特許第6661606号(P6661606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661606
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】新規ピリドピリミジン誘導体化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20200227BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200227BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20200227BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20200227BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   C07D471/04 118Z
   C07D471/04CSP
   A61P43/00 111
   A61P1/04
   A61P1/00
   A61K31/519
【請求項の数】8
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2017-507425(P2017-507425)
(86)(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公表番号】特表2017-526666(P2017-526666A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】BR2015050147
(87)【国際公開番号】WO2016037255
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年8月13日
(31)【優先権主張番号】62/049,506
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508072899
【氏名又は名称】バイオラブ・サヌス・ファーマセウティカ・エルティーディーエー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】デ・ヌッシ、ジルベルト
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/008704(WO,A2)
【文献】 国際公開第2013/183016(WO,A1)
【文献】 特表2004−501919(JP,A)
【文献】 TANIFUM E A,NOVEL PYRIDOPYRIMIDINE DERIVATIVES AS INHIBITORS OF STABLE TOXIN A (STA) INDUCED CGMP SYNTHESIS,BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY LETTERS,2009年,VOL:19, NR:11,PAGE(S):3067 - 3071,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.bmcl.2009.04.024
【文献】 KOTS A Y,PYRIDOPYRIMIDINE DERIVATIVES AS INHIBITORS OF CYCLIC NUCLEOTIDE SYNTHESIS: APPLICATION FOR 以下備考,PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES,2008年 6月17日,VOL:105, NR:24,PAGE(S):8440 - 8445,TREATMENT OF DIARRHEA,URL,http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0803096105
【文献】 COMPOUND SUMMARY FOR CID 4113185,DATABASE PUBCHEM [ONLINE],2005年 9月13日,PUBCHEM CID 4113185,CHEMICAL NAMES: AC1N3IVP; AKOS003977175,URL,https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/4113185
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 02 Sep 2003,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 577698-51-2
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 02 Apr 2006,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 878990-96-6
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 29 Mar 2006,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 878438-82-5
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 07 Aug 2006,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 899405-34-6
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 12 Jul 2006,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 892160-49-5
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 20 Dec 2001,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 377059-05-7
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 26 Apr 2001,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 332937-82-3
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 12 Jul 2006,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 892183-70-9
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 13 Dec 2001,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 374921-25-2
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 05 Mar 2001,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 325747-03-3
【文献】 STN International,File REGISTRY [online],Entered STN: 27 Aug 2001,検索日:2019年3月8日,CAS登録番号: 352659-15-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY/MARPAT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示される化合物:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
および
【化11】
もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの任意の比率での混合物。
【請求項2】
活性成分として、有効量の請求項1に記載の1種以上の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩;および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物が、環状ヌクレオチド合成の阻害のためのものである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物が、cAMPおよびcGMP合成の阻害のためのものである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物が、下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療のためのものである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
環状ヌクレオチド合成を阻害するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または任意の比率でのそれらの混合物の使用。
【請求項7】
cAMPおよびcGMP合成を阻害するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または任意の比率でのそれらの混合物の使用。
【請求項8】
下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療ための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または任意の比率でのそれらの混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、新規ピリドピリミジン誘導体化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)、それらを含有する医薬組成物、環状ヌクレオチド合成の阻害剤として新規ピリドピリミジン誘導体化合物を使用する方法、cAMPおよびcGMP合成の阻害剤として新規ピリドピリミジン誘導体化合物を使用する方法、ならびに下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療でのそれらの使用を記載する。
【発明の背景】
【0002】
国連児童基金(UNICEF)および世界保健機関(WHO)によれば、下痢性疾患は、5歳以下の子供における死亡原因の第2位および栄養不良の主因である。かなりの割合の下痢性疾患は、安全な飲料水ならびに適切な衛生設備および衛生状態により予防できる。
【0003】
下痢は、通常の排便と比較して排便回数の増加、または便の形成の減少により特徴付けられる。排便回数および便の緩さの変化は、互いに独立して異なり得るが、変化は両方に起こる場合が多い。
【0004】
大抵の場合、下痢の徴候および症候は、通常数日間続く。しかし、下痢は時には数週間続く場合がある。これらの状況において、下痢は、深刻な障害、例えば、炎症性腸疾患、またはそれほど重篤でない症状、例えば、過敏性腸症候群の徴候であり得る。
【0005】
下痢は、寄生虫により生じる感染細菌性またはウイルス性障害であり得る。下痢は、食中毒、食品添加物、食物アレルギー、吸収不良症候群(例えば、グルテンまたは乳糖不耐症)、抗生物質療法、腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)などにより生じる非感染性下痢であることもある。典型的な治療では、根本原因に対して薬物を投与しながら、流体を投与して、脱水症を予防し、継続的に栄養を与える。
【0006】
細菌により生じる感染症の場合、下痢を誘発する大腸菌(Escherichia coli)(グラム陰性菌)の病原性機構には、耐熱性毒素(heat stable toxin)(STa)の分泌がおそらく関与する。
【0007】
したがって、本発明者の試みは、大腸菌(Escherichia coli)の耐熱性毒素(STa)により生じる環状ヌクレオチド合成の新規ピリドピリミジン誘導体化合物阻害剤を開発することである。STaは、腸上皮細胞膜受容体であるグアニル酸シクラーゼC型(GC−C)に結合し、下痢を誘発する。これは、酵素を活性化し、グアノシン三リン酸(GTP)を環状グアノシン3’,5’−一リン酸(cGMP)に変換し、cGMPの細胞内濃度を急上昇させる。次いで、これは、cGMP依存性プロテインキナーゼおよび塩化物イオンチャネルである嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)の活性化を誘導する。CFTRの活性化は、塩化物イオンの腸管腔内への流出、ならびに水およびナトリウムイオンの蓄積をもたらすことによって下痢を引き起こす。
【0008】
国際公開番号WO2008/008704には、環状ヌクレオチド合成の阻害剤および様々な疾患の療法でのその使用が記載されている。
【0009】
cAMPおよびcGMP合成の阻害剤および環状ヌクレオチド合成の阻害剤の別のクラスは、TANIFUM[E.A.TANIFUMら、“Novel pyridopyrimidine derivatives as inhibitors of stable toxin a (STa) induced cGMP synthesis”.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2009、19:3067−3071]による刊行物に記載されている。この刊行物によれば、特定された最良の化合物の1つは、以下の構造形態:
【0010】
【化1】
【0011】
を有する、化合物24(FPIPP)であった。
【0012】
さらにTANIFUM[E.A.TANIFUMら、“Novel pyridopyrimidine derivatives as inhibitors of stable toxin a (STa) induced cGMP synthesis”.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2009、19:3067−3071]によれば、腸内の流体の不均衡を引き起こす生理学的機構に対して有効な薬物の開発は、治療手段をさらに大きく増やすこととなるであろう。
【0013】
上記に基づき、本発明の発明者は、下痢の症候の治療、予防または緩和に使用できる新規化合物である新規ピリドピリミジン誘導体を開発した。
【発明の概要】
【0014】
本発明の主な目的は、一般式(I)
【0015】
【化2】
【0016】
で表される構造を有する新規ピリドピリミジン誘導体化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)、それらを含有する医薬組成物、環状ヌクレオチド合成の阻害剤として新規ピリドピリミジン誘導体化合物を使用する方法、cAMPおよびcGMP合成の阻害剤として新規ピリドピリミジン誘導体化合物を使用する方法、ならびに下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療でのそれらの使用を提供することである。
【0017】
いくつかの側面において、本発明は、活性成分として、有効量の新規ピリドピリミジン誘導体化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
本発明の別の目的は、環状ヌクレオチド合成を阻害するための、新規ピリドピリミジン誘導体化合物、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)の使用である。さらに、本発明の目的は、cAMPおよびcGMP合成を阻害するための、新規ピリドピリミジン誘導体化合物の一種、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)使用である。
【0019】
本発明の目的は、下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療での、新規ピリドピリミジン誘導体化合物の一種、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)の使用でもある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物II、IV、VI、VIIIおよびXの効果。
図2】T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物I、III、VおよびXIIの効果。
図3】T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物VIIの効果。
図4】T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物IXの効果。
図5】T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物XIの効果。
【発明の詳細な説明】
【0021】
本発明は、一般式(I)
【0022】
【化3】
【0023】
[式中、R1は、C1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、ジメチルアミノC1〜6アルキル、ハロC1〜6アルキル、グアニジノC1〜6アルキルおよびメルカプトC1〜6アルキルからなる群から選択され、
2は、4−(トリフルオロメチル)チオフェン、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イルおよび置換アリール(ここで置換基は、C1〜6アルコキシ、ハロゲン、C1〜6ヘテロアラルキルまたはC2〜6ヘテロアラルケニルからなる群から選択される)からなる群から選択され、
Xは、O、SおよびSeからなる群から選択される]で表される構造を有する新規ピリドピリミジン誘導体化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)を記載する。
【0024】
上で使用したように、およびこの開示全体を通して、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする:
「アルキル」という用語は、直鎖、分枝または環状アルキル鎖を表し、例えば、C1〜6アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであってよい。
【0025】
「アルケニル」という用語は、直鎖、分枝または環状鎖アルケニル基、例えば、アリル、ベンジル、ビニル、スチリル、インドリルなどを含む。「アシルアミノ」という用語は、アミノ基の任意のアシル誘導体、例えば、アセトアミド、ベンズアミドなどを表す。
【0026】
「アリール」という用語は、芳香族環、例えば、フェニル、ナフチル、チエニル、インドリルなどから誘導される任意の官能基または置換基を指す。
【0027】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を表す。
【0028】
「患者」という用語は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物である。一態様において、患者はヒトである。別の態様において、患者は、サル、イヌ、ネコ、ヒヒ、アカゲザル、マウス、ラット、ウマ、ウサギ、ウシなどを含む、非ヒト哺乳動物であるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
ここで使用する「有効量」という用語は、症状を患う患者に投与したとき、所望の治療、改善、阻害または予防効果をもたらすのに有効である、新規ピリドピリミジン誘導体化合物、またはそれらの医薬組成物の量を指す。
【0030】
好ましい態様において、本発明の化合物は
1が、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルからなる群から選択されるC1〜6アルキルであり、
2が、4−(トリフルオロメチル)チオフェン、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イルおよび2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イルからなる群から選択され、
Xが、OまたはSを表す、一般式(I)で表される構造を有するか、またはそれらの薬学的に許容される塩であるか、またはそれらの混合物(任意の比率で)である。
【0031】
より好ましい態様において、本発明の化合物は
1が、メチルまたはエチルであり、
2が、4−(トリフルオロメチル)チオフェン、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イルおよび2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イルからなる群から選択され、
Xが、OまたはSである、一般式(I)で表される構造を有するか、またはそれらの薬学的に許容される塩であるか、またはそれらの混合物(任意の比率で)である。
【0032】
特に、好ましい化合物は、個々の化合物として例に示す一般式(I)の化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩である。好ましい置換基は、表1で示す具体例のものである。
【0033】
【表1-1】
【0034】
【表1-2】
【0035】
一般式(I)の好ましい化合物は、
− 化合物I:化学構造式が
【0036】
【化4】
【0037】
である、5−(4−トリフルオロメチルチオフェン)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4,6−トリオン、
− 化合物II:化学構造式が
【0038】
【化5】
【0039】
である、5−(4−トリフルオロメチルチオフェン)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−チオキソ−4,6−ジオン、
− 化合物III:化学構造式が
【0040】
【化6】
【0041】
である、5−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−チオキソ−4,6−ジオン、
− 化合物IV:
【0042】
【化7】
【0043】
5−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−1−エチル−3−メチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4,6−トリオン、
− 化合物V:化学構造式が
【0044】
【化8】
【0045】
である、5−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−チオキソ−4,6−ジオン、
− 化合物VI:化学構造式が
【0046】
【化9】
【0047】
である、5−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)−1−エチル−3−メチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4,6−トリオン、
− 化合物VII:化学構造式が
【0048】
【化10】
【0049】
である、5−(1,3−ベンゾジオキソール−4−イル)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4,6−トリオン、
− 化合物VIII:化学構造式が
【0050】
【化11】
【0051】
である、5−(1,3−ベンゾジオキソール−4−イル)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−チオキソ−4,6−ジオン、
− 化合物IX:化学構造式が
【0052】
【化12】
【0053】
である、5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4,6−トリオン、
− 化合物X:化学構造式が
【0054】
【化13】
【0055】
である、5−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4,6−トリオン、
− 化合物XI:化学構造式が
【0056】
【化14】
【0057】
である、5−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イル)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4,6−トリオン、
− 化合物XII:化学構造式が
【0058】
【化15】
【0059】
である、5−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イル)−1,3−ジメチル−5,11−ジヒドロ−1H−インデノ−[2’,1’:5,6]ピリド[2,3−d]ピリミジン−2−チオキソ−4,6−ジオン
からなる群から選択されるもの、およびそれらの薬学的に許容される塩である。
【0060】
新規ピリドピリミジン誘導体化合物は、薬学的に許容される塩を形成でき、これも本発明の範囲内である。
【0061】
本発明の一般式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の例としては、鉱酸の塩、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸など、有機酸の塩、例えば、ギ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸など、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどがある。
【0062】
本発明による新規ピリドピリミジン誘導体化合物は、以下の一般的な合成経路により調製できる。
【0063】
一般的な合成経路
材料および方法
5−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルバルデヒド は、Aurora Building Blocksから購入し、1−エチル−3−メチル尿素は、AKos Building Blocksから購入し、他の市販品はすべてSigma Aldrichから購入した。すべての反応の後に、蛍光指示薬を有するMerckシリカゲル60 F254プレート上でTLC(薄層クロマトグラフィ)を行い、プレートを、紫外線(254nm)で視覚化した。シリカゲルカラム(Kieselgel 60)を用いて分取クロマトグラフィー精製を行った。溶液を、Buechiロータリーエバポレーターを用いて低圧で濃縮した。Buchi Melting Point B−540装置を用いて決定した融点は、未修正であり、再結晶化されたか、またはクロマトグラフィーで精製された材料で得られた値を表す。中間体および最終化合物の分子量は、API2000 Applied Biosystems質量分析計で行われるエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI/MS)で評価した。1H−NMRスペクトルを、Varian Mercury Plus 400MHz装置で記録した。全スペクトルをDMSO−d6で記録した。以下の略語は、適当な場合、ピークパターンを示すために用いられる:s(シングレット)、bs(ブロードシングレット)、d(ダブレット)、dd(ダブルダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)。
【0064】
一般的手順
合成の一般的手順は、HANTZSCH[A.HANTZSCH、“Condensationsprodukte aus Aldehydammoniak und ketonartigen Verbindungen”.Chem.Ber.、1881、14:1637−1638]およびAGARWAL[A.AGARWALら、“First Report on the abnormal dearylation/alkylation reaction in one−pot hantzch synthesis with 6−Amino−l,3−Dimethyl Uracil”.Synthetic Communications、2004、34:4447−4461]のジヒドロピリジンの3成分の環化に基づく。特に、市販されていない場合には合成される(例に示す合成手順)第1級アミン(c)と市販されていない場合には合成されるアルデヒド(b)と1,3−インダンジオン(a)との酢酸中での反応により、一般式(I)の所望の化合物が得られた。
【0065】
以下の一般的スキームで示される一般的合成経路に従って、一般式(I)の新規ピリドピリミジン誘導体化合物を合成した。
【0066】
一般的スキーム
【0067】
【化16】
【0068】
以下の例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の例により限定されないことに注意されたい。
【0069】
例1:
化合物Iの調製
5−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルバルデヒドの合成
BINDER[D.BINDERら、“Thiophen als Strukturelement physiologisch aktiver Substanzen”.Arch.Pharm.(Weinheim)、1985、318:243−249]によりすでに公表されている手順に従って、5−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルバルデヒド化合物を得た。n−ヘキサン中の20%DIBAL溶液20mLを、無水エーテル32.0mL中の5−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルボニトリル3.1g(17.5mmol)の溶液に、−45℃以下の温度で、N2雰囲気下で、30分間で滴下した。次いで、混合物を−30℃で45分間撹拌し、続いて5%H2SO4溶液(3.0mL)を3回添加し、水相をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥した。溶媒を蒸発させ、さらなる精製なしに所望の化合物を油として得た。ESI−MS(Mw179.99):180.8(M+H+)を示した。1H-NMR (DMSO-d6): δ 9.95 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.95 (s, 1H)。
【0070】
化合物Iの合成
丸底フラスコ中の酢酸(15mL)に、(a)1,3−インダンジオン(0.56g、3.83mmol)、(b)5−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルバルデヒド(0.697g、3.93mmol)および(c)6−アミノ−1,3−ジメチルウラシル(0.5g、3.22mmol)を添加した。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物Iを得た。
融点:265℃。
ESI-MS (Mw 445.07): 445.9 (M+H+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 9.87 (s, 1H, NH), 7.87 (d, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.48 (t, 1H), 7.36 (m, 2H), 4.88 (s, 1H), 3.55 (s, 3H), 3.13 (s, 3H)。
【0071】
スキーム1
【0072】
【化17】
【0073】
例2:
化合物IIの調製
6−アミノ−1,3−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オンの合成
適切に修正された、HU[S.HUら、“Design,Synthesis and inhibitory activities of 8−(Substituted styrol−formamido)phenyl−xanthine derivatives on monoamine oxidase B”.Chem.Pharm.Bull.、2012、60(3):385−390]によりすでに公表されている手順に従って、6−アミノ−1,3−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オン化合物を得た。
【0074】
無水酢酸(30mL)中の1,3−ジメチルチオ尿素(1.83g、17.57mmol)の撹拌溶液に、シアノ酢酸(1.5g、1.76mmol)を添加し、得られた混合物を70℃で終夜撹拌した。反応混合物を濃縮し、得られた油性残留物をH2O(40mL)で希釈し、5N NaOH(15mL)で処理した。このようにして形成された沈殿物を濾過により回収し、冷水で洗浄し、MeOH/H2Oからの再結晶化により精製し、6−アミノ−1,3−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オンを得た。
融点289℃。
ESI-MS (Mw 171.05): 172.1 (M+H+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 7.01 (s, 2H, NH2), 5.01 (s, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.50 (s, 3H)。
【0075】
化合物IIの合成
(a)1,3−インダンジオン(170mg、1.16mmol)と(b)5−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルバルデヒド(209mg、1.18mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オン(166mg、0.97mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物IIを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物IIを得た。
融点:178℃。
ESI-MS (Mw 461.05): 461.9 (M+H+); 483.9 (M+Na+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 10.09 (s, 1H, NH), 7.87 (bs, 1H), 7.66 (bs, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.49 (bs, 1H), 7.37 (m, 2H), 4.96 (s, 1H), 4.07 (s, 3H), 3.58 (s, 3H)。
【0076】
スキーム2
【0077】
【化18】
【0078】
例3
化合物IIIの調製
化合物IIIの合成
(a)1,3−インダンジオン(1.11g、7.57mmol)と(b)3−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(1.46g、7.60mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オン(1.08g、6.30mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物IIIを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物IIIを得た。
融点:313℃。
ESI-MS (Mw 473.08): 474.1 (M+H+); 496.0 (M+Na+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 10.12 (s, 1H, NH), 8.05 (d, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.43 (t, 1H), 7.35 (t, 1H), 7.28 (s, 1H), 4.96 (s, 1H), 4.08 (s, 3H), 3.53 (s, 3H)。
スキーム3
【0079】
【化19】
【0080】
例4
化合物IVの調製
6−アミノ−1−エチル−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの合成
適切に修正されたHU[S.HUら、“Design,Synthesis and inhibitory activities of 8−(Substituted styrol−formamido)phenyl−xanthine derivatives on monoamine oxidase B”.Chem.Pharm.Bull.、2012、60(3):385−390]によりすでに公表されている手順に従って、6−アミノ−1−エチル−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン化合物を得た。
【0081】
無水酢酸(30mL)中の1−エチル−3−メチル尿素(1.36g、13.3mmol)の撹拌溶液に、シアノ酢酸(1.13g、1.33mmol)を添加し、得られた混合物を70℃で終夜撹拌した。反応混合物を濃縮し、得られた油性残留物をH2O(40mL)で希釈し、5N NaOH(15mL)で処理した。このようにして形成された沈殿物を濾過により回収し、冷水で洗浄し、MeOH/H2Oからの再結晶化により精製し、6−アミノ−1−エチル−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン1.91gを得た。
融点232℃。
ESI-MS (Mw 169.09): 170.1 (M+H+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.76 (s, 2H, NH2), 4.64 (s, 1H), 3.80 (q, 2H), 3.29 (s, 3H), 1.08 (t, 3H)。
【0082】
化合物IVの合成
(a)1,3−インダンジオン(970mg、6.64mmol)と(b)3−フルオロ−5−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(1.27g、6.61mmol)と(c)6−アミノ−1−エチル−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(936mg、5.53mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物IVを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物IVを得た。
融点:177℃。
ESI-MS (Mw 471.12): 471.9 (M+H+); 498.8 (M+Na+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 9.81 (s, 1H, NH), 7.94 (d, 1H), 7.49 (m, 3H), 7.40 (d, 1H), 7.33 (t, 1H), 7.27 (t, 1H), 4.91 (s, 1H), 4.26 (m, 2H), 3.10 (s, 3H), 1.24 (t, 3H)。
【0083】
スキーム4
【0084】
【化20】
【0085】
例5
化合物Vの調製
化合物Vの合成
(a)1,3−インダンジオン(503mg、3.44mmol)と(b)3,5−ビストリフルオロメチルベンズアルデヒド(833mg、3.44mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オン(490mg、2.86mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物Vを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物Vを得た。
融点:314℃。
ESI-MS (Mw 523.08): 524.0 (M+H+); 546.1 (M+Na+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 10.14 (s, 1H, NH), 8.08 (d, 1H), 7.97 (s, 2H), 7.87 (s, 1H), 7.53 (t, 1H), 7.37 (t, 1H), 7.27 (d, 1H), 5.06 (s, 1H), 4.08 (s, 3H), 3.51 (s, 3H)。
【0086】
スキーム5
【0087】
【化21】
【0088】
例6
化合物VIの調製
化合物VIの合成
(a)1,3−インダンジオン(708mg、4.84mmol)と(b)3,5−ビストリフルオロメチルベンズアルデヒド(1.17g、4.83mmol)と(c)6−アミノ−1−エチル−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(683mg、4.04mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物VIを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物VIを得た。
融点:166℃。
ESI-MS (Mw 521.12): 522.1 (M+H+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 9.87 (s, 1H, NH), 7.94 (bs, 3H), 7.88 (s, 1H), 7.50 (t, 1H), 7.37 (t, 1H), 7.30 (d, 1H), 5.03 (s, 1H), 4.32 (m, 2H), 3.09 (s, 3H), 1.24 (t, 3H)。
【0089】
スキーム6
【0090】
【化22】
【0091】
例7
化合物VIIの調製
2,3−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒドの合成
2,3−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド化合物を、DEVEAU[A.M.DEVEAU、T.L.MACDONALD、“Practical synthesis of biaryl colchicinoids containing 3’,4’−catechol ether−based A−rings via Suzuki cross−coupling with ligandless palladium in water”.Tetrahedron Letters、2004、45:803−807]によりすでに公表されている手順に従って得た。
【0092】
還流コンデンサーを備えた火炎乾燥した平底フラスコに、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド(1g、7.24mmol)、DMF(乾燥、30mL)および炭酸セシウム(1.5等量)を連続的に添加した。徹底的に混合した後、ジブロモメタン(1.5等量)をシリンジから添加した。混合物を110℃で2時間加熱し、次いで、室温まで冷却した。セライトのパッドから濾過した後、濾過ケーキをEtOAcですすいだ。得られた有機濾液を濃縮し、水で希釈し、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機相を、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して、良好な収率の粗油を得た。粗黄色油をフラッシュクロマトグラフィーおよびクーゲルロール蒸留で精製し、所望のアルデヒドを得た。これは、冷却すると無色半透明の結晶を形成した。
融点35℃
ESI-MS (Mw 150.03): 151,1 (M+H+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 10.35 (s, 1H), 7.51 (dd, 1H), 7.24 (dd, 1H), 7.16 (dd,1H), 6.36 (s, 2H)。
【0093】
化合物VIIの合成
(a)1,3−インダンジオン(1.61g、11.02mmol)と(b)2,3−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド(1.66g、11.06mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチルウラシル(1.43g、9.22mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物VIIを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物VIIを得た。
融点:300℃。
ESI-MS (Mw 415.12): 416.0 (M+H+); 438.0 (M+Na+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 9.88 (s, 1H, NH), 7.83 (d, 1H), 7.45 (t, 1H), 7.32 (t, 1H), 7.24 (d, 1H), 6.73 (t, 1H), 6.66 (d, 2H), 5.90 (d, 2H), 4.81 (s, 1H), 3.56 (s, 3H), 3.08 (s, 3H)。
【0094】
スキーム7
【0095】
【化23】
【0096】
例8
化合物VIIIの調製
化合物VIIIの合成
(a)1,3−インダンジオン(535mg、3.66mmol)と(b)2,3−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド(549mg、3.66mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オン(521mg、3.05mmol)との反応により、化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物VIIIを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物VIIIを得た。
融点:310℃。
ESI-MS (Mw 431.09): 432.0 (M+H+); 453.9 (M+Na+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 10.11 (s, 1H, NH), 7.83 (d, 1H), 7.47 (t, 1H), 7.34 (t, 1H), 7.27 (d, 1H), 6.77 (bs, 1H), 6.68 (bs, 2H), 5.93 (d, 2H), 4.88 (s, 1H), 4.08 (s, 3H), 3.53 (s, 3H)。
【0097】
スキーム8
【0098】
【化24】
【0099】
例9
化合物IXの調製
3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒドの合成
POLI[G.POLI、G.GIANBASTIANI “An Epiisopicropodophyllin aza analogue via Palladium−catalyzed pseudo−domino cyclization”.J.Org.Chem.、2002、67:9456−9459]によりすでに公表されている手順に従って、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド化合物を得た。
【0100】
CH2Cl2(250mL)中のピペロニルアルコール(10g、65.73mmol)の溶液に、MnO2(49.3g、567.32mmol)1回分を添加した。得られた暗色の懸濁液を室温で24時間撹拌し、次いで、セライトパッドを通して濾過除去し、CH2Cl2で洗浄した。溶媒を真空下で除去し、得られた粗結晶淡黄色固体をさらなる精製なしに使用した。
融点338℃。
ESI-MS (Mw 150.03): 151,1 (M+H+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 9.80 (s, 1H), 7.40 (m, 2H), 6.92 (d, 1H), 6.07 (s, 2H)。
【0101】
化合物IXの合成
(a)1,3−インダンジオン(203mg、1.39mmol)と(b)3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド(209mg、1.39mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチルウラシル(180mg、1.16mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物IXを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物IXを得た。
融点:338℃。
ESI-MS (Mw 415.12): 416.0 (M+H+); 437.9 (M+Na+); 453.9 (M+K+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 9.79 (s, 1H, NH), 7.98 (d, 1H), 7.46 (t, 1H), 7.33 (t, 1H), 7.27 (d, 1H), 6.81 (s, 1H), 6.72 (bs, 2H), 5.89 (s, 2H), 4.69 (s, 1H), 3.57 (s, 3H), 3.10 (s, 3H)。
【0102】
スキーム9
【0103】
【化25】
【0104】
例10
化合物Xの調製
2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−カルボキサルデヒドの合成
VANELLE[P.VANELLE、C.T.LLEGEOLS、J.MEUCHE、J.MALDONADO、M.P.CROZET “An original way for synthesis of new nitrobenzothiadiazole derivatives”.Heterocycles、1997、45(5):955−962]によりすでに公表されている手順に従って、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−カルボキサルデヒド化合物を得た。
【0105】
メタノール(60mL)中の4−ブロモメチル−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(5.82g、25.40mmol)の溶液に、2−ニトロプロパン(2.48g、27.84mmol)のリチウム塩を添加した。室温(約25℃)で24時間撹拌した後、メタノールを減圧下でロータリーエバポレーターで蒸留除去した。残留物をジクロロメタンに溶解し、溶媒を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で蒸発させた。シクロヘキサンからの再結晶化による精製後、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−カルボキサルデヒドを黄色固体として得た。
融点99℃
ESI-MS (Mw 164.18): 165.2 (M+H+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 10.60 (s, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.91 (t, 1H)。
【0106】
化合物Xの合成
(a)1,3−インダンジオン(420mg、2.87mmol)と(b)2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−カルボキサルデヒド(471mg、2.87mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチルウラシル(359mg、2.31mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物Xを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物Xを得た。
融点:331℃。
ESI-MS (Mw 429.09): 430.1 (M+H+); 452.0 (M+Na+); 467.9 (M+K+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 10.08 (s, 1H, NH), 7.88 (d, 1H), 7.62 (d, 3H), 7.50 (t, 1H), 7.32 (t, 1H), 7.23 (d, 1H), 5.46 (s, 1H), 3.64 (s, 3H), 3.01 (s, 3H)。
【0107】
スキーム10
【0108】
【化26】
【0109】
例11
化合物XIの調製
2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−カルボキサルデヒドの合成
CARROLL[W.A.CARROLLら“Synthesis and Structure−Activity relationships of a novel series of 2,3,5,6,7,9−hexahydrothieno[3,2−b]quinolin−8(4H)−one 1,1−Dioxide(α−278637)、a Potent KATP Opener that selectively inhibits spontaneous bladder contractions”.J.Med.Chem.、2004、47:3163−3179]によりすでに公表されている手順に従って、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−カルボキサルデヒド化合物を得た。
【0110】
CHCl3(150mL)中の5−ヒドロキシ−メチルベンゾ−2,1,3−チアジアゾール(2.6g、16mmol)およびMnO2(5.6g、64.41mmol)を室温(約25℃)で終夜撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を蒸発させた。粗残留物をシリカゲル(EtOAc/ヘキサン、7/3、体積/体積)上でクロマトグラフにかけ、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−カルボキサルデヒド1.9gを得た。
融点93℃。
ESI-MS (Mw 164.18): 165.2 (M+H+)。
1H-NMR (DMSO-d6): 10.21 (s, 1H), 8.78 (d, 1H), 8.19 (d, 1H), 8.04 (s, 1H)。
【0111】
化合物XIの合成
(a)1,3−インダンジオン(468mg、3.20mmol)と(b)2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−カルボキサルデヒド(525mg、3.20mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチルウラシル(415mg、2.67mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、化合物XIを得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物XIを得た。
融点:358℃。
ESI-MS (Mw 429.09): 430.1 (M+H+); 452.1 (M+Na+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 9.92 (s, 1H, NH), 7.93 (m, 3H), 7.77 (d, 1H), 7.47 (t, 1H), 7.33 (t, 1H), 7.26 (d, 1H), 4.99 (s, 1H), 3.61 (s, 3H), 3.08 (s, 3H)。
【0112】
スキーム11
【0113】
【化27】
【0114】
例12
化合物XIIの調製
化合物XIIの合成
(a)1,3−インダンジオン(456mg、3.12mmol)と(b)2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−カルボキサルデヒド(512mg、3.12mmol)と(c)6−アミノ−1,3−ジメチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−4(1H)−オン(445mg、2.60mmol)との反応により、例1において化合物Iについて記載したのと同じ手順を用いて、その化合物を得た。混合物を、還流で、窒素雰囲気下で8時間加熱した。次いで、0℃まで冷却した。得られた沈殿物を濾過し、冷水ですすぎ、粗生成物を得た。シリカゲルカラム(CH2Cl2/CH3OH、9.5/0.5、体積/体積)上で精製し、所望の化合物XIIを得た。
融点:362℃。
ESI-MS (Mw 445.07): 446.0 (M+H+); 468.0 (M+Na+)。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 10.14 (s, 1H, NH), 7.96 (m, 3H), 7.80 (d, 1H), 7.48 (t, 1H), 7.34 (t, 1H), 7.27 (d, 1H), 5.04 (s, 1H), 4.11 (s, 3H), 3.51 (s, 3H)。
【0115】
スキーム12
【0116】
【化28】
【0117】
いくつかの側面において、本発明は、医薬組成物、例えば、適当な剤形であって、前記組成物が、活性成分として、有効量の一般式(I)で表される構造を有する1種以上の化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で);および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
【0118】
本発明による医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、経口、舌下、直腸、膣、経鼻、腹腔内または非経口経路で投与されるが、これらの例に限定されるものではない。好ましい経路は経口である。
【0119】
経口投与のための医薬組成物は、多様な医薬品形態、例えば、(i)錠剤、任意にコーティング、チュアブル、発泡性、多層性または分散性;(ii)ピル;(iii)粉末、任意に分散性または発泡性;(iv)カプセル、任意にハードゼラチンカプセル、ソフトジェルまたはデンプン質のゼラチンカプセル(amylaceous gelatinous capsule);(v)トローチ;(vi)顆粒、任意に微粒子、マイクロカプセルまたはベクター化された製剤、例えば、リポソームの形態;(vii)坐剤;(viii)溶液;(ix)シロップ;(x)懸濁液;(xi)注射可能物質などで提供され得るが、これらに限定されるものではない。
【0120】
本発明による医薬組成物は、環状ヌクレオチド合成の阻害剤としての使用のためのものである。別の態様において、医薬組成物は、cAMPおよびcGMP合成の阻害剤としての使用のためのものである。
【0121】
本発明による医薬組成物は、下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療で用いられる。
【0122】
本発明による医薬組成物を基準水準で周知の方法により調製してもよい。適切には、Remington’s Pharmaceutical Sciencesまたは類似の情報源を、本発明による適切な製剤を調製するために使用してもよい。
【0123】
試験化合物
例13
T84細胞におけるSTa毒素に起因するグアニル酸シクラーゼCの刺激のためのプロトコル
a)細胞増殖
T84株(ATCC CCL−248)からの細胞を、供給業者の使用説明書に従って継代培養する。簡単に述べると、0.25(重量/体積)%トリプシン溶液および0.53mM EDTA溶液3mLを用いて、培養フラスコ(75cm2)を洗浄し、微量の血清を除去した後、同量のトリプシンを各ボトルに添加し、細胞層が分離するまで、細胞を顕微鏡下で観察する(通常、8〜10分)。
【0124】
培養培地[10%ウシ胎児血清およびペニシリン−ストレプトマイシン(50IU/mL:50μg/mL)を補足したDMEM−F12]8mLを添加し、細胞ホモジネートを2000rpmで(25℃で)5分間遠心分離した後、アッセイプレート(12ウェルプレート)を調製する。
【0125】
真空ポンプに接続された1mLピペットを用いて、上清を吸引し、細胞を培養培地(1対4の比を維持するために必要な量、すなわち、1本の培養フラスコから4枚の12ウェルプレートを得る)に再懸濁する。細胞のホモジネート後、ピペットを用いて、細胞懸濁液2mLをプレートの各ウェルに添加する。増殖は、各ウェルのコンフルエンスまで、制御された条件下(37℃、5%CO2雰囲気)で、インキュベーター内で起こる(典型的には8〜10日)。
b)方法
最初に、培養培地を、真空ポンプに接続された1mLピペットを用いて吸引し、細胞を、真空ポンプに接続された1mLピペットを用いて、Dulbeccoリン酸緩衝液(DPBS;37℃)0.5mLで少なくとも3回洗浄する。続いて、DPBS0.5mLを、1−メチル−3−イソブチルキサンチン(1mM)、ジメチルスルホキシド(0.1体積/体積%)および試験化合物の存在下ならびに/または非存在下で添加し、オーブンで10分間インキュベート(37℃、5%CO2雰囲気)する。
【0126】
インキュベーション期間後、細胞をSTa毒素(1μM、5μL)で刺激し、インキュベーター内で10分間インキュベート(37℃、5%CO2雰囲気)する。刺激期間後、上清の容量を、真空ポンプに接続された1mLピペットを用いて吸引し、振とう式「ローテーター」(shaker type “rotator”)(Lab−Line Instruments、型番4625)で20分間絶えず撹拌しながら(スピード4)、pH4の0.1M塩酸溶液(0.3mL、ピペットを用いて)を添加することにより、cGMPを抽出する。抽出期間後、各ウェルの容量を遠心分離(15000rpm、5分、25℃)し、HORTONら(1992)[Horton,J.K.;Martin,R.C.;Kalinka,S.;Cushing,A.;Kitcher,J.P.;0’Sullivan,M.J.;Baxendale,P.M.、“Enzime immunoassays for the estimation of adenosine 3’,5’cyclic monophosphate and guanosine 3’,5’cyclic monophosphate in biological fluids”.J Immunol Methods 1992、155:31−40]により開発され、記載された免疫アッセイ法により、cGMPの含有量をその後定量するために、一定分量の上清(0.3mL)を、−20℃の冷凍庫で急速に保管する。
【0127】
振とう式「ローテーター」で30分間絶えず撹拌しながら(スピード7)、0.1M水酸化ナトリウム溶液0.5mLを添加することにより、タンパク質沈殿物または「ペレット」を直接蒸解する。のちに、BRADFORD(1976)[M.M.BRADFORD、“A rapid and sensitive method for the quantitation of microgram quantities of protein utilizing the principle of protein−dye binding”.Analytical Biochemistry、1976、72:248−254]により開発された方法を用いて、このタンパク質画分を試験で使用し、タンパク質を決定する。
c)試験化合物
試験化合物は、表1に記載したI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよびXIIである。
d)結果
表2
T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物II、IV、VI、VIIIおよびXの効果(図1参照)
【0128】
【表2】
【0129】
結果を平均±SEMで示す。#p<0.05、基準群と比較;*p<0.05、STa群と比較;[ANOVA、次いでチューキー検定(Tukey’s test)]。
【0130】
表3
T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物I、III、VおよびXIIの効果(図2参照)
【0131】
【表3】
【0132】
結果を平均±SEMで示す。#p<0.05、基準群と比較;*p<0.05、STa群と比較;(ANOVA、次いでチューキー検定)。
【0133】
表4
T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物VIIの効果(図3参照)
【0134】
【表4】
【0135】
結果を平均±SEMで示す。#p<0.05、基準群と比較;*p<0.05、STa群と比較;(ANOVA、次いでチューキー検定)。
【0136】
表5
T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物IXの効果(図4参照)
【0137】
【表5】
【0138】
結果を平均±SEMで示す。#p<0.05、基準群と比較;*p<0.05、STa群と比較;(ANOVA、次いでチューキー検定)。
【0139】
表6
T84細胞におけるSTa(1μM)に起因するcGMPの蓄積に対する化合物XIの効果(図5参照)
【0140】
【表6】
【0141】
結果を平均±SEMで示す。#p<0.05、基準群と比較;*p<0.05、STa群と比較;(ANOVA、次いでチューキー検定)。
【0142】
例14
絶対バイオアベイラビリティの決定のためのプロトコル
a)動物
試験では、2〜4歳、体重8〜12kgのオスのビーグル犬を使用し、試験中、食事制限を維持し、水は自由に摂取させた。
b)動物の調製
犬の前脚の橈骨部分を剃り、70%アルコールで湿らせたガーゼを用いてその箇所を無菌にした。
【0143】
21Gカテーテル(静脈投与プロトコルでは各脚に、および経口投与プロトコルでは単一の脚に1本)を挿入し、橈側皮静脈にアクセスした。
【0144】
血液試料は、3mLのシリンジを用いて血液1.5mLを採取することにより、確立された採血時間に応じて動物から採取した。試料をヘパリン化収集チューブに移した。
c)投与経路
試験化合物の投与は、経口および静脈内投与であった。
【0145】
化合物の静脈内投与は、ボーラスで行われ、犬の橈側皮静脈の1つから行った。濃縮物1mg/kg;1回分3mg/kgおよび10mg/kgを別々の日に投与した。
【0146】
薬物の経口投与は、3mg/kgの用量のカプセル中の粉末で行われ、これはすべて犬により完全に摂取された。
d)採血時間
静脈投与については、血液試料(1.5ml)を以下の所定の時間間隔:0、0.033、0.083、0.17、0.25、0.33、0.5;1;2;3;4;6;8;12および24時間で採取した。
【0147】
経口投与については、血液試料(1.5ml)を以下の所定の時間間隔:0、0.33、0.67、1、1.5、2、3、4、ならびに6、8、12および24時間で採取した。
e)試験化合物
試験化合物は、表1に記載したII、IV、VIおよびXIである。
f)分析方法
ヘパリン化収集チューブを遠心分離機に入れ、2500rpm/分で10分間処理した。血漿を分離し、他のチューブに入れた。血漿を、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC−MS/MS)で分析した。
g)結果
表7
化合物II、IV、VIおよびXIで得られた結果は、以下の通りである:
【0148】
【表7】
【0149】
環状ヌクレオチドの阻害について試験した4種の化合物はすべて、ごくわずかな絶対バイオアベイラビリティしか示さなかった。ゼロの絶対バイオアベイラビリティは、これらの化合物がある種の全身毒性を示す可能性を大きく低減するため、これらの結果は、腸管の障害の治療に対するこれらの化合物の優れた治療的可能性を示している。
【0150】
本発明の化合物である新規ピリドピリミジン誘導体化合物は、患者の症状を治療するのに人間および獣医学において有用である。本発明によれば、前記化合物は、症状の予防および/または治療を必要とする患者に投与できる。
【0151】
本発明は、環状ヌクレオチド合成の阻害剤として新規ピリドピリミジン誘導体化合物を使用する方法も記載する。別の態様において、cAMPおよびcGMP合成の阻害剤として新規ピリドピリミジン誘導体化合物を使用する方法を記載する。
【0152】
本発明の別の目的は、環状ヌクレオチド合成を阻害するための、新規ピリドピリミジン誘導体化合物、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)の使用である。さらに、本発明の目的は、cAMPおよびcGMP合成を阻害するための、新規ピリドピリミジン誘導体化合物の一種、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)の使用である。
【0153】
本発明の目的は、下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療での、新規ピリドピリミジン誘導体化合物の一種、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(任意の比率で)の使用でもある。
以下に、出願当初の請求項を実施の態様として付記する。
[1] 一般式(I):
【化29】
[式中、R1は、C1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、ジメチルアミノC1〜6アルキル、ハロC1〜6アルキル、グアニジノC1〜6アルキルおよびメルカプトC1〜6アルキルからなる群から選択され、
2は、4−(トリフルオロメチル)チオフェン、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イルおよび置換アリール(ここで置換基は、C1〜6アルコキシ、ハロゲン、C1〜6ヘテロアラルキルまたはC2〜6ヘテロアラルケニルからなる群から選択される)からなる群から選択され、
Xは、O、SおよびSeからなる群から選択される]により表される化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または任意の比率でのそれらの混合物。
[2] R1が、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルからなる群から選択されるC1〜6アルキルであり、
2が、4−(トリフルオロメチル)チオフェン、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−4−イル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イルおよび2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イルからなる群から選択され、
Xが、OまたはXを表す、[1]に記載の化合物。
[3] R1が、メチルまたはエチルであり、
2が、4−トリフルオロメチルチオフェン、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−4−イル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イルおよび2,1,3−ベンゾチアジアゾール−5−イルからなる群から選択され、
Xが、OまたはSである、[2]に記載の化合物。
[4] 前記化合物が、
【化30】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[5] 前記化合物が、
【化31】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[6] 前記化合物が、
【化32】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[7] 前記化合物が、
【化33】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[8] 前記化合物が、
【化34】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[9] 前記化合物が、
【化35】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[10] 前記化合物が、
【化36】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[11] 前記化合物が、
【化37】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[12] 前記化合物が、
【化38】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[13] 前記化合物が、
【化39】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[14] 前記化合物が、
【化40】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[15] 前記化合物が、
【化41】
である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の化合物。
[16] 活性成分として、有効量の[1]〜[15]の何れか1項に記載の1種以上の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩;および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
[17] 前記組成物が、環状ヌクレオチド合成の阻害のためのものである、[16]に記載の医薬組成物。
[18] 前記組成物が、cAMPおよびcGMP合成の阻害のためのものである、[16]に記載の医薬組成物。
[19] 前記組成物が、下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療のためのものである、[16]に記載の医薬組成物。
[20] [16]に記載の医薬組成物を投与することを含む、患者における環状ヌクレオチド合成を阻害する方法。
[21] [16]に記載の医薬組成物を投与することを含む、患者におけるcAMPおよびcGMP合成を阻害する方法。
[22] [16]に記載の医薬組成物を投与することを含む、患者における下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療のための方法。
[23] 前記医薬組成物が、適当な剤形である、[20]〜[22]の何れか1項に記載の方法。
[24] 環状ヌクレオチド合成を阻害するための医薬の製造における、[1]〜[15]の何れか1項に記載の化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または任意の比率でのそれらの混合物の使用。
[25] cAMPおよびcGMP合成を阻害するための医薬の製造における、[1]〜[15]の何れか1項に記載の化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または任意の比率でのそれらの混合物の使用。
[26] 下痢、大腸炎および過敏性腸症候群の予防的および/または治癒的治療ための医薬の製造における、[1]〜[15]の何れか1項に記載の化合物、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または任意の比率でのそれらの混合物の使用。
図1
図2
図3
図4
図5