特許第6661577号(P6661577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661577
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】トンネルデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
   A61B17/34
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-127313(P2017-127313)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-10159(P2019-10159A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嵐 伸作
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3999551(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0173879(US,A1)
【文献】 米国特許第5306240(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0133951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/34
A61F 2/06
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、一端が前記基部に接続されるシャフトと、前記シャフトの他端に接続する先端部とを備えたトンネルデバイスであって、
前記基部には、前記シャフトの一端が接続するシャフト接続部が設けられ、
前記シャフトの一端には、シャフト側ネジ部が設けられ、
前記シャフト接続部は、前記シャフトの一端の外径と略同一の内径を有するシャフト収容部と、前記シャフト収容部よりも更に内側に設けられた基部側ネジ部とを有し、
前記シャフト側ネジ部と前記基部側ネジ部との螺合により、
前記基部と前記シャフトとが固定され
前記シャフト収容部に設けられた基部側テーパー部と、
前記シャフトの一端に前記基部側テーパー部とテーパー接続して面接触可能なシャフト側テーパー部とが設けられた
トンネルデバイス。
【請求項2】
前記シャフトは、湾曲部と、前記湾曲部の一方側の端部に設けられた第一接続部と、前記湾曲部の他方側の端部に設けられた第二接続部とを有し、
前記第一接続部及び前記第二接続部は、前記シャフト接続部に接続可能に設けられ、
前記第一接続部は、前記第二接続部に対して、前記シャフト接続部に前記第一接続部が接続された状態における前記基部に対する前記先端部の相対位置と、前記シャフト接続部に前記第二接続部が接続された状態における前記基部に対する前記先端部の相対位置とが異なるように構成された
請求項1に記載のトンネルデバイス。
【請求項3】
前記基部側テーパー部は、前記基部の軸方向に傾斜する第一テーパー部と第二テーパー部とを有し、
前記第一テーパー部と前記第二テーパー部とは、前記軸方向において交差して設けられ、
前記第一テーパー部の前記軸方向に対するテーパー角は、前記第二テーパー部の前記軸方向に対するテーパー角よりも大きくなるように設けられた
請求項1または2に記載のトンネルデバイス。
【請求項4】
基部と、一端が前記基部に接続されるシャフトと、前記シャフトの他端に接続する先端部とを備えたトンネルデバイスであって、
前記基部には、前記シャフトの一端が接続するシャフト接続部が設けられ、
前記シャフトの一端には、シャフト側ネジ部が設けられ、
前記シャフト接続部は、前記シャフトの一端の外径と略同一の内径を有するシャフト収容部と、前記シャフト収容部よりも更に内側に設けられた基部側ネジ部とを有し、
前記シャフト側ネジ部と前記基部側ネジ部との螺合により、
前記基部と前記シャフトとが固定され、
前記シャフト収容部に設けられた基部側テーパー部と、
前記シャフトの一端に前記基部側テーパー部とテーパー接続可能なシャフト側テーパー部とが設けられ、
前記基部側テーパー部は、前記基部の軸方向に傾斜する第一テーパー部と第二テーパー部とを有し、
前記第一テーパー部と前記第二テーパー部とは、前記軸方向において交差して設けられ、
前記第一テーパー部の前記軸方向に対するテーパー角は、前記第二テーパー部の前記軸方向に対するテーパー角よりも大きくなるように設けられた
トンネルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
末梢血管再建用や透析用に人工血管を植え込むために、皮下トンネルを形成し、人工血管を皮下に埋設するトンネルデバイスが用いられている。例えば、特許文献1には、把持されるハンドルと、ハンドルに接続されるシャフトと、シャフトの先端に取り付けられるチップ部とを備えたトンネルデバイスが開示されている。
【0003】
特許文献1のトンネルデバイスは、ハンドルに対してシャフトが分離可能に接続されるように構成されている。ハンドルに対するシャフトの接続は、ハンドルの一端から突出して設けられた雄ネジ部の外周に、シャフトの端部の内周面に形成された雌ネジ部が螺合することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5306240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、トンネルデバイスは、例えば、皮下トンネルを形成するために施術によって皮下に導通される際に、先端が物理的な力によって皮下で押し進められて、シャフトの通り道を皮下トンネルとして形成する。このようなトンネルデバイスによって皮下トンネルを形成した際、トンネルデバイスが、体液に付着したり、トンネルデバイスとの摩擦によって削り取られた皮下組織がトンネルデバイスに付着する場合がある。このようにトンネルデバイスに体液や皮下組織が付着した場合には、シャフトとハンドルとの間に体液や皮下組織が侵入する場合がある。特許文献1に記載のトンネルデバイスでは、シャフトと、シャフトに接続する基部としてのハンドルを有し、そのハンドルの一端から突出して設けられた雄ネジ部の外周に、シャフトの端部の内周面に形成された雌ネジ部が螺合する構造を採用している。そのために、施術の際にシャフトとハンドルとの隙間から侵入した体液や細胞は、雄ネジ部と雌ネジ部との間に浸入してしまう場合がある。トンネルデバイスは、使用のたびに分解洗浄を行うのであるが、雌ネジ部や雄ネジ部の溝の部分の洗浄は難しい。つまり、雄ネジ部や雌ネジ部など、清浄しにくい箇所に体液などが付着すると、衛生的に問題となる。
【0006】
そこで、本発明は、清浄等の衛生面に優れる安全なトンネルデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトンネルデバイスは、基部と、一端が前記基部に接続されるシャフトと、前記シャフトの他端に接続する先端部とを備えたトンネルデバイスであって、前記基部には、前記シャフトの一端が接続するシャフト接続部が設けられ、前記シャフトの一端には、シャフト側ネジ部が設けられ、前記シャフト接続部は、前記シャフトの一端の外径と略同一の内径を有するシャフト収容部と、前記シャフト収容部よりも更に内側に設けられた基部側ネジ部とを有し、前記シャフト側ネジ部と前記基部側ネジ部との螺合により、前記基部と前記シャフトとが固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のトンネルデバイスによれば、清浄等の衛生面に優れ、衛生面で安全にトンネルデバイスを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のトンネルデバイスを示す全体図である。
図2図1のトンネルデバイスの基部を示す図である。
図3図2のA−A線断面図である。
図4図1のトンネルデバイスのシャフト及び先端部を示す図である。
図5図1のトンネルデバイスの基部とシャフトとの接続部位を示す、基部の軸方向に沿って切断した断面図である。
図6図5の領域Bの部分拡大図である。
図7図1のトンネルデバイスのシャフトの一端を軸方向に切断した断面図である。
図8図1のトンネルデバイスの先端部の相対位置が変化した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のトンネルデバイスを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のトンネルデバイスは、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本実施形態のトンネルデバイス1は、図1に示されるように、基部2と、一端が基部2に接続されるシャフト3と、シャフト3の他端に接続する先端部4とを備えている。
【0012】
トンネルデバイス1は、皮下トンネルを形成し、形成された皮下トンネルに人工血管を埋設するために用いられ、トンネラなどとも呼ばれる。例えば、トンネルデバイス1による皮下トンネルの形成方法としては、腕などの皮膚に形成された、トンネルデバイス1を皮下に導入するための第一切開部(図示せず)と、トンネルデバイス1の先端部4を体外に導出するための第二切開部(図示せず)との間に、トンネルデバイス1を挿通して皮下トンネルを形成する。皮下トンネルが形成されると、トンネルデバイス1の先端部4に人工血管を接続し、皮下トンネルに人工血管を引き込み、既存の血管と縫合して、人工血管が埋設される。なお、トンネルデバイス1の用途は、上述した人工血管の埋設に限定されるものではない。
【0013】
基部2は、トンネルデバイス1を支持する部分であり、トンネルデバイス1による皮下トンネルの形成時に持ち手となる部位である。基部2には、シャフト3が着脱可能に接続されている。基部2は、シャフト3に接続した状態で用いられて、シャフト3と先端部4とを皮下導通する際の操作部となる。基部2は、トンネルデバイス1による皮下トンネルの形成時に、基部2に加えられた力をシャフト3に対して与えることができ、また、シャフト3の径方向及び軸方向に加わる力を支持できる。本実施形態では、基部2は、基部2に接続されたシャフト3の軸方向に垂直な断面において、シャフト3の軸方向に垂直な断面よりも大きい断面を有する略柱状に構成されている。基部2は、把持可能な大きさと形状で形成されている。
【0014】
基部2には、図1に示されるように、シャフト4の一端が接続されるシャフト接続部21が設けられている。本実施形態では、シャフト接続部21は、基部2の一端側に設けられ、シャフト3の一端が接続される。本実施形態では、基部2は、図1図3に示されるように、基部2の両端に第一シャフト接続部21aと第二シャフト接続部21bとを有しているが、シャフト接続部21は、基部2の少なくとも一方の端部に設けられていればよい。
【0015】
本実施形態では、基部2は、トンネルデバイス1による皮下トンネルの形成時に把持される把持部22を有し、把持部22の一端側(図2では両端側)にシャフト接続部21が設けられている。把持部22は、医師等の施術者により把持される部位である。把持部22は、すべり止めとして機能する凹凸が設けられているが、トンネルデバイス1による皮下トンネルの形成時にシャフト3に力を伝達できるように把持することができれば、特にその形状や構造は限定されない。
【0016】
シャフト接続部21は、シャフト3と基部2とを接続し、基部2に加えられる操作力をシャフト3へ伝達する。本実施形態では、シャフト接続部21は、後述するように基部側ネジ部210(図2及び図3参照)を有し、シャフト3の一端に設けられたシャフト側ネジ部31(図4参照)と螺合して、基部2をシャフト3に接続する。
【0017】
シャフト3は、人工血管を挿入可能な皮下トンネルを形成できるように構成されている。シャフト3は、目的に応じて設定される長さや孔径を有する皮下トンネルが形成できる構成を有していればよい。シャフト3の断面形状は特に限定されないが、例えばシャフト3の長さ方向に垂直な断面が略円形など、皮下に導通される際に、円滑に挿入することができる形状であることが好ましい。シャフト3は、所望の形状の皮下トンネルが形成できる本体部を有することができる。また、シャフト3の材料は、生体適合性を有し、皮下トンネルを形成することができる剛性を有していれば特に限定されない。シャフト3の材料としては、例えば、ステンレスを用いることができる。
【0018】
シャフト3は、一方の端部に基部2が接続され、他方の端部に先端部4が接続される。本実施形態では、シャフト3の両端は、基部2及び先端部4に螺合して接続される。図4に示されるように、シャフト3の一端には、基部に設けられた基部側ネジ部210と螺合するシャフト側ネジ部31が設けられている。シャフト側ネジ部31が基部側ネジ部210と螺合することにより、シャフト3と基部2とが接続される(図5参照)。図4に示されるように、本実施形態では、シャフト3の他端には第二シャフト側ネジ部32が設けられている。第二シャフト側ネジ部32は、先端部4の先端部側ネジ部41と螺合して、先端部4とシャフト3とが接続される。なお、第二シャフト側ネジ部32は、シャフト3の一端に設けられたシャフト側ネジ部31(第一シャフト側ネジ部)と同様の構造とすることができる。
【0019】
本実施形態では、シャフト3は、図4に示されるように、湾曲部3aと、湾曲部3aの一方側の端部に設けられた第一接続部3bと、湾曲部3aの他方側の端部に設けられた第二接続部3cとを有している。湾曲部3aは、シャフト3の長さ方向に沿って湾曲した部位である。シャフト3の湾曲部3aの湾曲形状は、図示する湾曲形状に限定されない。シャフト3の湾曲部3aは、所望の経路の皮下トンネルを形成できるように異なる湾曲形状や曲率としてもよい。
【0020】
第一接続部3b及び第二接続部3cは、シャフト接続部21に接続可能に設けられている。第一接続部3bは、図4に示されるように、シャフト3の一端側から、シャフト3の長さ方向で所定の領域を占めている。第二接続部3cは、シャフト3の他端側から、シャフト3の長さ方向で所定の領域を占めている。本実施形態では、第一接続部3b及び第二接続部3cは、それぞれシャフト側ネジ部31、第二シャフト側ネジ部32を有している。シャフト側ネジ部31及び第二シャフト側ネジ部32のそれぞれは、基部2の基部側ネジ部210及び先端部4の先端部側ネジ部41に螺合することができる。第一接続部3b及び第二接続部3cは、基部2及び先端部4からそれぞれ接続状態から離脱状態とすることが可能である。なお、形成される皮下トンネルの形状や操作方法に応じて、基部2及び先端部4が接続する第一接続部3b及び第二接続部3cの組合せを交代して付け替えることが可能である。
【0021】
本実施形態では、シャフト側ネジ部31及び第二シャフト側ネジ部32は、端部に構成された軸方向に延びる凹部の内周面に設けられた雌ネジ部として構成されているが、例えば、シャフト3の端部から突出する雄ネジ部であってもよい。
【0022】
先端部4は、トンネルデバイス1の皮下トンネルの形成時に先頭に位置し、シャフト3とともに皮下トンネルを形成する。先端部4の形状及び構造は、皮下において組織を切り裂いて前進する構成とすることもでき、本実施形態では尖った突形状となっている。本実施形態では、先端部4は、図4に示されるように、先端部4とシャフト3とを接続する先端部側ネジ部41と、人工血管を縫合糸などによりトンネルデバイス1に取り付けるための接合部42と、先細となる弾頭形状を有する穿孔部43とを備えている。本実施形態では、先端側ネジ部41と穿孔部43との間に接合部42が設けられている。接合部42は、人工血管の一端が被覆可能であり、被覆された人工血管を先端部4に縫合糸で固定するために、縫合糸が挿通される挿通孔42aを有している。先端部側ネジ部41は、本実施形態では雄ネジ部として示されているが、例えば、シャフト側ネジ部31、第二シャフト側ネジ部32が雄ネジ部により構成されている場合は、雌ネジ部とすることができる。また、接合部は、必ずしも先端部4に設ける必要はなく、シャフト3の端部に接合部が設けられていてもよい。
【0023】
基部2、シャフト3及び先端部4が互いに接続されたトンネルデバイス1は、皮下トンネルを形成するために、例えば第一切開部から押し込まれ、皮下に進行する。第一切開部から入った先端部4が、第二切開部まで到達して体外に出ると、人工血管が先端部4に装着される。人工血管が先端部4に装着されると、トンネルデバイス1は、皮下トンネルからシャフト3を引き抜くように操作される。その後、所定の処置を行い、人工血管を既存の血管と縫合して処置を完了する。なお、上述したトンネルデバイス1による使用方法はあくまで一例であり、トンネルデバイス1の使用方法は特に限定されない。
【0024】
本実施形態では、図5に示されるように、シャフト接続部21は、シャフト3の一端の外径と略同一の内径を有するシャフト収容部211と、シャフト収容部211よりも更に内側に設けられた基部側ネジ部210とを有している。シャフト側ネジ部31と基部側ネジ部210との螺合により、基部2とシャフト3とが固定される。
【0025】
シャフト収容部211は、シャフト3の一端を収容する。シャフト収容部211は、本実施形態では、図5に示されるように、基部2の端部から、基部2の軸方向に沿って所定の長さで設けられた凹部である。シャフト収容部211は、シャフト収容部211の内周面がシャフト3の一端の外周面と当接するように構成されている。本実施形態においては、シャフト収容部211は、シャフト3の一端の外径と略同一の内径を有し、シャフト収容部211の内周面が、シャフト3の一端の外周面にほぼ隙間なく対向するように構成されている。本実施形態では、シャフト3の外周面は、円筒面であり、シャフト収容部211は、シャフト3の外周面の形状に対応した略円柱状の空間として構成されている。なお、本実施形態では、シャフト収容部211の内周面にはネジ部は形成されていない。シャフト収容部211は、シャフト3の一端を収容し、シャフト収容部211の先端である開口から体液や細胞がシャフト側ネジ部31に到達することを抑制する軸方向の長さを有する。シャフト収容部211は、シャフト3の一端が挿入される開口から、シャフト3を収容した状態で体液や細胞が侵入しても、シャフト3とシャフト収容部211との間隔が殆どなく、シャフト収容部211の奥へと侵入することが抑制される。そのため、シャフト側ネジ部31や基部側ネジ部210は、体液の成分や細胞が堆積していくことが抑制されるので、トンネルデバイス1は、洗浄が容易であり、衛生的である。
【0026】
本実施形態では、基部2において開口を形成する開口端部の内周面は、シャフト3が挿入される入口側となる、シャフト収容部211の開口縁E(図6参照)側に向かって拡径するテーパー状に構成されている。シャフト収容部211が開口縁E側でテーパー状に構成されていることにより、シャフト3が撓んだときにシャフト3の外周を傷つけにくい。
【0027】
基部側ネジ部210は、図5及び図6に示されるように、シャフト3のシャフト側ネジ部31と螺合するように構成され、シャフト3と基部2とが着脱可能となっている。基部側ネジ部210は、図5及び図6に示されるように、シャフト収容部211の内周面よりも、挿入されるシャフト3の一端の径方向で内側に設けられている。基部側ネジ部210は、一方の端部に、回転させるための治具を挿入可能なネジ構造として構成され、例えばイモネジとすることができる。
【0028】
基部側ネジ部210の形状及び構造は、シャフト側ネジ部31と螺合することができ、シャフト収容部211よりも更に径方向内側に設けることができる。基部側ネジ部210は、シャフト収容部211と同軸に設けられることが好ましい。基部側ネジ部210は、雄ネジであっても雌ネジであってもよい。本実施形態では、図5に示されるように、基部側ネジ部210は、筒状に構成されたシャフト3の一端の内周面に雌ネジ部を有するシャフト側ネジ部31に螺合するように構成された雄ネジ部を有している。基部側ネジ部210は、本実施形態では、シャフト収容部211の内周面の径方向内側を延びている。本実施形態では、基部側ネジ部210は、基部2に対して着脱可能な取付ネジとして示されているが、基部側ネジ部210は、基部2と一体に構成してもよい。なお、本実施形態では、取付ネジとして示された基部側ネジ部210は、図5に示されるように、シャフト収容部211の内周面よりも内径が小さい、シャフト収容部211と軸方向で連続したネジ穴Hに取り付けられる。
【0029】
なお、基部側ネジ部210は、例えば、シャフト側ネジ部31が雄ネジとして構成されている場合、シャフト収容部211と同軸状に、シャフト収容部211と軸方向で連続して設けられた、シャフト収容部211よりも内径が小さい(例えば、ネジ穴Hのような)凹部の内周面に形成される雌ネジとしても構わない。この場合、例えば、シャフト側ネジ部31は、シャフト3の外径よりも一回り小さい雄ネジがシャフト3の一端から軸方向に突出するように構成すればよい。
【0030】
本実施形態では、上述したように、基部2のシャフト接続部21が、シャフト3の一端の外径と略同一の内径を有するシャフト収容部211と、シャフト収容部211よりも更に内側に設けられた基部側ネジ部210とを有している。したがって、基部側ネジ部210とシャフト側ネジ部31とが螺合された箇所よりも径方向で外側の位置で、シャフト3の外周面とシャフト収容部211の内周面とが、当接可能に対向している。そのため、例えば、シャフト3が皮下に導通されている際など、シャフト3に力が加わった場合、シャフト収容部211に収容されたシャフト3の一端の外周面がシャフト収容部211の内周面に当接する。シャフト3の一端は、外周側からシャフト収容部211の内周面により押さえられる。したがって、シャフト3の一端がシャフト収容部211内で傾くことが抑制され、シャフト3と基部2との接合箇所において、隙間が生じにくい、または、隙間が広がることが抑制される。そのため、シャフト収容部211内や、基部側ネジ部210とシャフト側ネジ部31との間の螺合部分へ、血液等の体液等が浸入することが抑制され、衛生面で安全となる。特に、ネジ部に体液等が浸入した場合、清浄作業が大変となる。本実施形態では、基部側ネジ部210とシャフト側ネジ部31との螺合部分よりも径方向で外側となる、シャフト収容部211の内周面とシャフト3の外周面との間で隙間の発生や隙間の広がりを抑制している。したがって、体液等の浸入経路において、基部側ネジ部210とシャフト側ネジ部31との螺合部分の手前で体液等が浸入する隙間が抑制されるため、螺合部分に体液が到達しにくく、清浄作業が大変となる螺合部分での汚染をより防ぐことができる。
【0031】
また、本実施形態では、図5及び図6に示されるように、基部2は、シャフト収容部211に設けられた基部側テーパー部Tを有している。また、シャフト3の一端に、基部側テーパー部Tとテーパー接続可能なシャフト側テーパー部3tが設けられている。
【0032】
基部側テーパー部Tは、シャフト側テーパー部3tとテーパー接続する。基部側テーパー部Tは、シャフト側テーパー部3tとテーパー接続するテーパー面(後述する第一テーパー部T1)を有し、基部側テーパー部Tのテーパー面は、基部2の軸方向に対して傾斜している。本実施形態では、基部側テーパー部Tは、シャフト収容部211のうち、シャフト3の挿入方向で奥側の壁部である。本実施形態では、基部側テーパー部Tのテーパー面は、シャフト3のシャフト収容部211への挿入方向で奥側(図5における右側)に進むにつれて、径方向外側に広がるように傾斜している。なお、基部側テーパー部Tのテーパー面は、図5に示す傾斜方向とは逆方向、すなわち、挿入方向で奥側に進むにつれて、径方向内側に狭くなるように傾斜していてもよい。
【0033】
シャフト側テーパー部3tは、基部側テーパー部Tとテーパー接続する。シャフト側テーパー部3tは、図6に示されるように、シャフト3の一端の軸方向に対して傾斜したテーパー面を有している。シャフト側テーパー部3tは、基部側テーパー部Tの傾斜方向と略同方向に傾斜して、基部側テーパー部Tのテーパー面とシャフト側テーパー部3tのテーパー面とが対向するように構成されている。
【0034】
シャフト側テーパー部3tは、シャフト3が基部2に螺合されたときに、基部側テーパー部Tとテーパー接続する。本実施形態では、シャフト側テーパー部3tは、図6及び図7に示されるように、シャフト3の端部に設けられている。シャフト側テーパー部3tは、シャフト3の先端に向って、シャフト側テーパー部3tのテーパー面が径方向外側に広がるように傾斜している。なお、シャフト側テーパー部3tは、基部側テーパー部Tとテーパー接続されればよく、基部側テーパー部Tの傾斜に応じた傾斜面を有していればよい。
【0035】
なお、シャフト側テーパー部3tは、シャフト3の一端の端縁である必要はなく、シャフト3がシャフト収容部211に収容されたときに基部側テーパー部Tとテーパー接続することが可能であれば、シャフト側テーパー部3tよりも軸方向で先端側に雄ネジ部など突出する部分を有していても構わない。
【0036】
本実施形態では、シャフト3が基部2に螺合されると、基部側テーパー部Tとシャフト側テーパー部3tとがテーパー接続される。これにより、基部側テーパー部Tとシャフト側テーパー部3tとは互いに面で接触する。この状態で、例えば、シャフト3が図5に矢印F1で示されるような力を受けると、シャフト3は図5において、左側が下がるようにシャフト3が基部2に対して傾こうとする。この場合、様々な力が作用するが、例えば、図5の矢印F2で示されるシャフト3から基部2に加わる力に対しては、シャフト収容部211の内周面がシャフト3の外周面を径方向外側から抑える。また、矢印F1の力により、シャフト3の先端における矢印F3で示されるシャフト3から加わる力に対しては、基部側テーパー部Tとシャフト側テーパー部3tとの間のテーパー接続による面接触によって、径方向内側から力F3が支持される。シャフト収容部211の内周面によってシャフト3を径方向外側から抑えるとともに、基部側テーパー部Tとシャフト側テーパー部3tとをテーパー接続することにより、シャフト3を径方向内側から抑えている。したがって、シャフト3を径方向外側と径方向内側との両方から抑えることにより、シャフト収容部211内でのシャフト3の傾きが抑えられ、シャフト3とシャフト収容部211との間の隙間の形成が抑制される。これにより、基部側ネジ部210とシャフト側ネジ部31との螺合部分への体液等の浸入がより抑制される。さらに、基部側テーパー部Tとシャフト側テーパー部3tとのテーパー接続により、シャフト3の基部2に対する螺合が緩むことが抑制される。したがって、シャフト側ネジ部31が基部側ネジ部210に対して緩むことによるガタツキなどが無くなり、より隙間の発生や広がりが抑制され、体液等の浸入の抑制効果を高めることができる。
【0037】
また、本実施形態では、図6に示されるように、基部側テーパー部Tは、基部2の軸方向に傾斜する第一テーパー部T1と第二テーパー部T2とを有している。第一テーパー部T1と第二テーパー部T2とは、軸方向において交差して設けられ、第一テーパー部T1の軸方向に対するテーパー角θ1は、第二テーパー部T2の軸方向に対するテーパー角θ2よりも大きくなるように設けられている。
【0038】
第一テーパー部T1は、上述したように、シャフト側テーパー部3tにテーパー接続されるテーパー部である。第二テーパー部T2は、径方向で第一テーパー部T1に向き合うように逆方向に傾斜したテーパー部である。本実施形態では、図6に示されるように、第一テーパー部T1は、シャフト3の挿入方向に進むにつれて径方向外側に傾斜し、第二テーパー部T2は、シャフト3の挿入方向に進むにつれて径方向内側に傾斜している。第二テーパー部T2は、シャフト3の一端の外周面と当接し、シャフト3の一端の外周面とテーパー接続するように構成されている。第一テーパー部T1及び第二テーパー部T2により、シャフト3の一端をシャフト3の外周側と内周側とからテーパー接続している。
【0039】
本実施形態では、第二テーパー部T2を有することにより、第一テーパー部T1とシャフト側テーパー部3tとの間のテーパー接続によって、シャフト3の一端の外周面が径方向外側に広がろうとしても、第二テーパー部T2がシャフト3の外周面と当接する。これにより、第一テーパー部T1とシャフト側テーパー部3tとのテーパー接続によるシャフト3と基部2との間の螺合部分の緩み止め機能を維持したうえで、シャフト3の一端の外周面が径方向外側に広がって変形することを抑制する。そのため、シャフト3の一端の外周面が広がって変形して、シャフト3をシャフト収容部211に挿入しにくくなることが防がれ、シャフト3のシャフト収容部211への挿入性が向上する。また、シャフト3の一端の外周面が広がって、シャフト収容部211から抜けにくくなることが防がれ、シャフト3の抜出性の低下を防止することができる。なお、第一テーパー部T1及び第二テーパー部T2の軸方向に対する角度は、シャフト3のシャフト収容部211への挿入性、抜出性の低下を抑制することができ、かつ、螺合部分の緩み止め機能を維持することができれば特に限定されない。また、第二テーパー部T2は、シャフト収容部211の内周面の周方向で全体に設けられている必要はなく、内周面のうち、周方向で一部に設けられていればよい。基部側テーパー部Tは、本実施形態においては、基部2の外周側に面するように設けられているが、基部2の中心軸に面するように傾斜してもよい。
【0040】
本実施形態では、上述したように、シャフト3の第一接続部3b及び第二接続部3cは、シャフト接続部21に接続可能に設けられている。シャフト3の第一接続部3bは、基部2のシャフト接続部21及び先端部4の両方に接続可能である。また、シャフト3の第二接続部3cは、基部2のシャフト接続部21及び先端部4の両方に接続可能である。第一接続部3bが基部2のシャフト接続部21に接続される場合は、第二接続部3cが先端部4に接続され、第一接続部3bが先端部4に接続される場合は、第二接続部3cが基部2のシャフト接続部21に接続される。本実施形態では、第一接続部3b及び第二接続部3cは、それぞれシャフト側ネジ部31及び第二シャフト側ネジ部32を有している。シャフト側ネジ部31及び第二シャフト側ネジ部32のそれぞれは、基部側ネジ部210及び先端部側ネジ部41に螺合できるように構成されている。
【0041】
本実施形態では、第一接続部3bは、図8に示されるように、第二接続部3cに対して、シャフト接続部21に第一接続部3bが接続された状態における基部2に対する先端部4の相対位置と、シャフト接続部21に第二接続部3cが接続された状態における基部2に対する先端部4の相対位置とが異なるように構成されている。このように、本実施形態では、シャフト接続部21に、シャフト3の一端側の第一接続部3bを接続する場合と、シャフト3の他端側の第二接続部3cを接続する場合とで、基部2に対する先端部4の相対位置を、例えば、図8において、参照符号4Aで示す位置から参照符号4Bで示す位置のように異ならせることができる。なお、基部2に対する先端部4の相対位置は、例えば、シャフト3が接続されている基部2の端部から、基部2(基部側ネジ部210)の軸方向における先端部4の先端までの長さ(図8におけるL1)と、基部2(基部側ネジ部210)の軸線から先端部4の先端までの距離(図8におけるL2)とのいずれかが異なっていればよい。
【0042】
上述したように、第一接続部3b及び第二接続部3cにより先端部4の相対位置が異なる場合、図8に示されるように、先端部4の基部2に対する位置を調整することができる。そのため、患者の体型や、トンネルデバイス1の入り口及び出口となる第一切開部と第二切開部との相対位置に応じて、基部2と先端部4との間の距離を変えることができる。したがって、1つのトンネルデバイス1で先端部4の相対位置が異なる少なくとも異なる2つのシャフト形状を実現することができる。また、本実施形態では、基部2と先端部4との間の距離だけでなく、湾曲部3aと基部4との距離、湾曲部3aと先端部4との距離、角度を変えることもできる。
【0043】
第一接続部3b及び第二接続部3cにより先端部4の相対位置を異ならせる場合、例えば、シャフト3の長さ方向の中心部から、第一接続部3bを含む側と、第二接続部3cを含む側とが非対称になるように構成されていればよい。本実施形態では、図4に示されるように、第一接続部3b及び第二接続部3cを、略直線状に延びるように構成し、第一接続部3b及び第二接続部3cの長さを変える(第一接続部3bは第二接続部3cよりも長い)ことにより、図8に示されるように、シャフト3が基部2に接続された際に、基部2に対して湾曲部3aの起点(湾曲部3aと第一接続部3bまたは第二接続部3cとの境界)の位置が変わる。そのため、第一接続部3bを基部2に接続した場合と、第二接続部3cを基部2に接続した場合とで、シャフト3が曲がり始める位置が変わる。したがって、基部2に対する先端部4の相対位置を異ならせることができる。なお、第一接続部3b及び第二接続部3cは、必ずしも直線状である必要はなく、例えば、第一接続部3b及び第二接続部3cが湾曲した部分を含んでいてもよい。この場合、湾曲した部分の曲率を第一接続部3bと第二接続部3cとで異ならせることにより、先端部4の相対位置を変えることができる。
【0044】
また、本実施形態では、基部2は、図3に示されるように、基部2の両端に第一シャフト接続部21a及び第二シャフト接続部21bを有している。第二シャフト接続部21bは、第一シャフト接続部21aよりも、シャフト3の端部が深く挿入されて接続されるように構成されている。この場合、第一シャフト接続部21aにシャフト3が接続された場合と、第二シャフト接続部21bにシャフト3が接続された場合とで、図8の参照符号4A及び4Cに示されるように、先端部4の位置が変わる。本実施形態では、参照符号4Aで示す状態は、第一接続部3bが第一シャフト接続部21aに接続された状態であり、参照符号4Cで示す状態は、第一接続部3bが第二シャフト接続部21bに接続された状態である。図8において、参照符号4Cで示される先端部4の位置は、第一接続部3bが第一シャフト接続部21aよりも深く第二シャフト接続部21bに挿入される分だけ、4Aで示される先端部4の位置よりも基部2側にシフトしている。なお、図8において、参照符号4Bで示す状態は、第二接続部3cが第一シャフト接続部21aに接続された状態であり、参照符号4Dで示す状態は、第二接続部3cが第二シャフト接続部21bに接続された状態である。この場合も同様に、4Dで示される先端部4の位置は、第二接続部3cが第一シャフト接続部21aよりも深く第二シャフト接続部21bに挿入される分だけ、4Bで示される先端部4の位置よりも基部2側にシフトしている。
【符号の説明】
【0045】
1 トンネルデバイス
2 基部
21 シャフト接続部
21a 第一シャフト接続部
21b 第二シャフト接続部
210 基部側ネジ部
211 シャフト収容部
22 把持部
3 シャフト
31 シャフト側ネジ部
32 第二シャフト側ネジ部
3a 湾曲部
3b 第一接続部
3c 第二接続部
3t シャフト側テーパー部
4 先端部
41 先端部側ネジ部
42 接合部
42a 挿通孔
43 穿孔部
E シャフト収容部の開口縁
F1、F2、F3 力
H ネジ穴
L1 基部の軸方向における先端部の先端までの長さ
L2 基部の軸線から先端部の先端までの距離
T 基部側テーパー部
T1 第一テーパー部
T2 第二テーパー部
θ1、θ2 テーパー角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8