特許第6661621号(P6661621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6661621ライン走査SLOにおける波長選択のための回折格子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661621
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】ライン走査SLOにおける波長選択のための回折格子
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
   A61B3/10 300
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-517151(P2017-517151)
(86)(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公表番号】特表2017-517366(P2017-517366A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】CA2015000372
(87)【国際公開番号】WO2015188256
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年5月22日
(31)【優先権主張番号】62/010,656
(32)【優先日】2014年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516373775
【氏名又は名称】セルビュー・イメージング・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ハザウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リシャード・ウェイツ
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−117871(JP,A)
【文献】 特開2010−054357(JP,A)
【文献】 特表2000−517227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広帯域分散光源と、
前記広帯域分散光源から広帯域の光を直接受け取るように位置決めされる回折格子と、
出力スリットと、
前記出力スリットに向かって前記回折格子から受け取った光を反射するように配置された回転可能なミラーと、
を備え、
前記出力スリットは、前記回転可能なミラーによって反射される異なる狭帯域の光の1つを受け取ることができ、各狭帯域の光は、前記出力スリットに対する前記回転可能なミラーの異なる回転位置によって決定され、前記回折格子は、固定位置にある、システム。
【請求項2】
前記回転可能なミラーは、実質的に平面ミラーである、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記出力スリットは、前記狭帯域の光をライン走査の走査型レーザ検眼鏡(SLOシステムへ通す、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記回転可能なミラーは、前記出力スリットによる前記狭帯域の光の受け取り中は静止している、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
ライン走査の走査型レーザ検眼鏡(SLOシステムにおいて使用するための狭帯域の光を生成する方法であって、
分散光源から広帯域の光を回折格子に直接照射するステップと、
前記回折格子を使用して前記広帯域の光の周波数の角度分離を生成するステップと、
前記回折格子から受け取った前記広帯域の光内の周波数のサブセットを含有する選択された狭帯域の光を出力スリットの方へ向けるようにミラーを回転させるステップと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記ミラーは、実質的に平面ミラーである、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ミラーを回転させるステップは、前記ミラーを静止位置に回転させるステップを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散光源からの波長の選択に関し、詳しくはライン走査の走査型レーザ検眼鏡において使用するための狭帯域の波長の選択に関する。
【背景技術】
【0002】
ライン走査の走査型レーザ検眼鏡(SLO)システムにおいては、光線は、共焦点SLOシステムにおいて使用されるような小さな点よりはむしろ、いろいろな場所における患者の網膜を照らすために使用される。もしこの光線の周波数が、調整可能であるべきならば、1つの解決策は、光源として別々のレーザを使用し、そのレーザの中から選択するということになる。実際、これは、いくつかの共焦点SLOシステムにおいて行われていることである。しかしながら、これは、離散周波数の光だけを提供し、複数レーザの使用は、SLOシステムのサイズおよびコストの両方を増加させる。別の解決策は、波長可変レーザを使用するということになる。しかしながら、これは、周波数のより連続的な選択を提供するということになるが、波長可変レーザの使用は、SLOシステムのコストをさらに増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高コストの波長可変レーザを必要とすることなく、広範囲の波長から狭帯域の波長の選択を可能にするライン走査SLOシステムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
回折格子ならびにレンズおよびスリットの開示される配置を使用することによって、広帯域の波長にわたって光を放出する分散光源は、患者の網膜を照らす光の波長が調節可能であることを可能にしながら、ライン走査SLOシステムのための光源として使用することができる。光源として分散光源を使用することは、点光源を使用することよりも安価である。回折格子の回転は、異なる波長を出力スリットに提示し、それによって出力スリットを通過する波長が選択可能であることを可能にする。別法として、回折格子は、固定されてもよく、波長の一部だけが出力スリットに達するように、ミラーが、回転されてもよい。
【0005】
本発明の実施形態の特徴および利点は、添付の図を参照して好ましい実施形態の下記の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態による、選択された波長を出力スリットに提示するためのシステムを示す図である。
図2】本発明の別の実施形態による、選択された波長を出力スリットに提示するためのシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図において、類似の特徴は、同様のラベルを持つことに留意する。
【0008】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による、選択された波長を出力スリットに提示するためのシステムが、示される。広帯域分散光源10は、広範囲の波長にわたって光を発生させる。分散光源は典型的には、単一モード光源、特に波長可変単一モード光源よりも安価である。分散光源10は、複数の発光ダイオード(LED)であってもよく、使用されるLEDの数および種類は、望まれるスペクトル範囲に依存する。複数のLEDは、光源10を分散性にするが、しかし広いスペクトル範囲をカバーする光を発生させる。別法として、光源10は、単一の広帯域分散光源であってもよい。どちらの場合にも、光源10によって生成される光の帯域幅の広さは、システムの同調範囲を決定する。
【0009】
分散光源10からの光は、第1のレンズ12に入り、それは、光を入力スリット14に集中させる。光は、入力スリット14を通過し、第2のレンズ16に達する。第2のレンズ16は、光を回折格子18に向ける。このようにして、回折格子18は、回折格子18の方向に放出される光のすべてまたは大部分を受け取る。
【0010】
回折格子18に達する光は、横方向に広がりもし、広いスペクトル範囲をカバーもする。回折格子18は、波長依存角度分離を光に導入する、すなわち異なる波長の光が回折格子18に反射する角度は、異なる。波長分離された光は、第3のレンズ20に達する。第3のレンズは、出力スリット24を含有するスクリーン22上に光を集中させる。異なる波長の光は、異なる角度で第3のレンズ20に達するので、各波長の光は、スクリーン22の異なる位置に焦点が合う。第3のレンズ20にその中心近くでぶつかる波長の光だけが、出力スリット24上に集中される。このようにして、広帯域光源10が、使用されたにもかかわらず、狭帯域の光だけが、出力スリット24を通り抜けて、ライン走査の走査型レーザ検眼鏡(SLO)システムなどの、さらなるシステムに進む。
【0011】
回折格子18は、分散光源10および出力スリット24に対して回転可能である。回折格子18を回転させることによって、異なる波長の光は、第3のレンズ20の中心に達し、出力スリット24を通過するように、出力スリット24上に集中される。もしさらなるシステムにおいて特定の波長(またはより正確には、特定の狭帯域の波長)を使用することが望まれるならば、その時回折格子18は、所望の波長の光を出力スリット24上に集中させる位置に回転されてもよい。当業者は、回折格子の式および光の入射波長を使用して、回折格子18を位置決めすべき角度および使用すべき格子間隔を知るということになる。
【0012】
上で述べられた実施形態では、出力スリット24に対する回折格子18の回転位置は、分散光源10によって放出される広帯域の光の中でどの狭帯域の光が、出力スリット24に達するかを決定する。別法として、システム内の異なるコンポーネントの回転位置が、出力スリット24に達する特定の狭帯域の光を決定するために使用されてもよい。図2を参照すると、本発明の別の実施形態による、選択された波長を出力スリットに提示するためのシステムが、示される。本システムは、図1を参照して上で述べられたそれに似ている。広帯域分散光源10からの光の波長依存角度分離は、回折格子30によってなお提供される。しかしながら、図2を参照して述べられる実施形態では、回折格子30は、固定位置にある。所望の波長は、回転可能なミラー32によって出力スリット24に向けられる。出力スリット24に対するミラー32の回転位置は、出力スリット24に達する特定の狭帯域の光を決定し、ミラー32の回転によって出力スリット24に達する光の波長の選択を可能にする。ミラーは、実質的に平面である。
【0013】
回転可能なコンポーネントを、実施形態に応じて回折格子かまたはミラーを静止位置に回転させることによって、光源10が、広帯域の光を生成するにもかかわらず、出力スリットへ通され、出力スリットによって受け取られる周波数は、狭帯域の光として選択されてもよい。
【0014】
上で述べられたシステムは、ライン走査SLOシステムにおいて使用するための狭帯域の光を生成する方法を実施するために使用されてもよい。広帯域の光は、分散光源から放出される。広帯域の周波数の角度分離は、回折格子を使用して生成される。コンポーネントは、広帯域内の周波数のサブセットを含有する選択された狭帯域の光を出力スリットの方へ向けるように回転される。回転されるコンポーネントは、回折格子であってもよく、または回折格子からの光の一部を出力スリットの方へ向けるように置かれたミラーであってもよい。
【0015】
提示される実施形態は、例示的なだけであり、当業者は、上で述べられた実施形態への変形が、本発明の趣旨から逸脱することなくなされてもよいことを認識することになる。本発明の範囲は、もっぱら添付の請求項によって規定される。
【符号の説明】
【0016】
10 分散光源
12 第1のレンズ
14 入力スリット
16 第2のレンズ
18 回折格子
20 第3のレンズ
22 スクリーン
24 出力スリット
30 回折格子
32 ミラー
図1
図2