記突部224側に突出された突部231が設けられている。
したがって、見込み片部21、室外内周片部22、室内内周片部23によって、窓額縁20の内周側の表面に開口する溝27を、区画形成する溝形成部が構成される。見込み片部21は溝形成部の底面となる。
【0033】
見込み片部21において、前記溝27側の面には、
図4にも示すように、窓額縁20の長手方向に沿って連続する溝211が形成されている。溝211は、後述するように、皿ねじ5やタッピングねじ6をねじ込む場合の位置決めとして利用できる。
窓額縁20では、前記見込み片部21が被ねじ打ち部および係止部として兼用される。すなわち、アングル15から見込み片部21に皿ねじ5をねじ込んだ場合、見込み片部21は被ねじ打ち部として利用される。
また、見込み片部21にタッピングねじ6をねじ込み、タッピングねじ6の頭部を見込み片部21に係止した場合、見込み片部21は係止部として利用される。
【0034】
室外外周片部24は、見込み片部21の室外側端部から窓枠2Aの見付け方向外周側つまり室外内周片部22の延出方向とは反対側に延出されている。
室内外周片部25は、見込み片部21の室内側端部から窓枠2Aの見付け方向外周側つまり室内内周片部23の延出方向とは反対側に延出されている。室内外周片部25の先端には、室外側つまり前記室外外周片部24側に突出された突部251が設けられている。
【0035】
ここで、見込み片部21から室外内周片部22および室内内周片部23の先端までの見付け寸法は同一とされ、各突部224、231の表面の見付け方向の位置は揃っている。
また、見込み片部21から室外外周片部24および室内外周片部25の先端までの見付け寸法は同一とされ、室外外周片部24の先端と突部251の表面の見付け方向の位置は揃っている。
さらに、本実施形態では、見込み片部21から室外内周片部22および室内内周片部23の先端までの見付け寸法は、見込み片部21から室外外周片部24および室内外周片部25の先端までの見付け寸法よりも長くされている。
このため、見込み片部21、室外内周片部22、室内内周片部23で区画される溝27の深さ(見付け寸法)は、見込み片部21、室外外周片部24、室内外周片部25で区画される溝28の深さ(見付け寸法)よりも大きくされ、本実施形態では、約2:1の寸法比とされている。
【0036】
溝27の開口の見込み方向の幅寸法、つまり突部224、231間の寸法は、後述するタッピングねじ6の頭部の直径よりも大きくされ、タッピングねじ6を、溝27内の見込み片部21にねじ込み可能に構成されている。
【0037】
額縁本体部26は、室内外周片部25の先端部から室内側に延出された延出部261と、室内内周片部23の先端部および延出部261の室内端部間に設けられた表面部262と、延出部261の室内側端部から見付け方向外周側に延出されたヒレ部265とを備えて構成されている。
表面部262は、室内内周片部23の先端部から見込み方向室内側に延出された内面部263と、内面部263の室内側端部から延出部261の室内側端部まで見付け方向に沿って延出された室内面部264とで構成されている。内面部263および室内面部264は互いに直交配置されている。このため、窓額縁20では、室内内周片部23、室内外周片部25、延出部261、表面部262(内面部263、室内面部264)で、断面矩形状の中空部が形成されている。
【0038】
なお、窓額縁20の表面部262は、室内内周片部23および延出部261を直線的に結ぶ板状部材で構成してもよい。この場合、室内内周片部23、室内外周片部25、延出部261、表面部262で、断面直角三角形状の中空部が形成される。
また、窓額縁20の表面部262は、円弧状に湾曲された部材で構成してもよい。この場合、室内内周片部23、室内外周片部25、延出部261、表面部262で、断面扇形の中空部が形成される。
【0039】
室内面部264およびヒレ部265は、見付け方向に連続して形成され、その室内面(表面)は同一平面とされている。
ヒレ部265の室外面には、見付け方向に一定間隔で形成された溝266が形成されている。この溝266は、ヒレ部265の長手方向に連続して形成されており、各溝266の位置でヒレ部265を切断してヒレ部265の延出寸法(見付け寸法)を設定できるように構成されている。
例えば、
図1において、上枠11に取り付けられる窓額縁20や、縦枠13,14に取り付けられる窓額縁20に比べて、下枠12に取り付けられる窓額縁20は、下枠12のアングル15から木額縁110まで高さ寸法に合わせて、ヒレ部265の延出寸法が短く設定されている。
【0040】
[窓額縁のアングル付き窓枠への取付構造]
本実施形態の窓枠2Aは、
図1〜3に示すように、アングル15付きであり、窓額縁20はアングル15にねじ止めされている。
すなわち、窓額縁20は、窓枠2A(上枠11、下枠12、縦枠13、14)の各アングル15の外周側に配置されている。この際、アングル15の室内側端部の外周面には突部151が形成されており、窓額縁20の突部231の表面が当接している。
また、窓額縁20の室外内周片部22の先端部223の室外面は、窓枠2Aの室内面に当接している。
そして、アングル15には、アングル15の長手方向に沿って複数の皿穴152が加工され、各皿穴152にはそれぞれ皿ねじ5が挿入されている。そして、各皿ねじ5は、窓額縁20の見込み片部21にねじ込まれている。この際、皿ねじ5の先端を、見込み片部21の溝211に合わせてねじ込むことで、皿ねじ5を適切な位置にスムーズにねじ込むことができる。これにより、窓額縁20はアングル15の外周側に固定されている。
【0041】
なお、本実施形態では、縦枠13、14に取り付けられた窓額縁20の上下端部間に、上枠11、下枠12に取り付けられた窓額縁20が配置される。そして、各窓額縁20の接続部分を被覆するため、
図4に示す額縁連結カバー30が取り付けられている。
【0042】
[窓額縁のアングル無し窓枠への取付構造]
次に、窓額縁20をアングル無しの窓枠2Bに取り付けた状態を、
図5を参照して説明する。なお、窓枠2Bの上枠、下枠、左右の縦枠に対する窓額縁20の取付構造は基本的に同じであるため、
図5では一方の縦枠14Bへの取付構造を拡大して説明する。
【0043】
窓枠2Bの各枠にはヒレ16が形成され、窓額縁20は、窓枠2Bのヒレ16の内周側に配置されている。そして、タッピングねじ6を窓額縁20の溝27から挿入し、その先端を見込み片部21の溝211に合わせた状態で、タッピングねじ6を見込み片部21にねじ込む。さらに、タッピングねじ6を、窓枠2Bの被取付部であるヒレ16にねじ込んでいる。このため、タッピングねじ6の頭部は、係止部である見込み片部21に係止される。
【0044】
前記溝27には、
図5,6に示すように、カバー部材60が取り付けられている。カバー部材60は、溝27の開口を塞ぐ被覆部61と、被覆部61の室外側端縁および室内側端縁からそれぞれ見込み片部21側に向かって延出された2本の脚部62とによって、断面略コ字状に形成されている。このカバー部材60は、各窓額縁20の長手方向に沿った長尺部材であり、窓額縁20の内周面に露出する溝27の全長を塞いでいる。
【0045】
カバー部材60の被覆部61と、各脚部62とが連結される角部には、段差部が形成され、被覆部61と各脚部62とは弾性変形可能に連結されている。2本の脚部62は、被覆部61から離れるにしたがって互いに近づく方向に傾斜され、さらに、延出方向の途中で反対側に折曲されて、各脚部62の先端側が互いに離れる方向に傾斜されている。
各脚部62の先端部間の寸法は、溝27の開口幅寸法(突部224および突部231間の寸法)よりも小さい寸法とされている。
【0046】
カバー部材60の各脚部62を、溝27の開口内に挿入してカバー部材60を押し込むと、各脚部62は、折曲部から被覆部61までの部分で突部224、231に当接する。このため、各脚部62は、互いに近づく方向に折曲される。各脚部62が突部224、231を超えて溝27内に入ると、各脚部62の先端が見込み片部21に当接して互いに離れる方向に戻り、前記段差部が前記突部224、231に係合する。なお、カバー部材60を更に溝27に押し込もうとしても、各脚部62が見込み片部21に当接しているため、カバー部材60の見込み片部21側への押し込みが規制される。
そして、カバー部材60の被覆部61は、突部224、231や、内面部263と同一平面に配置される。したがって、カバー部材60は、窓額縁20に対して段差無く配置される。
【0047】
窓枠2Bに取り付けられる窓額縁20においても、ヒレ部265は、木額縁110等の躯体側の部材までの寸法に応じた長さで切断されている。
【0048】
[第1実施形態の効果]
以上のような窓額縁20は、アングル15が設けられた窓枠2Aに対しては、アングル15の皿穴152に差し込まれた皿ねじ5を、被ねじ打ち部である見込み片部21にねじ込むことで固定できる。また、窓額縁20は、アングル無しの窓枠2Bに対して、タッピングねじ6を係止部である見込み片部21から窓枠2Bのヒレ16にねじ込むことで固定できる。
すなわち、同一断面形状の窓額縁20を、アングル付きの窓枠2Aと、アングル無しの窓枠2Bの各窓額縁として兼用できるため、各窓枠2A,2B用にそれぞれ異なる窓額縁を用意する場合に比べて、窓額縁20の種類を1種類にできて、部品の製造コストや管理コストを低減できる。
【0049】
窓枠2Aに窓額縁20を取り付けた場合には、溝27の開口はアングル15で被覆できるため、窓額縁20の意匠性が低下することを防止できる。
窓枠2Bに窓額縁20を取り付けた場合には、溝27にカバー部材60を取り付けて被覆できるため、窓額縁20の意匠性が低下することを防止できる。さらに、カバー部材60の被覆部61を、窓額縁20の内面部263等と同一平面に配置できるため、窓額縁20の内周面に凹凸が形成されることもなく、この点でも意匠性を向上できる。
【0050】
窓額縁20の室外内周片部22の先端部223は、室外外周片部24よりも室外側に配置されているため、先端部223が窓枠2Aに当接した際に、室外外周片部24は窓枠2Aから離して配置できる。このため、前記取付金具130が窓額縁20と干渉することを防止できる。
【0051】
窓額縁20の溝27の開口幅寸法、つまり突部224および突部231間の見込み方向に沿った寸法は、前記アングル15の見込み寸法よりも小さいため、窓額縁20の先端部223から突部231までの寸法をアングル15の見込み寸法よりも小さくできる。
このため、アングル15を窓額縁20の突部224および突部231間に確実に掛け渡すことができ、溝27の開口をアングル15で確実に覆うことができ、アングル15から皿ねじ5を見込み片部21にねじ込んだ際に、アングル15および窓額縁20を安定して確実に固定することができる。
【0052】
窓額縁20は、窓枠2Aに取り付ける場合と、窓枠2Bに取り付ける場合とで、皿ねじ5およびタッピングねじ6の窓額縁20に対するねじ込み方向が同じであるため、窓枠2Aおよび窓枠2Bでほぼ同じ作業で取り付けることができ、取付作業性を向上できる。
【0053】
額縁本体部26は、見込み片部21とは別に設けられるので、額縁本体部26の表面部262の形状などは自由に設定でき、窓額縁の外観意匠を向上できる。
額縁本体部26のヒレ部265は、溝266部分で容易に切断でき、延出部261と建物躯体との隙間寸法に応じて、ヒレ部265の延出寸法を調整できるので、窓枠2A、2Bが固定される取付金具130やスペーサ材120等をヒレ部265で被覆でき、意匠性を向上できる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の窓額縁40について、
図7〜9に基づいて説明する。
なお、第2実施形態の窓額縁40は、窓額縁20と構造が異なるが、窓額縁20と同様に、アングル15付きの窓枠2Aの窓額縁と、アングル無しの窓枠2Bの窓額縁として兼用されるものである。
【0055】
窓額縁40は、見付け片部41と、外周室外片部42と、内周室外片部43と、外周室内片部44と、内周室内片部45と、ヒレ部465とを備えている。
見付け片部41は、窓枠2Aの見付け方向に沿って形成される板状部であり、係止部として機能する。見付け片部41の室内側の面には、その長手方向に沿って連続する溝411が形成されている。
【0056】
外周室外片部42は、見付け片部41の外周側端部から窓枠2Aの見込み方向室外側に延出されている。外周室外片部42の先端(室外側端部)は、前記取付金具130と干渉しないように傾斜面が形成されている。
【0057】
内周室外片部43は、見付け片部41の内周側端部から窓枠2Aの見込み方向室外側に延出されている。内周室外片部43の先端には、外周側つまり前記外周室外片部42の先端側に突出された突出部431が設けられている。この内周室外片部43は、後述する皿ねじ5がねじ込まれるため、被ねじ打ち部として利用される。
【0058】
外周室内片部44は、見付け片部41の外周側端部から窓枠2Aの見込み方向室内側に延出されている。外周室内片部44の室内側端部には、内周側に突出された突部441が形成されている。また、外周室内片部44において、突部441と見付け片部41との間には、内周側に突出された突部442が形成されている。
【0059】
内周室内片部45は、見付け片部41の内周側端部から窓枠2Aの見込み方向室内側に延出されている。内周室内片部45の室内側端部には、外周側つまり突部441側に突出された突部451が形成されている。また、内周室内片部45において、突部451と見付け片部41との間には、外周側つまり突部442側に突出された突部452が形成されている。
【0060】
見付け片部41、外周室内片部44、内周室内片部45によって、窓額縁40の室内面に開口する溝47を区画する溝形成部が構成され、見付け片部41は溝形成部の底面となる。
突部441および突部451は対向して互いに近接するように形成され、突部442および突部452も対向して互いに近接するように形成されている。突部442および突部452の突出寸法は、突部441および突部451の突出寸法よりも大きく設定されている。
そして、溝47の開口の見付け方向の幅寸法、つまり突部441、451間の寸法は、溝47の中間部分の見付け方向の幅寸法、つまり突部442、452間の寸法よりも大きくされている。また、突部442、452間の寸法は、後述するタッピングねじ6の頭部の直径よりも大きくされ、タッピングねじ6を見付け片部41にねじ込んだ際に、タッピングねじ6の頭部を見付け片部41部分までねじ込むことができるように構成されている。
【0061】
ヒレ部465は、外周室内片部44の先端部から外周側に延出され、窓額縁40の額縁本体部は、ヒレ部465で構成されている。このため、突部451およびヒレ部465は、見付け方向に連続して形成され、突部441、451、ヒレ部465の室内面(表面)は同一平面とされている。
ヒレ部465の室外面には、ヒレ部265と同様に、見付け方向に一定間隔で形成された溝466が形成されている。この溝466は、ヒレ部465の長手方向に連続して形成されており、各溝466の位置でヒレ部465を切断してヒレ部465の突出寸法(見付け寸法)を設定できるように構成されている。
【0062】
[窓額縁のアングル付き窓枠への取付構造]
アングル15付きの窓枠2Aに窓額縁40を取り付ける場合、
図7に示すように、窓額縁40は、窓枠2A(上枠11、下枠12、縦枠13、14)の各アングル15の外周側に配置されている。この際、アングル15の室内側端部の外周面には突部151が形成されており、窓額縁40の内周室外片部43の表面が当接している。
また、窓額縁40の内周室外片部43の突出部431の室外面は、窓枠2Aの室内面に当接している。
そして、アングル15には、アングル15の長手方向に沿って複数の皿穴152が加工され、各皿穴152にはそれぞれ皿ねじ5が挿入されている。そして、各皿ねじ5は、窓額縁40の内周室外片部43にねじ込まれている。これにより、窓額縁40はアングル15の外周側に固定されている。なお、皿ねじ5の長さ寸法が大きい場合には、外周室外片部42に皿ねじ5の先端がねじ込まれる場合もある。
【0063】
[窓額縁のアングル無し窓枠への取付構造]
次に、窓額縁40をアングル無しの窓枠2Bに取り付けた状態を、
図8を参照して説明する。
窓額縁40は、窓枠2Bのヒレ16の内周側に配置され、溝47から見付け片部41にタッピングねじ6をねじ込み、さらにタッピングねじ6を、被取付部である窓枠2Bに見込み方向からねじ込み、タッピングねじ6の頭部を見付け片部41に係止している。この際、タッピングねじ6の先端を、見付け片部41の溝411に合わせてねじ込むことで、タッピングねじ6を正しい位置でねじ込むことができる。
【0064】
[窓額縁へのカバー部材の取付]
窓額縁40は、窓枠2Aおよび窓枠2Bのいずれに取り付けられる場合でも、溝47の開口を塞ぐカバー部材60が取り付けられている。カバー部材60の構成は第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。このカバー部材60も、各窓額縁40の長手方向に沿った長尺部材であり、窓額縁40の室内面に露出する溝47の全長を塞いでいる。
【0065】
カバー部材60は、段差部が突部441、442に係合し、各脚部62の先端側が突部442、452に当接して取り付けられ、カバー部材60の被覆部61は、突部441、451や、ヒレ部465と同一平面に配置される。このカバー部材60の取付手順や取付構造も第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
窓枠2A,2Bに取り付けられる窓額縁40においても、ヒレ部465は、木額縁110等の躯体側の部材までの寸法に応じた長さで切断されている。
【0066】
なお、第2実施形態においても、
図9に示すように、各窓額縁40の接続部分を被覆するため、額縁連結カバー30が取り付けられている。
【0067】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態の窓額縁40においても、第1実施形態の窓額縁20と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、窓額縁40は、アングル15が設けられた窓枠2Aに対しては、アングル15の皿穴152に差し込まれた皿ねじ5を、被ねじ打ち部である内周室外片部43にねじ込むことで固定できる。また、窓額縁40は、アングル無しの窓枠2Bに対して、タッピングねじ6を、係止部である見付け片部41から窓枠2Bにねじ込むことで固定できる。
すなわち、同一断面形状の窓額縁40を、アングル付きの窓枠2Aと、アングル無しの窓枠2Bの各窓額縁として兼用できるため、各窓枠2A,2B用にそれぞれ異なる窓額縁を用意する場合に比べて、窓額縁40の種類を1種類にできて、部品の製造コストや管理コストを低減できる。
【0068】
窓枠2Aおよび窓枠2Bのいずれに窓額縁40を取り付けた場合でも、溝47にカバー部材60を取り付けて被覆できるため、窓額縁40の意匠性が低下することを防止できる。さらに、カバー部材60の被覆部61を、窓額縁40のヒレ部465等と同一平面に配置できるため、窓額縁40の室内に凹凸が形成されることもなく、この点でも意匠性を向上できる。
【0069】
窓額縁40を窓枠2Bに取り付ける場合、タッピングねじ6を窓枠2Bの見込み方向からねじ込むことができるため、窓枠2Bの室内面に窓額縁40を取り付けることができる。このため、窓額縁40の外周側に配置される窓枠2Bのヒレ16や躯体などと離れた位置に窓額縁40を取り付けることもでき、窓額縁40の納まりの自由度を向上できる。
平板状の内周室外片部43を被ねじ打ち部として利用しているので、アングル15を確実に内周室外片部43に当接させて皿ねじ5で固定できる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について、
図10〜15に基づいて説明する。なお、第3実施形態において、前記各実施形態と同一の構成については同一符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態の建具である外開き窓1Dは、
図10、11に示すように、既設の窓枠100の内側に設けられる改装用の建具であり、建具枠である窓枠2Dと、図示しない障子とを備えて構成されている。なお、窓枠2Dは、外開き窓に限らず、縦すべり出し窓や、勝手口ドアのように、図示略の障子(ドア)が、窓枠(ドア枠)3Dに対して室外側に開く建具に用いられる。
【0071】
窓枠2Dは、上下の横枠である上枠11Dおよび下枠12Dと、左右の縦枠13D、14Dとを備えて構成される。上枠11Dおよび縦枠13D、14Dは室内側に突出するアングル721、741が設けられた枠であり、下枠12Dはアングル無しの枠である。
具体的には、上枠11Dは、
図10に示すように、アルミ形材製の室外部材71と、合成樹脂製の室内部材72とを備えて構成され、室内部材72にはアングル721が形成されている。
縦枠13D、14Dは、
図11に示すように、アルミ形材製の室外部材73と、合成樹脂製の室内部材74とを備えて構成され、室内部材74にはアングル741が形成されている。
下枠12Dは、
図10に示すように、アルミ形材製の室外部材75および室内部材76を、ウレタン樹脂等の断熱材77で連結したアルミ断熱形材で構成されている。下枠12Dの室内部材76には、合成樹脂製のカバー材78が取り付けられている。この下枠12Dには、後述する窓額縁20の上面に重なるアングルは設けられていない。
なお、室内部材72、74、カバー材78の室外面には、障子が当接するタイト材79がそれぞれ取り付けられている。
【0072】
窓枠2Dに取り付けられる窓額縁20は、前記第1実施形態の窓額縁20と同一構造である。以下の説明では、上枠11Dに取り付けられる窓額縁20を上額縁20Bとし、下枠12Dに取り付けられる窓額縁20を下額縁20Cとし、縦枠13D、14Dに取り付けられる窓額縁20を縦額縁20Dとして説明する。
【0073】
[窓額縁の上枠、縦枠への取付構造]
上枠11D、縦枠13D、14Dは、アングル721、741が設けられているため、上額縁20B、縦額縁20Dは、第1実施形態のアングル付きの窓枠2Aの場合と同じ取付構造とされている。すなわち、アングル721、741には複数の皿穴152(
図13参照)が形成され、
図10,11に示すように、皿穴152から上額縁20B、縦額縁20Dの見込み片部21に皿ねじ5がねじ込まれている。
【0074】
下枠12Dは、アングル無しであるため、下額縁20Cは、第1実施形態のアングル無しの窓枠2Bの場合と同じ取付構造とされている。
すなわち、
図10に示すように、下枠12Dの室内部材76にはヒレ766が形成され、ヒレ766の上面には、下額縁20Cの高さ位置を調整するスペーサ81が載置されている。スペーサ81は、ピース状に形成され、ヒレ766の長手方向に沿って間隔を空けて複数個配置されている。スペーサ81の室内側にはスペーサ82が配置されている。スペーサ82は、スペーサ81と同様にピース状に形成され、木額縁110の上面に所定間隔で複数個配置されている。なお、スペーサ81、82は、下枠12Dの長さ寸法に応じた長尺の1つの部材として構成してもよい。なお、窓枠2Dが勝手口ドアのドア枠の場合、下額縁20Cの下側には、木額縁110の代わりに床材(フロア材)が設けられる。
【0075】
下額縁20Cは、スペーサ81、82の上面に配置されている。そして、
図13に示すように、タッピングねじ6を下額縁20Cの溝27から挿入し、ヒレ766にねじ込んでいる。このため、タッピングねじ6の頭部は、係止部である見込み片部21に係止される。
下額縁20Cの溝27には、第1実施形態の
図5と同様に、カバー部材60が取り付けられている。
窓枠2Dに取り付けられる窓額縁20(上額縁20B、下額縁20C、縦額縁20D)の各ヒレ部265は、木額縁110等の躯体側の部材までの寸法に応じた長さに切断されている。
【0076】
[額縁連結カバー]
縦枠13D、14Dに取り付けられる縦額縁20Dと、上枠11D、下枠12Dに取り付けられる上額縁20B、下額縁20Cとの接合部には、
図10、11に示すように、額縁連結カバー30が取り付けられる。
本実施形態の窓枠2Dは、縦枠13D、14Dの上端部間に上枠11Dが取り付けられ、縦枠13D、14Dの下端部間に下枠12Dが取り付けられた縦勝ちの窓枠である。また、縦額縁20Dの上端部間に上額縁20Bが配置され、縦額縁20Dの下端間に下額縁20Cが配置され、窓額縁においても縦勝ちである。
【0077】
図12,13に示すように、縦額縁20Dの下端部には、額縁連結カバー30を配置するための切欠部270が形成されている。すなわち、縦額縁20Dの室内面部264およびヒレ部265は、下額縁20Cのヒレ部265の下端縁と同じ高さ位置まで設けられ、縦額縁20Dのその他の部分は所定高さ位置まで切断除去されて切欠部270とされている。図示を略すが、縦額縁20Dの上端部においても、同様の切欠部が形成されている。
【0078】
額縁連結カバー30は、
図14、15に示すように、水平板状のベース部31と、ベース部31から突設された差込部32と、差込部32と平行に配置された縦ヒレ部33と、縦ヒレ部33から直交して設けられた横ヒレ部34と、ベース部31の室外側から突設された固定部35と、縦ヒレ部33および横ヒレ部34の室内端部から延出されたカバー部36と、ベース部31およびカバー部36に跨がって形成されたリブ37とを備えて構成されている。
【0079】
額縁連結カバー30の固定部35には貫通穴351が形成されている。固定部35は、
図11,13に示すように、縦枠13、14に取り付けられる窓額縁20の見込み片部21、室外外周片部24、室内外周片部25で囲まれた空間に挿入され、見込み片部21にねじ込まれたネジ352が貫通穴351に挿入されている。これにより、額縁連結カバー30の高さ位置が設定されている。
また、額縁連結カバー30の差込部32が、縦額縁20Dの額縁本体部26の中空部内に挿入されている。このため、額縁本体部26の内面部263は、差込部32と縦ヒレ部33との間に配置され、これにより額縁連結カバー30の左右方向の位置が設定されている。
【0080】
額縁連結カバー30の縦ヒレ部33および横ヒレ部34の各裏面には、
図15に示すように、アングル721、741が設けられた窓枠に取り付ける場合に切断箇所を示すための切断マーク(目印)として、溝331、341が形成されている。
溝331、341の見込み方向の位置、つまり、縦ヒレ部33、横ヒレ部34の室外側端縁から溝331、341までの長さ寸法は、アングル721、741の見込み方向の寸法に応じて設定されている。この縦ヒレ部33、横ヒレ部34において、溝331、341部分から室外側は切断除去可能な切断除去部332、342とされ、この切断除去部332、342を切断除去することで、アングル721、741と干渉することなく額縁連結カバー30を配置することができるように構成されている。
【0081】
例えば、本実施形態では、上枠11Dおよび縦枠13D、14Dにはアングル721、741が設けられ、下枠12Dにはアングルが設けられていない。
このため、下額縁20Cと縦額縁20Dとの接合部に設けられる額縁連結カバー30は、
図13に示すように、縦ヒレ部33では溝331から室外側が切断されて除去され、アングル741と干渉しないように構成されている。また、横ヒレ部34は、下枠12Dに干渉しないので、切断除去されずに残されている。
【0082】
一方、図示は省略するが、上額縁20Bと、縦額縁20Dとの接合部に設けられる額縁連結カバー30では、縦ヒレ部33および横ヒレ部34の両方とも溝331、341から室外側の切断除去部332、342が切断されて除去され、アングル721、741と干渉しないように構成されている。
なお、額縁連結カバー30は合成樹脂製であるため、縦ヒレ部33、横ヒレ部34の切断作業は、外開き窓1Dの施工現場において現場作業者がカッターなどを用いて行うことができる。
【0083】
額縁連結カバー30の縦ヒレ部33は、縦額縁20Dの見込み面である内面部263の上端部および下端部を被覆し、横ヒレ部34は、上額縁20B、下額縁20Cの見込み面である内面部263の左右の端部を被覆する。
額縁連結カバー30のカバー部36は、縦額縁20Dの額縁本体部26と、上額縁20B、下額縁20Cの額縁本体部26との隙間を塞いでいる。また、カバー部36の裏面には、
図14,15に示すように、溝366が一定間隔で形成されている。この溝366は、窓額縁20のヒレ部265の溝266と同じ間隔で形成されている。このため、カバー部36は、上額縁20Bおよび下額縁20Cのヒレ部265の長さ寸法(上下方向の寸法)に合わせて切断できるように構成されている。
【0084】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態においても、前記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、額縁連結カバー30の縦ヒレ部33、横ヒレ部34に溝331、341を形成し、この溝331、341から室外側に切断除去部332、342を設けたので、アングル付きの窓枠2Aと、アングル無しの窓枠2B、さらには、アングル付きの枠材とアングル無しの枠材とを有する窓枠2D等の様々な窓枠において、額縁連結カバー30を兼用できる。このため、各窓枠2A,2B,2D用にそれぞれ異なる額縁連結カバー30を用意する場合に比べて、額縁連結カバー30の種類を1種類にできて、部品の製造コストや管理コストを低減できる。
すなわち、窓額縁20および額縁連結カバー30は、各窓枠2A,2B,2Dで兼用できるため、コストを低減できる。
さらに、額縁連結カバー30においても、カバー部36を溝366で切断することで、上額縁20Bおよび下額縁20Cのヒレ部265に対応する長さに容易に切断できる。
また、額縁連結カバー30は、固定部35の貫通穴351にネジ352を差し込むだけで固定できるため、取付作業を容易に行うことができる。
【0085】
第3実施形態では、アングル無しの下枠12Dを用いているので、木額縁110や床材の高さ位置が納まりによって変更された場合でも、アングル付きの下枠を用いた場合のようにアングルが干渉することがない。このため、アングル無しの下枠12Dを用いることで、窓枠2Dと床材等との様々な納まりに対応することができる。
【0086】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、窓額縁20、40が取り付けられる窓枠は改装用の窓枠2A,2B,2Dに限定されず、
図16に示すように、新設のアングル無しの窓枠2Cや、図示しない新設のアングル付きの窓枠、下枠のみがアングル無しの窓枠などの様々な窓枠に設けることもできる。
また、アングル無しの窓枠に、窓額縁20、40を設ける場合、
図16に示すように、タッピングねじ6を壁150やスペーサ材120等に、直接あるいはヒレ16を介してねじ込んでもよい。
【0087】
さらに、窓額縁20、40の具体的な構成は、前記実施形態に限定されない。
例えば、第1実施形態のように、被ねじ打ち部および係止部を見込み片部21で兼用する窓額縁としては、
図17に示すように、見込み片部21が室外内周片部22および室内内周片部23の外周端部に連結された窓額縁20Aを用いてもよい。
さらに、第2実施形態のように、被ねじ打ち部および係止部を異なる部位に設ける窓額縁としては、
図18に示すように、被ねじ打ち部として利用される内周室外片部43よりも室内側に溝47を形成し、溝47の底面となる見込み方向に沿った見込み片部48を係止部として設けた窓額縁40Aを用いてもよい。
また、アングル付きの枠と、アングル無しの枠とを備える窓枠としては、窓枠2Dに限定されない。
【0088】
前記窓額縁20、40では、溝47を塞ぐカバー部材60を設けていたが、溝47を露出させるデザインを採用する場合には、カバー部材60を設けなくてもよい。
窓額縁20、窓額縁40のヒレ部265、465や額縁連結カバー30のカバー部36には、複数の溝266、466、366を形成して切断しやすくしていたが、溝266、466、366は無くてもよい。
【0089】
額縁連結カバー30の縦ヒレ部33、横ヒレ部34において、切断除去部332、342の切断箇所の見込み方向の位置を示す切断マークとしては、溝331、341に限らず、縦ヒレ部33、横ヒレ部34にマークを印刷したり、マークが印刷されたシールを貼ってもよい。さらに、溝331、341や、切断除去部332、342を、額縁連結カバー30の他の部分と異なる樹脂、例えば、軟質樹脂等の切断や除去が容易な樹脂で構成してもよい。
同様に、窓額縁20、窓額縁40のヒレ部265、465や額縁連結カバー30のカバー部36において、切断位置を示す溝266、466、366の代わりに、マークを印刷したり、マークが印刷されたシールを貼ってもよい。
【0090】
前記各実施形態では、アングル15に皿穴152を予め形成していたが、皿穴152を形成せずに、タッピングねじをアングル15にねじ込んで、窓額縁20、40の被ねじ打ち部(見込み片部21、内周室外片部43)に取り付けてもよい。
また、係止部である見込み片部21、見付け片部41には予め穴を形成していないが、タッピングねじ6用のねじ穴を予め形成してもよい。